JP2020065957A - 蒸留装置の省エネルギーシステム - Google Patents
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Abstract
Description
ヒートポンプを用いた蒸留装置の省エネルギーシステムであって、
(a)水溶性低沸点成分と、水を主成分とする高沸点成分を含む原料液の蒸留を行う蒸留塔と、前記蒸留塔の塔底液を再加熱するリボイラとを備えた蒸留部と、
(b)前記蒸留塔の塔頂から取り出される、前記原料液よりも前記水溶性低沸点成分を高い割合で含む塔頂ベーパを、分縮コンデンサ用循環冷却水により冷却して、凝縮液と、前記凝縮液よりも前記水溶性低沸点成分を高い割合で含むベーパとに分離する分縮コンデンサと、
(c)前記分縮コンデンサで前記塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記分縮コンデンサ用循環冷却水を冷却して、所定の熱量を系外に排出することができるように構成された循環冷却水クーラと、
(d)前記循環冷却水クーラで冷却され、所定の熱量が系外に排出された後の前記分縮コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記リボイラに高温水として供給するように構成された第1のヒートポンプと、
(e)前記分縮コンデンサにおける不凝縮ガスである前記ベーパに含まれる前記水溶性低沸点成分を水に吸収させる吸収装置本体と、前記吸収装置本体において前記水溶性低沸点成分の吸収に用いられて昇温した前記水を、下記第2のヒートポンプにおいて熱回収が行われた後の循環冷却水によって間接的に冷却する吸収装置用間接型熱交換器とを備えた吸収装置と、
(f)前記吸収装置用間接型熱交換器において、前記水溶性低沸点成分の吸収に用いられて昇温した前記水の冷却に用いられ、昇温した前記循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記リボイラに高温水として供給するように構成された第2のヒートポンプと
を備え、
前記分縮コンデンサで前記塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記分縮コンデンサ用循環冷却水を、前記循環冷却水クーラで冷却して、所定の熱量を系外に排出することにより、前記第1のヒートポンプおよび前記第2のヒートポンプを駆動するために使用される電力に基づいて当該蒸留装置に入力される熱量に対応する所定の熱量が系外に排出され、当該蒸留装置全体における熱バランスの調整が行われるように構成されていること
を特徴としている。
前記吸収装置本体が、
前記分縮コンデンサにおける不凝縮ガスである前記ベーパを、前記吸収装置本体において前記水溶性低沸点成分の吸収に用いられた後に前記吸収装置用間接型熱交換器で冷却された水と接触させて冷却する冷却機構部と、
前記冷却機構部で冷却された前記ベーパを水と接触させて、前記ベーパに含まれる前記水溶性低沸点成分を水に吸収させる吸収機構部と
を備えていることが好ましい。
前記循環冷却水クーラが、
前記分縮コンデンサで前記塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記分縮コンデンサ用循環冷却水を、水を冷媒として間接的に冷却する循環冷却水クーラ用間接型熱交換器と、
前記循環冷却水クーラ用間接型熱交換器で、前記分縮コンデンサ用循環冷却水を間接的に冷却するのに用いられ、昇温した前記水を空気と接触させ、主として前記水の気化熱によって前記水を冷却するとともに、前記空気と蒸発した水とを外部に放出することにより、前記所定の熱量が系外に排出されるように構成されたクーリングタワーと
を備えたものであることが好ましい。
なお、この実施形態では、アンモニアを主成分とする水溶性低沸点成分と、水を主成分とする高沸点成分とを含むとともに、固形分を1〜5wt%の割合で含む原料液(スラリー)を蒸留して、高濃度のアンモニア水溶液を得るために用いられる蒸留装置の省エネルギーシステムを例にとって説明する。
(a)原料液であるアンモニア水溶液の蒸留を行う蒸留塔A1と、蒸留塔A1の塔底液を再加熱するリボイラA2とを有する蒸留部Aと、
(b)蒸留塔A1で分離された、原料液よりもアンモニア(水溶性低沸点成分)を高い割合で含む塔頂ベーパを、冷却水(分縮コンデンサ用循環冷却水)により冷却して、凝縮液と、凝縮液よりもアンモニア(水溶性低沸点成分)を高い割合で含むベーパとに分離する分縮コンデンサBと、
(c)分縮コンデンサBで塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した分縮コンデンサ用循環冷却水を冷却して、所定の熱量を系外に排出することができるように構成された循環冷却水クーラ(この実施形態では、後述のように、循環冷却水クーラ用間接型熱交換器C1とクーリングタワーC2を組み合わせて構成されている)Cと、
(d)循環冷却水クーラCにおいて冷却され、所定の熱量が系外に排出された後の分縮コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げてリボイラA2に高温水として供給するように構成された第1のヒートポンプDと、
(e)分縮コンデンサBにおける不凝縮ガスであるベーパに含まれるアンモニア(水溶性低沸点成分)を水に吸収させる吸収装置本体E1と、吸収装置本体E1においてアンモニア(水溶性低沸点成分)の吸収に用いられて昇温した水を、下記第2のヒートポンプにおいて熱回収が行われた後の循環冷却水によって間接的に冷却する吸収装置用間接型熱交換器E2とを備えた吸収装置Eと、
(f)吸収装置Eが備える吸収装置用間接型熱交換器E2において、水溶性低沸点成分の吸収に用いられて昇温した水の冷却に用いられ、昇温した循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げてリボイラA2に高温水として供給するように構成された第2のヒートポンプFと、
を備えている。
また、分縮コンデンサBにおいては、高温の蒸発ベーパを凝縮させるため、30〜40℃の水が冷媒(分縮コンデンサ用循環冷却水)として用いられている。
なお、蒸留装置全体の熱バランスについては、各部の構成を説明した後、詳しく説明する。
(1)蒸留塔A1で分離された、アンモニアを供給液よりも高い割合で含み、圧力が37.3kPaA(絶対圧で37.3kPa)で、温度が70℃、NH3濃度が18.2wt%の蒸発ベーパ(塔頂ベーパ)が、745kg/hの割合で、分縮コンデンサBに送られて冷却され、
(2)NH3濃度が1.97wt%、温度が65℃の凝縮液が、367kg/hの割合で還流液として蒸留塔A1の塔頂に戻され、
(3)分縮コンデンサBで凝縮しなかった、NH3濃度が34.0wt%、温度が65℃のベーパが、378kg/hの割合で吸収装置Eに送られ、アンモニアの吸収が行われる。
そして、循環冷却水クーラCにおいて冷却され、所定の熱量が系外に排出された後の35℃の分縮コンデンサ用循環冷却水は、第1のヒートポンプDに送られて熱回収に供されるように構成されている。なお、蒸留装置全体の熱バランスについては後述する。
なお、分縮コンデンサBで凝縮した水を高い割合で含む凝縮液が還流液として蒸留塔A1の塔頂に戻されることは上述の通りである。
なお、回収液は、NH3濃度:25wt%、温度:15℃で、回収量:515kg/hとなる。
「リボイラでの加熱量」=「コンデンサでの凝縮熱量」 …(1)
「コンデンサでの凝縮熱」+「ヒートポンプにおける消費動力」
=「温水によるリボイラへの供給熱量(リボイラでの加熱量)」…(2)
すなわち、ヒートポンプを用いた蒸留装置においては「余剰熱量」であるヒートポンプの消費動力に相当する熱量を、なんらかの方法で系外に除去することが必要になる。
これにより、以下の式(3)の条件を満足すること、すなわち熱バランスをとることが可能になる。
「コンデンサにおける凝縮熱」−「余剰熱量」
=「温水によるリボイラへの供給熱量」 …(3)
2 吸収塔下方領域
3 堰
100 蒸留装置の省エネルギーシステム
A 蒸留部
A1 蒸留塔
A11 棚段塔
A12 充填塔
A2 リボイラ
B 分縮コンデンサ
C 循環冷却水クーラ
C1 循環冷却水クーラ用間接型熱交換器
C2 クーリングタワー
D 第1のヒートポンプ
E 吸収装置
E1 吸収装置本体
E2 吸収装置用間接型熱交換器
E10 エゼクター式スクラバ
E11 吸収塔
E12 吸収液槽
F 第2のヒートポンプ
Claims (6)
- ヒートポンプを用いた蒸留装置の省エネルギーシステムであって、
(a)水溶性低沸点成分と、水を主成分とする高沸点成分を含む原料液の蒸留を行う蒸留塔と、前記蒸留塔の塔底液を再加熱するリボイラとを備えた蒸留部と、
(b)前記蒸留塔の塔頂から取り出される、前記原料液よりも前記水溶性低沸点成分を高い割合で含む塔頂ベーパを、分縮コンデンサ用循環冷却水により冷却して、凝縮液と、前記凝縮液よりも前記水溶性低沸点成分を高い割合で含むベーパとに分離する分縮コンデンサと、
(c)前記分縮コンデンサで前記塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記分縮コンデンサ用循環冷却水を冷却して、所定の熱量を系外に排出することができるように構成された循環冷却水クーラと、
(d)前記循環冷却水クーラで冷却され、所定の熱量が系外に排出された後の前記分縮コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記リボイラに高温水として供給するように構成された第1のヒートポンプと、
(e)前記分縮コンデンサにおける不凝縮ガスである前記ベーパに含まれる前記水溶性低沸点成分を水に吸収させる吸収装置本体と、前記吸収装置本体において前記水溶性低沸点成分の吸収に用いられて昇温した前記水を、下記第2のヒートポンプにおいて熱回収が行われた後の循環冷却水によって間接的に冷却する吸収装置用間接型熱交換器とを備えた吸収装置と、
(f)前記吸収装置用間接型熱交換器において、前記水溶性低沸点成分の吸収に用いられて昇温した前記水の冷却に用いられ、昇温した前記循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記リボイラに高温水として供給するように構成された第2のヒートポンプと
を備え、
前記分縮コンデンサで前記塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記分縮コンデンサ用循環冷却水を、前記循環冷却水クーラで冷却して、所定の熱量を系外に排出することにより、前記第1のヒートポンプおよび前記第2のヒートポンプを駆動するために使用される電力に基づいて当該蒸留装置に入力される熱量に対応する所定の熱量が系外に排出され、当該蒸留装置全体における熱バランスの調整が行われるように構成されていること
を特徴とする蒸留装置の省エネルギーシステム。 - 前記蒸留塔の、前記原料液の供給位置より下側の領域が、棚段塔として構成されていることを特徴とする請求項1記載の蒸留装置の省エネルギーシステム。
- 前記吸収装置本体が、
前記分縮コンデンサにおける不凝縮ガスである前記ベーパを、前記吸収装置本体において前記水溶性低沸点成分の吸収に用いられた後に前記吸収装置用間接型熱交換器で冷却された水と接触させて冷却する冷却機構部と、
前記冷却機構部で冷却された前記ベーパを水と接触させて、前記ベーパに含まれる前記水溶性低沸点成分を水に吸収させる吸収機構部と
を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の蒸留装置の省エネルギーシステム。 - 前記冷却機構部として、エゼクター式スクラバが用いられていることを特徴とする請求項3記載の蒸留装置の省エネルギーシステム。
- 前記循環冷却水クーラが、
前記分縮コンデンサで前記塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記分縮コンデンサ用循環冷却水を、水を冷媒として間接的に冷却する循環冷却水クーラ用間接型熱交換器と、
前記循環冷却水クーラ用間接型熱交換器で、前記分縮コンデンサ用循環冷却水を間接的に冷却するのに用いられ、昇温した前記水を空気と接触させ、主として前記水の気化熱によって前記水を冷却するとともに、前記空気と蒸発した水とを外部に放出することにより、前記所定の熱量が系外に排出されるように構成されたクーリングタワーと
を備えたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸留装置の省エネルギーシステム。 - 前記原料液が、アンモニアを主成分とする水溶性低沸点成分と、水を主成分とする高沸点成分を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蒸留装置の省エネルギーシステム。
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