JP2006280269A - チーズを用いたマヨネーズ様乳化物の製造方法 - Google Patents

チーズを用いたマヨネーズ様乳化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 チーズを乳化剤として用い、酸味料添加の前のチーズタンパク質と油脂の予備乳化を必要とせず、1段階の同時混合撹拌乳化が可能な、マヨネーズ様乳化物の連続的製造方法を提供する。
【解決手段】 チーズ、溶融塩及び水を含む混合物を撹拌し、乳化物を調製した後、その乳化物と食用油脂と酸味料とを混合、撹拌して、マヨネーズ様乳化物を形成することを特徴とするマヨネーズ様乳化物の製造方法。乳化物と食用油脂と酸味料との混合、撹拌は還流型撹拌装置を用いて行うことが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、卵の代わりにチーズを乳化剤として用い、通常のマヨネーズと同様の滑らかな組織と物性を有するマヨネーズ様乳化物を製造する方法に関する。
マヨネーズは、近年、「マヨラー」と呼ばれるマヨネーズ愛好者が登場するほどポピュラーな食材となっており、生野菜、お好み焼き、サンドイッチ等、様々な食品に用いられる重要な調味料である。
日本農林規格(以下、「JAS」と略記する)では、「マヨネーズ」について、「半固体状ドレッシングのうち、卵黄又は全卵を使用し、かつ、必須原材料、卵黄、卵白、たん白加水分解物、食塩、糖類、香辛料、調味料(アミノ酸等)及び酸味料以外の原材料を使用していないもの」と定義している。また、JASでは、「半固体状ドレッシング」について、ドレッシングのうち、粘度が30000cp(30Pa・s)以上のものをいう」と定義している。さらに、マヨネーズは、「マヨネーズ規格」において、65%以上の植物油脂を含量するものと定められている。pHに関しては特に基準は定められていないが、市販のマヨネーズは、大半がpH4.0〜4.2前後である。
マヨネーズは、一般に、酢と卵黄または全卵及び塩等の調味料を混合し、これに一定量の植物油脂を加えながら、室温で撹拌・乳化させる方法により製造される。製造は、一般的に、酸化による品質劣化を防止するために、酸素を除いた密閉系で行われる。
マヨネーズにおける油脂の含有量は一般的には65〜80重量%程度であり、卵は約10〜20重量%、酸味料は食酢(酢酸含有量5〜8重量%)で9〜13重量%程度使用される。
撹拌・乳化に用いられる撹拌乳化機は、工業的にはコロイドミル等の比較的せん断力が強い乳化機が使用されるが、家庭用のフードプロセッサー等でも製造することができる。
市販されているマヨネーズまたはマヨネーズ様ドレッシングのほとんどは、植物油脂の乳化剤として、卵黄または全卵を使用するものである。一般に、タンパク質はpHを低下させると凝集しやすいが、卵黄または全卵は食酢と直接混合しても凝集を起こさず、油脂の乳化力も高いので、理想的な乳化剤となっている。
しかし、卵は卵を抗原とするアレルギー患者の増加に伴い、食品への利用において問題が生じており、厚生労働省は卵を特定原材料表示義務のある食品として指定している。したがって、卵を使用しないマヨネーズやマヨネーズ様食品が求められている。
なお、乳化剤として卵を使用しないマヨネーズ様乳化物は、従来より種々検討されている。
例えば、特許文献1には、チーズ類を等電点以下の酸性にするチーズ利用食品の製造方法が開示されており、チーズに油脂類と多糖類等を加えて乳化体とし、さらに酸性物質を加えることを特徴とする酸性のチーズ利用食品の製造法を提供している。特許文献1において、チーズの含有量はナチュラルチーズとして1〜30重量%、油脂の含有量は1〜50重量%であることが記載されている。
また、特許文献2には、カゼイン含有量が0.3重量%以下であり、乳化剤としてクエン酸モノグリセリド及び/又は乳酸モノグリセライドを0.01〜0.9重量%含有し、2〜9という広いpH域において安定な、マヨネーズとして使用可能なエマルジョン組成物が開示されている。
特開昭59−39244号公報 特開昭61−54230号公報
また、特許文献3には、チーズ、水、食用油脂及び食酢を、卵を用いずに乳化させたマヨネーズ様食品が開示されている。特許文献3のマヨネーズ様食品は、チーズ3〜30重量%、水5〜30重量%、食用油脂40〜80重量%及び食酢2〜30重量%を含むことが好ましいと記載されている。また、特許文献3のマヨネーズ様食品の製造方法は、チーズ、水、食用油脂を混合して乳化し、これに食酢を加える方法、あるいは、チーズと水を予め乳化させて乳化液を調製し、これに食用油脂、次いで食酢を添加混合する方法によって製造でき、これらの操作は50〜70℃の温度で行うのが好ましいことが記載されている。
また、特許文献4には、低油脂含量で、低カロリーかつ低コレステロールの乳化型ドレッシングを、卵黄を使用せずに製造する方法が開示されている。この特許文献4の方法は、400〜1000g/cmGで高圧乳化処理したタンパク質、水、リン脂質及び食用油脂の予備乳化物を用い、食用油脂、水及び食酢を含む調味料等を混合乳化することからなる。
特公昭63−16114号公報 特開平7−75522号公報
また、特許文献5には、滑らかな組織を呈し、離水や油分離のないpH5以下の酸性チーズの製造方法が開示されており、チーズに対してキサンタンガム1重量%以上を添加混合し、pHが5以下で、最終製品の含水率が45〜90重量%になるように調製することを特徴とする製造方法を提供している。
また、特許文献6には、油臭さや卵黄特有の臭みのない、さっぱりした風味の乳化型ドレッシングを、卵黄を使用せず卵白を使用することにより製造する方法が開示されている。
また、特許文献7には、広範なpHにおいて乳化安定性が良好で、加熱されても水中油型乳化の破壊が起こらない水中油型乳化脂組成物が開示されており、トリプシンにより加水分解された乳清タンパク質と、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセライドを使用することが記載されている。
特開平10−290658号公報 特開平11−235161号公報 特開平2−257838号公報
特許文献1のチーズ利用食品は、油脂の含有量が1〜50重量%であるが、油脂含有量がこの範囲である場合、得られる製品は柔かく、水分に富んだものとなり、ドッレシング状の未乳化物となってしまう。したがって、特許文献1の技術を用いても、マヨネーズ様の滑らかな組織や物性を発現することは困難である。
また、特許文献1に記載の製造工程は、予め油脂類と多糖類の乳化体を調製し、これに酸性物質を加える2段階の混合撹拌工程からなるものである。2段階工程を必要とするのは、これらの配合物を同時に撹拌混合した場合、pHの急激な低下に伴うタンパク凝集によりミーリー感が発生するので、それを防止するために、予めチーズタンパク質で油脂を乳化させ、チーズタンパク質の空間的密度を低減させ、次工程の酸性物質添加においてタンパク質の大きな凝集物の発生を抑制するためである。なお、第1工程で調製される乳化体が通常ホイップ状の物性を有し、付着性が高く流動性が乏しいので、第2工程への移送は非常に煩雑なものとなるという問題もある。
特許文献2の組成物は、卵由来のタンパク質を使用していないが、カゼイン(チーズタンパク質)の酸凝集を防止するために、その添加量を0.3重量%以下に限定し、不足した乳化力を補うためにクエン酸モノグリセリド及び/又は乳酸モノグリセライドを使用するものである。
また、特許文献3は、卵の代わりにチーズを利用してマヨネーズ様乳化物を形成する発明であるが、チーズ、水及び食用油脂を混合して乳化し、これに食酢を加える方法、あるいは予めチーズと水を乳化せしめて乳化液を調製し、これに食用油脂次いで食酢を添加混合する方法によって製造できるとしており、特許文献1と同様、いずれも食酢(酸味料)の添加の前に、乳化体を形成し、その後に酸味料を加えるという2段階の工程からなる。
特許文献4は、同じく卵黄を使用しない乳化型ドレッシングを製造する方法を提供しているが、食酢添加時のチーズタンパク質凝集を防止するために、予めタンパク質、水、リン脂質及び食用油脂を400〜1000kg/cmGで高圧乳化処理して予備乳化物を調製し、これを乳化剤として、食用油脂、水、及び食酢を含む調味料等を混合乳化するものであり、高圧乳化処理を必要とする。
特許文献5は、pH5以下で、離水や油分離のない酸性チーズの製造方法を開示しているが、マヨネーズ様組織及び物性の発現を目的としておらず、最終製品の含水率が45〜90重量%であり、チーズを用いたマヨネーズ様乳化物の連続的製造方法とは本質的に異なるものである。
特許文献6は、油臭さや卵黄特有の臭みの無い乳化型ドレッシングの製造方法に関するものであるが、卵白を使用しており、卵を使用しないものではない。
特許文献7は、広範なpHにおいて乳化安定性が良好な水中油型乳化脂組成物に関する発明であるが、トリプシンにより加水分解された乳清タンパク質と、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセライドを使用しており、チーズを利用したマヨネーズ様乳化物ではない。
以上説明したように、卵の代わりにチーズを用いて低pH域のマヨネーズ様乳化物を形成しようとすると、使用するチーズタンパク質の酸凝集の防止が大きな課題となっていた。そのため、チーズの配合量を減らして他の乳化剤と併用したり、高圧乳化や酵素による加水分解作用で酸凝集作用を低下させる方法等が考案されていた。また、工程も、酸味料を添加する前に、チーズタンパク質と油脂を乳化させておき、酸味料添加時のタンパク質の酸凝集を低減させるという2段階の混合撹拌方法に頼らざるを得なかった。
以上のような従来技術の課題を解決するために、本発明者らは、チーズを乳化剤として用い、しかも酸味料添加の前にチーズタンパク質と油脂の予備乳化を必要としない、1段の同時混合撹拌乳化を可能にする方法を見出すべく鋭意研究を重ねたところ、チーズ、溶融塩及び水を含む混合物を撹拌して乳化物を調製した後、その乳化物と食用油脂と調温した酸味料とを混合、撹拌することによりマヨネーズ様乳化物を形成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、チーズ、溶融塩及び水を含む混合物を撹拌して乳化物を調製した後、その乳化物と食用油脂と酸味料とを混合、撹拌することによりマヨネーズ様乳化物を形成することを特徴とする、マヨネーズ様乳化物の製造方法である。
本発明はまた、乳化物と食用油脂と酸味料との混合、撹拌を、還流型撹拌装置を用いて行うことを特徴とする前記マヨネーズ様乳化物の製造方法である。
本発明はまた、マヨネーズ様乳化物中の油脂の含有量が50〜80重量%であり、前記油脂に対するチーズ由来のタンパク質の比率が1〜10重量%であることを特徴とする前記マヨネーズ様乳化物の製造方法である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明で使用できるチーズは、特に限定されず、ゴーダチーズ、チェダ−チーズ、エメンタールチーズ、カマンベールチーズ、ブルーチーズ等のナチュラルチーズ、またはプロセスチーズを挙げることができる。これらのチーズは、1種のみを単独で用いても、2種類以上を適宜混合して用いることもできる。
チーズの使用量は、マヨネーズ様乳化物に含まれる油脂に対するチーズ由来のタンパク質の比率が、1〜10重量%となるような量とすることが好ましい。チーズの比率にこのように幅があるのは、チーズの種類によって食用油脂の乳化力に差異があるからである。タンパク質の比率が1重量%未満となると、乳化が不安定となり、オイルオフを起こしやすくなり、タンパク質の比率が10重量%を超えると、ミーリー感が発生するので好ましくない。
これらのチーズを乳化するために用いる溶融塩としては、クエン酸ナトリウム、モノリン酸ナトリウム、ジリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、またはこれらの混合物を使用することができる。
溶融塩の使用量は、チーズに対して、1〜5重量%とすることが好ましい。溶融塩の使用量が1重量%未満となると、乳化不良となり、溶融塩の使用量が5重量を超えると風味に溶融塩に由来する苦味が出るので好ましくない。
食用油脂は、特に限定されず、大豆油、コーン油、菜種油、椰子油等の植物油脂の他、約30℃で液状である動物油脂を使用することができる。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を適宜混合して用いてもよく、植物油脂と動物油脂を混合して使用することもできる。また、少量であれば30℃で固体状である植物油脂または動物油脂を添加することも可能である。
食用油脂の使用量としては、マヨネーズ様乳化物中の油の含有量が50〜80重量%となるような量とすることができる。この場合、油脂の含有量が50重量%より低くなると、粘度が低下し、ミーリー感が発生し、油脂の含有量が80重量%より高くなると、乳化が不安定となり、オイルオフが発生するので好ましくない。
酸味料は、特に限定されず、米酢、リンゴ酢、ワイン酢、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸等の有機、無機の酸味料を使用することができる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を適宜混合して用いることもできる。
酸味料の添加量はその種類によって異なるが、保存時の微生物的安全性の観点から、最終製品のpHが4.0〜4.6となるような量とすることが好ましい。特に限定されないが、酸味料の含有量は、マヨネーズ様乳化物において、5〜15重量%とすることが好ましい。
尚、本発明の方法は、食用油脂の乳化をチーズタンパク質で行うことを特徴とするものであり、チーズのみで十分な乳化が可能であるが、乳化をさらに強化する目的で、通常乳化剤として用いられるリン酸塩のような他の乳化剤を添加してもよい。
同様に、本発明の方法によれば、食用油脂のチーズタンパク質によるpH4.0〜4.6での乳化で、その配合比率を調製すれば目的とするマヨネーズ様の組織及び物性を有するマヨネーズ様乳化物を形成することができるが、組織や物性を微調整する目的でキサンタンガム、LMペクチン、HMペクチン、アラビアガム等、低pH域で安定な特性をもつ安定剤を併用してもよい。
さらに、上記各原材料以外に、調味や調香の目的で、種々の調味料や香料を適宜使用することができる。さらに、少量であれば、添加物としてハーブ類や、香辛料、ナッツ類等、ほとんど全ての食品を添加できる。
以下、製造方法について詳しく説明する。
本発明において、チーズ、溶融塩及び水を含む混合物の乳化物(チーズ乳化物)の形成には、ステファン型乳化機、表面掻取型乳化機、ケトル型乳化機またはスパイラル型乳化機など、通常のプロセスチーズの乳化に用いられる乳化機を使用することができる。乳化は、乳化の安定性及び原材料の殺菌の観点から、80℃以上、特に85℃〜95℃程度の温度で行うことが好ましい。
次に、得られた乳化物と食用油脂と酸味料とを混合する。このとき用いる食用油脂と酸味料は、30℃以下、特に5〜25℃の温度であることが好ましい。また、得られた乳化物も、30℃以下、特に5〜20℃の温度として用いることが好ましい。得られた乳化物をこの温度にするためには、連続型工程では2重管型熱交換機や掻取型熱交換機などの冷却機を使用してもよい。
また、乳化物と食用油脂と酸味料との混合もまた、30℃以下、特に5〜25℃の温度で行うことが好ましい。マヨネーズ様乳化物の安定性の観点から、30℃以下の温度とすることにより乳化物がより安定となりミーリー感が低減されるからである。
なお、混合は、還流型撹拌装置を使用して行うことが好ましい。還流型撹拌装置は、閉鎖系の撹拌混合部と還流部からなり、外部から導入された液量と同量の液が系外に排出されるというものである。系内での平均被撹拌回数は、系内の平均滞留時間に比例し、平均滞留時間は系内の還流流量と系への流入流量との関係で決まる。還流型撹拌装置は、例えば、特殊機化工業社製のTKホモミックラインフローを用いることができる。
このような還流型撹拌装置が好ましい理由は、低pH域での乳化物の安定化のためである。即ち、チーズタンパク質の乳化力は卵黄ほど高くないため、本発明の方法のような最大80重量%にも及ぶ含有油脂を乳化しながら水中油型の乳化構造を形成するには、水相と油相の転相を防止する必要があるからである。本発明者らは、種々の撹拌装置で試験をしたところ、還流型撹拌装置を用いることにより、転相の問題を克服でき、安定した乳化が可能であることを見出した。すなわち、還流型撹拌装置を用いることにより、チーズのみを乳化剤として用い、しかもミーリー感の発生しない程度のチーズを使用することによるマヨネーズ様乳化物の形成が可能となる。
還流型撹拌装置にチーズ乳化物、食用油脂及び酸味料を定量的に供給する方法としては、通常のサニタリー型定量ポンプと流量計を設置し、流量計の信号をフィードバックしてポンプを制御する方法を利用することができる。サニタリー型定量ポンプとしてはモーノポンプやロータリーポンプ、プランジャー型ポンプ等を利用することができる。流量計としては、電気伝導性の流体には電磁流量計を利用することができる。油脂に関しては電気伝導性がないので、質量流量計や渦流量計、あるいは容積型流量計などを利用することができる。
なお、本発明の製造方法により得られるマヨネーズ様乳化物のpHは、4.0〜4.6程度であり、室温における粘度は10〜40Pa・s程度であり、水中油型の滑らかな乳化組織を有する。
本発明によれば、卵の代わりに、風味に優れ、健康志向にも合致したチーズを乳化剤として、マヨネーズ様乳化物を製造することができる。したがって、本発明により得られるマヨネーズ様乳化物は卵アレルギーの患者も安心して食することができる。
また、本発明の製造方法は、単純な1段階の工程で連続的に行うことができるので、生産効率やコスト低減、あるいは製造工程の衛生管理の観点からも優れたものである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜4)
各実施例及び各比較例において、ケトル型乳化機を用いて表1に示す各配合の原料を水中油型に乳化し、マヨネーズ様乳化物10kgを調製した。すなわち、チーズ乳化物の原料であるチーズ(チェダーチーズ(タンパク質含有量24.5重量%))、溶融塩及び水を混合加熱溶解してチーズ乳化物を調製し、このチーズ乳化物を30℃以下に冷却し、それと30℃以下に調温した食用植物油脂と30℃以下に調温した酸味料を加え、還流型撹拌装置(TKホモミックラインフロー、特殊機化工業社製)を用いて乳化を行い、マヨネーズ様乳化物を得た。
Figure 2006280269
このようにして得られたマヨネーズ様乳化物のオイルオフ、ミーリー感、粘度について測定した結果と、その総合評価を表2に示す。
なお、オイルオフに関しては、目視および顕微鏡観察により行い、5段階(5点:オイルオフなし、4点:ほとんどオイルオフなし、3点:若干オイルオフが認められる、2点:オイルオフが認められる、1点:著しいオイルオフもしくは分離が認められる)で評価した。
ミーリー感に関しては官能検査により行い、5段階(5点:ミーリー感なし、4点:ほとんどミーリー感なし、3点:若干ミーリー感が認められる、2点:ミーリー感が認められる、1点:著しいミーリー感が認められる)で評価した。
粘度はブルックフィールド粘度計を用い、T−Cスピンドル、5rpmの条件にて室温で測定した。
オイルオフとミーリー感に関しては、それぞれ4点以上を適当と判断した。粘度に関しては10〜60Pa・sの範囲内のものを適当と判断した。
総合評価は、オイルオフ、ミーリー感、粘度の3項目すべてがマヨネーズ様乳化物として適当であるものを「良好」とし、それ以外のもとを「不良」と判断した。
Figure 2006280269
表2から明らかなように、実施例1〜5のマヨネーズ様乳化物は、オイルオフとミーリー感が認められず、粘度も10〜60Pa・sの範囲であり、総合評価でマヨネーズ様乳化物として「良好」であった。すなわち、マヨネーズ様乳化物中の油脂の含有量が50〜80重量%であって、かつ油脂に対するチーズ由来のタンパク質の比率が1〜10重量%である時にマヨネーズ様の物性が発現した。
一方、上記の条件(マヨネーズ様乳化物中の油脂の含有量が50〜80重量%であって、かつ油脂に対するチーズ由来のタンパク質の比率が1〜10重量%)に合致しない比較例1〜5の乳化物は、オイルオフ、ミーリー感、粘度のいずれかでマヨネーズ様乳化物としては不適当な点があった。なお、実施例1〜4および比較例1〜4のすべての乳化物のpHは、4.0〜4.6の範囲にあった。
総合評価で良好であったマヨネーズ様乳化物を室温で6ヶ月保存した結果、保存中に若干の粘度上昇傾向が見られたが、実施例1〜4のサンプルにおいては、オイルオフ、ミーリー感共に良好な状態を維持しており、官能的に有意な劣化は認められなかった。
本発明のマヨネーズ様乳化物の製造方法では、卵の代わりにチーズを乳化剤として使用するため、卵アレルギーの患者用として広く利用可能である。また、本発明の製造方法は、1段階の工程により容易に連続的にマヨネーズ様乳化物を製造することができる。

Claims (3)

  1. チーズ、溶融塩及び水を含む混合物を撹拌して乳化物を調製した後、その乳化物と食用油脂と酸味料とを混合、撹拌することによりマヨネーズ様乳化物を形成することを特徴とする、マヨネーズ様乳化物の製造方法。
  2. 乳化物と食用油脂と酸味料との混合、撹拌を、還流型撹拌装置を用いて行うことを特徴とする請求項1記載のマヨネーズ様乳化物の製造方法。
  3. マヨネーズ様乳化物中の油脂の含有量が50〜80重量%であり、前記油脂に対するチーズ由来のタンパク質の比率が1〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載のマヨネーズ様乳化物の製造方法。
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