JPH1028527A - 多重乳化型油脂組成物、その製造法および用途 - Google Patents

多重乳化型油脂組成物、その製造法および用途

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JPH1028527A
JPH1028527A JP8190545A JP19054596A JPH1028527A JP H1028527 A JPH1028527 A JP H1028527A JP 8190545 A JP8190545 A JP 8190545A JP 19054596 A JP19054596 A JP 19054596A JP H1028527 A JPH1028527 A JP H1028527A
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oil
fat
water
emulsified
flavor
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JP8190545A
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Naoko Sugiura
直子 杉浦
Kengo Toyoda
建吾 豊田
Takashi Matsusue
隆志 松末
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Original Assignee
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼き残り風味良好な製菓製パンを得ることが
できる多重乳化型油脂組成物の提供。 【解決手段】 乳化剤を含み、油相部と水相部からなる
乳化油脂組成物において、最内相が水溶性香料または水
溶性呈味素材を含有する水相部であり、その外側に順次
食用油脂の油相部、水相部および食用油脂の油相部から
なることを特徴とする多重乳化型油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳製品、果汁、発
酵液等の水溶性呈味素材または水溶性香料を含有し、主
として製菓製パン分野において使用される、焼き残り風
味の良好な製菓製パン用多重乳化型油脂組成物、その製
造方法および用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来菓子類やパン類の製造において、風
味の付与を目的に乳製品、果汁、発酵液等の素材を配合
するが、製造工程中の加熱等により、素材の風味が損な
われてしまったり、失われてしまい焼き残り風味の良好
な菓子、パンが得られなかった。この改善のために、香
料や呈味素材を濃縮して風味強化を図ったり、乳化物に
して分散をよくして使用する等の方法が採られている
が、いずれも、充分な効果が得られず、これらを配合し
て、菓子、パンの製造を行うと加熱による香料や呈味素
材の風味が変性してしまい、焼成品において、素材の持
つ本来の風味を充分に有効に活かすことが出来なかっ
た。特開昭58−198244号公報では、O/W/O
型の2重型乳化組成物の最内相に油溶性の香料もしく
は、風味油脂を含有させることにより、その風味の焼き
残りが向上することが記載されている。しかしながら、
この方法では油溶性の風味成分しか使用できず、またそ
の焼成時の風味変化の防止も充分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、乳製
品、果汁、発酵液等の呈味素材や香料等が、製菓製パン
工程中において受ける、風味および呈味の劣化を防止
し、且つ、焼成品において素材の持つ風味を効果的に活
かす多重乳化型油脂組成物を提供するものである。本発
明者らは特定の多重乳化型油脂組成物を使用した菓子、
パンの製造において、素材の風味を本来のままの状態で
最大限に活かした、焼き残り風味良好な製品が得られる
ことを見いだし、この知見にもとづいて本発明を完成す
るに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は乳化剤を
含み、油相部と水相部とからなる乳化油脂組成物におい
て、最内相が水溶性香料または水溶性呈味素材を含有す
る水相部であり、その外側に順次食用油脂の油相部、水
相部および食用油脂の油相部からなることを特徴とする
多重乳化型油脂組成物である。本発明の第2は水溶性香
料または水溶性呈味素材を含有する水溶液を、乳化剤を
溶解した食用油脂に乳化させて油中水型(W/O型)乳
化液を調製し、この乳化液を乳化剤を含有する水溶液に
乳化させW/O/W型乳化液を得、さらに食用油脂にこ
のW/O/W型乳化液を加えて乳化することからなるW
/O/W/O型の乳化構造を有する多重乳化型油脂組成
物の製造方法である。また、本発明の第3は上記多重乳
化型油脂組成物である製菓製パン用油脂組成物であり、
本発明の第4はその油脂組成物を使用して製造した菓
子、パンである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の多重乳化型油脂組成物の
最内水相(W1)は、香料または呈味素材として利用さ
れる水溶性のもので、食用として供されるものであれ
ば、特にこれを制限しない。ここで水溶性とは、文字ど
おりの水溶性以外に水系物質に均一に分散するものも含
む意味である。水溶性香料としては、具体的に例えば、
ミルクフレーバー、オニオンフレーバー、バターフレー
バー、アーモンド、シナモン、ガーリック、レモン、ジ
ンジヤー、セイジ等がある。水溶性呈味素材としては、
具体的に例えば、乳および乳製品、各種果汁、発酵液、
調味品、各種エキス類、香辛料、旨好飲料等を挙げるこ
とが出来る。本発明では、上記の呈味素材をそのまま最
内水相(W1)とするか、あるいはこれを水に分散、溶
解させて最内水相(W1)とする。本発明の多重乳化型
油脂組成物の中間油相部(O1)は、食用油脂であり、
乳化剤を溶解させたものでもよい。用いる食用油脂は、
具体的に例えば、牛脂、豚脂、魚油、パーム油、ナタネ
油、大豆油などの天然動植物油脂、および、これらの硬
化油、エステル交換油、ウィンタリング油、調整乳脂、
乳脂、バターなどであり、これらを単独または混合して
使用することができる。また、中間水相部(W2)に
は、水に乳化剤を分散、溶解させるが、この他に必要に
より呈味素材等を添加することができる。呈味素材とし
ては、水溶性或いは水系物質に均一に分散する素材で、
食用ものであればよい。すなわち、前記W1相に使われ
ているものが使用できる。
【0006】本発明の多重乳化型油脂組成物において、
外部油相部(O2)に使用する食用油脂は、前記O1で
使われるものが使用できる。さらに酸化防止を目的とし
たトコフェロール、着色を目的としたβ−カロチン、風
味向上を目的としたフレーバー類なども添加することが
できる。
【0007】本発明の多重乳化型油脂組成物において、
目的とする良好な焼き残り風味を得るためには、組成物
の乳化安定性が良好であることが必要である。乳化安定
性が低いと、最内水相部(W1)と中間水相部(W2)
が融合してしまい、本発明の効果が減少する。本発明で
はこの乳化安定性を付与するため、中間油相(O1)お
よび中間水相(W2)に乳化剤を使用した方がよい。中
間油相(O1)に使用する乳化剤としては、例えばHL
B値が7以下のグリセリン脂肪酸エステルまたは蔗糖脂
肪酸エステルを単独あるいは混合して使用することが望
ましい。また、中間水相(W2)に使用する乳化剤とし
ては、例えばHLB値が6以上のグリセリン脂肪酸エス
テルまたは蔗糖脂肪酸エステルを単独あるいは混合して
使用することができる。ここで、グリセリン脂肪酸エス
テルとしては、具体的に例えば、モノグリセリド、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノ
レイン酸エステルおよび酢酸、乳酸、クエン酸、酒石
酸、コハク酸などの有機酸モノグリセライドを使用する
ことができる。
【0008】また、外部油相部(O2)においても、必
要に応じて乳化剤を使用することができる。外部油相部
(O2)に使用する乳化剤としては、HLB値は1〜6
の範囲が好ましく、具体的に例えば、レシチン、グリセ
リン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル
などを単独または混合して使用する。
【0009】本発明の多重乳化型油脂組成物において、
中間油相部(O1)における乳化剤の含有量は、通常
0.1〜5重量%であり、好ましくは0.4〜3重量%
である。 中間油相部(O1)の乳化剤の含有量が0.
1重量%未満であると、安定な乳化状態が得られない傾
向にあり、5重量%を越えて添加しても乳化安定性は向
上せず、風味の面で悪影響を及ぼす。本発明の多重乳化
型油脂組成物において、中間水相部(W2)における乳
化剤の含有量は、通常0.1〜3重量%、好ましくは
0.2〜1.5重量%である。中間水相部(W2)の乳
化剤の含有量が0.1重量%未満では、安定な乳化状態
が得られない傾向にあり、3重量%を越えて添加しても
乳化安定性は向上せず、風味の面で悪影響を及ぼす。
【0010】本発明の多重乳化型油脂組成物において、
最内水相部(W1)と中間油相部(O1)比率は、重量
比でW1相/O1相=10/90〜90/10の範囲が
好ましい。さらに、これとW2相の比率は重量比で(W
1/O1)/W2=10/90〜90/10の範囲が好
ましい。さらに、これとO2相の比率については、重量
比で(W1/O1/W2)/O2=10/2から1/4
00とすることが好ましい。特に好ましくは(W1/O
1/W2)/O2=2/10〜8/10である。
【0011】つぎに本発明の多重乳化型油脂組成物の製
造方法について説明する。まず、W1/O1型乳化液を
調整する。すなわち呈味素材を含有した最内水相部(W
1)を構成することになる水溶液を中間油相部(O1)
を構成することになる食用油脂に添加し、攪拌機を用い
てW/O型エマルションに予備乳化したのち、高圧均質
機、コロイドミル、膜乳化機等の乳化機により均質化し
て乳化液とする。次に、上記により得たW1/O1乳化
液を中間水相部(W2)を構成することになる水溶液に
添加して、攪拌機によりW/O/W型エマルションに予
備乳化したのち、同様に乳化機で処理してW/O/W型
乳化液を得る。さらに、W1/O1/W2型乳化液を外
部油相(O2)を構成することになる食用油脂に添加
し、攪拌機を用いて均一に乳化した後、急冷捏和装置に
より可塑化して、本発明の多重乳化型油脂組成物を得こ
とができる。上記の工程中、必要に応じて殺菌を行うこ
とも可能である。なお、菓子、パンの製造法において
は、ストレート法や中種法など通常の方法を使用する。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例により詳
細に説明する。 実施例1 下記の配合組成により、下記に示す方法で多重乳化型油
脂組成物を製造した。最内水相部となるW1および中間
油相部となるO1をそれぞれ68℃に加熱し、攪拌機
(スリーワンモーター:Heidon製)を用いて攪拌
しながら、O1にW1を徐々に加えて乳化させ、そのま
ま15分間予備乳化を続けた。次いで、このW/O型予
備乳化物を高圧均質機を用い、均質圧150kg/cm
2 で均質化後、20℃以下に急冷し、W1/O1型乳化
液を得た。次いで、中間水相部となるW2を70℃に加
熱し、これに上記のW1/O1型乳化液を徐々に加え、
溶液の温度を65℃に保った状態で攪拌しながら20分
間乳化した後、高圧均質機を用いて、均質圧150kg
/cm2 で均質化し、W1/O1/W2型乳化液を得
た。さらに外部油相部となるO2を68℃に加熱し、こ
れに65℃に保った上記のW1/O1/W2型乳化液を
徐々に加え、攪拌しながら20分間乳化したのち、急冷
捏和装置にて可塑化して、W1/O1/W2/O2型の
多重乳化型油脂組成物を得た。 [配合組成] W1 オレンジ果汁 10kg O1 菜種白絞油 6kg 蔗糖ステアリン酸エステル 0.4kg (HLB値1) ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.16k
g W2 水 30kg ポリグリセリンモノステアレート 0.2kg (HLB値11) 蔗糖ステアリン酸エステル 0.16kg (HLB値15) O2 魚油硬化油(融点36℃) 160kg 菜種白絞油 40kg グリセリンモノステアレート 0.1kg (HLB値4) レシチン 0.1kg 蔗糖パルミチン酸エステル 0.1kg (HLB値1) β−カロチン 0.001kg
【0013】実施例2 下記の配合により、実施例1と全く同じ操作を繰り返し
て多重乳化型油脂組成物を製造した。 [配合組成] W1 液状ヨーグルト 80kg O1 大豆硬化油(融点30℃) 40kg 蔗糖オレイン酸エステル 1.8kg (HLB値2) クエン酸ステアリン酸モノグリセリド0.2kg (HLB値3) W2 水 60kg 脱脂粉乳 2kg 液状ヨーグルト 20kg ポリグリセリンモノオレート 0.16kg (HLB値13) 蔗糖ステアリン酸エステル 0.24kg (HLB値11) O2 菜種硬化油(融点36℃) 180kg 菜種白絞油 20kg レシチン 0.2kg プロピレングリコール酸モノステアレート (HLB値4) 0.2kg ミルクフレーバー 0.04kg
【0014】実施例3 下記の配合により、実施例1と全く同じ操作を繰り返し
て多重乳化型油脂組成物を製造した。 [配合組成] W1 オニオンパウダー 1kg ローストオニオンフレーバー 1kg 水 6kg O1 ラード 12kg 蔗糖ステアリン酸エステル 1.48kg (HLB値5) ポリグリセリンオレイン酸エステル 1.2kg (HLB値3) W2 水 10kg 全脂乳 10kg クエン酸オレイン酸モノグリセリド 1kg (HLB値6) O2 調整乳脂 80kg パーム油 80kg 大豆白絞油 40kg グリセリンモノステアレート 0.2kg (HLB値4) ローストオニオンフレーバー 0.02kg β−カロチン 0.002kg
【0015】比較例1 呈味成分が実施例1と同量になるような配合で、通常の
W/O型乳化タイプの油脂組成物を製造した。すなわ
ち、下記の油相部および水相部の配合でそれぞれ70℃
に加熱し、油相に水相を混合し、20分間予備乳化した
後、急冷捏和装置により可塑化して、油中水型油脂組成
物を得た。 [配合組成] 水相部 オレンジ果汁 8.44kg 油相部 魚油硬化油(融点36℃) 160kg 菜種白絞油 40kg グリセリンモノステアレート 0.1kg (HLB値4) レシチン 0.1kg 蔗糖パルミチン酸エステル 0.1kg (HLB値1) β−カロチン 0.001kg
【0016】比較例2 下記の配合により、比較例1と全く同じ操作を繰り返し
て油中水型油脂組成物を製造した。 [配合組成] 水相部 液状ヨーグルト 82.6kg 水 49.6kg 脱脂粉乳 1.66kg 油相部 菜種硬化油(融点36℃) 180kg 菜種白絞油 20kg レシチン 0.2kg プロピレングリコール酸ステアレート0.2kg (HLB値4) ミルクフレーバーA 0.04kg
【0017】比較例3 下記の配合により、比較例1と全く同じ操作を繰り返し
て油中水型油脂組成物を製造した。 [配合組成] 水相部 オニオンパウダー 0.92kg ローストオニオンフレーバー 0.92kg 水 14.2kg 全脂乳 9.28kg 油相部 調整乳脂 80kg パーム油 80kg 大豆白絞油 40kg グリセリンモノステアレート 0.2kg (HLB値4) ローストオニオンフレーバー 0.2kg β−カロチン 0.002kg
【0018】比較例4 下記の配合組成により下記の方法で多重乳化型油脂組成
物を製造した。最内水相部となるW1および中間油相部
となるO1をそれぞれ68℃に加熱し、攪拌機(スリー
ワンモーター:Heidon製)を用いて攪拌しなが
ら、O1にW1を徐々に加えて乳化させ、そのまま15
分間予備乳化を続けた。次いで、このW/O型予備乳化
物をホモジナイザーを用い、ホモ圧150kg/cm2
で均質化後、20℃以下に急冷し、W1/O1型乳化液
を得た。中間水相部となるW2を70℃に加熱し、これ
に上記のW1/O1型乳化液を徐々に加え、溶液の温度
を65℃に保った状態で攪拌しながら20分間乳化した
後、ホモジナイザーを用いて、ホモ圧150kg/cm
2 で均質化し、W1/O1/W2型乳化液を得た。外部
油相部となるO2を68℃に加熱し、これに65℃に保
った上記のW1/O1/W2型乳化液を徐々に加え、攪
拌しながら20分間乳化したのち、急冷捏和装置にて可
塑化して、W1/O1/W2/O2型の多重乳化型油脂
組成物を得た。 [配合組成] W1 オレンジ果汁 10kg O1 菜種白絞油 6kg W2 水 30kg クエン酸モノステアレート0.2kg O2 魚油硬化油(融点36℃)160kg 菜種白絞油 40kg グリセリンモノステアレート0.1kg (HLB値4) レシチン 0.1kg 蔗糖パルミチン酸エステル0.1kg (HLB値1) β−カロチン 0.001kg
【0019】実施例4 以上、実施例1〜3および比較例1〜3によって得られ
た乳化油脂組成物について、以下の条件でクッキーを作
成し、風味の評価を10人のパネラーによる官能評価に
より評価した。官能評価の方法を以下に説明する。官能
評価のためのサンプルとして、各乳化油脂組成物を使用
したクッキーを焼成した。配合組成および製造方法を下
記に示した。 [配合組成] A:乳化油脂 45g (実施例1〜3および比較例1〜3) 砂糖 48g B:全卵 15g C:薄力粉 100g (商品名:バイオレット;日清製粉(株)製) [製造方法] 1.Aを擦り合わせBを加え、次にCを加え縦型ミキサ
ーを用いて、低速で生地をまとめる。 2.生地を冷蔵庫にて1時間寝かした後、4mmの厚さ
に延ばし、縦4cm横3cmの型で抜き取り、天板にの
せ、上火180℃、下火140℃のオーブンで、20分
間焼成した。 このクッキーを10人のパネラーにより官能テストによ
り評価した。官能テストは、実施例と比較例とを同じ番
号同志で比較し、どちらが香り、味がより良好に残って
いるかを判定した。結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】実施例1〜3は、最内水相部に含まれる素
材の風味を変化させることなく、焼成品に残しており、
いずれも、風味が強く感じられた。比較例1は、オレン
ジ果汁が焼け焦げたような風味となり、著しく風味が劣
化していた。特に、味の劣化が顕著であった。比較例2
は、香り、味共に残留しておらず、製造工程において素
材の風味が、消滅してしまった。比較例3は、味の部分
は、比較的残留していたが、香りが消滅しており、素材
の風味を焼成品に活かすことができていないという結果
となった。
【0022】実施例5 実施例1、比較例1及び比較例4によって得られた乳化
油脂組成物について、ロールパンを作成し、風味の評価
を15人のパネラーによる官能試験により評価した。官
能試験の方法を以下に示した。官能試験のサンプルとし
て、各組成物を使用したロールパンを以下の配合および
製法で焼成した。 配合 配合割合(重量部) 中種:強力粉 70 (商品名:カメリア;日清製粉(株)製) イースト 2.2 イーストフード 0.12 水 40 本捏:強力粉 20 (商品名:カメリア;日清製粉(株)製) 薄力粉 10 (商品名:バイオレット;日清製粉(株)製) 砂糖 15 脱脂粉乳 3 食塩 1.8 全卵 15 水 8 乳化油脂 15 (実施例1、比較例1、比較例4) 製法(たて型ミキサー使用) ・中種 混捏 低速2分中高速2分 捏上げ温度 26.5℃±1℃ 発酵条件 28℃ 4時間 発酵終点 29℃±1℃ ・本捏 混捏 低速3分中高速4分 ↓ 油脂添加 ↓ 低速3分中高速4分 捏上げ温度 28℃ フロアタイム 20分 分割重量 40g ベンチタイム 15分 ホイロ温度 38℃ ホイロ湿度 85% ホイロ時間 50分 焼成温度 210℃ 焼成時間 15分 官能評価は実施例1、比較例1、比較例4のいずれかの
内、風味の強いものから順位を付ける、順位法により判
定した。結果を第2表に示した。
【0023】
【表2】
【0024】実施例6 実施例1、比較例1及び比較例4によって得られた乳化
油脂組成物について、カップケーキを作成し、風味の評
価を15人のパネラーによる官能試験により評価した。
官能試験の方法を以下に示した。官能試験のサンプルと
して、各組成物を使用したカップケーキを以下の配合お
よび製法で焼成した。 製法(シュガーバッター法) 1.ビーターを用いて、ミキサーでAを擦り合わせ、中
高速にて5分間攪拌する。 2.中高速で攪拌を続け、Bを3回に分けて添加し、均
一になるまで攪拌する。 3.攪拌を止め、Cを篩いにかけたものを加え、低速で
1分間攪拌する。 4.低速で攪拌を続け、水を添加し、均一になるまで攪
拌する。 5.型に9号グラシンカップをひき、生地40gを絞
る。 6.上火185℃、下火140℃のオーブンで20分間
焼成する。 このカップケーキを15人のパネラーにより官能評価を
実施した。実施例1、比較例1、比較例4のいずれかの
内、風味の強いものから順位を付ける、順位法により判
定した。結果を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】実施例4、実施例5の官能評価の結果は、
共通しており、下記のような結果となった。実施例1の
乳化油脂組成物を用いたものは、最内水相部に存在する
オレンジ果汁の香り、風味が、損なわれることなく焼き
残っており、風味を最も強く良好に感じるとの結果で、
官能評価の結果を見ても、検定の結果、有為な差で良好
であると判定できる。比較例1の乳化油脂組成物を用い
たものは、オレンジ果汁の風味が焼成により著しく劣化
しており、基のオレンジ果汁の持つ風味と異質なものと
なっていた。焼き残りも弱く、官能評価結果を検定する
と、有意な差で劣っていると判定できる。比較例4の乳
化油脂組成物を用いたものは、実施例1同様、多重乳化
型の組成になっているが、W1相およびO1相のどちら
にも乳化剤を使用していないためW1/O1型乳化液部
分の乳化状態が不安定であり、W1相が、W2相と融合
してしまい、多重乳化構造が破壊され、通常のW/O型
に近い構造になってしまうため、焼成後の風味に劣化が
見られ、焼き残りが弱いという評価結果となった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、W/O/W/O乳化型
の最内水相部を呈味素材または香料とし、各乳化相の乳
化状態を安定化することにより、製菓製パン工程中に呈
味素材の風味を劣化または消失させるような要因から保
護することができる。これにより本発明の多重乳化油脂
組成物は、製菓製パン用風味素材として、呈味素材の風
味を変化させることなくそのまま活かすことができ、風
味良好な製品を得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳化剤を含み、油相部と水相部とからな
    る乳化油脂組成物において、最内相が水溶性香料または
    水溶性呈味素材を含有する水相部であり、その外側に順
    次食用油脂の油相部、水相部および食用油脂の油相部か
    らなることを特徴とする多重乳化型油脂組成物。
  2. 【請求項2】 水溶性香料または水溶性呈味素材を含有
    する水溶液を、乳化剤を溶解した食用油脂に乳化させて
    油中水型(W/O型)乳化液を調製し、この乳化液を乳
    化剤を含有する水溶液に乳化させW/O/W型乳化液を
    得、さらに食用油脂にこのW/O/W型乳化液を加えて
    乳化することからなるW/O/W/O型の乳化構造を有
    する多重乳化型油脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の多重乳化型油脂組成物を
    有効成分とする製菓製パン用乳化油脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の多重乳化型油脂組成物を
    使用して製造した菓子、パン。
JP8190545A 1996-07-19 1996-07-19 多重乳化型油脂組成物、その製造法および用途 Pending JPH1028527A (ja)

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