JP6612999B1 - 蒸留装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートポンプを用いて省エネルギーを図り、かつ、ヒートポンプに消費されるエネルギーを抑制し、さらに高い省エネルギー効果を得ることが可能な蒸留装置を提供する。【解決手段】低沸点成分を高沸点成分よりも高濃度で含有する原料液を蒸留して低沸点成分と高沸点成分とを分離するのに用いられる蒸留装置100において、蒸留塔を第1、第2、第3の3つの蒸留塔に分け、第1蒸留塔が第1リボイラ、第2蒸留塔が第2リボイラ、第3蒸留塔が第3リボイラを備え、塔頂コンデンサ21の冷却水の熱を、第1リボイラ用の第1ヒートポンプHP1、第2リボイラ用の第2ヒートポンプHP2、第3リボイラ用の第3ヒートポンプHP3の3つのヒートポンプに振り分け、各ヒートポンプで汲み上げた熱を、第1、第2、第3リボイラに供給し、かつ第3ヒートポンプおよび第2ヒートポンプのCOPが第1ヒートポンプのCOPより0.5以上大きくなるようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、低沸点成分と高沸点成分とを含む原料液を蒸留するための蒸留装置であって、詳しくは、ヒートポンプを用いて省エネルギーを図るようにした蒸留装置に関する。
蒸留装置における省エネルギー化の必要性は近年、益々増大しており、種々の提案が行われている。
そのような省エネルギー技術の1つとして、蒸留装置にヒートポンプを組み込んで、熱効率を向上させるようにした蒸留装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の蒸留装置は、蒸留塔と、蒸留コンデンサと、蒸留リボイラと、蒸留コンデンサから流出した第一出力流体を蒸留塔に戻すための還流用の配管とを備える蒸留装置である。
そして、この蒸留装置は、作動媒体(水)が蒸留コンデンサで受け取った熱を蒸留リボイラに与えるためのヒートポンプを備えている。ヒートポンプは、蒸留コンデンサと蒸留リボイラを接続するとともに作動媒体が循環する循環流路と、蒸留コンデンサで蒸発した後の作動媒体を圧縮する圧縮機と、蒸留リボイラで熱を与えた後の作動媒体を減圧(膨張)させる減圧弁とを備えた構成とされている。
そして、この蒸留装置によれば、蒸留塔の頂部から流出した第一出力流体の有する熱エネルギーが、ヒートポンプによって蒸留リボイラにおいて有効に回収され、第一出力流体の熱エネルギーの有効利用により、蒸留リボイラにおける第二出力流体の加熱に必要な熱エネルギーの削減を図ることが可能になるとされている。
特公平06−009641号公報
ところで、蒸留装置における省エネルギー化を図る方法の一つとして、上述のようにヒートポンプを利用する方法は、極めて有効な方法の一つであると考えられる。
しかしながら、蒸留塔の塔頂ベーパを冷却するためのコンデンサの冷却水から熱を回収し、加熱源としてリボイラに供給しようとすると、ヒートポンプとして高圧縮のタイプのものを用いることが必要となる。その結果、ヒートポンプの成績効率(COP)は小さくなり、省エネルギー効果も小さくなるという問題点がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、蒸留装置にヒートポンプを用いて省エネルギーを図るとともに、ヒートポンプに消費されるエネルギーを抑制して、さらなる省エネルギー効果を得ることが可能な蒸留装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の蒸留装置は、
高沸点成分と低沸点成分とを含有する液の蒸留を行い、前記低沸点成分を主成分とする第3塔頂ベーパと、前記低沸点成分よりも前記高沸点成分を高い割合で含有する第3塔底液に分離する第3蒸留塔であって、下記塔頂コンデンサにおける凝縮液の一部が還流液として塔頂に還流されるように構成された第3蒸留塔と、
前記第3蒸留塔が備える第3リボイラであって、前記高沸点成分と前記低沸点成分とを含有する原料液の一部と、当該第3リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第3塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパを前記第3蒸留塔の塔底に供給する第3リボイラと、
前記第3蒸留塔の塔頂から取り出される前記低沸点成分を主成分とする前記第3塔頂ベーパを塔頂コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させた、前記低沸点成分を主成分とする凝縮液のうちの一部が前記第3蒸留塔に還流され、前記第3蒸留塔に還流される前記一部を除いた残部が留出液として回収されるように構成された塔頂コンデンサと、
前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の一部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記第3リボイラに第3リボイラ用高温水として供給するように構成された第3ヒートポンプと、
前記第3リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第3塔底液との混合液の一部が塔頂から供給され、かつ、下記第2リボイラにおいて蒸発したベーパが塔底から供給されることにより蒸留が行われて、塔頂から第2塔頂ベーパが取り出され、塔底から第2塔底液が取り出されるとともに、前記第2塔頂ベーパが前記第3蒸留塔の塔底に供給されるように構成された第2蒸留塔と、
前記第2蒸留塔が備える第2リボイラであって、前記原料液のうちの、前記第3リボイラに供給された一部を除いた残部と、当該第2リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第2塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパを前記第2蒸留塔の塔底に供給する第2リボイラと、
前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、前記第3ヒートポンプに送られた一部と下記第1ヒートポンプに送られる他の一部とを除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記第2リボイラに第2リボイラ用高温水として供給するように構成された第2ヒートポンプと、
前記第2リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第2塔底液との混合液の一部が塔頂から供給され、かつ、下記第1リボイラにおいて蒸発したベーパが塔底から供給されることにより、塔頂から取り出される第1塔頂ベーパと、塔底から取り出される、前記低沸点成分をほとんど含まない第1塔底液とに分離されるとともに、前記第1塔頂ベーパが前記第2蒸留塔の塔底に供給されるように構成された第1蒸留塔と、
前記第1塔底液を循環させて加熱・蒸発させ、前記第1蒸留塔の塔底に供給する第1リボイラと、
前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、前記第3ヒートポンプに送られた一部と前記第2ヒートポンプに送られた他の一部を除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記第1リボイラに第1リボイラ用高温水として供給するように構成された第1ヒートポンプと
前記第3ヒートポンプで温度レベルを上げて前記第3リボイラに供給される前記第3リボイラ用高温水の温度が、前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも15℃以上40℃以下の範囲で高く、前記第2ヒートポンプで温度レベルを上げて前記第2リボイラに供給される前記第2リボイラ用高温水の温度が、前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも25℃以上50℃以下の範囲で高く、前記第1ヒートポンプで温度レベルを上げて前記第1リボイラに供給される前記第1リボイラ用高温水の温度が、前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも30℃以上60℃以下の範囲で高いという条件が満たされる操作圧となるように、前記塔頂コンデンサを経て真空吸引し、系内を減圧にする真空ポンプと
を備え、
前記第3ヒートポンプおよび前記第2ヒートポンプのCOPの値が、それぞれ、前記第1ヒートポンプのCOPの値より0.5以上大きくなるように構成されていること
を特徴としている。
本発明の蒸留装置においては、前記第3ヒートポンプおよび前記第2ヒートポンプのCOPの値が、それぞれ、前記第1ヒートポンプのCOPの値より1.0以上大きくなるように構成されていることが好ましい。
また、前記第3ヒートポンプおよび前記第2ヒートポンプとして、COPの値が4.0以上8.0以下のヒートポンプが用いられるように構成されていることが好ましい。
また、前記第3蒸留塔および前記第2蒸留塔の塔径よりも前記第1蒸留塔の塔径の方が小さくなるように構成されていることが好ましい。
また、前記原料液が、前記低沸点成分を30wt%〜70wt%の範囲で含有し、前記高沸点成分を70wt%〜30wt%の範囲で含有していることが好ましい。
また、前記原料液の前記第3リボイラと前記第2リボイラへの供給割合を制御することにより、前記第3蒸留塔と前記第2蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合を調整することができるように構成されていることが好ましい。
また、前記原料液のうち、前記第3リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液の45wt%〜90wt%、前記第2リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液から前記第3リボイラに供給される前記原料液を除いた残部となるように構成されていることが好ましい。
また、本発明は、前記低沸点成分が有機溶剤であり、前記高沸点成分が水である場合に好適に用いることができる。
また、本発明は、前記低沸点成分と前記高沸点成分が、いずれも有機溶剤である場合にも好適に用いることができる。
また、前記原料液における低沸点成分がメタノール、高沸点成分が水であり、前記メタノールと前記水とをそれぞれ50wt%ずつ含有している場合において、前記第3リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液の60wt%〜80wt%、前記第2リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液から前記第3リボイラに供給される前記原料液を除いた残部となるように構成されていることが好ましい。
本発明の蒸留装置は、上述のような構成を備えており、蒸留塔が第1蒸留塔、第2蒸留塔および第3蒸留塔の3塔に分割されている。
そして、第3ヒートポンプで温度レベルを上げて第3リボイラに供給される第3リボイラ用高温水の温度が、塔頂コンデンサにおいて第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも15℃以上40℃以下の範囲で高く、第2ヒートポンプで温度レベルを上げて第2リボイラに供給される第2リボイラ用高温水の温度が、塔頂コンデンサにおいて第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも25℃以上50℃以下の範囲で高く、第1ヒートポンプで温度レベルを上げて第1リボイラに供給される第1リボイラ用高温水の温度が、塔頂コンデンサにおいて第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも30℃以上60℃以下の範囲で高いという条件が満たされる操作圧となるように、真空ポンプにより塔頂コンデンサを経て真空吸引し、系内を減圧にするように構成されている。
その結果、上記第3蒸留塔用の第3ヒートポンプおよび上記第2蒸留塔用の第2ヒートポンプのCOP(成績効率)の値が、上記第1蒸留塔用の第1ヒートポンプのCOPの値より0.5以上大きくなるようにして、省エネルギー性に優れた、エネルギー効率の高い蒸留装置を実現することができる。
以下、本発明の奏する作用効果について、詳しく説明する。
通常、蒸留塔では、蒸留の対象となる液体の組成と操作圧力が決定されると、固有の物性値により塔頂と塔底の温度が定まる。
そして、蒸留塔を上述の第3蒸留塔と、第2蒸留塔と、第1蒸留塔とに分割(3分割)することで、各蒸留塔において蒸留操作が行われる流体中の低沸点成分と高沸点成分の割合を異ならせることが可能になる。
そのため、塔頂コンデンサで用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水(以下、単に「昇温冷却水」ともいう)と、昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、リボイラに供給される高温水(以下、単に「高温水」ともいう)との温度差が、第3蒸留塔において最も小さくなり、第3ヒートポンプにおいてCOPが最も大きくなる。
また、第2蒸留塔においても、上述の「昇温冷却水」と「高温水」との温度差が第3蒸留塔におけるよりは大きくなるものの、第1蒸留塔におけるよりは十分に小さくなり、第2ヒートポンプにおいてもCOPを第1ヒートポンプに比べて十分に大きくすることが可能になる。
すなわち、上述の「昇温冷却水」と「高温水」との温度差は、第1蒸留塔において最も大きくなり、第3蒸留塔において最も小さくなる。そして、第2蒸留塔においてはその中間の温度差となる。
各ヒートポンプにおいては、上述の「昇温冷却水」と「高温水」との温度差が小さいほど、COP(成績効率)が大きくなることから、上述の「高温水」の温度があまり高くならないように制御することが望ましい。
そして、そのためには、「昇温冷却水」から汲み上げた熱でリボイラを稼働させて発生させたベーパの温度で蒸留を行うことができるように、蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合や、それに対応する温度分布などを制御することが望ましい。
ここで、各蒸留塔(第1蒸留塔、第2蒸留塔および第3蒸留塔)に配設された各ヒートポンプ(第1ヒートポンプ、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプ)のCOPに着目して説明すると、例えば、従来広く用いられている、単一の蒸留塔を備えたヒートポンプ式蒸留設備において、塔頂ベーパを冷却するための塔頂コンデンサの冷却水の熱をヒートポンプにおいて回収し、回収した熱量をリボイラに供給するようにした場合、塔頂ベーパと塔底液の温度差が大きくなるので、ヒートポンプにおける温度レベルの上昇幅を大きくすることが必要で、ヒートポンプにかかる負荷が大きくなるため、ヒートポンプのCOP(成績効率=加熱・冷却能力(kW)/消費電力(kW))の値を十分に大きくすることは困難で、通常はCOPが3程度になることが多い
これに対して、本発明では、蒸留塔を第1蒸留塔、第2蒸留塔および第3蒸留塔の3つの蒸留塔に分け、第1蒸留塔は第1リボイラを備え、第2蒸留塔は第2リボイラを備え、第3蒸留塔は第3リボイラを備えた構成とするとともに、第3塔頂ベーパを冷却するための塔頂コンデンサの冷却水の熱を、第1リボイラ用の第1ヒートポンプ、第2リボイラ用の第2ヒートポンプおよび第3リボイラ用の第3ヒートポンプの3種類のヒートポンプとに振り分け、各ヒートポンプで汲み上げた熱を、第1蒸留塔用の第1リボイラ、第2蒸留塔用の第2リボイラおよび第3蒸留塔用の第3リボイラに供給するようにしている。
仮に、各ヒートポンプで汲み上げた熱を第1リボイラ、第2リボイラおよび第3リボイラにそれぞれ1/3ずつ供給するようにした場合、上述のように、第1蒸留塔よりも第2蒸留塔および第3蒸留塔の方が、上述の「昇温冷却水」と「高温水」との温度差を小さくすることができるため、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプのCOPの値が、第1ヒートポンプのCOPの値より高い値となるように構成することが可能になる。
そして、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプのCOPの値がそれぞれ、第1ヒートポンプのCOPの値より0.5以上大きくなるように構成した場合、具体的には、例えば、第1ヒートポンプのCOPを3、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプのCOPを4(=3+1)とした場合、第1ヒートポンプ、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプの3つのヒートポンプのトータルのCOPは(3+4+4)/3=3.67となり、上述の従来技術の場合のCOP3に対して、約1.22倍の効率を得ることができる。
なお、本発明においては、下記の発明を実施するための形態の欄で説明するように、第1ヒートポンプのCOPの値が3〜4であるときに、通常は、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプのCOPの値を4.0〜8.0程度の大きな値とすることが可能で、その場合には、より大きな省エネルギー効果を得ることができる。
したがって、本発明によれば、蒸留塔全体についてみた場合に、第1ヒートポンプ、第2ヒートポンプ、第3ヒートポンプの、全体のCOPを大きくすることが可能になり、省エネルギー性に優れた蒸留装置を実現することが可能になる。
また、本発明においては、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプのCOPの値が、第1ヒートポンプのCOPの値より1.0以上大きくなるように構成することにより、さらに高い省エネルギー効果を得ることが可能になる。
また、本発明においては、第2ヒートポンプおよび第3ヒートポンプにおいて、上述の「昇温冷却水」と「高温水」との温度差を小さくすることができるため、第2ヒートポンプ、第3ヒートポンプとして、COPの値が4.0以上8.0以下のヒートポンプを用いることが可能になる。そして、そのように構成した場合、第1、第2および第3の3つのヒートポンプの全体としてのCOPをさらに大きくすることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
なお、第1、第2および第3蒸留塔への負荷(各リボイラから各蒸留塔に供給される蒸気量、蒸気中の低沸点成分と高沸点成分の割合、還流液の組成、量などの条件)を制御することにより、第2ヒートポンプ、第3ヒートポンプとして、COPが4.0以上8.0以下のヒートポンプを用いることを可能ならしめることができる。
また、本発明の蒸留装置によれば、第3蒸留塔および第2蒸留塔の塔径よりも第1蒸留塔の塔径の方が小さくなるように構成することができる。そして、そのように構成することにより、装置全体の小型化、コストの削減を図ることが可能になる。
なお、本発明の蒸留装置において、第1蒸留塔には第1リボイラで蒸発したベーパが供給されるのに対して、第2蒸留塔には、原料液のうちの、第3リボイラに供給された一部を除いた残部と、第2リボイラにおいて蒸発させた後の液と、第2塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパと、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)とが供給される。
さらに、第3蒸留塔には、原料液の一部と、第3リボイラにおいて蒸発させた後の液と、第3塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパと、第2蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)とが供給される。
したがって、通常は、第2蒸留塔には第1蒸留塔よりも多くのペーパが供給され、第3蒸留塔には第2蒸留塔よりもさらに多くのベーパが供給されることになる。
その結果、適正な気液接触を確保しつつ、第1蒸留塔の塔径を、第2蒸留塔および第3蒸留塔の塔径より小さくすることが可能になり、設備コストの低減を図ることができる。
また、上述のように、通常、第2蒸留塔には第3蒸留塔よりも少ない量のベーパが供給されることになるため、第2蒸留塔は第3蒸留塔よりも塔径を小さくすることが可能になる。
また、本発明においては、原料液が、低沸点成分を30wt%〜70wt%の範囲で含有し、高沸点成分を70wt%〜30wt%の範囲で含有している場合に十分な効果を得ることができる。
すなわち、原料液が上記条件を満たす場合に、塔頂コンデンサで用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水(単に「昇温冷却水」ともいう)と、昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、リボイラに供給される高温水(単に「高温水」ともいう)との温度差が、第3蒸留塔において最も小さくなり、第3ヒートポンプにおいてCOPが最も大きくなり、第2蒸留塔においても、上述の「昇温冷却水」と「高温水」との温度差が第3蒸留塔におけるよりは大きくなるものの、第1蒸留塔におけるよりは十分に小さくなり、第2ヒートポンプにおいてもCOPを第1ヒートポンプに比べて十分に大きくすることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
なお、本発明において、原料液が低沸点成分を30wt%〜70wt%の範囲で含有し、高沸点成分を70wt%〜30wt%の範囲で含有している場合、より好ましくは低沸点成分を40wt%〜60wt%の範囲で含有し、高沸点成分を60wt%〜40wt%の範囲で含有している場合に、特に良好な省エネルギー効果を得ることができる。
ただし、低沸点成分30wt%〜70wt%、高沸点成分70wt%〜30wt%の範囲を超える場合にも、第2蒸留塔と第3蒸留塔への原料液の分配の割合などを調整することにより、有意性のある省エネルギー効果を得ることができる場合がある。
また、本発明の蒸留装置においては、原料液の第3リボイラと第2リボイラへの供給割合を制御し、第3蒸留塔と第2蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合を調整することにより、第3蒸留塔と第2蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合を制御して、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを高くすることが可能になり、エネルギー効率の高い蒸留装置を実現することができる。
すなわち、第3蒸留塔と第2蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合を制御することにより、塔頂コンデンサで用いられて昇温した上述の「昇温冷却水」と、「昇温冷却水」からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、第3リボイラおよび第2リボイラに供給される高温水との温度差を小さく抑えて、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを高くすることが可能になり、エネルギー効率を向上させることができる。
さらに、原料液のうち、第3リボイラに供給される原料液の割合が、全原料液の45wt%〜90wt%、第2リボイラに供給される原料液の割合が残部となるようにすることで、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを高くすることが可能になり、エネルギー効率の高い蒸留装置を実現することができる。
すなわち、原料液のうち、第3リボイラに供給される原料液の割合を上述の45wt%〜90wt%とすることにより、上述の「昇温冷却水」と、「昇温冷却水」からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、第3リボイラおよび第2リボイラに供給される高温水との温度差を小さく抑えて、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを高くすることが可能になり、エネルギー効率を向上させることができる。
また、本発明は、低沸点成分が有機溶剤であり、高沸点成分が水である系に適用した場合に、省エネルギー効率の良好な蒸留装置を実現することができる。
また、本発明は、低沸点成分と高沸点成分が、いずれも有機溶剤である系にも適用することが可能であり、その場合にも省エネルギー効率の良好な蒸留装置を実現することができる。
また、原料液における低沸点成分がメタノール、高沸点成分が水であり、メタノールと水とをそれぞれ50wt%ずつ含有している場合において、第3リボイラに供給される原料液の割合が、全原料液の60wt%〜80wt%、第2リボイラに供給される原料液の割合が残部となるようにすることで、以下の実施形態の欄でも説明するように、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPが十分に高く、エネルギー効率の高い蒸留装置を実現することができる。
原料液がメタノール(低沸点成分)50wt%、水(高沸点成分)50wt%を含むものである場合には、上述のような割合で原料液を第3リボイラと第2リボイラに振り分けることにより、上述の「昇温冷却水」と、「昇温冷却水」からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、第3リボイラおよび第2リボイラに供給される高温水との温度差を小さく抑えて、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを高くすることが可能になり、エネルギー効率を向上させることができる。
本発明の一実施形態にかかる蒸留装置の構成を示すフローシートである。
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、本実施形態では、低沸点成分であるメタノールを50wt%の割合で含み、残部(50wt%)が水(高沸点成分)である原料液(被処理液)を蒸留してメタノールを分離、回収するための蒸留装置を例にとって説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、ヒートポンプを用いて省エネルギー性の向上を図った蒸留装置である。
図1に示すように、本実施形態にかかる蒸留装置100は、水(高沸点成分)と、メタノール(低沸点成分)を含有する液の蒸留を行い、低沸点成分を主成分とする塔頂ベーパ(第3塔頂ベーパ)(メタノール99.5wt%)と、低沸点成分よりも高沸点成分を高い割合で含有する塔底液(第3塔底液)(メタノール39.4wt%)に分離する第3蒸留塔3を備えているとともに、第3蒸留塔3が備える第3リボイラ13であって、水(50wt%)と、メタノール(50wt%)とを含有する原料液の一部と、当該第3リボイラ13において蒸発させた後の液と、前記第3塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパを、第3蒸留塔3の塔底に供給するように構成された第3リボイラ13を備えている。
なお、第3リボイラ13としては、後述のように、液膜降下式の塔状の間接型熱交換器が用いられている。また、以下の第2リボイラ12、第1リボイラ11においても同様である。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第3蒸留塔3の塔頂から取り出されるメタノールを主成分とする第3塔頂ベーパを、塔頂コンデンサ用循環冷却水により冷却して、メタノールを主成分とする凝縮液(メタノール99.5wt%)を留出液として回収するための塔頂コンデンサ21を備えている。なお、塔頂コンデンサ21としては、円筒多管式熱交換器が用いられている。
なお、塔頂コンデンサ21には吸引ライン32が接続され、真空ポンプ31により系内を真空に吸引することができるように構成されている。真空ポンプ31としては、水封式の真空ポンプが用いられている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、塔頂コンデンサ21で用いられた塔頂コンデンサ用循環冷却水の一部を導いて冷却するための冷却塔51と、塔頂コンデンサ用循環冷却水を冷却塔51に導くための冷却水循環ポンプ54を備えている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、塔頂コンデンサ21において第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の一部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて第3リボイラ13に第3リボイラ用高温水として供給するように構成された第3ヒートポンプHP3を備えている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、上記の塔状の第3リボイラ13の塔底液(第3リボイラ13において蒸発させた後の液)と、第3塔底液との混合液の一部が塔頂から供給され、かつ、後述の第2リボイラ12において循環・加熱され、蒸発したベーパが塔底から供給されることにより蒸留が行われて、塔頂から第2塔頂ベーパが取り出され、塔底から第2塔底液が取り出されるとともに、第2塔頂ベーパが第3蒸留塔3の塔底に供給されるように構成された第2蒸留塔2を備えている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第2蒸留塔2が有する第2リボイラ12であって、原料液のうち、第3リボイラに供給された一部を除いた残部と、当該第2リボイラ12において蒸発させた後の液と、第2塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパを第2蒸留塔2の塔底に供給する第2リボイラ12を有している。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、塔頂コンデンサ21において第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、第3ヒートポンプHP3に送られた一部と下記の第1ヒートポンプHP1に送られる他の一部とを除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて第2リボイラ12に第2リボイラ用高温水として供給するように構成された第2ヒートポンプHP2を備えている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第2蒸留塔2の塔底液(第2塔底液)の蒸留を行う第1蒸留塔1と、第1蒸留塔1の塔底液(第1塔底液)を循環させることにより加熱・蒸発させて、発生した蒸気を第1蒸留塔1の塔底に供給するように構成された第1リボイラ11とを備えている。
第1蒸留塔1の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)は第2蒸留塔2の塔底に供給されるように構成されている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、塔頂コンデンサ21において第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、第3ヒートポンプHP3に送られた一部と、第2ヒートポンプHP2に送られた一部を除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて第1リボイラ11に第1リボイラ用高温水として供給するように構成された第1ヒートポンプHP1を備えている。
以下、図1を参照しつつ、本実施形態にかかる蒸留装置100についてさらに詳しく説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100が備える第3蒸留塔3、第2蒸留塔2および第1蒸留塔1はいずれも、上述のように、メタノール水溶液の蒸留を行う蒸留塔であって、例えば、棚段塔、充填塔など種々の構成のものを用いることが可能である。なお、本実施形態では規則充填塔が用いられている。
また、第3リボイラ13、第2リボイラ12、第1リボイラ11は、それぞれ、第3蒸留塔3、第2蒸留塔2、第1蒸留塔1への熱の入力を行うものであり、本実施形態では、第3リボイラ13、第2リボイラ12、第1リボイラ11として、液膜降下式の間接型熱交換器が用いられている。ただし、他の型式の熱交換器を用いることも可能である。
また、原料液を予熱する予熱器41としては、プレート式熱交換器が用いられている。
第3リボイラ13は、第3ヒートポンプHP3からの65℃の高温水(第3ッリボイラ用高温水)が加熱源として用いられる間接型熱交換器であって、第3リボイラ13において加熱され、発生したベーパは、上述したように、第3蒸留塔3の塔底に供給される。
また、第2リボイラ12は、第2ヒートポンプHP2からの73℃の高温水(第2リボイラ用高温水)が加熱源として用いられる間接型熱交換器であって、第2リボイラ12において加熱され、発生したベーパは、上述したように、第2蒸留塔2の塔底に供給される。
また、第1リボイラ11は、第1ヒートポンプHP1からの85℃の高温水(第1リボイラ用高温水)が加熱源として用いられる間接型熱交換器であって、第1リボイラ11において加熱され、発生したベーパは、上述したように、第1蒸留塔1の塔底に供給される。
なお、図1に示すように、第3蒸留塔3の塔底液(第3リボイラ13の塔底液(第3リボイラ13において蒸発させた後の液)を含む)は、第3循環ポンプ63を経て、第2蒸留塔2の塔頂に供給され、また、予熱器41を通過して昇温した上述の原料液(供給液)の一部は、第3循環ポンプ63の下流側で、第3蒸留塔3の塔底液(第3リボイラ13の塔底液(第3リボイラ13において蒸発させた後の液)を含む)と合流して第3リボイラ13の塔頂に供給される。
また、第2蒸留塔2の塔底液(第2リボイラ12の塔底液(第2リボイラ12において蒸発させた後の液)を含む)は、第2循環ポンプ62を経て、第1蒸留塔1の塔頂に供給される。そして、予熱器41を通過して昇温した上述の原料液(供給液)のうち、上述の第3リボイラ13に供給される一部を除いた残部は、第2循環ポンプ62の下流側で、第2蒸留塔2の塔底液(第2リボイラ12の塔底液(第2リボイラ12において蒸発させた後の液)を含む)と合流して第2リボイラ12の塔頂に供給される。
また、図1に示すように、第1蒸留塔1の塔底液(第1リボイラ11の塔底液(第1リボイラ11において蒸発させた後の液)を含む)は、第1循環ポンプ61を経て、第1リボイラ11の塔頂に戻され、第1リボイラ11で加熱されて蒸発したベーパは、第1蒸留塔1の塔底に供給される。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100において、第3蒸留塔3では、その塔底から導入される、第3リボイラ13で発生したベーパと第2蒸留塔2の塔頂ベーパの混合ベーパと、還流ポンプ64を経て塔頂から供給される、塔頂コンデンサ21で凝縮した凝縮液の一部である還流液とが気液接触することで、メタノールの蒸留が行われる。
そして、第3蒸留塔3の塔頂ベーパは、メタノールを高濃度(99.5wt%)で含有する温度が42.3℃のベーパで、塔頂コンデンサ21で冷却されることにより凝縮し、一部が還流液として、第2蒸留塔の塔頂に戻され、他の一部がメタノール99.5wt%の留出液として回収される。
なお、第3蒸留塔3の塔底液は、温度が54.8℃で、メタノール39.4wt%を含む(残部は水)メタノール水溶液である。
第2蒸留塔2では、その塔底から導入される、第2リボイラ12で発生したベーパと第1蒸留塔1の塔頂ベーパの混合ベーパと、塔頂から供給される、第3蒸留塔3の塔底液(第3リボイラ13の塔底液(第3リボイラ13において蒸発させた後の液)を含む)である還流液とが気液接触することで、メタノールの蒸留が行われる。
なお、第2蒸留塔2の塔頂ベーパは、温度が55.1℃で、メタノール78.7wt%(残部は水)を含むベーパである。
また、第2蒸留塔2の塔底液は、温度が63.3℃で、メタノール15.4wt%(残部は水)を含むメタノール水溶液である。
また、第1蒸留塔1では、その塔底から導入される、第1リボイラ11で発生したベーパと、塔頂から供給される、第2蒸留塔2の塔底液(第2リボイラ12において蒸発させた後の液を含む)である還流液とが気液接触することで、メタノールの蒸留が行われる。
なお、第1蒸留塔1の塔頂ベーパは、温度が65.6℃で、メタノール52.0wt%(残部は水)を含むベーパである。
また、第1蒸留塔1の塔底液は、温度が75.1℃で、微量のメタノールを含む水(メタノール濃度20ppm)であり、予熱器41において、原料液と熱交換されて系外に排出される。なお、排出された第1蒸留塔1の塔底液は、例えば、必要に応じて排水処理などが施された後、放流されることになる。
次に、第3ヒートポンプHP3、第2ヒートポンプHP2および第1ヒートポンプHP1についてさらに詳しく説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100が備える第3ヒートポンプHP3は、上述のように、塔頂コンデンサ21で用いられ、昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水(本実施形態では39℃)の一部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて第3リボイラ13に高温水(本実施形態では65℃)として供給することができるように構成されており、第3リボイラ13で用いられて、温度が60℃に降下した熱媒(高温水側循環水)は、第3温水循環ポンプ73を経て第3ヒートポンプHP3に戻り、昇温されて再び第3リボイラ13に第3リボイラ用高温水(本実施形態では65℃)として供給されるように構成されている。
また、第3ヒートポンプHP3において熱回収され、温度が34℃に低下した塔頂コンデンサ用循環冷却水は、第3冷水循環ポンプ83を経て、再び塔頂コンデンサ21に供給されるように構成されている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100が備える第2ヒートポンプHP2は、上述のように、塔頂コンデンサ21で第3塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水(本実施形態では39℃)の一部、すなわち、塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、第3ヒートポンプに送られた塔頂コンデンサ用循環冷却水と、第1ヒートポンプHP1に送られた塔頂コンデンサ用循環冷却水とを除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて第2リボイラ12に第2リボイラ用高温水(本実施形態では73℃)として供給することができるように構成されている。
また、第2リボイラ12で用いられて、温度が68℃に降下した第2リボイラ用高温水は、第2温水循環ポンプ72を経て第2ヒートポンプHP2に戻され、73℃に昇温されて再び第2リボイラ12に供給されるように構成されている。
また、第2ヒートポンプHP2において熱回収され、温度が34℃に低下した塔頂コンデンサ用循環冷却水は、第2冷水循環ポンプ82を経て再び塔頂コンデンサ21に供給されるように構成されている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100が備える第1ヒートポンプHP1は、塔頂コンデンサ21で第3塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水(本実施形態では39℃)のうち、第3ヒートポンプHP3に送られた塔頂コンデンサ用循環冷却水と、第2ヒートポンプHP2に送られた塔頂コンデンサ用循環冷却水とを除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて第1リボイラ11に第1リボイラ用高温水(本実施形態では85℃)として供給することができるように構成されている。
また、第1リボイラ11で用いられて、温度が80℃に降下した第1リボイラ用高温水は、第1温水循環ポンプ71を経て第1ヒートポンプHP1に戻り、85℃に昇温されて再び第1リボイラ11に供給されるように構成されている。
また、第1ヒートポンプHP1において熱回収され、温度が34℃に低下した塔頂コンデンサ用循環冷却水は、第1冷水循環ポンプ81を経て、再び塔頂コンデンサ21に供給されるように構成されている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第3ヒートポンプHP3として、2台の小型汎用品のヒートポンプが用いられており、予備のヒートポンプとして、同型のヒートポンプをさらに1台備えている。
そして、本実施形態では、2台のヒートポンプの合計の動力が103kWとなるように構成されている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第2ヒートポンプHP2として、4台の小型汎用品のヒートポンプが用いられており、予備のヒートポンプとして、同型のヒートポンプをさらに1台備えている。
そして、本実施形態では、4台のヒートポンプの合計の動力が196kWとなるように構成されている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第1ヒートポンプHP1として、3台の小型汎用品のヒートポンプが用いられており、予備のヒートポンプとして、同型のヒートポンプをさらに1台備えている。
そして、本実施形態では、3台のヒートポンプの合計の動力が270kWとなるように構成されている。
なお、上述の第3ヒートポンプHP3、第2ヒートポンプHP2および第1ヒートポンプHP1は、いずれも予備機を含む台数制御およびインバータ制御によって能力調整が行われるように構成されている。
また、上述のように、第3ヒートポンプHP3、第2ヒートポンプHP2および第1ヒートポンプHP1は、いずれも1台の予備のヒートポンプを備えている。これにより、不測の故障に対する操業の安定性を確保することができるとともに、運転中のメンテナンスが可能になる。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、上述のように、第3リボイラ13、第2リボイラ12および第1リボイラ11の熱源として、第3ヒートポンプHP3、第2ヒートポンプHP2および第1ヒートポンプHP1で温度レベルを上昇させた高温水(第3リボイラ13では65℃、第2リボイラ12では73℃、第1リボイラでは85℃の高温水)を用いるとともに、上記温度の高温水で第3リボイラ13、第2リボイラ12および第1リボイラ11を稼働させることができるように、真空操作を行うことで第3蒸留塔3、第2蒸留塔2および第1蒸留塔1の塔底液の沸点の調整を行っている。
したがって、第3ヒートポンプHP3および第2ヒートポンプHP2のそれぞれのCOP(成績効率)の値を、第1ヒートポンプHP1のCOPの値より0.5以上大きくすることが可能になる。
具体的には、本実施形態にかかる蒸留装置において、第1ヒートポンプHP1のCOPの値が3.7であるのに対して、第3ヒートポンプHP3のCOP(成績効率)の値が6.8、第2ヒートポンプHP2のCOP(成績効率)の値が5.6となっており、第3ヒートポンプHP3のCOPの値を、第1ヒートポンプHP1のCOPの値より3.1大きく、第2ヒートポンプHP2の値を、第1ヒートポンプHP1のCOPの値より1.9大きくすることができている。
すなわち、本実施形態のように、蒸留塔を第1蒸留塔1、第2蒸留塔2および第3蒸留塔3の3つの蒸留塔に分割し、それぞれにリボイラ(第1リボイラ11、第2リボイラ12および第3リボイラ13)と、ヒートポンプ(第1ヒートポンプHP1、第2ヒートポンプHP2および第3ヒートポンプHP3)を設け、各ヒートポンプにより熱を汲み上げて、各リボイラを稼働させるようにしているので、
(a)第3蒸留塔3における、塔頂コンデンサ21で用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水(昇温冷却水)(39℃)と、昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、第3蒸留塔に対応する第3リボイラに供給されるリボイラ用高温水(65℃)との温度差を26℃(65℃−39℃=26℃)と最も小さくして、第3ヒートポンプHP3のCOPを最も大きくする(COP=6.8)ことが可能になるとともに、
(b)第2蒸留塔2についても、上述の温度差(73℃−39℃=34℃)を、第1蒸留塔1における温度差(85℃−39℃=46℃)より小さくすることが可能になり、第2ヒートポンプHP2のCOP(=5.6)を、第1蒸留塔1における第1ヒートポンプHP1のCOP(=3.7)より大きくすることが可能になる。
その結果、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、従来の1塔式でヒートポンプを用いた蒸留装置に比べて、ヒートポンプ全体としてのCOPを大きくすることが可能になり、省エネルギー性に優れた、エネルギー効率の高い蒸留装置を実現することができる。
なお、
(1)第3蒸留塔3における上記温度差を最も小さくし、
(2)第2蒸留塔2における上記温度差を第3蒸留塔3における上記温度差より大きく、かつ、第1蒸留塔1における上記温度差よりも小さくするためには、
低沸点成分の濃度(高沸点成分と低沸点成分の割合)を適切な濃度(中間濃度)に調整することが必要になる。そのため、本実施形態においては、原料液の、第3リボイラ13と、第2リボイラ12への供給割合を適切に制御することにより、適切な割合で供給するようにしている。
ところで、ヒートポンプ式の蒸留装置においては、高いCOPを実現するためには、上述の塔頂コンデンサで用いられて昇温した昇温冷却水と、リボイラに供給されるリボイラ用高温水との温度差を小さくすること、言い換えれば、ヒートポンプにおける昇温幅を小さくすることが重要であり、そのためには、上記温度差が小さくても、リボイラにおいて必要とされる量の蒸発量が確保されるように構成することが望ましい。
ここで、本実施形態の場合のように、原料液のメタノール濃度が50wt%である場合、仮に、原料液の全量を第3リボイラ13に供給し、加熱量を増やすと第2蒸留塔2の塔底のメタノール濃度が低下し、第1蒸留塔1の塔底の温度と大きな差がなくなり、第2ヒートポンプHP2のCOPを、第1ヒートポンプHP1のCOPに対して、十分な有意性が認められるほどに大きくすることは困難になる。
したがって、第3蒸留塔3と第2蒸留塔2への原料液の供給割合は、各蒸留塔の設計条件と各蒸留塔に必要な熱量ごとに計算して適切に決定されることが望ましい。
次に、本実施形態の蒸留装置100の省エネルギー効果について具体的に説明する。
本実施形態の蒸留装置100は、メタノール(低沸点成分)を50wt%、水(高沸点成分)を50wt%の割合で含む原料液(被処理液)を蒸留してメタノールを分離、回収するための蒸留装置であって、上述のように蒸留塔を第1蒸留塔1、第2蒸留塔2、第3蒸留塔3の3つの蒸留塔に分割している。
そして、本実施形態にかかる蒸留装置100において、第3ヒートポンプHP3に入力されるエネルギーは、第3ヒートポンプHP3に入力される動力103kWと、第2蒸留塔2の塔頂から第3蒸留塔3の塔底に供給される第2塔頂ベーパの有するエネルギー(=第2ヒートポンプHP2に入力される動力)196kWと、第1蒸留塔1の塔頂から第2蒸留塔2の塔底に供給される第1塔頂ベーパの有するエネルギー(=第1ヒートポンプHP1に入力される動力)270kWの合計値569kW(103kW+196kW+270kW+=569kW)となる。この569kWが本実施形態にかかる蒸留装置100におけるすべてのヒートポンプに入力される総エネルギーとなる。
そして、本実施形態にかかる蒸留装置100において、すべてのヒートポンプに入力されるエネルギー569kWに対して、COPの値の小さい第1ヒートポンプHP1(COP=3.7)に入力されるエネルギー(動力)は270kWとなるのに対して、COPの値の大きい第2ヒートポンプHP2(COP=5.6)および第3ヒートポンプHP3(COP=6.8)には299kW(196kW+103kW=299kW)が入力されることになる。
すなわち、全体としてヒートポンプに入力されるエネルギー569kWのうち、52.5%(299/569=0.525)が、COPの大きい第2ヒートポンプHP2および第3ヒートポンプHP3に入力され、エネルギーが効率よく利用されることになる。
このように、本実施形態の蒸留装置によれば、第1ヒートポンプHP1、第2ヒートポンプHP2、第3ヒートポンプHP3の3つのヒートポンプのうち、COPが6.8の第3ヒートポンプHP3と、COP5.6の第2ヒートポンプHP2に299kWが入力され、COPが3.7と小さい第1ヒートポンプHP1には270kWだけが入力されることになるので、ヒートポンプ全体のCOPを大きくすることが可能になり、十分な省エネルギー効果を発揮する蒸留装置を実現することが可能になる。
なお、表1に、
(1)ヒートポンプを用いずに蒸気を熱エネルギーとして用いた従来の蒸気式の蒸留装置と、
(2)本発明のように蒸留塔を3塔に分けずに1塔式として、蒸留塔の塔頂ベーパからヒートポンプを用いて熱回収を行うようにした蒸留装置(この場合のヒートポンプのCOPは約3.7)と、
(3)蒸留塔を3塔に分けた、上記実施形態にかかる蒸留装置100と、
のそれぞれのエネルギー消費量を示す。
ただし、条件は以下の通りである。
原料液供給量:10000kg/hr(メタノール濃度50wt%)
回収液 :5025kg/hr (メタノール99.5wt%)
年間稼働時間:8000時間
電力12円/kW
蒸気:5000円/1000kg
Figure 0006612999
表1に示すように、従来の蒸気式の蒸留装置においては、3450kWのエネルギー(蒸気熱量)が必要となる。
また、1塔式の蒸留装置においては、ヒートポンプを駆動するのに805kWの動力が必要となる。
これに対し、本実施形態にかかる蒸留装置(3塔式で、各蒸留塔のそれぞれにヒートポンプを設けた蒸留装置)100によれば569kWのエネルギー消費量となる。したがって、本発明の蒸留装置によれば、大幅な省エネルギーを実現できることがわかる。
なお、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第3ヒートポンプで温度レベルを上げて第3リボイラに供給される第3リボイラ用高温水の温度が、塔頂コンデンサにおいて第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも15℃以上40℃以下の範囲で高く、第2ヒートポンプで温度レベルを上げて第2リボイラに供給される第2リボイラ用高温水の温度が、塔頂コンデンサにおいて第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも25℃以上50℃以下の範囲で高く、第ヒートポンプで温度レベルを上げて第1リボイラに供給される第1リボイラ用高温水の温度が、塔頂コンデンサにおいて第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも30℃以上60℃以下の範囲で高くなるように構成される。
上述の構成とすることにより、第3ヒートポンプHP3および第2ヒートポンプHP2のCOPを、第1ヒートポンプHP1のCOPよりも十分に大きくすることが可能になり、省エネルギー効果の大きい蒸留装置をより確実に実現することができる。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、図1に示すように、第1蒸留塔1の塔径(850mm)が、第3蒸留塔3の塔径(1650mm)および第2蒸留塔2の塔径(1300mm)よりも小さくなるように構成されており、第1蒸留塔1の塔径が、第3塔の塔径の約51%、第2蒸留塔2の塔径の約65%となるように構成されている。
すなわち、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第3蒸留塔3を通過するベーパ量(塔頂ベーパ量)が10345kg/hr、第2蒸留塔2を通過するベーパ量(塔頂ベーパ量)が5800kg/hrであるのに対して、第1蒸留塔1を通過するベーパ量(塔頂ベーパ量)が2102kg/hrと少なくなることから、適正な気液接触を確保しつつ、第1蒸留塔1の塔径を、第3蒸留塔3および第2蒸留塔2の塔径より小さくすることが可能になり、設備コストの低減を図ることができる。
なお、第1蒸留塔1の塔径と、第3蒸留塔3および第2蒸留塔2の塔径の関係は、上記実施形態の関係に限定されるものではなく、通常は、第1蒸留塔1の塔径を、第2蒸留塔2および第3蒸留塔3の塔径の1/3〜2/3の範囲で小さくすることができる。ただし、上記の範囲を超えた値とすることも可能である。
また、上記実施形態では、第1蒸留塔1と、第2蒸留塔2および第3蒸留塔3を、それぞれ独立した別の塔として構成しているが、第1蒸留塔と、第2蒸留塔および第3蒸留塔を1つの塔として構成すること、すなわち、1つの塔の一部が第1蒸留塔として機能し、他部が第2蒸留塔、第3蒸留塔として機能するように構成することも可能である。
また、上記実施形態では、蒸留塔を第1蒸留塔、第2蒸留塔および第3蒸留塔の3つの蒸留塔に分割し、各蒸留塔が備えるヒートポンプで汲み上げた熱を利用してヒートポンプ全体としてのCOPを大きくするようにしているが、蒸留塔を4つ以上に分割することによっても同様の効果を奏する蒸留装置を構成することができる。
また、上記実施形態にかかる蒸留装置においては、原料液の第3リボイラと第2リボイラへの供給割合を制御して(第3リボイラに原料液の70wt%(7000kg/hr)を供給し、第2リボイラに原料液の30wt%(3000kg/hr)を供給している)、第3蒸留塔と第2蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合を調整し、それによって塔頂コンデンサで用いられて昇温した上述の「昇温冷却水」と、「昇温冷却水」からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、第3リボイラおよび第2リボイラに供給される「高温水」との温度差を小さく抑えるようにしているので、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを高くして、エネルギー効率を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、原料液がメタノール50wt%、水50wt%を含有する液を原料液としているが、例えば、原料液がメタノールを70wt%〜30wt%の範囲で含有し、水を30重量%〜70wt%の範囲で含有する液である場合において、第3リボイラに供給される原料液の割合が60wt%〜80wt%、第2リボイラに供給される原料液の割合が全原料液から第3リボイラに供給される原料液を除いた残部(すなわち40重量%〜20重量%)となるようにすることで、有意性のある作用効果を得ることができる。
また、原料液を構成する低沸点成分と高沸点成分の物性や、低沸点成分と高沸点成分の含有率によっては、第3リボイラと第2リボイラとに供給される原料液の割合を適正に制御することが必要になるが、本発明においては、通常、第3リボイラに供給される原料液の割合を、全原料液の45wt%〜90wt%、第2リボイラに供給される原料液の割合を、全原料液から第3リボイラに供給される原料液を除いた残部となるよう制御することにより、「昇温冷却水」からヒートポンプで回収した熱により昇温させた、第3リボイラおよび第2リボイラに供給される「高温水」との温度差を小さく抑えて、第3リボイラおよび第2リボイラのCOPを向上させ、エネルギー効率を向上させることができる。
なお、上記実施形態で説明し、あるいは、図1に示した、原料液、第1、第2および第3蒸留塔の塔底液や塔頂ベーパなどに関する各種の量や、温度、成分濃度、第1、第2および第3ヒートポンプの消費エネルギー(kW)などの値は、あくまでも例示であって、本発明は、それらの値が上記実施形態の値とは異なる値となる場合を排除するものではない。
また、上記実施形態では、低沸点成分がメタノール、高沸点成分が水である原料液を蒸留してメタノールを回収する場合を例にとって説明したが、本発明において、低沸点成分と高沸点成分の種類は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、低沸点成分は、クロロフォルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、二硫化炭素、アセトン、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、酢酸イソアミル、酢酸ノルマルアミル、1、4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリクロレタン、ノルマルヘキサン、メチルイソブチルケトン、ヘキサンやヘプタンを主成分とする石油ベンジン類や石油エーテル類であってもよい。
また、高沸点成分は、酢酸、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、トルエン、キシレン、ブタノール、イソブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、クロルベンゼン、酢酸ノルマルブチル、1、4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、パークロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルノルマルブチルケトンなどであってもよい。
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、応用、変形を加えることが可能である。
1 第1蒸留塔
2 第2蒸留塔
3 第3蒸留塔
11 第1リボイラ
12 第2リボイラ
13 第3リボイラ
21 塔頂コンデンサ
31 真空ポンプ
32 吸引ライン
41 予熱器
51 冷却塔
54 冷却水循環ポンプ
61 第1循環ポンプ
62 第2循環ポンプ
63 第3循環ポンプ
64 還流ポンプ
71 第1温水循環ポンプ
72 第2温水循環ポンプ
73 第3温水循環ポンプ
81 第1冷水循環ポンプ
82 第1冷水循環ポンプ
83 第1冷水循環ポンプ
100 蒸留装置
HP1 第1ヒートポンプ
HP2 第2ヒートポンプ
HP3 第3ヒートポンプ

Claims (10)

  1. 高沸点成分と低沸点成分とを含有する液の蒸留を行い、前記低沸点成分を主成分とする第3塔頂ベーパと、前記低沸点成分よりも前記高沸点成分を高い割合で含有する第3塔底液に分離する第3蒸留塔であって、下記塔頂コンデンサにおける凝縮液の一部が還流液として塔頂に還流されるように構成された第3蒸留塔と、
    前記第3蒸留塔が備える第3リボイラであって、前記高沸点成分と前記低沸点成分とを含有する原料液の一部と、当該第3リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第3塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパを、前記第3蒸留塔の塔底に供給する第3リボイラと、
    前記第3蒸留塔の塔頂から取り出される前記低沸点成分を主成分とする前記第3塔頂ベーパを塔頂コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させた、前記低沸点成分を主成分とする凝縮液のうちの一部が前記第3蒸留塔に還流され、前記第3蒸留塔に還流される前記一部を除いた残部が留出液として回収されるように構成された塔頂コンデンサと、
    前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の一部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記第3リボイラに第3リボイラ用高温水として供給するように構成された第3ヒートポンプと、
    前記第3リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第3塔底液との混合液の一部が塔頂から供給され、かつ、下記第2リボイラにおいて蒸発したベーパが塔底から供給されることにより蒸留が行われて、塔頂から第2塔頂ベーパが取り出され、塔底から第2塔底液が取り出されるとともに、前記第2塔頂ベーパが前記第3蒸留塔の塔底に供給されるように構成された第2蒸留塔と、
    前記第2蒸留塔が備える第2リボイラであって、前記原料液のうちの、前記第3リボイラに供給された一部を除いた残部と、当該第2リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第2塔底液との混合液を加熱して蒸発させたベーパを、前記第2蒸留塔の塔底に供給する第2リボイラと、
    前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、前記第3ヒートポンプに送られた一部と下記第1ヒートポンプに送られる他の一部とを除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記第2リボイラに第2リボイラ用高温水として供給するように構成された第2ヒートポンプと、
    前記第2リボイラにおいて蒸発させた後の液と、前記第2塔底液との混合液の一部が塔頂から供給され、かつ、下記第1リボイラにおいて蒸発したベーパが塔底から供給されることにより、塔頂から取り出される第1塔頂ベーパと、塔底から取り出される、前記低沸点成分をほとんど含まない第1塔底液とに分離されるとともに、前記第1塔頂ベーパが前記第2蒸留塔の塔底に供給されるように構成された第1蒸留塔と、
    前記第1塔底液を循環させて加熱・蒸発させ、前記第1蒸留塔の塔底に供給する第1リボイラと、
    前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水のうち、前記第3ヒートポンプに送られた一部と前記第2ヒートポンプに送られた他の一部を除いた残部から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記第1リボイラに第1リボイラ用高温水として供給するように構成された第1ヒートポンプと
    前記第3ヒートポンプで温度レベルを上げて前記第3リボイラに供給される前記第3リボイラ用高温水の温度が、前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも15℃以上40℃以下の範囲で高く、前記第2ヒートポンプで温度レベルを上げて前記第2リボイラに供給される前記第2リボイラ用高温水の温度が、前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも25℃以上50℃以下の範囲で高く、前記第1ヒートポンプで温度レベルを上げて前記第1リボイラに供給される前記第1リボイラ用高温水の温度が、前記塔頂コンデンサにおいて前記第3塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した前記塔頂コンデンサ用循環冷却水の温度よりも30℃以上60℃以下の範囲で高いという条件が満たされる操作圧となるように、前記塔頂コンデンサを経て真空吸引し、系内を減圧にする真空ポンプと
    を備え、
    前記第3ヒートポンプおよび前記第2ヒートポンプのCOPの値が、それぞれ、前記第1ヒートポンプのCOPの値より0.5以上大きくなるように構成されていること
    を特徴とする蒸留装置。
  2. 前記第3ヒートポンプおよび前記第2ヒートポンプのCOPの値が、それぞれ、前記第1ヒートポンプのCOPの値より1.0以上大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の蒸留装置。
  3. 前記第3ヒートポンプおよび前記第2ヒートポンプとして、COPの値が4.0以上8.0以下のヒートポンプが用いられるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の蒸留装置。
  4. 前記第3蒸留塔および前記第2蒸留塔の塔径よりも前記第1蒸留塔の塔径の方が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸留装置。
  5. 前記原料液が、前記低沸点成分を30wt%〜70wt%の範囲で含有し、前記高沸点成分を70wt%〜30wt%の範囲で含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸留装置。
  6. 前記原料液の前記第3リボイラと前記第2リボイラへの供給割合を制御することにより、前記第3蒸留塔と前記第2蒸留塔における低沸点成分と高沸点成分の割合を調整することができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蒸留装置。
  7. 前記原料液のうち、前記第3リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液の45wt%〜90wt%、前記第2リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液から前記第3リボイラに供給される前記原料液を除いた残部となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蒸留装置。
  8. 前記低沸点成分が有機溶剤であり、前記高沸点成分が水であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の蒸留装置。
  9. 前記低沸点成分と前記高沸点成分が、いずれも有機溶剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の蒸留装置。
  10. 前記原料液における低沸点成分がメタノール、高沸点成分が水であり、前記メタノールと前記水とをそれぞれ50wt%ずつ含有している場合において、前記第3リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液の60wt%〜80wt%、前記第2リボイラに供給される前記原料液の割合が、全原料液から前記第3リボイラに供給される前記原料液を除いた残部となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蒸留装置。
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