JP2020116893A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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洋 大和
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Abstract

【課題】取扱い性に優れながら、ガラス特有の特性を保持した加飾された積層体の提供。【解決手段】ガラス板4と、樹脂フィルム2と、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着層3と、を含む積層構造を有するコア積層体1を有し、樹脂フィルム2は加飾部2aを有する構成、或いは樹脂フィルム2の接着層積層面とは反対側の面に、更に加飾部2aを有する基材を備える構成の何れか一つを備える積層体1。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及びその製造方法に関する。前記積層体は、特に、射出成形により同時加飾された樹脂成形体を製造する用途に好適に使用される。
加飾された樹脂成形物は、自動車、家電製品、日用品などに数多く用いられている。樹脂成形物を加飾する方法として、金型の中に絵柄や種々の機能を付与した樹脂フィルムを配置し、射出成形と同時に、加飾された樹脂フィルムと射出された樹脂が一体化した樹脂成形物を得る、成形同時加飾方法(インモールドデコレーション、又はインモールドラミネーションとも称される)が提案されている。この加飾方法は、従来の表面加飾に用いられてきた塗装、印刷、蒸着等と異なり、金型設計により複雑な形状にも対応できること、成形と加飾を同時に行えること、樹脂フィルムに様々な意匠、機能性を付与できるといった自由度が高い等の特徴がある。
例えば、特許文献1には、キャビティを有する金型内に加飾シートを配置し、前記金型のゲートを通じて溶融樹脂を前記金型内に射出して、樹脂成形物の表面に前記加飾シートを密着させて、加飾された樹脂成形物を得る方法が記載されている。
一方、ガラスは高い硬度と透明性を有し、上質感を演出することができる素材である。これらの特性が求められる自動車の内装部品や建築材料等の素材として、加飾されたガラス板が使用されている。近年、厚さ20〜200μmほどの極めて薄いガラス板(薄化ガラス板)が開発され、このような薄化ガラス板は可とう性に優れること(すなわち、柔軟性を有し、ゆっくり折り曲げることができること)が記載されている(例えば、特許文献2)。
特開2010−247493号公報 特開2010−105900号公報
特許文献1のような樹脂成形物は、その表面をハードコート処理したとしても、全てが樹脂素材で構成される特性上、ガラス特有の特性(例えば、高い硬度、透明感、上質感、高級感等)を演出することは難しいという問題があった。
また、ガラスは可とう性に欠け、割れやすく取扱いが困難である。薄化ガラス板自体は可とう性に優れていても、割れやすく取扱いは一層難しい。
以上の理由から、取扱い性に優れながら、ガラス特有の特性を保持した加飾された積層体を得る技術は未だ十分な満足が得られていない。
従って、本発明の目的は、取扱い性に優れる、ガラス特有の特性(例えば、高い硬度、透明感や上質感等)を保持した加飾された積層体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガラス板と樹脂フィルムとが接着剤で接合されてなる、屈曲耐久性に優れ、且つガラス特有の特性を保持した加飾された積層体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガラス板と樹脂フィルムとが強く接着し、且つガラス特有の特性を保持した加飾された積層体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガラス板と樹脂フィルムとが接着剤で接合されてなる、屈曲耐久性及び耐カール性に優れ、しかもガラス特有の特性を保持した加飾された積層体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記積層体がロール状に巻回されてなる巻回体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記積層体の成形体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂フィルム又は基材の何れか一つが加飾部を有する、ガラス板と、樹脂フィルムと、当該ガラス板及び樹脂フィルムの間の接着層と、を含む積層構造を有する積層体によれば、ガラス特有の特性を保持したまま、加飾された積層体が得られることを見出した。またガラス板と樹脂フィルムが接着層を介して複合化されるため、ガラス単体よりも衝撃に対して割れにくく、取扱い性にも一層優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、ガラス板と、樹脂フィルムと、当該ガラス板及び樹脂フィルムの間の接着層と、を含む積層構造を有するコア積層体を有し、下記構成の何れか一つを備える積層体(以降、「本発明の積層体」と称する場合がある)を提供する。
構成1:前記樹脂フィルムは加飾部を有する
構成2:前記樹脂フィルムの接着層積層面とは反対側の面に、更に加飾部を有する基材を備える
本発明は、また、前記接着層のガラス板への密着性(JIS K 5600−5−6に準拠)が6段階分類試験において分類0〜2である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、動的粘弾性測定装置を用いて測定した、前記接着層の20℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、動的粘弾性測定装置を用いて測定した、前記接着層のガラス転移温度が5℃未満である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、前記コア積層体の総厚みが1000μm以下である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、前記接着層は、下記接着剤(1)の硬化物である前記の積層体を提供する。
接着剤(1):カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、前記カチオン重合性モノマーとして、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物、及び下記式(b)
Figure 2020116893
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
で表される化合物を少なくとも含有し、
前記1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物の含有量はカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上であり、
前記式(b)で表される化合物の含有量は、カチオン重合性モノマー全量の5重量%以上である。
本発明は、また、前記接着層が、ウレタン(メタ)アクリレート又はその重合体を含むアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、前記接着層が、酢酸ビニル系重合体を含む酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、前記ガラス板の最小曲げ半径が3mm以下である、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、前記樹脂フィルムが、当該樹脂フィルムのMD方向が積層体の屈曲方向に沿うように積層されてなる、前記の積層体を提供する。
本発明は、また、前記の積層体がロール状に巻回されてなる、巻回体を提供する。
本発明は、また、前記の積層体の成形体を提供する。
本発明は、また、
ガラス板及び加飾部を有する樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、接着剤を付与する工程と、
前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程、
とを含む、積層体の製造方法(以下、「第1の構成の積層体の製造方法」と称する場合がある)を提供する。
本発明は、また、
ガラス板及び樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、接着剤を付与する工程と、
前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程と、
更に加飾部を有する基材を、前記樹脂フィルムの接着層積層面とは反対側の面に積層する工程、
とを含む、前記の積層体の製造方法(以下、「第2の構成の積層体の製造方法」と称する場合がある)を提供する。
本発明はまた、
前記の積層体を、射出成形用金型のキャビティ形成面に、前記積層体のガラス板側が接するように配置する工程と、
前記金型を型締し、溶融樹脂を、前記金型内に射出し、固化させて、前記積層体と一体化された樹脂成形体を形成する工程、
とを含む、加飾樹脂成形体の製造方法(以下、「本発明の加飾樹脂成形体の製造方法」と称する場合がある)を提供する。
本発明によれば、ガラス特有の特性(例えば、高い透明性、熱的安定性、電位絶縁性、化学的安定性、高い表面平滑性、うねりが少ないこと、高い硬度、ガスバリア性、上質感、高級感、指で触れた際の良好な触感等)を保持した、加飾された積層体を得ることができる。また、加飾部にガラスのみが持つ圧倒的な質感が付加されるため、一層深みのある加飾効果が得られる。また、ガラス板と樹脂フィルムが接着層を介して複合化されるため衝撃に対して割れにくく、取扱い性も優れる。また、同一厚みのガラス板よりも軽量化を図ることができるため、自動車の内装部品や建築材料などに用いる場合、構造体全体の軽量化を図ることができる。
また、本発明の積層体は、特定の接着剤(例えば、後述の接着剤(1)〜(3))を用いて、接着層を形成した場合は、屈曲させる際の、ガラス板への応力負荷が接着層によって緩和され、優れた屈曲耐久性を発揮することができる。すなわち、屈曲−伸展を繰り返してもガラス板にクラックが発生することを抑制することができる。このため、成形加工時の作業性に一層優れ、不良発生率を低減することができる。
また、本発明の積層体は、特定のカチオン重合性モノマーを含有する接着剤(例えば、後述の接着剤(1))を用いて、接着層を形成した場合は、光照射又は加熱処理を照射する前は低粘度で塗布性に優れ、光照射又は加熱処理を照射することにより、酸素の存在下でも速やかに硬化して、ガラスに対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができる。また、ガラスの表面に予めプライマー処理等を行う必要がなく、直に、ガラスに塗布して接着することができ、一層作業性に優れる。更に、低硬化収縮性を有するため、積層体にカールが発生することも防止することができる。
また、本発明の積層体は、特定のカチオン重合性モノマーを含有する接着剤(例えば、後述の接着剤(1))を用いて接着層を形成した場合は、屈曲耐久性に加えて、可とう性及び耐カール性にも優れる。すなわち、高い意匠性と可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性といった機能性を兼ね備える。このため、例えばフレキシブル性が必要な電子材料/電子部品等に、好適に使用することができる。
更に、本発明の巻回体は、ロール状に巻回されているため、嵩張らずに保存することができ、運搬も容易である。
また、本発明によれば、本発明の積層体の特性を保持した成形体を得ることができる。このため、成形加工時にガラス板に割れやクラックが発生することを抑制することができ、作業性、加工性に優れる。また加工時の不良発生率を低減することができる。また、本発明の積層体は、同一厚みのガラス板よりも軽量であるため、成形体の軽量化を図ることができる。
本発明の積層体の製造方法によれば、本発明の積層体を効率よく製造でき、生産性にも優れる。
本発明の加飾樹脂成形体の製造方法によれば、ガラス特有の特性を保持した、これまでにない加飾樹脂成形体が得られる。
本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す正面断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る積層体を模式的に示す正面断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る積層体を模式的に示す正面断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る積層体を模式的に示す正面断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る積層体を模式的に示す正面断面図である。 図6(a)〜(d)は、図1に示す積層体の製造方法の一例の各工程を説明するための断面図である。 図1に示す積層体の模式断面図であり、樹脂フィルム2の向きを、樹脂フィルム2のMD方向が積層体の屈曲方向と平行なるように調整して、接着層3を介しガラス板4と貼り合わせた図である。 図8(a)〜(c)は、図3に示す積層体1(1C)の製造方法の一例の各工程を説明するための断面図である。 図9(a)、(b)は、図3に示す積層体1(1C)の製造方法の他の一例の各工程を説明するための断面図である。 本発明の一実施形態に係る成形体を模式的に示す断面模式図である。 図11(a)〜(c)は、図10に示す成形体の製造方法の一例の各工程を説明するための断面図である。の各工程を説明するための断面図である。 耐カール性を評価する際の、試験片の浮き量の測定方法を示す模式図である。 本発明における屈曲耐久性の試験方法(R曲げ方法)(積層体をガラス板の面が凹となる方向に屈曲半径(R)が3mmとなるように180°折り曲げ、伸ばす動作の1セット)を示す模式図(側面図)である。 図13の動作(4)を拡大して示した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を説明する。また以下の図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。なお図面に記載の実施形態は、本発明を明確に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される本発明の積層体の形状、サイズ、縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
[積層体1]
本発明の積層体は、ガラス板と、樹脂フィルムと、当該ガラス板及び樹脂フィルムの間の接着層と、を含む積層構造を有するコア積層体を有し、下記構成の何れか一つを備える積層体である。
構成1:前記樹脂フィルムは加飾部を有する
構成2:前記樹脂フィルムの接着層積層面とは反対側の面に、更に加飾部を有する基材を備える
図1〜5は、積層体1を模式的に示す正面断面図である。第1の構成を備える積層体1を図1〜3に、第2の構成を備える積層体1を図4〜5に示す。
(第1の構成の実施形態)
図1に示す積層体1(1A)は、ガラス板4と、加飾部2aを有する樹脂フィルム2と、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着層3、とを含む積層構造を有する積層体であり、前記加飾部2aは、樹脂フィルム2の接着層3積層面とは反対側の面に設けられている。
図2に示す積層体1(1B)は、ガラス板4と、加飾部2bを有する樹脂フィルム2と、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着層3、とを含む積層構造を有する積層体である。前記加飾部2bは、樹脂フィルム2の接着層3積層面に設けられている。
図3に示す積層体1(1C)は、前記積層体1(1A)と、基材6を備える。前記基材6は、樹脂フィルム2の接着層3積層面とは反対側の面に設けられている。
(第2の構成の実施形態)
図4に示す積層体1(2A)は、ガラス板4と、樹脂フィルム2と、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着層3と、接着層5と、加飾部6aを有する基材6を備える積層体である。前記加飾部6aは、基材6の接着層5積層面とは反対側の面に設けられている。
図5に示す積層体1(2B)は、ガラス板4と、樹脂フィルム2と、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着層3と、接着層5と、加飾部6bを有する基材6を備える積層体である。前記加飾部6bは、基材6の接着層5積層面に設けられている。
積層体1は、前記第1の構成、又は前記第2の構成の他にも、更に他の層を1層又は2層以上有していてもよい。例えば、図4〜5に示すように基材6と樹脂フィルム2を貼り合せるための接着層5を有していてもよい。例えば、図3に示すように、第1の構成の積層体1(1A)に、更に基材6を備える構成(1C)であってもよい。
また、ガラス板4は、接着層3の積層面とは反対側の面に、ガラス特有の特性を損なわない範囲で、更に他の層(例えば、防汚層等)が1層又は2層以上積層されていても良い。また、樹脂フィルム2は、接着層3の積層面とは反対側の面に、更に他の層を1層又は2層以上有していても良い。基材6も同様である。
積層体1は、特定の接着剤12(好ましくは、後述の接着剤(1)〜(3))を用いて接着層3を形成した場合は、屈曲させる際の、ガラス板4への応力負荷が接着層3によって緩和され、優れた屈曲耐久性を発揮することができる。すなわち、屈曲−伸展を繰り返してもガラス板にクラックが発生することを抑制することができる。下記試験による屈曲耐久性は、例えば10以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、最も好ましくは10000以上である。
屈曲耐久性試験:
積層体を伸ばした状態から、ガラス板の面が凹となる方向に屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行った際における、積層体にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とする
積層体1におけるコア積層体の総厚みは、例えば1000μm以下、例えば300μm以下であり、可とう性及び屈曲耐久性に極めて優れる点で、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下、最も好ましくは150μm以下である。尚、総厚みの下限は、例えば50μm、好ましくは75μm、特に好ましくは100μmである。
積層体1の形状は、任意に選択でき、例えば、シート状(枚葉状)、ロール状(後述の本発明の巻回体)等とすることができる。また積層体1は、適当な形状に加工、切断、打ち抜き加工等が施されていてもよい。
(ガラス板4)
ガラス板4は、積層体1に、ガラス特有の特性(例えば、高い透明性、熱的安定性、電位絶縁性、化学的安定性、極めて高い表面平滑性、うねりが少ないこと、高い硬度、ガスバリア性、上質感、高級感、指で触れた際の良好な触感等)を付与する。
ガラス板4の厚みは特に限定されないが、500μm以下であり、可とう性に優れる点で、好ましくは250μm、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。また、屈曲耐久性に極めて優れる点で、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
最小曲げ半径が3mm以下であるガラス板4(すなわち、屈曲半径が3mm以下となるまで、少なくとも1回、折り曲げ可能なガラス板)を使用すると、屈曲耐久性に優れる積層体が得られる確率が飛躍的に向上する点で好ましい。ガラス板4の厚みが50μm以下の場合、屈曲半径は、例えば3mmである。ガラス板4の厚みが50μmを超え、100μm以下の場合、屈曲半径は、例えば20mm以下(好ましくは、10〜20mmの範囲内)である。ガラス板4の厚みが100μmを超え、150μm以下の場合、屈曲半径は、例えば40mm以下(好ましくは、25〜40mmの範囲内)である。ガラス板4の厚みが150μmを超え、250μm以下の場合、屈曲半径は、例えば100mm以下(例えば、45〜100mm)である。ガラス板4の厚みが250μmを超え、500μm以下の場合、屈曲半径は、例えば250mm以下(例えば、110〜250mm)である。このようなガラス板4を用いた積層体1は、特に加工時に耐久性を有し、金型を用いる場合は金型への追従性に優れ、製品不良率の低減にもつながるため、好ましい。
(樹脂フィルム2)
樹脂フィルム2は、支持体としての役割を有する。樹脂フィルム2としては、用途に応じて、公知乃至慣用の樹脂フィルムを用いることができる。用途に応じて色調(有色、透明色)は自由に選択できる。
樹脂フィルム2の材料としては、熱可塑性プラスチックや熱硬化性プラスチックが挙げられる。前記熱可塑性プラスチックには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニリデン、酢酸セルロース(例えば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の汎用プラスチック;ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等のエンジニアリングプラスチック;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が含まれる。前記熱硬化性プラスチックには、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂等が含まれる。
樹脂フィルム2としては、なかでも、屈曲耐久性に極めて優れる点で、PET、PAI、PI、酢酸セルロース(特に、TAC)、及びPENから選択される少なくとも1種の材料からなるプラスチックフィルムが好ましく、特に、PET又はPIからなるプラスチックフィルムが好ましい。
樹脂フィルム2は、1層又は2層以上有していてもよい。
樹脂フィルム2の表面の一部又は全部には、粗化処理、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
樹脂フィルム2の厚みは、例えば500μm以下であり、可とう性に優れる点で、好ましくは250μm、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは140μm以下、特に好ましくは120μm以下、最も好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下、とりわけ好ましくは70μm以下である。また、屈曲耐久性に極めて優れる点で10μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
(加飾部2a、2b、6a、6b)
加飾部2a、2b、6a、6bは、積層体1に加飾(文字、図形、記号、着色面等)を施す効果を有する。加飾部は樹脂フィルム2が有してもよく(第1の構成)、基材6が有していてもよい(第2の構成)。また樹脂フィルム2と基材6の両方に加飾部を有していても良い(図示略)。
以下、図1を参照しつつ、加飾部2aについて説明する。
加飾部2aは、通常、着色インキを用いて形成することができる。加飾部を形成する着色インキの材質としては、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂、熱可塑性エラストマーなどの樹脂、好ましくは柔軟な皮膜を作ることができる樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、前記バインダーに、パール顔料を着色剤として含有する光輝性インキを用いてもよい。
また、加飾部2aは金属薄膜から構成されるもの、あるいは金属薄膜と着色インキとの組み合わせから構成されるものでもよい。金属薄膜は加飾部2aとして金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、または鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、または亜鉛などの金属、またはこれらの合金若しくは化合物を使用することができる。
また、加飾部2aは、目視可能な模様を表現する以外に、目視不可能な模様、あるいは導電性等の機能性を付与するものでもよい。例えば、導電体、帯電防止剤、蛍光体、磁性体、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等を含有する場合である。前記着色インクの代わりにこれら物質を含有するインキを用いれば形成できる。加飾部2aを形成するインキは、被印刷体となる樹脂フィルム2(又は基材6)との密着性、耐熱性等の観点から、適宜選択することができる。
加飾部2aは、表現したい図柄に応じて、全面に設ける場合や部分的に設ける場合がある。加飾部2aの厚みは適宜調整することができる。
(接着層3)
接着層3は、接着剤12の硬化物である。接着層3は、ガラス板4と樹脂フィルム2とを結合し複合化する。これにより、ガラス板単独よりも、割れにくくなり、積層体1の取扱い性が飛躍的に向上する。
接着層3の厚みは、例えば100μm以下であり、好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは30μm以下である。尚、厚みの下限は、例えば1μm、好ましくは5μmである。接着層3が前記範囲であると、接着性と屈曲耐久性に一層優れる。このため、積層体1の加工性が一層良好となる。接着層3の厚みが過剰となると、接着性は向上するが、屈曲耐久性や透明性が低下する傾向がある。
接着層3(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)は、ガラス板4に対して密着性に優れることが好ましく、且つ樹脂フィルム2に対しても、密着性に優れることが好ましい。
接着層3の、ガラス板4及び/又は樹脂フィルム2に対する密着性は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6に準拠)の6段階分類試験において、例えば、分類0〜2であることが好ましい。
接着層3(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)の弾性率(例えば、25℃でのヤング率)は、例えば0.01MPa〜1000GPaであることが、本発明の積層体に優れた屈曲耐久性を付与することができる点において好ましく、特に好ましくは1MPa〜100GPa、最も好ましくは5MPa〜50GPa、とりわけ好ましくは5MPa〜10GPaである。
接着層3は耐熱性に優れることが、高温環境下でも本発明の積層体の屈曲耐久性を高く保持することができ、車載機器にも使用可能となる点で好ましく、接着層3(好ましくは、後述の接着剤(1)の硬化物からなる接着層)のガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上である。尚、上限は、例えば150℃である。尚、ガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、例えば、DSC、TGA等の熱分析や動的粘弾性測定により測定できる。
積層体1は前記構成を有することにより、ガラス板4の表面硬度が損なわれず高く維持される。そのため、積層体1のガラス板表面の表面硬度は、鉛筆硬度(JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184))が、例えばH以上、好ましくは2H以上、特に好ましくは3H以上、最も好ましくは5H以上である。
後述の接着剤(1)を用いて、接着層3を形成した場合は、連続屈曲した後も、表面硬度(特に屈曲部位の表面硬度)を前記の通り高く維持した積層体を得ることができる。
後述の接着剤(1)を用いて、接着層3を形成した場合は、脆性が極めて低く抑制され、靱性に優れる。
後述のアクリルウレタン系接着剤(2)を用いて、接着層3を形成した場合の、20℃における貯蔵弾性率は、積層体1に優れた屈曲耐久性を付与する点において、10MPa以上が好ましく、より好ましくは50MPa以上、特に好ましくは80MPa以上、最も好ましくは120MPa以上である。尚、本明細書における貯蔵弾性率は動的粘弾性測定装置を用いて測定された値である。
後述のアクリルウレタン系接着剤(2)を用いて、接着層3を形成した場合の、動的粘弾性測定装置を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は、積層体1に優れた屈曲耐久性を付与する点において、0〜100℃が好ましく、より好ましくは0〜70℃、特に好ましくは0〜30℃である。尚、ガラス転移温度は、例えば、JIS K7244−4に準拠した方法、より詳しくは、動的粘弾性測定(例えば、昇温速度:5℃/分、測定温度:20〜350℃、変形モード:引っ張りモードの条件での動的粘弾性測定)において測定されるtanδ(損失正接)のピークトップの温度として求めることができる。
後述の酢酸ビニル系接着剤(3)を用いて、接着層3を形成した場合の、20℃における貯蔵弾性率は、積層体1に優れた屈曲耐久性を付与する点において、10〜200MPaが好ましく、より好ましくは30〜150MPa、特に好ましくは30〜100MPaである。
後述の酢酸ビニル系接着剤(3)を用いて、接着層3を形成した場合の、動的粘弾性測定装置を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は、積層体1に優れた屈曲耐久性を付与する点において、5℃以下が好ましく、より好ましくは−5℃未満、特に好ましくは−10℃以下である。また、ガラス転移温度の下限は、例えば−30℃が好ましく、特に好ましくは−20℃である。
<接着剤12>
接着剤12は、硬化することにより、又は、そのままの状態で接着層3を形成する。接着剤12には、液状、固体状(例えば、シート状等)などの形態があり、目的に応じて適宜選択することができる。
接着剤12としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱可塑性接着剤等が挙げられる。前記硬化型接着剤のなかでは、紫外線硬化型接着剤が、速硬化性に優れる点及び耐熱性の低い樹脂フィルムにも使用可能である点で好ましい。尚、本明細書における「硬化」には、後述のラジカル硬化型又はカチオン硬化型接着剤のモノマーの重合を伴う硬化、及び熱可塑性接着剤の加熱し軟化したものを冷却することによる硬化(若しくは、固化)を含む。
紫外線硬化型接着剤には、ラジカル硬化型及びカチオン硬化型が含まれる。ラジカル硬化型接着剤は速硬化性を有する点、及びモノマーの種類が豊富である点で優れている。一方、カチオン硬化型接着剤は、酸素による硬化阻害を受けにくく、酸素の存在下でも速やかに硬化する点で優れている。また、硬化収縮が小さいため、寸法安定性にも優れている。一般に硬化収縮が大きい接着剤を使用して薄化された樹脂フィルム2とガラス板4とを接着した場合、接着剤の硬化収縮によって、得られる積層体にカールが発生し易い。
カチオン硬化型接着剤は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有する。
(カチオン重合性モノマー)
前記カチオン重合性モノマーには、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択される少なくとも1種のカチオン重合性基を含有する化合物が挙げられる。
本発明においては、接着剤12は、ガラスに対する密着性、低硬化収縮性、可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性に優れる観点から、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物(以後、「化合物(I)」と称する場合がある)、及び下記式(b)
Figure 2020116893
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
で表される化合物(以後、「化合物(b)」と称する場合がある)を少なくとも含有し、
前記化合物(I)の含有量はカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上であり、
前記化合物(b)の含有量はカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上であることが好ましい。
従って、前記カチオン硬化型接着剤としては、化合物(I)をカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上含有し、化合物(b)をカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上含有する接着剤(以降、「接着剤(1)」と称する場合がある)が好ましい。
前記カチオン硬化型接着剤は、酸素による硬化阻害を受けにくく、酸素の存在下でも速やかに硬化して硬化物を形成することができる点で優れている。また、硬化収縮が大きい接着剤を使用して薄化された樹脂フィルム2を接着した場合、接着剤の硬化収縮によって、樹脂フィルム2に、接着剤が塗布された面側が凹部となるカール(順カール)が発生し易いが、接着剤(1)を用いる場合は、硬化収縮が小さいため、カールの発生を抑制することができ、寸法安定性の点でも優れる。
接着剤(1)は、ガラス板4や樹脂フィルム2に対する密着性に一層優れる。これは、光照射又は加熱処理を施した後も、暗反応(後重合)による硬化が進行するためである。このため、ガラス板4表面に前処理(例えば、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理等)を施さなくても、極めて優れた接着力でガラス板4と樹脂フィルム2とを接着することができる。また、優れた接着力を有するため、極めて少量の使用で十分である。このため、薄さを追求した積層体を形成することに寄与する。
(化合物(I))
化合物(I)は、1分子中に少なくとも2種の官能基を有する化合物である。詳細には、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物である。化合物(I)を含む接着剤を硬化して得られる硬化物は、前記2種の官能基が重合して高度な架橋構造体を形成するため高硬度を有する。
化合物(I)としては、なかでも、得られる硬化物の高硬度化、低硬化収縮化、密着性向上の点で、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個と、水酸基を1個有する化合物(i)が好ましい。
前記化合物(i)には、以下の3種類の化合物が含まれる。
i−1:ビニルエーテル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−2:エポキシ基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−3:オキセタニル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
前記化合物(i)は、例えば下記式で表される。
HO−R−Y (i)
(式中、Rは2価の炭化水素基、2価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した2価の基を示す。Yはビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を示す)
前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン、1−メチルビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルケニレン基;エチニレン、プロピニレン、3−メチル−1−プロピニレン、ブチニレン、1、3−ブタジイニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキニレン基が挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基を構成する脂環には、単環式炭化水素環及び多環式炭化水素環が含まれ、前記多環式炭化水素環には、スピロ炭化水素環、環集合炭化水素環、架橋環式炭化水素環、縮合環式炭化水素環、架橋縮合環式炭化水素環が含まれる。2価の脂環式炭化水素基としては、前記脂環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のC3−12シクロアルカン環;シクロペンテン、シクロヘキセン等のC3−12シクロアルケン環等が挙げられる。
前記スピロ炭化水素環としては、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン等のC5−16スピロ炭化水素環等が挙げられる。
前記環集合炭化水素環としては、例えば、ビシクロヘキサン等のC5−12シクロアルカン環を2個以上含む環集合炭化水素環等が挙げられる。
前記架橋環式炭化水素環としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘプテン、ビシクロオクタン(ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン等)等の2環式炭化水素環;ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン等の3環式炭化水素環;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン等の4環式炭化水素環等が挙げられる。
前記縮合環式炭化水素環としては、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環が挙げられる。
前記架橋縮合環式炭化水素環には、ジエン類の二量体(例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等のシクロアルカジエンの二量体)や、その水素添加物等が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等の、炭素数6〜18のアリーレン基が挙げられる。
前記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記カルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
前記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)等が挙げられる。
2価の複素環式基を構成する複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等が挙げられる。前記複素環式基は、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1−4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等を有していてもよい。2価の複素環式基は、前記複素環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記Rとしては、なかでも2価の炭化水素基、又は炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基が好ましく、特に好ましくは2価の脂肪族炭化水素基、又は脂肪族炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基、最も好ましくは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基、とりわけ好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基である。また、前記連結基としては、エーテル結合が好ましい。
化合物(i)としては、ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1)及び/又はオキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)を含有することが、より高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、とりわけ、オキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)を少なくとも含有することが好ましい。
化合物(i)としては、下記式(i-1-1)〜(i-1-3)(i-3-1)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、とりわけ、下記式(i-3-1)で表される化合物を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 2020116893
(化合物(b))
化合物(b)は、下記式(b)で表される化合物である。
Figure 2020116893
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
式中のsは2以上の整数を示し、例えば2〜6の整数、好ましくは2〜4の整数、特に好ましくは2〜3の整数、とりわけ好ましくは2である。
Rにおけるs価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基のうち、2価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数3〜6)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。また、3価以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基は、2価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基の構造式から更に(s−2)個の水素を除いた基が挙げられる。
Rで示される基の総炭素数は、例えば1〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜10、最も好ましくは3〜8である。
化合物(b)としては、なかでも、下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、及びジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルから選択される少なくとも1種が好ましく、特に低粘度で塗布性に優れる点において好ましくは下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物から選択される少なくとも1種であり、最も好ましくは下記式(b-1)〜(b-4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である。
Figure 2020116893
(ビニルエーテル化合物(A))
接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)以外にも、ビニルエーテル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(本明細書においては「ビニルエーテル化合物(A)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。ビニルエーテル化合物(A)は、ビニルエーテル基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基等)を有していてもよい。
ビニルエーテル化合物(A)は、例えば、下記式(a)で表される化合物が挙げられる。
−(O−CH=CH (a)
(式中、Rは、t価の炭化水素基、t価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合したt価の基を示し、tは1以上の整数を示す)
前記tは1以上の整数であり、例えば1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは2〜5の整数である。
前記Rにおけるt価の炭化水素基及びt価の複素環式基としては、Rにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基に対応する基が挙げられる。また、前記t価の炭化水素基及びt価の複素環式基は置換基を有していてもよく、前記置換基としてはRにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基が有していてもよい置換基や、エポキシ基又はオキセタニル基を含む基が挙げられる。更に、前記連結基としては、Rにおける連結基と同様の例が挙げられる。前記Rとしては、なかでも脂環式又は複素環式骨格を有するt価の基が好ましい。
ビニルエーテル化合物(A)としては、下記式(a-1)〜(a-2)で表される化合物や、シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ノルボルネニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が好ましい。
Figure 2020116893
(エポキシ化合物(B))
接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)や化合物(b)以外にも、エポキシ基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基を有する化合物を除く;本明細書においては「エポキシ化合物(B)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。エポキシ化合物(B)は、エポキシ基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、オキセタニル基)を有していてもよい。
前記エポキシ基には、下記式(e-1)で表されるシクロヘキセンオキシド基等の、脂環(例えば、3〜8員の脂環)を構成する隣接する2個の炭素原子と、酸素原子とで構成される基(以後、「脂環式エポキシ基」と称する場合がある)や、下記式(e-2)で表されるエチレンオキシド基が含まれる。下記式中、Rは水素原子又はC1−3アルキル基を示す。
Figure 2020116893
エポキシ化合物(B)としては、なかでもエポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物が硬化性に優れる点で好ましく、特に、脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物、エチレンオキシド基を1分子中に2個以上有する化合物、及び脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を1分子中にそれぞれ1個以上有する化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物としては、例えば、下記式(b’)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020116893
前記式(b’)中、Xは単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート基(−O−CO−O−)、アミド基(−CONH−)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
前記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
前記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、前記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
前記式(b’)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基が結合していても良く、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−10アルキル基、C1−10アルコキシ基、C2−10アルケニルオキシ基、C6−14アリールオキシ基、C7−18アラルキルオキシ基、C1−10アシルオキシ基、C1−10アルコキシカルボニル基、C6−14アリールオキシカルボニル基、C7−18アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1−10アシル基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基、オキソ基等が挙げられる。
前記式(b’)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(b’-1)〜(b’-8)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(b’-5)中のLは炭素数1〜8のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)を示す。また、下記式(b’-5)(b’-7)中のn、nは、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2020116893
脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物には、更に、下記式(b’-9)(b’-10)で表される化合物も含まれる。下記式(b’-9)(b’-10)中のn〜nは、同一又は異なって1〜30の整数を示す。
Figure 2020116893
エチレンオキシド基を1分子中に2個以上有する化合物としては、例えば、水素化ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、水素化ビフェノール型ジグリシジルエーテル、水素化フェノールノボラック型ジグリシジルエーテル、水素化クレゾールノボラック型ジグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテル;ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、ビフェノール型ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型ジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型ジグリシジルエーテル等の芳香族グリシジルエーテル;下記式(b”)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2020116893
式(b”)中、R”は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R”(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15の多価アルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。前記式(b”)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
が挙げられる。
脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を1分子中にそれぞれ1個以上有する化合物としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン等が挙げられる。
エポキシ化合物(B)としては、脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物(特に、式(b’)で表される化合物)を含有することが、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で好ましい。
(オキセタン化合物(C))
接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、上述の化合物(I)以外にも、オキセタニル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基及び/又はエポキシ基を有する化合物を除く;本明細書においては「オキセタン化合物(C)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。
オキセタン化合物(C)は、例えば、下記式(c)で表される。
Figure 2020116893
(式中、Rは1価の有機基を示し、Rは水素原子又はエチル基を示す。mは0以上の整数を示す)
前記Rにおける1価の有機基には1価の炭化水素基、1価の複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、置換カルバモイル基(N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等)、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、及びこれらの2以上が単結合又は連結基を介して結合した1価の基が含まれる。
前記1価の炭化水素基、及び1価の複素環式基としては、前記Rにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基に対応する基が挙げられる。前記連結基としては、前記Rにおける連結基と同様の例が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としてはRにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の例が挙げられる。
前記mは0以上の整数を示し、例えば0〜20の整数、好ましくは0〜1の整数である。
オキセタン化合物(C)としては、なかでも、オキセタニル基を1分子中に2個以上有する化合物を使用することが、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で好ましく、例えば、下記式(c-1)で表される化合物、及び下記式(c-2)で表される化合物等が好ましい。本発明においては、例えば、「アロンオキセタンOXT−221」、「アロンオキセタンOXT−121」(以上、東亞合成(株)製)等の市販品を使用することができる。
Figure 2020116893
接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーを、接着剤(1)全量(100重量%)の、例えば50〜99.9重量%(好ましくは70〜98重量%)含有する。接着剤(1)は、カチオン重合性モノマーとして、前記化合物(I)及び化合物(b)を少なくとも含有し、更に、前記ビニルエーテル化合物(A)、エポキシ化合物(B)、及びオキセタン化合物(C)から選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
前記化合物(I)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上(例えば10〜65重量%)が好ましく、特に樹脂フィルムへの密着性に優れる硬化物が得られる点で、下限は25重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、特に好ましくは33重量%、最も好ましくは35重量%である。また、特に高硬度を有する硬化物が得られる点で、上限は55重量%が好ましく、特に好ましくは50重量%、最も好ましくは45重量%である。化合物(I)の含有量が前記範囲を下回ると、ガラスに対する密着性が低下するため好ましくない。
ビニルエーテル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物(i-1-1)及びオキセタニル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物(i-3-1)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の25重量%以上(例えば、25〜65重量%)であることが、樹脂フィルムへの密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、特に硬化性に優れる点で25重量%以上、60重量%未満が好ましく、最も好ましくは25〜55重量%、とりわけ好ましくは25〜45重量%である。
ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1-1)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば30重量%以下、好ましくは25重量%以下、最も好ましくは18重量%以下である。
オキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3-1)の含有量は、樹脂フィルムへの密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の15重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以上である。また、硬化性の観点から、含有量の上限は、例えば55重量%、より好ましくは45重量%、とりわけ好ましくは40重量%である。
前記化合物(b)の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の5重量%以上が好ましく、速硬化性を有し、ガラスに対して優れた密着性を有する高硬度の硬化物が得られる点で、より好ましくは5〜45重量%、特に好ましくは12〜40重量%、最も好ましくは18〜30重量%である。化合物(b)の含有量が前記範囲を下回ると、得られる硬化物の耐クラック性が低下して、脆くなる傾向があるため好ましくない。
前記化合物(I)/化合物(b)の重量比は、ガラスに対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば0.5以上であり、好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.1以上、最も好ましくは1.3以上である。また、前記重量比の上限は、例えば6.5、好ましくは5.5、特に好ましくは3.0、最も好ましくは2.5、とりわけ好ましくは2.0である。
前記化合物(I)、及び化合物(b)以外の化合物であって、1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を2個以上有する化合物の含有量は、硬化性の観点から、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15重量%以上、好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。尚、含有量の上限は、高硬度、且つガラスに対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば55重量%、好ましくは50重量%である。
前記化合物(b)以外の化合物であって、エポキシ基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物(好ましくは脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物、特に好ましくは式(b’)で表される化合物)の含有量は、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば10重量%以上が好ましく、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以である。尚、含有量の上限は、高硬度、且つガラスに対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば50重量%、好ましくは45重量%、特に好ましくは43重量%である。
ビニルエーテル基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の、例えば20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。
オキセタニル基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の、例えば20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。
1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、硬化性の観点から、接着剤(1)に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば30重量%未満であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下、とりわけ好ましくは1重量%以下である。
ラジカル硬化型接着剤は、ラジカル重合性モノマーと硬化触媒とを含有する。
(ラジカル重合性モノマー)
前記ラジカル重合性モノマーには、例えば、オレフィン[例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン等の鎖状オレフィン(特に、C2−12アルケン);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状オレフィン]、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、1−プロペニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルフラン、3−ビニルチオフェン、3−ビニルキノリン等のC6−14芳香族ビニル化合物)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸C1−10アルキルエステル、及びこれらに対応するメタクリル酸エステル等)、ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等の活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応物)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル等のC1−16脂肪酸ビニルエステル等)、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル(例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルへキシル等のマレイン酸ジC1−10アルキルエステル、及びこれらに対応するフマル酸エステル等)、カルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のモノカルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸又はその酸無水物;前記多価カルボン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、ラウリルエステル等のC1−16アルキルエステル)、インデン類(例えば、インデン、メチルインデン、エチルインデン、ジメチルインデン等のアルキルインデン;クロロインデン、ブロモインデン等のハロゲン化インデン等)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、接着層3としては、ラジカル重合性モノマーとして(メタ)アクリル系共重合体系と架橋剤を含有するアクリル系接着剤の硬化物からなる接着層が好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、1種又は2種以上のアクリル系モノマーを光又は熱ラジカル重合開始剤の存在下で反応させることにより製造することができる。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は、例えば10万〜500万程度である。
前記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸C1−10アルキルエステル、及びこれらに対応するメタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記アクリル系モノマーとしては、前記(メタ)アクリル酸エステル以外にも、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のラジカル重合性モノマーを使用することができる。他のラジカル重合性モノマーとしてはカルボキシル基含有モノマーやヒドロキシル基含有モノマーが挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のモノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の多価カルボン酸の無水物;前記多価カルボン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、ラウリルエステル等のC1−16アルキルエステル等が挙げられる。
前記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。
前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;が挙げられる。前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、レゾルシンジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部である。
熱可塑性接着剤は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体(特に、(メタ)アクリル・ウレタングラフト共重合体)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体などの(メタ)アクリル酸又はそのエステルを単量体として含むアクリル系重合体;酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニルを単量体として含む酢酸ビニル系重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、イソブチレン樹脂、イソブチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの合成ゴム;天然ゴム;エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、塩素化プロピレン樹脂、ウレタン樹脂、エチルセルロース等が挙げられる。
接着層3としては、ウレタン(メタ)アクリレート又はその(共)重合体を含むアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物からなる接着層が好ましく、特に接着剤(2)の硬化物からなる接着層であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した、20℃における貯蔵弾性率が、例えば10MPa以上(好ましくは50MPa以上、より好ましくは80MPa以上、特に好ましくは120MPa以上)の接着層であることが、屈曲耐久性に優れる積層体1が得られる点で好ましい。
また、接着層3としては、酢酸ビニル系重合体を含む酢酸ビニル系接着剤(3)(特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体)の硬化物からなる接着層が好ましく、特に接着剤(3)の硬化物からなる接着層であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した、ガラス転移温度(Tg)が例えば5℃以下(好ましくは−5℃未満、特に好ましくは−10℃以下。また、ガラス転移温度の下限は、例えば−30℃、好ましくは−20℃)の接着層であることが、屈曲耐久性に優れる積層体が得られる点で好ましい。
(硬化触媒)
前記硬化触媒には、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤、及び光ラジカル重合開始剤が含まれる。前記接着剤は、硬化触媒として少なくとも光カチオン重合開始剤を含有することが好ましく、特に光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を共に含有することが、接着剤の硬化反応をより効率的に進行させることができ、とりわけ高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましい。また、前記ラジカル硬化型接着剤は、硬化触媒として少なくとも光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
前記光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。本発明においては、例えば、商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−110P」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「CYRACURE UVI−6990」、「CYRACURE UVI−6992」(以上、ダウ・ケミカル社製)、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア−264」(BASF製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)、商品名「PHOTOINITIATOR 2074」(ローディアジャパン(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。本発明においては、例えば、商品名「イルガキュア−184」、「イルガキュア−127」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1173」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」、「ダロキュア−MBF」(BASF製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記カチオン硬化型接着剤は、硬化触媒として光カチオン重合開始剤を使用することが好ましく、その使用量は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
また、硬化触媒として光ラジカル重合開始剤を光カチオン重合開始剤と共に使用する場合、光ラジカル重合開始剤の使用量は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは0.5〜2重量部である。
前記ラジカル硬化型接着剤は硬化触媒として光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましく、その使用量は、ラジカル重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
接着剤12は更に溶剤を含有してもよいが、無溶剤系であること、即ち溶剤を含有しないことが、乾燥性を向上することができる点、溶剤により劣化し易い樹脂フィルム2にも適用可能となる点、及び溶剤の揮発による臭気の発生を防止することができる点で好ましい。前記溶剤の含有量は接着剤12の全量(100重量%)の例えば10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
接着剤12が、カチオン又はラジカル硬化型接着剤である場合、モノマーと硬化触媒以外にも、必要に応じて他の成分を含有していても良く、例えば、公知乃至慣用の増感剤(例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、レーザ色素類等)、増感助剤、酸化防止剤、アミン類等の安定化剤等が挙げられる。特に、前記接着剤をUV−LEDを照射して硬化させる用途に使用する場合には、増感剤、及び必要に応じて増感助剤を含有することが、硬化触媒の光照射又は加熱処理光吸収率を向上して硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、モノマー100重量部に対して、例えば0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、増感剤としては、例えば、下記式(d-1)で表される化合物と下記式(d-2)で表される化合物を併用すると、得られる硬化物の意図しない着色を極めて低く抑制することができる点で好ましく、これらの化合物の併用割合[式(d-1)で表される化合物/式(d-2)で表される化合物;重量比]は、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.1〜0.5、特に好ましくは0.2〜0.5である。尚、下記式(d-1)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−1331」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。また、下記式(d-2)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−581」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。
Figure 2020116893
接着剤12は、使用する接着剤の種類に応じて、必要に応じて他の成分(例えば、色材など)と共に、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
接着剤12の表面張力(30℃、1気圧下における)は、例えば10〜50mN/mが好ましい。また、接着剤12の粘度[25℃、せん断速度100(1/s)における]は、流動性に優れ、インクジェット印刷機等を用いて塗布する場合は吐出性に優れる点で、1〜1000mPa・sが好ましく、より好ましくは5〜500mPa・s、特に好ましくは10〜100mPa・s、最も好ましくは10〜50mPa・s、とりわけ好ましくは10〜30mPa・sである。
尚、接着剤12の表面張力は、例えば高精度表面張力計「DY−700」(協和界面科学(株)製)を使用し、Wilhelmy法(プレート法)にて測定することができる。
(基材6)
本発明の第2の構成の積層体は、樹脂フィルム2の接着層積層面とは反対側の面に、更に加飾部を有する基材6を備える。基材6は、支持体としての役割を有する。基材6は、1又は2以上の複数の基材が積層されて形成されていてもよい。
基材6としては、公知乃至慣用の素材を使用することができる。例えば、木材;紙;金属;ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ビニロン樹脂、アセテート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂等の樹脂あるいはこれらの複合体からなる樹脂;樹脂成形品;繊維強化プラスチック;セラミックス基材;半導体基材;ガラス基材;ゴム;鉱物;粘土等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
基材6として前記樹脂成形品を用いる場合は、積層体1の用途に応じて、公知乃至慣用の熱可塑性樹脂から用途に応じて選択することができる。例えば、ABS系樹脂、PMMA樹脂のようなアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、各種ポリアミド系樹脂、COP樹脂、更には、スチレンイソプレン系熱可塑性エラストマー、スチレンブタジエン系熱可塑性エラストマー及びスチレン・イソプレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー等の各種エラストマー樹脂などが挙げられる。また、これらは、フィラー等を配合したコンパウンド品や、複数種の樹脂をアロイ化またはブレンド化した混合品であってもよい。またこれら樹脂は適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を用いてもよい。
なかでも、樹脂フィルム2との良好な密着性(接着性)の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。また樹脂フィルム2の材質がPET、PAI、PI、酢酸セルロース(特に、TAC)、及びPENから選択される少なくとも1種の樹脂を含む場合、PET、PAI、PI、酢酸セルロース(特に、TAC)、及びPENから選択される少なくとも1種の樹脂を含む樹脂を用いることが好ましい。
また基材6と樹脂フィルム2との間の密着性を向上させるために、図4〜5に示すように、接着層5を設けてもよい。前記接着層は、樹脂フィルム2と基材6の材質に応じて、親和性のある接着剤を選択することが好ましい。
基材6の表面の一部又は全部には、粗化処理、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
基材6の厚みは、特に制限されず、例えば20μm以上、好ましくは25μm以上であるある。
以下、図6(a)〜(e)を参照しつつ、図1に示す積層体1(1A)の製造方法の一例について説明する。
[積層体1(第1の構成)の製造方法]
第1の構成を有する積層体1は、以下の工程を含む製造方法により得ることができる。
ガラス板及び加飾部を有する樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、接着剤を付与する工程と、
前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程、
とを含む、第1の構成の積層体の製造方法。
(接着剤を付与する工程)
先ず、図6(a)に示すように、樹脂フィルム2上に、吐出手段や塗布手段により接着剤12(本実施形態では接着剤(1))を付与する。
接着剤12として、接着剤(1)を用いる場合は、流動性と吐出性に優れるため、インクジェット印刷機11を用いて吐出(若しくは、噴出)する方式を好ましく用いることができる。接着剤(1)を、インクジェット印刷機で吐出すれば、ガラス板4や樹脂フィルム2上に、任意の絵柄を非常に高精度に表現できる。樹脂フィルム2上に付与された接着剤12は、図6(b)に示す状態となる。
接着剤12のその他の付与方法としては、各接着剤に応じた方法を適宜選択することができる。例えば、スクリーン印刷法、マスク印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スキージ印刷法、シルクスクリーン印刷法、スタンピング、ディスペンス、噴霧、刷毛塗り等が挙げることができる。熱可塑性接着剤を使用する場合は、加熱手段を備える装置(例えば、ホットメルト装置)内に、熱可塑性接着剤を充填し、溶融温度以上(例えば、約200℃)に加熱することにより液状化させて塗布することができる。また、シート状の接着剤の場合は、被着体上に直接貼付する方法を採ることができる。
(接合する工程)
前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程としては、以下の工程が含まれうる。
(1)接着剤12を介して、ガラス板4と、樹脂フィルム2とを貼り合せる工程(貼り合わせ工程)
(2)上記(1)の後、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着剤12を硬化させる工程(硬化させる工程)、又は、
(3)接着剤12を介して、ガラス板4と、樹脂フィルム2とを貼り合せて、圧着一体化させる工程(圧着一体化工程)。
(貼り合わせ工程、又は圧着一体化工程)
図6(c)に示すように、接着剤12を介して、ガラス板4と、樹脂フィルム2とを貼り合せる。なお、接着剤12が感圧式接着剤(粘着剤)である場合は、ガラス板4と、樹脂フィルム2とを貼り合わせて、加熱及び/又は加圧することにより、圧着一体化することが可能である。
前記工程に用いる方法としては、特に制限はなく、例えば、真空プレス法、各種ラミネート法(例えば、押出ラミネート法、ドライラミネート法、ノンソルベントドライラミネート法、真空ラミネート法)、オートクレーブ等を挙げることができる。なお気泡を混入させることなく貼り合せる観点から、真空又は減圧条件下での作業が好ましい。また、圧着一体化する場合には、ロールラミネータなどにより、被着体に熱と圧力をかけながら転写(貼付)することが好ましい。
貼り合わせに際して、樹脂フィルム2は、樹脂フィルム2のMD方向が積層体の屈曲方向(=優れた屈曲耐久性を示す屈折方向)とほぼ平行(樹脂フィルムのMD方向と積層体の屈曲方向の交差角は、例えば30°以下、好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下、最も好ましくは5°以下)となるように、若しくは、樹脂フィルムのMD方向が積層体を屈曲方向に折り曲げた場合に生じる折線とほぼ垂直(樹脂フィルムのMD方向と前記折線の交差角は、例えば60〜120°、好ましくは70〜110°、特に好ましくは80〜100°、最も好ましくは85〜95°)に交わるように、貼り合わせ方向を調整して積層することが、屈曲耐久性に特に優れる積層体が得られる点で好ましい(図7参照)。
尚、MD方向とは、樹脂フィルム2を射出成形により製造する際に溶融樹脂が流れる方向であり、TD方向(MD方向に直交する方向であり、幅方向)に比べて機械的強度に優れる。樹脂フィルム2のMD方向、及びTD方向は、例えば2次元複屈折装置(PA−100、(株)フォトニックラティス製)を用いて計測される、複屈折の配向方向によって確認できる。
(硬化させる工程)
図6(d)に示すように、ガラス板4及び樹脂フィルム2の間の接着剤12を硬化させて、接着層3を得る。
接着剤12の硬化は、各接着剤に応じた方法で行うことができる。例えば、UV−LED、低、中、又は高圧水銀ランプのような水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等が挙げられる。
例えば紫外線硬化型接着剤を使用する場合は、紫外線を照射することにより硬化させることができる。紫外線の照射光源としては、例えば、350nm以上450nm以下の波長の光である。また、前記紫外線の照射量(積算光量)は、例えば10〜5000mJ/cmである。
なお接着剤12として、接着剤(1)を用いる場合は、紫外線を照射することにより硬化させることができる。得られる硬化物(接着層3)は、高硬度で、ガラス板4及び樹脂フィルム2との密着性にも優れる。
前記紫外線照射に加えて加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、硬化度をより一層向上させることができる。加熱処理を施す場合、加熱温度は40〜200℃程度であり、加熱時間は1分〜15時間程度である。また、紫外線を照射した後に、室温(20℃)で1〜48時間程度静置することでも硬化度を向上させることができる。
熱可塑性接着剤を使用する場合は、加熱により軟化した接着剤を空冷、又は必要に応じて冷却することにより硬化(若しくは、固化)させることができる。
(その他の工程)
樹脂フィルム2上に加飾部2aを形成する工程を実施する。図6(e)に示すように、樹脂フィルム2の接着層積層面とは反対側の面上に、着色インキを用い任意の図柄で加飾部2aを形成する。
加飾部2aの形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。
なお、加飾部2aを有する樹脂フィルム2を用いて製造する場合は、前記工程は省略することも可能である。
加飾部を形成する工程以外の他の工程としては、特に制限はなく、用途に応じて適宜行うことができる。例えば、更に他の層と積層一体化する工程、搬送工程などが挙げられる。
[積層体1(第1の構成の変形例)の製造方法]
積層体1は、可とう性を有し、金型への追従性に優れるため、射出成形用のインサート材として好適に用いることができる。この場合、成形と加飾を同時に行え、作業工程を簡略化できる上、ガラスの圧倒的な質感を有する、従来にない加飾樹脂成形体である積層体1(1C)を得ることができる(図3参照)。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、積層体1(1C)は製造される。
前記の積層体を、射出成形用金型のキャビティ形成面に、前記積層体のガラス板側が接するように配置する工程と、
前記金型を型締し、溶融樹脂を、前記金型内に射出し、固化させて、前記積層体と一体化された樹脂成形体を形成する工程、
とを含む、加飾樹脂成形体の製造方法。
以下、図8(a)〜(c)、図9(a)、(b)を参照しつつ、図3に示す積層体1(1C)の製造方法の一例について説明する。
図6に示すように、まず積層体1(1A)を製造して、射出成形用のインサート材とする。
(積層体を配置する工程)
図8(a)に示すように、射出成形用金型61のキャビティ形成面65に、インサート材である積層体1(1A)を、ガラス板側が接するように配置する。次いで射出成形用の可動型61の凹部と積層体1(1A)との間の空間を密着手段を用いる。図8(a)では、真空吸引孔63から排気して空間内の気圧を下げることによって真空吸引64する。なお、真空吸引64以外にも、金型形状に応じて、圧空により密着させてもよい。次いで、積層体1(1A)を射出成形用の可動型61の凹部すなわちキャビティ形成面65に沿うように立体形状に加工し、成形された積層体1を得る。このとき、積層体1が、厚み150μm以下のガラス板4と、接着剤(1)を用いて接着層3を形成したものである場合、可とう性に一層優れるため、キャビティ形成面65への追従性が良好なものとなる。また、積層体1(1A)は、ガラス板4と樹脂フィルム2が接着層3を介して複合化された構造であるため、加工時にガラス板4に割れやクラックが発生することを抑制することができる。このため、加工時の不良発生率を低減することができる。立体形状に加工する際、あるいはクランプ部材(図示せず)で積層体1を押さえ付けて固定する際には、積層体1の不要部分の打抜き加工をしてもよい。
なお上記方法に代えて、図9(a)に示すように、射出成形用の可動型61と固定型62とは別の立体加工成形用型71を用いて、予備成形を行ってもよい。立体加工成形用型71の成形面前面に積層体1(1A)を配置する。次いで立体加工成形用型71(可動型41と同一形状)の凹部と積層体1(1A)との間の空間を密閉して真空吸引孔63から排気して空間内の気圧を下げることによって真空吸引64し、キャビティ形成面65に沿うように立体形状に積層体1(1A)を成形する。次いで、図9(b)に示すように、射出成形用の可動型61のキャビティ形成面65に、立体加工成形された積層体1(1A)をはめ込むようにしてもよい。
(積層体と一体化された樹脂成形体を形成する工程)
次に、図8(b)に示すように、金型を型締し、溶融樹脂を、前記金型内に射出し、固化させて、前記積層体と一体化された樹脂成形体を形成する。固定型62に対して可動型61を型閉めして溶融状態の成形樹脂68を固定型62のゲート部67からキャビティ66内に射出し、成形樹脂68を固化させてキャビティ66内で基材6を形成すると同時に、その表面に積層体1(1A)を一体化させて、図8(c)に示す、加飾樹脂成形体である積層体1(1C)を得る。
成形樹脂68は、特に限定されることはなく、前述の熱可塑性樹脂から、適宜選択することができる。
射出成形条件は、熱可塑性樹脂の熱的特性や溶融温度、成形形状、厚み、に応じて必要な条件(例えば、樹脂温度、金型温度、射出圧、射出速度、射出後の保圧、冷却時間)を適宜調節することができる。
その後、積層体1(1C)を可動型61から取り出したのち、積層体1(1C)に接着した積層体1(1C)のうち不要な部分を除去する。なお、あらかじめ所望の形状に打ち抜き加工していた場合には、積層体1(1C)の不要な部分を除去する作業は不要である。
[積層体1(第2の構成)の製造方法]
第2の構成を有する積層体1(図4〜5)は、以下の工程を含む製造方法により得ることができる。
ガラス板及び樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、接着剤を付与する工程と、
前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程と、
更に加飾部を有する基材を、前記樹脂フィルムの接着層積層面とは反対側の面に積層する工程
とを含む、第2の構成の積層体の製造方法。
第2の構成を有する積層体1の製造方法は、加飾部を有する基材6を樹脂フィルム2の接着層積層面とは反対側の面に積層する工程を含む点以外は、前述の第1の構成を有する積層体1の製造方法と同様である。
前記基材6を樹脂フィルム2に積層する工程は、前述の第1の構成を有する積層体1の製造方法の各工程(すなわち、接着剤を付与する工程、接合する工程)と同様の方法を採用して行うことができる。
加飾部6a、6bの形成方法は、前述の加飾部2a、2bの形成方法と同様に行うことができる。なお、加飾部6a、6bを有する基材6を用いて製造する場合は、加飾部を形成する工程は省略することも可能である。
[巻回体]
積層体1は、厚みが150μm以下のガラス板と、接着剤(1)を用いた場合は、屈曲性に優れるため、ロール状に巻回することにより巻回体を形成することができる。本発明の巻回体は、可とう性に優れるため、連続的に製造され、必要に応じて所定の幅に切断(スリット)等を行い、巻き取って巻回体とすることができる。本発明の巻回体は、嵩張らずに保存することができ、運搬も容易である。
本発明の成形体について、図10、図11を参照しつつ説明する。
[成形体21]
図10に示す成形体21は、積層体1(1A)を成形してなる。成形体21の厚みや形状は、特に制限されず、用途に応じて適宜調整することができる。
成形体21の成形方法としては、特に制限されず、真空成形、圧空成形、プレス成形等から適宜選択することができる。
以下、図11(a)〜(c)を参照しつつ、図10に示す成形体21の製造方法の一例(プレス成形法)について説明する。
図11(a)に示すように、積層体1(1A)を、プレス成形用装置の雌型51aの表面にセットする。このときガラス板4側を、キャビティ形成面52と接する向きに配置する。必要に応じて、積層体1(1A)や金型は予め加熱しておいてもよい。次いで、雄型51bを降下しプレスすることで立体形状に成形する(図11(b))。このとき、積層体1(1A)が、厚み150μm以下のガラス板4と、接着剤(1)を用いて接着層3を形成したものである場合、可とう性に一層優れるため、キャビティ形成面52への追従性が良好なものとなる。また、積層体1は、ガラス板4と樹脂フィルム2が接着層3により複合化された構造であるため、加工時に、ガラス板4に割れやクラックが発生することを抑制することができる。このため、加工時の不良発生率を低減することができる。次いで、プレス成形することにより、成形体21(図11(c))が製造される。
前記プレス成形法におけるプレス圧力、金型温度、金型締切速度等の成形条件は、積層体1の可とう性、積層構造、成形体の不良率の低減等を考慮して適宜調整される。
積層体1、成形体21は、前述したような特徴を生かして、物品の表面を加飾するための用途に利用されうる。特に、高い意匠性とガラス特有の特性が求められる用途に、好ましく使用することができる。例えば、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等の電気・電子機器;テレビ、VTR、DVD装置、ブルーレイディスク装置、時計、カメラ、アイロン、ヘアードライヤー、ヘアアイロン、炊飯器、トースター、電子レンジ、冷蔵庫、掃除機、音響機器、音声機器、照明機器、エアコン、加湿器等の家電製品;パソコン、ノートパソコン、CRTディスプレイ、コピー機、ファックス、記録媒体のドライブプリンター、タイプライター、ワードプロセッサー等のOA機器;アミューズメント機器;福祉機器、医療機器;等の筐体や、車両、航空機等の内装部品、建材、家具等の外装部材等に好ましく使用されうる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(接着剤の調製)
表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して接着剤を得た。得られた接着剤の25℃、せん断速度100(1/s)における粘度を、E型粘度計(商品名「VISCOMETER TV-25」、東機産業(株)製)を用いて測定したところ、22.6mPa・sであった。
調製例2〜30、比較調製例1〜3(接着剤の調製)
表1(単位は重量部)に記載の通りに処方を変更した以外は調製例1と同様にして接着剤を得た。
(密着性評価)
調製例及び比較調製例で得られた接着剤をガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子工業(株)製)に塗布し(塗膜厚み:5μm)、空気雰囲気下、光源としてLED照射器を使用して365nmの光を照射して硬化物/ガラス板からなる積層体を得た。
得られた積層体を、密着性試験(クロスカット法;JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠)に付し、6段階分類試験によって密着性を評価した。
(耐カール性評価(1))
調製例及び比較調製例で得られた接着剤を、樹脂フィルム2としてのPETフィルム(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:100μm)に塗布し(塗膜厚み:10μm)、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を、タック性がなくなるまで照射して硬化物/PETからなる積層体を得た。
得られた硬化物/PET積層体(サイズ:縦×横=1cm×7cm)を試験片とし、これを水平面に置き、試験片の短辺の一方を押さえた際に短辺のもう一方が水平面から浮く量を測定し、下記基準で耐カール性を評価した(図12)。尚、浮き量が少ない方が耐カール性に優れる。
◎:浮き量が1mm未満
○:浮き量が1mm以上、2mm未満
△:浮き量が2mm以上、5mm未満
×:浮き量が5mm以上
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2020116893
(評価)
調製例1〜30の特定のカチオン重合性モノマーを含有するカチオン硬化型接着剤は、これらを含有しない比較調製例1〜3と比較して、ガラス板への密着性と、耐カール性に、特に優れていた。
尚、表1中の略号を以下に説明する。
<化合物(I)>
HEVE:エチレングリコールモノビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
DEGMVE:ジエチレングリコールモノビニルエーテル
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−101」、東亞合成(株)製
<化合物(b)>
1,6−HDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
1,4−BDGE:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
1,2−EDGE:エチレングリコールジグリシジルエーテル
NPGDGE:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
YH300:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
<その他のカチオン重合性モノマー>
ISBDVE:イソソルビドジビニルエーテル、商品名「ISB−DVE」、(株)ダイセル製
ONBDVE:オキサノルボルネンジビニルエーテル
CHDVE:1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
b’−1:(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル
2−EHVE:2−エチルヘキシルビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
OXT212:3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−212」、東亞合成(株)製
OXT221:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、商品名「アロンオキセタン OXT−221」、東亞合成(株)製
<ラジカル重合性モノマー>
DCPA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
<硬化触媒>
CPI−110P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスファートおよびチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム) ビス(ヘキサフルオロホスファート)の混合物(99.5/0.5)、商品名「CPI−110P」、サンアプロ(株)製
<増感剤>
UVS1331:9,10−ジブトキシアントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−1331」、川崎化成工業(株)製
UVS581:9,10−ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−581」、川崎化成工業(株)製
実施例1〜20、比較例1(積層体)
図1に示す構成の積層体1を、以下の方法により作製した。
実施例1
樹脂フィルム2として、トリアセチルセルロースフィルム(TAC、サイズ:縦×横=4cm×5cm、厚み:60μm)上に、調製例8で得られた接着剤12を、乾燥後の厚みが15μmとなるよう、塗布した。次いで、接着剤12を介して、ガラス板4(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)と、TACとを貼り合わせた。次いで、G−leafとTACの間の接着剤12を、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2000mJ/cm)して硬化させ、TAC/接着層3/G−leafの積層体を得た。次いで、TACの接着層積層面とは反対の面に、スクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄(加飾部2a)を印刷し、加飾部を有するTAC/接着層3/G−leafの構成を備える積層体を得た。
得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184)に準拠した方法で測定したところ、9Hであり、高硬度を示した。外観を目視で評価したところ、G−leaf表面は平滑であり、ガラスの有する質感(透明感、上質感や高級感)に優れていた。
実施例2
樹脂フィルム2として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、品番:A4300、東洋紡(株)製、サイズ:縦×横=4cm×5cm、厚み:75μm)を使用した以外は実施例1と同様にして、加飾部を有するPET/接着層3/G−leafの構成を備える積層体を得た。
得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであり、高硬度を示した。外観を目視で評価したところ、G−leaf表面は平滑であり、ガラスの有する質感(透明感、上質感や高級感)に優れていた。
実施例3
ガラス板4(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)に、アクリル系接着層が形成されたPETフィルム2(接着層厚み:25μm、PET厚み:50μm、商品名「ASF50 527ALF」、(株)ダイセル製)を貼り合わせ、圧着一体化し、PET/アクリル系接着層/G−leaf積層体を得た。
次いで、前記PETの接着層積層面とは反対の面に、スクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄を印刷し、加飾部を有するPET/接着層/G−leafの構成を備える積層体を得た。
得られた積層体のG−leaf表面の鉛筆硬度は9Hであり、高硬度を示した。外観を目視で評価したところ、G−leaf表面は平滑であり、ガラスの有する質感(透明感、上質感や高級感)に優れていた。
(可とう性評価)
実施例1〜3の積層体、比較例1としてG−leaf(厚み50μm)のみについて、25℃において、市販の万力で試験片を挟み、破壊するまで荷重をかけ歪ませた。初めて積層体に割れが生じた半径を、最小曲げ半径(mm)とし、この最小曲げ半径から可とう性を評価した。尚、最小曲げ半径が小さい方が可とう性に優れる。結果を表2に示す。
(屈曲耐久性評価(1))
実施例1〜3の積層体、比較例1のG−leaf(厚み50μm)のみを試験片として使用し、25℃において、前記試験片を平面上に水平に設置して伸ばした状態から、その中心部において、試験片を実施例1〜3の場合は、G−leafの面が凹となる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行い、試験片にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とした(図13、14参照)。結果を表2に示す。
(耐カール性評価(2))
実施例1〜3で得られた積層体、比較例1としてのG−leaf(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:50μm)のみについて、前記耐カール性評価(1)と同様の方法で評価した。
結果を下記表2にまとめて示す。
Figure 2020116893
(評価)
実施例2の積層体は、比較例1のガラス板の約2倍の総厚みを有するにも関わらず、最少曲げ半径(mm)はほぼ同程度であった。つまり樹脂フィルム2/接着層3/ガラス板4の構成を有する積層体とすることで、総厚みが2倍になっても、約1/2の厚みの薄化ガラス板単体と同等の可とう性が維持されることが示された。また屈曲耐久性(セット)は、ガラス単体の比較例1は1セット未満であるのに対し、実施例1〜2は特に優れていた。驚くべきことに実施例2は、10万セット超、実施しても試験片にクラックが生じなかった。
実施例4〜12
下記表に記載の樹脂フィルム2上に、調製例8で得られた接着剤12を、乾燥後の厚みが15μmとなるよう、塗布した。次いで、接着剤12を介して、下記表に記載の最小曲げ半径を有するガラス板4(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)上に、これから得ようとする積層体の屈曲方向が、樹脂フィルム2のMD方向、TD方向、若しくは複屈折の配向方向に対して45°の方向と平行になるよう貼り合わせた。次いで、G−leaf及び樹脂フィルム2の間の接着剤12を、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2000mJ/cm)して硬化させ、樹脂フィルム2/接着層3/G−leafの構成を有する積層体(各実施例につき、サンプル数10)を得た。次いで、樹脂フィルム2の接着層積層面とは反対の面に、スクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄(加飾部2a)を印刷し、加飾部を有する樹脂フィルム2/接着層3/G−leafの構成を備える積層体を得た。尚、最小曲げ半径は上記(可とう性評価)と同様の方法で測定した。
(屈曲耐久性評価(2))
得られた積層体(各実施例につき、サンプル数10)を平面上に水平に設置して伸ばした状態から、その中心部において、試験片をG−leafの面が凹となる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで2000セット行い、試験片にクラックが生じなかったサンプルの割合から屈曲耐久性を評価した。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2020116893
(評価)
実施例4〜12の積層体の2000セット屈曲耐久性(%)は、少なくとも20%以上であった。なお、実施例4と実施例10の屈曲耐久性(%)の相違は、ガラス板の最少曲げ半径が3mm未満又は3mm超、であるかの差に基づく。また、実施例4〜9は、積層体の屈曲方向が各樹脂フィルムのMD方向と平行になるように貼り合せ、且つガラス板の最少曲げ半径が3mm未満の例であるところ、2000セット屈曲耐久性(%)は、いずれも100%と特に優れていた。
表3中の略号を以下に説明する。
<樹脂フィルム>
PET:二軸延伸PETフィルム、商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製
TAC:二軸延伸トリアセチルセルロースフィルム、商品名「フジタックTG60UL」、富士フイルム(株)製
PEN:二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、商品名「テオネックスQ65HA」、帝人フィルムソリューション(株)製
PAI:二軸延伸ポリアミドイミドフィルム、商品名「Taimide OT-050」、Taimide Tech. Inc.社製
実施例3、13〜20、比較例1
実施例13〜20については、樹脂フィルム2として、PETフィルム(二軸延伸PETフィルム、商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製)上に、下記表に記載の接着剤12を、乾燥後の厚みが下記表に記載の通りとなるよう、塗布した。次いで、接着剤12を介して、最小曲げ半径が3mm以下であるガラス板4(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)を、前記PETフィルムのMD方向が、これから得ようとする積層体の屈曲方向と平行になるよう貼り合わせた後、接着剤12を下記方法で硬化させてPET/接着層3/G−leafの構成を備える積層体を得た。次いで、前記PETの接着層積層面とは反対の面に、スクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄(加飾部2a)を印刷し、加飾部を有する樹脂フィルム2/接着層3/G−leafの構成を備える積層体を得た。実施例3、比較例1は前記の通りである。
<硬化方法>
実施例13、16、18、19:溶剤を加熱乾燥することにより硬化させた
実施例14:紫外線を照射して硬化させた
実施例15:溶剤を加熱乾燥させた後、紫外線を照射して硬化させた
実施例17:シート状接着剤をガラスとPETの間に挟みこんだ後、真空加熱圧着することにより硬化させた
実施例20:常温で24時間静置して、硬化させた
尚、接着層3の貯蔵弾性率及びTg測定は、接着剤12の硬化物(厚み:0.5mm)を幅4mm、長さ3cmに切り出し、これを動的粘弾性測定(DMA)のサンプルとして使用し、下記の条件で実施した。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:固体粘弾性測定装置(「RSAIII」、TA INSTRUMENTS社製)
雰囲気:窒素
温度範囲:20〜350℃
昇温温度:5℃/分
変形モード:引っ張りモード
実施例3、13〜20、及び比較例1としてのG−leaf(厚み50μm)のみ、を試験片として使用し、これらの屈曲耐久性の評価を前記屈曲耐久性評価(1)と同様の方法で行った。
結果を下記表4にまとめて示す。
Figure 2020116893
(評価)
実施例13〜19は、屈曲耐久性に特に優れていた。アクリルウレタン系接着剤を用いた実施例14と15の対比では、接着層のTg(℃)が低くなると、屈曲耐久性が飛躍的に上昇することが示された。また、酢酸ビニル系接着剤を用いた実施例16〜19の対比においては、接着層の貯蔵弾性率(MPa)とTg(℃)の双方が低値である実施例16の屈曲耐久性は、10万セット超であり最も優れることが示された。また、ガラス単体の比較例1は、折り曲げた後、再び伸ばすことは出来なかった。
表4中の略号を以下に説明する。
<接着剤>
UAl:ウレタン変性アクリルポリマーと溶剤(酢酸エチル/イソプロピルアルコール)を含む組成物(商品名「アクリット8UA−017」、大成ファインケミカル(株)製)
UA2:UV硬化型ウレタンアクリレート(商品名「アクリット8UX−077A」、大成ファインケミカル(株)製)100重量部に、イルガキュア−184を5重量部配合して得られる組成物
UA3:UV硬化型ウレタンアクリルポリマー(商品名「アクリット8BR−600」、大成ファインケミカル(株)製)100重量部に、イルガキュア−184を0.2重量部配合して得られる組成物
EVA1:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体と溶剤(水)を含む組成物(商品名「セビアン−A 56094」、ダイセルファインケム(株)製)
EVA2:変性エチレン−酢酸ビニル共重合体からなるシート状接着剤(商品名「メルセンG」、東ソー・ニッケミ(株)製)
EVA3:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体と酢酸ビニル・アクリル酸アルキルエステル系共重合体の配合物と溶剤(水/メチルシクロヘキサノン)を含む組成物(商品名「セビアン−A 56148」、ダイセルファインケム(株)製)
EVA4:酢酸ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体と溶剤(水/メチルシクロヘキサノン)を含む組成物(商品名「セビアン−A 609」、ダイセルファインケム(株)製)
SL:シリコーン系弾性接着剤、商品名「セメダインスーパーXハイパーワイド」、セメダイン(株)製
実施例21〜22、比較例2〜4
図3に示す構成の、加飾樹脂成形体である積層体1(1C)を、以下の方法により作製した。
実施例21
樹脂フィルム2として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、品番:A4300、東洋紡(株)製、サイズ:縦×横=6cm×13cm、厚み:75μm)上に、調製例8で得られた接着剤12を、乾燥後の厚みが15μmとなるよう、塗布した。次いで、接着剤12を介して、ガラス板4(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)とPETとを貼り合わせた。次いで、G−leafとPETの間の接着剤12を、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2000mJ/cm)して硬化させ、PET/接着層3/G−leafの構成を有する積層体を得た。次いで、前記PETの接着層積層面とは反対の面に、スクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄(加飾部2a)を印刷し、加飾部を有するPET/接着層3/G−leafの構成を備える積層体1(1A)を作製し、これをインサート材とした。
次に、60mm×130mm×2mmの平板状のキャビティを有する射出成形用金型を作成した。前記インサート材のG−leaf側がキャビティ形成面と接する向きになるように載置した。次いで、型閉めして、溶融状態のアクリル樹脂(商品名「IRH50」、三菱レイヨン(株)製)を射出速度20mm/秒で、前記インサート材のPET側に射出し、アクリル樹脂を冷却固化させて、ガラス表面を有する平板状の積層体1(1C)を得た。得られた積層体1(1C)は、積層体1(1A)の特徴(高い硬度、表面平滑性、透明感、上質感及び高級感)を備えていた。
実施例22
実施例21で作製した積層体1(1A)をインサート材として用いた。次に、曲率半径40mmのキャビティを有する射出成形用金型を作成した。前記インサート材を前記可動型のキャビティ内に載置した。前記インサート材のG−leaf側がキャビティ形成面と接する向きになるように載置した。次いで、型閉めして、溶融状態のアクリル樹脂(商品名「IRH50」、三菱レイヨン(株)製)を射出速度20mm/秒で、前記インサート材のPET側に射出し、アクリル樹脂を冷却固化させて、ガラス表面を有する曲率半径40mmの蒲鉾形状の積層体1(1C)を得た。
得られた積層体1(1C)は、積層体1(1A)の特徴(高い硬度、表面平滑性、透明感、上質感及び高級感等)を備えていた。
比較例2
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、品番:A4300、東洋紡(株)製、サイズ:縦×横=6cm×13cm、厚み:75μm)にスクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄を印刷し、これをインサート材とした以外は、実施例21と同様の射出成形金型を用いて、平板状のポリエステルフィルム表面を有する積層体を得た。
比較例2の積層体の表面は、平滑性と硬度が低く、実施例21、22に比べるとかなり質感(上質感、高級感)に劣るものであった。
比較例3
ガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、サイズ:縦×横=6cm×13cm、厚み50μm)にスクリーン印刷(商品名「EGスクリーンインキ」、帝国インキ製造(株)製、厚み:10μm)で図柄を印刷した。しかし、前記印刷工程において、80%の確率でガラス板が破損した。
次に、印刷工程で破損しなかったガラス板をインサート材とした以外は、実施例22と同様の射出成形金型を用いて、ガラス表面を有する曲率半径40mmの蒲鉾形状の積層体を得ようとした。しかし、ガラス板の破損が起こり、目的物が得られなかった。
比較例4
インサート材を用いない以外は、実施例21と同様の射出成形金型を用いて、平板状のアクリル樹脂成形体を得た。
比較例4のアクリル樹脂成形体の表面は、平滑性と硬度が低く、実施例21、22に比べるとかなり質感(上質感、高級感)に劣るものであった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1、1A、1B、1C、2A、2B 積層体
2 樹脂フィルム
2a、2b 加飾部
3 接着層
4 ガラス板
5 接着層
6 基材層
6a、6b 加飾部
11 インクジェット印刷機
12 接着剤
21 成形体
50 キャビティ
51a 雌型
51b 雄型
52 キャビティ形成面
61 可動型
62 固定型
63 真空吸引孔
64 真空吸引
65 キャビティ形成面
66 キャビティ
67 ゲート部
68 成形樹脂
71 立体加工成形用型
81 試験片
82 浮き量
83 水平面

Claims (15)

  1. ガラス板と、樹脂フィルムと、当該ガラス板及び樹脂フィルムの間の接着層と、を含む積層構造を有するコア積層体を有し、下記構成の何れか一つを備える積層体。
    構成1:前記樹脂フィルムは加飾部を有する
    構成2:前記樹脂フィルムの接着層積層面とは反対側の面に、更に加飾部を有する基材を備える
  2. 前記接着層のガラス板への密着性(JIS K 5600−5−6に準拠)が6段階分類試験において分類0〜2である、請求項1に記載の積層体。
  3. 動的粘弾性測定装置を用いて測定した、前記接着層の20℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、請求項1に記載の積層体。
  4. 動的粘弾性測定装置を用いて測定した、前記接着層のガラス転移温度が5℃未満である、請求項1に記載の積層体。
  5. 前記コア積層体の総厚みが1000μm以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の積層体。
  6. 前記接着層は、下記接着剤(1)の硬化物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の積層体。
    接着剤(1):カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、前記カチオン重合性モノマーとして、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物、及び下記式(b)
    Figure 2020116893
    (式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
    で表される化合物を少なくとも含有し、
    前記1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物の含有量はカチオン重合性モノマー全量の10重量%以上であり、
    前記式(b)で表される化合物の含有量は、カチオン重合性モノマー全量の5重量%以上である。
  7. 前記接着層が、ウレタン(メタ)アクリレート又はその重合体を含むアクリルウレタン系接着剤(2)の硬化物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の積層体。
  8. 前記接着層が、酢酸ビニル系重合体を含む酢酸ビニル系接着剤(3)の硬化物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の積層体。
  9. 前記ガラス板の最小曲げ半径が3mm以下である、請求項1〜8の何れか1項に記載の積層体。
  10. 前記樹脂フィルムが、当該樹脂フィルムのMD方向が積層体の屈曲方向に沿うように積層されてなる、請求項1〜9の何れか1項に記載の積層体。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の積層体がロール状に巻回されてなる、巻回体。
  12. 請求項1〜10の何れか1項に記載の積層体の成形体。
  13. ガラス板及び加飾部を有する樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、接着剤を付与する工程と、
    前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程、
    とを含む、請求項1に記載の第1の構成の積層体の製造方法。
  14. ガラス板及び樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、接着剤を付与する工程と、
    前記接着剤を介して、前記ガラス板と、前記樹脂フィルムとを接合する工程と、
    更に加飾部を有する基材を、前記樹脂フィルムの接着層積層面とは反対側の面に積層する工程、
    とを含む、請求項1に記載の第2の構成の積層体の製造方法。
  15. 請求項1〜10の何れか1項に記載の積層体を、射出成形用金型のキャビティ形成面に、前記積層体のガラス板側が接するように配置する工程と、
    前記金型を型締し、溶融樹脂を、前記金型内に射出し、固化させて、前記積層体と一体化された樹脂成形体を形成する工程、
    とを含む、加飾樹脂成形体の製造方法。
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WO2022198030A1 (en) * 2021-03-18 2022-09-22 Corning Incorporated Glass laminate article and adhesive composition for the same
WO2023236349A1 (zh) * 2022-06-06 2023-12-14 韦尔通科技股份有限公司 一种高Tg、高粘接、耐老化的环氧胶黏剂组合物及其制备方法和应用

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