JPH0530890A - スポンジケーキ用水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

スポンジケーキ用水中油型乳化油脂組成物

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JPH0530890A
JPH0530890A JP3216099A JP21609991A JPH0530890A JP H0530890 A JPH0530890 A JP H0530890A JP 3216099 A JP3216099 A JP 3216099A JP 21609991 A JP21609991 A JP 21609991A JP H0530890 A JPH0530890 A JP H0530890A
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剛 大西
Yoshiyuki Yamane
義之 山根
Hiroko Matsuzaki
博子 松崎
Kazunari Sato
一成 佐藤
Shoichi Kato
正一 加藤
Kan Hirakawa
完 平川
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 上昇融点(mp)が25℃以下の油脂35〜
75重量%を、乳化活性指数が100m2/g以上のタン
パク質0.1〜2.0重量%で乳化したことを特徴とす
るスポンジケーキ用水中油型乳化油脂組成物。 【効果】 焼成前の生地を安定化させ、且つ焼成後のス
ポンジケーキは焼きむらがなく、組織がソフトでしっと
りし良好な食感を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スポンジケーキ用水中
油型乳化油脂組成物に関し、更に詳しくは、デコレーシ
ョンケーキ等に用いられるスポンジ台、ロールケーキ、
オムレット等の様なスポンジ状焼成菓子(以下、スポン
ジケーキ類と称する)の生地調製時に添加すると、焼成
前においては、その生地が安定になり、また焼成後にお
いては、焼きむらが少なく、ケーキ組織がソフトでしっ
とりしたケーキを提供するスポンジケーキ用水中油型乳
化油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、製菓業界においては、主にスポン
ジケーキ類を大量生産する場合、主原料である卵、砂
糖、小麦粉に乳化剤を主成分とする乳化脂を加え、全材
料を一度にミキシングするいわゆるオールインミックス
法によって生地を大量に、かつ短時間に調製し、金属製
の型に流し込んで焼成して製造している。この際、生地
調製時に食用油を添加すると、焼成後のスポンジケーキ
類の組織がソフトになり、口溶けが良くなり、さらには
スポンジケーキの日持ち性が向上することが知られてお
り〔「パン(Pain)」,32,44,1985〕、広く
用いられている。
【0003】しかしながら大量生産の場合、生地を調製
する際のミキシング時間が短時間であるため、応々にし
てミキシング不足が生じたり、あるいは何らかの製造上
の都合で生地を調製してから焼成するまで時間がかかっ
たりする場合が生じる。この様な場合、調製した生地が
変化を起こし、添加した食用油の分離や、分離に伴う組
織状態の変化が生じ、焼成後のスポンジケーキ類に焼き
むら、油のにじみ等の品質劣化や品質のバラツキが生じ
ることが問題になっている。さらに、この傾向は消費者
の嗜好がより高度になり油脂添加量が増加した近年、更
に顕著になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら食用油によるス
ポンジケーキ類の性状改善効果を効率よく得るために、
スポンジケーキ用油脂組成物として要求される最も重要
な機能は、生地が短時間で調製され、且つその生地が安
定であることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み上記課題を解消するため鋭意研究の結果、特定
のタンパク質で乳化された水中油型乳化油脂組成物を生
地調製時に用いることにより、上記焼成後のスポンジケ
ーキ類の品質劣化、バラツキ等の問題が解決され、さら
には、従来の食用油を用いた場合より焼成後のケーキの
水分保持量が高く、ケーキ組織がソフトでしっかりした
ものが得られることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0006】即ち、本発明は上昇融点(mp)が25℃
以下の油脂35〜75重量%を、乳化活性指数が100
m2/g以上のタンパク質0.1〜2.0重量%で乳化し
たことを特徴とするスポンジケーキ用水中油型乳化油脂
組成物を内容とするものである。
【0007】本発明の最大の特徴は、油脂を特定のタン
パク質によって乳化し、水中油型乳化油脂組成物の形態
で生地調製時に添加することにより、油脂が生地のすみ
ずみに均一に分散され、短時間で生地の調製が可能とな
り、且つ生地が安定となることにある。
【0008】図1、2は、コーン油、コーン油をグ
リセリン脂肪酸エステルで水中油型乳化とした油分60
%の乳化剤エマルジョン、コーン油をタンパク質(ミ
ルクホエー)で水中油型乳化とした油分60%のタンパ
ク質エマルジョンを、それぞれ油分、水分が同一量とな
る様添加した際の生地調製過程と生地安定性を示したも
のである。図1、2に見られるように、水中油型乳化油
脂組成物であり、且つタンパク質で乳化されているとい
う条件が満たされなければ上記特性が得られない。
【0009】本発明において用いる油脂の量は、35〜
75重量%である。35重量%より少ないとケーキが硬
く食感が悪くなり、一方、75重量%を超えると乳化油
脂組成物の乳化安定性が悪くなる。また、卵、砂糖、小
麦粉および乳化脂等を混合した生地全体の水分、油分、
粘度等を考慮すると、実用上は油脂の量は50〜75重
量%が好ましい。
【0010】食用油脂は、具体的にはコーン油、ナタネ
油、ダイズ油等であり、これらを単独又は2種以上を組
み合わせて用いればよく、その種類は特に問わないが、
スポンジケーキの生地中の気泡の安定性と生地作成時の
作業性を考慮すると、上昇融点が25℃以下の油脂が用
いられる。
【0011】本発明において用いるタンパク質は、乳化
活性指数が100m2/g以上のタンパク質である。乳化
活性指数とは、タンパク質1g当りで生成した安定な界
面の表面積を示す〔「バイオケミストリー・バイオフィ
ジックス・アクタ(Biochem.Biophys. Acta)」:62
4,13(1980),「ジャーナル・オブ・アグリカ
ルチュラル・フード・ケミストリー(J. Agric. Food C
hem.)」:26,716(1978)〕。乳化活性指数
100m2/g未満のタンパク質で乳化した油脂組成物を
添加した場合、ホイップ時間が長くなり、且つ油脂によ
る充分な性状改善効果が得られない。
【0012】本発明に用いるタンパク質を具体的に示せ
ば、カゼインナトリウム、ミルクホエー、ラクトグロブ
リン等の乳タンパク質、牛血清アルブミン等の動物性タ
ンパク質、及びこれらを含有する物質である。また、タ
ンパク質を加水分解、化学修飾する等によって乳化活性
指数を100m2/g以上に処理したタンパク質を使用す
ることも可能である。これらを組成物中にタンパク質と
して0.1〜2.0重量%含有せしめる。このタンパク
質の含有量は、油脂含量と水中油型乳化油脂組成物自体
の粘度及び安定性との兼ね合いによって決定される。
0.1重量%より少ないと乳化が充分でなく、2.0重
量%を超えると増粘して実用上使用できない。
【0013】また本発明において、組成物自体の製造時
から使用時に至る乳化安定性を乳化剤を添加することに
より強化することが可能である。この乳化剤の添加量は
0.03〜0.5重量%であることが好ましい。乳化剤
の使用量が0.03重量%より少ないと充分な添加効果
が得られず、0.5重量%を超えると、逆にスポンジケ
ーキ生地の起泡を阻害しミキシング時間が長くなる。
【0014】乳化剤は乳化安定性が得られ、且つスポン
ジケーキ生地の気泡が阻害しないものであれば種類を問
わないが、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステルを単独又は併用、又はこれらと他の食品
用乳化剤との併用が最も好ましい。他の食品用乳化剤、
例えばショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、リン脂質等
を用いても可能ではあるが、油脂組成物中の油脂含量が
60重量%を超えると、グリセリン脂肪酸エステル及び
/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを含まない場合、
乳化安定性が低下し安定な乳化油脂組成物を得ることが
困難な場合がある。
【0015】また、本発明の油脂組成物中には、嗜好を
高める目的で上記タンパク質以外の乳製品、例えば醗酵
乳、クリーム、あるいは種々の香料、呈味材料等を、タ
ンパク質の分散性を調整する目的で各種塩類を、組成物
の粘度等を調整する目的で各種増粘多糖類をそれぞれ添
加することが可能である。
【0016】本発明による水中油型乳化油脂組成物の製
造方法は、まず所定量の水にタンパク質と香料等、使用
する添加物のうち水溶性のものを、たとえば60℃に加
温しながら完全に溶解して水相を調製する。これとは別
に油脂を、たとえば60℃に加温し、油溶性の添加物を
添加し油相を調製する。次いで上記の水相と油相とを混
合攪拌して予備乳化を行なった後、均質機を用いて、た
とえば100kg/cm2 の圧力にて均質化後ただちに0〜
15℃まで冷却し水中油型の乳化油脂組成物を得る。さ
らに、この水中油型乳化組成物を殺菌するには、均質化
の前に、たとえば蒸気直接滅菌(UHT殺菌)処理装置
等を用いて加熱殺菌し、その後均質化、冷却を行なえば
よい。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0018】実施例1 コーン油 60重量% ミルクホエー(乳化活性指数:119) 1.0重量% モノグリセライド 0.1重量% リン酸塩 0.05重量% 水 残量 上記配合のうち、まず水を攪拌しながらこれにミルクホ
エー、リン酸塩を加え約60℃に加温して溶解した。こ
れとは別にコーン油を約60℃に加温しモノグリセライ
ドを加え溶解した。この水相と油相とを約60℃で20
分間混合攪拌したのち、UHT殺菌処理装置で140
℃、4秒間殺菌した。そのものを70℃前後まで冷却し
たのち、均質圧力100kg/cm2 で均質化しその後プレ
ート式冷却機で10℃まで急冷して水中油型乳化油脂組
成物を得た。
【0019】この油脂組成物を用いて、下記配合にてス
ポンジケーキを作製した。 小麦粉(薄力粉) 1kg 砂糖 1.1kg 全卵 1.5kg ベーキングパウダー 10g 起泡性乳化脂 120g 油脂組成物 500g 20コートミキサーボウルの中に全卵、砂糖、油脂組成
物、起泡性乳化脂、小麦粉、ベーキングパウダーの順に
添加し混合後、ワイヤーホイッパーにて高速でホイップ
し、生地比重0.45の生地を得た。この生地は、ホイ
ップ時間が短時間で且つ安定であった。得られた生地を
直径21cmの金属製ケーキ型に480gはかり取り、1
70℃に設定したオーブンで40分間焼成しスポンジケ
ーキを得た。このスポンジケーキは表1に示すように、
油にじみや焼きむらがなくソフトでしっとりしたもので
あった。
【0020】実施例2 ナタネ油(mp 0〜−12℃) 60重量% ミルクホエー 1.0重量% モノグリセライド 0.1重量% 水 残量 上記配合で実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成
物を作製し、同様にスポンジケーキを得た。このスポン
ジケーキは実施例1で得られたものと同様に良好なもの
であった。
【0021】実施例3 実施例1においてミルクホエーの替わりにカゼインナト
リウム(乳化活性指数:149)を1.0重量%用いた
他は実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を作
製し、この油脂組成物を用いて実施例1と同じ配合、方
法にて同様に良好なスポンジケーキを得た。
【0022】実施例4 実施例1においてミルクホエーの替わりに7.9モルの
ドデシル硫酸基を導入したオボアルブミン(乳化活性指
数:120)を0.3重量%用いた他は実施例1と同様
にして水中油型乳化油脂組成物を作製し、この油脂組成
物を用いて実施例1と同じ配合、方法にて同様に良好な
スポンジケーキを得た。
【0023】実施例5〜8、比較例1〜4 表1に示したように、油脂の種類、含量、タンパク質及
び乳化剤の含量を変えて実施例1と同様の方法でスポン
ジケーキの作成を行なった。その結果を実施例1の結果
とともに表1に示す。
【0024】比較例5 実施例1の乳化油脂組成物と同じ配合で、水相と油相を
乳化せず別々にスポンジ生地に添加し実施例1と同じ方
法にてスポンジケーキを得た。生地のホイップ時間は3
分53秒であった。この生地を焼成したスポンジケーキ
は油にじみ、焼きむらがあり、ケーキはかたく(53.
0g/cm2 )、水分残存量は少なかった(89.3
%)。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】叙上の通り、本発明の水中油型乳化油脂
組成物は、焼成前にあっては生地を安定化させるととも
に、焼成後にあっては焼きむらが少なく、組織がソフト
で且つしっとりとしたスポンジケーキを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】生地調製時間と生地比重との関係を示すグラフ
である。
【図2】生地調製後の時間と生地粘度との関係を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 正一 兵庫県明石市二見町西二見157−100 (72)発明者 平川 完 兵庫県高砂市西畑3丁目6−8

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上昇融点(mp)が25℃以下の油脂3
    5〜75重量%を、乳化活性指数が100m2/g以上の
    タンパク質0.1〜2.0重量%で乳化したことを特徴
    とするスポンジケーキ用水中油型乳化油脂組成物。
  2. 【請求項2】 乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステ
    ル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを0.03
    〜0.5重量%含む請求項1記載の組成物。
JP3216099A 1991-07-31 1991-07-31 スポンジケーキ用水中油型乳化油脂組成物 Expired - Lifetime JP2978604B2 (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003047354A1 (en) * 2001-12-07 2003-06-12 Campina B.V. Method for preparing cake batter
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