JP7496915B1 - 乳化液状調味料 - Google Patents

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英明 小林
始 松田
寛之 薮田
岳史 西田
理穂 岩見
麻衣 大森
智章 田中
愛実 磯部
真実 澤田
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Abstract

【課題】人工的な食品添加物を用いずに、長期保存後であっても、酸化臭の発生を抑制し、かつ、卵黄のコク味を向上できる乳化液状調味料の提供。【解決手段】本発明の乳化液状調味料は、少なくとも、食用油脂及び水を含有する乳化液状調味料であって、前記乳化液状調味料が、発酵大豆水溶性多糖類及び卵黄をさらに含み、前記卵黄の含有量が、生卵黄換算で、前記乳化液状調味料全体に対して0.5質量%以上であり、前記発酵大豆水溶性多糖類が、下記の特性:i)分子量が3×103以上10×104以下であること、を有することを特徴とするものである。【選択図】なし

Description

本発明は、乳化液状調味料に関し、詳細には、少なくとも、食用油脂、卵黄及び水を含有する乳化液状調味料に関する。
乳化液状調味料は、含有成分が保存中に酸化される結果、風味の変化が生じたり、変質や変色が生じたりすることがある。特に卵黄を含有している乳化液状調味料についてその傾向は顕著である。そこで、酸化を防止するために、例えば、エチレンジアミン四酢酸・カルシウム・2ナトリウム(EDTA・Ca2Na)等の人工的な食品添加物が添加されてきた。
しかしながら、近年、食品添加物として使用される化学物質が生体内に及ぼす影響が問題となっている。また、近年、消費者は人工的な食品添加物の使用を避ける傾向にある。このため、食品への化学物質の使用をできる限り避けることが求められている。このような技術的課題に対して、酸性水中油型乳化食品に、プロテアーゼを用いて卵白を加水分解して得られる卵白加水分解物を配合することにより、酸化の進行及び風味の変化を抑制することが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、依然として、エチレンジアミン四酢酸・カルシウム・2ナトリウム等の人工的な食品添加物を用いずに、長期保存後であっても、酸化臭の発生を抑制できる乳化液状調味料が求められている。
また、卵黄を比較的多量に含有するマヨネーズ等の乳化液状調味料は、保存中に卵黄のコク味が経時的に向上していくことが知られている。一方で、油脂の酸化を防止する目的で、上記のようにエチレンジアミン四酢酸・カルシウム・2ナトリウムを加えた場合は、酸化の防止はするものの、卵黄のコク味向上については抑制してしまうことが分かった。そこで、経時的に進行する油脂の酸化臭の発生の抑制と、卵黄のコク味向上とを両立した乳化液状調味料が求められてきた。
特開2006-187277号公報
したがって、本発明の目的は、エチレンジアミン四酢酸・カルシウム・2ナトリウム等の人工的な食品添加物を用いずに、長期保存後であっても、油脂由来の酸化臭の発生を抑制でき、同時に卵黄のコク味向上を達成する乳化液状調味料を提供することである。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために、誠意研究を進めたところ、少なくとも、食用油脂、卵黄及び水を含有する乳化液状調味料に特定の発酵大豆水溶性多糖類を配合することで、意外にも、長期保存後の油脂由来の酸化臭の発生を抑制し、かつ、卵黄のコク味を向上できる乳化液状調味料が得られることを知見した。本発明者らは、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 少なくとも、食用油脂及び水を含有する乳化液状調味料であって、
前記乳化液状調味料が、発酵大豆水溶性多糖類及び卵黄をさらに含み、
前記卵黄の含有量が、生卵黄換算で、前記乳化液状調味料全体に対して0.5質量%以上であり、
前記発酵大豆水溶性多糖類が、下記の特性:
i)分子量が3×10以上10×10以下であること、
を有することを特徴とする、
乳化液状調味料。
[2] 前記発酵大豆水溶性多糖類の含有量が、前記食用油脂の含有量100質量部に対して0.001質量部以上であることを特徴とする、
[1]に記載の乳化液状調味料。
[3] 前記発酵大豆水溶性多糖類の含有量が、前記乳化液状調味料全体に対して0.001質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする、
[1]または[2]に記載の乳化液状調味料。
[4] 前記発酵大豆水溶性多糖類が、麹発酵大豆水溶性多糖類であることを特徴とする、
[1]~[3]のいずれかに記載の乳化液状調味料。
[5] 前記発酵大豆水溶性多糖類が、下記の特性:
ii)下記の酸性卵黄液酸化モデル系の試験方法で評価した発酵大豆水溶性多糖類の抗酸化活性は、無添加対照区を100とした場合に対して110以上であること、
を有することを特徴とする、
[1]~[4]のいずれかに記載の乳化液状調味料。
[酸性卵黄液酸化モデル系の試験方法]
(1)卵黄10gを蒸留水130gで希釈した後、60℃で3分間加熱した希釈卵黄溶液を得る。この希釈卵黄溶液に氷酢酸を加えてpH4.0に調整し、酸性卵黄溶液とする(卵黄固形分1%含有)。続いて、抗酸化活性を評価する試料を蒸留水で分散した分散液を、酸性卵黄溶液に添加し、これを試験溶液とする。このとき、前記試験溶液における試料量が前記酸性卵黄溶液に含まれるFe含量の100倍となるように、前記分散液の試料濃度及び添加量を調整する(以下式)。
式:(試料量)/(前記酸性卵黄溶液のFe含量)=100(w/w)
(2)スクリューキャップ付き15mL容試験管に、前記試験溶液を10mL入れ、空気が流通する状態で、暗所、55℃にて65時間インキュベートする。この試験溶液から200μLを試験管に取り、エーテル/エタノール(1:3,v/v)混合溶液3mLを加えて撹拌後、1,200×gで5分間遠心分離する。この上清の蛍光強度(Ex360nm,Em440nm)を蛍光分光光度計にて測定する。
(3)蛍光強度は硫酸キニーネを0.1N硫酸で1μg/mLに希釈した溶液の測定値を100とした場合の相対蛍光強度値を用いる。本願発明における抗酸化活性は、以下の計算式で算出される。
抗酸化活性={(無添加対照区の相対蛍光強度)/(各試料区の相対蛍光強度)}×100
[6] 前記乳化液状調味料のpHが2.0以上4.5以下であることを特徴とする、
[1]~[5]のいずれかに記載の乳化液状調味料。
[7] 前記乳化液状調味料が、マヨネーズ様調味料であることを特徴とする、
[1]~[6]のいずれかに記載の乳化液状調味料。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の乳化液状調味料を含有する食品。
本発明によれば、長期保存後の油脂由来の酸化臭の発生を抑制し、かつ、卵黄のコク味を向上できる乳化液状調味料を提供することができる。このような乳化液状調味料は消費者の食欲を惹起することができ、乳化液状調味料のさらなる市場拡大が期待できる。
<乳化液状調味料>
本発明の乳化液状調味料は、少なくとも、食用油脂及び水を含有するものであって、発酵大豆水溶性多糖類及び特定量の卵黄を含み、酢酸、卵黄以外の乳化材、増粘剤、及び他の原料等をさらに含んでもよい。乳化液状調味料は、水中油型(O/W型)エマルションやW/O/W型複合エマルションの構成を有してもよく、水中油型(O/W型)エマルションの構成が好ましい。乳化液状調味料は、少なくとも一部に乳化相を有すればよく、全部が乳化状態であってもよいし、乳化状態の部分の上に油相が積層されている状態であってもよい。
乳化液状調味料としては、前記の課題がより顕著である点から、マヨネーズ様調味料であることが好適である。マヨネーズ様調味料としては、マヨネーズやドレッシング等を挙げることができる。食品表示基準では、ドレッシングのうち粘度が30Pa・s以上が半固体状ドレッシングと呼ばれる。その中で卵黄等決められた原料を用い、水分含量が30質量%以下、油脂含量が65質量%以上のものがマヨネーズである。本発明におけるマヨネーズ様調味料には、食品表示基準で定めるマヨネーズと類似の性状(例えば、味、外観、主原料等)を有しながら成分組成が食品表示基準に合致しない類似商品群も含まれる。
乳化液状調味料の水分含量は、特に限定されずに他の成分の含有量に応じて適宜設定することができる。乳化液状調味料の水分含量は、例えば5質量%以上80質量%以下であり、下限値は好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、また、上限値は好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、本発明における水分は、配合した水の量に限られず、他の原料由来のものも含まれる。
乳化液状調味料のpHは、例えば2.0以上4.5以下であり、下限値は好ましくは2.3以上であり、より好ましくは2.5以上であり、また、上限値は好ましくは4.3以下であり、より好ましくは4.0以下である。乳化液状調味料のpHが上記範囲内であれば、乳化液状調味料の微生物発生を制御して保存性を高めながら、乳化液状調味料の風味を良好にすることができる。なお、乳化液状調味料のpHの値は、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製卓上型pHメータF-72)を用いて測定した値である。
乳化液状調味料の25℃における粘度は特に限定されず、例えば50mPa・s以上2000Pa・s以下であり、下限値は好ましくは1000mPa・s以上であり、より好ましくは3000mPa・s以上であり、また、上限値は好ましくは1500Pa・s以下であり、より好ましくは1000Pa・s以下である。乳化液状調味料に上記数値範囲内の粘度を付与することで、乳化液状調味料の風味をより感じることができる。
なお、粘度の測定方法は、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が1000mPa・s未満のとき:ローターNo.1、1000mPa・s以上4000mPa・s未満のとき:ローターNo. 2、4000mPa・s以上10000mPa・s未満のとき:ローターNo.3、10000mPa・s以上20000mPa・s未満のとき:ローターNo.4、20000mPa・s以上40000mPa・s未満のとき:ローターNo.5を使用し、品温25℃、回転数2rpmの条件で、粘度が40Pa・s以上100Pa・s未満のとき:ローターNo.4、粘度が100Pa・s以上200Pa・s未満のとき:ローターNo.5、粘度が200Pa・s以上500Pa・s未満のとき:ローターNo.6、粘度が500Pa・s以上のとき:ローターNo.7を使用し、測定開始後ローターが1分間回転した時の示度により算出した値である。
(食用油脂)
乳化液状調味料に配合する食用油脂は、特に限定されず従来公知の食用油脂を用いることができる。具体的には、食用油脂として、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、亜麻仁油、米油、椿油、荏胡麻油、グレープシードオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル等の植物油脂、魚油、牛脂、豚脂、鶏脂、又はMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂等を用いることができる。これらの中でも植物油脂を用いることが好ましく、菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、またはこれらの混合油を用いることがより好ましい。
食用油脂の含有量は、乳化液状調味料全体に対して、例えば、10質量%以上90質量%以下であり、下限値は好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、また、上限値は好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。乳化液状調味料中の油脂の含有量が上記範囲内であれば、油由来のコク味を十分に感じることができる。
(発酵大豆水溶性多糖類)
本発明において、「発酵大豆水溶性多糖類」とは、大豆成分の発酵分解物に含まれる水溶性多糖類である。発酵大豆水溶性多糖類としては例えば、大豆由来の、ガラクツロン酸を主成分とする大豆ペクチンを麹菌などの微生物あるいは酵素によって発酵させた分解物から得られる水溶性多糖類等が挙げられる。
本発明において、乳化液状調味料には、食品や食品原料から発酵大豆水溶性多糖類として分画ないし分離したものを添加してもよいし、発酵大豆水溶性多糖類が含まれている食品や食品原料自体を添加してもよい。
また、発酵大豆水溶性多糖類が含まれている食品や食品原料としては、市販品を用いることができる。例えば、市販品としては、「大豆発酵多糖類」(ヒガシマル醤油(株)製)、「大豆発酵多糖類粉末H」(ヒガシマル醤油(株)製)等が挙げられる。乳化液状調味料には、当該市販品に含まれる発酵大豆水溶性多糖類を分画ないし分離したものを添加してもよいし、当該市販品自体を添加してもよい。
発酵大豆水溶性多糖類としては、キシロース含有量が多いもの(例えば、構成糖当たり5質量%以上、好ましくは10質量%以上30質量%以下)を用いることが好ましい。さらに、発酵大豆水溶性多糖類は、以下の特性(i)を有し、好ましくは(ii)を有する。
(i)分子量
発酵大豆水溶性多糖類の分子量は3×10以上10×10以下である。発酵大豆水溶性多糖類の分子量は、4×10以上であってもよく、また、5×10以上であってもよく、また、好ましくは5×10以下であり、より好ましくは3×10以下である。発酵大豆水溶性多糖類の分子量が上記数値範囲内であれば、長期保存後であっても、油脂由来の酸化臭の発生を抑制し、かつ、卵黄のコク味を向上することができる。
発酵大豆水溶性多糖類の分子量は従来公知の高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により測定することができる。
(ii)抗酸化活性
酸性卵黄液酸化モデル系による発酵大豆水溶性多糖類の抗酸化活性は、例えば、無添加対照区を100とした場合に対して110以上である。
発酵大豆水溶性多糖類の抗酸化活性は、好ましくは115以上であり、より好ましくは125以上である。発酵大豆水溶性多糖類の抗酸化活性が、上記数値以上であれば、長期保存後の油脂由来の酸化臭の発生を抑制することができる。
本発明において、「酸性卵黄液酸化モデル系による抗酸化活性の評価」とは、本発明者らによる文献「H. Kobayashiら、Egg white hydrolysate inhibits oxidation in mayonnaise and a model system, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 81:6, 1206-1215, (2017)、DOI: 10.1080/09168451.2017.1290519」に記載の方法に準じて行う。具体的には、酸性卵黄液酸化モデル系による発酵大豆水溶性多糖類の抗酸化活性は、以下の試験方法により行って得られた値である。
[酸性卵黄液酸化モデル系試験方法]
(1)卵黄10gを蒸留水130gで希釈した後、60℃で3分間加熱した希釈卵黄溶液を得る。この希釈卵黄溶液に氷酢酸を加えてpH4.0に調整し、酸性卵黄溶液とする(卵黄固形分1%含有)。続いて、抗酸化活性を評価する試料を蒸留水で分散した分散液を、酸性卵黄溶液に添加し、これを試験溶液とする。このとき、前記試験溶液における試料量が前記酸性卵黄溶液に含まれるFe含量の100倍となるように、前記分散液の試料濃度及び添加量を調整する(以下式)。
式:(試料量)/(前記酸性卵黄溶液のFe含量)=100(w/w)
(2)スクリューキャップ付き15mL容試験管に、前記試験溶液を10mL入れ、空気が流通する状態で、暗所、55℃にて65時間インキュベートする。ここから200μLを試験管に取り、エーテル/エタノール(1:3,v/v)混合溶液3mLを加えて撹拌後、1,200×gで5分間遠心分離する。この上清の蛍光強度(Ex360nm,Em440nm)を蛍光分光光度計にて測定する。
(3)蛍光強度は硫酸キニーネを0.1N硫酸で1μg/mLに希釈した溶液の測定値を100とした場合の相対蛍光強度値を用いる。本願発明における抗酸化活性は、以下の計算式で算出される。
抗酸化活性={(無添加対照区の相対蛍光強度)/(各試料区の相対蛍光強度)}×100
抗酸化活性は無添加対照区を100とした場合の値であり、この値が大きいほど抗酸化活性が高いことを示す。
(麹発酵大豆水溶性多糖類)
本発明において、「麹発酵大豆水溶性多糖類」とは、前記発酵大豆水溶性多糖類のうち、麹菌などの微生物あるいは酵素(例えば麹菌の生産するペクチナーゼやペクチンリアーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼなど)による発酵により得られた水溶性多糖類のことをいい、醤油に含まれているものや、醤油製造途中の大豆発酵物に含まれているもの等を用いることもできる。
麹菌としては、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)やアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等に代表される黄麹菌、アスペルギルス・リューチュウエンシス(Aspergillus luchuensis)等に代表される黒麹菌及びその変異種等が挙げられる。
(発酵大豆水溶性多糖類の含有量)
発酵大豆水溶性多糖類の含有量は、乳化液状調味料全体に対して、例えば、0.001質量%以上1.0質量%以下であり、下限値は好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.008質量%以上であり、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、さらにより好ましくは0.02質量%以上であり、特に好ましくは0.03質量%以上であり、最も好ましくは0.04質量%以上であり、また、上限値は好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以下である。また、発酵大豆水溶性多糖類は、食用油脂の含有量100質量部に対して、下限値は好ましくは0.001質量部以上であり、より好ましくは0.005質量部以上であり、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、さらにより好ましくは0.015質量部以上であり、特に好ましくは0.02質量部以上であり、最も好ましくは0.03質量部以上であり、また、上限値は好ましくは1.0質量部以下であり、より好ましくは0.9質量部以下であり、さらに好ましくは0.8質量部以下である。乳化液状調味料中の発酵大豆水溶性多糖類の含有量が上記範囲内であれば、長期保存後であっても、油脂由来の酸化臭の発生を抑制し、かつ、卵黄のコク味を向上することができる。
(卵黄)
乳化液状調味料に配合する卵黄は、乳化材として一般的に用いている卵黄であれば特に限定されるものではない。卵黄としては、例えば、鶏卵を割卵し卵白と分離して得られた生卵黄や、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。これらの卵黄は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
卵黄の含有量は、生卵黄換算で、乳化液状調味料の全量に対して、0.5質量%以上であり、下限値は好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、また、上限値は好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。卵黄の含有量が上記範囲内であれば、乳化液状調味料は保存後でも安定した乳化状態を維持し、かつ、卵黄のコク味を向上させることができる。
(酢酸)
乳化液状調味料は、酢酸をさらに配合してもよい。酢酸の含有量は、乳化液状調味料全体に対して、例えば0.1質量%以上5.0質量%以下であり、下限値は好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、上限値は好ましくは4.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下である。乳化液状調味料中の酢酸の含有量が上記範囲内であれば、乳化液状調味料の微生物発生を制御して保存性を高めながら、乳化液状調味料の風味を良好にすることができる。
(乳化材)
乳化液状調味料は、卵黄以外にも乳化材をさらに配合してもよい。乳化材としては、加工澱粉及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
乳化液状調味料に配合する加工澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉コーンスターチ(例えば、スイートコーン由来、デントコーン由来、ワキシーコーン由来のコーンスターチ)、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、及び米澱粉等に、架橋処理、エステル化処理、エーテル化処理、または酸化処理等を施したもの等が挙げられる。これらの加工澱粉は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
乳化液状調味料に配合する植物性蛋白質としては、例えば、JAS規格で定義されている、植物性蛋白質(大豆や小麦を原料として、それに加工処理を施し、蛋白質の含有率を50%以上に高めたもの)等が挙げられる。
(増粘剤)
乳化液状調味料は、粘度調節のために増粘剤をさらに配合してもよい。増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びアラビアガム等が挙げられ、キサンタンガムが好ましい。
増粘剤の含有量は、乳化液状調味料の全量に対して、例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下であり、下限値は好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、上限値は好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下である。増粘剤の含有量が上記範囲内であれば、乳化液状調味料は保存後でも安定した乳化状態を維持することができ、また、乳化液状調味料を好ましい物性とすることができる。
(食塩)
乳化液状調味料は、食塩をさらに配合してもよい。食塩の含有量は、乳化液状調味料の全量に対して、上限値は好ましくは6.0質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下であり、さらに好ましくは4.5質量%以下であり、さらにより好ましくは4.0質量%以下であり、最も好ましくは3.5質量%以下であり、また、下限値は0.1質量%以上であってもよく、0.2質量%以上であってもよく、0.5質量%以上であってもよく、1.0質量%以上であってもよい。食塩の含有量が上記範囲内であれば、風味のバランスを保ちながら、保存性を向上させることができる。なお、本発明における食塩の含有量は、配合した食塩の量に限られず、他の原料由来のものも含まれる。
(他の原料)
乳化液状調味料は、上述した原料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で液状調味料に通常用いられている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、醤油、みりん、胡麻、グルタミン酸ナトリウム、ブイヨン等の調味料、ぶどう糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、オリゴ糖、トレハロース等の糖類、からし粉、胡椒等の香辛料、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の加工澱粉以外の乳化材、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、静菌剤等が挙げられる。
<乳化液状調味料の製造方法>
本発明の乳化液状調味料の製造方法の一例について説明する。例えば、まず、清水、食酢(酢酸)、増粘剤、及び調味料等の水相原料を混合して、水相を調製する。続いて、上記で調製した水相に卵黄を加え、ミキサー等で撹拌しながら、油相原料である食用油脂を注加して粗乳化する。次に、せん断力に優れた処理機等で均質化して、水相中に油相を乳化分散させて、乳化液状調味料を得ることができる。
乳化液状調味料の製造には、通常の液状調味料の製造に使われる装置を用いることができる。このような装置としては、例えば、一般的な撹拌機、スティックミキサー、スタンドミキサー、ホモミキサー等が挙げられる。撹拌機の撹拌羽形状としては、例えばプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
<試験例1>
<大豆水溶性多糖類の準備>
・発酵大豆水溶性多糖類1:
商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))について、分子量が6×10以上10×10以下の画分に含まれる発酵大豆水溶性多糖類を発酵大豆水溶性多糖類1とした。
・発酵大豆水溶性多糖類2~4:
透析法を用いて大豆麹発酵物から水溶性多糖類画分を得て、続いて限外ろ過膜(Amicon Ultra-15 100k(排除限界分子量100,000)、Amicon Ultra-4 50k(排除限界分子量50,000) 及びAmicon Ultra-4 10k(排除限界分子量10,000)(MERCK KGaA)を用いて分子量(3×10~1×10、1×10~5×10、5×10~10×10)に応じて分画し、分子量に応じた各画分を凍結乾燥し、発酵大豆水溶性多糖類2~4とした。具体的には、技術文献(眞岸範浩、博士論文2016年「醤油醸造における大豆の分解による機能性発現と大豆アレルゲンの除去」)に記載の方法に準じて、操作を行った。
・大豆水溶性多糖類5:
商品名:SM-900(三栄源エフ・エフ・アイ(株))中に含まれる大豆水溶性多糖類を用いた。
・大豆水溶性多糖類6:
商品名:SM-1200(三栄源エフ・エフ・アイ(株))中に含まれる大豆水溶性多糖類を用いた。
<大豆水溶性多糖類の評価>
上記で準備した大豆水溶性多糖類1~6について、以下のi~iiの測定を行った。測定結果を表1に示す。なお、発酵大豆水溶性多糖類1~4のキシロース量は、構成糖当たり10質量%以上であった。また、発酵大豆水溶性多糖類1~4は麹発酵大豆水溶性多糖類であった。
(i.分子量測定)
上記大豆水溶性多糖類5及び6について、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により、下記の条件で分子量を測定した。詳細には、標準試料(昭和電工株式会社製の「Shodex STANDARD P-82」)を用いて作成した検量線に基づき、分子量を計算した。また、上記の大豆水溶性多糖類2~4の分子量も同様の条件で測定して、分画した分子量であることを確認した。測定結果を表1に示した。さらに、上記「商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))」について商品自体、及びこれを大豆水溶性多糖類2~4と同様の限外ろ過膜で分画したもの、について同様の条件で測定し、大豆水溶性多糖類1が特定量含まれていることを確認した。
(HPLC条件)
・カラム:TSKgel guardcolumn PWXL、TSKgel 3000PWXL、TSKgel 2500PXWL(いづれも東ソー製)を順に接続して使用した。
・溶離液:0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)
・流量:0.3ml/min
・検出器:RI検出器Waters2414(Waters(株)製)
(ii.抗酸化活性測定)
上記大豆水溶性多糖類1~6について、酸性卵黄液酸化モデル系による抗酸化活性を、以下の方法により測定した。測定結果を表1に示した。
[試験方法]
(1)卵黄10gを蒸留水130gで希釈した後、60℃で3分間加熱した希釈卵黄溶液を得る。この希釈卵黄溶液に氷酢酸を加えてpH4.0に調整し、酸性卵黄溶液とする(卵黄固形分1%含有)。続いて、抗酸化活性を評価する試料を蒸留水で分散した分散液を、酸性卵黄溶液に添加し、これを試験溶液とする。このとき、前記試験溶液における試料量が前記酸性卵黄溶液に含まれるFe含量の100倍となるように、前記分散液の試料濃度及び添加量を調整する(以下式)。
式:(試料量)/(前記酸性卵黄溶液のFe含量)=100(w/w)
(2)スクリューキャップ付き15mL容試験管に、前記試験溶液を10mL入れ、軽く蓋をし(空気が流通する状態)、暗所、55℃にて65時間インキュベートする。この試験溶液から200μLを試験管に取り、エーテル/エタノール(1:3,v/v)混合溶液3mLを加えて撹拌後、1,200×gで5分間遠心分離する。この上清の蛍光強度(Ex360nm,Em440nm)を蛍光分光光度計にて測定する。
(3)蛍光強度は硫酸キニーネを0.1N硫酸で1μg/mLに希釈した溶液の測定値を100とした場合の相対蛍光強度値を用いる。本願発明における抗酸化活性は、以下の計算式で算出される。
抗酸化活性={(無添加対照区の相対蛍光強度)/(各試料区の相対蛍光強度)}×100
この値が大きいほど抗酸化活性が高いことを示す。
なお発酵大豆水溶性多糖類1については、「商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))」について試料量と蛍光強度に係る検量線を作成したうえで、当該検量線と、「商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))」中に含まれる発酵大豆水溶性多糖類1の量で換算したものに基づき、算出した。「商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))」中に含まれる発酵大豆水溶性多糖類1の量は、限外ろ過膜を用いて分画した画分を前記HPLC法にて測定した値に基づき算出した。
Figure 0007496915000001
<試験例2>
<乳化液状調味料(マヨネーズ様調味料)の製造>
[実施例1~16、比較例1~4]
表2乃至4に記載の配合割合に準じて、乳化液状調味料を製造した。具体的には、まず、食用植物油脂(大豆油)、食酢(酢酸含有量4%)、発酵大豆水溶性多糖類または大豆水溶性多糖類またはEDTA・Ca2Na、食塩、香辛料、卵黄、及び必要に応じてキサンタンガム等を均一になるように混合して、水相を調製した。その後、調製した水相を撹拌しながら食用植物油脂(大豆油)を注加して乳化し、マヨネーズ様の乳化液状調味料を製造した。
発酵大豆水溶性多糖類1は、分子量が6×10以上10×10以下の分画に含まれる発酵大豆水溶性多糖類が表2に記載の量含まれるように、「商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))」を配合した。「商品名:大豆発酵多糖類粉末H(ヒガシマル醤油(株))」中に含まれる発酵大豆水溶性多糖類1の量は、限外ろ過膜を用いて分画した画分を前記HPLC法にて測定した値に基づき算出した。
<乳化液状調味料の評価>
(pHの測定)
上記で得られた乳化液状調味料について、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製卓上型pHメータF-72)を用いて、pHを測定した。乳化液状調味料のpHは、いずれも2.5以上4.3以下であった。
(粘度の測定)
上記で得られた乳化液状調味料について、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が1000mPa・s未満のとき:ローターNo.1、1000mPa・s以上4000mPa・s未満のとき:ローターNo. 2、4000mPa・s以上10000mPa・s未満のとき:ローターNo.3、10000mPa・s以上20000mPa・s未満のとき:ローターNo.4、20000mPa・s以上40000mPa・s未満のとき:ローターNo.5を使用し、品温25℃、回転数2rpmの条件で、粘度が40Pa・s以上100Pa・s未満のとき:ローターNo.4、粘度が100Pa・s以上200Pa・s未満のとき:ローターNo.5、粘度が200Pa・s以上500Pa・s未満のとき:ローターNo.6、粘度が500Pa・s以上のとき:ローターNo.7を使用し、測定開始後ローターが1回転した時の示度により算出した。測定結果を表2乃至4に示した。
(官能評価)
上記で得られた乳化液状調味料について、複数(4人)の訓練されたパネルにより、下記の基準で、「油脂由来の酸化防止(酸化臭の抑制)」及び「卵黄のコク味向上」の効果を官能評価した。なお、卵黄のコク味向上の評価には、製造直後の各実施例及び比較例の乳化液状調味料を対照品として、暗所にて25℃で3か月保存後の各実施例及び比較例の乳化液状調味料の卵黄のコク味向上の効果を評価した。酸化防止の評価には、発酵大豆水溶性多糖類または大豆水溶性多糖類またはEDTA・Ca2Naを清水で置き換えたものを対照品として、暗所にて25℃で3か月保存後の各実施例、比較例、及び対照品の乳化液状調味料を評価した。評価結果の平均値を表2乃至4に示した。評価結果の平均値が2点以上であれば、合格である。
[油脂由来の酸化防止(酸化臭の抑制)効果の評価基準]
5:対照品と比較し、酸化防止(酸化臭の抑制)効果を非常に良く感じた。
4:対照品と比較し、酸化防止(酸化臭の抑制)効果を良く感じた。
3:対照品と比較し、酸化防止(酸化臭の抑制)効果を感じた。
2:対照品と比較し、酸化防止(酸化臭の抑制)効果を多少感じた。
1:対照品と比較しても、酸化防止(酸化臭の抑制)効果を感じ無かった。
[卵黄のコク味向上の評価基準]
4:対照品と比較し、卵黄のコク味が非常に向上していた。
3:対照品と比較し、卵黄のコク味が良く向上していた。
2:対照品と比較し、卵黄のコク味が向上していた。
1:対照品と比較しても、卵黄のコク味が向上していなかった。
Figure 0007496915000002
Figure 0007496915000003
Figure 0007496915000004
表2及び3に示す通り、実施例1~16の乳化液状調味料はいずれも、長期保存後の酸化臭の発生を抑制し、かつ、卵黄のコク味が向上していた。但し、実施例8及び9で製造した乳化液状調味料は、保存後の褐変が顕著であった。さらに、実施例9で製造した乳化液状調味料は、保存後に発酵大豆水溶性多糖類1由来の大豆臭が強く感じられた。
一方、表4に示す通り、比較例1の乳化液状調味料は、長期保存後に卵黄のコク味は向上していなかった。比較例2及び3の乳化液状調味料は、いずれも、長期保存後に酸化臭が発生し、かつ、卵黄のコク味は向上していなかった。また、比較例4の乳化液状調味料は、長期保存後に酸化臭が発生していた。

Claims (9)

  1. 少なくとも、食用油脂及び水を含有する乳化液状調味料(但し、醤油を含む乳化液状調味料を除く)であって、
    前記乳化液状調味料が、分子量が3×10 以上10×10 以下である発酵大豆水溶性多糖類及び卵黄をさらに含み、
    前記卵黄の含有量が、生卵黄換算で、前記乳化液状調味料全体に対して0.5質量%以上であことを特徴とする、
    乳化液状調味料。
  2. 少なくとも、食用油脂及び水を含有する乳化液状調味料(但し、醤油を含む乳化液状調味料を除く)であって、
    前記乳化液状調味料が、分子量が3×10 以上10×10 以下である発酵大豆水溶性多糖類及び卵黄をさらに含み、
    前記卵黄の含有量が、生卵黄換算で、前記乳化液状調味料全体に対して0.5質量%以上であり
    前記発酵大豆水溶性多糖類の含有量が、前記食用油脂の含有量100質量部に対して0.001質量部以上であることを特徴とする、
    乳化液状調味料。
  3. 少なくとも、食用油脂及び水を含有する乳化液状調味料(但し、醤油を含む乳化液状調味料を除く)であって、
    前記乳化液状調味料が、分子量が3×10 以上10×10 以下である発酵大豆水溶性多糖類及び卵黄をさらに含み、
    前記卵黄の含有量が、生卵黄換算で、前記乳化液状調味料全体に対して0.5質量%以上であり
    前記発酵大豆水溶性多糖類の含有量が、前記乳化液状調味料全体に対して0.001質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする、
    乳化液状調味料。
  4. 前記発酵大豆水溶性多糖類が、麹発酵大豆水溶性多糖類であることを特徴とする、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化液状調味料。
  5. 前記発酵大豆水溶性多糖類が、下記の特性:
    ii)下記の酸性卵黄液酸化モデル系の試験方法で評価した発酵大豆水溶性多糖類の抗酸化活性は、無添加対照区を100とした場合に対して110以上であること、
    を有することを特徴とする、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化液状調味料。
    [酸性卵黄液酸化モデル系の試験方法]
    (1)卵黄10gを蒸留水130gで希釈した後、60℃で3分間加熱した希釈卵黄溶液を得る。この希釈卵黄溶液に氷酢酸を加えてpH4.0に調整し、酸性卵黄溶液とする(卵黄固形分1%含有)。続いて、抗酸化活性を評価する試料を蒸留水で分散した分散液を、酸性卵黄溶液に添加し、これを試験溶液とする。このとき、前記試験溶液における試料量が前記酸性卵黄溶液に含まれるFe含量の100倍となるように、前記分散液の試料濃度及び添加量を調整する(以下式)。
    式:(試料量)/(前記酸性卵黄溶液のFe含量)=100(w/w)
    (2)スクリューキャップ付き15mL容試験管に、前記試験溶液を10mL入れ、空気が流通する状態で、暗所、55℃にて65時間インキュベートする。この試験溶液から200μLを試験管に取り、エーテル/エタノール(1:3,v/v)混合溶液3mLを加えて撹拌後、1,200×gで5分間遠心分離する。この上清の蛍光強度(Ex360nm,Em440nm)を蛍光分光光度計にて測定する。
    (3)蛍光強度は硫酸キニーネを0.1N硫酸で1μg/mLに希釈した溶液の測定値を100とした場合の相対蛍光強度値を用いる。本願発明における抗酸化活性は、以下の計算式で算出される。
    抗酸化活性={(無添加対照区の相対蛍光強度)/(各試料区の相対蛍光強度)}×100
  6. 前記乳化液状調味料のpHが2.0以上4.5以下であることを特徴とする、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化液状調味料。
  7. 前記乳化液状調味料が、マヨネーズ様調味料であることを特徴とする、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化液状調味料。
  8. 請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化液状調味料を含有する食品。
  9. 少なくとも、卵黄、食用油脂及び水を含有する乳化液状調味料の製造方法であって、
    食品または食品原料から分画ないし分離された発酵大豆水溶性多糖類を用い、
    前記乳化液状調味料に、分子量が3×10 以上10×10 以下である発酵大豆水溶性多糖類を添加することを含み、
    前記卵黄の含有量が、生卵黄換算で、前記乳化液状調味料全体に対して0.5質量%以上であることを特徴とする、
    乳化液状調味料の製造方法。
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