JP2020117645A - 立体造形用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素の存在下でも速やかに硬化して、高硬度で、金属やガラスに対して優れた密着性を有する立体造形物を製造できる組成物を提供する。【解決手段】本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物と、光又は熱重合開始剤とを含有し、前記カチオン重合性化合物は、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物、及び下記式(b)で表される化合物を少なくとも含有する。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形用組成物に関する。上記組成物はインクジェット方式によって立体造形物を製造する用途に好適に使用される。
近年、硬化性組成物をインクジェット方式で吐出して塗膜を形成し、上記塗膜を硬化させて薄膜硬化物を得、得られた薄膜硬化物上に更に塗膜を形成するという作業を繰り返すことにより薄膜硬化物を積層して立体造形物を製造する方法が知られている。この方法によれば、金型を作成する必要がないので形状の変更が容易であり、目的とする立体構造物を小ロットでも安価に製造することができる。そのため、例えば、医療器具の分野では、個々の患者に合わせた製品を作成するためにこの方法が用いられている。
インクジェット方式で吐出する硬化性組成物としては、アクリル系樹脂が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、アクリル系樹脂等のラジカル硬化性組成物は酸素により硬化が阻害され易く、特にインクジェット方式では硬化性組成物を小さな液滴の状態で吐出するため酸素による硬化阻害が顕著であり、臭気の原因となる未反応モノマーが多く残留することが問題であった。また、硬化収縮が大きく、硬化物に反りが生じ易いため、立体造形物を精度良く製造することが困難であった。さらに、基材密着性が低いことも問題であった。
一方、カチオン硬化性組成物は酸素による硬化阻害を受けることがない。また、ラジカル硬化性組成物に比べて基材密着性に優れる。特許文献2には、脂環式エポキシ化合物と、ジ又はトリビニルエーテル化合物と、3−アルキル−3−ヒドロキシアルキルオキセタンとをモノマーとして含むカチオン硬化性組成物は低粘度で、インクジェット用インクとして使用した場合には優れた吐出性を示し、紫外線を照射することで速やかに硬化して、基材密着性に優れ、高硬度を有する硬化物を形成することが記載されている。
特開2015−38166号公報 特許第3893833号公報
しかし、上記特許文献2に記載のカチオン硬化性組成物の硬化物は、金属やガラスに対しては密着性が低く、密着性を向上するためには、金属やガラスにプライマー処理等の表面加工処理を施す必要があった。また、硬度の点においても未だ不十分であった。
従って、本発明の目的は、酸素の存在下でも速やかに硬化して、高硬度で、金属やガラスに対して優れた密着性を有する立体造形物を形成するための立体造形用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、酸素の存在下でも速やかに硬化して、高硬度で寸法安定性に優れ、且つ金属やガラスに対して優れた密着性を有する立体造形物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記立体造形用組成物の硬化物から成る立体造形物が基材表面に固着した構造物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記構造物の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、カチオン重合性化合物として、1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物と、鎖状脂肪族骨格に2個以上のグリシジルエーテル基が結合した構造を有する化合物とを、特定の範囲で含有するカチオン重合性化合物と、光又は熱重合開始剤とを含有する立体造形用組成物によれば、優れた硬化感度を有し、光照射又は加熱処理を施すことにより、酸素の存在下でも速やかに硬化して、高硬度で、金属やガラスに対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記カチオン重合性化合物と、光又は熱重合開始剤とを含有する立体造形用組成物を提供する。
カチオン重合性化合物:1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物、及び下記式(b)
Figure 2020117645
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
で表される化合物を少なくとも含有し、
上記1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物の含有量はカチオン重合性化合物全量の10重量%以上であり、
上記式(b)で表される化合物の含有量はカチオン重合性化合物全量の5重量%以上である。
本発明は、また、カチオン重合性化合物として、更に、下記式(b’)
Figure 2020117645
(式中、Xは単結合又は連結基を示す)
で表される化合物をカチオン重合性化合物全量の20重量%以上含有する、上記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量がカチオン重合性化合物全量の30重量%未満である、上記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、増感剤、又は増感剤と増感助剤とを含有する上記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、色材を含有する、上記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、分散剤を含有する上記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、上記立体造形用組成物の硬化物を提供する。
本発明は、また、紙、プラスチック、金属、及びガラスから選択される少なくとも1種の基材上への密着性(JIS K 5600−5−6に準拠)が6段階分類試験において分類0〜2である、硬化物を提供する。
本発明は、また、上記硬化物から成る立体造形物を提供する。
本発明は、また、厚膜印刷物若しくは点字印刷物である上記立体造形物を提供する。
本発明は、また、基材表面に上記立体造形物が固着した構造物を提供する。
本発明は、また、インクジェット方式で、基材表面に、上記立体造形用組成物を吐出し、その後、吐出された立体造形用組成物を硬化させる工程を経て、基材表面に上記立体造形用組成物の硬化物から成る立体造形物が固着した構造物を得る構造物の製造方法を提供する。
本発明は、また、上記立体造形用組成物を含む厚膜印刷用インクを提供する。
本発明は、また、上記立体造形用組成物を含む点字印刷用インクを提供する。
本発明の立体造形用組成物は、光照射又は加熱処理を施す前は低粘度で塗布性に優れ、光照射又は加熱処理を施すことにより、酸素の存在下でも、更に水分の存在下でも、速やかに硬化して、高硬度で、金属やガラスに対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができる。更に、上記立体造形用組成物は硬化性に優れるため、未反応モノマーの残留を抑制することができ、未反応モノマーが原因の臭気の発生を著しく低減することができる。
そして、本発明の立体造形用組成物は低硬化収縮性であり、寸法安定性に優れる。そのため、薄膜の硬化物を積層して厚膜の立体造形物を形成するのに適している。そのため、本発明の立体造形用組成物を使用すれば、所望の形状の立体造形物を精度良く製造することができる。
本発明の立体造形用組成物をインクジェットインクとして使用すれば、空気雰囲気下でも、金属やガラス表面に直接塗布し、その後硬化させることにより、非常に高精度、高硬度で、密着性に優れるインク被膜を形成することができる。そのため、本発明の立体造形用組成物は、特に、インクジェット方式で立体造形物(例えば、厚膜印刷物、点字印刷物等)を製造する用途に好適に使用することができる。
寸法安定性を評価する際の、試験片の浮き量の測定方法を示す模式図である。
[立体造形用組成物]
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物と光又は熱重合開始剤とを含有する。
(カチオン重合性化合物)
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物として、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物、及び下記式(b)
Figure 2020117645
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
で表される化合物を少なくとも含有し、
上記1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物の含有量はカチオン重合性化合物全量の10重量%以上であり、
上記式(b)で表される化合物の含有量はカチオン重合性化合物全量の5重量%以上である。
(化合物(I))
本発明の立体造形用組成物は、1分子中に少なくとも2種の官能基を有する化合物である。詳細には、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物を含む(以下、化合物(I)と称する場合がある)。
本発明における化合物(I)は、1分子中に少なくとも2種の官能基を有する化合物である。詳細には、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物である。化合物(I)を含む本発明の立体造形用組成物を硬化して得られる硬化物は、上記2種の官能基が重合して高度な架橋構造体を形成するため高硬度を有する。
化合物(I)としては、なかでも、得られる硬化物の高硬度化、低硬化収縮化、密着性向上の点で、1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個と、水酸基を1個有する化合物(i)が好ましい。
上記化合物(i)には、以下の3種類の化合物が含まれる。
i−1:ビニルエーテル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−2:エポキシ基1個と、水酸基1個とを有する化合物
i−3:オキセタニル基1個と、水酸基1個とを有する化合物
上記化合物(i)は、例えば下記式で表される。
HO−R−Y (i)
(式中、Rは2価の炭化水素基、2価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した2価の基を示す。Yはビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を示す)
上記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン、1−メチルビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルケニレン基;エチニレン、プロピニレン、3−メチル−1−プロピニレン、ブチニレン、1、3−ブタジイニレン基等の炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキニレン基が挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基を構成する脂環には、単環式炭化水素環及び多環式炭化水素環が含まれ、上記多環式炭化水素環には、スピロ炭化水素環、環集合炭化水素環、架橋環式炭化水素環、縮合環式炭化水素環、架橋縮合環式炭化水素環が含まれる。2価の脂環式炭化水素基としては、上記脂環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
上記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のC3−12シクロアルカン環;シクロペンテン、シクロヘキセン等のC3−12シクロアルケン環等が挙げられる。
上記スピロ炭化水素環としては、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン等のC5−16スピロ炭化水素環等が挙げられる。
上記環集合炭化水素環としては、例えば、ビシクロヘキサン等のC5−12シクロアルカン環を2個以上含む環集合炭化水素環等が挙げられる。
上記架橋環式炭化水素環としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘプテン、ビシクロオクタン(ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン等)等の2環式炭化水素環;ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン等の3環式炭化水素環;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン等の4環式炭化水素環等が挙げられる。
上記縮合環式炭化水素環としては、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環が挙げられる。
上記架橋縮合環式炭化水素環には、ジエン類の二量体(例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等のシクロアルカジエンの二量体)や、その水素添加物等が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等の、炭素数6〜18のアリーレン基が挙げられる。
上記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。上記カルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
2価の複素環式基を構成する複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等が挙げられる。上記複素環式基は、上記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1−4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等を有していてもよい。2価の複素環式基は、上記複素環の構造式から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
上記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)等が挙げられる。
上記Rとしては、なかでも2価の炭化水素基、又は炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基が好ましく、特に好ましくは2価の脂肪族炭化水素基、又は脂肪族炭化水素基の2個以上が連結基を介して結合した2価の基、最も好ましくは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基、とりわけ好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の2個以上が連結基を介して結合した基である。また、上記連結基としては、エーテル結合が好ましい。
化合物(i)としては、ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1)及び/又はオキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)を含有することが、より高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、とりわけ、オキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)を少なくとも含有することが好ましい。
化合物(I)としては、下記式(i-1-1)〜(i-1-3)(i-3-1)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、とりわけ、下記式(i-3-1)で表される化合物を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 2020117645
(化合物(b))
本発明における化合物(b)は、下記式(b)で表される化合物である。
Figure 2020117645
(式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
式中のsは2以上の整数を示し、例えば2〜6の整数、好ましくは2〜4の整数、特に好ましくは2〜3の整数、とりわけ好ましくは2である。
Rにおけるs価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基のうち、2価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数3〜6)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。また、3価以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基は、2価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基の構造式から更に(s−2)個の水素を除いた基が挙げられる。
Rで示される基の総炭素数は、例えば1〜20、好ましくは炭素数2〜15、特に好ましくは2〜10、最も好ましくは3〜8である。
上記化合物(b)としては、なかでも、下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、及びジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルから選択される少なくとも1種が好ましく、特に低粘度で塗布性に優れる点において好ましくは下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物から選択される少なくとも1種であり、最も好ましくは下記式(b-1)〜(b-4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である。
Figure 2020117645
(ビニルエーテル化合物(A))
本発明の立体造形用組成物は、上記カチオン重合性化合物として、上述の化合物(I)以外にも、ビニルエーテル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(本明細書においては「ビニルエーテル化合物(A)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。ビニルエーテル化合物(A)は、ビニルエーテル基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基等)を有していてもよい。
ビニルエーテル化合物(A)は、例えば、下記式(a)で表される化合物が挙げられる。
−(O−CH=CH (a)
(式中、Rは、t価の炭化水素基、t価の複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合したt価の基を示し、tは1以上の整数を示す)
上記tは1以上の整数であり、例えば1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは2〜5の整数である。
上記Rにおけるt価の炭化水素基及びt価の複素環式基としては、Rにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基に対応する基が挙げられる。また、上記t価の炭化水素基及びt価の複素環式基は置換基を有していてもよく、上記置換基としてはRにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基が有していてもよい置換基や、エポキシ基又はオキセタニル基を含む基が挙げられる。更に、上記連結基としては、Rにおける連結基と同様の例が挙げられる。上記Rとしては、なかでも脂環式又は複素環式骨格を有するt価の基が好ましい。
ビニルエーテル化合物(A)としては、下記式(a-1)〜(a-2)で表される化合物や、シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ノルボルネニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が好ましい。
Figure 2020117645
(エポキシ化合物(B))
本発明の立体造形用組成物は、上記カチオン重合性化合物として、上述の化合物(I)や化合物(b)以外にも、エポキシ基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基を有する化合物を除く;本明細書においては「エポキシ化合物(B)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。エポキシ化合物(B)は、エポキシ基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、オキセタニル基)を有していてもよい。
上記エポキシ基には、下記式(e-1)で表されるシクロヘキセンオキシド基などの、脂環(例えば、3〜8員の脂環)を構成する隣接する2個の炭素原子と、酸素原子とで構成される基(以後、「脂環式エポキシ基」と称する場合がある)や、下記式(e-2)で表されるエチレンオキシド基が含まれる。下記式中、Rは水素原子又はC1−3アルキル基を示す。
Figure 2020117645
エポキシ化合物(B)としては、なかでもエポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物が硬化性に優れる点で好ましく、特に、脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物、エチレンオキシド基を1分子中に2個以上有する化合物、及び脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を1分子中にそれぞれ1個以上有する化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物としては、例えば、下記式(b’)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020117645
上記式(b’)中、Xは単結合又は連結基を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート基(−O−CO−O−)、アミド基(−CONH−)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(b’)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基が結合していてもよく、上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−10アルキル基、C1−10アルコキシ基、C2−10アルケニルオキシ基、C6−14アリールオキシ基、C7−18アラルキルオキシ基、C1−10アシルオキシ基、C1−10アルコキシカルボニル基、C6−14アリールオキシカルボニル基、C7−18アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1−10アシル基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基、オキソ基等が挙げられる。
上記式(b’)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(b’-1)〜(b’-8)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(b’-5)中のLは炭素数1〜8のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)を示す。また、下記式(b’-5)(b’-7)中のn、nは、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2020117645
脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物には、更に、下記式(b’-9)(b’-10)で表される化合物も含まれる。下記式(b’-9)(b’-10)中のn〜nは、同一又は異なって1〜30の整数を示す。
Figure 2020117645
エチレンオキシド基を1分子中に2個以上有する化合物としては、例えば、水素化ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、水素化ビフェノール型ジグリシジルエーテル、水素化フェノールノボラック型ジグリシジルエーテル、水素化クレゾールノボラック型ジグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテル;ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、ビフェノール型ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型ジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型ジグリシジルエーテル等の芳香族グリシジルエーテル;下記式(b”)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2020117645
式(b”)中、R”は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R”(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15の多価アルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(b”)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
が挙げられる。
脂環式エポキシ基とエチレンオキシド基を1分子中にそれぞれ1個以上有する化合物としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン等が挙げられる。
エポキシ化合物(B)としては、脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物(特に、式(b’)で表される化合物)を含有することが、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で好ましい。
(オキセタン化合物(C))
本発明の立体造形用組成物は、上記カチオン重合性化合物として、上述の化合物(I)以外にも、オキセタニル基を1分子中に少なくとも1個有し、且つ水酸基を有さない化合物(ビニルエーテル基及び/又はエポキシ基を有する化合物を除く;本明細書においては「オキセタン化合物(C)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。
オキセタン化合物(C)は、例えば、下記式(c)で表される。
Figure 2020117645
(式中、Rは1価の有機基を示し、Rは水素原子又はエチル基を示す。mは0以上の整数を示す)
上記Rにおける1価の有機基には1価の炭化水素基、1価の複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、置換カルバモイル基(N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等)、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、及びこれらの2以上が単結合又は連結基を介して結合した1価の基が含まれる。
上記1価の炭化水素基及び1価の複素環式基としては、上記Rにおける2価の炭化水素基及び2価の複素環式基に対応する基が挙げられる。上記連結基としては、上記Rにおける連結基と同様の例が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としてはRにおける炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の例が挙げられる。
上記mは0以上の整数を示し、例えば0〜20、好ましくは0〜1である。
オキセタン化合物(C)としては、なかでも、オキセタニル基を1分子中に2個以上有する化合物を使用することが、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で好ましく、例えば、下記式(c-1)で表される化合物、及び下記式(c-2)で表される化合物等が好ましい。本発明においては、例えば、「アロンオキセタンOXT−221」、「アロンオキセタンOXT−121」(以上、東亞合成(株)製)等の市販品を使用することができる。
Figure 2020117645
<立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物の組成>
本発明の立体造形用組成物は、上記カチオン重合性化合物として、上記化合物(I)及び化合物(b)を少なくとも含有する。また、本発明の立体造形用組成物は、上記カチオン重合性化合物として、上記ビニルエーテル化合物(A)、エポキシ化合物(B)、及びオキセタン化合物(C)から選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
本発明の立体造形用組成物における上記化合物(I)の含有量は、カチオン重合性化合物全量(立体造形用組成物に含まれる全カチオン重合性化合物)の10重量%以上(例えば10〜65重量%)であり、特に基材への密着性に優れる硬化物が得られる点で、下限は25重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、特に好ましくは33重量%、最も好ましくは35重量%である。また、特に高硬度を有する硬化物が得られる点で、上限は55重量%が好ましく、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは45重量%である。化合物(I)の含有量が上記範囲を下回ると、得られる硬化物の基材(特に、金属やガラス)に対する密着性が低下するため好ましくない。また、化合物(I)の含有量が上記範囲を上回ると、揮発による臭気の発生や粘度上昇(粘度が上昇すると、インクジェット方式による印刷が困難となる場合がある)、硬化感度の低下、湿度による硬化阻害の増大が生じる場合がある。
なかでも、ビニルエーテル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物及びオキセタニル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する化合物の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の25重量%以上(例えば、25〜65重量%)であることが、基材への密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、特に硬化性に優れる点で25重量%以上、60重量%未満が好ましく、最も好ましくは25〜55重量%、とりわけ好ましくは25〜45重量%である。
特に、ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1)及びオキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の25重量%以上(例えば、25〜65重量%)であることが、基材への密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましく、特に硬化性に優れる点で25重量%以上、60重量%未満が好ましく、最も好ましくは25〜55重量%、とりわけ好ましくは25〜45重量%である。
また、ビニルエーテル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-1)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば30重量%以下、好ましくは25重量%以下、最も好ましくは18重量%以下である。
また、オキセタニル基1個と水酸基1個とを有する化合物(i-3)の含有量は、基材への密着性に優れ、高硬度を有する硬化物が得られる点で、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の15重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以上である。また、硬化性の観点から、含有量の上限は、例えば55重量%、より好ましくは45重量%、とりわけ好ましくは40重量%である。
上記化合物(b)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の5重量%以上であり、速硬化性を有し、ガラスや金属に対して優れた密着性を有する高硬度の硬化物が得られる点で、より好ましくは5〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは5〜30重量%である。化合物(b)の含有量が上記範囲を下回ると、得られる硬化物の耐クラック性が低下して、脆くなる傾向があるため好ましくない。また、化合物(b)の含有量が上記範囲を上回ると、硬化感度の低下、得られる硬化物の基材に対する密着性の低下が生じる場合がある。
上記化合物(I)/化合物(b)の重量比は、例えば0.5以上であり、好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.1以上、最も好ましくは1.3以上である。また、上記重量比の上限は、例えば6.5、好ましくは5.5、特に好ましくは5.0、最も好ましくは4.5、とりわけ好ましくは4.0である。
上記化合物(I)、及び化合物(b)以外の化合物であって、1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を2個以上有する化合物の含有量は、硬化性の観点から、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば15重量%以上、好ましくは20重量%以上、特に好ましくは25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。尚、含有量の上限は、高硬度、且つガラスや金属に対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば55重量%、好ましくは50重量%である。
上記化合物(b)以外の化合物であって、エポキシ基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物(好ましくは脂環式エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物、特に好ましくは式(b’)で表される化合物)の含有量は、速硬化性を有し、高硬度の硬化物が得られる点で、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば20重量%以上が好ましく、特に好ましくは25重量%以上である。尚、含有量の上限は、高硬度、且つガラスや金属に対して優れた密着性を有する硬化物が得られる点で、例えば50重量%、好ましくは45重量%、特に好ましくは43重量%である。
ビニルエーテル基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。
オキセタニル基を1分子中に2個以上有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。
1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量は、硬化性の観点から、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば30重量%未満であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下、とりわけ好ましくは1重量%以下である。
上記カチオン重合性化合物は、上記化合物(I)及び化合物(b)と、必要に応じて他のモノマーを、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
上記構成を有するカチオン重合性化合物に光又は熱重合開始剤を混合すると本発明の立体造形用組成物が得られる。このようにして得られる立体造形用組成物は、硬化性に優れ、低硬化収縮性を有し(すなわち、寸法安定性に優れ)、高硬度、及びガラスや金属に対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができる。従って、上記カチオン重合性化合物は、上記のような特性を有する立体造形用組成物の原料として有用である。
本発明の立体造形用組成物全量(100重量%)における、上記カチオン重合性化合物の含有量は、例えば50〜99.9重量%、好ましくは70〜98重量%である。
本発明の立体造形用組成物は上記カチオン重合性化合物以外にも、他のモノマーを含有していてもよいが、他のモノマーの含有量は、本発明の立体造形用組成物に含まれる重合性化合物(=重合性官能基を有する化合物、例えば、カチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物)全量の例えば30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下、とりわけ好ましくは1重量%以下である。
(光又は熱重合開始剤)
本発明の立体造形用組成物は光又は熱重合開始剤を含有する。光又は熱重合開始剤には、光又は熱カチオン重合開始剤、及び光又は熱ラジカル重合開始剤が含まれる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の立体造形用組成物は、光又は熱重合開始剤として、少なくとも光又は熱カチオン重合開始剤を含有することが好ましく、特に光又は熱カチオン重合開始剤と光又は熱ラジカル重合開始剤を共に含有することが、本発明の立体造形用組成物の硬化反応をより効率的に進行させることができ、とりわけ高硬度を有する硬化物が得られる点で好ましい。
<光カチオン重合開始剤>
上記光カチオン重合開始剤は、光を照射することによって酸を発生して、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)B(Phf)4−s(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0〜3の整数である)、BF 、[(Rf)PF6−t(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、t:0〜5の整数)、AsF 、SbF 、SbFOH等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム] ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
本発明においては、例えば、商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−110P」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「CYRACURE UVI−6990」、「CYRACURE UVI−6992」(以上、ダウ・ケミカル社製)、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア−264」(BASF製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)、商品名「PHOTOINITIATOR 2074」(ローディアジャパン(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<熱カチオン重合開始剤>
上記熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウムイオン、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウムイオン等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
<光ラジカル重合開始剤>
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。
本発明においては、例えば、商品名「イルガキュア−184」、「イルガキュア−127」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1173」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」、「ダロキュア−MBF」(BASF製)等の市販品を好ましく使用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<熱ラジカル重合開始剤>
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等(具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,4−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等)の有機過酸化物類が挙げられる。
光又は熱カチオン重合開始剤の使用量は、本発明の立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部程度が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
また、光又は熱ラジカル重合開始剤を光又は熱カチオン重合開始剤と共に使用する場合、光又は熱ラジカル重合開始剤の使用量は、本発明の立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは0.5〜2重量部である。
本発明の立体造形用組成物は更に溶剤を含有してもよいが、無溶剤系であること、すなわち溶剤を含有しないことが、乾燥性を向上することができる点、溶剤により劣化しやすい基材にも適用可能となる点、及び溶剤の揮発による臭気の発生を防止することができる点で好ましく、溶剤の含有量は本発明の立体造形用組成物全量(100重量%)の10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物と光又は熱重合開始剤以外にも必要に応じて他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、周知慣用の増感剤(例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、レーザ色素類等)、増感助剤、酸化防止剤、アミン類等の安定化剤、色材(顔料、染料等)、分散剤、溶剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、充填剤、難燃剤等が挙げられる。
特に、本発明の立体造形用組成物が光重合開始剤を含有する組成物であり、且つ上記組成物をUV−LEDを照射して硬化させる場合には、増感剤、及び必要に応じて増感助剤を含有することが、光重合開始剤の光吸収率を向上して硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、本発明の立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、増感剤としては、例えば、下記式(d-1)で表される化合物と下記式(d-2)で表される化合物を併用すると、得られる硬化物の着色を極めて低く抑制しつつ、硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの化合物の併用割合[式(d-1)で表される化合物/式(d-2)で表される化合物;重量比]は、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.1〜0.5、特に好ましくは0.2〜0.5である。
尚、下記式(d-1)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−1331」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。また、下記式(d-2)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−581」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。
Figure 2020117645
(色材)
本発明の立体造形用組成物は、更に色材を含有することが好ましい。色材には顔料及び染料が含まれる。尚、色材を含有しない場合は、クリアインクとして使用することができる。
<顔料>
上記顔料としては、一般に顔料として知られている色材であって、本発明の立体造形用組成物中に分散可能なものであれば、特に制限なく使用することができる。顔料の平均粒子径は、例えば300nm以下であることが吐出性、インク飛翔性、及び印字再現性に優れる点で好ましい。上記顔料は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記顔料は、発色・着色性に加えて、磁性、蛍光性、導電性、又は誘電性等を併せて有するものであってもよい。この場合には、画像に様々な機能を付与することができる。
使用可能な上記顔料としては、例えば、土製顔料(例えば、オーカー、アンバー等)、ラピスラズリ、アズライト、白亜、胡粉、鉛白、バーミリオン、ウルトラマリン、ビリジャン、カドミウムレッド、炭素顔料(例えば、カーボンブラック、カーボンリファインド、カーボンナノチューブ等)、金属酸化物顔料(例えば、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄等)、金属硫化物顔料(例えば、硫化亜鉛等)、金属硫酸塩、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属粉末(例えば、アルミニウム粉末、ブロンズ粉末、亜鉛粉末等)等の無機顔料;不溶性アゾ顔料(例えば、モノアゾイエロー、モノアゾレッド、モノアゾバイオレット、ジスアゾイエロー、ジスアゾオレンジ、ピラゾロン顔料等)、溶性アゾ顔料(例えば、アゾイエローレーキ、アゾレーキレッド等)、ベンズイミダゾロン顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、縮合アゾ顔料、キナクリドン顔料(例えば、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等)、ペリレン顔料(例えば、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等)、ペリノン顔料(例えば、ペリノンオレンジ等)、イソインドリノン顔料(例えば、イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等)、イソインドリン顔料(例えば、イソインドリンイエロー等)、ジオキサジン顔料(例えば、ジオキサジンバイオレット等)、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料(例えば、キノフタロンイエロー等)、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料(例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等)、染料レーキ顔料等の有機顔料;無機蛍光体や有機蛍光体等の蛍光顔料等が挙げられる。
<染料>
上記染料としては、例えば、ニトロアニリン系、フェニルモノアゾ系、ピリドンアゾ系、キノフタロン系、スチリル系、アントラキノン系、ナフタルイミドアゾ系、ベンゾチアゾリルアゾ系、フェニルジスアゾ系、チアゾリルアゾ系染料等が挙げられる。
上記色材(顔料及び/又は染料)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
(分散剤)
本発明の立体造形用組成物は、上記色材の分散性を向上するために分散剤を含有することが好ましい。
上記分散剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、帯電剤、高分子系分散剤(例えば、商品名「Solsperse24000」、「Solsperse32000」、以上アビシア社製、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」、「アジスパーPB824」、「アジスパーPB881」、「アジスパーPN411」、「アジスパーPN411」、以上味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の立体造形用組成物が色材を含有する場合、色材と共に分散剤を含有することが、色材の分散性を向上することができる点で好ましく、上記分散剤の含有量は、色材(顔料及び/又は染料)100重量部に対して、例えば1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜10重量部である。
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物、光又は熱重合開始剤、及び必要に応じて他の成分を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
本発明の立体造形用組成物の表面張力(30℃、1気圧下における)は、例えば10〜50mN/m程度であり、好ましくは15〜40mN/m、特に好ましくは15〜30mN/m、最も好ましくは18〜30mN/mである。
本発明の立体造形用組成物の粘度[25℃、せん断速度100(1/s)における]は、例えば1〜1000mPa・s程度であり、上限は、好ましくは500mPa・s、より好ましくは100mPa・s、特に好ましくは50mPa・s、とりわけ好ましくは30mPa・sである。また、下限は、好ましくは3mPa・s、特に好ましくは5mPa・s、最も好ましくは10mPa・sである。本発明の立体造形用組成物の粘度が上記範囲内であると、流動性に優れ、例えばインクジェット印刷機を用いて吐出(若しくは、噴出)する場合は吐出性に優れるため好ましい。
また、本発明の立体造形用組成物は、酸素や水分の存在下でも、光照射又は加熱処理を施すことにより速やかに硬化して硬化物を形成することができる。そのため、保存過程において空気中の水分を取り込んでも硬化性が損なわれることがない。すなわち、保存安定性に優れる。また、光又は熱硬化型インクジェット用インクとして使用した場合は、滲みや臭気の発生を防止することができ、印字品質に優れたインク被膜を形成することができる。
光照射により硬化物を形成する場合、光源としては、光を照射することにより、本発明の立体造形用組成物中に酸を発生させることができる光源であればよく、例えば、UV−LED、低、中、又は高圧水銀ランプのような水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等を使用することができる。光照射量(積算光量)は、例えば10〜5000mJ/cm程度である。
本発明の立体構造用組成物は、光を照射した後に、更に加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、硬化度をより一層向上させることができる。加熱処理を施す場合、加熱温度は40〜200℃程度であり、加熱時間は1分〜15時間程度である。また、紫外線を照射した後に、室温(20℃)で1〜48時間程度静置することでも硬化度を向上させることができる。
加熱処理により硬化物を形成する場合、加熱温度は40〜250℃程度、加熱時間は5分〜24時間程度である。加熱温度及び時間は上記範囲内において適宜調整することができ、加熱温度が高い場合は加熱時間が短く、加熱温度が低い場合には加熱時間を長くすることが好ましい。
本発明の立体造形用組成物の硬化物の基材への密着性(JIS K 5600−5−6に準拠)は6段階分類試験において、例えば分類0〜2である。
[硬化物の形成条件]
25±5℃、空気雰囲気下、紙、プラスチック、金属、及びガラスから選択される少なくとも1種の基材上に、厚み5μmの塗膜を前記立体造形用組成物により形成し、該塗膜を波長365nmの紫外線を積算光量500mJ/cmの条件で照射することにより、硬化物を形成する。
本発明の立体造形用組成物の硬化物は、紙、プラスチック、金属、及びガラスから選択される少なくとも1種の基材に対しても優れた密着性を示す。具体的には、紙としては、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、和紙等;プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂等;金属としては、アルミニウム箔、銅箔、SUS板等;各種ガラス;
その他にも天然ゴム、ブチルゴム、発泡体(例えば、ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等)、木材、織布、不織布、布、シリコンウェハ、セラミック等及びこれらの複合体等が挙げられる。従来、ガラスや金属に硬化物を密着させるためには、ガラスや金属表面に予め前処理(例えば、プライマー処理等)を施す必要があったが、本発明の立体造形用組成物を使用する場合は前処理を施す必要がなく、直接ガラスや金属に塗布し、硬化させることで密着性に優れた硬化物が形成できるので、極めて作業性に優れる。
更に、本発明の立体造形用組成物は、高硬度(鉛筆硬度(JIS K5600−5−4準拠)は、例えばB以上、好ましくはH以上、特に好ましくは2H以上である)を有する硬化物を形成することができる。
更にまた、本発明の立体造形用組成物の硬化物は耐熱性に優れ、硬化物のガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、例えば70℃以上、好ましくは80℃以上である。尚、上限は、例えば150℃である。尚、硬化物のガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)は、例えば、DSC、TGA等の熱分析や動的粘弾性測定により測定できる。そのため、本発明の立体造形用組成物は、車載機器にも使用可能である。
本発明の立体造形用組成物は、硬化の際の収縮が極めて小さいため、寸法安定性に優れた硬化物を形成することができる。そのため、本発明の立体造形用組成物を、例えば3Dプリンター等を用いて塗布することによって、三次元の立体構造を有する硬化物の形成に使用した場合、所望の形状を有する硬化物を極めて精度よく形成することができる。また上記硬化物表面に本発明の立体造形用組成物を塗布し硬化する操作を繰り返して硬化物の積層体を形成することができ、高さを有する立体造形物を形成することができる。
本発明の立体造形用組成物によれば、種々の方法で立体造形物を形成することができる。例えば、インクジェット法により立体造形物を製造する場合、立体造形物の断面形状にインクを塗布してインク被膜を形成し、形成されたインク被膜を硬化し、硬化されたインク被膜の表面に更にインク被膜を形成する工程を繰り返して、インク被膜の硬化物を積み重ねることで厚みがある立体造形物を形成することができるが、インク被膜が硬化によって反りを生じる場合、インク被膜を積層して立体造形物を形成することが困難となる。しかし、本発明の立体造形用組成物は低硬化収縮性を有し、寸法安定性に優れるため、インク被膜が硬化によって反りを生じることがなく、インク被膜を積層して精度よく立体造形物を形成することができる。
従って、本発明の立体造形用組成物は点字印刷物や厚膜印刷物等を製造する用途に好適に使用することができる。すなわち、本発明の立体造形用組成物は、好ましくは点字印刷用組成物又は厚膜印刷用組成物である。
本発明の立体造形用組成物は、とりわけ、インクジェット法により立体造形物(例えば、点字印刷物や厚膜印刷物等)を製造する用途に好適に使用することができる。すなわち、本発明の立体造形用組成物は、好ましくは、点字印刷用インク(点字印刷用インクジェットインク)、又は厚膜印刷用インク(厚膜印刷用インクジェットインク)である。
そして、本発明の立体造形用組成物をインクジェット法により立体造形物を製造する用途に使用すれば、インクジェット法は金型を使用せず、コンピューター上で作成した設計図に基づいて印字することによって造形物を形成するため、要望に応じて細かな変更を加えることが容易であり、オンデマンド製造に対応することができる。一方、金型等を用いる成型方法(例えば、射出成形法等)により立体造形物を製造する場合、金型の製造コストが嵩むことから、オンデマンド製造に対応することは困難である。
[立体造形物、及びその製造方法]
本発明の立体造形物は、上記立体造形用組成物の硬化物から成る。本発明の立体造形物は上記硬化物以外にも他の構成要素(例えば、コーティング層等)を備えていてもよい。
本発明の立体造形物の製造方法は特に制限が無い。例えば、上記立体造形用組成物の硬化物に切削等を施すことにより製造してもよく、上記立体造形用組成物を金型成形することにより製造してもよいし、更に、インクジェット方式による三次元プリンター等を使用して製造してもよい。
上記立体造形物の形状、厚みは、用途に応じて適宜調整することができる。
本発明の立体造形物には、厚膜印刷物や、点字印刷物(例えば、点字ブロック、点字タイル等の足裏の触感覚で認識するもの;階段や手すり等に設ける点字表示版等の指先の触感覚で認識するものが含まれる)が含まれる。
本発明の立体造形物は上記立体造形用組成物の硬化物から成るため、低硬化収縮性を有し、寸法安定性に優れる。また、高硬度(鉛筆硬度(JIS K5600−5−4準拠)は、例えばB以上である)を有し、傷が付きにくい(すなわち、耐擦傷性に優れる)。
[構造物、及びその製造方法]
本発明の構造物は、基材表面に上記立体造形物が固着した構成を有する。従って、本発明の構造物は、基材部分と立体造形物部分から成る。
本発明の構造物には、例えば、基材表面に厚膜印刷物が固着したものや、基材表面に転じ印刷物が固着したものが含まれる。
本発明の構造物は、例えば、インクジェット方式で、基材表面に、上記立体造形用組成物を吐出して塗膜を形成し、その後、塗膜を硬化させる工程を経て製造することができる。塗膜を硬化させる方法としては、本発明の立体造形用組成物と同様の方法、すなわち、光照射又は加熱処理を施す方法が採用できる。
[塗膜形成−硬化]の操作は、1回で十分な厚みが得られない場合は、目的とする立体造形物の厚みとなるまで、繰り返し行うことが好ましい。詳細には、上記立体造形用組成物を、目的とする立体造形物の断面形状に吐出して塗膜を形成し、その後形成された塗膜を硬化させる工程を繰り返すことにより、塗膜の硬化物を積み重ねて、所望の厚みの立体造形物を形成することが好ましい。
本発明の構造物の形状、厚みは、用途に応じて適宜調整することができる。
基材としては、上述の基材を特に制限されることなく使用することができる。
本発明の構造物において、上記立体造形用組成物の硬化物から成る立体造形物部分は、基材に対して(プラスチックはもちろん、金属やガラスに対しても)優れた密着性を有する。基材に対する密着性は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6に準拠)による6段階分類試験において、例えば分類0〜2である。
また、本発明の立体造形用組成物は速硬化性を有するため、本発明の構造物(例えば、基材表面に、上記立体造形用組成物の硬化物から成る印字や塗膜を有する構造物)を、効率よく製造することができる。
更に、本発明の構造物は、本発明の立体造形用組成物を用いて形成されるため、低硬化収縮性を有し、寸法安定性に優れる。更に、高硬度(鉛筆硬度(JIS K5600−5−4準拠)は、例えばB以上である)を有し、傷が付きにくい(すなわち、耐擦傷性に優れる)。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して、インクを得た。得られたインクの25℃、せん断速度100(1/s)における粘度を、E型粘度計(商品名「VISCOMETER TV-25」、東機産業(株)製)を用いて測定したところ、22.6mPa・sであった。
実施例2〜30、比較例1〜3
表1(単位は重量部)に記載の通りに処方を変更した以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
実施例31
表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して、インクを得た。得られたインクの25℃、せん断速度100(1/s)における粘度は23mPa・s、45℃、せん断速度100(1/s)における粘度は8.7mPa・s、30℃、1気圧下における表面張力は32.1mN/mであった。また、得られたインクを50℃で2週間貯蔵した後の25℃、せん断速度100(1/s)における粘度も23mPa・sであり、貯蔵安定性を有することがわかった。更に、得られたインクは湿度によって硬化感度が低下することが無く、湿度50〜66%環境下でも速硬化性を発揮して、365nmLEDを使用して紫外線照射を行ったところ、積算光量約600mJ/cmで硬化した。
実施例32
表1(単位は重量部)に記載の実施例31の処方に、白色顔料(酸化チタン)を20重量部添加して、インクを得た。得られたインクの25℃、せん断速度100(1/s)における粘度は33.4mPa・s、45℃、せん断速度100(1/s)における粘度は8.13.2mPa・s、30℃、1気圧下における表面張力は28.3mN/mであった。
(密着性評価)
実施例及び比較例で得られたインクをガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子社製)、アルミニウム板(商品名「A1050P」、アズワン社製)、及びSUS板(商品名「SUS304」、アズワン社製)に塗布し(塗膜厚み:5μm)、空気雰囲気下、光源としてLED照射器を使用して365nmの光を照射して硬化物/基材積層体を得た。
得られた積層体を、密着性試験(クロスカット法;JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠)に付し、6段階分類試験によって密着性を評価した。結果を表1に示す。
(硬度評価)
ガラス基材に、実施例又は比較例で得られたインクを、バーコーターを用いて約10μm厚みに塗布し、LED照射器を用いて365nmの光を、タック性がなくなるまで照射して硬化させ、硬化物/基材積層体を得た。得られた積層体には、更に、オーブンを使用して、80℃の温度で30分間加熱処理を施した。これをサンプルとして使用した。
サンプルの硬化物表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184)に準拠した方法で測定した。結果を表1に示す。
(寸法安定性評価)
実施例及び比較例で得られた接着剤を、基材としてのPET基材(サイズ:縦×横=1cm×7cm、厚み:100μm)に塗布し(塗膜厚み:10μm)、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を、タック性がなくなるまで照射して硬化物/PET基材積層体を得た。
得られた硬化物/PET基材積層体(サイズ:縦×横=1cm×7cm)を試験片とし、これを水平面に置き、試験片の短辺の一方を押さえた際に短辺のもう一方が水平面から浮く量を測定し、下記基準で耐カール性を評価した(図1)。結果を表1に示す。尚、浮き量が少ない方が耐カール性に優れる。
◎:浮き量が1mm未満
○:浮き量が1mm以上、2mm未満
△:浮き量が2mm以上、5mm未満
×:浮き量が5mm以上
Figure 2020117645
尚、表中の略号を以下に説明する。
<化合物(I)>
HEVE:エチレングリコールモノビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
DEGMVE:ジエチレングリコールモノビニルエーテル
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−101」、東亞合成(株)製
<化合物(b)>
1,6−HDGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
1,4−BDGE:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
1,2−EDGE:エチレングリコールジグリシジルエーテル
NPGDGE:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
YH300:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
<その他のカチオン重合性化合物>
ISBDVE:イソソルビドジビニルエーテル、商品名「ISB−DVE」、(株)ダイセル製
ONBDVE:オキサノルボルネンジビニルエーテル
CHDVE:1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル
2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
b’−1:(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル
2−EHVE:2−エチルヘキシルビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
OXT212:3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、商品名「アロンオキセタン OXT−212」、東亞合成(株)製
OXT221:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、商品名「アロンオキセタン OXT−221」、東亞合成(株)製
<ラジカル重合性モノマー>
DCPA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
<光カチオン重合開始剤>
CPI−110P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスファート及びチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム) ビス(ヘキサフルオロホスファート)の混合物(99.5/0.5)、商品名「CPI−110P」、サンアプロ(株)製
<増感剤>
UVS1331:9,10−ジブトキシアントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−1331」、川崎化成工業(株)製
UVS581:9,10−ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−581」、川崎化成工業(株)製
実施例31、32、及び比較例3で得られたインクについて、更に、以下の評価を行った。
(寸法安定性評価)
インクを、100μm厚みのPETフィルムに塗布して硬化させ、薄膜硬化物(縦×横×厚み=2cm×10cm×100μm)を得、これを試験片とした。
平面上に、上記試験片の一方の短辺を固定して、他方の短辺の平面からの距離を測定してこれを反り量とした。反り量が小さい方が寸法安定性に優れる。
(造形性評価)
インクジェットヘッド(一滴:42pL)を用いて、インクを100滴吐出して塗膜を形成し、得られた塗膜に紫外線を照射(UV照射量:500mJ/cm)して硬化させ、これを1層目とした。その後、インクの吐出と硬化を繰り返し、計10層を積層した。直径0.5mm、高さ0.5mmの円柱状の立体造形物が得られた場合は造形性良好(○)、上記立体造形物が得られなかった場合は造形性不良(×)と評価した。結果を表2に示す。
(点字の精度評価)
JIS T9253に準拠した以下の方法で、点字の精度を評価した。
インクを、インクジェットヘッドから紙上(商品名「サテン金藤」、王子製紙(株)製)に吐出し、紫外線を照射(UV照射量:500mJ/cm)する操作を繰り返して、点字印刷物(目標形状:底面直径1.45mm、中心高さ0.4mm)を形成した(n=10)。得られた点字印刷物(n=10)の最大高さと最大幅をマイクロメーターを用いて測定した。結果を表2に示す。
(点字の密着性評価)
インクをインクジェットヘッドから基材上に吐出し、紫外線を照射(UV照射量:500mJ/cm)する操作を繰り返して、点字印刷物(目標形状:底面直径1.45mm、中心高さ0.4mm)を造形した。尚、基材として、紙、PET、ガラス板(商品名「S9112」、松浪硝子社製)、アルミニウム板(商品名「A1050P」、アズワン社製)、及びSUS板(商品名「SUS304」、アズワン社製)を使用した。
得られた点字印刷物の基材への密着性を、以下の方法で評価した。
粘着テープ(商品名「ニチバンテープ1号」、ニチバン(株)製)を前記点字印刷物の上に貼り付けて引き剥がし、剥離の有無を評価した。結果を表2に示す。
[評価基準]
○:点字部分の引き剥がしによる、印刷部の剥離なし
×:点字部分の引き剥がしによる、印刷部の剥離あり
Figure 2020117645
(評価)
上記表1、2より、本発明に係る立体造形用組成物をインクジェット方式で塗布すれば、酸素の存在下でも速やかに硬化して、高い硬度を有する立体造形物が得られることがわかる。また、紙、PET、ガラス、アルミ、又はステンレスの何れにおいても良好な密着性を示したことから、基材の種類を問わず、密着性に優れた立体造形物を製造することができることがわかる。また、JIS T9253に規定される点字の1点の直径は 1.45±0.05mm、1点の高さは0.4±0.1mmであるところ、実施例31及び実施例32のインクによれば、JIS規格を満たす高精度の点字印刷物が得られることがわかる。一方、比較例3のインクは、寸法安定性、造形性、点字印刷物の何れにおいても、実施例31及び実施例32よりも劣っていた。また基材上に立体造形物を形成することができないため、密着性は評価不能(表2中「−」と記す)であった。この結果から、本発明の立体造形用組成物は、寸法安定性に優れる高品質の立体造形物を、精度よく製造できることがわかる。
従って、本発明の立体造形用組成物は、インクジェットインクとして好適であり、立体造形物(例えば、厚膜印刷物、点字印刷物等)製造用インクジェットインクとして好適である。
1 試験片
2 反り量
3 水平面

Claims (14)

  1. 下記カチオン重合性化合物と、光又は熱重合開始剤とを含有する、立体造形用組成物。
    カチオン重合性化合物:1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物、及び下記式(b)
    Figure 2020117645
    (式中、Rは、s価の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基、又は2個以上の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは2以上の整数を示す)
    で表される化合物を少なくとも含有し、
    前記1分子中にビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を少なくとも1個と、水酸基を少なくとも1個有する化合物の含有量はカチオン重合性化合物全量の10重量%以上であり、
    前記式(b)で表される化合物の含有量はカチオン重合性化合物全量の5重量%以上である。
  2. カチオン重合性化合物として、更に、下記式(b’)
    Figure 2020117645
    (式中、Xは単結合又は連結基を示す)
    で表される化合物をカチオン重合性化合物全量の20重量%以上含有する、請求項1に記載の立体造形用組成物。
  3. 1分子中に、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1個有し、且つ水酸基を有さない化合物の含有量がカチオン重合性化合物全量の30重量%未満である、請求項1又は2に記載の立体造形用組成物。
  4. 増感剤、又は増感剤と増感助剤とを含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  5. 色材を含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  6. 分散剤を含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の立体造形用組成物の硬化物。
  8. 紙、プラスチック、金属、及びガラスから選択される少なくとも1種の基材上への密着性(JIS K 5600−5−6に準拠)が6段階分類試験において、分類0〜2である硬化物。
  9. 請求項7又は8に記載の硬化物から成る立体造形物。
  10. 厚膜印刷物若しくは点字印刷物である請求項9に記載の立体造形物。
  11. 基材表面に請求項9又は10に記載の立体造形物が固着した構造物。
  12. インクジェット方式で、基材表面に、請求項1〜6の何れか1項に記載の立体造形用組成物を吐出し、その後、吐出された立体造形用組成物を硬化させる工程を経て、基材表面に前記立体造形用組成物の硬化物から成る立体造形物が固着した構造物を得る構造物の製造方法。
  13. 請求項1〜6の何れか1項に記載の立体造形用組成物を含む厚膜印刷用インク。
  14. 請求項1〜6の何れか1項に記載の立体造形用組成物を含む点字印刷用インク。
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