JP2020097692A - 立体造形用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】反りを抑制しつつ速硬化して、基材密着性に優れた立体造形物を製造できる組成物を提供する。
【解決手段】カチオン重合性化合物と重合開始剤とを含有し、前記カチオン重合性化合物は、下記化合物(a-1)及び/又は化合物(a-2)、カチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(2B)、カチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(3B)、及び2,2’−ジオキセタニルジブチルエーテルを少なくとも含有する。
Figure 2020097692

【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形用組成物に関する。前記組成物はインクジェット方式によって立体造形物を製造する用途に好適に使用される
近年、硬化性組成物をインクジェット方式で吐出して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて薄膜硬化物を得、得られた薄膜硬化物上に更に塗膜を形成するという作業を繰り返すことにより薄膜硬化物を積層して立体造形物を製造する方法が知られている。この方法によれば、金型を作成する必要がないので形状の変更が容易であり、目的とする立体構造物を小ロットでも安価に製造することができる。そのため、例えば、医療器具の分野では、個々の患者に合わせた製品を作成するためにこの方法が用いられている。
インクジェット方式で吐出する硬化性組成物としては、アクリル系樹脂が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、アクリル系樹脂等のラジカル硬化性組成物は酸素により硬化が阻害され易く、特にインクジェット方式では硬化性組成物を小さな液滴の状態で吐出するため酸素による硬化阻害が顕著であり、臭気の原因となる未反応モノマーが多く残留することが問題であった。また、硬化収縮が大きく、硬化物に反りが生じ易いため、立体造形物を精度良く製造することが困難であった。さらに、基材密着性が低いことも問題であった。
特開2015−38166号公報
一方、カチオン硬化性組成物は酸素による硬化阻害を受けることがない。また、ラジカル硬化性組成物に比べて低硬化収縮性であり、且つ基材密着性に優れる。しかし、カチオン硬化性組成物は、含有するモノマーによっては水分による硬化阻害を受けやすく、例えば、環状エーテル骨格を有するビニルエーテル化合物は水分を吸収しやすいため、多く含有すると、湿度が高い時期に使用した場合や、保存過程で空気中の水分を取り込んだ場合に硬化不良が生じるため実用に適さないことがわかった。
従って、本発明の目的は、酸素や水分の存在下でも速やかに且つ反りを抑制しつつ硬化して、基材密着性に優れた立体造形物を精度良く製造できる立体造形用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、酸素や水分の存在下でも速やかに且つ反りを抑制しつつ硬化して、基材密着性及び耐薬品性に優れた立体造形物を精度良く製造できる立体造形用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記立体造形用組成物の硬化物からなる立体造形物が基材表面に固着した構造物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記構造物の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のカチオン重合性化合物を特定の割合で含有するカチオン硬化性組成物は、優れた硬化感度を有し、光照射又は加熱処理を施すことにより、酸素や水分の存在下でも速やかに、且つ反りを抑制しつつ硬化して、高硬度で、基材に対して優れた密着性を有する硬化物を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記カチオン重合性化合物と、光又は熱重合開始剤とを含有する立体造形用組成物を提供する。
カチオン重合性化合物:下記式(a-1)及び/又は(a-2)
Figure 2020097692
で表される化合物、カチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(2B)、カチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(3B)、及び下記式(c-1)
Figure 2020097692
で表される化合物を少なくとも含有し、
前記式(a-1)で表される化合物と前記式(a-2)で表される化合物の合計含有量がカチオン重合性化合物全量の1〜20重量%であり、
前記化合物(2B)/化合物(3B)の含有量の比が0.1〜3.0であり、
前記式(c-1)で表される化合物の含有量がカチオン重合性化合物全量の5〜95重量%である。
本発明は、また、化合物(2B)と化合物(3B)の合計含有量がカチオン重合性化合物全量の10〜50重量%である前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、化合物(2B)が、下記式(2b-1)
Figure 2020097692
(式中、Xは単結合又は連結基を示す)
で表される化合物である前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、化合物(3B)がグリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)である前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1分子中に1個のみ有する化合物の含有量がカチオン重合性化合物全量の30重量%以下である前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、増感剤、又は増感剤と増感助剤とを含有する前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、色材を含有する前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、分散剤を含有する前記立体造形用組成物を提供する。
本発明は、また、前記立体造形用組成物の硬化物を提供する。
本発明は、また、前記硬化物から成る立体造形物を提供する。
本発明は、また、厚膜印刷物若しくは点字印刷物である前記立体造形物を提供する。
本発明は、また、基材表面に前記立体造形物が固着した構造物を提供する。
本発明は、また、インクジェット方式で、基材表面に、前記立体造形用組成物を吐出し、その後、吐出された立体造形用組成物を硬化させる工程を経て、基材表面に前記立体造形用組成物の硬化物からなる立体造形物が固着した構造物を得る構造物の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記立体造形用組成物を含む厚膜印刷用インクを提供する。
本発明は、また、前記立体造形用組成物を含む点字印刷用インクを提供する。
本発明の立体造形用組成物は、光照射又は加熱処理を施す前は低粘度で塗布性若しくは吐出性に優れ、光照射又は加熱処理を施すことにより、酸素や水分の存在下でも速やかに硬化して、高硬度で、基材密着性に優れた硬化物を形成することができる。また、前記立体造形用組成物は、保存過程において空気中の水分を取り込んでも硬化性が損なわれることがない。すなわち、保存安定性に優れる。更に、前記立体造形用組成物は硬化性に優れるため、未反応モノマーの残留を抑制することができ、未反応モノマーが原因の臭気の発生を著しく低減することができる。
そして、本発明の立体造形用組成物は低硬化収縮性であり、硬化物に反りが発生するのを抑制することができ、薄膜の硬化物を積層して厚膜の立体造形物を形成するのに適している。そのため、本発明の立体造形用組成物を使用すれば、所望の形状の立体造形物を精度良く製造することができる。
更に、前記硬化物は耐薬品性にも優れる。そのため、本発明の立体造形用組成物を使用すれば、耐薬品性に優れた立体造形物を製造することができる。
本発明の立体造形用組成物をインクジェットインクとして使用すれば、空気雰囲気下で、湿度条件や被印刷物を限定することなく、臭気を発生することなく、且つ反りを発生することなく、非常に高精細、高硬度で、且つ耐薬品性に優れ、薬品で払拭しても消えにくいインク被膜を形成することができる。そのため、本発明の立体造形用組成物は、特に、インクジェット方式で立体造形物(例えば、厚膜印刷物、点字印刷物等)を製造する用途に好適に使用することができる。
[立体造形用組成物]
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物と光又は熱重合開始剤とを含有する。
(カチオン重合性化合物)
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物として、ビニルエーテル化合物(A)、エポキシ化合物(B)、及びオキセタン化合物(C)を含有する。そして、前記ビニルエーテル化合物(A)は、式(a-1)及び/又は(a-2)で表される化合物を含有し、前記エポキシ化合物(B)は、カチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(2B)と、カチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(3B)を含有し、オキセタン化合物(C)は、上記式(c-1)で表される化合物を含有する。
本発明の立体造形用組成物は、上記化合物以外にも他のカチオン重合性化合物(カチオン重合性基として、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択される基を1種又は2種以上含有する化合物)を含有していてもよい。
<ビニルエーテル化合物(A)>
本発明における化合物(A)は、カチオン重合性基としてビニルエーテル基を1分子中に少なくとも1個有する化合物(エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物を除く)である。
前記化合物(A)は、下記式(a-1)で表される化合物(=化合物(a-1))及び下記式(a-2)で表される化合物(=化合物(a-2))から選択される少なくとも1つを含む。
Figure 2020097692
上記化合物(a-1)及び化合物(a-2)は、公知の方法を利用して製造することができる。例えば、上記化合物(a-1)は、遷移金属化合物の存在下、2−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンと、ビニルエステル化合物(例えば、プロピオン酸ビニル)とを反応させることにより製造することができる。また、化合物(a-2)(=イソソルビドジビニルエーテル)は、2−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンに代えてイソソルビドを使用する以外は上記と同様の方法により製造することができる。
本発明の立体造形用組成物は、上記化合物(a-1)、化合物(a-2)以外のビニルエーテル化合物(以後、「他の化合物(A)」と称する場合がある)を含有していてもよい。他の化合物(A)としては、例えば、下記式(a-3)で表される化合物が挙げられる。
R−(O−CH=CH2t (a-3)
(式中、Rは、t価の炭化水素基、複素環式基、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した基を示し、tは1以上の整数を示す)
前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれる。
1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等が挙げられる。t価(t≧2)の脂肪族炭化水素基としては、前記1価の脂肪族炭化水素基の構造式から更に(t−1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基を構成する脂環には、単環式炭化水素環及び多環式炭化水素環が含まれ、前記多環式炭化水素環には、スピロ炭化水素環、環集合炭化水素環、架橋環式炭化水素環、縮合環式炭化水素環、架橋縮合環式炭化水素環が含まれる。t価の脂環式炭化水素基としては、前記脂環の構造式からt個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のC3-12シクロアルカン環;シクロペンテン、シクロヘキセン等のC3-12シクロアルケン環等が挙げられる。
前記スピロ炭化水素環としては、例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン等のC5-16スピロ炭化水素環等が挙げられる。
前記環集合炭化水素環としては、例えば、ビシクロヘキサン等のC5-12シクロアルカン環を2個以上含む環集合炭化水素環等が挙げられる。
前記架橋環式炭化水素環としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘプテン、ビシクロオクタン(ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン等)等の2環式炭化水素環;ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン等の3環式炭化水素環;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン等の4環式炭化水素環等が挙げられる。
前記縮合環式炭化水素環としては、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環が挙げられる。
前記架橋縮合環式炭化水素環には、ジエン類の二量体(例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等のシクロアルカジエンの二量体)や、その水素添加物等が挙げられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の芳香族炭化水素基が挙げられる。t価(t≧2)の芳香族炭化水素基としては、前記1価の芳香族炭化水素基の構造式から更に(t−1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
上記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
前記複素環式基を構成する複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等が挙げられる。上記複素環式基は、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等を有していてもよい。t価の複素環式基としては、前記複素環の構造式からt個の水素原子を除いた基が挙げられる。
前記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、シリル結合(−Si−)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
前記tは1以上の整数であり、例えば1〜20、好ましくは1〜10である。
他の化合物(A)の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、tert−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、エトキシメチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル、2−ブトキシエチルビニルエーテル、アセトキシメチルビニルエーテル、2−アセトキシエチルビニルエーテル、3−アセトキシプロピルビニルエーテル、4−アセトキシブチルビニルエーテル、4−エトキシブチルビニルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ブチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ノルボルネニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の立体造形用組成物は、なかでも、他の化合物(A)として、脂肪族骨格を有するビニルエーテル化合物[例えば、式(a-3)中のRが脂肪族炭化水素基、又は2個以上の脂肪族炭化水素基が連結基(例えば、エーテル結合)を介して結合した基であるビニルエーテル化合物]を含有することが、速硬化性を有し、強靭性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。
上記化合物(a-1)、化合物(a-2)、及び前記脂肪族骨格を有するビニルエーテル化合物の含有量の和は、本発明の立体造形用組成物に含まれる化合物(A)全量の例えば70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
<エポキシ化合物(B)>
本発明における化合物(B)は、カチオン重合性基としてエポキシ基を1分子中に少なくとも1個有する化合物である。前記化合物(B)は、カチオン重合性基としてエポキシ基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、ビニルエーテル基、オキセタニル基等)を有していてもよい。
本発明の立体造形用組成物は、化合物(B)として、カチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(2B)と、カチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(3B)とを含有する。
本発明の立体造形用組成物は、化合物(B)として、上記化合物(2B)と化合物(3B)以外にも、カチオン重合性基としてエポキシ基を1分子中に1個有し、エポキシ基以外にカチオン重合性基を有さない化合物を含有していてもよい。
前記エポキシ基には、下記式(e-1)で表されるシクロヘキセンオキシド基などの、脂環(例えば、3〜8員の脂環)を構成する隣接する2個の炭素原子と、酸素原子とで構成される基(以後、「脂環式エポキシ基」と称する場合がある)や、下記式(e-2)で表されるエチレンオキシド基が含まれる。下記式中、R1は水素原子又はC1-3アルキル基を示す。
Figure 2020097692
前記化合物(2B)はカチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって、前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物であり、なかでもエポキシ基を1分子中に2個有する化合物(2B’)が好ましく、特に好ましくは脂環式エポキシ基を1分子中に2個有する化合物(2b)、最も好ましくはシクロヘキセンオキシド基を1分子中に2個有する化合物(2b’)である。
前記化合物(2B)は、下記式(2b-1)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2020097692
上記式(2b-1)中、Xは単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−O−CO−O−)、アミド結合(−CONH−)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(2b-1)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基が結合していても良く、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基、C6-14アリールオキシ基、C7-18アラルキルオキシ基、C1-10アシルオキシ基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、C1-10アシル基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基、オキソ基等が挙げられる。
上記式(2b-1)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(2b-1-1)〜(2b-1-8)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(2b-1-5)中のLは炭素数1〜8のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基)を示す。また、下記式(2b-1-5)、(2b-1-7)中のn1、n2は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2020097692
前記化合物(2B)は、上記式(2b-1)で表される化合物以外にも、例えば、エチレンオキシド基又は脂環式エポキシ基を1分子中に1個と、ビニルエーテル基又はオキセタニル基を1分子中に1個有する化合物;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のエチレンオキシド基(特に、グリシジルエーテル基)を1分子中に2個有する化合物;1,2:8,9−ジエポキシリモネン等のエチレンオキシド基と脂環式エポキシ基とを1分子中に1個ずつ有する化合物等を1種又は2種以上含んでいても良い。
前記化合物(2B)としては、なかでも、高硬度で基材密着性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成することができる点で、化合物(2b)を、化合物(2B)全量の例えば70重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
また、前記化合物(2B)は、得られる硬化物の耐薬品性(特に、耐アルカリ性)を更に向上させることができる点で、上記式(2b-1)で表される化合物を、化合物(2B)全量の例えば50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上、とりわけ好ましくは95重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
前記化合物(3B)はカチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって、前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物であり、なかでもエポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物(3B’)が好ましく、特にエチレンオキシド基を1分子中に3個以上有する化合物(3b)が好ましく、とりわけグリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)が好ましい。
前記化合物(3b’)は、例えば下記式(3b-1)で表される。
Figure 2020097692
(式中、R’は、s価の炭化水素基、又は2個以上の炭化水素基がエーテル結合を介して結合したs価の基を示し、sは3以上の整数を示す)
R’における炭化水素基としては、上記式(a-3)中のRと同様の例が挙げられる。sは3以上の整数を示し、例えば3〜6の整数が好ましい。尚、R’における炭化水素基は種々の置換基を有していてもよく、前記置換基としては、上記式(a-3)中のRが有していてもよい置換基と同様の例が挙げられる。その他、ビニルエーテル基含有基、オキセタニル基含有基も挙げられる。
前記化合物(3b’)としては、例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、前記化合物(3B)には、上記化合物(3b)(特に、化合物(3b’))以外にも、例えば、脂環式エポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物や、グリシジルエーテル基等のエチレンオキシド基と脂環式エポキシ基とを1分子中に合計3個以上有する化合物等を含有していても良いが、上記化合物(3b)(特に、化合物(3b’))の含有量は、化合物(3B)全量の例えば70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
前記脂環式エポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物としては、例えば、下記式(3b-2)で表される化合物や下記式(3b-3)で表される化合物等の、ポリエステル骨格若しくはポリカプロラクトン骨格を有する脂環式エポキシ化合物や、下記式(3b-4)で表される化合物等の、脂環式エポキシ変性シロキサン化合物等が挙げられる。尚、下記式(3b-2)、(3b-3)中のn3〜n8は、同一又は異なって1〜30の整数を示す。
Figure 2020097692
<オキセタン化合物(C)>
本発明における化合物(C)は、カチオン重合性基としてオキセタニル基を1分子中に少なくとも1個有する化合物(エポキシ基を有する化合物を除く)である。前記化合物(C)は、カチオン重合性基としてオキセタニル基以外にも他のカチオン重合性基(例えば、ビニルエーテル基)を有していてもよい。
前記化合物(C)は、下記式(c-1)で表される化合物(=ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、以後、「化合物(c-1)」と称する場合がある)を少なくとも含む。本発明においては、例えば、「アロンオキセタンOXT−221」(東亞合成(株)製)等の市販品を使用することができる。
Figure 2020097692
本発明の立体造形用組成物は、上記化合物(c-1)以外のオキセタン化合物(以後、「化合物(C’)」と称する場合がある)を含有していてもよい。化合物(C’)としては、例えば、下記式(c-2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020097692
(式中、Raは1価の有機基を示し、Rbは水素原子又はエチル基を示す。mは0以上の整数を示す)
前記Raにおける1価の有機基には1価の炭化水素基、1価の複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、置換カルバモイル基(N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等)、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、及びこれらの2以上が単結合又は連結基を介して結合した1価の基が含まれる。
前記1価の炭化水素基には、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、及び1価の芳香族炭化水素基が含まれる。これらの基としては、上記式(a-3)中のRにおける1価の基と同様の例が挙げられる。また、これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記式(a-3)中のRが有していてもよい置換基と同様の例が挙げられる。その他、ビニルエーテル基含有基も挙げられる。
前記1価の複素環式基を構成する複素環としては、上記式(a-3)中のRにおける複素環と同様の例の他、オキセタン環も挙げられる。前記連結基としては、上記式(a-3)中のRにおける連結基と同様の例が挙げられる。
前記mは0以上の整数を示し、例えば0〜20、好ましくは0〜1である。
上記式(c-2)で表される化合物としては、例えば、下記式(c-2-1)〜(c-2-14)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2020097692
本発明の立体造形用組成物は、化合物(C’)として、上記式(c-2-14)で表される化合物(例えば、「アロンオキセタンOXT−121」、東亞合成(株)製)等の、オキセタニル基を1分子中に2個以上有する化合物(C'-1)(上記化合物(c-1)を除く)を含有することが、高硬度で基材密着性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。
また、本発明の立体造形用組成物は、化合物(C’)として、25℃における粘度が10mPa・s以下である化合物(C'-2)を含有することが、硬化感度を損なうことなく、且つ得られる硬化物の耐薬品性を損なうことなく立体造形用組成物の粘度を低下させて、良好な塗布性を付与することができる点で好ましい。
前記化合物(C'-2)としては、粘度が10mPa・s以下であると共に、常圧下における沸点が例えば80℃以上[特に好ましくは100℃以上、最も好ましくは120℃以上。尚、沸点の上限は例えば200℃、好ましくは180℃、特に好ましくは150℃]であることが、室温〜塗布時温度環境下において、化合物(C'-2)が揮発することによる粘度上昇が抑制されるため、立体造形用組成物の粘度を一定に保持することができ、それによりボイドの発生を抑制することができる点で好ましい。
化合物(C'-2)としては、例えば、上記式(c-2-5)(c-2-12)(c-2-13)で表される化合物等の、1分子中にオキセタニル基を1個有する化合物が挙げられる。
<立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物の組成>
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物として、化合物(a-1)及び/又は化合物(a-2)、化合物(2B)、化合物(3B)、及び化合物(c-1)を少なくとも含有する。また、本発明の立体造形用組成物は、上記化合物以外にも他のカチオン重合性化合物を1種又は2種以上含有していても良い。
本発明の立体造形用組成物は前記化合物(A)として、化合物(a-1)及び/又は化合物(a-2)を含有し、前記化合物(a-1)と化合物(a-2)の合計含有量は、カチオン重合性化合物全量(立体造形用組成物に含まれる全カチオン重合性化合物)の1〜20重量%であり、下限は好ましくは3重量%、特に好ましくは5重量%、最も好ましくは7重量%である。上限は好ましくは18重量%、特に好ましくは15重量%である。前記化合物(a-1)と化合物(a-2)の合計含有量が上記範囲を上回ると、水分存在下では硬化速度が著しく低下し、硬化困難となる場合が発生するため好ましくない。一方、前記化合物(a-1)と化合物(a-2)の合計含有量が上記範囲を下回ると、速硬化性が得られないため好ましくない。
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(2B)と、カチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(3B)とを、化合物(2B)/化合物(3B)の重量比が0.1〜3.0となる範囲で含有する。前記重量比の下限値は好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。また、前記重量比の上限値は好ましくは1.8、特に好ましくは1.4、最も好ましくは1.2、とりわけ好ましくは0.8である。化合物(3B)の含有量が過少であると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
本発明の立体造形用組成物は、なかでも、エポキシ基を1分子中に2個有する化合物(2B’)と、エポキシ基を1分子中に3個以上有する化合物(3B’)とを、化合物(2B’)/化合物(3B’)の重量比が0.1〜3.0となる範囲で含有することが好ましい。前記重量比の下限値は好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。また、前記重量比の上限値は好ましくは1.8、特に好ましくは1.4、最も好ましくは1.2、とりわけ好ましくは0.8である。化合物(3B’)の含有量が過少であると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
本発明の立体造形用組成物は、特に、脂環式エポキシ基を1分子中に2個有する化合物(2b)と、エチレンオキシド基を1分子中に3個以上有する化合物(3b)とを、化合物(2b)/化合物(3b)の重量比が0.1〜3.0となる範囲で含有することが好ましい。前記重量比の下限値は好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。また、前記重量比の上限値は好ましくは1.8、特に好ましくは1.4、最も好ましくは1.2、とりわけ好ましくは0.8である。化合物(3b)の含有量が過少であると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
本発明の立体造形用組成物は、なかでも、脂環式エポキシ基を1分子中に2個有する化合物(2b)と、グリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)とを、化合物(2b)/化合物(3b’)の重量比が0.1〜3.0となる範囲で含有することが好ましい。前記重量比の下限値は好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。また、前記重量比の上限値は好ましくは1.8、特に好ましくは1.4、最も好ましくは1.2、とりわけ好ましくは0.8である。化合物(3b’)の含有量が過少であると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
本発明の立体造形用組成物は、とりわけ、シクロヘキセンオキシド基を1分子中に2個有する化合物化合物(2b’)と、グリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)を、化合物(2b’)/化合物(3b’)の重量比が0.1〜3.0となる範囲で含有することが好ましい。前記重量比の下限値は好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。また、前記重量比の上限値は好ましくは1.8、特に好ましくは1.4、最も好ましくは1.2、とりわけ好ましくは0.8である。化合物(3b’)の含有量が過少であると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
本発明の立体造形用組成物は、とりわけ、化合物(2b-1)と、グリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)を、化合物(2b-1)/化合物(3b’)の重量比が0.1〜3.0となる範囲で含有することが好ましい。前記重量比の下限値は好ましくは0.3、特に好ましくは0.5である。また、前記重量比の上限値は好ましくは1.8、特に好ましくは1.4、最も好ましくは1.2、とりわけ好ましくは0.8である。化合物(3b’)の含有量が過少であると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
化合物(2B)と化合物(3B)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25重量%を超え、40重量%未満である。
化合物(2B’)と化合物(3B’)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25重量%を超え、40重量%未満である。
化合物(2b)と化合物(3b)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25重量%を超え、40重量%未満である。
化合物(2b)と化合物(3b’)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25重量%を超え、40重量%未満である。
化合物(2b’)と化合物(3b’)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25重量%を超え、40重量%未満である。
化合物(2b-1)と化合物(3b’)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば10〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは25重量%を超え、40重量%未満である。
本発明の立体造形用組成物は、前記化合物(2B)として化合物(2b-1)を含有することが好ましく、化合物(2b-1)の含有量は、化合物(B)全量の例えば20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。尚、上限は例えば80重量%、好ましくは70重量%、特に好ましくは65重量%である。また、化合物(2b-1)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上である。尚、上限は例えば30重量%、好ましくは25重量%、特に好ましくは18重量%である。
本発明の立体造形用組成物は、前記化合物(3B)としてグリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)を含有することが好ましく、化合物(3b’)の含有量は、化合物(B)全量の例えば20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、最も好ましくは45重量%以上である。尚、上限は例えば80重量%、好ましくは70重量%、特に好ましくは60重量%である。また、化合物(3b’)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば5重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上である。尚、上限は例えば40重量%、好ましくは35重量%、特に好ましくは23重量%である。
化合物(C)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば10〜95重量%であり、上限は好ましくは80重量%、特に好ましくは75重量%、最も好ましくは70重量%である。下限は好ましくは20重量%、特に好ましくは30重量%、最も好ましくは35重量%である。化合物(C)の含有量が過剰になると、揮発による臭気の発生や粘度上昇(粘度が上昇すると、インクジェット方式による印刷が困難となる場合がある)、硬化感度の低下、得られる硬化物の基材に対する密着性の低下が生じる場合がある。
化合物(c-1)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の5〜95重量%であり、上限は好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%、特に好ましくは60重量%、最も好ましくは50重量%、とりわけ好ましくは40重量%である。下限は好ましくは10重量%、特に好ましくは15重量%、最も好ましくは25重量%である。化合物(c-1)の含有量が過剰であると、揮発による臭気の発生や粘度上昇(粘度が上昇すると、インクジェット方式による印刷が困難となる場合がある)、硬化感度の低下、得られる硬化物の基材に対する密着性の低下が生じる場合がある。化合物(c-1)の含有量が過少であると、得られる硬化物の耐薬品性(特に、耐アルカリ性)が低下するため好ましくない。
カチオン重合性基としてオキセタニル基を1分子中に2個以上有する化合物(=化合物(c-1)を含む)の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば10〜95重量%であり、上限は好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%、特に好ましくは60重量%、最も好ましくは50重量%、とりわけ好ましくは40重量%である。下限は好ましくは15重量%、特に好ましくは20重量%、最も好ましくは25重量%である。カチオン重合性基としてオキセタニル基を1分子中に2個以上有する化合物の含有量が過剰になると、揮発による臭気の発生や粘度上昇(粘度が上昇すると、インクジェット方式による印刷が困難となる場合がある)、硬化感度の低下、得られる硬化物の基材に対する密着性の低下が生じる場合がある。
カチオン重合性基としてオキセタニル基を1分子中に1個のみ有する化合物であって、25℃における粘度が10mPa・s以下である化合物の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば30重量%以下であることが、揮発による臭気の発生や粘度上昇(粘度が上昇すると、インクジェット方式による印刷が困難となる場合がある)、硬化感度の低下、得られる硬化物の基材に対する密着性の低下を抑制することができる点で好ましく、より好ましくは25重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。
カチオン重合性基としてオキセタニル基を1分子中に1個のみ有する化合物であって、25℃における粘度が10mPa・s以下であり、且つ常圧下における沸点が例えば80℃以上である化合物の含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば30重量%以下であることが、揮発による臭気の発生や粘度上昇(粘度が上昇すると、インクジェット方式による印刷が困難となる場合がある)、硬化感度の低下、得られる硬化物の基材に対する密着性の低下を抑制することができる点で好ましく、より好ましくは25重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。
化合物(a-1)と化合物(a-2)と化合物(2B)と化合物(3B)と化合物(c-1)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば45重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。尚、上限は例えば98重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
化合物(a-1)と化合物(a-2)と化合物(2B’)と化合物(3B’)と化合物(c-1)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば45重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。尚、上限は例えば98重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
化合物(a-1)と化合物(a-2)と化合物(2b)と化合物(3b)と化合物(c-1)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば45重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。尚、上限は例えば98重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
化合物(a-1)と化合物(a-2)と化合物(2b)と化合物(3b’)と化合物(c-1)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば45重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。尚、上限は例えば98重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
化合物(a-1)と化合物(a-2)と化合物(2b’)と化合物(3b’)と化合物(c-1)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば45重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。尚、上限は例えば98重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
化合物(a-1)と化合物(a-2)と化合物(2b-1)と化合物(3b’)と化合物(c-1)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の、例えば45重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。尚、上限は例えば98重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1分子中に1個のみ有する化合物(すなわち、単官能モノマー)の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば30重量%以下であることが硬化性に優れる点で好ましく、特に好ましくは25重量%以下、最も好ましくは20重量%以下、とりわけ好ましくは15重量%以下である。また、硬化性に優れると共に、低粘度で塗布性に優れる点で、例えば3重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上、最も好ましくは8重量%以上、とりわけ好ましくは10重量%以上である。単官能モノマーの含有量が上記範囲を上回ると、高硬度を有する硬化物を得ることが困難となる傾向がある。
ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは55重量%以上である。尚、上限は、例えば95重量%、好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%である。
ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物の合計含有量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物全量の例えば5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上、特に好ましくは15重量%以上である。尚、上限は、例えば30重量%である。前記化合物の含有量が上記範囲を下回ると、得られる硬化物の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
本発明の立体造形用組成物全量(100重量%)における、上記カチオン重合性化合物(例えば、ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を有する化合物)の合計含有量は、例えば50〜99.9重量%程度、好ましくは70〜98重量%である。
本発明の立体造形用組成物は上記カチオン重合性化合物以外にも、他のモノマーを含有していてもよいが、他のモノマーの含有量は、本発明の立体造形用組成物に含まれる重合性化合物(=重合性官能基を有する化合物、例えば、カチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物)全量の例えば30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下、とりわけ好ましくは1重量%以下である。
(光又は熱重合開始剤)
本発明の立体造形用組成物は光又は熱重合開始剤を含有する。光又は熱重合開始剤には、光又は熱カチオン重合開始剤、及び光又は熱ラジカル重合開始剤が含まれる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の立体造形用組成物は、光又は熱重合開始剤として、光又は熱カチオン重合開始剤を含有することが好ましく、とりわけ、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。
前記光カチオン重合開始剤は、光を照射することによって酸を発生して、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)sB(Phf)4-s-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0〜3の整数である)、BF4 -、[(Rf)tPF6-t-(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、t:0〜5の整数)、AsF6 -、SbF6 -、SbF5OH-等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム] ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
前記熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウムイオン、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウムイオン等が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。
前記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等(具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,4−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等)の有機過酸化物類が挙げられる。
光又は熱カチオン重合開始剤の使用量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部程度が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜8重量部、最も好ましくは3〜8重量部である。
また、光又は熱ラジカル重合開始剤の使用量は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは0.5〜2重量部である。
本発明の立体造形用組成物はカチオン重合性化合物と光又は熱重合開始剤以外にも必要に応じて他の成分を1種又は2種以上含有していても良い。他の成分としては、例えば、周知慣用の増感剤(例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、レーザ色素類等)、増感助剤、酸化防止剤、アミン類等の安定化剤、色材(顔料、染料等)、分散剤、溶剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、充填剤、難燃剤等が挙げられる。
本発明の立体造形用組成物が光重合開始剤を含有する組成物であり、且つ前記組成物をUV−LEDを照射して硬化させる場合には、増感剤、及び必要に応じて増感助剤を含有することが、光重合開始剤の光吸収率を向上して硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.05〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、増感剤としては、例えば、下記式(d-1)で表される化合物と下記式(d-2)で表される化合物を併用すると、得られる硬化物の着色を極めて低く抑制しつつ硬化性を向上することができる点で好ましく、これらの化合物の併用割合[式(d-1)で表される化合物/式(d-2)で表される化合物;重量比]は、例えば0.1〜1.0、好ましくは0.1〜0.5、特に好ましくは0.2〜0.5である。尚、下記式(d-1)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−1331」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。また、下記式(d-2)で表される化合物としては、例えば商品名「アントラキュアー UVS−581」(川崎化成工業(株)製)を使用することができる。
Figure 2020097692
(色材:顔料)
顔料としては、一般に顔料として知られている色材であって、立体造形用組成物中に分散可能なものであれば、特に制限なく使用することができる。顔料の平均粒子径は、例えば300nm以下であることが吐出性、インク飛翔性、及び印字再現性に優れる点で好ましい。顔料は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
顔料は、発色・着色性に加えて、磁性、蛍光性、導電性、又は誘電性等を併せて有するものであってもよい。
使用可能な顔料としては、例えば、土製顔料(例えば、オーカー、アンバー等)、ラピスラズリ、アズライト、白亜、胡粉、鉛白、バーミリオン、ウルトラマリン、ビリジャン、カドミウムレッド、炭素顔料(例えば、カーボンブラック、カーボンリファインド、カーボンナノチューブ等)、金属酸化物顔料(例えば、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄等)、金属硫化物顔料(例えば、硫化亜鉛等)、金属硫酸塩、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属粉末(例えば、アルミニウム粉末、ブロンズ粉末、亜鉛粉末等)等の無機顔料;不溶性アゾ顔料(例えば、モノアゾイエロー、モノアゾレッド、モノアゾバイオレット、ジスアゾイエロー、ジスアゾオレンジ、ピラゾロン顔料等)、溶性アゾ顔料(例えば、アゾイエローレーキ、アゾレーキレッド等)、ベンズイミダゾロン顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、縮合アゾ顔料、キナクリドン顔料(例えば、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等)、ペリレン顔料(例えば、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等)、ペリノン顔料(例えば、ペリノンオレンジ等)、イソインドリノン顔料(例えば、イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等)、イソインドリン顔料(例えば、イソインドリンイエロー等)、ジオキサジン顔料(例えば、ジオキサジンバイオレット等)、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料(例えば、キノフタロンイエロー等)、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料(例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等)、染料レーキ顔料等の有機顔料;無機蛍光体や有機蛍光体等の蛍光顔料等が挙げられる。
(色材:染料)
前記染料としては、例えば、ニトロアニリン系、フェニルモノアゾ系、ピリドンアゾ系、キノフタロン系、スチリル系、アントラキノン系、ナフタルイミドアゾ系、ベンゾチアゾリルアゾ系、フェニルジスアゾ系、チアゾリルアゾ系染料等が挙げられる。
色材(顔料及び/又は染料)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、立体造形用組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.5〜20重量部程度、好ましくは1〜15重量部である。
(分散剤)
分散剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、帯電剤、高分子系分散剤(例えば、商品名「Solsperse24000」、「Solsperse32000」、以上、アビシア社製、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」、「アジスパーPB824」、「アジスパーPB881」、「アジスパーPN411」、「アジスパーPN411」、以上、味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の立体造形用組成物が色材を含有する場合、色材と共に分散剤を含有することが、色材の分散性を向上することができる点で好ましく、分散剤の含有量は、色材(顔料及び/又は染料)100重量部に対して、例えば1〜50重量部程度、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜10重量部である。
更にまた、本発明の立体造形用組成物は、溶剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。溶剤を含有するか否かは、塗布条件等に応じて適宜調整することができる。
本発明の立体造形用組成物は、カチオン重合性化合物、光又は熱重合開始剤、及び必要に応じて他の成分を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
本発明の立体造形用組成物の表面張力(25℃、1気圧下における)は、例えば10〜50mN/m程度、好ましくは15〜40mN/m、特に好ましくは15〜30mN/m、最も好ましくは18〜30mN/mである。
本発明の立体造形用組成物の粘度[25℃、せん断速度100(1/s)における]は、例えば1〜1000mPa・s程度であり、上限は、好ましくは400mPa・s、より好ましくは100mPa・s、より好ましくは60mPa・s、特に好ましくは50mPa・s、最も好ましくは45mPa・s、とりわけ好ましくは40mPa・s、更に好ましくは30mPa・sである。また、下限は、好ましくは3mPa・s、特に好ましくは5mPa・s、最も好ましくは10mPa・sである。そのため、本発明の立体造形用組成物は流動性に優れ、例えばインクジェット方式のプリンターを用いて吐出(若しくは、噴出)する場合は吐出性に優れる。
また、本発明の立体造形用組成物は、酸素や水分の存在下でも、光照射又は加熱処理を施すことにより速やかに硬化して硬化物を形成することができる。
光を照射することにより硬化物を形成する場合、光源としては、例えば、UV−LED、低、中、高圧水銀ランプのような水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等を使用することができる。光照射量(積算光量)は、例えば10〜5000mJ/cm2程度である。
本発明の立体造形用組成物は、光を照射した後に、更に加熱処理を施しても良い。加熱処理を施すことにより、硬化度をより一層向上させることができる。加熱処理を施す場合、加熱温度は40〜200℃程度であり、加熱時間は1分〜15時間程度である。また、光を照射した後に、室温(20℃)で1〜48時間程度静置することでも硬化度を向上させることができる。
加熱処理により硬化物を形成する場合、加熱温度は40〜250℃程度、加熱時間は5分〜24時間程度である。加熱温度及び時間は前記範囲内において適宜調整することができ、加熱温度が高い場合は加熱時間を短く、加熱温度が低い場合は加熱時間を長くすることが好ましい。
本発明の立体造形用組成物の硬化物は、幅広い基材[例えば、ガラス、金属(例えば、アルミニウム箔、銅箔等)、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂等)、天然ゴム、ブチルゴム、発泡体(例えば、ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等)、木材、織布、不織布、布、紙(例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、和紙等)、シリコンウェハ、セラミック等、及びこれらの複合体等]に対して優れた密着性を有する。尚、前記基材は、その表面に公知の表面処理(オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理等)が施されたものであってもよい。
また、本発明の立体造形用組成物の硬化物は、耐酸性、耐中性に優れるのはもちろんのこと、耐アルカリ性にも優れる。
尚、本明細書において、耐アルカリ性とは、アルカリ性物質(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、2−アミノエタノール、及びピリジン等のルイス塩基等から選択される少なくとも1種)が存在する条件下(pHは、例えば8〜14)における耐性(例えば、耐溶解性)を示し、耐酸性とは、酸性物質(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、及び塩化アルミニウム等のルイス酸等から選択される少なくとも1種)が存在する条件下(pHは、例えば1〜6)における耐性(例えば、耐溶解性)を示す。
更に、本発明の立体造形用組成物の硬化物は高硬度を有し、鉛筆硬度(JIS K5600−5−4準拠)は、例えば3B以上である。
更にまた、本発明の立体造形用組成物は低硬化収縮性を有し、本発明の立体造形用組成物に光照射又は加熱処理を施すと、速やかに硬化して、反りがない硬化物を形成することができる。そのため、前記硬化物表面に本発明の立体造形用組成物を塗布し硬化する操作を繰り返して硬化物の積層体を形成することができ、高さを有する立体造形物を形成することができる。
本発明の立体造形用組成物は、種々の方法で立体造形物を形成することができる。例えば、インクジェット法により立体造形物を製造する場合、立体造形物の断面形状にインクを塗布してインク被膜を形成し、形成されたインク被膜を硬化し、硬化されたインク被膜の表面に更にインク被膜を形成する工程を繰り返して、インク被膜の硬化物を積み重ねることで厚みがある立体造形物を形成することができるが、インク被膜が硬化によって反りを生じる場合、インク被膜を積層して立体造形物を形成することが困難となる。しかし、本発明の立体造形用組成物は低硬化収縮性を有するため、インク被膜が硬化によって反りを生じることがなく、インク被膜を積層して精度良く立体造形物を形成することができる。
従って、本発明の立体造形用組成物は点字印刷物や厚膜印刷物等を製造する用途に好適に使用することができる。すなわち、本発明の立体造形用組成物は、好ましくは、点字印刷用組成物又は厚膜印刷用組成物である。
本発明の立体造形用組成物は、とりわけ、インクジェット法により立体造形物(例えば、点字印刷物や厚膜印刷物等)を製造する用途に好適に使用することができる。すなわち、本発明の立体造形用組成物は、好ましくは、点字印刷用インクジェットインク又は厚膜印刷用インクジェットインクである。
そして、本発明の立体造形用組成物をインクジェット法により立体造形物を製造する用途に使用すれば、インクジェット法は金型を使用せず、コンピューター上で作製した設計図に基づいて印字することによって造形物を形成するため、要望に応じて細かな変更を加えることが容易であり、オンデマンド製造に対応することができる。一方、金型等を用いる成型方法(例えば、射出成形法等)により立体造形物を製造する場合、金型の製造コストが嵩むことから、オンデマンド製造に対応することは困難である。
[立体造形物、及びその製造方法]
本発明の立体造形物は、上記立体造形用組成物の硬化物から成る。本発明の立体造形物は前記硬化物以外にも他の構成要素(例えば、コーティング層等)を備えていても良い。
本発明の立体造形物の製造方法は特に制限が無く、例えば、上記立体造形用組成物の硬化物に切削等を施すことにより製造しても良く、上記立体造形用組成物を金型成形することにより製造しても良いし、更に、インクジェット方式による三次元プリンター等を使用して製造しても良い。
立体造形物の形状、厚みは、用途に応じて適宜調整することができる。
本発明の立体造形物には、厚膜印刷物や、点字印刷物(例えば、点字ブロック、点字タイル等の足裏の触感覚で認識するもの;階段や手すり等に設ける点字表示板等の指先の触感覚で認識するものが含まれる)が含まれる。
上記立体造形用組成物の硬化物によって形成されるため、本発明の立体造形物は、形状精度に優れる。また、高硬度を有する。そのため、傷が付きにくい(すなわち、耐擦傷性に優れる)。更に、耐薬品性に優れ、酸性薬品や中性薬品に対して耐性を有するのはもちろんのこと、アルカリ性薬品に対しても優れた耐性を有する。
[構造物、及びその製造方法]
本発明の構造物は、基材表面に上記立体造形物が固着した構成を有する。従って、本発明の構造物は、基材部分と立体造形物部分から成る。
本発明の構造物には、例えば、基材表面に厚膜印刷物が固着したものや、基材表面に点字印刷物が固着したものが含まれる。
本発明の構造物は、例えば、インクジェット方式で、基材表面に、上記立体造形用組成物を吐出して塗膜を形成し、その後、塗膜を硬化させる工程を経て製造することができる。塗膜を硬化させる方法としては、本発明の立体造形用組成物と同様の方法、すなわち、光照射又は加熱処理を施す方法が採用できる。
[塗膜形成−硬化]の操作は、1回で十分な厚みが得られない場合は、目的とする立体造形物の厚みとなるまで、繰り返し行うことが好ましい。詳細には、上記立体造形用組成物を、目的とする立体造形物の断面形状に吐出して塗膜を形成し、その後、形成された塗膜を硬化させる工程を繰り返すことにより、塗膜の硬化物を積み重ねて、所望の厚みの立体造形物を形成することが好ましい。
基材としては、上述の基材を特に制限されることなく使用することができる。
本発明の構造物において、上記立体造形用組成物の硬化物から成る立体造形物部分は基材部分に対して優れた密着性を有し、剥離が抑制される。また、高硬度を有するため、立体造形物部分に傷が付きにくい(すなわち、耐擦傷性に優れる)。更に、立体造形物部分は耐薬品性に優れ、酸性薬品や中性薬品に対して耐性を有するのはもちろんのこと、アルカリ性薬品に対しても優れた耐性を有する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
下記表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して、インク(1)を得た。得られたインクの25℃、せん断速度100(1/s)における粘度を、E型粘度計(商品名「VISCOMETER TV-25」、東機産業(株)製)を用いて測定したところ、20mPa・sであった。
実施例2〜13、比較例1〜4
下記表1(単位は重量部)に記載の処方通りに各成分を混合して、インクを得た。
実施例及び比較例で得られたインクについて、以下の評価を行った。
(水分存在下での硬化性評価)
上記で得られたインクを水非含有インクとした。
また、上記で得られたインク100重量部に水5重量部を添加し、撹拌して水含有インクを調製した。
水非含有インク、又は水含有インクをガラス板に塗布し(塗膜厚み:5μm)、空気雰囲気下、LED照射器を用いて365nmの光を照射して、タック性がなくなるまで(具体的には、塗膜表面をキムワイプ(登録商標)で擦った際に、べとついたり、ガラス板から剥がれたりしない状態となるまで)の積算光量(mJ/cm2)を測定し、下記式から水添加による積算光量の増加率を算出し、下記基準で評価した。
積算光量の増加率(%)={(水含有インクの硬化に要する積算光量/水非含有インクの硬化に要する積算光量)−1}×100
<水分存在下における硬化性の評価基準>
積算光量の増加率が20%以上:硬化性不良(×)
積算光量の増加率が20%未満:硬化性良好(○)
(硬度評価)
ABS基材(商品名「ヒシプレート296」、三菱樹脂(株)製)に、上記で得られたインクを、バーコーターを用いて約10μm厚みに塗布し、LED照射器を用いて365nmの光を、タック性がなくなるまで照射して硬化させ、硬化物/ABS基材積層体を得た。得られた積層体には、更に、オーブンを使用して、80℃の温度で30分間加熱処理を施した。これをサンプルとして使用した。
サンプルの硬化物側表面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(ISO/DIN15184)に準拠した方法で測定した。
(耐薬品性評価)
上記硬度評価と同様にしてサンプルを得た。
得られたサンプルを下記中性、酸性、又はアルカリ性薬品中に7日間浸漬し、浸漬開始直後から7日間、外観変化を目視で観察し、下記基準で評価した。
中性薬品:純水+N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド1重量%
酸性薬品:9.5%塩酸水溶液(pH=1)+N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド1重量%
アルカリ性薬品:4%次亜塩素酸ナトリウム+1%NaOH含有水溶液(pH=13)+N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド1重量%
<耐薬品性の評価基準>
浸漬開始後7日の間にサンプルの硬化物部分に白濁が無く、溶解も無し:耐薬品性極めて良好(◎)
浸漬開始後4日〜6日の間にサンプルの硬化物部分が白濁したが、溶解は無し:耐薬品性良好(○)
浸漬開始後3日までにサンプルの硬化物部分が白濁したが、溶解は無し:耐薬品性やや不良(△)
サンプルの硬化物部分の少なくとも一部が溶解:耐薬品性不良(×)
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2020097692
尚、表中の略号を以下に説明する。
<ビニルエーテル化合物>
ISBDVE:イソソルビドジビニルエーテル、商品名「ISB−DVE」、(株)ダイセル製
HEVE:エチレングリコールモノビニルエーテル
<エポキシ化合物>
セロキサイド2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
YH300:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
<オキセタン化合物>
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、沸点105℃/0.93kPa、25℃における粘度:17〜22mPa・s、商品名「アロンオキセタン OXT−101」、東亞合成(株)製
OXT121:1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、25℃において固体、商品名「アロンオキセタン OXT−121」、東亞合成(株)製
OXT221:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、商品名「アロンオキセタン OXT−221」、沸点119℃/0.67kPa、25℃における粘度:9〜14mPa・s、東亞合成(株)製
OXT212:3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、沸点133℃/1.33kPa、25℃における粘度:3〜6mPa・s、商品名「アロンオキセタン OXT−212」、東亞合成(株)製
ALOX:3−アリルオキシオキセタン、沸点146℃/760mmHg、25℃における粘度:9mPa・s
<光カチオン重合開始剤>
CPI−110P:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスファートおよびチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム) ビス(ヘキサフルオロホスファート)の混合物(99.5/0.5)、商品名「CPI−110P」、サンアプロ(株)製
<増感剤>
UVS1331:9,10−ジブトキシアントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−1331」、川崎化成工業(株)製
UVS581:9,10−ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン、商品名「アントラキュアー UVS−581」、川崎化成工業(株)製
<分散剤>
商品名「アジスパー」、高分子系顔料分散剤、味の素ファインテクノ(株)製
実施例1、2、及び比較例4で得られたインクについて、更に、以下の評価を行った。
(寸法安定性評価)
インクを、100μm厚みのPETフィルムに塗布して硬化させ、薄膜硬化物(縦×横×厚み=2cm×10cm×100μm)を得、これを試験片とした。
平面上に、上記試験片の一方の短辺を固定して、他方の短辺の平面からの距離を測定してこれを反り量とした。反り量が小さい方が寸法安定性に優れる。
(造形性評価)
インクジェットヘッド(一滴:42pL)を用いて、インクを100滴吐出して塗膜を形成し、得られた塗膜に紫外線を照射(UV照射量:500mJ/cm2)して硬化させ、これを1層目し、その後、インクの吐出と硬化を繰り返し、10層を積層して、直径0.5mm、高さ0.5mmの円柱状の立体造形物が得られた場合は造形性良好(○)、前記立体造形物が得られなかった場合は造形性不良(×)と評価した。
(点字の精度評価)
JIS T9253準拠した方法で点字の精度を評価した。
すなわち、インクを、インクジェットヘッドから紙上(商品名「サテン金藤」、王子製紙(株)製)に吐出し、紫外線を照射(UV照射量:500mJ/cm2)する操作を繰り返して、点字印刷物(目標形状:底面直径1.45mm、中心高さ0.4mm)を形成した(n=10)。
得られた点字印刷物(n=10)の最大高さと最大幅をマイクロメーターを用いて測定した。
(点字の密着性評価)
インクをインクジェットヘッドから基材上に吐出し、紫外線を照射(UV照射量:500mJ/cm2)する操作を繰り返して、点字印刷物(目標形状:底面直径1.45mm、中心高さ0.4mm)を造形した。尚、基材として、紙、PET、及びガラスを使用した。
得られた点字印刷物の基材への密着性を、粘着テープ剥離試験(JIS K 5600−5−6準拠)により評価した。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2020097692
上記表1、2より、本発明に係る立体造形用組成物をインクジェット方式で塗布すれば、酸素や水分の存在下でも速やかに硬化して、耐薬品性、寸法安定性、及び基材密着性に優れた立体造形物を精度良く製造できることがわかる。
従って、本発明の立体造形用組成物は、インクジェットインクとして好適であり、立体造形物(例えば、厚膜印刷物、点字印刷物等)製造用インクジェットインクとして好適である。

Claims (15)

  1. 下記カチオン重合性化合物と、光又は熱重合開始剤とを含有する立体造形用組成物。
    カチオン重合性化合物:下記式(a-1)及び/又は(a-2)
    Figure 2020097692
    で表される化合物、カチオン重合性基を1分子中に2個有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(2B)、カチオン重合性基を1分子中に3個以上有する化合物であって前記カチオン重合性基の少なくとも1個がエポキシ基である化合物(3B)、及び下記式(c-1)
    Figure 2020097692
    で表される化合物を少なくとも含有し、
    前記式(a-1)で表される化合物と前記式(a-2)で表される化合物の合計含有量がカチオン重合性化合物全量の1〜20重量%であり、
    前記化合物(2B)/化合物(3B)の含有量の比が0.1〜3.0であり、
    前記式(c-1)で表される化合物の含有量がカチオン重合性化合物全量の5〜95重量%である。
  2. 化合物(2B)と化合物(3B)の合計含有量がカチオン重合性化合物全量の10〜50重量%である請求項1に記載の立体造形用組成物。
  3. 化合物(2B)が、下記式(2b-1)
    Figure 2020097692
    (式中、Xは単結合又は連結基を示す)
    で表される化合物である請求項1又は2に記載の立体造形用組成物。
  4. 化合物(3B)がグリシジルエーテル基を1分子中に3個以上有する化合物(3b’)である請求項1〜3の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  5. ビニルエーテル基、エポキシ基、及びオキセタニル基から選択されるカチオン重合性基を1分子中に1個のみ有する化合物の含有量がカチオン重合性化合物全量の30重量%以下である請求項1〜4の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  6. 増感剤、又は増感剤と増感助剤とを含有する請求項1〜5の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  7. 色材を含有する請求項1〜6の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  8. 分散剤を含有する請求項1〜7の何れか1項に記載の立体造形用組成物。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の立体造形用組成物の硬化物。
  10. 請求項9に記載の硬化物から成る立体造形物。
  11. 厚膜印刷物若しくは点字印刷物である請求項10に記載の立体造形物。
  12. 基材表面に請求項10又は11に記載の立体造形物が固着した構造物。
  13. インクジェット方式で、基材表面に、請求項1〜8の何れか1項に記載の立体造形用組成物を吐出し、その後、吐出された立体造形用組成物を硬化させる工程を経て、基材表面に前記立体造形用組成物の硬化物からなる立体造形物が固着した構造物を得る構造物の製造方法。
  14. 請求項1〜8の何れか1項に記載の立体造形用組成物を含む厚膜印刷用インク。
  15. 請求項1〜8の何れか1項に記載の立体造形用組成物を含む点字印刷用インク。
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