JP2021024894A - ガラス用接着剤及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラスの接着力に優れた接着剤を提供する。
【解決手段】本発明のガラス用接着剤は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、前記カチオン重合性モノマーが、ビニルエーテル基と水酸基とを有する化合物(A)と、オキセタニル基と水酸基とを有する化合物(B)と、下記式(c)で表される化合物(C)を含有し、前記化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の合計含有量が硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の50重量%以上であり、且つ前記化合物(A)の含有量[A]と化合物(B)の含有量[B]が下記式(1)を満たす。
A/(A+B)≧0.3 (1)
【化1】
Figure 2021024894

【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス用接着剤、及び前記ガラス用接着剤によってガラス板と樹脂フィルムとが接合されてなる積層体に関する。
スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末のタッチパネルや、有機ELディスプレイ等のディスプレイとしては、高硬度、透明性、及び上質感等の理由から、従来ガラス板が用いられていた。しかし、ガラス板は可とう性に欠け、割れやすい点が問題であった。
特許文献1には、薄ガラスが記載され、当該薄ガラスは可とう性に優れること(すなわち、柔軟性を有し、ゆっくり折り曲げることができること)が記載されている。
特開2010−105900号公報
しかし、薄ガラスは可とう性を有していても、割れやすく取扱いが困難であることや、屈曲耐久性が劣ることが問題であった。
また、薄ガラスの取扱性を向上する方法として、薄ガラスに樹脂フィルムを貼り合わせて補強することが考えられるが、従来公知のカチオン硬化型接着剤は、プラスチックの接着力には優れるが、ガラスの接着力は低かった。
また、カチオン硬化型接着剤は、酸素による硬化阻害は受けないが、水分による硬化阻害が顕著であり、高湿度環境下において使用する場合や、流通過程や保管中に空気中の水分が混入した場合には、硬化性が急激に低下することがわかった。
従って、本発明の目的は、ガラスの接着力に優れた接着剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、高湿度環境下でも速やかに硬化して、ガラスに対して優れた密着性を有する硬化物を形成する接着剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガラス板と樹脂フィルムとが前記接着剤で接合されてなる積層体を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガラス板と樹脂フィルムとが前記接着剤で接合されてなる屈曲耐久性に優れる積層体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のカチオン重合性モノマーを含有する接着剤の硬化物はガラスに対して密着性に優れること、前記接着剤は、高湿度環境下でも、紫外線を照射することにより速やかに硬化して、紙やプラスチックはもちろん、ガラスに対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができることを見いだした。また、ガラス板と樹脂フィルムとが前記接着剤によって接合されてなる積層体は、ガラス板単体に比べて割れにくく取扱性に優れること、前記積層体のガラス板が薄ガラスである場合には、割れにくく取扱性に優れる上、可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性にも優れることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、
前記カチオン重合性モノマーが、ビニルエーテル基と水酸基とを有する化合物(A)と、オキセタニル基と水酸基とを有する化合物(B)と、下記式(c)
Figure 2021024894
(式中、Xは単結合又は連結基を示す)
で表される化合物(C)を含有し、前記化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の合計含有量が硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の50重量%以上であり、且つ前記化合物(A)の含有量[A]と化合物(B)の含有量[B]が下記式(1)を満たす、ガラス用接着剤を提供する。
A/(A+B)≧0.3 (1)
本発明は、また、カチオン重合性モノマーとして、更に、脂環骨格又は非芳香族性複素環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物(D)(水酸基を有する化合物は除く)を、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の1〜10重量%含有する、前記ガラス用接着剤を提供する。
本発明は、また、カチオン重合性モノマーとして、更に、オキセタニル基を2個以上有する化合物(E)(水酸基を有する化合物は除く)を、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の15〜40重量%含有する、前記ガラス用接着剤を提供する。
本発明は、また、増感剤、又は増感剤と増感助剤とを含有する、前記ガラス用接着剤を提供する。
本発明は、また、色材を含有する、前記ガラス用接着剤を提供する。
本発明は、また、分散剤を含有する、前記ガラス用接着剤を提供する。
本発明は、また、ガラス板と、樹脂フィルムとが、前記ガラス用接着剤の硬化物からなる接着層を介して積層された構成を有する積層体を提供する。
本発明は、また、前記積層体がロール状に巻回されてなる、巻回体を提供する。
本発明は、また、前記積層体を備えた、カバー部材を提供する。
本発明は、また、前記積層体を備えた、デバイス用部材を提供する。
本発明は、また、前記積層体を備えた、デバイスを提供する。
本発明は、また、表面の少なくとも一部が、前記積層体で被覆されてなる、構造物を提供する。
本発明は、また、ガラス板と樹脂フィルムとを、前記ガラス用接着剤で貼り合わせ、その後、前記接着剤を硬化させることにより、ガラス板と樹脂フィルムとが、前記接着剤の硬化物からなる接着層を介して積層された構成を有する積層体を得る、積層体の製造方法を提供する。
尚、本発明において、「オキセタニル基」とは、酸素原子を1つ含む、4員の飽和脂肪族炭化水素環構造を有する基であり、「エポキシ基」とは、酸素原子を1つ含む、3員の飽和脂肪族炭化水素環構造を有する基である。
上記構成を有する接着剤(或いは、硬化性組成物)は、紫外線を照射する前は低粘度で塗布性に優れ、紫外線を照射することにより、酸素の存在下でも、また高湿度環境下でも、速やかに硬化して、ガラスに対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができる。そのため、ガラスの表面に予めプライマー処理等を行う必要がなく、直に、ガラスに塗布して使用することができ、作業性に優れる。また、低硬化収縮性を有するため、積層体にカールが発生することも防止することができる。
前記接着剤でガラス板と樹脂フィルムとを貼り合わせて得られる本発明の積層体は、ガラスの特性である、透明性、ガスバリア性、水蒸気バリア性、化学的安定性、熱的安定性、電気絶縁性、表面平滑性、高硬度、捻れにくさ(若しくは、耐カール性)、及び良好な質感(外観や触感)を備える。また、ガラス単体に比べて割れにくく、取扱いが容易である。
本発明の積層体のなかでも、特に、薄いガラス板(=薄ガラス)と樹脂フィルムとを貼り合わせて得られる積層体は、ガラスの特性を備えつつ、取扱いが容易であることに加えて、可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性を兼ね備える。
そのため、本発明の積層体は、各種電子デバイス(例えば、有機ELデバイス、太陽電池等)や、各種電子部品(例えば、有機EL素子等)の、基板及び/又は封止部材として好適に使用することができる。また、カバー部材として、ディスプレイ(タッチパネルディスプレイを含む)の表面を被覆する用途や、プラズマディスプレイの電極保護膜としての用途、指紋認証センサーの保護膜としての用途等に好適に使用することができる。
本発明の積層体は、また、製造ラインの移動ステージや、製造ラインを移動する物品の保護シートとして好適である。
更に、着色された接着剤(=有色接着剤)や、有色樹脂フィルムを使用して得られる積層体は高い意匠性を備える。このような意匠性を備える積層体は、自動車の室内加飾用途、電化製品の加飾用途等にも好適である。
本発明における屈曲耐久性の試験方法(R曲げ方法)(積層体を、ガラス板面を内側にして、屈曲半径(R)3mmで180°折り曲げ、伸ばす動作の1セット)を示す模式図(側面図)である。 図1の(4)の拡大図である。 本発明の積層体の屈曲方向と、前記積層体を構成する樹脂フィルムのMD方向/TD方向との関係を示す模式図である。伸ばした状態(1)から、屈曲した状態(4)を経て、再び伸ばした状態(1)(側面図(1)-a、正面図(1)-b)へと動作する。屈曲方向は、積層体を構成する樹脂フィルムのTD方向とほぼ平行に折線が生じる方向である。 耐カール性を評価する際の、試験片の浮き量の測定方法を示す模式図である。
[ガラス用接着剤]
本発明のガラス用接着剤は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有する硬化性組成物である。
(カチオン重合性モノマー)
前記硬化性組成物は、前記カチオン重合性モノマーとして、ビニルエーテル基と水酸基とを有する化合物(A)と、オキセタニル基と水酸基とを有する化合物(B)と、式(c)で表される化合物(C)を含有する。
前記硬化性組成物は、更に、脂環骨格又は非芳香族性複素環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物であって、水酸基は有さない化合物(D)や、オキセタニル基を2個以上有し、水酸基を有さない化合物(E)を含有していても良い。
(化合物(A))
化合物(A)は、ビニルエーテル基と水酸基とをそれぞれ少なくとも1個有する化合物であって、オキセタニル基を含まない化合物である。化合物(A)を含む硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、化合物(A)のビニルエーテル基と水酸基とが重合して高度な架橋構造体を形成するため高硬度と強靱性とを有する。
化合物(A)としては、なかでも、得られる硬化物の高硬度化、硬化収縮抑制、密着性向上の観点から、1分子中にビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(a)が好ましい。
前記化合物(a)は、例えば下記式で表される。
HO−Ra−CH=CH2 (a-1)
(式中、Raは2価の炭化水素基、2価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した2価の基を示す)
前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン、1−メチルビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルケニレン基;エチニレン、プロピニレン、3−メチル−1−プロピニレン、ブチニレン、1、3−ブタジイニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキニレン基が挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基を構成する脂環には、単環式炭化水素環及び多環式炭化水素環が含まれ、前記多環式炭化水素環には、スピロ炭化水素環、環集合炭化水素環、架橋環式炭化水素環、縮合環式炭化水素環、架橋縮合環式炭化水素環が含まれる。2価の脂環式炭化水素基としては、前記脂環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のC3-12シクロアルカン環;シクロペンテン、シクロヘキセン等のC3-12シクロアルケン環等が挙げられる。
前記スピロ炭化水素環としては、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン等のC5-16スピロ炭化水素環等が挙げられる。
前記環集合炭化水素環としては、例えば、ビシクロヘキサン等のC5-12シクロアルカン環を2個以上含む環集合炭化水素環等が挙げられる。
前記架橋環式炭化水素環としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘプテン、ビシクロオクタン(ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン等)等の2環式炭化水素環;ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン等の3環式炭化水素環;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン等の4環式炭化水素環等が挙げられる。
前記縮合環式炭化水素環としては、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環が挙げられる。
前記架橋縮合環式炭化水素環には、ジエン類の二量体(例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等のシクロアルカジエンの二量体)や、その水素添加物等が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等の、炭素数6〜18のアリーレン基が挙げられる。
上記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記カルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基を構成する脂環や、芳香族炭化水素基を構成する芳香環には、芳香族性又は非芳香族性の複素環が縮合していてもよい。
2価の複素環式基を構成する複素環には芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれ、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等が挙げられる。上記複素環式基は、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等を有していてもよい。2価の複素環式基は、前記複素環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)等が挙げられる。
前記Raとしては、なかでも2価の炭化水素基、又は炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基が好ましく、特に好ましくは2価の脂肪族炭化水素基、又は脂肪族炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基、最も好ましくは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基、とりわけ好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基である。また、前記連結基としては、エーテル結合が好ましい。
化合物(A)としては、下記式(a-1-1)〜(a-1-3)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、とりわけ下記式(a-1-1)で表される化合物(=化合物(a-1-1))を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 2021024894
(化合物(B))
化合物(B)はオキセタニル基と水酸基とをそれぞれ少なくとも1個有する化合物であって、ビニルエーテル基を含まない化合物である。尚、化合物(B)にはビニルエーテル基を含有する化合物は含まれない。化合物(B)を含む硬化性組成物は硬化性に優れ、当該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、ガラスに対して優れた密着性を有する。
化合物(B)としては、なかでも、得られる硬化物が高硬度と低硬化収縮性を兼ね備える点で、オキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(b)が好ましい。
前記化合物(b)は、例えば下記式(b-1)で表される。
HO−Rb−Y (b-1)
(式中、Rbは2価の炭化水素基、2価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した2価の基を示し、Yはオキセタニル基を示す)
前記Rbとしては、上記Raと同様の例が挙げられる。前記Rbとしては、なかでも2価の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは2価の脂肪族炭化水素基、最も好ましくは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、とりわけ好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。
化合物(B)としては、下記式(b-1-1)で表される化合物(=化合物(b-1-1))を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 2021024894
(化合物(C))
化合物(C)は下記式(c)で表される化合物である。尚、化合物(C)にはビニルエーテル基やオキセタニル基を含有する化合物は含まれない。化合物(C)を含む硬化性組成物は速硬化性を有し、当該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、高硬度を有する。
Figure 2021024894
上記式(c)中、Xは単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−O−CO−O−)、アミド結合(−CONH−)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(c)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基が結合していても良く、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基(ビニルエーテル基は除く)、C6-14アリールオキシ基、C7-18アラルキルオキシ基、C1-10アシルオキシ基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基含有基、C1-10アシル基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基、オキソ基等が挙げられる。
上記式(c)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(c-1)〜(c-8)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(c-5)中のLは炭素数1〜8のアルキレン基(好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)を示す。また、下記式(c-5)(c-7)中のn1、n2は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2021024894
化合物(C)としては、なかでも、上記式(c)で表され、式中のXがエステル結合を含む基である化合物(=化合物(c’))を少なくとも含有することが、高湿度環境下でも速やかに硬化して、ガラスに対する優れた密着性と高硬度とを有する硬化物を形成することができる点で好ましい。
(化合物(D))
化合物(D)は、脂環骨格又は非芳香族性複素環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物(D)である。尚、化合物(D)には水酸基を含有する化合物や、エポキシ基を含有する化合物は含まれない。化合物(D)を含む硬化性組成物は速硬化性を有し、当該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、高硬度を有する。
化合物(D)としては、例えば下記式(d)で表される化合物が挙げられる。
d−(O−CH=CH2s (d)
(式中、Rdはs価の脂環式炭化水素基、s価の非芳香族性複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
前記s価の脂環式炭化水素基や非芳香族性複素環式基における、2価の脂環式炭化水素基や非芳香族性複素環式基としては、上記Raと同様の例が挙げられる。また、s価(s≧3)の脂環式炭化水素基や非芳香族性複素環式基としては、2価の脂環式炭化水素基や非芳香族性複素環式基の構造式から、(s−2)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記s価の脂環式炭化水素基や非芳香族性複素環式基は置換基(例えば、炭素数1〜3のアルキル基等)を有していてもよい。
上記式(d)中のRdがs価の非芳香族性複素環式基である化合物(=化合物(d))としては、例えば、下記式(d-1)で表される化合物や下記式(d-2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2021024894
また、上記式(d)中のRdがs価の脂環式炭化水素基である化合物(=化合物(d’))としては、例えば、シクロヘキサンジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
化合物(D)としては、なかでも非芳香族性複素環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物及び/又は脂環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物を含有することが、高湿度環境下での硬化性に優れる点で好ましく、特に非芳香族性複素環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物を少なくとも含有することが好ましい。
化合物(D)としては、なかでも前記化合物(d)を少なくとも含有することが、高湿度環境下での硬化性に優れる点で好ましく、特に上記式(d-1)で表される化合物及び/又は上記式(d-2)で表される化合物を少なくとも含有することが好ましく、とりわけ上記式(d-2)で表される化合物を少なくとも含有することが好ましい。
(化合物(E))
化合物(E)は、オキセタニル基を2個以上有する化合物である。尚、化合物(E)には水酸基を含有する化合物や、エポキシ基を含有する化合物、ビニルエーテル基を含有する化合物は含まれない。化合物(E)を含む硬化性組成物は硬化性に優れ、当該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、ガラスに対して優れた密着性を有する。
化合物(E)としては、例えば下記式(e)で表される化合物が挙げられる。
e−(Y)t (e)
(式中、Reはt価の有機基を示し、Yはオキセタニル基を示す。tは2以上の整数を示す)
前記Reにおけるt価の有機基にはt価の炭化水素基、t価の複素環式基、及びこれらの2以上が単結合又は連結基を介して結合したt価の基が含まれる。
前記t価の炭化水素基及びt価の複素環式基としては、上記Raにおける2価の炭化水素基や2価の複素環式基、及びこれらに対応するt価の基が挙げられる。前記連結基としては、上記Raにおける連結基と同様の例が挙げられる。前記連結基としては、なかでも、エーテル結合が好ましい。これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としてはRaにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の例が挙げられる。
前記tは2以上の整数を示し、例えば2〜5の整数、好ましくは2である。
化合物(E)としては、なかでも、オキセタニル基を2個有する化合物(例えば、上記式(e)中のtが2である化合物)を少なくとも含有することが好ましく、特に、下記式(e-1)で表される化合物及び/又は下記式(e-2)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2021024894
化合物(E)としては、例えば、「アロンオキセタンOXT−221」、「アロンオキセタンOXT−121」(以上、東亞合成(株)製)等の市販品を使用することができる。
(その他のカチオン重合性モノマー)
前記硬化性組成物は、上記化合物(A)〜(E)以外にも他のカチオン重合性モノマーを1種又は2種以上含有していてもよい。
他のカチオン重合性モノマーとしては、カチオン重合性基(例えば、ビニルエーテル基、オキセタニル基、及びエポキシ基から選択される基)を2個以上有するモノマー、すなわち多官能のカチオン重合性モノマーが、硬化性に優れる点で好ましく、例えば以下の化合物が挙げられる。
(1)脂環式エポキシ基を3個以上有する化合物
(2)脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を有する化合物
(3)グリシジルエーテル基を2個以上有する化合物
(4)エチレンオキシド基を2個以上有する化合物
(5)脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物
上記脂環式エポキシ基を3個以上有する化合物(1)としては、例えば、下記式(1-1)、(1-2)で表される化合物が挙げられる。式中のn3〜n8は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2021024894
上記脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を有する化合物(2)としては、例えば、下記式(2-1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021024894
上記グリシジルエーテル基を2個以上有する化合物(3)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等の芳香族エポキシ化合物;水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素化ビフェノール型エポキシ化合物、水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物等の脂環式エポキシ化合物;下記式(3-1)〜(3-5)で表される化合物、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。
Figure 2021024894
上記エチレンオキシド基を2個以上有する化合物(4)としては、例えば、下記式(4-1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2021024894
式(4-1)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基を除いた基(p価の有機基)であり、p、n9はそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15の多価アルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、n9は1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるn9は同一でもよく異なっていてもよい。上記式(4-1)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物(5)としては、例えば、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
(カチオン重合性モノマー組成)
前記硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマーは、例えば以下の組成を備える。
前記化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の合計含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の50重量%以上であり、なかでも、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で、55重量%以上が好ましく、特に好ましくは60重量%以上、最も好ましくは65重量%以上である。また、前記化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の合計含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の90重量%以下であることが、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で好ましく、特に好ましくは85重量%以下、最も好ましくは80重量%以下、とりわけ好ましくは75重量%以下である。
また、化合物(A)の含有量[A]と化合物(B)の含有量[B]は、下記式(1)を満たす。
A/(A+B)≧0.3 (1)
すなわち、化合物(A)と化合物(B)の合計含有量[A+B]における、化合物(A)の含有量[A]の占める割合は0.3以上である。
尚、上記式(1)により算出される値、若しくは化合物(A)と化合物(B)の合計含有量[A+B]における、化合物(A)の含有量[A]の占める割合は、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で0.5以上が好ましく、特に好ましくは0.7以上、最も好ましくは0.8以上、とりわけ好ましくは0.85以上である。また、ガラスに対する密着性に特に優れる点で、1.0未満であることが好ましく、特に好ましくは0.95以下、最も好ましくは0.90以下である。
前記化合物(A)と化合物(B)の合計含有量[A+B]は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば20〜55重量%であり、ガラスに対する密着性に特に優れる点で30重量%を超え、55重量%以下が好ましく、特に好ましくは32〜55重量%である。また、ガラスに対する密着性に特に優れると共に、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で、最も好ましくは32重量%以上、40重量%未満である、とりわけ好ましくは32〜38重量%である。
前記化合物(A)の含有量[A]は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば10〜45重量%であり、ガラスに対する密着性に特に優れる点で15〜40重量%が好ましく、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25〜35重量%、とりわけ好ましくは25重量%を超え、35重量%以下である。
前記化合物(a-1-1)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば10〜45重量%であり、ガラスに対する密着性に特に優れる点で15〜40重量%が好ましく、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25〜35重量%、とりわけ好ましくは25重量%を超え、35重量%以下である。
更に、水酸基を含有するカチオン重合性モノマーの合計含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば20〜55重量%であることがガラスに対する密着性に特に優れる点で好ましく、より好ましくは23〜45重量%、更に好ましくは25重量%を超え、45重量%以下、特に好ましくは30〜45重量%、最も好ましくは30重量%以上、40重量%未満である。
前記化合物(B)の含有量[B]は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば1〜15重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で1〜10重量%が好ましく、特に好ましくは2重量%以上、10重量%未満、最も好ましくは2〜8重量%、とりわけ好ましくは3〜8重量%である。
前記化合物(b-1-1)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば1〜15重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で1〜10重量%が好ましく、特に好ましくは2重量%以上、10重量%未満、最も好ましくは2〜8重量%、とりわけ好ましくは3〜8重量%である。
前記化合物(C)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15〜45重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で20〜45重量%が好ましく、特に好ましくは25〜45重量%、最も好ましくは30〜40重量%である。
前記化合物(c’)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15〜45重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で20〜45重量%が好ましく、特に好ましくは25〜45重量%、最も好ましくは30〜40重量%である。
前記化合物(D)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば1〜10重量%であり、ガラスに対する密着性に特に優れる点で1〜8重量%が好ましく、特に好ましくは2〜7重量%、最も好ましくは3〜6重量%である。
前記化合物(d)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば1〜10重量%であり、ガラスに対する密着性に特に優れる点で1〜8重量%が好ましく、特に好ましくは2〜7重量%、最も好ましくは3〜6重量%である。
前記式(d-1)で表される化合物と式(d-2)で表される化合物の合計含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば1〜10重量%であり、ガラスに対する密着性に特に優れる点で1〜8重量%が好ましく、特に好ましくは2〜7重量%、最も好ましくは3〜6重量%である。
前記化合物(E)の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15〜40重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で15〜35重量%が好ましく、特に好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは25〜35重量%、とりわけ好ましくは30〜35重量%である。
前記式(e-1)で表される化合物と式(e-2)で表される化合物の合計含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15〜40重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で15〜35重量%が好ましく、特に好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは25〜35重量%、とりわけ好ましくは30〜35重量%である。
前記式(e-1)で表される化合物の含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば15〜40重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れる点で15〜35重量%が好ましく、特に好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは25〜35重量%、とりわけ好ましくは30〜35重量%である。
オキセタニル基及び/又はエポキシ基を有するカチオン重合性モノマーの含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば50〜90重量%であり、より好ましくは55〜90重量%、特に好ましくは55〜85重量%、最も好ましくは60〜85重量%である。
ビニルエーテル基を有するカチオン重合性モノマーの含有量は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば10〜50重量%であり、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20重量%を超え、45重量%以下、最も好ましくは25〜45重量%である。
前記化合物(A)と化合物(C)の合計含有量[A+C]は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば40〜80重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れ、ガラスに対する密着性に特に優れる点で55重量%を超え、80重量%以下が好ましく、特に好ましくは60〜75重量%、最も好ましくは63重量%以上、70重量%未満、とりわけ好ましくは63〜69重量%である。
前記化合物(A)の含有量[A]と化合物(C)の含有量[C]の重量比[A/C]は、例えば20/80〜80/20であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れ、ガラスに対する密着性に特に優れる点で、より好ましくは30/70〜70/30、特に好ましくは40/60〜60/40、最も好ましくは45/55〜55/45である。
前記化合物(A)の含有量[A]と化合物(D)の含有量[D]の重量比[A/D]は、例えば60/40〜95/5であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れ、ガラスに対する密着性に特に優れる点で、より好ましくは70/30〜95/5、特に好ましくは75/25〜95/5、最も好ましくは85/15〜90/10である。
前記化合物(A)と化合物(E)の合計含有量[A+E]は、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の例えば40〜70重量%であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れ、ガラスに対する密着性に特に優れる点で50〜70重量%が好ましく、特に好ましくは53〜65重量%、最も好ましくは55〜60重量%である。
前記化合物(A)の含有量[A]と化合物(E)の含有量[E]の重量比[A/E]は、例えば70/30〜20/80であり、高湿度環境下での硬化性に特に優れ、ガラスに対する密着性に特に優れる点で、より好ましくは70/30〜30/70、特に好ましくは65/35〜40/60、最も好ましくは60/40〜50/50である。
前記硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量における、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)、化合物(D)、及び化合物(E)の合計含有量の占める割合は、例えば75重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上、とりわけ好ましくは95重量%以上である。従って、前記硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量における、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)、化合物(D)、及び化合物(E)以外のカチオン重合性モノマー(例えば、上記その他のカチオン重合性モノマー)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)の占める割合は、例えば25重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下、とりわけ好ましくは5重量%以下である。
前記硬化性組成物全量(100重量%)における、前記カチオン重合性モノマーの占める割合は、例えば50〜99.9重量%、好ましくは70〜98重量%である。
(硬化触媒)
前記硬化触媒には、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤、及び光ラジカル重合開始剤が含まれる。前記硬化性組成物は、硬化触媒として少なくとも光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。また、光カチオン重合開始剤と共に光ラジカル重合開始剤を含有しても良く、これにより、硬化性組成物の硬化反応をより効率よく進行させることができる場合があり、得られる硬化物の硬度が向上する場合がある。
前記光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。本発明においては、例えば、商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−110P」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「CYRACURE UVI−6990」、「CYRACURE UVI−6992」(以上、ダウ・ケミカル社製)、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア−264」(BASF社製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)、商品名「PHOTOINITIATOR 2074」(ローディアジャパン(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。本発明においては、例えば、商品名「イルガキュア−184」、「イルガキュア−127」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1173」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」、「ダロキュア−MBF」(以上、BASF社製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光カチオン重合開始剤の使用量は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
また、硬化触媒として光ラジカル重合開始剤を光カチオン重合開始剤と共に使用する場合、光ラジカル重合開始剤の使用量は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは0.5〜2重量部である。
(その他の成分)
前記硬化性組成物はカチオン重合性モノマーと硬化触媒以外にも必要に応じて他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、周知慣用の増感剤(例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、レーザ色素類等)、増感助剤、表面調整剤(レベリング剤等)、消泡剤、酸化防止剤、アミン類等の安定化剤、シランカップリング剤、充填剤、難燃剤等が挙げられる。
特に、前記硬化性組成物をUV−LEDを照射して硬化させる用途に使用する場合には、増感剤、及び必要に応じて増感助剤を含有することが、硬化触媒の紫外線光吸収率を向上して硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、増感剤としては、例えば、下記式(f-1)で表される化合物と下記式(f-2)で表される化合物を併用すると、得られる硬化物の着色を極めて低く抑制しつつ、硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの化合物の併用割合[式(f-1)で表される化合物/式(f-2)で表される化合物;重量比]は、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.1〜0.5、特に好ましくは0.2〜0.5である。尚、下記式(f-1)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−1331」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。また、下記式(f-2)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−581」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。
Figure 2021024894
前記硬化性組成物を有色接着剤として使用する場合は、更に色材を含有することが好ましい。色材には顔料及び染料が含まれる。
(顔料)
顔料としては、一般に顔料として知られている色材であって、硬化性組成物中に分散可能なものであれば、特に制限なく使用することができる。顔料の平均粒子径は、例えば300nm以下であることが塗布性に優れる点で好ましい。
顔料は、発色・着色性に加えて、磁性、蛍光性、導電性、又は誘電性等を併せて有するものであってもよい。この場合には、画像に様々な機能を付与することができる。
使用可能な顔料としては、例えば、土製顔料(例えば、オーカー、アンバー等)、ラピスラズリ、アズライト、白亜、胡粉、鉛白、バーミリオン、ウルトラマリン、ビリジャン、カドミウムレッド、炭素顔料(例えば、カーボンブラック、カーボンリファインド、カーボンナノチューブ等)、金属酸化物顔料(例えば、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄等)、金属硫化物顔料(例えば、硫化亜鉛等)、金属硫酸塩、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属粉末(例えば、アルミニウム粉末、ブロンズ粉末、亜鉛粉末等)等の無機顔料;不溶性アゾ顔料(例えば、モノアゾイエロー、モノアゾレッド、モノアゾバイオレット、ジスアゾイエロー、ジスアゾオレンジ、ピラゾロン顔料等)、溶性アゾ顔料(例えば、アゾイエローレーキ、アゾレーキレッド等)、ベンズイミダゾロン顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、縮合アゾ顔料、キナクリドン顔料(例えば、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等)、ペリレン顔料(例えば、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等)、ペリノン顔料(例えば、ペリノンオレンジ等)、イソインドリノン顔料(例えば、イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等)、イソインドリン顔料(例えば、イソインドリンイエロー等)、ジオキサジン顔料(例えば、ジオキサジンバイオレット等)、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料(例えば、キノフタロンイエロー等)、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料(例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等)、染料レーキ顔料等の有機顔料;無機蛍光体や有機蛍光体等の蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(染料)
前記染料としては、例えば、ニトロアニリン系、フェニルモノアゾ系、ピリドンアゾ系、キノフタロン系、スチリル系、アントラキノン系、ナフタルイミドアゾ系、ベンゾチアゾリルアゾ系、フェニルジスアゾ系、チアゾリルアゾ系染料等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
色材の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、カチオン重合性モノマー100重量部に対して、例えば0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
前記硬化性組成物をインクジェット印刷法で塗布する用途に使用する場合は、上記色材と共に分散剤を含有することが、分散剤の分散性を向上する上で好ましい。分散剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、帯電剤、高分子系分散剤(例えば、商品名「Solsperse24000」、「Solsperse32000」、以上アビシア社製、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」、「アジスパーPB824」、「アジスパーPB881」、「アジスパーPN411」、「アジスパーPN411」(以上、味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記分散剤の含有量は、色材100重量部に対して、例えば1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜10重量部である。
前記硬化性組成物は更に溶剤を含有しても良いが、溶剤を含有しないこと、若しくは溶剤の含有量を抑制することが、乾燥性を向上することができる点、溶剤により劣化し易い基材にも適用可能となる点、及び溶剤の揮発による臭気の発生を防止することができる点で好ましく、溶剤の含有量は硬化性組成物全量(100重量%)の10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。また、溶剤の含有量は硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量(100重量%)の10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
前記硬化性組成物は、カチオン重合性モノマーと硬化触媒と、必要に応じて他の成分を配合し、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
前記硬化性組成物の表面張力(30℃、1気圧下における)は、例えば10〜50mN/mである。また、前記硬化性組成物の粘度[25℃、せん断速度100(1/s)における]は、例えば1〜1000mPa・s、好ましくは1〜500mPa・s、特に好ましくは1〜100mPa・s、最も好ましくは1〜50mPa・s、とりわけ好ましくは1〜30mPa・sである。そのため、前記硬化性組成物は流動性に優れ、例えばインクジェット印刷機を用いて吐出する場合は吐出性に優れる。
[積層体]
本発明の積層体は、ガラス板と、樹脂フィルムとが、上記接着剤の硬化物からなる接着層を介して積層された構成を有する。すなわち、ガラス板/接着層/樹脂フィルムの3層積層構造を少なくとも有する。
本発明の積層体は、ガラス板/接着層/樹脂フィルムの3層積層構造以外にも他の層を有していてもよく、ガラス板における上記接着層積層面とは反対側の面に、更に他の層が1層又は2層以上積層されていても良く、樹脂フィルムにおける上記接着層積層面とは反対側の面に、更に他の層が1層又は2層以上積層されていても良い。
また、積層体の総厚みは、例えば300μm以下であり、屈曲耐久性に極めて優れる点で、好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下、最も好ましくは150μm以下である。尚、総厚みの下限は、例えば50μm、好ましくは75μm、特に好ましくは100μmである。
本発明の積層体はガラスの特性を備える。すなわち、透明性、ガスバリア性、水蒸気バリア性、化学的安定性、熱的安定性、電気絶縁性、表面平滑性、高硬度、捻れにくさ(若しくは、耐カール性)等に優れ、良好な質感(外観や触感)を備える。
また、本発明の積層体は、ガラス板が接着層を介して樹脂フィルムに積層されているため、ガラス単体に比べて割れにくく、取扱いが容易である。
更に、本発明の積層体は、接着層が色材を含有しない場合は、透明性に優れ、全光線透過率は、例えば80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。
本発明の積層体が、ガラス板の厚みが150μm以下の積層体である場合は、可とう性に優れる。そのため、ロール状に巻回することにより巻回体を形成することができる。前記巻回体は、嵩張らずに保存することができ、運搬も容易である。
また、本発明の積層体が、ガラス板の厚みが150μm以下の積層体である場合は、優れた屈曲耐久性を有し、繰り返し屈曲させてもクラックが生じることがない。前記積層体の、下記試験(図3参照)による屈曲耐久性は、例えば10以上(より好ましくは100以上、特に好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、最も好ましくは10000以上)である。
屈曲耐久性試験:
積層体を伸ばした状態から、ガラス板面を内側にして、且つ積層体を構成する樹脂フィルムのTD方向とほぼ平行に折線が生じる方向に、屈曲半径が3mmとなるように180°折り曲げ、再び伸ばす動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行った際における、積層体にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とする
従って、本発明の積層体は、各種電子デバイス(例えば、有機ELデバイス、太陽電池等)や、各種電子部品(例えば、有機EL素子等)の、基板及び/又は封止部材として好適に使用することができる。
また、本発明の積層体は、カバー部材として、携帯情報端末(例えば、スマートフォン、タブレット)等のタッチパネルディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイの表面を被覆する用途や、プラズマディスプレイの電極保護膜としての用途、指紋認証センサーの保護膜としての用途等に好適に使用することができる。
更に、本発明の積層体は、また、製造ラインの移動ステージや、製造ラインを移動する物品の保護シートとして好適である。そして、本発明の積層体を製造ラインの移動ステージとして利用すれば、可とう性に優れるため、コンパクトな製造ラインを実現できる。
更にまた、本発明の積層体が、着色された接着剤(=有色接着剤)や、有色樹脂フィルムを使用して得られる積層体である場合は、高い意匠性を備え得る。そのため、例えば、自動車の室内加飾用途、電化製品の加飾用途等に好適である。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、例えば、ガラス板と樹脂フィルムとを上記接着剤(若しくは、前記硬化性組成物)で貼り合わせ、その後、前記接着剤を硬化させることにより製造することができる。
前記ガラス板の厚みは特に制限がないが、例えば、可とう性や屈曲耐久性が求められる用途では、ガラス板の厚みは、例えば150μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。また、ガラス板の厚みは、屈曲耐久性に優れる点において、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
また、可とう性や屈曲耐久性が求められる用途では、前記ガラス板としては、最小曲げ半径が3mm以下であるガラス板(すなわち、屈曲半径が3mm以下となるまで、少なくとも1回、折り曲げ可能なガラス板)を使用することが、可とう性や屈曲耐久性に優れる積層体が得られる確率が飛躍的に向上する点で好ましい。最小曲げ半径が3mm超であるガラス板は、ガラス表面や端面に目視では確認できないほど小さな傷が入っている場合が多く、そのようなガラス板を使用すれば、得られる積層体は屈折耐久性が不十分となる可能性が高まる傾向がある。
本発明の積層体を、視認性が求められる用途に使用する場合は、前記樹脂フィルムとしては透明性に優れる(全光線透過率は、例えば80%以上)プラスチックフィルムを使用することが好ましい。
前記プラスチックフィルムの材料としては、熱可塑性プラスチックや熱硬化性プラスチックが挙げられる。前記熱可塑性プラスチックには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニリデン、酢酸セルロース(例えば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の汎用プラスチック;ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンなどのエンジニアリングプラスチック;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が含まれる。前記熱硬化性プラスチックには、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂等が含まれる。
樹脂フィルムとしては、なかでも、屈曲耐久性に極めて優れる点で、PET、PAI、PI、酢酸セルロース(特に、TAC)、及びPENから選択される少なくとも1種の材料からなるプラスチックフィルムが好ましく、特に、PET、PI、及びPENから選択される少なくとも1種の材料からなるプラスチックフィルムが好ましい。
樹脂フィルムの厚みは、例えば150μm以下であり、好ましくは140μm以下、特に好ましくは120μm以下、最も好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下、とりわけ好ましくは70μm以下である。また、屈曲耐久性に極めて優れる点で、例えば10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。
ガラス板と樹脂フィルムとを上記接着剤で貼り合わせる方法としては、例えば、ガラス板と樹脂フィルムの少なくとも一方に、接着剤を塗布し、その後、ガラス板と樹脂フィルムとを、接着剤が塗布された面を内側にして貼り合わせ、その後、接着剤を硬化させる方法が挙げられる。
前記接着剤を塗布する方法としては、特に制限がなく、例えば、印刷法、コーティング法等により行うことができる。具体的には、スクリーン印刷法、マスク印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スキージ印刷法、シルクスクリーン印刷法、スタンピング、ディスペンス、噴霧、刷毛塗り、コンマコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング等が挙げられる。
接着剤の塗布量は、得られる接着層の厚みが、例えば100μm以下(好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは30μm以下である。尚、厚みの下限は、例えば1μm、好ましくは5μmである)となる範囲である。接着層が上記範囲であると、接着性と屈曲耐久性と共に、透明性(全光線透過率は、例えば80%以上)を兼ね備えることができる点で好ましい。接着層の厚みが過剰となると、接着性は向上するが、屈曲耐久性や透明性が低下する傾向がある。
前記接着剤(若しくは、前記硬化性組成物)は、高湿度環境下(例えば湿度50〜90%RH、好ましくは湿度65〜90%RH、特に好ましくは湿度70〜90%RH、最も好ましくは湿度75〜90%RH、とりわけ好ましくは80〜90%RH)でも、また、空気中等の酸素存在下においても、紫外線を照射することにより速やかに硬化して接着層(若しくは、硬化物)を形成することができる。
前記紫外線の光源としては、光を照射することにより、硬化性組成物中に酸を発生させることができる光源であれば良く、例えば、UV−LED、低、中、又は高圧水銀ランプのような水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等を使用することができる。紫外線照射量(積算光量)は、例えば10〜5000mJ/cm2である。
前記接着剤に紫外線を照射した後は、更に加熱処理を施しても良い。加熱処理を施すことにより、硬化度をより一層向上させることができる。加熱処理を施す場合、加熱温度は40〜200℃程度であり、加熱時間は1分〜15時間程度である。また、紫外線を照射した後に、室温(20℃)で1〜48時間程度静置することでも硬化度を向上させることができる。
可とう性や屈曲耐久性が求められる積層体を製造する場合には、積層体を屈曲させた場合に生じる折線が、積層体を構成する樹脂フィルムのTD方向とほぼ平行にほぼ平行(樹脂フィルムのMD方向と積層体の屈曲方向の交差角は、例えば30°以下、好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下、最も好ましくは5°以下)となる向きに樹脂フィルムを貼り合わせることが好ましい。換言すると、積層体を屈曲させた場合に生じる折線と、樹脂フィルムのMD方向とがほぼ垂直(樹脂フィルムのMD方向と前記折線の交差角は、例えば60〜120°、好ましくは70〜110°、特に好ましくは80〜100°、最も好ましくは85〜95°)に交わる向きに、貼り合わせることが好ましい(図3参照)。尚、MD方向とは、樹脂フィルムを射出成形により製造する際に溶融樹脂が流れる方向であり、TD方向(MD方向に直交する方向であり、幅方向)に比べて機械的強度に優れる。樹脂フィルムのMD方向、及びTD方向は、例えば2次元複屈折装置(PA−100、(株)フォトニックラティス製)を用いて計測される、複屈折の配向方向によって確認できる。
このようにして形成される接着層はガラス板に対して密着性に優れ、且つ樹脂フィルムに対して密着性に優れる。前記接着層(若しくは、接着剤の硬化物)の、ガラス板及び樹脂フィルムに対する密着性は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6に準拠)の6段階分類試験において、例えば分類0〜2である。
また、前記接着層の弾性率(例えば、25℃でのヤング率)は、例えば0.01MPa〜1000GPa、好ましくは1MPa〜100GPa、最も好ましくは5MPa〜50GPa、とりわけ好ましくは5MPa〜10GPaである。そのため、本発明の積層体は優れた屈曲耐久性を有する。
また、前記接着層は耐熱性に優れ、ガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上である。尚、上限は、例えば150℃である。そのため、高温環境下でも本発明の積層体は屈曲耐久性を高く保持することができ、車載機器にも使用可能である。尚、ガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、例えば、DSC、TGA等の熱分析や動的粘弾性測定により測定できる。
更に、前記接着層によれば、ガラス板と樹脂フィルムとを前記接着層を介して積層した後も、ガラス板の表面硬度を損なうことなく高く維持できる。そのため、本発明の積層体のガラス板表面の鉛筆硬度(JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184))は、例えばH以上、好ましくは2H以上、特に好ましくは3H以上、最も好ましくは5H以上である。
更にまた、ガラス板の厚みが150μm以下である積層体の場合は、ガラス板と樹脂フィルムとを前記接着層を介して積層して得られた積層体を連続屈曲した後も、特に屈曲部位において、ガラス板の表面硬度を損なうことなく高く維持できる。連続屈曲後のガラス板表面の、屈曲部位における鉛筆硬度(JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184))は、例えばH以上、好ましくは2H以上、特に好ましくは3H以上、最も好ましくは5H以上である。
[カバー部材]
本発明のカバー部材は、上記積層体を構成成分として備える。
前記カバー部材には、例えば、ディスプレイの保護膜(保護フィルムも含む)、バリアフィルム(医療機器や医薬品の包材等)、プラズマディスプレイの電極保護膜、指紋認証センサーの保護膜等、有機EL素子や太陽電池等の封止部材が含まれる。
本発明のカバー部材はガラス板を備えるため、優れたガスバリア性及び水蒸気バリア性を有する。そのため、高い保護効果、バリア効果、封止効果を有する。また、本発明のカバー部材が、ガラス板の厚みが150μm以下である積層体を備える場合は、屈曲耐久性に優れ、屈曲−伸展を繰り返しても前記積層体にクラックが発生することが無く、信頼性に優れる。また、本発明のカバー部材が、透明性に優れる上記積層体を備える場合は、視認性に優れる。
[デバイス用部材]
本発明のデバイス用部材(若しくは、デバイス用部品)は、上記積層体を構成成分として備える。
デバイス用部材には、例えば、ディスプレイ(例えば、タッチパネル、ウェアラブル端末、有機ELディスプレイ等に使用されるフレキシブルディスプレイ)、TFT基板、有機EL基板、太陽電池基板等が含まれる。
本発明のデバイス用部材はガラス板を備えるため、優れたガスバリア性、水蒸気バリア性、化学的安定性、熱的安定性、電気絶縁性、表面平滑性を有する。また、本発明のデバイス用部材が、ガラス板の厚みが150μm以下である積層体を備える場合は、屈曲耐久性に優れ、屈曲−伸展を繰り返しても前記積層体にクラックが発生することが無く、信頼性に優れる。また、本発明のデバイス用部材(例えば、ディスプレイ等)が、透明性に優れる上記積層体を備える場合は、視認性に優れる。
[デバイス]
本発明のデバイスは、上記積層体を構成成分として備える。
デバイスには、例えば、スマートフォンやタブレットやウェアラブル端末等の携帯情報端末等が含まれる。
本発明のデバイスはガラス板を備えるため、優れたガスバリア性、水蒸気バリア性、化学的安定性、熱的安定性、電気絶縁性、表面平滑性を有する。また、本発明のデバイスが、ガラス板の厚みが150μm以下である積層体を備える場合は、屈曲耐久性に優れ、屈曲−伸展を繰り返しても積層体にクラックが発生することが無く、信頼性に優れる。また、本発明のデバイス(例えば、携帯情報端末等)が、透明性に優れる上記積層体を備える場合は、視認性に優れる。
[構造物、及びその製造方法]
本発明の構造物は、表面の少なくとも一部が、前記積層体で被覆されていおり、構造物表面の少なくとも一部に前記積層体を備えることを特徴とする。
本発明の構造物は、その表面を、前記積層体が、ガラス板側表面を外側にして被覆していることが、ガラスの有する良好な質感(外観や触感)が得られる点で好ましい。また、積層体として有色接着層及び/又は有色樹脂フィルムを備える積層体を用いれば、構造物にガラスの有する良好な質感と共に、高い意匠性を付与することができる。
前記積層体は可とう性や屈曲耐久性を備える。そのため、例えば、前記積層体を金型の凹部形状に追従して密着させ、そこに、樹脂等を充填して硬化すれば、樹脂表面が積層体で被覆された構造物が得られる。
前記構造物としては、例えば、自動車の内装部品(例えば、ダッシュボード、ハンドル等)や、電化製品の筐体等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
下記表(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して、接着剤を得た。得られた接着剤の25℃、せん断速度100(1/s)における粘度を、E型粘度計(商品名「VISCOMETER TV-25」、東機産業(株)製)を用いて測定したところ、12mPa・sであった。
実施例2〜18、比較例1〜2
下記表(単位は重量部)に記載の通りに処方を変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。
(高湿度環境下における硬化性評価)
実施例及び比較例で得られた接着剤をガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子工業(株)製)又はアルミニウム板(商品名「A1050P」、アズワン(株)製)上にバーコーター(♯4)を用いて塗布し(塗膜厚み:5μm)、24〜25℃、空気雰囲気、湿度50〜80%条件下で、光源としてLED照射器(商品名「UV-LED PROCESSOR LSS-05」、CCR社製)を使用して365nmの光(照度:1.5W/cm2)を照射[1回の照射量(露光量)を1J/cm2とし、タック性がなくなるまで繰り返し照射]し、照射回数により硬化性を評価した。
(密着性評価)
実施例及び比較例で得られた接着剤をガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子工業(株)製)に塗布し(塗膜厚み:5μm)、空気雰囲気下、湿度50%又は70%条件下で、光源としてLED照射器を使用して365nmの光を照射して硬化物/ガラス板積層体(UV)を得た。
また、光を照射後、更にポストベーク(80℃で30分加熱)を施した以外は前記と同様にして硬化物/ガラス板積層体(UV+ポストベーク)を得た。
得られた積層体を、密着性試験(クロスカット法;JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠)に付し、6段階分類試験によって密着性を評価した。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2021024894
Figure 2021024894
尚、表中の各成分を以下に説明する。
<モノマー>
ISBDVE:イソソルビドジビニルエーテル、商品名「ISB−DVE」、(株)ダイセル製
CHDMDVE:シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
HEVE:エチレングリコールモノビニルエーテル
2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−101」、東亞合成(株)製
OXT221:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、商品名「アロンオキセタン OXT−221」、東亞合成(株)製
<硬化触媒>
CPI110P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスファートおよびチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム) ビス(ヘキサフルオロホスファート)の混合物(99.5/0.5)、商品名「CPI−110P」、サンアプロ(株)製
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名「イルガキュア−184」、BASF社製
<増感剤>
UVS581:9,10−ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−581」、川崎化成工業(株)製
UVS1331:9,10−ジブトキシアントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−1331」、川崎化成工業(株)製
<色材>
Pigment Blue 15:4:銅フタロシアニン
Pigment Red 122:3,10−ジメチルキナクリドン
Pigment Yellow 155:2,2’−(1,4−フェニレン−ビス[イミノ(1−アセチル−2−オキソエタン−2,1−ジイル)アゾ])ビス(テレフタル酸ジメチル)
Pigment Black 7:カーボンブラック
Pigment White 6:二酸化チタン
<分散剤>
商品名「アジスパー」、高分子系顔料分散剤、味の素ファインテクノ(株)製
実施例19(積層体の調製)
実施例1で得られた接着剤を、厚み75μmのPETフィルム(商品名「PET A4300」、東洋紡(株)製)上に、乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、ガラス板(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製、厚み50μm)に貼り合わせた後、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射(照射量:2000mJ/cm2)して、PETフィルム/接着層/G−leaf積層体(厚み:75μm/10μm/50μm)を得た。
得られた積層体について以下の方法で鉛筆硬度、可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性を評価した。
尚、可とう性の評価には、得られた積層体を、幅×長さ=1cm×7cmのサイズに切断した試験片であって、PETフィルムのMD方向が長さ方向に平行である試験片を使用した。
また、屈曲耐久性及び耐カール性の評価には、得られた積層体を、幅×長さ=4cm×5cmのサイズに切断した試験片であって、PETフィルムのMD方向が長さ方向に平行である試験片を使用した。
<鉛筆硬度>
積層体の、G−leaf表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184)に準拠した方法で測定した。
<可とう性>
25℃において、試験片をガラス板面が内側になる方向で、且つ試験片を構成する樹脂フィルム(=PETフィルム)のTD方向とほぼ平行に折線が生じる方向にU字型に折り曲げて、万力の口金に挟み、ハンドルを回して徐々に締め付け、初めて試験片に割れが生じた時点における試験片の曲げ半径を、最小曲げ半径(mm)とした。
<屈曲耐久性>
25℃において、試験片をガラス板面を上向きに、平面上に設置し、試験片を伸ばした状態から、ガラス板面が内側になる方向で、且つ試験片を構成する樹脂フィルム(=PETフィルム)のTD方向とほぼ平行に折線が生じる方向に、屈曲半径を3mmとして180°折り曲げ、その後、再び伸ばして元に戻す動作を1セットとし、1分間に43セットの速さで前記動作を行い、試験片にクラックが生じるまでのセット数を屈曲耐久性の指標とした(図1〜3参照)。
<耐カール性>
試験片を水平面に置き、試験片の短辺の一方を押さえた際にもう一方の短辺が水平面から浮く量を測定し、下記基準で耐カール性を評価した(図4)。尚、浮き量が少ない方が耐カール性に優れる。
◎:浮き量が1mm未満
○:浮き量が1mm以上、2mm未満
△:浮き量が2mm以上、5mm未満
×:浮き量が5mm以上
比較例3
比較例1で得られた接着剤を使用した以外は実施例19と同様に行った。しかし、前記接着剤ではガラス板とPETフィルムとを接着できず、積層体は得られなかった。
比較例4
PET/接着層/G−leaf積層体(厚み:38μm/25μm/50μm)(商品名「Lamion」、日本電気硝子(株)製)について、実施例19と同様の方法で硬度、可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性を評価した。
比較例5
G−leaf(厚み:50μm)(商品名「G−leaf」、日本電気硝子(株)製)について、実施例19と同様の方法で硬度、可とう性、屈曲耐久性、及び耐カール性を評価した。
Figure 2021024894
1 積層体
2 ガラス板
3 接着層
4 樹脂フィルム
5 屈曲方向
6 伸ばす方向
7 折線
8 浮き量
9 水平面

Claims (13)

  1. カチオン重合性モノマーと硬化触媒とを含有し、
    前記カチオン重合性モノマーが、ビニルエーテル基と水酸基とを有する化合物(A)と、オキセタニル基と水酸基とを有する化合物(B)と、下記式(c)
    Figure 2021024894
    (式中、Xは単結合又は連結基を示す)
    で表される化合物(C)を含有し、前記化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の合計含有量が硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の50重量%以上であり、且つ前記化合物(A)の含有量[A]と化合物(B)の含有量[B]が下記式(1)を満たす、ガラス用接着剤。
    A/(A+B)≧0.3 (1)
  2. カチオン重合性モノマーとして、更に、脂環骨格又は非芳香族性複素環骨格に2個以上のビニルエーテル基が結合した化合物(D)(水酸基を有する化合物は除く)を、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の1〜10重量%含有する、請求項1に記載のガラス用接着剤。
  3. カチオン重合性モノマーとして、更に、オキセタニル基を2個以上有する化合物(E)(水酸基を有する化合物は除く)を、硬化性組成物に含まれるカチオン重合性モノマー全量の15〜40重量%含有する、請求項1又は2に記載のガラス用接着剤。
  4. 増感剤、又は増感剤と増感助剤とを含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載のガラス用接着剤。
  5. 色材を含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載のガラス用接着剤。
  6. 分散剤を含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載のガラス用接着剤。
  7. ガラス板と、樹脂フィルムとが、請求項1〜6の何れか1項に記載のガラス用接着剤の硬化物からなる接着層を介して積層された構成を有する積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体がロール状に巻回されてなる、巻回体。
  9. 請求項7に記載の積層体を備えた、カバー部材。
  10. 請求項7に記載の積層体を備えた、デバイス用部材。
  11. 請求項7に記載の積層体を備えた、デバイス。
  12. 表面の少なくとも一部が、請求項7に記載の積層体で被覆されてなる、構造物。
  13. ガラス板と樹脂フィルムとを、請求項1〜6の何れか1項に記載のガラス用接着剤で貼り合わせ、その後、前記接着剤を硬化させることにより、ガラス板と樹脂フィルムとが、前記接着剤の硬化物からなる接着層を介して積層された構成を有する積層体を得る、積層体の製造方法。
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