JP2020120651A - 植物ミルク由来バター様食品の製造方法及び植物ミルク由来バター様食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】動物性材料を原料とせずに、植物由来材料、具体的には豆乳のような植物ミルクを原料として、外観、使用感、食感及び食味のいずれも、バター様である食品を製造する。【解決手段】植物ミルクに植物性加工油脂を添加して乳化して得た植物ミルクエマルジョンを冷却して得られたクリーム状物質にチャーニング又はキャビテーションを施し、水相を除去して得られた油相固形分を混練して均一化させることを特徴とする、植物ミルク由来バター様食品の製造方法。【選択図】図1
Description
本願は、植物ミルク由来バター様食品の製造方法及び植物ミルク由来バター様食品に関する。
下記特許文献1から3までに開示されているように、豆乳由来の食品素材の製造方法は種々提供されている。
特許文献1では、豆乳を濃縮後、加熱処理することによる豆乳由来の、豆腐に似た物性のゲルを作製する技術が開示されている。
また、特許文献2では、豆乳に有機酸、鉱酸又は二価の金属塩を凝集剤として添加して、豆乳由来の脂質を含有した凝集体を得て、これを遠心分離してクリーム様のテクスチャーを有する豆乳クリームを得る技術が開示されている。
さらに、特許文献3では、大豆蛋白質、水及び油脂を含む液状組成物の製造後、保存中に油分分離の発生を抑えるために親油性乳化剤を使用する技術が開示されている。
一方、近年、豆乳、ライスミルク、ココナツミルク、アーモンドミルク等をはじめとした、堅果、穀物又は豆類由来の乳様液体である植物ミルクは、食物アレルギー等の健康上の理由あるいは宗教、思想又は信条上の理由により乳製品の摂取ができない人々のための牛乳の代用品として使用されるのみならず、栄養面から積極的な意義を有するものとして、近年注目されている。
本願の各態様は、動物性材料を原料とせずに、植物由来材料、具体的には豆乳、ライスミルク、ココナツミルク又はアーモンドミルクのような植物ミルクを原料として、外観、使用感、食感及び食味のいずれも、バター様である食品を製造することを課題とする。
本願の第1態様に係る植物ミルク由来バター様食品の製造方法は、植物ミルクに植物性加工油脂を添加して乳化して得た植物ミルクエマルジョンを冷却して得られたクリーム状物質にチャーニング又はキャビテーションを施し、水相を除去して得られた油相固形分を混練して均一化させることを特徴とする。
なお、本願でいう「バター様食品」とは、常温においてバターのような可塑性を有する食品をいう。ここでいう「可塑性」とは、固体が外力を加えられて変形し、その変形が元に戻らない物理的性質をいう。換言すると、可塑性を保持していない状態では、外力を加えたときに固体が変形せずに砕けたり、逆に加えられた変形以上に固体の全体が流動したりする。なお、常温とは、ここでは20℃〜30℃の範囲をいう。
本願の第2態様は、第1態様の特徴に加え、前記植物ミルクは、豆乳、ライスミルク、ココナツミルク又はアーモンドミルクであることを特徴とする。
本願の第3態様は、第2態様の特徴に加え、前記油相固形分に食物繊維成分を添加することを特徴とする。
なお、ここでいう食物繊維成分とは、使用する植物ミルクの種類に合わせたものとすることが望ましい。たとえば、植物ミルクが豆乳の場合はおから粉、ライスミルクの場合は米粉又は玄米ブラン、ココナツミルクの場合はココナツパウダー、及び、アーモンドミルクの場合はアーモンドパウダーとすることができる。なお、ふすま粉のように、使用する植物ミルクの種類とは直接関係ない食物繊維成分を添加することとしてもよい。
本願の第4態様に係る植物ミルク由来バター様食品は、植物ミルクに由来する成分と、植物性加工油脂に由来する脂肪球とがコロイド状に懸濁しているとともに、少なくとも20℃において可塑性を保持していることを特徴とする。
なお、ここでいう「可塑性」の意義については前記したとおりである。すなわち、本態様に係る植物ミルク由来バター様食品は、少なくとも20℃においては、外力を加えられたときに、硬すぎて砕けたり、あるいは、柔らかすぎて流動したりすることはない。なお、この可塑性は、20℃において保持されていることを要するが、それ以外の温度においても保持されていても差し支えない。
本願の第5態様は、第4態様の特徴に加え、前記植物ミルクは豆乳であって、脂質の含有量が65質量%以上85質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.4質量%以上2.5質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下であり、灰分の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であり、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下であるとともに、大豆レシチン及びイソフラボンを含有することを特徴とする。
上記した第5態様の植物ミルク由来バター様食品においては、豆乳を原料としていることに起因して、大豆レシチン及びイソフラボンが含有されている。
本願の第6態様は、第5態様の特徴に加え、全体に占める大豆レシチン及びイソフラボンの合計の割合が0.25質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする。
本願の第7態様は、第4態様の特徴に加え、前記植物ミルクはライスミルクであって、脂質の含有量が65質量%以上85質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.5質量%以下であり、炭水化物の含有量が2.5質量%以上4.0質量%以下であり、灰分の含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であり、α−トコフェロールの含有量が0.005質量%以上0.02質量%以下であり、トランス脂肪酸の含有量が0.5質量%以下であり、コレステロールの含有量が0.1質量%以下であるとともに、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下であることを特徴とする。
本願の第8態様は、第4態様の特徴に加え、前記植物ミルクはココナツミルクであって、脂質の含有量が60質量%以上70質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下であり、灰分の含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であり、ラウリン酸の含有量が5質量%以上15質量%以下であり、α−トコフェロールの含有量が0.005質量%以上0.02質量%以下であり、トランス脂肪酸の含有量が0.5質量%以下であり、コレステロールの含有量が0.1質量%以下であるとともに、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下であることを特徴とする。
本願の第9態様は、第4態様の特徴に加え、前記植物ミルクはアーモンドミルクであって、脂質の含有量が70質量%以上90質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分の含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であり、α−トコフェロールの含有量が0.005質量%以上0.02質量%以下であり、トランス脂肪酸の含有量が0.5質量%以下であり、コレステロールの含有量が0.1質量%以下であるとともに、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下であることを特徴とする。
本願の第10態様は、第5態様から第9態様までのいずれかの特徴に加え、前記脂質の融点は30℃以上35℃以下であることを特徴とする。
本願の各態様は、上記のように構成されているので、動物性材料を原料とせずに、植物由来材料、具体的には豆乳、ライスミルク、ココナツミルク又はアーモンドミルクのような植物ミルクを原料として、外観、使用感、食感及び食味のいずれも、バター様である食品を製造することができる。このバター様食品は、牛乳由来の一般のバターと異なり、トランス脂肪酸及びコレステロールフリーの純植物性の食品であり、貧血に有効とされる鉄分や銅分も一般のバターより多い健康的な食品となる。
以下、図面を参照しつつ本願の実施形態を説明する。
図1は、本願の実施形態における植物ミルク由来バター様食品の製造方法の概要を示すフローチャートである。
本実施形態に係る植物ミルク由来バター様食品の製造方法では、植物ミルクに植物性加工油脂を添加して乳化して得たクリーム状物質にチャーニング又はキャビテーションを施し、水相を除去して得られた油相固形分を混練して均一化させる。
植物ミルクとしては、堅果、穀物又は豆類由来の乳様液体である豆乳、ライスミルク、ココナツミルク、アーモンドミルク等が挙げられるが、豆乳が最も適している。
植物ミルク(たとえば、豆乳)は、S1の植物ミルク加熱工程において、後に加えられる油相としての植物性加工油脂が、水相となる植物ミルク(たとえば、豆乳)に対してO/W型に乳化されやすくするために、植物性加工油脂の融点以上の温度、たとえば60℃に加熱しておく。なお、必要に応じ、後のS3の乳化工程において乳化状態を安定化させるために、ショ糖脂肪酸エステルのような親水性乳化剤をあらかじめ植物ミルク(たとえば、豆乳)に添加しておいてもよい。
植物性加工油脂は、常温で液体である植物由来の食用油、たとえば、大豆油、パーム油、菜種油、綿実油、米糠油、サフラワー油、ピーナッツ油、ごま油、亜麻仁油、オリーブ油、コーン油等を適宜の手段(たとえば、水素添加、エステル交換等)によって融点を調整し常温で固体となるように調整したものをいう。植物性加工油脂としては、融点を32℃前後に調整した、大豆油、パーム油又は菜種油が最も適している。
このような、たとえば融点32℃程度の植物性加工油脂は、S2の油脂加熱工程において、油脂の融点以上の品温、たとえば60℃に加熱され、液化される。なお、必要に応じ、後のS3の乳化工程において乳化状態を安定化させるために、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル又はプロピレングリコール脂肪酸エステルのような親油性乳化剤をあらかじめ植物性加工油脂に添加しておいてもよい。
なお、S1の植物ミルク加熱工程とS2の油脂加熱工程とは別途独立の工程として実施される。
S1の植物ミルク加熱工程で加熱された植物ミルクと、S2の油脂加熱工程で加熱された植物性加工油脂とは、S3の乳化工程において、乳化処理に供される。具体的には、乳化タンクにまず加熱された植物ミルクを入れ、撹拌しながら加熱された植物性加工油脂を、空気を混入させないように少しずつ投入していく。このとき、植物ミルク(たとえば豆乳)は全体量のたとえば20質量%以上60質量%以下、好ましくは40質量%以上60質量%以下とし、投入される植物性加工油脂(たとえば、パーム油、大豆油又は菜種油)は全体量のたとえば40質量%以上80質量%以下、好ましくは40質量%以上60質量%以下とするのが望ましい。この乳化工程によって、O/W型の植物ミルクエマルジョンが形成される。このO/W型の乳化状態を安定化させるために、コロイドミル、ホモミキサー又はホモゲナイザーなどの加圧式乳化機で乳化の均質化を図ってもよい。ただし、後のS6のチャーニング工程又はキャビテーション工程で行う乳化の破壊を容易にするため、必要以上に乳化を強化したり、乳化粒子を微細化したりすることは好ましくない。
この植物ミルクエマルジョンを、S4の冷却工程において、15℃以下好ましくは10℃以下に冷却させると、クリーム状の外観を呈するクリーム状物質が得られる。
冷却工程により得られたクリーム状物質は、S5のエージング工程において、そのまま8時間以上好ましくは10時間以上冷却状態を保持することで、クリーム中の油脂が結晶化され、安定な状態となる。
すなわち、O/Wクリームを緩慢に冷却し、エージング工程を取ることによって、O/Wクリーム中の油脂結晶を適度な大きさに調節することができる。冷却とエージングにより適度な大きさにコントロールされたO/Wクリームは、次のチャーニング(キャビテーション工程)において、容易に起泡しチャーニングの効率を向上させる。
なお、マーガリン等を製造する際のように、急冷し、かきとることによって油脂結晶を微細化するのは好ましくない。よって、この冷却工程とエージング工程には、マーガリン等を製造する際に使われる急冷可塑化装置(かきとり式熱交換器、たとえばPERFECTOR KONBINATOR:ウィンクレル社製)は不要である。
次いで、S6のチャーニング工程又はキャビテーション工程において、このクリーム状物質をタンク内で空気を抱き込むように激しく撹拌して、クリーム状物質中に気泡を形成させる。この撹拌を持続させることで、クリームが起泡してできた気泡の周りに脂肪球が吸着してくる。さらに撹拌を持続させると、クリームの気泡状態が崩れて、その表面の脂肪球どうしが凝集し、やがて水相と油相に分離してくる。
このチャーニング工程又はキャビテーション工程は、起泡させながら乳化を破壊することが目的で、分離した水相を除去し、残りの油相固形分としての粘稠性のあるペースト状物質がS7の均一化工程に供される。
なお、クリーム状乳化物に気泡を形成させ、脂肪球を凝集させながら乳化を破壊して、油相と残りの水相を含むペースト物を効率よく収集するには、牛乳由来の一般のバター製造に使われるチャーニング装置によるチャーニング工程より、より起泡と乳化破壊力が強力なキャビテーション装置によるキャビテーション工程の方が好ましい。
ここで、いわゆる牛乳由来の通常のバターの製造においては、牛乳を遠心分離や逆浸透等により3%前後の脂肪分を40%程度まで濃縮してから、さらにチャーニング装置によってO/W型乳化のクリームを、W/O型乳化のバターに反転させている。この間に、大量の水相(ホエー、バターミルク、脱脂乳)が発生して廃棄されるとともに、分離や濃縮に膨大な時間を要する。
一方、本開示における植物ミルク由来バター様食品では、低い脂肪分(3%前後)の牛乳から高脂肪分(80%前後)のバターへ分離・濃縮するための膨大な時間も要さず、また、大量の水相を発生させることもない。しかも、チャーニング(キャビテーション)工程において、強制的に起泡させ、乳化を破壊することで、バターのW/O型エマルジョン構造とは異なる、小さな気泡、凝集した脂肪球、水相中の蛋白質、炭水化物、灰分などがコロイド状に懸濁した状態を作り出すことによって、その結果、通常の温度条件(たとえば、20℃)における可塑性を備え、かつ、バター様の触感・風味が得られる。
そして、S7の均一化工程において、このペースト状物質から余分な水分を絞り出し、ニーダに入れて混練して均一化する。これにより硬度を高めてバター様になった組成物には、小さな気泡、凝集した脂肪球、水相中のタンパク質、炭水化物、灰分などがコロイド状に懸濁した状態となる。この状態は、牛乳由来のバターがW/O型の乳化構造になっているのとは異なる。このコロイド状態を形成することで、バター様の外観、使用感、食感及び食味を呈する植物ミルク由来バター様食品が得られる。また、この均一化工程の後、型入れ等によって所望の形状に成形し、また適宜包装することとしてもよい。ここで、原料としての植物ミルクとして豆乳、ライスミルク、ココナツミルク又はアーモンドミルクを使用することで、それぞれの植物ミルクに由来するバター様食品が得られる。
なお、植物ミルクの割合を上記よりも高くする(たとえば、60質量%以上70質量%以下程度)ことで、ファットスプレッド様の外観及び使用感を呈する植物ミルク由来バター様食品を得ることもできる。この場合、油相分が少なくなるので、乳化の破壊がより困難になるので、キャビテーション装置による強力な乳化の破壊を行うキャビテーション工程を施すことが有効である。
さらに、S6のチャーニング工程又はキャビテーション工程を施した後に、油相固形分に食物繊維成分(たとえば、おから粉、ふすま粉等)を適宜の量(たとえば、油相固形分100質量部に対して5質量部以上10質量部以下)添加してから、上記と同様の均一化工程に供することで、食物繊維成分が強化され、カロリーを低減させた植物ミルク由来バター様食品を得ることができる。ここで、原料の植物ミルクとして豆乳を用いる場合には、食物繊維成分としては同じ大豆由来のおから粉を用いることが望ましい。
ここで、原料として、植物ミルクとしての豆乳を50質量%以上60質量%未満とし、植物性加工油脂として、融点を25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下に調整した大豆加工油脂、パーム油加工油脂又は菜種油加工油脂を40質量%以上50質量%以下として、上記の製造方法に供した場合、脂質の含有量が80質量%以上85質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.4質量%以上2.5質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下であり、灰分の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であり、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下であるとともに、大豆レシチン及びイソフラボンを含有する植物ミルク由来バター様食品、具体的には豆乳由来バター様食品が得られる。このとき、全体に占める大豆レシチン及びイソフラボンの合計の割合が0.25質量%以上0.5質量%以下であることが望ましい。この場合の豆乳由来バター様食品は、バター様の外観、使用感、食感及び食味を呈する。
また、原料として、植物ミルクとしての豆乳を60質量%以上70質量%未満とし、植物性加工油脂として、融点を25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下に調整した大豆加工油脂、パーム油加工油脂又は菜種油加工油脂を30質量%以上40質量%以下として、上記の製造方法に供した場合、脂質の含有量が65質量%以上70質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.4質量%以上2.5質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下であり、灰分の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であり、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下であるとともに、大豆レシチン及びイソフラボンを含有する植物ミルク由来バター様食品、具体的には豆乳由来バター様食品が得られる。このとき、全体に占める大豆レシチン及びイソフラボンの合計の割合が0.25質量%以上0.5質量%以下であることが望ましい。この場合の豆乳由来バター様食品は、ファットスプレッド様の外観、使用感、食感及び食味を呈する。
ここで、大豆レシチンとは大豆由来のリン脂質であり、また、イソフラボンとは大豆胚芽由来の配糖体であり、いずれも大豆由来の微量成分である。これらの大豆由来の微量成分が成分として検出されることで、豆乳由来バター様食品は確かに豆乳を原料としていることが確認される。
以上より、原料として、植物ミルクとしての豆乳を50質量%以上70質量%未満とし、植物性加工油脂として、融点を25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下に調整した大豆加工油脂、パーム油加工油脂又は菜種油加工油脂を30質量%以上50質量%以下として、上記の製造方法に供した場合、脂質の含有量が65質量%以上85質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.4質量%以上2.5質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.1質量%以上3.5質量%以下であり、灰分の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であり、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下であるとともに、大豆レシチン及びイソフラボンを含有する植物ミルク由来バター様食品、具体的には豆乳由来バター様食品が得られる。このとき、全体に占める大豆レシチン及びイソフラボンの合計の割合が0.25質量%以上0.5質量%以下であることが望ましい。この場合の豆乳由来バター様食品は、バター様からファットスプレッド様までの任意の柔らかさとすることができる。
さらに、原料として、植物ミルクとしてのライスミルクを40質量%以上60質量%未満とし、植物性加工油脂として、融点を25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下に調整した大豆加工油脂、パーム油加工油脂又は菜種油加工油脂を40質量%以上60質量%以下として、上記の製造方法に供した場合、脂質の含有量が65質量%以上85質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.5質量%以下であり、炭水化物の含有量が2.5質量%以上4.0質量%以下であり、灰分の含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であり、α−トコフェロールの含有量が0.005質量%以上0.02質量%以下であり、トランス脂肪酸の含有量が0.5質量%以下であり、コレステロールの含有量が0.1質量%以下であるとともに、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下である植物ミルク由来バター様食品、具体的にはライスミルク由来バター様食品が得られる。
ここで、上記したライスミルク由来バター様食品において、トランス脂肪酸及びコレステロールの含有量が上記した上限値以下とされているのは、通常のバターとの差異としての意義があり、その値は0であっても構わない。蛋白質の含有量が上記した上限値以下とされているのもまた通常のバターとの差異として意義があり、その値は0であっても構わない。また、ライスミルクを原料としていることに起因して、炭水化物の含有量が、通常のバターに比べて高値となっており、この点も通常のバターとの差異として意義がある。さらに、α−トコフェロールが通常のバターに比べて高値に含有されており、これは原料となる植物性加工油脂に酸化防止剤として添加されているα−トコフェロール(ビタミンE)に由来するものである。
また、原料として、植物ミルクとしてのココナツミルクを40質量%以上60質量%未満とし、植物性加工油脂として、融点を25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下に調整した大豆加工油脂、パーム油加工油脂又は菜種油加工油脂を40質量%以上60質量%以下として、上記の製造方法に供した場合、脂質の含有量が60質量%以上70質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.1質量%以上2.0質量%以下であり、灰分の含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であり、ラウリン酸の含有量が5質量%以上15質量%以下であり、α−トコフェロールの含有量が0.005質量%以上0.02質量%以下であり、トランス脂肪酸の含有量が0.5質量%以下であり、コレステロールの含有量が0.1質量%以下であるとともに、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下である植物ミルク由来バター様食品、具体的にはココナツミルク由来バター様食品が得られる。
ここで、上記したココナツミルク由来バター様食品において、トランス脂肪酸及びコレステロールの含有量が上記した上限値以下とされているのは、通常のバターとの差異としての意義があり、その値は0であっても構わない。また、ココナツミルクを原料としていることに起因して、通常のバターよりもラウリン酸含有量が上回り、この点も通常のバターとの差異として意義がある。さらに、α−トコフェロールが通常のバターに比べて高値に含有されており、これは原料となる植物性加工油脂に酸化防止剤として添加されているα−トコフェロール(ビタミンE)に由来するものである。
さらに、原料として、植物ミルクとしてのアーモンドミルクを40質量%以上60質量%未満とし、植物性加工油脂として、融点を25℃以上45℃以下、好ましくは30℃以上35℃以下に調整した大豆加工油脂、パーム油加工油脂又は菜種油加工油脂を40質量%以上60質量%以下として、上記の製造方法に供した場合、脂質の含有量が70質量%以上90質量%以下であり、蛋白質の含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、炭水化物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分の含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であり、α−トコフェロールの含有量が0.005質量%以上0.02質量%以下であり、トランス脂肪酸の含有量が0.5質量%以下であり、コレステロールの含有量が0.1質量%以下であるとともに、前記脂質の融点は25℃以上45℃以下である植物ミルク由来バター様食品、具体的にはアーモンドミルク由来バター様食品が得られる。
ここで、上記したアーモンドミルク由来バター様食品において、トランス脂肪酸及びコレステロールの含有量が上記した上限値以下とされているのは、通常のバターとの差異としての意義があり、その値は0であっても構わない。また、植物ミルクとしては炭水化物の含有量が低いアーモンドミルクを原料としていることに起因して、炭水化物の含有量が上記した値を上限値とする範囲となっており、その値は0であっても構わない。さらに、α−トコフェロールが通常のバターに比べて高値に含有されており、これは原料となる植物性加工油脂に酸化防止剤として添加されているα−トコフェロール(ビタミンE)に由来するものである。
(1)実施例1:豆乳由来バター様食品
原料として、成分無調整豆乳5kg(50質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂5kg(50質量%)とを用いた。
原料として、成分無調整豆乳5kg(50質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂5kg(50質量%)とを用いた。
まず、成分無調整豆乳を品温60℃に加熱した(植物ミルク加熱工程S1)。一方、パーム油加工油脂を60℃で加熱溶解した(油脂加熱工程S2)。そして、加熱した成分無調整豆乳に、加熱溶解したパーム油加工油脂を撹拌しながら添加し、O/W型エマルジョンに予備乳化した(乳化工程S3)。
次いで、この予備乳化物をコロイドミルに通して均質化した後、緩く撹拌しながら品温が15℃になるまで冷却し(冷却工程S4)、そのまま冷所に15時間置いてエージングを施した(エージング工程S5)。
次にこのエージング後の乳化物を、ホイッパーを装着した製菓・製パン用の縦型ミキサー(30クォート、愛工舎)に移して最高速で撹拌し、キャビテーションを生じさせて乳化を破壊し、水相と油相固形分とを分離させた(キャビテーション工程、S6)。
そして、水相を濾過布にて分離除去した油相固形分を再度、今度はビーターを装着した上記縦型ミキサーにて、均一に練り上げ(均一化工程、S7)、適宜の容器に移して豆乳由来バター様食品が得られた。この得られた豆乳由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
上記にて得られた豆乳由来バター様食品を成分分析に供した。その結果は、下記表1の通りであった。
なお、大豆レシチンはリン脂質であるため、脂質に包含される。また、イソフラボンは配糖体として存在しているため、炭水化物に含有される。よって、上記表1では、大豆レシチン及びイソフラボンはそれぞれ脂質及び炭水化物の下に括弧付きで表示している。
上記表1に示すとおり、大豆レシチン0.262質量%及びイソフラボン0.008質量%を合計した0.270質量%が、大豆由来の微量成分の割合であった。このような大豆由来の微量成分が検出されることで、得られたバター様食品が豆乳由来であることが確認された。
(2)実施例2:豆乳由来バター様食品
実施例2では、キャビテーション工程(S6)までは上記実施例1と同様に実施した。そして、水槽を濾過布にて分離除去した油相固形分100質量部に対し、5質量部のおから粉(LGIパウダー 500メッシュ、OKM)を添加した上で、ビーターを装着した上記縦型ミキサーにて、均一に練り上げ(均一化工程、S7)、適宜の容器に移して豆乳由来バター様食品が得られた。この得られた豆乳由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
実施例2では、キャビテーション工程(S6)までは上記実施例1と同様に実施した。そして、水槽を濾過布にて分離除去した油相固形分100質量部に対し、5質量部のおから粉(LGIパウダー 500メッシュ、OKM)を添加した上で、ビーターを装着した上記縦型ミキサーにて、均一に練り上げ(均一化工程、S7)、適宜の容器に移して豆乳由来バター様食品が得られた。この得られた豆乳由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
上記にて得られた豆乳由来バター様食品を成分分析に供した。その結果は、下記表2の通りであった。
なお、大豆レシチン及びイソフラボンの数値が括弧付きになっていることについては、上記実施例1と同様である。
上記表2に示すとおり、大豆レシチン0.311質量%及びイソフラボン0.011質量%を合計した0.322質量%が、大豆由来の微量成分の割合であった。このような大豆由来の微量成分が検出されることで、得られたバター様食品が豆乳由来であることが確認された。
(3)実施例3:豆乳由来バター様食品
なお、以下のようにしても豆乳由来バター様食品を得ることができる。
原料として、成分無調整豆乳2kg(20質量%)と、下記組成の混合油脂8kg(80質量%)とを用いる。
エステル交換による菜種油加工油脂(融点36℃):80質量%
大豆白絞油:20質量%
なお、以下のようにしても豆乳由来バター様食品を得ることができる。
原料として、成分無調整豆乳2kg(20質量%)と、下記組成の混合油脂8kg(80質量%)とを用いる。
エステル交換による菜種油加工油脂(融点36℃):80質量%
大豆白絞油:20質量%
上記混合油脂の計算融点は33.8℃である。なお、この計算融点は、大豆白絞油の融点を25℃と仮定し、下記計算式のように、それぞれの融点を配合比で按分して算出されたものである。
36(℃)×0.8+25(℃)×0.2=33.8(℃)
まず、成分無調整豆乳を品温60℃に加熱する(植物ミルク加熱工程S1)。一方、混合油脂を60℃で加熱溶解した(油脂加熱工程S2)。そして、加熱した成分無調整豆乳と、加熱溶解した混合油脂とをTKホモミキサー(特殊機化工業)でO/W型エマルジョンに乳化する(乳化工程S3)。
次いで、この乳化物を10℃以上15℃以下の冷所で18時間保管して冷却及びエージングを施す(冷却工程S4、エージング工程S5)。
次にこのエージング後の乳化物を、上記TKホモミキサーの転流板を界面付近まで上げた状態で高速撹拌させ、キャビテーションを生じさせて乳化を破壊し、水相と油相固形分とを分離させる(キャビテーション工程、S6)。
そして、水相を濾過布にて分離除去した油相固形分をパン生地捏ね器(日本ニーダー)にて均一に練り上げ(均一化工程、S7)、適宜の容器に移して豆乳由来バター様食品が得られる。この得られた豆乳由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となる。
なお、油相固形分を均一化工程に供する前に、上記実施例2と同様に、油相固形分100質量部に対して5質量部以上10質量部以下のおから粉を添加してもよい。
(4)実施例4:ライスミルク由来バター様食品
原料として、ライスミルク(キッコーマン)4kg(40質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂6kg(60質量%)を用いた。
原料として、ライスミルク(キッコーマン)4kg(40質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂6kg(60質量%)を用いた。
まず、ライスミルクを品温55℃に加熱した(植物ミルク加熱工程S1)。一方、パーム油加工油脂を60℃で加熱溶解した(油脂加熱工程S2)。そして、加熱したライスミルクに、加熱したパーム油加工油脂をTKホモミキサーで撹拌しながら添加し、O/W型エマルジョンに予備乳化した(乳化工程S3)。
次いで、この予備乳化物をコロイドミルに通して均質化した後、緩く撹拌しながら品温が10℃になるまで冷却し(冷却工程S4)、そのまま冷所に15時間置いてエージングを施した(エージング工程S5)。
次にこのエージング後の乳化物を、製菓・製パン用の縦型ミキサー(30クォート、愛工舎)に移しホイッパーで最高速のスピードで7〜8分間撹拌、気泡させ続け、乳化を破壊し、水相と油相固形分に分離させた(キャビテーション工程、S6)。
そして、水相を濾過布にて分離除去した油相固形分を再度、今度はビーターを装着した上記縦型ミキサーにて、均一に練り上げ(均一化工程、S7)、適宜の容器に移してライスミルク由来バター様食品が得られた。この得られたライスミルク由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
上記にて得られたライスミルク由来バター様食品を成分分析に供した。その結果は、下記表3の通りであった。なお、下記表3中で「―」で示した項目は含有量が検出限界未満であったことを示す。また、有効数字の関係上、下記数値の合計は100%にはなっていない。ただし、トランス脂肪酸は脂質に含有される成分である。
上記表3に示すように、トランス脂肪酸は0.35質量%と、通常のバターにおけるトランス脂肪酸は、「食品安全委員会 「食品に含まれるトランス脂肪酸の評価基礎資料調査報告書」(2007)」によれば平均値で1.951g/100g(=1.951質量%)であるのと比べ、大幅に低くなっている。また、通常のバターにおけるコレステロールは、日本食品標準成分表2015年版(七訂)(以下、「食品成分表」とする。)によれば210mg/100g(=0.21質量%)であるところ、上記表3では検出限界未満であった。さらに、通常のバターにおけるα−トコフェロールは食品成分表によれば1.5mg/100g(=0.0015質量%)であるところ、上記表3ではその約10倍の値であった。また、通常のバターにおける蛋白質は食品成分表によれば0.6g/100g(=0.6質量%)であるところ、上記表3では検出限界未満であった。以上より、ライスミルク由来バター様食品は、分析値によって通常のバターとは十分に区別可能である。一方、通常のバターにおける炭水化物は食品成分表によれば0.2g/100g(=0.2質量%)であるところ、上記表3ではこの10倍以上の3.2質量%であり、この点がライスミルクを原料としていることに起因する、ライスミルク由来バター様食品の特徴の1つであると考えられる。
(5)実施例5:ココナツミルク由来バター様食品
原料として、ココナツミルク4kg(40質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂6kg(60質量%)を用いた以外は上記実施例3に準じた製法によって、ココナツミルク由来バター様食品を得た。この得られたココナツミルク由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
原料として、ココナツミルク4kg(40質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂6kg(60質量%)を用いた以外は上記実施例3に準じた製法によって、ココナツミルク由来バター様食品を得た。この得られたココナツミルク由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
上記にて得られたココナツミルク由来バター様食品を成分分析に供した。その結果は、下記表4の通りであった。なお、下記表4中で「―」で示した項目は含有量が検出限界未満であったことを示す。また、有効数字の関係上、下記数値の合計は100%にはなっていない。ただし、トランス脂肪酸及びラウリン酸は脂質に含有される成分である。
上記表4に示すように、トランス脂肪酸は0.24質量%と、前記したバターにおける平均値より大幅に低くなっている。さらには、コレステロールが検出限界未満と前記したバターでの値より大幅に低い一方、α−トコフェロールが0.0057質量%と大幅に高いことから、ココナツミルク由来バター様食品は分析値によって通常のバターとは十分に区別可能である。一方、ラウリン酸は9.5質量%であり、アメリカ合衆国農務省(USDA)「National Nutrient Database」による有塩バターのラウリン酸(12:0脂肪酸)の含有量である2.587g/100g(=2.587質量%)の約4倍と大幅に上回り、この点はココナツミルク由来バター様食品の特徴と思われた。
(6)実施例6:アーモンドミルク由来バター様食品
原料として、アーモンドミルク4kg(40質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂6kg(60質量%)を用いた以外は上記実施例3に準じた製法によって、アーモンドミルク由来バター様食品を得た。この得られたアーモンドミルク由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
原料として、アーモンドミルク4kg(40質量%)と、融点33℃のパーム油加工油脂6kg(60質量%)を用いた以外は上記実施例3に準じた製法によって、アーモンドミルク由来バター様食品を得た。この得られたアーモンドミルク由来バター様食品は、W/O型エマルジョンではなく、油相中に気泡粒、水相、蛋白質、炭水化物等が分散する、コロイド状の組成物となっていた。
上記にて得られたアーモンドミルク由来バター様食品を成分分析に供した。その結果は、下記表5の通りであった。なお、下記表5中で「―」で示した項目は含有量が検出限界未満であったことを示す。また、有効数字の関係上、下記数値の合計は100%にはなっていない。ただし、トランス脂肪酸は脂質に含有される成分である。
上記表5に示すように、トランス脂肪酸は0.38質量%と、前記したバターにおける標準的な値より大幅に低くなっている。さらには、コレステロールが検出限界未満と前記したバターでの値より大幅に低い一方、α−トコフェロールが0.0105質量%と大幅に高いことから、ココナツミルク由来バター様食品は分析値によって通常のバターとは十分に区別可能である。また、炭水化物が検出限界未満と、食品成分表によるバターの炭水化物含有量である0.2gを大幅に下回り、この点は炭水化物含有量が少ないココナツミルクを原料とするココナツミルク由来バター様食品の特徴の1つと思われた。
(7)可塑性評価
上記した、実施例1の豆乳由来バター様食品、実施例4のライスミルク由来バター様食品、実施例5のココナツミルク由来バター様食品及び実施例6のアーモンドミルク由来バター様食品の可塑性を以下のようにして評価した。なお、比較例として通常のバターを使用した。
上記した、実施例1の豆乳由来バター様食品、実施例4のライスミルク由来バター様食品、実施例5のココナツミルク由来バター様食品及び実施例6のアーモンドミルク由来バター様食品の可塑性を以下のようにして評価した。なお、比較例として通常のバターを使用した。
具体的には、それぞれの実施例及び比較例のサンプルを約3cm角に切り出し、これを5℃、10℃、15℃及び20℃で12時間保管した。
各サンプルについて、レオメーター(RTC2005D−D、レオテック)にて、変形に要する応力を測定した。具体的には、先端に直径5mmの円盤が設けられたプランジャーをサンプルに接触させた状態から、進入速度2cm/分にて、15mm進入させたとこに最大応力(N/cm2)をレオメーターにて測定した。その結果を下記表6に示す。
上記表6より、いずれのサンプルについても、温度の上昇に伴う最大応力の低下が認められた。特に、実施例4のココナツミルク由来バター様食品及び実施例5のアーモンドミルク由来バター様食品では、いずれの温度においても実施例1及び実施例3並びに比較例に比べ最大応力が低く、応力に対する変形が容易であることが認められた。
ただし、いずれの実施例及び比較例についても、5℃、10℃及び15℃では測定中にサンプルが割れてしまったため、これらの温度では可塑性は有していないと考えられる。一方、20℃では、いずれの実施例及び比較例についても、プランジャーによる変形が維持され、可塑性を有していることが認められた。特に、実施例1の豆乳由来バター様食品及び実施例3のライスミルク由来バター様食品では、可塑性に関しては比較例としてのバターとほぼ同様の挙動を示すことが認められた。
本発明は、植物ミルク由来バター様食品の製造、特に豆乳由来バター様食品の製造に利用可能である。
S1 植物ミルク加熱工程
S2 油脂加熱工程
S3 乳化工程
S4 冷却工程
S5 エージング工程
S6 チャーニング工程(キャビテーション工程)
S7 均一化工程
S2 油脂加熱工程
S3 乳化工程
S4 冷却工程
S5 エージング工程
S6 チャーニング工程(キャビテーション工程)
S7 均一化工程
Claims (1)
- 植物ミルクに植物性加工油脂を添加して乳化して得た植物ミルクエマルジョンを冷却して得られたクリーム状物質にチャーニング又はキャビテーションを施し、水相を除去して得られた油相固形分を混練して均一化させることを特徴とする、植物ミルク由来バター様食品の製造方法。
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