JP2016192958A - 食用スプレッド - Google Patents
食用スプレッド Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016192958A JP2016192958A JP2016065303A JP2016065303A JP2016192958A JP 2016192958 A JP2016192958 A JP 2016192958A JP 2016065303 A JP2016065303 A JP 2016065303A JP 2016065303 A JP2016065303 A JP 2016065303A JP 2016192958 A JP2016192958 A JP 2016192958A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- spread
- oil
- fractionated
- weight
- points
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
Abstract
【課題】硬化油、PGPR及び動物由来であるホエイを原材料として使用しなくても、スプレッドとして安定した乳化状態を維持でき、適切な硬度と食感を有するスプレッドを製造する。
【解決手段】水相成分として分別豆乳を用い、混合油脂の高融点成分として高融点分別パーム油を用い、乳化剤として分別レシチンのエタノール不溶部を用いるスプレッドである。
【選択図】図2
【解決手段】水相成分として分別豆乳を用い、混合油脂の高融点成分として高融点分別パーム油を用い、乳化剤として分別レシチンのエタノール不溶部を用いるスプレッドである。
【選択図】図2
Description
本発明は、トランス脂肪酸及び化学合成乳化剤等の含有量が少ないスプレッドに関する。
先進国においてはパン等に塗るスプレッド(例えば、マーガリン類)の消費が停滞している。その背景には消費者の健康志向の高まりがある。マーガリン類は、バターと同様に油の連続相の中に水性の粒子が分散したW/Oタイプの乳化食品であると知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、マーガリンはバターと異なり、乳化剤等の種類を検討することで油相成分と水相成分の比率をコントロールする事ができるため、例えば、スプレッド中の脂肪含有量を大幅に減らすことが可能である。
従って、本来であれば、マーガリン等のスプレッドは、カロリーの過剰摂取を防止出来るヘルシーな食品という評価を得られるはずであるが、以下に示すような問題があり、そのような評価が得られてはいない。
問題の一つは、マーガリン等のスプレッドは、トランス脂肪酸を多く含むことである。この原因は、スプレッドの製造工程において、トランス脂肪酸を含む部分水素添加の硬化油や反芻動物由来の原材料が使用されることに起因する。トランス脂肪酸は、悪玉コレステロール、中性脂肪又はインスリン抵抗性等を増加させるため、高血圧、糖尿病、又は心臓病等を助長する害作用が問題となる。そのため、部分水素添加の硬化油等を使用しない高品質なスプレッドを製造する方法として、パーム油を温度分画して得られた高融点分別パーム油とワックス成分とを併用する製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
スプレッド製造の際に用いられる乳化剤として、PGPR(ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル)は日本ではW/Oエマルジョンの安定化に優れているため、各種の加工食品に多用されている。強力な乳化剤であるPGPRを使用することにより、高融点硬化油を使わなくても、天然の低融点油脂で適切な可塑性を有するマーガリン類等のスプレッドを製造する方法もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、PGPRは、国連等のプロジェクトにより、動物及び人間での試験が実施され、例えば、ADI(1日の許容摂取量)が体重1kgあたり7.5mgに設定されている。
また、マーガリン等のスプレッドを製造する際の別の問題として、水相成分にホエイ等の乳(牛乳)由来の成分を含むため、消費者の牛乳アレルギーの発生を完全に抑えることが出来ないという問題もある。
藤田 哲著「食用油脂―その利用と油脂食品―」幸書房 2000年
上記問題を鑑みて、硬化油、PGPRおよび動物由来であるホエイを原材料として使用しなくても、スプレッドとして安定したW/O乳化状態を達成でき、適切な硬度と食感を有し、かつ、トランス脂肪酸の含有量が低いスプレッドを製造するという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、水相成分として分別豆乳を用い、混合油脂の高融点成分として高融点分別パーム油を用い、乳化剤として分別レシチンのエタノール不溶部を用いるスプレッドである。
前記分別豆乳の固形物含有量が0.52重量%〜2.08重量%であり、前記高融点分別パーム油の含有量が18.88重量%〜23.67重量%であり、前記分別レシチンの含有量が1.20重量%〜1.70重量%であると好ましい。
本発明に係るスプレッドは、水相成分として分別豆乳を用い、混合油脂の高融点成分として高融点分別パーム油を用い、乳化剤として分別レシチンのエタノール不溶部を用いている。すなわち、水相成分として、ホエイ等の乳由来成分の材料に代わり分別豆乳を使用しており、乳化剤として、摂取上限(ADI)が設定されているPGPR等を使用せず、代わりに分別レシチンを使用し、油脂原材料として、硬化油に代わり高融点分別パームを使用している。よって、大豆を主体とする純植物性の原料だけで製造していることから、牛乳タンパク等の牛に由来する消費者のアレルギーの発生頻度を抑えることが出来る。また、分別した豆乳由来成分を使用することで、マーガリン類に大豆の風味と栄養価を付加することができる。そして、本発明に係るスプレッドを含むマーガリン等はトランス脂肪酸をほとんど含まないため、このスプレッドの消費者に対してトランス脂肪酸を原因とする害をもたらさない。
(実施例1)
分別豆乳とは、豆乳にグルコン酸、カルシウムあるいはマグネシウム塩を加えて主要蛋白質を凝固させ沈殿せしめ、さらに濾過したときの濾液のことであり、豆腐を絞った時の離水も含める。すなわち、分別豆乳は、豆乳成分から主要タンパク質を取り除くことで製造できる。例えば、本実施例においては、塩化マグネシウムを凝固剤として利用して絹豆腐を作り、それを細かく砕いて布の袋に入れ、圧搾して搾り出した汁を集めたものを遠心分離する。このようにしてできた液体を分別豆乳としている。すなわち、実施例1においては、この100%濃度の分別豆乳を用いている。分別豆乳は、通常の豆乳の主要蛋白質を沈殿させることにより、マーガリン類の乳化タイプとなるW/O乳化を安定せしめる。
分別豆乳とは、豆乳にグルコン酸、カルシウムあるいはマグネシウム塩を加えて主要蛋白質を凝固させ沈殿せしめ、さらに濾過したときの濾液のことであり、豆腐を絞った時の離水も含める。すなわち、分別豆乳は、豆乳成分から主要タンパク質を取り除くことで製造できる。例えば、本実施例においては、塩化マグネシウムを凝固剤として利用して絹豆腐を作り、それを細かく砕いて布の袋に入れ、圧搾して搾り出した汁を集めたものを遠心分離する。このようにしてできた液体を分別豆乳としている。すなわち、実施例1においては、この100%濃度の分別豆乳を用いている。分別豆乳は、通常の豆乳の主要蛋白質を沈殿させることにより、マーガリン類の乳化タイプとなるW/O乳化を安定せしめる。
また、分別レシチンとは、レシチン中の特定のリン脂質濃度を変化させたものであり、本発明に係るスプレッドを製造する際に用いるのは、エタノール不溶部でありホスファチジルコリン(PC)の含量が低いレシチンであり、エタノールアミン脂質(ホスファチジルエタノールアミン)とイノシトール脂質(ホスファチジルイノシトール)の含量が高い性質を備える。そして、分別レシチンは、スプレッドを製造する際に用いることで、PGPRを使用しなくてもW/O乳化を安定化できる作用がある。分別レシチンとしては、例えば、辻製油社製のSLPペーストFを使用できる。
高融点分別パーム油とは、一般的にはパームステアリンとして知られており、パーム油を分別し、高融点部分のみを選別したものである。本発明に係るスプレッドを製造する際に用いるのは、ハードパーム油−F(不二製油社製)を使用している。図1において、ハードパーム油−F等の各種の油脂の成分を比較して示している。
以下に、本発明に係るスプレッドの製造工程を示す。
(1)油相調製工程
500mlのプラスチック製ビーカーに、液状油として綿実油(綿実サラダ油、レッドラベル;岡村製油社製)を205g秤量して入れる。
500mlのプラスチック製ビーカーに、液状油として綿実油(綿実サラダ油、レッドラベル;岡村製油社製)を205g秤量して入れる。
更に高融点分別パーム油としてハードパーム油(ハードパーム油−F;不二製油社製)を95gを秤量し、また、ヤシ油(精製ヤシ油;不二製油社製)を33.5g秤量して、この二つの油を綿実油205gが入った500mlビーカーに加える。
次いで、抗酸化剤として、ビタミンE(イーミックス−70L;エーザイフード・ケミカル社製)を、耳かきスパチューラで0.125gを掬い取り、0.125gのビタミンEを上記500mlビーカー内の混合物に加える。
抗酸化剤を加えた後、モノグリセリドとして、エマルジーHRO(理研ビタミン社製)を加える。エマルジーHROは蝋状となっているので、ステンレススパーテルによりエマルジーHROを掻きとり、スパーテルについたエマルジーHROを0.5g分秤量した後、0.5gのエマルジーHROを上記ビーカー内の混合物に加える。
エマルジーHROを加えた後、乳化剤として、SLP−ペースト−F(辻製油社製)を7.2gを秤量して加える。その際、SLP−ペースト−Fは粘性を備える液体なので、最初に適量をガラスビーカーにとって全体重量を秤量しておき、加える前後の重量の減少から加えた量を算出する。
乳化剤としてSLP−ペースト−Fを加えた後、バターオイル(MS−10218;ティアンドエム社製)を1g加える。ここでは、最初にバターオイルの適量をガラスビーカーにとって全体重量を秤っておき、加える前後の重量の減少から加えた量を算出する。バターオイルを加えた後の油相混合物の重量は、製造するスプレッド全重量の68%となる。
この油相混合物を電子レンジによって60〜70度に加熱して完全に混合・溶解させた後、60〜65度まで冷却する。予め1Lの空のガラスビーカーを60〜65度の湯浴で保温しておき、その中に冷却した油相混合物の全量を移し替えて、そのまま継続して保温する。ガラスビーカーの湯浴は、縦30cm×横30cm×高さ30cm程度の直方体状の容器により、一定温度で保温する。
(2)水相調製工程
水相の主原料となる分別豆乳を150g秤量して、500mlのプラスチックビーカーに入れる。また、食塩8g、キサンタンガム(大宮糧食工業社製)0.3g、及びタピオカ澱粉(酢酸デンプン;J−オイルミルズ社製)2.6gを計量カップによって計りとり、粉末状態のまま混合する。
水相の主原料となる分別豆乳を150g秤量して、500mlのプラスチックビーカーに入れる。また、食塩8g、キサンタンガム(大宮糧食工業社製)0.3g、及びタピオカ澱粉(酢酸デンプン;J−オイルミルズ社製)2.6gを計量カップによって計りとり、粉末状態のまま混合する。
500mlのプラスチックビーカー内の分別豆乳に対して、計量カップ内の粉末混合物を少量づつ加えていき、攪拌混合後、電子レンジで沸騰寸前まで加熱溶解し、その後、この水相混合物を60〜65度まで冷却する。
(3)乳化工程
水相混合物を60〜65度まで冷却した後、直ぐに、水相混合物を油相混合物に少しずつ注ぎ加えていく。その際には、スパーテルで油相混合物を攪拌しながら行う。さらに、ハンディブレンダーを入れ、20秒間程度攪拌し、乳化粒子の微細化を促す。この間も常に60〜65度に保温しながら行う。
水相混合物を60〜65度まで冷却した後、直ぐに、水相混合物を油相混合物に少しずつ注ぎ加えていく。その際には、スパーテルで油相混合物を攪拌しながら行う。さらに、ハンディブレンダーを入れ、20秒間程度攪拌し、乳化粒子の微細化を促す。この間も常に60〜65度に保温しながら行う。
(4)捏和工程
予め、空の5Lの熱伝導率の良い丸形のステンレス製のビーカー(サイズは直径18cm×深さ20cm程度)を氷水の中に入れて十分に冷やしておく。また、ステンレスビーカーの内壁底に抵抗式温度計のセンサーを固定して、常時温度をモニター出来るようにしておく。さらに、全長30cm程度の大型スパーテル(またはシリコンヘラ)を入れておき、直ぐに攪拌を開始できるようにしておく。
予め、空の5Lの熱伝導率の良い丸形のステンレス製のビーカー(サイズは直径18cm×深さ20cm程度)を氷水の中に入れて十分に冷やしておく。また、ステンレスビーカーの内壁底に抵抗式温度計のセンサーを固定して、常時温度をモニター出来るようにしておく。さらに、全長30cm程度の大型スパーテル(またはシリコンヘラ)を入れておき、直ぐに攪拌を開始できるようにしておく。
予め、サイズが縦30cm×横30cm×高さ30cm程度の直方体状の容器を湯浴として準備しておき、33度に保温しておく。
ステンレスビーカーを氷水で冷やしながら、作製した乳化物を全量入れ、直ぐにスパーテルで撹拌して冷却を開始する。その際、ステンレスビーカーの底と壁面には、冷却開始直後から油脂が固化して付着し、熱伝導(スプレッドの冷却)を妨げるので、常にそれらを内面から剥ぎ取る様にして攪拌し続ける。
製造した乳化物の温度が5〜6度まで下がったら湯浴に移し、引き続き撹拌しながら乳化物の温度が26度程度になるまで加温する。
(5)熟成工程
捏和工程を実施した後の乳化物を、2個の200m1パックに入れて蓋をして、インキュベーター内で28.5度〜30.5度で24時間熟成する。熟成終了後、−30度の冷凍庫に入れて冷凍保存する。次に、冷蔵庫に移し3日間以上5〜10度で保管して解凍及び安定化する。
捏和工程を実施した後の乳化物を、2個の200m1パックに入れて蓋をして、インキュベーター内で28.5度〜30.5度で24時間熟成する。熟成終了後、−30度の冷凍庫に入れて冷凍保存する。次に、冷蔵庫に移し3日間以上5〜10度で保管して解凍及び安定化する。
実施例1においては、100%の濃度の分別豆乳をスプレッド全体重量の29.81重両%(すなわち、固形物含量(乾燥重量)としてはスプレッド全体重量の1.04重量%)、分別レシチン(SLPペーストF)をスプレッド全体重量の1.43重量%および高融点分別パーム油(ハードパーム油−F)をスプレッド全体重量の18.88重量%使用した。その結果製造できたスプレッドについての評価を、図2〜8に示す。図2〜8に示すように、スプレッドの評価は下記の6つ(硬さ、液の分離の有無、舌触り、口溶け、塩気の強さ(全ての実施例で塩分最終濃度1.6%)、風味)の評価項目を3段階(1点、2点、3点)に得点評価し、それらの合計点を総合評価とした。図2〜8において、硬さの評価は、レオテック社製のレオメータ“RHEOTECH”を使用し、φ1cmのアダプターを6cm/分の速度で、製造したスプレッドに押し入れ、応力が上昇し終えた時点の値を目安とした。硬度の範囲が500〜600(脂質70%前後の市販のマーガリンの値)の範囲であれば3点、それ以外は2点、液状油が著しく分離して測定不能の場合は1点とした。液の分離評価については、検体表面の液の分離を目視により2段階評価(3点:分離なし、1点:分離あり少し、多い)とした。舌触りについては、3段階評価とした(3点:良い、2点:普通、1点:悪い)。口溶けの評価については、3段階評価とした(3点:良い、2点:普通、1点:悪い)。塩気の評価については、3段階評価とした(3点:普通、2点:弱い、1点:強い)。風味の評価については、3段階評価とした(3点:良い、2点:普通、1点:悪い)。
製造できたスプレッドであるマーガリンは、硬度520で硬さの評価は3点と丁度良く、市販のマーガリン類では脂肪分64%のコーンソフト(明治製菓社製)と同等の値であった。また、液の分離は無く、舌触りと口溶けは良好であった。味については、塩の使用量が1.6重量%の割には塩気が少なく、良好なW/O乳化状態になっていた。更に、機械的な嫌味な風味は無く、総合評価は満点の18点であった。また、トランス脂肪酸値は0.10g/100gで、この値はトランス脂肪酸を「含まない」旨の表示が可能な国際的な基準に合致するものである。トランス脂肪酸の含有量については、一般財団法人食品分析開発センター(SUNATEC)に分析を依頼したものであり、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸及びコレステロール値の分析法は何れもガスクロマトグラフ法によるが、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸値はAOAC−996.06及びAOCS−Ce1h−05に準じた定量法に基づき算出したものである。本実施例においては、油相成分の加熱時の最高温度は60〜65度であり、継続時間は10〜15分程度である。したがって、油相成分の加熱で新たにトランス脂肪酸が生成することは無い。また、一般的なマーガリン製造に原材料として使用される乳化剤PGPRを使用した後述する比較例3−1、3−2、あるいは硬化油を使用した比較例2−1、2−2、2−3と比較して、マーガリンとしての食感の評価は全く見劣りしない。
(比較例2−1)
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように硬化油を全体量の約18.88重量%分使用した場合の例である。すなわち、実施例1と比較して、高融点油脂として、トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加の硬化油(植田製油社製:大豆硬化油42(トランス脂肪酸値は43.2g/100g))をスプレッド全体重量の18.88重量%使用した。部分水素添加の硬化油はトランス脂肪酸を多く含み、マーガリン製造に多用されているものである。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、硬度が不十分で食感評価も低く、図2に示すように総合評価は6点であった。また、トランス脂肪酸の含有量は8.16g/100g程度となり、実施例1におけるスプレッドのトランス脂肪酸の含有量0.1g/100gよりも、遥かに高い値となった。
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように硬化油を全体量の約18.88重量%分使用した場合の例である。すなわち、実施例1と比較して、高融点油脂として、トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加の硬化油(植田製油社製:大豆硬化油42(トランス脂肪酸値は43.2g/100g))をスプレッド全体重量の18.88重量%使用した。部分水素添加の硬化油はトランス脂肪酸を多く含み、マーガリン製造に多用されているものである。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、硬度が不十分で食感評価も低く、図2に示すように総合評価は6点であった。また、トランス脂肪酸の含有量は8.16g/100g程度となり、実施例1におけるスプレッドのトランス脂肪酸の含有量0.1g/100gよりも、遥かに高い値となった。
(比較例2−2)
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように硬化油を全体量の約25.83重量%分使用した場合の例である。すなわち、実施例1と比較して、高融点油脂として、部分水素添加の硬化油(植田製油社製:大豆硬化油42(トランス脂肪酸値は43.2g/100g))を全体量の25.83重量%使用した。高融点油の総量が実施例1よりも増加した分については、液状油とヤシ油をそれぞれ比例配分した量だけそれぞれ減じ、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、図2に示すように、硬度、食感評価ともに良好で総合評価は満点18点であったが、また、トランス脂肪酸の含有量は11.16g/100g程度となり、実施例1におけるスプレッドのトランス脂肪酸の含有量0.1g/100gよりも、遥かに高い値となった。
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように硬化油を全体量の約25.83重量%分使用した場合の例である。すなわち、実施例1と比較して、高融点油脂として、部分水素添加の硬化油(植田製油社製:大豆硬化油42(トランス脂肪酸値は43.2g/100g))を全体量の25.83重量%使用した。高融点油の総量が実施例1よりも増加した分については、液状油とヤシ油をそれぞれ比例配分した量だけそれぞれ減じ、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、図2に示すように、硬度、食感評価ともに良好で総合評価は満点18点であったが、また、トランス脂肪酸の含有量は11.16g/100g程度となり、実施例1におけるスプレッドのトランス脂肪酸の含有量0.1g/100gよりも、遥かに高い値となった。
(比較例2−3)
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように硬化油を全体量の29.81重量%分使用した場合の例である。すなわち、実施例1と比較して、高融点油脂として、部分水素添加の硬化油(植田製油社製:大豆硬化油42(トランス脂肪酸値は43.2g/100g))をスプレッド全体重量の29.81重量%使用した。高融点油の総量が実施例1よりも増加した分については、液状油とヤシ油をそれぞれ比例配分した量だけそれぞれ減じ、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、図2に示すように硬度が728と高過ぎ、食感評価の内で口どけが劣り、総合評価16点であった。また、トランス脂肪酸の含有量は12.88g/100g程度となり、実施例1におけるスプレッドのトランス脂肪酸の含有量0.1g/100gよりも、遥かに高い値となった。
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように硬化油を全体量の29.81重量%分使用した場合の例である。すなわち、実施例1と比較して、高融点油脂として、部分水素添加の硬化油(植田製油社製:大豆硬化油42(トランス脂肪酸値は43.2g/100g))をスプレッド全体重量の29.81重量%使用した。高融点油の総量が実施例1よりも増加した分については、液状油とヤシ油をそれぞれ比例配分した量だけそれぞれ減じ、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、図2に示すように硬度が728と高過ぎ、食感評価の内で口どけが劣り、総合評価16点であった。また、トランス脂肪酸の含有量は12.88g/100g程度となり、実施例1におけるスプレッドのトランス脂肪酸の含有量0.1g/100gよりも、遥かに高い値となった。
(比較例3−1)
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤として、SLP−ペースト−Fではなく、図11に示すように、PGPR(SYグリスターCR−ED;阪本薬品工業社)をスプレッド全体重量の0.286重量%分使用した場合の例である。SYグリスターCR−EDは粘性を備える液体なので、最初に適量をガラスビーカーにとって全体重量を秤量しておき、加える前後の重量の減少から加えた量を算出する。乳化剤の総量が実施例1よりも減った分については、液状油である綿実油をその分増量し、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、硬度は482で実施例1のスプレッドより若干柔らかい程度(硬さ評価2)であったが、食感評価の内で舌触り、口どけ、塩気が劣り、図2に示すように総合評価14点であった。
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤として、SLP−ペースト−Fではなく、図11に示すように、PGPR(SYグリスターCR−ED;阪本薬品工業社)をスプレッド全体重量の0.286重量%分使用した場合の例である。SYグリスターCR−EDは粘性を備える液体なので、最初に適量をガラスビーカーにとって全体重量を秤量しておき、加える前後の重量の減少から加えた量を算出する。乳化剤の総量が実施例1よりも減った分については、液状油である綿実油をその分増量し、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、硬度は482で実施例1のスプレッドより若干柔らかい程度(硬さ評価2)であったが、食感評価の内で舌触り、口どけ、塩気が劣り、図2に示すように総合評価14点であった。
(比較例3−2)
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤として、SLP−ペースト−Fではなく、図11に示すように、PGPR(SYグリスターCR−ED;阪本薬品工業社)をスプレッド全体重量の0.572重量%分使用した場合の例である。乳化剤の総量が実施例1よりも減った分については、液状油の綿実油をその分増量し、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、摂取上限(ADI)が設定されているPGPRを使用しているという点を除けば、硬度は534で実施例1とほぼ同じ(硬さ評価3)で、食感評価も全て万点で、図2に示すように総合評価18点であった。
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤として、SLP−ペースト−Fではなく、図11に示すように、PGPR(SYグリスターCR−ED;阪本薬品工業社)をスプレッド全体重量の0.572重量%分使用した場合の例である。乳化剤の総量が実施例1よりも減った分については、液状油の綿実油をその分増量し、油脂原料の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、摂取上限(ADI)が設定されているPGPRを使用しているという点を除けば、硬度は534で実施例1とほぼ同じ(硬さ評価3)で、食感評価も全て万点で、図2に示すように総合評価18点であった。
(実施例4)
実施例1の(2)水相調製工程において、分別豆乳を100%濃度の分別豆乳の場合と同じ固形分重量%とするために、水相成分として2.75倍に希釈し、図13に示すように、すり潰した豆腐を全体量の29.81重量%分使用した。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、分別豆乳を使った実施例1のマーガリンとの比較で、硬度は十分であったが、食感の評価項目の内、舌触りと口溶けが評点2と劣っており図2に示すように総合評価は16点であった。したがって、本実施例から、舌触りを良くするためには更に豆腐を十分にすり潰しておく必要があった。
実施例1の(2)水相調製工程において、分別豆乳を100%濃度の分別豆乳の場合と同じ固形分重量%とするために、水相成分として2.75倍に希釈し、図13に示すように、すり潰した豆腐を全体量の29.81重量%分使用した。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、分別豆乳を使った実施例1のマーガリンとの比較で、硬度は十分であったが、食感の評価項目の内、舌触りと口溶けが評点2と劣っており図2に示すように総合評価は16点であった。したがって、本実施例から、舌触りを良くするためには更に豆腐を十分にすり潰しておく必要があった。
(比較例5)
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤として、SLP−ペースト−Fではなく、図11に示すように、不分別のレシチン製品(SLP−ペーストSP;理研ビタミン社製)をスプレッド全体重量の1.04重量%使用した場合の例である。SLP−ペーストSPは粘性を備える液体なので、最初に適量をガラスのビーカーにとって全体重量を秤量しておき、加える前後の重量の減少から加えた量を算出する。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、硬度454と硬さが不十分で評点2であり、液の分離も認められた。乳化が充分でなく不安定で、その結果、塩気も強く感じられた。図2に示すように、総合評価は13点であった。後述する実施例10−1〜10−5では、エタノール不溶部とエタノール可溶部という互いに対極的な性質を備える2種類レシチンの混合比を検討したが、それらとは差が生まれた。
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤として、SLP−ペースト−Fではなく、図11に示すように、不分別のレシチン製品(SLP−ペーストSP;理研ビタミン社製)をスプレッド全体重量の1.04重量%使用した場合の例である。SLP−ペーストSPは粘性を備える液体なので、最初に適量をガラスのビーカーにとって全体重量を秤量しておき、加える前後の重量の減少から加えた量を算出する。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、硬度454と硬さが不十分で評点2であり、液の分離も認められた。乳化が充分でなく不安定で、その結果、塩気も強く感じられた。図2に示すように、総合評価は13点であった。後述する実施例10−1〜10−5では、エタノール不溶部とエタノール可溶部という互いに対極的な性質を備える2種類レシチンの混合比を検討したが、それらとは差が生まれた。
(比較例6−1)
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、ヤシ油を全体量の25.54重量%分使用した場合の例である。すなわち図9に示すように、実施例1とは異なり、高融点分別パーム油95gの代わりに、ヤシ油95gを用い、ヤシ油33.5g(全体重量比6.66%)に加えて使用したので、本比較例ではヤシ油が合計でスプレッド全体重量中25.54重量%となった。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、乳化が不安定で分離が著しく、硬さも柔らかく、製品にならず、図3に示すように総合評価は6点であった。
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、ヤシ油を全体量の25.54重量%分使用した場合の例である。すなわち図9に示すように、実施例1とは異なり、高融点分別パーム油95gの代わりに、ヤシ油95gを用い、ヤシ油33.5g(全体重量比6.66%)に加えて使用したので、本比較例ではヤシ油が合計でスプレッド全体重量中25.54重量%となった。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、乳化が不安定で分離が著しく、硬さも柔らかく、製品にならず、図3に示すように総合評価は6点であった。
(比較例6−2)
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように、パーム油をスプレッド全体重量の18.88重量%分使用した場合の例である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、乳化が不安定で分離が著しく、硬さも柔らかく、製品にならず、図3に示すように総合評価は6点であった。
実施例1の(1)油相調製工程において、高融点油脂として、ハードパーム油−Fではなく、図9に示すように、パーム油をスプレッド全体重量の18.88重量%分使用した場合の例である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、乳化が不安定で分離が著しく、硬さも柔らかく、製品にならず、図3に示すように総合評価は6点であった。
(比較例7−1)
実施例1の(2)水相調製工程において、水相成分として、分別豆乳ではなく、図13に示すように、水をスプレッド全体重量の29.81重量%分使用した場合の例である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、液油の分離が見られたが、その他の評価項目については良好であった。そして、図3に示すように総合評価は16点であったが、本比較例のスプレッドは液油の分離により商品としては実現が難しいレベルであった。
実施例1の(2)水相調製工程において、水相成分として、分別豆乳ではなく、図13に示すように、水をスプレッド全体重量の29.81重量%分使用した場合の例である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、液油の分離が見られたが、その他の評価項目については良好であった。そして、図3に示すように総合評価は16点であったが、本比較例のスプレッドは液油の分離により商品としては実現が難しいレベルであった。
(比較例7−2)
実施例1の(2)水相調製工程において、水相成分として、分別豆乳ではなく、分別しない2.75倍に希釈した豆乳をスプレッド全体重量の29.81重量%分使用した場合の例である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、乳化が不安定で分離が著しく、硬さも柔らかく、製品にならず、図3に示すように総合評価は6点であった。本比較例から、分別していない豆乳の主要蛋白質(グリシニン等)が、W/O乳化の際の阻害要因になっていると推定できた。
実施例1の(2)水相調製工程において、水相成分として、分別豆乳ではなく、分別しない2.75倍に希釈した豆乳をスプレッド全体重量の29.81重量%分使用した場合の例である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、乳化が不安定で分離が著しく、硬さも柔らかく、製品にならず、図3に示すように総合評価は6点であった。本比較例から、分別していない豆乳の主要蛋白質(グリシニン等)が、W/O乳化の際の阻害要因になっていると推定できた。
(実施例8−1〜8−5)
実施例1の(2)水相調製工程と同様に、水相の主原料として分別豆乳を用い、さらに、図13に示すように、用いている分別豆乳を水で希釈、又はロータリーエバポレーターで濃縮した場合の例である。すなわち、実施例8−1においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を4倍に希釈し、この希釈した分別豆乳(すなわち、25%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。実施例8−2においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を2倍に希釈し、この希釈した分別豆乳(すなわち、50%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。実施例8−3は、実施例1と同一の実施例である。実施例8−4においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を2倍に濃縮し、この濃縮した分別豆乳(すなわち、200%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。実施例8−5においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を3倍に濃縮し、この濃縮した分別豆乳(すなわち、300%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。ここで、分別豆乳の固形物重量%は3.5重量%であるので、各実施例8−1、8−2,8−3,8−4,8−5における分別豆乳150g中の固形物重量%(全体重量比)は、それぞれ、図3〜4に示すように、0.26重量%、0.52重量%、1.04重量%、2.08重量%、3.12重量%である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、実施例8−1が15点、実施例8−2,8−3,8−4が18点(満点)、実施例8−5が16点であった。したがって、分別豆乳の固形物含有量の範囲は、固形物重量%で0.52重量%から2.08重量%の範囲であると好ましいと判断できた。
実施例1の(2)水相調製工程と同様に、水相の主原料として分別豆乳を用い、さらに、図13に示すように、用いている分別豆乳を水で希釈、又はロータリーエバポレーターで濃縮した場合の例である。すなわち、実施例8−1においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を4倍に希釈し、この希釈した分別豆乳(すなわち、25%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。実施例8−2においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を2倍に希釈し、この希釈した分別豆乳(すなわち、50%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。実施例8−3は、実施例1と同一の実施例である。実施例8−4においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を2倍に濃縮し、この濃縮した分別豆乳(すなわち、200%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。実施例8−5においては、実施例1において使用した100%濃度の分別豆乳を3倍に濃縮し、この濃縮した分別豆乳(すなわち、300%濃度の分別豆乳)150g(スプレッド全体重量中29.81重量%分)を水相の主原料として用いている。ここで、分別豆乳の固形物重量%は3.5重量%であるので、各実施例8−1、8−2,8−3,8−4,8−5における分別豆乳150g中の固形物重量%(全体重量比)は、それぞれ、図3〜4に示すように、0.26重量%、0.52重量%、1.04重量%、2.08重量%、3.12重量%である。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、実施例8−1が15点、実施例8−2,8−3,8−4が18点(満点)、実施例8−5が16点であった。したがって、分別豆乳の固形物含有量の範囲は、固形物重量%で0.52重量%から2.08重量%の範囲であると好ましいと判断できた。
(実施例9−1〜9−5)
実施例9−1〜9−5を用いて、ハードパーム油−Fの最適含有量を検討した。すなわち、実施例1の(1)油相調製工程において、ハードパーム油−Fのスプレッド全体重量に対する重量比を変えて検証した例である。各実施例9−1、9−2,9−3,9−4,9−5において、ハードパーム油−Fのスプレッド全体重量に対する重量比は、図4、5及び図9に示すように、それぞれ、9.42重量%、14.11重量%、18.88重量%、23.67重量%、28.30重量%である。なお、実施例9−3は、実施例1と同一の実施例である。実施例9−1〜9−5において、ハードパーム油−Fの含有量の調整については、綿実油とヤシ油に比例配分(95:33.5)で割り振ってそれぞれ増加又は減少させることで、油相成分の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、図4〜図5に示すように、実施例9−1が6点、実施例9−2が12点、実施例9−3が18点(満点)、実施例9−4が17点、実施例9−5が14点であった。したがって、高融点分別パーム油であるハードパーム油−Fの含有量の範囲は18.88重量%〜23.67重量%の範囲であると好ましいことがわかった。
実施例9−1〜9−5を用いて、ハードパーム油−Fの最適含有量を検討した。すなわち、実施例1の(1)油相調製工程において、ハードパーム油−Fのスプレッド全体重量に対する重量比を変えて検証した例である。各実施例9−1、9−2,9−3,9−4,9−5において、ハードパーム油−Fのスプレッド全体重量に対する重量比は、図4、5及び図9に示すように、それぞれ、9.42重量%、14.11重量%、18.88重量%、23.67重量%、28.30重量%である。なお、実施例9−3は、実施例1と同一の実施例である。実施例9−1〜9−5において、ハードパーム油−Fの含有量の調整については、綿実油とヤシ油に比例配分(95:33.5)で割り振ってそれぞれ増加又は減少させることで、油相成分の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、図4〜図5に示すように、実施例9−1が6点、実施例9−2が12点、実施例9−3が18点(満点)、実施例9−4が17点、実施例9−5が14点であった。したがって、高融点分別パーム油であるハードパーム油−Fの含有量の範囲は18.88重量%〜23.67重量%の範囲であると好ましいことがわかった。
(実施例10−1〜10−5)
実施例10−1〜10−5は、エタノール不溶部でありホスファチジルコリン(PC)の含量が低い性質を備えるSLP−ペーストFと、エタノール可溶部でありホスファチジルコリン(PC)の含量が高い性質を備えるレシチンであるSLP−PC70(辻製油社製)との混合比率を検討し、本発明に係るスプレッドの製造におけるSLP−ペーストFを使用することの有効性を確認した実施例である。
実施例10−1〜10−5は、エタノール不溶部でありホスファチジルコリン(PC)の含量が低い性質を備えるSLP−ペーストFと、エタノール可溶部でありホスファチジルコリン(PC)の含量が高い性質を備えるレシチンであるSLP−PC70(辻製油社製)との混合比率を検討し、本発明に係るスプレッドの製造におけるSLP−ペーストFを使用することの有効性を確認した実施例である。
図12に示すように、レシチン類乳化剤(SLP−ペーストFとSLP−PC70との合計)とのスプレッド全体重量に対する重量比を1.43重量%に固定して、実施例10−5(実施例1と同一の実施例である)のSLP−ペーストFの含有量(1.43重量%)との差をSLP−PC70で補填することで、各実施例に差を設けた。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。なお、SLPペースト−PC70は粘稠で、しかもワックス状であるため、最初にSLPペースト−PC70の全体量を測っておき、ピンセットでちぎって加えた。加える前後のSLPペースト−PC70の減少から加えた量を算出する。各実施例10−1、10−2、10−3、10−4、10−5におけるSLP−ペーストFとSLP−ペーストSPとの比率(SLP−ペーストF重量%/SLP−ペーストSP重量%)はそれぞれ、0.0/1.43、0.36/1.07、0.72/0.72、1.07/0.36及び1.43/0.0である。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、図5〜6に示すように、実施例10−1が11点、実施例10−2が16点、実施例10−3が17点、実施例10−4が18点(満点)、実施例10−5も18点(満点)であった。したがって、SLP−ペーストFとSLP−ペーストSPとの比率は前者が多いほど良いことがわかった。そして、評価結果から許容される範囲(SLP−PC70/SLP−ペーストF)としては0.5以下である。
(実施例11−1〜11−5)
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤としてエタノール不溶部の分別レシチンであるSLP−ペーストFのみを使用し、スプレッド全体重量に対する適切な重量%の検討を行った実施例である。実施例11−1、実施例11−2,実施例11−3,実施例11−4,実施例11−5におけるSLP−ペーストFのスプレッド全体重量に対する重量比は、図12に示すように、それぞれ、0.85重量%、1.20重量%、1.43重量%、1.70重量%、2.00重量%である。なお、実施例11−3は、実施例1と同一の実施例である。各実施例11−1、実施例11−2,実施例11−3,実施例11−4,実施例11−5において、SLP−ペーストFの含有量の調整については、綿実油、ハードパーム油−F及びヤシ油に比例配分(205:95:33.5)で割り振ってそれぞれ増加又は減少させることで、油相成分の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、6−7に示すように、実施例11−1が16点、実施例11−2、実施例11−3、実施例11−4が18点でそれぞれ満点、実施例9−5が16点であった。したがって、分別レシチンであるSLP−ペーストFの含有量の範囲は1.20重量%〜1.70重量%の範囲であると好ましいことがわかった。
実施例1の(1)油相調製工程において、乳化剤としてエタノール不溶部の分別レシチンであるSLP−ペーストFのみを使用し、スプレッド全体重量に対する適切な重量%の検討を行った実施例である。実施例11−1、実施例11−2,実施例11−3,実施例11−4,実施例11−5におけるSLP−ペーストFのスプレッド全体重量に対する重量比は、図12に示すように、それぞれ、0.85重量%、1.20重量%、1.43重量%、1.70重量%、2.00重量%である。なお、実施例11−3は、実施例1と同一の実施例である。各実施例11−1、実施例11−2,実施例11−3,実施例11−4,実施例11−5において、SLP−ペーストFの含有量の調整については、綿実油、ハードパーム油−F及びヤシ油に比例配分(205:95:33.5)で割り振ってそれぞれ増加又は減少させることで、油相成分の総量として同じにした。その他の製造条件は実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できた各実施例のスプレッド、すなわちマーガリンの総合評価は、6−7に示すように、実施例11−1が16点、実施例11−2、実施例11−3、実施例11−4が18点でそれぞれ満点、実施例9−5が16点であった。したがって、分別レシチンであるSLP−ペーストFの含有量の範囲は1.20重量%〜1.70重量%の範囲であると好ましいことがわかった。
(比較例12−1)
実施例1の(1)油相調製工程において、液状油として、図10に示すように、綿実油205gの代わりに白絞油(大豆油)を205g使用した場合の例であり、白絞油は、全体量の40.7372重量%となる。その他の製造条件は、図10、14及び15に示すように実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、実施例1のマーガリンとの比較で、舌触り及び口溶けについて2点だけ劣っており、図8に示すように、総合評価は16点となった。
実施例1の(1)油相調製工程において、液状油として、図10に示すように、綿実油205gの代わりに白絞油(大豆油)を205g使用した場合の例であり、白絞油は、全体量の40.7372重量%となる。その他の製造条件は、図10、14及び15に示すように実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、実施例1のマーガリンとの比較で、舌触り及び口溶けについて2点だけ劣っており、図8に示すように、総合評価は16点となった。
(比較例12−2)
実施例1の(1)油相調製工程において、液状油として、図10に示すように、綿実油205gの代わりに菜種油を205g使用した場合の例であり、菜種油は、全体量の40.7372重量%となる。その他の製造条件は、図10、14及び15に示すように、実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、図8に示すように、実施例1のマーガリンとの比較で、舌触り及び口溶けについて2点だけ劣っており、また、硬さが柔らかく不十分であった。総合評価は15点となった。
実施例1の(1)油相調製工程において、液状油として、図10に示すように、綿実油205gの代わりに菜種油を205g使用した場合の例であり、菜種油は、全体量の40.7372重量%となる。その他の製造条件は、図10、14及び15に示すように、実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、図8に示すように、実施例1のマーガリンとの比較で、舌触り及び口溶けについて2点だけ劣っており、また、硬さが柔らかく不十分であった。総合評価は15点となった。
(比較例12−3)
実施例1の(1)油相調製工程において、モノグリセリドとしてエマルジ-HRO0.5gの代わりに、図12に示すように、ヨウ素価2のエマルジーA(理研ビタミン社製)を0.5g使用した場合の例であり、エマルジーAは、全体量の0.0994重量%となる。その他の製造条件は、図10、14及び15に示すように、実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、実施例1のマーガリンとの比較すると、ほぼ同等のものであったが、若干の液油の分離が見られ、風味も劣っていた。図8に示すように、総合評価は15点であった。したがって、モノグリセリドとしては、エマルジーAよりも、ヨウ素価がより高いエマルジ-HROを用いた方が、本発明に係るスプレッドの製造に際して好ましいと判断できた。
実施例1の(1)油相調製工程において、モノグリセリドとしてエマルジ-HRO0.5gの代わりに、図12に示すように、ヨウ素価2のエマルジーA(理研ビタミン社製)を0.5g使用した場合の例であり、エマルジーAは、全体量の0.0994重量%となる。その他の製造条件は、図10、14及び15に示すように、実施例1と同一の条件で製造を行った。その結果製造できたスプレッド、すなわちマーガリンは、実施例1のマーガリンとの比較すると、ほぼ同等のものであったが、若干の液油の分離が見られ、風味も劣っていた。図8に示すように、総合評価は15点であった。したがって、モノグリセリドとしては、エマルジーAよりも、ヨウ素価がより高いエマルジ-HROを用いた方が、本発明に係るスプレッドの製造に際して好ましいと判断できた。
本発明に係るスプレッドは、トランス脂肪酸の含有率が非常に低く、純植物性の原料から製造されるため、本発明に係るスプレッドの消費者の肥満の防止及び成人病の予防に役立つ。
Claims (2)
- 水相成分として分別豆乳を用い、混合油脂の高融点成分として高融点分別パーム油を用い、乳化剤として分別レシチンのエタノール不溶部を用いるスプレッド。
- 前記分別豆乳の固形物含有量が0.52重量%〜2.08重量%であり、前記高融点分別パーム油の含有量が18.88重量%〜23.67重量%であり、前記分別レシチンの含有量が1.20重量%〜1.70重量%である請求項1に記載のスプレッド。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015085421 | 2015-03-31 | ||
JP2015085421 | 2015-03-31 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016192958A true JP2016192958A (ja) | 2016-11-17 |
Family
ID=57322328
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016065303A Pending JP2016192958A (ja) | 2015-03-31 | 2016-03-29 | 食用スプレッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016192958A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020145160A1 (ja) * | 2019-01-07 | 2020-07-16 | 株式会社Wisteria | 植物ミルク由来バター様食品の製造方法及び植物ミルク由来バター様食品 |
JP2020120648A (ja) * | 2019-01-07 | 2020-08-13 | 株式会社Wisteria | 植物ミルク由来バター様食品の製造方法 |
JPWO2021256395A1 (ja) * | 2020-06-15 | 2021-12-23 |
-
2016
- 2016-03-29 JP JP2016065303A patent/JP2016192958A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020145160A1 (ja) * | 2019-01-07 | 2020-07-16 | 株式会社Wisteria | 植物ミルク由来バター様食品の製造方法及び植物ミルク由来バター様食品 |
JP2020120648A (ja) * | 2019-01-07 | 2020-08-13 | 株式会社Wisteria | 植物ミルク由来バター様食品の製造方法 |
JP2020120650A (ja) * | 2019-01-07 | 2020-08-13 | 株式会社Wisteria | 植物ミルク由来バター様食品 |
CN113286517A (zh) * | 2019-01-07 | 2021-08-20 | 株式会社藤花 | 来自植物奶的黄油样食品的制造方法及来自植物奶的黄油样食品 |
JPWO2021256395A1 (ja) * | 2020-06-15 | 2021-12-23 | ||
JP7229650B2 (ja) | 2020-06-15 | 2023-02-28 | 日清オイリオグループ株式会社 | フラワーペースト |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Dian et al. | Palm oil and palm kernel oil: Versatile ingredients for food applications | |
JP6593569B2 (ja) | 植物性チーズ様食品の製造方法 | |
ES2380757T3 (es) | Procedimiento para reducir el contenido en ácidos grasos saturados de la grasa de leche, productos obtenidos y sus aplicaciones | |
JP7020585B2 (ja) | 植物ベースのバター様組成物 | |
JP2005524407A (ja) | ジアシルグリセロール含有食品およびドリンク類 | |
EP1817078A1 (en) | Satiety emulsions and food compositions | |
JP2014233270A (ja) | 大豆蛋白質含有チーズ様食品 | |
US11202455B2 (en) | Method for producing vegetable fresh cheese-like food product | |
CN106900881A (zh) | 油包水包油的油脂组合物及其制备方法 | |
JP6241179B2 (ja) | 大豆蛋白質含有チーズ様食品 | |
JP2016192958A (ja) | 食用スプレッド | |
JP5970029B2 (ja) | 豆乳製素材製造方法、豆乳製二次素材製造方法、および豆乳製加工品製造方法 | |
TW202037280A (zh) | 源自於植物奶的類奶油食品之製造方法及源自於植物奶的類奶油食品 | |
CN105558092B (zh) | 低饱和油包水油脂组合物 | |
JP2016202132A (ja) | 起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリーム | |
TW201234975A (en) | Oil-and-fat composition for processed food of fishery product and processed food of fishery product using the same | |
JP6415017B2 (ja) | 大豆蛋白質含有飲食品および改質大豆蛋白素材 | |
WO2012151387A2 (en) | Amphiphilic sterol/fat-based particles | |
JP7160566B2 (ja) | 固形チーズ様食品用油脂組成物 | |
CN105394198A (zh) | 一种人造奶油组合物 | |
WO2023146460A1 (en) | Plant-based butter | |
JP2014023462A (ja) | きな粉入り豆乳スプレッド | |
JP2023033882A (ja) | チーズ類を用いた調理加工食品の製造方法 | |
CN115916933A (zh) | 用于制备包含磷脂的无油组合物的方法 | |
CN105394201A (zh) | 一种人造奶油组合物 |