JP5884598B2 - 光重合性接着剤、及び光学フィルム積層体 - Google Patents
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また、FPDは、表示装置として利用するだけではなく、その表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置として利用されることもある。タッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
また、表示装置には、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニットは、基本的には光源としての線状のランプと、ランプに端部が沿うように配置される方形板状の導光板と、導光板の表面側に配設される光拡散シートと、光拡散シートの表面側に配設されるプリズムシートを備えている。最近では、光源に令陰極管(COFL)から色再現性や省電力に優れた発光ダイオード(LED)が使用されるようになってきたため、より耐熱性や寸法安定性の要求が高まってきている。
このようなフィルムは、接着剤を介して被着体に貼着して表示装置に使用されている。表示装置に用いられる接着剤は、まず透明性や耐熱性に優れることが要求されるので、アクリル系樹脂を主剤とする溶剤含有の2液硬化型接着剤が一般に使用されている。
一般的にプラスチック成形品は、それ単独で用いることもあるが、お互いに接着したり、他の材料と接着して用いたりすることが多い。
例えば、ポリカーボネート同士または、ポリカーボネートとステンレスなどの金属は、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤などで接着できる。
また、ポリメタクリル酸メチル(以下、PMMAと称する)同士または、PMMAとステンレスなどの金属は、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤またはアクリル系接着剤などで接着できる。
ところが、シクロオレフィンポリマーからなる成形品は、一種のポリオレフィン樹脂であるため、表面の濡れが悪くポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂と同様に接着しにくく、上述のいずれの接着剤を用いても接着できず、該成形品同士も、該成形品と他の材料とも接着力が弱く容易に剥がれてしまう。
しかし2官能以上の(メタ)アクリル酸エステルを用いた場合、光重合による重合収縮が発生し、加工時や湿熱耐久試験において端部が容易に剥がれてしまう問題があった。
しかし、溶剤を添加すると、塗工設備を防爆仕様にしたり、乾燥オーブンを設置したりしなければならなくなる。また、紫外線に不活性な熱可塑性ポリマーを添加すると、粘度が高くなり塗工性に難を生じる。さらに、充填剤を添加すると、充填剤が紫外線を一部吸収するため重合性が低下する問題があった。
すなわち、本発明は、主成分として少なくとも一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)を含有し、さらに、三員環状のオキシラン化合物(B)、光重合開始剤(C)をそれぞれ含有し、実質的に有機溶剤を含有しないことを特徴とする光重合性接着剤に関する。
また、第5の発明は、第1〜4の発明のいずれかに記載の光重合性接着剤を用いて、フィルム状基材にシクロオレフィンポリマー系フィルムを接着してなる積層体に関する。
また、第7の発明は、第5ないし第6の発明の積層体を用いて得られる光学素子用積層体に関する。
本発明の光重合性接着剤において、一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)とは、反応性官能基として分子内に四員環状の環状エーテル基を1つ以上有し、さらにビニルエーテル基を有する化合物であり、特に制限が無く使用できる。
一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)の具体的な例としては、3−メチル−3−(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−プロピル−3−(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−メチル−3−(2−ビニルオキシエチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−ビニルオキシエチル)オキセタン、3−プロピル−3−(2−ビニルオキシエチル)オキセタン、3−メチル−3−(3−ビニルオキシプロピル)オキセタン、3−エチル−3−(3−ビニルオキシプロピル)オキセタン、3−プロピル−3−(3−ビニルオキシプロピル)オキセタン、3−メチル−3−(3−ビニルオキシブチル)オキセタン、3−エチル−3−(3−ビニルオキシブチル)オキセタン、3−プロピル−3−(3−ビニルオキシブチル)オキセタン、エチレングリコール[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテル、プロピレングリコール[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテル、3,3−ビス[(ビニロキシ)メチル]オキセタン等が挙げられる。
分子内に三員環状の環状エーテル基としては、例えば、オキシラン、メチルオキシラン、フェニルオキシラン、1,2−ジフェニルオキシラン、メチリデンオキシラン、オキシラニルメチル、オキシラニルメタノール、オキシランカルボン酸、(クロロメチル)オキシラン、(ブロモメチル)オキシラン、オキシラニルアセトニトリル等の脂肪族系環状エーテル基;
例えば、3,4−オキシランシクロヘキシルメチル 3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジオキシラン−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−オキシランシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3’’,5’’−ジオキサンスピロ−3’’’,4’’’−オキシランシクロヘキサンとも命名できる化合物)、4−(3,4−オキシランシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−オキシランスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−オキシランシクロペンチルエーテル、およびジシクロペンタジエンジオキサイド等の脂環式環に結合した三員環状の環状エーテル基が挙げられ、これら三員環状の環状エーテル基含有化合物中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、三員環状のオキシラン化合物(B)となりうる。
ここで、前記した(b−1)は、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
また、ビニルエーテル化合物(A)100重量部に対して、三員環状のオキシラン化合物(B)を5〜50重量含有することが好ましい。
上記の光重合開始剤(C)が、光照射によって酸性活性種を発生するA+B−で表される塩であって、特に限定されないが、一般的にはオニウム塩が良く知られている。オニウム塩としてはルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩などが挙げられる。この陽イオンA+が、芳香族ヨードニウムイオンおよび/または芳香族スルホニウムイオンであることが本発明では好ましい。
酸化防止剤(E)としては、例えば、アデカスタブAO‐50、アデカスタブAO‐80(旭電化工業製)、などのフェノール系酸化防止剤や、IRGANOX‐PS‐800FD(BASF製)、などのイオウ系酸化防止剤、TINUBIN622LD、TINUBIN144、TINUBIN765(BASF製)等のヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸化防止剤(E)の配合割合は、重合性成分100重量部に対して、0〜5重量部であり、0.01〜3重量部であることが好ましい。
光重合性接着剤の粘度は、光重合性オキシラン系樹脂組成物の粘度で殆ど決定されるため、光重合性オキシラン系樹脂組成物の粘度を1〜1500mPa・sの範囲で管理することにより、光重合性接着剤の粘度も管理が可能である。
光重合性接着層の厚さは、0.1〜6μmの薄膜塗工であることが好ましく、0.1μm〜3μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、6μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
本発明の光学フィルムの積層体は、以下のようにして得ることができる。
フィルム状基材である光学フィルムの片面に光学用光重合性接着剤を塗工し、別の光学フィルムを光重合性接着層の表面に積層したり、更にこの積層体の片面や両面に光学用光重合性接着剤を塗工し、更に別の光学フィルム、ガラス、あるいは光学成形体に積層したりすることによって、光学用積層体を得ることができる。
光学用光重合性接着剤の光重合反応は、光学用光重合性接着剤の塗工時、あるいは積層する際、さらには積層した後に活性エネルギー線を照射して進行するが、積層した後に活性エネルギー線を照射して光重合反応を進めることが好ましい。
光重合性接着剤は、光学素子用積層体を形成するために用いられる。
光学素子用積層体の基本的積層構成は、フィルム状基材/光重合性接着層/フィルム状基材、あるいはフィルム状基材/光重合性接着層/フィルム状基材/光重合性接着層/フィルム状基材のようなシート状の両面感光重合性接着積層体である。さらには、フィルム状基材/光重合性接着層/フィルム状基材/光重合性接着層/フィルム状基材/光重合性接着層/フィルム状基材、ガラス、あるいは光学成形体のような多層の光学フィルムを光学部材に固定化した光学素子用積層体として使用される。
シクロオレフィンポリマー系フィルムの一方の面に、光重合性接着剤を塗工し、重合性接着剤層を形成し、光学フィルムを重ね合わせた後、光学積層フィルムとし、更に、活性エネルギー線を照射し、光重合性接着剤層を硬化することによって製造する方法。
酸素濃度が10%以下に置換された遮光された300ccのマヨネーズ瓶に、少なくとも一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)、三員環状のオキシラン化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を表1に示す比率で仕込み、エアモーターにて十分に攪拌を行い、十分に脱泡を行った後、配合例に示す光重合性接着剤を得た。
各配合例で得られた光重合性接着剤の液体外観を目視にて評価した。
各配合例で得られた光重合性接着剤を23℃の雰囲気下でE型粘度計(東機産業社製 TV−22)にて、約1.2mlを測定用試料とし、回転速度100〜0.5rpm、1分間回転の条件で測定し、溶液粘度(mPa・s)とした。
配合例1で得られた光重合性接着剤を使用して、以下の積層フィルムを作成した。
光学フィルム(1)として、日本ゼオン社製のノルボルネン系フィルム(商品名「ゼオノア ZF−14:100μm」を使用し、その表面に300W・min/m2の放電量でコロナ処理を行い、表面処理後1時間以内に、配合例1に示す光重合性接着剤を、ワイヤーバーコーターを用いて膜厚2μmとなるように塗工し、ZF−14/重合性接着剤層/ZF−14からなる積層フィルムを得た。
この積層体の四方をセロハンテープで固定し、ブリキ板に固定した。
UV照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射して、積層体を作製した。
実施例1で光重合性接着剤(配合例1)の代わりに、表1に示すように配合例2〜8に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
実施例1で光重合性接着剤(配合例1)の代わりに、表1に示すように配合例9〜14に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
日本ゼオン社製のノルボルネン系フィルム(商品名「ゼオノア ZF−14:100μm」)と貼り合わせる光学フィルムを、三菱レイヨン社製のアクリル系フィルム(商品名「HDB−002:50μm」)に(実施例9)、カネカ社製のポリカーボネート系フィルム(商品名「R−140:43μm」に(実施例10)、富士フィルムビジネスサプライ社製の紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロース系フィルム:商品名「TAC50μ」(厚み50μm)に(実施例11)それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得、同様に評価した。
接着力は、JIS K6 854−4 接着剤−剥離接着強さ試験方法−第4部:浮動ローラー法に準拠して測定した。
即ち、得られた積層体を、25mm×150mmのサイズにカッターを用いて裁断して測定用サンプルとした。サンプルを、両面粘着テープ(トーヨーケム株式会社製DF8712S)を使用して、ラミネータを用いて金属板上に貼り付けて、積層体と金属板との測定用の試験片を得た。この測定用の試験片を23℃、相対湿度50%の条件下で、300mm/分の速度で引き剥がし、剥離力とした。
◎:剥離不可、あるいはフィルム破壊
○:剥離力が2.0(N/25mm)以上〜5.0(N/25mm)未満。
△:剥離力が1.0(N/25mm)以上〜2.0(N/25mm)未満。
×:剥離力が1.0(N/25mm)未満。
コロナ処理を施していない日本ゼオン社製のノルボルネン系フィルム(商品名「ゼオノア ZF−14:100μm」に、配合例1に示す光重合性接着剤を、ワイヤーバーコーターを用いて膜厚20〜25μmとなるように塗工し、光重合性接着剤層を形成した。さらに光重合性接着剤層の上にコロナ処理を施していないゼオノア ZF−14を重ね、3層からなる積層フィルムを得た後、UV照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し光重合性接着剤層を硬化させた。3層からなる積層体のゼオノア ZF−14を剥離し接着剤層を得た。
接着剤層の重量を測定した後(重量1)を金属メッシュと金属メッシュの間に挟み接着剤層同士が重ならないようにし、メチルエチルケトン(MEK)中で3時間還流した。さらに80℃−30分乾燥し、接着剤層の重量を測定した(重量2)。下記式よりゲル分率を求め、3段階評価した。
ゲル分率(%)={1−(重量1−重量2)/重量1)}×100
○:ゲル分率が90%以上
×:ゲル分率が90%未満
ダンベル社製の100mm×100mmの刃を用い、作製した積層体を打ち抜いた。
打ち抜いた積層体の浮きや剥がれの有無を目視で確認した。
○:浮き又は剥がれなし
×:浮き又は剥がれあり
各実施例、比較例で得られた積層体を、50mm×40mmの大きさに裁断し、60℃−90%RHの条件下で1000時間暴露した。暴露後の端部の剥がれの有無を目視にて評価した。
○:剥がれが全く無し
×:剥がれあり
これに対して、三員環状のオキシラン化合物(B)のみの比較例5では、粘度が高く、さらにゲル分率が低く硬化性が悪いため、打ち抜き加工性、湿熱耐性に劣ることがわかる。
また、少なくとも一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)を含まず、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物に対して三員環状のオキシラン化合物(B)を添加した比較例1では、ゲル分率が低く硬化性が悪いため、打ち抜き加工性、湿熱耐性に劣ることがわかる。
一方、オキセタン化合物のみの比較例2やビニルエーテル化合物のみの比較例3では、光学フィルムに全く接着しない上に、ゲル分率が低く硬化性が悪いため、打ち抜き加工性、湿熱耐性に劣ることがわかる。
さらに、三員環状のオキシラン化合物(B)を含まない比較例4では、硬化した接着剤が硬脆いため、打ち抜き加工性、湿熱耐性に劣ることがわかる。
Claims (6)
- シクロオレフィンポリマー系フィルムを含む液晶表示装置の光学素子用積層体に用いられる接着剤であって、
該接着剤の主成分として、少なくとも一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)を含有し、さらに、三員環状のオキシラン化合物(B)(ただし、脂環式エポキシドおよびビスフェノール型エポキシ樹脂を除く)、光重合開始剤(C)をそれぞれ含有し、
前記三員環状のオキシラン化合物(B)が脂肪族系環状エーテル基を二個以上有する化合物を含み、
前記一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)100重量部に対して、脂肪族系環状エーテル基を二個以上有する化合物を5〜40重量部含有し、
実質的に有機溶剤を含有しないことを特徴とする液晶表示装置用光重合性接着剤。 - 少なくとも一個以上のオキセタン環を含有するビニルエーテル化合物(A)100重量部に対して、光重合開始剤(C)を0.5〜20重量部含有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用光重合性接着剤。
- 光重合開始剤(C)が、光照射によって酸活性種を発生するA+B−で表される塩であって、前記陽イオンA+が、芳香族ヨードニウムイオンおよび芳香族スルホニウムイオンからなる群より選ばれる請求項1または2に記載の液晶表示装置用光重合性接着剤。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の液晶表示装置用光重合性接着剤を用いて、フィルム状基材にシクロオレフィンポリマー系フィルムを接着してなる液晶表示装置用積層体。
- 前記、シクロオレフィンポリマー系フィルムと貼り合せる光学フィルムは、シクロオレフィンポリマー系フィルム、アクリル系フィルム、アセチルセルロース系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルムのいずれかである請求項4記載の液晶表示装置用積層体。
- 請求項4または5に記載の積層体を用いて得られる液晶表示装置用の光学素子用積層体。
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