JP2020116864A - 媒体、及び前記媒体を用いた積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可とう性、平滑性、及び離型性を備え、製造ライン上で繰り返し使用しても前記特性を維持することができる媒体を提供する。【解決手段】本発明の媒体は第一ローラーから繰り出され、第二ローラーにて移動方向が変更される媒体であって、厚みが200μm以下であるガラス板と、樹脂フィルムとが接着層を介して積層された構成を有することを特徴とする。前記媒体は、製造ラインにて積層セラミックコンデンサを製造するための移動ステージ、又は製造ライン上を移動する物品の表面を保護するための保護シートとして使用することができる。【選択図】なし
Description
本発明は、薄化ガラス板を含む積層体からなる媒体、及びこれを用いた積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
従来、離型シートが、積層セラミックコンデンサの製造ラインの移動ステージとして、或いは液晶パネル等の製造ライン上で偏光板等を保護するために使用される表面保護シートとして広く使用されている。
そして、離型シート上にて、以下の工程を経て積層セラミックコンデンサを製造することが知られている。
工程1:セラミックスラリーを塗布し、乾燥して、セラミックグリーンシートを形成する
工程2:セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する
工程3:内部電極パターン形成後のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する
工程4:積層体をダイシングしてチップを形成する
工程5:チップをピッキングする
工程1:セラミックスラリーを塗布し、乾燥して、セラミックグリーンシートを形成する
工程2:セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する
工程3:内部電極パターン形成後のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する
工程4:積層体をダイシングしてチップを形成する
工程5:チップをピッキングする
前記離型シートとしては、紙やポリエステルフィルム等の可とう性を有する基材に、シリコーン系離型剤等により形成される離型層を備えるものが使用されてきた(例えば、特許文献1)。
しかし、紙やポリエステルフィルム等の基材の表面は、算術平均粗さが40nm程度であり、これ以上平滑化することは困難であった。また、前記基材は、繰り返し使用すると伸びや変形が発生し易く、これにより表面の平滑性は更に低下する傾向があった。そのため、前記離型シート上にて上記積層セラミックコンデンサの製造を行った場合に、セラミックグリーンシートに離型シートを構成する基材表面の凹凸が転写されるため、得られるセラミックグリーンシートの表面平滑性が低くなり、精度良く積層することが困難となることが問題であった。
更に、前記離型シートは繰り返し使用すると離型層が徐々に剥がれて離型性が低下するため、シート上に保持されたチップを破損することなく剥離して回収することができなくなることが問題であった。
従って、本発明の目的は、可とう性、平滑性、及び離型性を備え、製造ライン上で繰り返し使用しても前記特性を維持することができる媒体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記媒体を使用する積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記媒体を使用する積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、薄化ガラス板と樹脂フィルムとが接着層を介して接合されてなる積層体は、可とう性に優れ、繰り返し屈曲させてもクラックを生じることがないこと、薄化ガラス板側表面は平滑性及び離型性に優れ、前記特性は、繰り返し使用しても失われることがないこと、これらの特性を兼ね備える前記積層体は、製造ラインの移動ステージや、製造ラインを移動する物品の保護シートに好適であることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、第一ローラーから繰り出され、第二ローラーにて移動方向が変更される媒体であって、厚みが200μm以下であるガラス板と、樹脂フィルムとが接着層を介して積層された構成を有する媒体を提供する。
本発明は、また、被搬送物を第一ローラー側から第二ローラー側へ搬送する搬送用媒体である前記媒体を提供する。
本発明は、また、製造ラインにて積層セラミックコンデンサを製造するための移動ステージである前記媒体を提供する。
本発明は、また、製造ライン上を移動する物品の表面を保護するための保護シートである前記媒体を提供する。
本発明は、また、媒体の総厚みが400μm以下である前記媒体を提供する。
本発明は、また、接着層が、下記接着剤(1)の硬化物である前記媒体を提供する。
接着剤(1):カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、前記カチオン重合性モノマーとして、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有し、下記式(b)
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
で表される化合物をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有する。
接着剤(1):カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、前記カチオン重合性モノマーとして、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有し、下記式(b)
で表される化合物をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有する。
本発明は、また、接着剤(1)が、カチオン重合性モノマーとして、更に、下記式(b’)
(式中、Xは単結合又は連結基を示す)
で表される化合物をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有する前記媒体を提供する。
で表される化合物をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有する前記媒体を提供する。
本発明は、また、接着層が、ウレタン(メタ)アクリレート又はその重合体を含むアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物である前記媒体を提供する。
本発明は、また、接着層が酢酸ビニル系重合体を含む酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物である前記媒体を提供する。
本発明は、また、樹脂フィルムのMD方向が媒体の長さ方向に沿うように積層されてなる前記媒体を提供する。
本発明は、また、前記媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面上にて物品を製造する、物品の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面を、当該ガラス板側表面に対面する位置において前記媒体と同じ方向に移動する物品に貼着させて物品を保護する工程を含む、物品の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面上にて、積層セラミックコンデンサの製造を実施することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。
本発明は、また、前記媒体と、当該媒体を繰り出し、繰り出された媒体の移動方向を変更するローラーとを備える搬送部を有する装置を提供する。
本発明の媒体は、可とう性を備え、繰り返し屈曲させてもクラックが生じることがない。また、構成部材である薄化ガラス板に由来する、平滑性、離型性、透明性、熱的安定性、電気絶縁性、化学的安定性、ガスバリア性、高硬度、及び捻れにくさ(若しくは、耐カール性)を併せて有する。
本発明の媒体は上記特性を兼ね備える為、製造ラインの移動ステージや、製造ラインを移動する物品の保護シートとして好適である。
本発明の媒体を、積層セラミックコンデンサの製造工程において移動ステージとして使用すれば、平滑性に優れたセラミックグリーンシートを製造することができ、当該セラミックグリーンシートからは高精度のチップを製造できる。また、製造されたチップは、媒体表面から容易に剥離して回収することができる。
本発明の媒体は上記特性を兼ね備える為、製造ラインの移動ステージや、製造ラインを移動する物品の保護シートとして好適である。
本発明の媒体を、積層セラミックコンデンサの製造工程において移動ステージとして使用すれば、平滑性に優れたセラミックグリーンシートを製造することができ、当該セラミックグリーンシートからは高精度のチップを製造できる。また、製造されたチップは、媒体表面から容易に剥離して回収することができる。
[媒体]
本発明の媒体は、厚みが200μm以下であるガラス板と、樹脂フィルムとが接着層を介して積層された構成を有する媒体であり、長尺なもの(長さは、例えば5m以上、好ましくは10m以上)である。例えば、積層セラミックコンデンサの製造ラインにおいて移動ステージとして使用される場合には、媒体の長さは0.2〜2m程度である。尚、媒体の幅は、用途に応じて適宜調整することができる。
本発明の媒体は、厚みが200μm以下であるガラス板と、樹脂フィルムとが接着層を介して積層された構成を有する媒体であり、長尺なもの(長さは、例えば5m以上、好ましくは10m以上)である。例えば、積層セラミックコンデンサの製造ラインにおいて移動ステージとして使用される場合には、媒体の長さは0.2〜2m程度である。尚、媒体の幅は、用途に応じて適宜調整することができる。
本発明の媒体は、第一ローラーから繰り出され、第二ローラーにて移動方向が変更される媒体である。尚、媒体の移動方向の変更角度は特に制限がなく、0°を超え、180°未満の範囲において、自由に選択することができる。また、第一ローラー及び第二ローラーのローラー径も特に制限がなく、3mm以上の範囲で用途に応じて選択することができる。
本発明の媒体を、第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更する態様としては、例えば図5〜7に記載の態様が挙げられるが、これらに制限されることはない。
本発明の媒体は、薄化ガラス板/接着層/樹脂フィルムの3層積層構造を少なくとも有する。本発明の媒体は、前記3層以外にも他の層を有していてもよく、例えば、薄化ガラス板に由来する特性(特に、平滑性、透明性、熱的安定性、電気絶縁性、化学的安定性、及び高硬度)を損なわない範囲において、薄化ガラス板の表面に剥離層(或いは、離型層)等を有していてもよい。前記他の層の厚み(2層以上を有する場合は、それらの総厚み)は、例えば2μm以下であることが好ましい。
前記剥離層(或いは、離型層)としては、例えば、シリコーン系離型層、フッ素系離型層、オレフィン系離型層等が挙げられる。
前記シリコーン系離型層は、例えば、ジメチルポリシロキサンを含む硬化性シリコーン樹脂を使用して形成することができる。
前記フッ素系離型層は、例えば、ダイキン工業(株)製のオプツ−ル(登録商標)等を使用して形成することができる。
そして、離型層は、離型層の形成材料を積層体の表面に塗工し、硬化させることにより形成することができる。前記離型層の形成材料の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法等の周知慣用の方法を採用することができる。前記塗工厚みとしては、乾燥後の厚みが0.05〜1.0μmになる程度が好ましい。
本発明の媒体は可とう性を備え、その最小曲げ半径は、ガラス板の厚みに応じて変化するが、例えば、ガラス厚みが50μm以下の場合、媒体の最小曲げ半径は、例えば3mm以下である(すなわち、屈曲半径が3mm以下となるまで、少なくとも1回、折り曲げ可能である)。
ガラス厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、媒体の最小曲げ半径は、例えば20mm以下(例えば、10〜20mm)である。
ガラス厚みが100μmを超え、200μm以下の場合、媒体の最小曲げ半径は、例えば50mm以下(例えば、25〜50mm)である。
尚、媒体の最小曲げ半径は実施例に記載の方法により測定することができる。
ガラス厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、媒体の最小曲げ半径は、例えば20mm以下(例えば、10〜20mm)である。
ガラス厚みが100μmを超え、200μm以下の場合、媒体の最小曲げ半径は、例えば50mm以下(例えば、25〜50mm)である。
尚、媒体の最小曲げ半径は実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明の媒体(特に、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層を有する媒体)は、屈曲させる際の、ガラス板への応力負荷が接着層によって緩和されるため、優れた屈曲耐久性を発揮することができる。すなわち、屈曲−伸展を繰り返してもガラス板にクラックが発生するのを抑制することができる。下記試験による屈曲耐久性は、例えば10以上、好ましくは100以上、特に好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、最も好ましくは10000以上である。
屈曲耐久性試験:
媒体の切断片(サイズ:例えば4cm×5cm)を伸ばした状態から、薄化ガラス板の面が凹となる方向に(好ましくは、薄化ガラス板の面が凹となり、且つ樹脂フィルムのMD方向に沿う方向に)、下記屈曲半径(R)で、180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行った際における、切断片にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とする
屈曲耐久性試験:
媒体の切断片(サイズ:例えば4cm×5cm)を伸ばした状態から、薄化ガラス板の面が凹となる方向に(好ましくは、薄化ガラス板の面が凹となり、且つ樹脂フィルムのMD方向に沿う方向に)、下記屈曲半径(R)で、180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行った際における、切断片にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とする
前記屈曲半径(R)は、以下に記載の通りガラス板の厚みに応じて変更することが好ましい。
ガラス厚みが50μm以下の場合、屈曲半径は、例えば3mmである。
ガラス厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、屈曲半径は、例えば20mm以下(好ましくは、10〜20mm)である。
ガラス厚みが100μmを超え、200μm以下の場合、屈曲半径は、例えば50mm以下(好ましくは、25〜50mm)である。
ガラス厚みが50μm以下の場合、屈曲半径は、例えば3mmである。
ガラス厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、屈曲半径は、例えば20mm以下(好ましくは、10〜20mm)である。
ガラス厚みが100μmを超え、200μm以下の場合、屈曲半径は、例えば50mm以下(好ましくは、25〜50mm)である。
また、媒体の総厚みは、例えば400μm以下であり、屈曲耐久性に極めて優れる点で、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下、最も好ましくは150μm以下である。尚、総厚みの下限は、例えば50μm、好ましくは75μm、特に好ましくは100μmである。
本発明の媒体は上記特性を備えるため、第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更することができる。そして、ロール状に巻き取ることにより巻回体を形成することもできる。また、本発明の媒体は薄化ガラス板由来の特性として、平滑性、離型性、透明性、熱的安定性、電気絶縁性、化学的安定性、ガスバリア性、高硬度、及び捻れにくさを併せて有する。
本発明の媒体は、第一ローラーから繰り出した後、第二ローラーにて移動方向を変更する工程を含む製造ライン(生産ラインや搬送ラインを含む)上を、屈曲−伸展を繰り返しつつ移動することができる。そのため、本発明の媒体は、被搬送物を第一ローラー側から第二ローラー側へ搬送する搬送用媒体として使用することができる。そして、本発明の媒体(特に、媒体の薄化ガラス板側表面)を移動ステージ(若しくは、ターンテーブル)として使用すれば、前記移動ステージ上に被搬送物を載置して移動させることができる。
本発明の媒体は、なかでも、製造ラインにて積層セラミックコンデンサを製造するための移動ステージ(若しくは、キャリアシート、キャリアテープ、又はキャリアフィルム)として好適に使用することができる。
更に、本発明の媒体は、製造ライン上を移動する物品(例えば、偏光板等)の表面を保護する保護シートとしても好適に使用することができる。
本発明の媒体の用途は上記に限定されることがなく、種々の用途に使用することができる。
例えば、媒体上に基板を載置し、製造ライン上を移動させながら、前記基板にエッチング、穴あけ、打ち抜き等の加工を施し、更に基板上に部品を搭載して、プリント基板を製造するプリント基板の加工ステージとして使用することができる。
また、媒体上に、原稿と感熱フィルムとを積層した状態で、製造ライン上を移動させながら該感熱フィルムのほぼ全体に赤外線を照射して、原稿に対応した穿孔を施すことにより、スクリーン印刷や孔版印刷等に用いる版を製造するための、加工ステージとして使用することができる。
更にまた、媒体の表面にフレキソ印版を貼り付けた状態で、フレキソ印刷機の版胴に巻装して印刷するためのフレキソ印刷用キャリアシートとして使用することができる。
例えば、媒体上に基板を載置し、製造ライン上を移動させながら、前記基板にエッチング、穴あけ、打ち抜き等の加工を施し、更に基板上に部品を搭載して、プリント基板を製造するプリント基板の加工ステージとして使用することができる。
また、媒体上に、原稿と感熱フィルムとを積層した状態で、製造ライン上を移動させながら該感熱フィルムのほぼ全体に赤外線を照射して、原稿に対応した穿孔を施すことにより、スクリーン印刷や孔版印刷等に用いる版を製造するための、加工ステージとして使用することができる。
更にまた、媒体の表面にフレキソ印版を貼り付けた状態で、フレキソ印刷機の版胴に巻装して印刷するためのフレキソ印刷用キャリアシートとして使用することができる。
(ガラス板)
本発明の媒体を構成するガラス板の厚みは200μm以下であり、可とう性に優れる点で、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。また、屈曲耐久性に極めて優れる点で、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
本発明の媒体を構成するガラス板の厚みは200μm以下であり、可とう性に優れる点で、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。また、屈曲耐久性に極めて優れる点で、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
前記ガラス板の最小曲げ半径は、ガラス板の厚みに応じて変化するが、最小曲げ半径が下記範囲であるガラス板を使用することが、媒体の屈曲耐久性を向上する効果が得られる点で好ましい。
ガラス厚みが50μm以下の場合、最小曲げ半径は、例えば3mm以下である(すなわち、屈曲半径が3mm以下となるまで、少なくとも1回、折り曲げ可能である)。
ガラス厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、最小曲げ半径は、例えば20mm以下(例えば、10〜20mm)である。
ガラス厚みが100μmを超え、200μm以下の場合、最小曲げ半径は、例えば50mm以下(例えば、25〜50mm)である。
ガラス厚みが50μm以下の場合、最小曲げ半径は、例えば3mm以下である(すなわち、屈曲半径が3mm以下となるまで、少なくとも1回、折り曲げ可能である)。
ガラス厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、最小曲げ半径は、例えば20mm以下(例えば、10〜20mm)である。
ガラス厚みが100μmを超え、200μm以下の場合、最小曲げ半径は、例えば50mm以下(例えば、25〜50mm)である。
更に、媒体を構成するガラス板は表面平滑性に優れ、算術平均粗さ(Ra)(JIS B 0601準拠)は、例えば10nm以下、好ましくは5nm以下、特に好ましくは3nm以下である。
(樹脂フィルム)
本発明の媒体は、樹脂フィルムとしてプラスチックフィルムを使用する。本発明の媒体を保護シートとして使用する場合には、プラスチックフィルムのなかでも、透明性に優れるもの(全光線透過率は、例えば80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上)を使用することが好ましい。
本発明の媒体は、樹脂フィルムとしてプラスチックフィルムを使用する。本発明の媒体を保護シートとして使用する場合には、プラスチックフィルムのなかでも、透明性に優れるもの(全光線透過率は、例えば80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上)を使用することが好ましい。
樹脂フィルムとして、透明性に優れるプラスチックフィルムを使用した場合には、本発明の媒体は高い透明性を有し、全光線透過率は、例えば80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。
前記プラスチックフィルムの材料としては、熱可塑性プラスチックや熱硬化性プラスチックが挙げられる。前記熱可塑性プラスチックには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニリデン、酢酸セルロース(例えば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の汎用プラスチック;ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンなどのエンジニアリングプラスチック;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が含まれる。前記熱硬化性プラスチックには、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂等が含まれる。
樹脂フィルムとしては、なかでも、屈曲耐久性に極めて優れる点で、PET、PAI、PI、酢酸セルロース(特に、TAC)、及びPENから選択される少なくとも1種の材料からなるプラスチックフィルムが好ましく、特に、PET又はPIからなるプラスチックフィルムが好ましい。
樹脂フィルムの厚みは、例えば150μm以下、好ましくは140μm以下、特に好ましくは120μm以下、最も好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下、とりわけ好ましくは70μm以下である。また、屈曲耐久性に極めて優れる点で10μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
(接着層)
本発明の媒体を構成する接着層の厚みは、例えば100μm以下であり、好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは30μm以下である。尚、厚みの下限は、例えば1μm、好ましくは5μmである。接着層が上記範囲であると、透明性と接着性と屈曲耐久性とを兼ね備えることができる。一方、接着層の厚みが過剰となると、接着性は向上するが、屈曲耐久性や透明性が低下する傾向がある。
本発明の媒体を構成する接着層の厚みは、例えば100μm以下であり、好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは30μm以下である。尚、厚みの下限は、例えば1μm、好ましくは5μmである。接着層が上記範囲であると、透明性と接着性と屈曲耐久性とを兼ね備えることができる。一方、接着層の厚みが過剰となると、接着性は向上するが、屈曲耐久性や透明性が低下する傾向がある。
本発明の媒体は、透明性に優れる樹脂フィルムを使用した場合において、接着層の厚みが前記範囲であると透明性に優れ、全光線透過率は、例えば80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。
前記接着層(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)はガラス板や樹脂フィルムに対して密着性に優れることが好ましい。前記接着層(若しくは、接着剤の硬化物)の、ガラス板及び/又は樹脂フィルムに対する密着性は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6に準拠)の6段階分類試験において、例えば分類0〜2である。
また、接着層(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)の弾性率(例えば、25℃でのヤング率)は、例えば0.01MPa〜1000GPaであることが本発明の媒体に優れた屈曲耐久性を付与することができる点において好ましく、特に好ましくは1MPa〜100GPa、最も好ましくは5MPa〜50GPa、とりわけ好ましくは5MPa〜10GPaである。
また、接着層は耐熱性に優れることが、高温環境下でも本発明の媒体の屈曲耐久性を高く保持することができる点で好ましく、接着層(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)のガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上である。尚、上限は、例えば150℃である。ガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、例えば、DSC、TGA等の熱分析や動的粘弾性測定により測定できる。
更に、樹脂フィルム上に前記接着層(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)を介してガラス板を積層すれば、ガラス板の表面硬度が損なわれず高く維持される。そのため、本発明の媒体のガラス板表面の表面硬度は、鉛筆硬度(JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184))が、例えばH以上、好ましくは2H以上、特に好ましくは3H以上、最も好ましくは5H以上である。また、本発明の媒体は連続屈曲した後も、表面硬度(特に屈曲部位の表面硬度)を前記の通り高く維持することができる。
更に、後述のアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物からなる接着層(又は、接着層を構成する後述のアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物)の、20℃における貯蔵弾性率は、本発明の媒体に優れた屈曲耐久性を付与する点において、10MPa以上が好ましく、より好ましくは50MPa以上、特に好ましくは80MPa以上、最も好ましくは120MPa以上である。尚、本明細書における貯蔵弾性率は動的粘弾性測定装置を用いて測定された値である。
また、後述のアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物からなる接着層(又は、接着層を構成する後述のアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物)の、動的粘弾性測定装置を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は、本発明の媒体に優れた屈曲耐久性を付与する点において、0〜100℃が好ましく、より好ましくは0〜70℃、特に好ましくは0〜30℃である。尚、ガラス転移温度は、例えば、JIS K7244−4に準拠した方法、より詳しくは、動的粘弾性測定(例えば、昇温速度:5℃/分、測定温度:20〜350℃、変形モード:引っ張りモードの条件での動的粘弾性測定)において測定されるtanδ(損失正接)のピークトップの温度として求めることができる。
更にまた、後述の酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物からなる接着層(又は、接着層を構成する後述の酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物)の、20℃における貯蔵弾性率は、本発明の媒体に優れた屈曲耐久性を付与する点において、10〜200MPaが好ましく、より好ましくは30〜150MPa、特に好ましくは30〜100MPaである。
また、後述の酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物からなる接着層(又は、接着層を構成する後述の酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物)の、動的粘弾性測定装置を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は、本発明の媒体に優れた屈曲耐久性を付与する点において、5℃以下が好ましく、より好ましくは−5℃未満、特に好ましくは−10℃以下である。また、ガラス転移温度の下限は、例えば−30℃、好ましくは−20℃である。
(接着剤)
上記接着層は接着剤の硬化物から成る。上記接着層を形成するための接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱可塑性接着剤等が挙げられる。前記硬化型接着剤のなかでは、紫外線硬化型接着剤が、速硬化性に優れる点及び耐熱性の低い樹脂フィルムにも使用可能である点で好ましい。尚、本明細書における「硬化」には、後述のラジカル硬化型又はカチオン硬化型接着剤のモノマーの重合を伴う硬化、及び熱可塑性接着剤の加熱し軟化したものを冷却することによる硬化(若しくは、固化)を含む。
上記接着層は接着剤の硬化物から成る。上記接着層を形成するための接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱可塑性接着剤等が挙げられる。前記硬化型接着剤のなかでは、紫外線硬化型接着剤が、速硬化性に優れる点及び耐熱性の低い樹脂フィルムにも使用可能である点で好ましい。尚、本明細書における「硬化」には、後述のラジカル硬化型又はカチオン硬化型接着剤のモノマーの重合を伴う硬化、及び熱可塑性接着剤の加熱し軟化したものを冷却することによる硬化(若しくは、固化)を含む。
紫外線硬化型接着剤には、ラジカル硬化型接着剤及びカチオン硬化型接着剤が含まれる。ラジカル硬化型接着剤は速硬化性を有する点、及びモノマーの種類が豊富である点で優れている。一方、カチオン硬化型接着剤は、酸素による硬化阻害を受けにくく、酸素の存在下でも速やかに硬化する点で優れている。また、硬化収縮が小さいため、寸法安定性にも優れている。硬化収縮が大きい接着剤を使用して薄化された樹脂フィルムとガラス板とを接着した場合、接着剤の硬化収縮によって、得られる積層体にカールが発生し易い。
(カチオン硬化型接着剤)
カチオン硬化型接着剤は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有する。
カチオン硬化型接着剤は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有する。
前記カチオン重合性モノマーには、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択される少なくとも1種のカチオン重合性基を含有する化合物が挙げられる。
本発明においては、なかでも、カチオン重合性モノマーとして、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物(以後、「化合物(I)」と称する場合がある)をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有し、下記式(b)
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
で表される化合物(以後、「化合物(b)」と称する場合がある)をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有することが好ましい。
で表される化合物(以後、「化合物(b)」と称する場合がある)をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有することが好ましい。
従って、前記カチオン硬化型接着剤としては、化合物(I)をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有し、化合物(b)をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有する接着剤(1)が好ましい。
接着剤(1)は、ガラス板に対する密着性に優れ、ガラス板表面に前処理(例えば、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理等)を施さなくても、極めて優れた接着力でガラス板と樹脂フィルムを接着することができる。また、優れた接着力を有するため、極めて少量の使用でガラス板と樹脂フィルムを接着することができ、ガラス板や樹脂フィルムが透明である場合はその透明性を損なうことなく接着することができ、透明性に優れた媒体(全光線透過率は、例えば80%以上)を形成することができる。更にまた、接着剤(1)の硬化物は、脆性が極めて低く抑制され、靱性に優れる。
(化合物(I))
化合物(I)は、1分子中に少なくとも2種の官能基を有する化合物である。詳細には、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物である。化合物(I)を含む接着剤を硬化して得られる硬化物は、前記2種の官能基が重合して高度な架橋構造体を形成するため高硬度を有する。
化合物(I)は、1分子中に少なくとも2種の官能基を有する化合物である。詳細には、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物である。化合物(I)を含む接着剤を硬化して得られる硬化物は、前記2種の官能基が重合して高度な架橋構造体を形成するため高硬度を有する。
化合物(I)としては、なかでも、得られる硬化物の高硬度化、硬化収縮の抑制、及び密着性向上の観点から、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個と、水酸基を1個有する化合物(i)が好ましい。
前記化合物(i)には、以下の3種類の化合物が含まれる。
i−1:ビニルエーテル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−2:エポキシ基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−3:オキセタニル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−1:ビニルエーテル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−2:エポキシ基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−3:オキセタニル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
前記化合物(i)は、例えば下記式で表される。
HO−Ra−Y (i)
(式中、Raは2価の炭化水素基、2価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した2価の基を示す。Yはビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を示す)
HO−Ra−Y (i)
(式中、Raは2価の炭化水素基、2価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した2価の基を示す。Yはビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を示す)
前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン、1−メチルビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルケニレン基;エチニレン、プロピニレン、3−メチル−1−プロピニレン、ブチニレン、1、3−ブタジイニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキニレン基が挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基を構成する脂環には、単環式炭化水素環及び多環式炭化水素環が含まれ、前記多環式炭化水素環には、スピロ炭化水素環、環集合炭化水素環、架橋環式炭化水素環、縮合環式炭化水素環、架橋縮合環式炭化水素環が含まれる。2価の脂環式炭化水素基としては、前記脂環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のC3-12シクロアルカン環;シクロペンテン、シクロヘキセン等のC3-12シクロアルケン環等が挙げられる。
前記スピロ炭化水素環としては、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン等のC5-16スピロ炭化水素環等が挙げられる。
前記環集合炭化水素環としては、例えば、ビシクロヘキサン等のC5-12シクロアルカン環を2個以上含む環集合炭化水素環等が挙げられる。
前記架橋環式炭化水素環としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘプテン、ビシクロオクタン(ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン等)等の2環式炭化水素環;ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン等の3環式炭化水素環;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン等の4環式炭化水素環等が挙げられる。
前記縮合環式炭化水素環としては、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環が挙げられる。
前記架橋縮合環式炭化水素環には、ジエン類の二量体(例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等のシクロアルカジエンの二量体)や、その水素添加物等が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等の、炭素数6〜18のアリーレン基が挙げられる。
上記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記カルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基を構成する環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
前記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)等が挙げられる。
2価の複素環式基を構成する複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等が挙げられる。上記複素環式基は、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等を有していてもよい。2価の複素環式基は、前記複素環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記Raとしては、なかでも2価の炭化水素基、又は炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基が好ましく、特に好ましくは2価の脂肪族炭化水素基、又は脂肪族炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基、最も好ましくは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基、とりわけ好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基である。また、前記連結基としては、エーテル結合が好ましい。
化合物(i)としては、ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1)及び/又はオキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)を含有することが、より高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、とりわけ、前記化合物(i-3)を少なくとも含有することが好ましい。
化合物(i)としては、下記式(i-1-1)〜(i-1-3)(i-3-1)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、とりわけ、下記式(i-3-1)で表される化合物を少なくとも含有することが好ましい。
(化合物(b))
化合物(b)は、下記式(b)で表される化合物である。
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
化合物(b)は、下記式(b)で表される化合物である。
式中のsは2以上の整数を示し、例えば2〜6の整数、好ましくは2〜4の整数、特に好ましくは2〜3の整数、とりわけ好ましくは2である。
Rにおけるs価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基のうち、2価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数3〜6)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。また、3価以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基は、2価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基の構造式から更に(s−2)個の水素を除いた基が挙げられる。
Rで示される基の総炭素数は、例えば1〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜10、最も好ましくは3〜8である。
化合物(b)としては、なかでも、下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、及びジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルから選択される少なくとも1種が好ましく、特に低粘度で塗布性に優れる点において、好ましくは下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物から選択される少なくとも1種であり、最も好ましくは下記式(b-1)〜(b-4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である。
(ビニルエーテル化合物(A))
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)以外にも、ビニルエーテル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(本明細書においては「ビニルエーテル化合物(A)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。ビニルエーテル化合物(A)は、ビニルエーテル基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基等)を有していてもよい。
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)以外にも、ビニルエーテル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(本明細書においては「ビニルエーテル化合物(A)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。ビニルエーテル化合物(A)は、ビニルエーテル基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基等)を有していてもよい。
ビニルエーテル化合物(A)としては、例えば、下記式(a)で表される化合物が挙げられる。
Rc−(O−CH=CH2)t (a)
(式中、Rcは、t価の炭化水素基、t価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合したt価の基を示し、tは1以上の整数を示す)
Rc−(O−CH=CH2)t (a)
(式中、Rcは、t価の炭化水素基、t価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合したt価の基を示し、tは1以上の整数を示す)
前記tは1以上の整数であり、例えば1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは2〜5の整数である。
前記Rcにおけるt価の炭化水素基及びt価の複素環式基としては、Raにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基に対応するt価の基が挙げられる。また、前記t価の炭化水素基及びt価の複素環式基は置換基を有していてもよく、前記置換基としてはRaにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基が有していてもよい置換基や、エポキシ基又はオキセタニル基を含む基が挙げられる。更に、前記連結基としては、Raにおける連結基と同様の例が挙げられる。前記Rcとしては、なかでも脂環式又は複素環式骨格を有するt価の基が好ましい。
ビニルエーテル化合物(A)としては、下記式(a-1)〜(a-2)で表される化合物や、シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ノルボルネニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が好ましい。
ビニルエーテル化合物(A)としては、なかでも、式(a)で表される化合物であって、式中のRcが複素環式骨格を有するt価の基である化合物が好ましく、特に、式中のRcが環状エーテル骨格を有するt価の基である化合物が好ましく、とりわけ好ましくは上記式(a-1)〜(a-2)で表される化合物である。
(エポキシ化合物(B))
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)や化合物(b)以外にも、エポキシ基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基を有する化合物を除く;本明細書においては「エポキシ化合物(B)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。エポキシ化合物(B)は、エポキシ基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、オキセタニル基)を有していてもよい。
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)や化合物(b)以外にも、エポキシ基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基を有する化合物を除く;本明細書においては「エポキシ化合物(B)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。エポキシ化合物(B)は、エポキシ基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、オキセタニル基)を有していてもよい。
前記エポキシ基には、下記式(e-1)で表されるシクロヘキセンオキシド基などの、脂環(例えば、3〜8員の脂環)を構成する隣接する2個の炭素原子と、酸素原子とで構成される基(以後、「脂環式エポキシ基」と称する場合がある)や、下記式(e-2)で表されるエチレンオキシド基が含まれる。下記式中、R1は水素原子又はC1-3アルキル基を示す。
エポキシ化合物(B)としては、なかでもエポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物が硬化性に優れる点で好ましく、特に、脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物、エチレンオキシド基を1分子中に2個以上有する化合物、及び脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を1分子中にそれぞれ1個以上有する化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
上記式(b’)中、Xは単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−O−CO−O−)、アミド結合(−CONH−)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(b’)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基が結合していても良く、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基、C6-14アリールオキシ基、C7-18アラルキルオキシ基、C1-10アシルオキシ基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1-10アシル基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基、オキソ基等が挙げられる。
上記式(b’)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(b'-1)〜(b'-8)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(b'-5)中のLは炭素数1〜8のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)を示す。また、下記式(b'-5)(b'-7)中のn1、n2は、それぞれ1〜30の整数を示す。
脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物には、更に、下記式(b'-9)(b'-10)で表される化合物も含まれる。下記式(b'-9)(b'-10)中のn3〜n8は、同一又は異なって1〜30の整数を示す。
エチレンオキシド基を1分子中に2個以上有する化合物としては、例えば、水素化ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、水素化ビフェノール型ジグリシジルエーテル、水素化フェノールノボラック型ジグリシジルエーテル、水素化クレゾールノボラック型ジグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテル;ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、ビフェノール型ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型ジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型ジグリシジルエーテル等の芳香族グリシジルエーテル;下記式(b")で表される化合物等が挙げられる。
式(b")中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、n9はそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15の多価アルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、n9は1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるn9は同一でもよく異なっていてもよい。上記式(b")で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を1分子中にそれぞれ1個以上有する化合物としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン等が挙げられる。
エポキシ化合物(B)としては、脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物(特に、式(b’)で表される化合物)を含有することが、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で好ましい。
(オキセタン化合物(C))
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)以外にも、オキセタニル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基及び/又はエポキシ基を有する化合物を除く;本明細書においては「オキセタン化合物(C)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)以外にも、オキセタニル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基及び/又はエポキシ基を有する化合物を除く;本明細書においては「オキセタン化合物(C)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。
前記Raにおける1価の有機基には1価の炭化水素基、1価の複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、置換カルバモイル基(N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等)、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、及びこれらの2個以上が単結合又は連結基を介して結合した1価の基が含まれる。
前記1価の炭化水素基、及び1価の複素環式基としては、上記Raにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基に対応する1価の基が挙げられる。前記連結基としては、上記Raにおける連結基と同様の例が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としてはRaにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の例が挙げられる。
前記mは0以上の整数を示し、例えば0〜20の整数、好ましくは0〜1の整数である。
オキセタン化合物(C)としては、なかでも、オキセタニル基を1分子中に2個以上有する化合物を使用することが、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で好ましく、例えば、下記式(c-1)で表される化合物、及び下記式(c-2)で表される化合物等が好ましい。本発明においては、例えば、「アロンオキセタンOXT−221」、「アロンオキセタンOXT−121」(以上、東亞合成(株)製)等の市販品を使用することができる。
前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーを、接着剤全量(100重量%)の、例えば50〜99.9重量%(好ましくは70〜98重量%)含有する。前記接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上記化合物(I)及び化合物(b)を少なくとも含有し、更に、上記ビニルエーテル化合物(A)、エポキシ化合物(B)、及びオキセタン化合物(C)から選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
上記化合物(I)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上(例えば10〜65重量%)が好ましく、特に樹脂フィルムへの密着性に優れる硬化物が得られる点で、下限は25重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、特に好ましくは33重量%、最も好ましくは35重量%である。また、特に高硬度を有する硬化物が得られる点で、上限は55重量%が好ましく、特に好ましくは50重量%、最も好ましくは45重量%である。化合物(I)の含有量が上記範囲を下回ると、ガラスに対する密着性が低下する傾向がある。
ビニルエーテル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物(i-1-1)及びオキセタニル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物(i-3-1)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の25重量%以上(例えば、25〜65重量%)であることが、樹脂フィルムへの密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、特に硬化性に優れる点で25重量%以上、60重量%未満が好ましく、最も好ましくは25〜55重量%、とりわけ好ましくは25〜45重量%である。
ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1-1)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば30重量%以下、好ましくは25重量%以下、特に好ましくは18重量%以下である。
オキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3-1)の含有量は、樹脂フィルムへの密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の15重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以上である。また、硬化性の観点から、含有量の上限は、例えば55重量%、好ましくは45重量%、特に好ましくは40重量%である。
上記化合物(b)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上が好ましく、速硬化性を有し、ガラスに対して優れた密着性を有する高硬度の硬化物が得られる点で、より好ましくは5〜45重量%、特に好ましくは12〜40重量%、最も好ましくは18〜30重量%である。化合物(b)の含有量が上記範囲を下回ると、得られる硬化物の耐クラック性が低下して、脆くなる傾向がある。
上記化合物(I)/化合物(b)の重量比は、ガラスに対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば0.5以上、好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.1以上、最も好ましくは1.3以上である。また、前記重量比の上限は、例えば6.5、好ましくは5.5、特に好ましくは3.0、最も好ましくは2.5、とりわけ好ましくは2.0である。
上記化合物(I)、及び化合物(b)以外の化合物であって、1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を2個以上有する化合物の含有量は、硬化性の観点から、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15重量%以上、好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。尚、含有量の上限は、高硬度、且つガラスに対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば55重量%、好ましくは50重量%である。
上記化合物(b)以外の化合物であって、エポキシ基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物(好ましくは脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物、特に好ましくは式(b’)で表される化合物)の含有量は、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上が好ましく、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以である。尚、含有量の上限は、高硬度、且つガラスに対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば50重量%、好ましくは45重量%、特に好ましくは43重量%である。
ビニルエーテル基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の、例えば20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。
オキセタニル基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の、例えば20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。
1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、硬化性の観点から、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の30重量%未満であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下、とりわけ好ましくは1重量%以下である。
(ラジカル硬化型接着剤)
ラジカル硬化型接着剤は、ラジカル重合性モノマーと硬化触媒とを含有する。
ラジカル硬化型接着剤は、ラジカル重合性モノマーと硬化触媒とを含有する。
前記ラジカル重合性モノマーには、例えば、オレフィン[例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン等の鎖状オレフィン(特に、C2-12アルケン);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状オレフィン]、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、1−プロペニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルフラン、3−ビニルチオフェン、3−ビニルキノリン等のC6-14芳香族ビニル化合物)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸C1-10アルキルエステル、及びこれらに対応するメタクリル酸エステル等)、ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等の活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応物)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル等のC1-16脂肪酸ビニルエステル等)、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル(例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルへキシル等のマレイン酸ジC1-10アルキルエステル、及びこれらに対応するフマル酸エステル等)、カルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のモノカルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸又はその酸無水物;前記多価カルボン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、ラウリルエステル等のC1-16アルキルエステル)、インデン類(例えば、インデン、メチルインデン、エチルインデン、ジメチルインデン等のアルキルインデン;クロロインデン、ブロモインデン等のハロゲン化インデン等)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
(熱可塑性接着剤)
熱可塑性接着剤は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する。
熱可塑性接着剤は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体(特に、(メタ)アクリル・ウレタングラフト共重合体)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体などの(メタ)アクリル酸又はそのエステルを単量体として含むアクリル系重合体;酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニルを単量体として含む酢酸ビニル系重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、イソブチレン樹脂、イソブチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの合成ゴム;天然ゴム;エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、塩素化プロピレン樹脂、ウレタン樹脂、エチルセルロース等が挙げられる。
熱可塑性接着剤の硬化物(若しくは、固化物)からなる接着層としては、媒体の屈曲耐久性を向上する効果が得られる点で、ウレタン(メタ)アクリレート又はその(共)重合体を含むアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物からなる接着層が好ましく、特に前記接着剤(2)の硬化物からなる接着層であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した、20℃における貯蔵弾性率が、例えば10MPa以上(好ましくは50MPa以上、より好ましくは80MPa以上、特に好ましくは120MPa以上)である接着層が好ましい。
その他、酢酸ビニル系重合体を含む酢酸ビニル系接着剤(3)(特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体)の硬化物(若しくは、固化物)からなる接着層も、媒体の屈曲耐久性を向上する効果が得られる点で好ましく、特に前記接着剤(3)の硬化物からなる接着層であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した、ガラス転移温度(Tg)が例えば5℃以下(好ましくは−5℃未満、特に好ましくは−10℃以下。また、ガラス転移温度の下限は、例えば−30℃、好ましくは−20℃)である接着層が好ましい。
(硬化触媒)
前記硬化触媒には、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤が含まれる。前記カチオン硬化型接着剤は、硬化触媒として少なくとも光カチオン重合開始剤を含有することが好ましく、特に光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を共に含有することが、接着剤の硬化反応をより効率的に進行させることができ、とりわけ高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましい。また、前記ラジカル硬化型接着剤は、硬化触媒として少なくとも光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
前記硬化触媒には、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤が含まれる。前記カチオン硬化型接着剤は、硬化触媒として少なくとも光カチオン重合開始剤を含有することが好ましく、特に光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を共に含有することが、接着剤の硬化反応をより効率的に進行させることができ、とりわけ高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましい。また、前記ラジカル硬化型接着剤は、硬化触媒として少なくとも光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
前記光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。本発明においては、例えば、商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−110P」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「CYRACURE UVI−6990」、「CYRACURE UVI−6992」(以上、ダウ・ケミカル社製)、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア−264」(BASF製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)、商品名「PHOTOINITIATOR 2074」(ローディアジャパン(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。本発明においては、例えば、商品名「イルガキュア−184」、「イルガキュア−127」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1173」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」、「ダロキュア−MBF」(BASF製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
前記カチオン硬化型接着剤は硬化触媒として光カチオン重合開始剤を使用することが好ましく、その使用量は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
また、硬化触媒として光ラジカル重合開始剤を光カチオン重合開始剤と共に使用する場合、光ラジカル重合開始剤の使用量は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは0.5〜2重量部である。
前記ラジカル硬化型接着剤は硬化触媒として光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましく、その使用量は、ラジカル重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
前記接着剤は更に溶剤を含有しても良いが、無溶剤系であること、即ち溶剤を含有しないことが、乾燥性を向上することができる点、溶剤により劣化し易い樹脂フィルムにも適用可能となる点、及び溶剤の揮発による臭気の発生を防止することができる点で好ましく、溶剤の含有量は接着剤全量(100重量%)の例えば10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
前記接着剤がカチオン又はラジカル硬化型接着剤である場合、モノマーと硬化触媒以外にも必要に応じて他の成分を含有していても良く、例えば、周知慣用の増感剤(例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、レーザ色素類等)、増感助剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、充填剤、難燃剤、アミン類等の安定化剤等が挙げられる。特に、前記接着剤をUV−LEDを照射して硬化させる用途に使用する場合には、増感剤、及び必要に応じて増感助剤を含有することが、硬化触媒の紫外線光吸収率を向上して硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、モノマー100重量部に対して、例えば0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、増感剤としては、例えば、下記式(d-1)で表される化合物と下記式(d-2)で表される化合物を併用すると、得られる硬化物の着色を極めて低く抑制することができる点で好ましく、これらの化合物の併用割合[式(d-1)で表される化合物/式(d-2)で表される化合物;重量比]は、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.1〜0.5、特に好ましくは0.2〜0.5である。尚、下記式(d-1)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−1331」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。また、下記式(d-2)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−581」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。
前記接着剤の表面張力(30℃、1気圧下における)は、例えば10〜50mN/mが好ましい。また、前記接着剤の粘度[25℃、せん断速度100(1/s)における]は、流動性に優れ、インクジェット印刷機等を用いて塗布する場合は吐出性に優れる点で、1〜1000mPa・sが好ましく、より好ましくは5〜500mPa・s、特に好ましくは10〜100mPa・s、最も好ましくは10〜50mPa・s、とりわけ好ましくは10〜30mPa・sである。
尚、接着剤の表面張力は、例えば高精度表面張力計「DY−700」(協和界面科学(株)製)を使用し、Wilhelmy法(プレート法)にて測定することができる。
尚、接着剤の表面張力は、例えば高精度表面張力計「DY−700」(協和界面科学(株)製)を使用し、Wilhelmy法(プレート法)にて測定することができる。
本発明の媒体は、例えば、上述のガラス板と樹脂フィルムとを接着剤で貼り合わせ、その後、接着剤を硬化させることにより製造することができる。
本発明の媒体の製造工程において、樹脂フィルムをガラス板上に積層する際には、樹脂フィルムのMD方向が、媒体の長さ方向に沿うように、若しくは媒体の屈折方向とほぼ平行(樹脂フィルムのMD方向と媒体の長さ方向の交差角は、例えば30°以下、好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下、最も好ましくは5°以下)となるように、又は樹脂フィルムのMD方向が媒体を長さ方向に折り曲げた場合に生じる折線とほぼ垂直(樹脂フィルムのMD方向と前記折線の交差角は、例えば60〜120°、好ましくは70〜110°、特に好ましくは80〜100°、最も好ましくは85〜95°)に交わるように、貼り合わせ方向を調整して積層することが、屈曲耐久性に特に優れる媒体が得られる点で好ましい(図4参照)。尚、MD方向とは、樹脂フィルムを射出成形により製造する際に溶融樹脂が流れる方向であり、TD方向に比べて機械的強度に優れる傾向がある。樹脂フィルムのMD方向、及びTD方向は、例えば2次元複屈折装置(PA−100、(株)フォトニックラティス製)を用いて計測される、複屈折の配向方向によって確認できる。
ガラス板及び/又は樹脂フィルムに接着剤を塗布する方法としては、特に制限がなく、例えば、印刷法、コーティング法等により行うことができる。具体的には、スクリーン印刷法、マスク印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スキージ印刷法、シルクスクリーン印刷法、スタンピング、ディスペンス、噴霧、刷毛塗り等が挙げられる。
接着剤の硬化は、接着剤の種類に応じた方法で行うことができる。例えば接着剤として紫外線硬化型接着剤を使用する場合は、紫外線を照射することにより硬化させることができ、接着剤として熱可塑性接着剤を使用する場合は、加熱により軟化した接着剤を冷却することにより硬化(若しくは、固化)させることができる。
前記紫外線の光源としては、例えば、UV−LED、低、中、又は高圧水銀ランプのような水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等を使用することができる。紫外線照射量(積算光量)は、例えば10〜5000mJ/cm2である。
また、紫外線照射に加えて加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、硬化度をより一層向上させることができる。加熱処理を施す場合、加熱温度は40〜200℃程度であり、加熱時間は1分〜15時間程度である。また、紫外線を照射した後に、室温(20℃)で1〜48時間程度静置することでも硬化度を向上させることができる。
[物品の製造方法]
本発明の媒体は屈曲耐久性に優れ、屈曲し、伸展する動作を繰り返し行うことができる。前記特性を有する媒体は、例えば、ローラーを備えた搬送装置によって、第一ローラーから繰り出され、第二ローラーにて移動方向が変更される搬送ラインにて、ベルト等の搬送用媒体として好適に使用することができる。
本発明の媒体は屈曲耐久性に優れ、屈曲し、伸展する動作を繰り返し行うことができる。前記特性を有する媒体は、例えば、ローラーを備えた搬送装置によって、第一ローラーから繰り出され、第二ローラーにて移動方向が変更される搬送ラインにて、ベルト等の搬送用媒体として好適に使用することができる。
尚、前記搬送装置としては、ローラーを使用して、上記媒体を繰り出し、移動させ、移動方向を変更する操作が可能な装置であれば特に制限なく使用することができ、例えば、ローラーコンベヤ、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ等の様々のコンベヤが挙げられる。
そして、上記媒体は、第一ローラーから繰り出された後、第二ローラーにて移動方向が変更され、その後は、第三ローラーに向けて搬送されても良いし(図5参照)、再び第一ローラーへ戻されても良い(図6参照)。
本発明の媒体を搬送用媒体として使用し、且つ媒体のガラス板側表面を上面にして製造ライン上を移動させると(図5、6参照)、当該ガラス板側表面を、移動ステージ(若しくは、ターンテーブル)として利用することができる。そして、前記媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面上にて物品を製造すれば、ライン生産方式による物品の製造が実現できる。
ここで、ライン生産方式とは、搬送装置により搬送される媒体上に載置され、媒体と共に移動する物品に対して作業者(或いは、作業用装置若しくは機械)が同じ作業を繰り返して物品を仕上げていく仕組みである。
また、ライン生産方式にて物品を製造する工程において、媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させつつ、上記媒体のガラス板側表面を、当該ガラス板側表面に対面する位置において、前記媒体が移動するライン(例えば、搬送ライン)に平行な位置に設けられた別のライン(例えば、生産ライン)上を、前記媒体と同じ方向に移動する物品に貼着させれば、ライン上を移動する物品(例えば、偏光板等)を保護することもできる(図7参照)。
また、本発明の媒体を使用すれば、当該媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体(特に、前記媒体のガラス板側表面)を移動ステージ(或いは、ターンテーブル)として使用して、この移動ステージ上にて、積層セラミックコンデンサの製造を実施することができる。
前記積層セラミックコンデンサの製造には、例えば下記工程が含まれる。
工程1:セラミックスラリーを塗布し、乾燥して、セラミックグリーンシートを形成する
工程2:セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する
工程3:内部電極パターン形成後のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する
工程4:積層体をダイシングしてチップを形成する
工程5:チップをピッキングする
工程1:セラミックスラリーを塗布し、乾燥して、セラミックグリーンシートを形成する
工程2:セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する
工程3:内部電極パターン形成後のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する
工程4:積層体をダイシングしてチップを形成する
工程5:チップをピッキングする
工程1はセラミックスラリーを塗布し、乾燥して、セラミックグリーンシートを形成する工程である。
セラミックスラリーはセラミックと溶媒等を混合して得られる。セラミックスラリーの塗布は、例えば、スプレーコーティング、ダイコーティング、スクリーン印刷等により行うことができる。塗布後は、乾燥(好ましくは80〜120℃で1分〜30分加熱乾燥)することによりセラミックグリーンシートが得られる。
セラミックグリーンシートには、これを製造するステージ表面の凹凸が転写されるが、本発明では上記媒体のガラス板側表面をステージとして使用し、当該ガラス板側表面は、ガラス由来の優れた表面平滑性を有する。そのため、得られるセラミックグリーンシートは表面平滑性に優れ、続く積層工程において精度良く積層することができる。
工程2はセラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する工程である。内部電極パターンは、例えば、導電性ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等の方法でセラミックグリーンシート上に塗布することにより形成することができる。
工程3は内部電極パターン形成後のセラミックグリーンシート(好ましくは、内部電極パターン形成後のセラミックグリーンシートと、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート)を積層して積層体を形成する工程である。積層体の形成には周知慣用の方法を採用することができる。
工程4は積層体をダイシングして積層体を個片化し、チップを形成する工程である。ダイシングには周知慣用の方法を採用することができる。
工程5はチップをピッキングする工程である。本発明では、剥離性に優れた上記媒体のガラス板側表面でチップを形成するため、形成されたチップは、ピッキング操作により容易に剥離して回収することができる。
本発明では、上記媒体上(特に、前記媒体のガラス板側表面上)にて、積層セラミックコンデンサを製造する。そのため、得られるセラミックグリーンシートは平滑性に優れ、たわみや変形を有さない。従って、前記セラミックグリーンシートは積層による応力が均一に分散されるため、クラックの発生を抑制することができる。従って、本発明の製造方法により得られる積層セラミックコンデンサは構造欠陥や電気性能不良の問題を有さない。
また、本発明では、ガラス由来の優れた剥離性を有する上記媒体を使用するため(薄化ガラス板の表面に剥離層(或いは、離型層)を備える媒体を使用する場合は、当該媒体が、ガラス由来の剥離性を上回る優れた剥離性を有するため)、セラミックスラリーには剥離剤を添加する必要がない。また、上記媒体のガラス板由来の優れた剥離性は繰り返し使用しても、失われることがない。そのため、得られるチップは媒体から容易に剥離することができ、剥離されたチップは基板等に良好に接着することができる。
また、上記媒体は屈曲耐久性に優れるため、第一ローラー側から繰り出し、第二ローラー側にて移動方向を変更する動作を繰り返し行っても、媒体にクラックが生じることがなく、表面平滑性を損なうこともない。そのため、媒体を繰り返し使用することで、コストを抑制しつつ、積層セラミックコンデンサを精度良く製造することができる。
[装置]
本発明の装置は、上記媒体と、当該媒体を繰り出し、繰り出された媒体の移動方向を変更するローラー(少なくとも、第一ローラーと第二ローラーとが含まれる)とを備える搬送部を少なくとも有する。
本発明の装置は、上記媒体と、当該媒体を繰り出し、繰り出された媒体の移動方向を変更するローラー(少なくとも、第一ローラーと第二ローラーとが含まれる)とを備える搬送部を少なくとも有する。
本発明の装置は前記搬送部による搬送機能以外にも、他の機能を備えていても良い。例えば、本発明の装置を積層セラミックコンデンサの製造に使用する場合には、スラリーの塗布及び乾燥機能、パターン形成機能、ダイシング機能、ピッキング機能等を備えることが好ましい。
本発明の装置には、例えば、コンベヤ等の搬送装置、積層セラミックコンデンサ製造装置、液晶パネル製造装置等が含まれる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(接着剤の調製)
表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して接着剤を得た。得られた接着剤の25℃、せん断速度100(1/s)における粘度を、E型粘度計(商品名「VISCOMETER TV-25」、東機産業(株)製)を用いて測定したところ、22.6mPa・sであった。
表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して接着剤を得た。得られた接着剤の25℃、せん断速度100(1/s)における粘度を、E型粘度計(商品名「VISCOMETER TV-25」、東機産業(株)製)を用いて測定したところ、22.6mPa・sであった。
調製例2〜31、比較調製例1〜3(接着剤の調製)
表1(単位は重量部)に記載の通りに処方を変更した以外は調製例1と同様にして接着剤を得た。
表1(単位は重量部)に記載の通りに処方を変更した以外は調製例1と同様にして接着剤を得た。
(密着性評価)
調製例及び比較調製例で得られた接着剤をガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子工業(株)製)に塗布し(塗膜厚み:5μm)、空気雰囲気下、光源としてLED照射器を使用して365nmの光を照射して硬化物/ガラス板積層体を得た。
得られた積層体を、密着性試験(クロスカット法;JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠)に付し、6段階分類試験によって密着性を評価した。
調製例及び比較調製例で得られた接着剤をガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子工業(株)製)に塗布し(塗膜厚み:5μm)、空気雰囲気下、光源としてLED照射器を使用して365nmの光を照射して硬化物/ガラス板積層体を得た。
得られた積層体を、密着性試験(クロスカット法;JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠)に付し、6段階分類試験によって密着性を評価した。
(耐カール性評価(1))
調製例及び比較調製例で得られた接着剤を、樹脂フィルムとしてのPETフィルム(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:100μm)に塗布し(塗膜厚み:10μm)、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を、タック性がなくなるまで照射して硬化物/PET積層体を得た。
得られた硬化物/PET積層体(サイズ:縦×横=1cm×7cm)を試験片とし、これを水平面に置き、試験片の短辺の一方を押さえた際に短辺のもう一方が水平面から浮く量を測定し、下記基準で耐カール性を評価した(図1)。尚、浮き量が少ない方が耐カール性に優れる。
◎:浮き量が1mm未満
○:浮き量が1mm以上、2mm未満
△:浮き量が2mm以上、5mm未満
×:浮き量が5mm以上
調製例及び比較調製例で得られた接着剤を、樹脂フィルムとしてのPETフィルム(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:100μm)に塗布し(塗膜厚み:10μm)、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を、タック性がなくなるまで照射して硬化物/PET積層体を得た。
得られた硬化物/PET積層体(サイズ:縦×横=1cm×7cm)を試験片とし、これを水平面に置き、試験片の短辺の一方を押さえた際に短辺のもう一方が水平面から浮く量を測定し、下記基準で耐カール性を評価した(図1)。尚、浮き量が少ない方が耐カール性に優れる。
◎:浮き量が1mm未満
○:浮き量が1mm以上、2mm未満
△:浮き量が2mm以上、5mm未満
×:浮き量が5mm以上
尚、表中の略号を以下に説明する。
<化合物(I)>
HEVE:エチレングリコールモノビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
DEGMVE:ジエチレングリコールモノビニルエーテル
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−101」、東亞合成(株)製
<化合物(b)>
1,6−HDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
1,4−BDGE:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
1,2−EDGE:エチレングリコールジグリシジルエーテル
NPGDGE:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
YH300:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
<その他のカチオン重合性モノマー>
ISBDVE:イソソルビドジビニルエーテル、商品名「ISB−DVE」、(株)ダイセル製
ONBDVE:オキサノルボルネンジビニルエーテル
CHDVE:1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
b’−1:(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル
2−EHVE:2−エチルヘキシルビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
OXT212:3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−212」、東亞合成(株)製
OXT221:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、商品名「アロンオキセタン OXT−221」、東亞合成(株)製
<ラジカル重合性モノマー>
DCPA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
<硬化触媒>
CPI−110P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスファートおよびチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム) ビス(ヘキサフルオロホスファート)の混合物(99.5/0.5)、商品名「CPI−110P」、サンアプロ(株)製
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名「イルガキュア−184」、BASF社製
<増感剤>
UVS1331:9,10−ジブトキシアントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−1331」、川崎化成工業(株)製
UVS581:9,10−ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−581」、川崎化成工業(株)製
<化合物(I)>
HEVE:エチレングリコールモノビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
DEGMVE:ジエチレングリコールモノビニルエーテル
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−101」、東亞合成(株)製
<化合物(b)>
1,6−HDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
1,4−BDGE:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
1,2−EDGE:エチレングリコールジグリシジルエーテル
NPGDGE:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
YH300:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
<その他のカチオン重合性モノマー>
ISBDVE:イソソルビドジビニルエーテル、商品名「ISB−DVE」、(株)ダイセル製
ONBDVE:オキサノルボルネンジビニルエーテル
CHDVE:1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
b’−1:(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル
2−EHVE:2−エチルヘキシルビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
OXT212:3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−212」、東亞合成(株)製
OXT221:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、商品名「アロンオキセタン OXT−221」、東亞合成(株)製
<ラジカル重合性モノマー>
DCPA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
<硬化触媒>
CPI−110P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスファートおよびチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム) ビス(ヘキサフルオロホスファート)の混合物(99.5/0.5)、商品名「CPI−110P」、サンアプロ(株)製
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名「イルガキュア−184」、BASF社製
<増感剤>
UVS1331:9,10−ジブトキシアントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−1331」、川崎化成工業(株)製
UVS581:9,10−ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−581」、川崎化成工業(株)製
実施例1(積層体の調製)
調製例8で得られた接着剤を、トリアセチルセルロースフィルム(TAC、サイズ:縦×横=4cm×5cm、厚み:60μm)上に乾燥後の厚みが15μmとなるよう塗布し、ガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)を貼り合わせた後、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2500mJ/cm2)し、更に60℃で1時間加熱処理を施して、TAC/接着層/G−leaf積層体を得た。得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184)に準拠した方法で測定したところ、9Hであった。また、得られた積層体のガラス板側表面の算術平均粗さ(Ra)は0.2nmであった。
調製例8で得られた接着剤を、トリアセチルセルロースフィルム(TAC、サイズ:縦×横=4cm×5cm、厚み:60μm)上に乾燥後の厚みが15μmとなるよう塗布し、ガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)を貼り合わせた後、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2500mJ/cm2)し、更に60℃で1時間加熱処理を施して、TAC/接着層/G−leaf積層体を得た。得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184)に準拠した方法で測定したところ、9Hであった。また、得られた積層体のガラス板側表面の算術平均粗さ(Ra)は0.2nmであった。
実施例2(積層体の調製)
トリアセチルセルロースフィルムに代えてポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、品番:A4300、東洋紡(株)製、サイズ:縦×横=4cm×5cm、厚み:75μm)を使用した以外は実施例1と同様にして、PET/接着層/G−leaf積層体を得た。得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであった。
トリアセチルセルロースフィルムに代えてポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、品番:A4300、東洋紡(株)製、サイズ:縦×横=4cm×5cm、厚み:75μm)を使用した以外は実施例1と同様にして、PET/接着層/G−leaf積層体を得た。得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであった。
(全光線透過率)
実施例1、2で得られた積層体の透明性を、全光線透過率を測定(JIS−K7361準拠)することで評価した。
また、比較例1として、PET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)の全光線透過率を同様に測定した。尚、LamionのG−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであった。
更に、比較例2として、G−leaf(厚み50μm)のみの全光線透過率を同様に測定した。尚、G−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであった。
実施例1、2で得られた積層体の透明性を、全光線透過率を測定(JIS−K7361準拠)することで評価した。
また、比較例1として、PET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)の全光線透過率を同様に測定した。尚、LamionのG−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであった。
更に、比較例2として、G−leaf(厚み50μm)のみの全光線透過率を同様に測定した。尚、G−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであった。
(可とう性評価)
実施例1、2で得られた積層体、比較例1としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例2としてのG−leaf(厚み50μm)について、25℃において、G−leaf面が凹となるよう積層体を折り曲げて万力の口金に挟み、ハンドルを回して徐々に締め付け、初めて積層体に割れが生じた時点における積層体の曲げ半径を、最小曲げ半径(mm)とした。
実施例1、2で得られた積層体、比較例1としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例2としてのG−leaf(厚み50μm)について、25℃において、G−leaf面が凹となるよう積層体を折り曲げて万力の口金に挟み、ハンドルを回して徐々に締め付け、初めて積層体に割れが生じた時点における積層体の曲げ半径を、最小曲げ半径(mm)とした。
(屈曲耐久性評価(1))
実施例1、2で得られた積層体、比較例1としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例2としてのG−leaf(厚み50μm)を試験片として使用し、25℃において、前記試験片を平面上に水平に設置して伸ばした状態から、その中心部において、試験片をG−leafの面が凹となる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行い、試験片にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とした(図2、3参照)。
実施例1、2で得られた積層体、比較例1としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例2としてのG−leaf(厚み50μm)を試験片として使用し、25℃において、前記試験片を平面上に水平に設置して伸ばした状態から、その中心部において、試験片をG−leafの面が凹となる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行い、試験片にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とした(図2、3参照)。
(耐カール性評価(2))
実施例1、2で得られた積層体、比較例1としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、サイズ:縦×横=1cm×7cm、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例2としてのG−leaf(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:50μm)について、上記耐カール性評価(1)と同様の方法で評価した。
実施例1、2で得られた積層体、比較例1としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、サイズ:縦×横=1cm×7cm、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例2としてのG−leaf(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:50μm)について、上記耐カール性評価(1)と同様の方法で評価した。
実施例3〜11(積層体の調製)
調製例8で得られた接着剤を、下記表に記載の樹脂フィルム上に乾燥後の厚みが15μmとなるよう塗布し、下記表に記載の最小曲げ半径を有するガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)上に、これから得ようとする積層体の長さ方向が、前記樹脂フィルムのMD方向、TD方向、若しくは複屈折の配向方向に対して45°の方向と平行になるよう貼り合わせた後、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2000mJ/cm2)して樹脂フィルム/接着層/G−leaf積層体(各実施例につき、サンプル数10)を得た。尚、最小曲げ半径は上記(可とう性評価)と同様の方法で測定した。
調製例8で得られた接着剤を、下記表に記載の樹脂フィルム上に乾燥後の厚みが15μmとなるよう塗布し、下記表に記載の最小曲げ半径を有するガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)上に、これから得ようとする積層体の長さ方向が、前記樹脂フィルムのMD方向、TD方向、若しくは複屈折の配向方向に対して45°の方向と平行になるよう貼り合わせた後、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2000mJ/cm2)して樹脂フィルム/接着層/G−leaf積層体(各実施例につき、サンプル数10)を得た。尚、最小曲げ半径は上記(可とう性評価)と同様の方法で測定した。
(屈曲耐久性評価(2))
得られた積層体(各実施例につき、サンプル数10)を平面上に水平に設置して伸ばした状態から、その中心部において、試験片をG−leafの面が凹となる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで2000セット行い、試験片にクラックが生じなかったサンプルの割合から屈曲耐久性を評価した。
得られた積層体(各実施例につき、サンプル数10)を平面上に水平に設置して伸ばした状態から、その中心部において、試験片をG−leafの面が凹となる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで2000セット行い、試験片にクラックが生じなかったサンプルの割合から屈曲耐久性を評価した。
表中の略号を以下に説明する。
<樹脂フィルム>
PET:二軸延伸PETフィルム、商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製
TAC:二軸延伸トリアセチルセルロースフィルム、商品名「フジタックTG60UL」、富士フイルム(株)製
PEN:二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、商品名「テオネックスQ65HA」、帝人フィルムソリューション(株)製
PAI:二軸延伸ポリアミドイミドフィルム、商品名「Taimide OT-050」、Taimide Tech. Inc.社製
<樹脂フィルム>
PET:二軸延伸PETフィルム、商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製
TAC:二軸延伸トリアセチルセルロースフィルム、商品名「フジタックTG60UL」、富士フイルム(株)製
PEN:二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、商品名「テオネックスQ65HA」、帝人フィルムソリューション(株)製
PAI:二軸延伸ポリアミドイミドフィルム、商品名「Taimide OT-050」、Taimide Tech. Inc.社製
実施例12〜18、比較例3(積層体の調製)
下記表に記載の接着剤を、PETフィルム(二軸延伸PETフィルム、商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製)上に、乾燥後の厚みが下記表に記載の通りとなるよう塗布し、最小曲げ半径が3mm以下であるガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)を、前記PETフィルムのMD方向が、これから得ようとする積層体の長さ方向と平行になるよう貼り合わせた後、前記接着剤を下記方法で硬化させてPET/接着層/G−leaf積層体を得た。
<硬化方法>
実施例12、15、17、18:溶剤を加熱乾燥することにより硬化させた
実施例13:紫外線を照射して硬化させた
実施例14:溶剤を加熱乾燥させた後、紫外線を照射して硬化させた
実施例16:シート状接着剤をガラスとPETの間に挟みこんだ後、真空加熱圧着することにより硬化させた
比較例3:常温で24時間静置して、硬化させた
下記表に記載の接着剤を、PETフィルム(二軸延伸PETフィルム、商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製)上に、乾燥後の厚みが下記表に記載の通りとなるよう塗布し、最小曲げ半径が3mm以下であるガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)を、前記PETフィルムのMD方向が、これから得ようとする積層体の長さ方向と平行になるよう貼り合わせた後、前記接着剤を下記方法で硬化させてPET/接着層/G−leaf積層体を得た。
<硬化方法>
実施例12、15、17、18:溶剤を加熱乾燥することにより硬化させた
実施例13:紫外線を照射して硬化させた
実施例14:溶剤を加熱乾燥させた後、紫外線を照射して硬化させた
実施例16:シート状接着剤をガラスとPETの間に挟みこんだ後、真空加熱圧着することにより硬化させた
比較例3:常温で24時間静置して、硬化させた
尚、接着層の貯蔵弾性率及びTg測定は、接着剤の硬化物(厚み:0.5mm)を幅4mm、長さ3cmに切り出し、これを動的粘弾性測定(DMA)のサンプルとして使用し、下記の条件で実施した。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:固体粘弾性測定装置(「RSAIII」、TA INSTRUMENTS社製)
雰囲気:窒素
温度範囲:20〜350℃
昇温温度:5℃/分
変形モード:引っ張りモード
<測定装置及び測定条件>
測定装置:固体粘弾性測定装置(「RSAIII」、TA INSTRUMENTS社製)
雰囲気:窒素
温度範囲:20〜350℃
昇温温度:5℃/分
変形モード:引っ張りモード
実施例12〜18、及び比較例3で得られた積層体、比較例4としてのPET/接着層/G−leaf積層体(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製、PET厚み38μm/接着層厚み25μm/G−leaf厚み50μm)、及び比較例5としてのG−leaf(厚み50μm)を試験片として使用し、その屈曲耐久性の評価を上記屈曲耐久性評価(1)と同様の方法で行った。
表中の略号を以下に説明する。
<接着剤>
UAl:ウレタン変性アクリルポリマーと溶剤(酢酸エチル/イソプロピルアルコール)を含む組成物(商品名「アクリット8UA−017」、大成ファインケミカル(株)製)
UA2:UV硬化型ウレタンアクリレート(商品名「アクリット8UX−077A」、大成ファインケミカル(株)製)100重量部に、イルガキュア−184を5重量部配合して得られる組成物
UA3:UV硬化型ウレタンアクリルポリマー(商品名「アクリット8BR−600」、大成ファインケミカル(株)製)100重量部に、イルガキュア−184を0.2重量部配合して得られる組成物
EVA1:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体と溶剤(水)を含む組成物(商品名「セビアン−A 56094」、ダイセルファインケム(株)製)
EVA2:変性エチレン−酢酸ビニル共重合体からなるシート状接着剤(商品名「メルセンG」、東ソー・ニッケミ(株)製)
EVA3:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体と酢酸ビニル・アクリル酸アルキルエステル系共重合体の配合物と溶剤(水/メチルシクロヘキサノン)を含む組成物(商品名「セビアン−A 56148」、ダイセルファインケム(株)製)
EVA4:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体と溶剤(水/メチルシクロヘキサノン)を含む組成物(商品名「セビアン−A 609」、ダイセルファインケム(株)製)
SL:シリコーン系弾性接着剤、商品名「セメダインスーパーXハイパーワイド」、セメダイン(株)製
<接着剤>
UAl:ウレタン変性アクリルポリマーと溶剤(酢酸エチル/イソプロピルアルコール)を含む組成物(商品名「アクリット8UA−017」、大成ファインケミカル(株)製)
UA2:UV硬化型ウレタンアクリレート(商品名「アクリット8UX−077A」、大成ファインケミカル(株)製)100重量部に、イルガキュア−184を5重量部配合して得られる組成物
UA3:UV硬化型ウレタンアクリルポリマー(商品名「アクリット8BR−600」、大成ファインケミカル(株)製)100重量部に、イルガキュア−184を0.2重量部配合して得られる組成物
EVA1:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体と溶剤(水)を含む組成物(商品名「セビアン−A 56094」、ダイセルファインケム(株)製)
EVA2:変性エチレン−酢酸ビニル共重合体からなるシート状接着剤(商品名「メルセンG」、東ソー・ニッケミ(株)製)
EVA3:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体と酢酸ビニル・アクリル酸アルキルエステル系共重合体の配合物と溶剤(水/メチルシクロヘキサノン)を含む組成物(商品名「セビアン−A 56148」、ダイセルファインケム(株)製)
EVA4:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体と溶剤(水/メチルシクロヘキサノン)を含む組成物(商品名「セビアン−A 609」、ダイセルファインケム(株)製)
SL:シリコーン系弾性接着剤、商品名「セメダインスーパーXハイパーワイド」、セメダイン(株)製
実施例19
(セラミックスラリーの調製)
チタン酸バリウム系セラミック粉末100重量部、ポリビニルブチラール12重量部、ジブチルフタレート8重量部、及びトルエン−エチルアルコール20重量部をボールミルに入れて十分混練し、セラミックスラリー(1)を得た。
(セラミックスラリーの調製)
チタン酸バリウム系セラミック粉末100重量部、ポリビニルブチラール12重量部、ジブチルフタレート8重量部、及びトルエン−エチルアルコール20重量部をボールミルに入れて十分混練し、セラミックスラリー(1)を得た。
(セラミックグリーンシートの形成(1))
実施例2と同じ方法で得られた積層体(10cm×20cm)のガラス板側表面(算術平均粗さ(Ra):0.2nm)に、アプリケータでセラミックスラリー(1)を塗布し、次いで100℃で4分間の乾燥を行って、セラミックグリーンシートを形成した。
実施例2と同じ方法で得られた積層体(10cm×20cm)のガラス板側表面(算術平均粗さ(Ra):0.2nm)に、アプリケータでセラミックスラリー(1)を塗布し、次いで100℃で4分間の乾燥を行って、セラミックグリーンシートを形成した。
セラミックグリーンシートと積層体との間に浮きは無かった。また、セラミックグリーンシートには皺が一切発生していなかった。そのため、積層工程に付すことが可能であった。
(連続屈曲負荷)
セラミックグリーンシートを剥離した後、積層体に屈曲耐久性評価(1)と同様の方法で曲げて伸ばす動作を10セット実施した。
セラミックグリーンシートを剥離した後、積層体に屈曲耐久性評価(1)と同様の方法で曲げて伸ばす動作を10セット実施した。
(セラミックグリーンシートの形成(2))
その後、再び、上記(セラミックグリーンシートの形成)を実施した。その結果、セラミックグリーンシートと積層体との間に浮きは生じなかった。また、セラミックグリーンシートに皺は発生しなかった。
その後、再び、上記(セラミックグリーンシートの形成)を実施した。その結果、セラミックグリーンシートと積層体との間に浮きは生じなかった。また、セラミックグリーンシートに皺は発生しなかった。
実施例20
実施例2と同じ方法で得られた積層体(10cm×20cm)のガラス板側表面に熱硬化シリコーン(信越化学(株)製、KS−847)を、乾燥後の厚みが0.2μmとなるように塗工して、ガラス板側表面に剥離層を有する積層体を得た。
実施例2と同じ方法で得られた積層体(10cm×20cm)のガラス板側表面に熱硬化シリコーン(信越化学(株)製、KS−847)を、乾燥後の厚みが0.2μmとなるように塗工して、ガラス板側表面に剥離層を有する積層体を得た。
得られた積層体を使用した以外は実施例19と同様に(セラミックグリーンシートの形成(1))−(連続屈曲負荷)−(セラミックグリーンシートの形成(2))を実施した。その結果、前記(1)、(2)の何れの場合にも、セラミックグリーンシートと積層体との間に浮きは無かった。また、セラミックグリーンシートに皺は発生しなかった。
比較例6
厚み75μmのPETフィルム(10cm×20cm)の片面(算術平均粗さ(Ra):40nm)に、熱硬化シリコーン(信越化学(株)製、KS−847)を、乾燥後の厚みが0.2μmとなるように塗工して、離型層を有するPETフィルムを得た。
厚み75μmのPETフィルム(10cm×20cm)の片面(算術平均粗さ(Ra):40nm)に、熱硬化シリコーン(信越化学(株)製、KS−847)を、乾燥後の厚みが0.2μmとなるように塗工して、離型層を有するPETフィルムを得た。
積層体に代えて、離型層を有するPETフィルムを使用した以外は実施例19と同様に(セラミックグリーンシートの形成(1))を実施した。
その結果、得られたセラミックグリーンシートには、離型層を有するPETフィルムとの間で、随所において浮きが生じていた。また、積層工程に付すことができない程に皺が発生していた。
その結果、得られたセラミックグリーンシートには、離型層を有するPETフィルムとの間で、随所において浮きが生じていた。また、積層工程に付すことができない程に皺が発生していた。
比較例7
厚み50μmのガラス板(10cm×20cm;算術平均粗さ(Ra):0.2nm)を使用した以外は実施例19と同様に(セラミックグリーンシートの形成(1))を実施した。
その結果、セラミックスラリー(1)を塗布作業中にガラス板が破損してしまった。
厚み50μmのガラス板(10cm×20cm;算術平均粗さ(Ra):0.2nm)を使用した以外は実施例19と同様に(セラミックグリーンシートの形成(1))を実施した。
その結果、セラミックスラリー(1)を塗布作業中にガラス板が破損してしまった。
実施例21
(剥離性評価)
実施例19と同様にして、積層体表面にて、セラミックグリーンシートを形成した。得られた積層体/セラミックグリーンシートの積層物について、セラミックグリーンシート側を真空吸引ステージに吸着させ、積層体を、JIS Z0237:2009に準拠した方法で、引張り速度300mm/分にて、90°ピール剥離した。この時、セラミックグリーンシートが破れることはなく、且つセラミックグリーンシートの一部が積層体上に残ることもなく、スムーズに積層体を剥離することができた。以上より、前記積層体は剥離性に優れていることが確認できた。
(剥離性評価)
実施例19と同様にして、積層体表面にて、セラミックグリーンシートを形成した。得られた積層体/セラミックグリーンシートの積層物について、セラミックグリーンシート側を真空吸引ステージに吸着させ、積層体を、JIS Z0237:2009に準拠した方法で、引張り速度300mm/分にて、90°ピール剥離した。この時、セラミックグリーンシートが破れることはなく、且つセラミックグリーンシートの一部が積層体上に残ることもなく、スムーズに積層体を剥離することができた。以上より、前記積層体は剥離性に優れていることが確認できた。
1 媒体
2 浮き量
3 水平面
4 ガラス板
5 接着層
6 樹脂フィルム
7 第一ローラー
7a 第一ローラーの回転方向
8 第二ローラー
8a 第二ローラーの回転方向
9、9a 媒体の移動方向(搬送側)
9b 媒体の移動方向(戻り側)
2 浮き量
3 水平面
4 ガラス板
5 接着層
6 樹脂フィルム
7 第一ローラー
7a 第一ローラーの回転方向
8 第二ローラー
8a 第二ローラーの回転方向
9、9a 媒体の移動方向(搬送側)
9b 媒体の移動方向(戻り側)
Claims (14)
- 第一ローラーから繰り出され、第二ローラーにて移動方向が変更される媒体であって、厚みが200μm以下であるガラス板と、樹脂フィルムとが接着層を介して積層された構成を有する媒体。
- 被搬送物を第一ローラー側から第二ローラー側へ搬送する搬送用媒体である、請求項1に記載の媒体。
- 製造ラインにて積層セラミックコンデンサを製造するための移動ステージである、請求項1に記載の媒体。
- 製造ライン上を移動する物品の表面を保護するための保護シートである、請求項1に記載の媒体。
- 媒体の総厚みが400μm以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の媒体。
- 接着層が、下記接着剤(1)の硬化物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の媒体。
接着剤(1):カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、前記カチオン重合性モノマーとして、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有し、下記式(b)
で表される化合物をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有する。 - 接着層が、ウレタン(メタ)アクリレート又はその重合体を含むアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の媒体。
- 接着層が酢酸ビニル系重合体を含む酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の媒体。
- 樹脂フィルムのMD方向が媒体の長さ方向に沿うように積層されてなる請求項1〜9の何れか1項に記載の媒体。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面上にて物品を製造する、物品の製造方法。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面を、当該ガラス板側表面に対面する位置において前記媒体と同じ方向に移動する物品に貼着させて物品を保護する工程を含む、物品の製造方法。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の媒体を第一ローラーから繰り出し、第二ローラーにて移動方向を変更させると共に、前記媒体のガラス板側表面上にて、積層セラミックコンデンサの製造を実施することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の媒体と、当該媒体を繰り出し、繰り出された媒体の移動方向を変更するローラーとを備える搬送部を有する装置。
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