JP6312614B2 - 含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法 - Google Patents

含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6312614B2
JP6312614B2 JP2015022004A JP2015022004A JP6312614B2 JP 6312614 B2 JP6312614 B2 JP 6312614B2 JP 2015022004 A JP2015022004 A JP 2015022004A JP 2015022004 A JP2015022004 A JP 2015022004A JP 6312614 B2 JP6312614 B2 JP 6312614B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethanol
solvent
layer
distillation
distillation column
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015022004A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016145161A (ja
Inventor
堀添 浩俊
浩俊 堀添
洋 町田
洋 町田
和哉 徳永
和哉 徳永
慶一 和田
慶一 和田
知明 桂川
知明 桂川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya University NUC, Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical Nagoya University NUC
Priority to JP2015022004A priority Critical patent/JP6312614B2/ja
Publication of JP2016145161A publication Critical patent/JP2016145161A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6312614B2 publication Critical patent/JP6312614B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、含水エタノールの蒸留装置、およびその装置を用いる無水エタノールの製造方法に関する。
近年、環境意識の高まりと共に、二酸化炭素排出量を低減するために、化石燃料ではなくバイオマスをエネルギー源として積極的に活用しようとする動きが活発である。その代表例として、サトウキビ、トウモロコシ、草、木などのバイオマスを糖化発酵して製造されるバイオエタノールがある。
このような糖化発酵により製造されるバイオエタノールは低濃度のエタノール水溶液であり、そのエタノール濃度は5〜10質量%程度で、残りのほとんどは水である。
このバイオエタノールを自動車用燃料や燃料基材(例えば、エチルtert‐ブチルエーテル;ETBE)の原料として使用するには、バイオエタノールを濃縮・脱水してエタノール濃度が99.6質量%以上の無水エタノールにする必要がある。
バイオエタノールはカーボンニュートラルであるため二酸化炭素の削減に寄与し、その削減効果は製造エネルギーが少ないほど大きくなる。しかし、従来の蒸留濃縮と共沸蒸留脱水とによるバイオエタノールの濃縮脱水法では、バイオエタノール発熱量の約30%の製造エネルギーが必要であるため、その削減が急務の課題である。
エタノールと水の混合物は共沸点があるために、蒸留法ではエタノール濃度を約96質量%以上には濃縮できない。そこで、本発明者は、バイオエタノールを蒸気再圧縮蒸留法により含水エタノール(エタノール濃度:約85〜96質量%)を製造し、含水エタノールをブタンやプロパン溶媒による抽出蒸留法により、エタノール濃度99.9質量%以上の無水エタノールを製造する省エネシステムを開発した(特許文献1、2参照)。
含水エタノール(エタノール濃度:約85〜96質量%)をブタンやプロパン溶媒で抽出蒸留して無水エタノールを製造する従来のシステムについて、図2及び図3に基いて、次に説明する。
図2に示すシステムは一塔式のもので、原料となる含水エタノールは配管31により抽出蒸留塔30の中間部に供給される。一方、溶媒は抽出蒸留塔30の塔頂部に溶媒供給配管32より液体の状態で供給される。この溶媒としてはエタノールとの親和性がよく疎水性でエタノールとの共沸混合物を形成しない(又は形成しにくい)、ブタンまたはプロパンが適することを本発明者は見出した。この溶媒は、エタノール回収段30aにおいて、蒸気中のエタノールを吸収しながら流下し、エタノール濃縮段30bにおいて、配管31から供給された原料中のエタノールを選択的に吸収し、溶媒と親和性のない水分を蒸気相に追い出し、更に揮発性の高い溶媒を気化させながら流下する。その結果、抽出蒸留塔30の塔底部の無水エタノール取り出し配管33からは、溶媒や水分を実質的に含まない無水エタノールを回収することができる。本方式では、蒸留塔の塔頂部から配管34を通して流出する蒸気を凝縮器35で冷却して、分離槽36で水分を分離するため、蒸気の有するエネルギーは凝縮器35により全て失われる。このため、リボイラー37に供給される加熱用水蒸気が必要となり、大量のエネルギーが消費されるという問題があった。
図3に示すシステムは二塔式で、抽出蒸留塔40と溶媒分離塔41との2塔から成る。この方式では、抽出蒸留塔40の底部配管42から引き抜かれる液組成について、エタノールに対する溶媒の比率を増加させることができ、液の沸点を低くすることができる。これにより、抽出蒸留塔40の塔頂部と塔底部の温度差が小さくなり、抽出蒸留塔40の塔頂部配管43を通して流出する蒸気を小さい圧縮比(小さい動力)で圧縮機44により圧縮して、配管45を流れる圧縮蒸気の凝縮温度を塔底部配管46から引き抜かれる液の温度より高くし、配管45を流れる蒸気の凝縮潜熱をリボイラー47の熱源として使用するようにしたものである。このため、リボイラー47に供給する熱量を殆ど補うことができ、図2に示す従来システムのように大量の潜熱を捨てることなく、回収利用する省エネシステムが構築されている。
しかし、塔底部から配管42を通して流出する塔底液は、無水エタノールとほぼ同量の溶媒から成るので、溶媒分離塔41の中間部に供給する必要があり、溶媒分離塔41の塔頂部に液体溶媒を供給する配管48や塔底液を加熱するリボイラー49など余分な設備が必要となるとともに、未だ十分にエネルギー消費量を抑えるものではなかった。
特開平3−157340号公報 特開2011−162502号公報
本発明は上記のような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決する課題は、十分に低水分の無水エタノールを高い収率で得ることができ、省エネルギー性に優れ、設備が簡略化された含水エタノールの蒸留装置を提供することにある。また、この蒸留装置を用いて、エネルギー消費を抑え、高収率で無水エタノールを製造する方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、蒸留塔を、上層、中間層及び下層に分け、上層と中間層との間に含水エタノールを供給するとともに、中間層と下層との間から中間液を抜き出し、これと蒸留塔頂部から抜き出される蒸気を圧縮したものとを熱交換させることにより、設備の大幅な簡略化とともに、エネルギー消費量も削減できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づきなされたもので、次のとおりである。
[1]蒸留塔、圧縮機、中間加熱部及び分離槽を備え、前記蒸留塔は、上層、中間層及び下層を有しており、塔頂部に溶媒供給口及び蒸気出口、上層と中間層との間に含水エタノール供給口、中間層と下層との間に中間液保持部、塔底部にリボイラー及び無水エタノール取り出し口を、それぞれ有し、前記圧縮機は前記蒸留塔頂部の前記蒸気出口に接続され、前記中間加熱部は前記中間液保持部に保持された中間液を、前記圧縮機で圧縮された蒸気を熱源として加熱するものであり、前記分離槽は前記中間加熱部で熱源として利用された蒸気の凝縮液を収容して水と溶媒とを分離するものであり、前記分離槽で分離された溶媒を前記蒸留塔頂部の溶媒供給口に還流する手段を有する、含水エタノールの蒸留装置。
[2]上記溶媒が、ノルマルブタン、イソブタン、またはノルマルブタンとイソブタンの混合物、或いはプロパンである、上記[1]に記載の含水エタノールの蒸留装置。
[3]上記中間加熱部が、中間液保持部の中間液温度を蒸留塔頂部の温度より3〜20℃高く保持するものである上記[1]又は[2]に記載の含水エタノールの蒸留装置。
[4]上記[1]に記載の含水エタノールの蒸留装置を用い、上層と中間層との間に含水エタノールを供給し、上層上へ溶媒を供給し、中間層から流出する中間液を中間液保持部に保持し、中間液保持部から流出する中間液を下層へ供給し、下層から気化した溶媒は、中間液保持部の開口を通して中間層へ供給され、下層からの流出液をリボイラーで加熱し、前記中間保持部に保持されている中間液を、蒸留塔頂部から取り出した蒸気を圧縮機で圧縮した流体で加熱し、熱源に用いた流体を分離槽にて溶媒と水に分離し、分離された溶媒を上層上へ供給する溶媒として用い、蒸留塔底部から無水エタノールを取り出す無水エタノールの製造方法。
本発明は、塔頂部からの蒸気を圧縮して中間液の熱源とするので、リボイラーの熱量を低減でき、必要なエネルギーが少なくなり、かつ、一つの蒸留塔で無水エタノールを効率よく得ることができる。したがって、低水分の無水エタノールを高い収率で得ることができ、 設備を大幅に簡略化できるとともに、省エネルギー性に優れるという格別の効果を奏する。
本発明の一実施形態による含水エタノールの蒸留装置を説明するための図である。 従来の一塔式システムによる含水エタノールの蒸留方法を説明するための図である。 従来の二塔式システムによる含水エタノールの蒸留方法を説明するための図である。
本発明の含水エタノールの蒸留装置に含まれる蒸留塔は、上層、中間層及び下層に分かれており、上層と中間層との間に含水エタノールの供給口を有し、中間層と下層との間に中間液保持部を有し、蒸留塔頂部に溶媒供給口及び蒸気出口を備え、塔底部にリボイラー及び無水エタノール取り出し口を備える。
上記蒸留塔の上層は、蒸気相中のエタノールを回収するためのエタノール回収部として機能する。上層における蒸気相中のエタノールは、液体の溶媒に吸収されながら塔を流下する。
この蒸留塔の中間層は、蒸気相中のエタノール濃度を上昇させ、水分濃度を低下させるためのエタノール濃縮脱水部又は水分離部として機能する。中間層中の液体の溶媒は、原料中のエタノールを選択的に吸収し、溶媒と親和性のない水分を蒸気相に追い出しながら流下し、エタノールと溶媒との混合物である中間液を中間液保持部及び下層に供給する。
蒸留塔の下層は、溶媒からエタノールを分離するための溶媒分離部として機能する。下層に供給されたエタノールと溶媒との混合物は、下層の上部から下部に流下しながらエタノール中の溶媒が気化分離され、水と溶媒を実質的に含有しないエタノールが塔底部に流下する。
この蒸留塔の上層、中間層及び下層の構造は、蒸留塔として一般的に用いられるものであれば特に制限はない。たとえば、気液接触構造体を内部に有する縦長円筒の構造を用いることができる。上層は、中間層の略鉛直方向の上方に、また、下層は、中間層の略鉛直方向の下方に位置している。
上記中間液保持部は、エタノールと溶媒との混合物を一定量保持する部分である。中間液保持部の構造は、エタノールと溶媒との混合物である中間液を一定量保持しながら下層に供給することができ、下層で発生する溶媒の蒸気が通過できる空隙を有する構造であれば、特に制限はない。たとえば、開口を有する棚板であって、開口周囲に堰を有する構造とすることが好ましい。かかる構造とすることにより、棚板上の堰の高さ以下の部分に混合物を一定量保持することができ、混合物が一定量を超えると堰から溢れて下層に流れ落ち、また、棚板に設けた開口部により、下層で発生した溶媒の蒸気が、中間層へ到達することができる。
また、この中間液保持部においては、エタノール中に溶媒が40〜60質量%存在することが好ましく、45〜55質量%存在することがより好ましい。中間液保持部におけるエタノール中の溶媒の濃度を上記の範囲とすることにより、上述の熱エネルギー(リボイラーの熱負荷と圧縮機の動力)を少なくすることができるため、好ましい。
本発明の蒸留装置は、上記蒸留塔に、更に、圧縮機、中間加熱部及び分離槽を備える。
圧縮機の吸引口は、蒸留塔頂部にある蒸気出口に接続されており、この蒸気出口より回収された蒸気を圧縮する。圧縮された蒸気は中間加熱部における熱源として、中間液保持部に保持された中間液の加熱に利用される。中間液保持部の温度(T1)は、蒸留塔頂部の温度(T2)よりも3〜20℃高くなるように調整されることが好ましく、5〜10℃高いのがより好ましい。
ここで、T1とT2との温度差をΔT=T1−T2と定義すると、ΔTが小さいほど圧縮機の圧縮比は小さくできるが、あまり小さいと当該中間液保持部における液中のエタノールに対する溶媒量が増加して蒸留塔底部の液を加熱するために設けられたリボイラーの必要熱量(熱負荷)が増大する。一方、ΔTを大きくすると、当該中間液保持部の溶媒量は減少して当該リボイラーの熱負荷は減少するが、圧縮機の圧縮比を大きくしなければならない。すなわち、リボイラーの熱負荷と圧縮機の動力とを考慮した熱エネルギーを最少にするには、ΔTに最適条件が存在する。本発明者は、種々検討の結果、ΔT<3〜20℃が好ましく、ΔT<5〜10がより好ましいことを見出した。
なお、本発明の中間加熱部は、上記蒸留塔と一体になっていてもよく、又は、蒸留塔とは分離された装置として構成されていてもよい。
上記分離槽は、中間加熱部で熱源として利用された蒸気の凝縮液を収容し、水と溶媒とを分離するものである。水と溶媒は、その比重差が大きいため、比重分離により容易に分離することができる。
この分離槽には、分離された溶媒を蒸留塔頂部にある溶媒供給口に還流する手段が設けられている。この還流は、分離槽が蒸留塔頂部よりも加圧されている場合には、配管を接続することのみで可能であるが、必要に応じてポンプなどで還流することもできる。
本発明の蒸留装置の処理対象の含水エタノールの含水率には特に制限がないが、一般的には、3質量%〜20質量%であることが好ましく、バイオマス等の発酵で得られる低濃度エタノールを、通常の蒸留方法で濃縮して得られる濃縮物や共沸混合物を用いることがより好ましい。
なお、本発明における水と溶媒を実質的に含有しないエタノールまたは無水エタノールとは、含水率が0.4質量%以下、溶媒の含有率が0.01質量%以下のエタノールをいう。
本発明で使用される溶媒は、本発明の蒸留装置において使用することができるものであれば特に制限がないが、エタノールとの親和性がよく疎水性でエタノールとの共沸混合物を実質的に形成しない溶媒が好ましく、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルブタンとイソブタンとの混合物、又はプロパンがより好ましい。これらの好ましい溶媒を使用することにより、溶媒とエタノールが共沸混合物を形成することなく、蒸留塔頂部から排出される蒸気中へのエタノールの混入をより低く抑えることができる。
また、本発明の無水エタノールの製造方法においては、用いる溶媒やエタノールの含水量等を考慮して蒸留装置の運転条件を選定するが、具体的には、蒸留装置内の圧力0.1〜5MPa、塔頂温度15〜150℃、塔底温度78〜250℃の範囲から適宜選定するとよい。
次に、本発明の蒸留装置の一実施態様として、図1に基づき、その詳細を説明する。
図1は、蒸留塔1、圧縮機2、中間加熱部である中間加熱器3および分離槽4を備える含水エタノールの蒸留装置である。蒸留塔1は、略鉛直方向に延びた筒状であり、その両端は閉じている。蒸留塔1の内部には、鉛直方向に上方から上層1a、中間層1b及び下層1cを備えている。これらは気液接触構造体であり、気液の接触効率を増大させるために一般に使用される棚段、不規則充填物、規則充填物などから、適宜選定して使用される。
含水エタノール(エタノール濃度;約85〜96質量%)は配管5から供給され、原料予熱器6で予熱後、含水エタノール供給口7から蒸留塔1に供給される。含水エタノール供給口7は、上層1aと中間層1bの間に位置している。
溶媒は、蒸留塔1の最上部である塔頂部に設けられた溶媒供給口8から液体状態で供給される。この液体の溶媒は、上層(エタノール回収部)1aにおいて蒸気相中のエタノールを吸収しながら流下し、中間層(エタノール濃縮脱水部)1bでは原料中のエタノールを選択的に抽出し、溶媒と親和性のない水分を蒸気相に追い出しながら流下する。
中間層1bと下層1cの間には、中間液保持部1dが設けられている。中間液保持部1dは、蒸留塔1の内壁に接続し、略水平方向に延びる平板状の棚板1e、この棚板1eに設けられた開口1f、及び開口1fの外周部に沿って略鉛直方向上方に延びる板状の堰1gで構成されている。中間液保持部1dにはエタノールと溶媒との混合物である中間液が保持され、その一部分は、配管9を経由して中間加熱器3に導入され、圧縮機2により圧縮された蒸気を熱源として加熱され、配管10を経由して再び中間液保持部1dに戻される。この中間液保持部1dの中間液温度は中間加熱器3で調整することができる。即ち、熱エネルギー(蒸留塔底部のリボイラーの熱負荷と圧縮機の動力)が最少になるように、中間液保持部1dの中間液温度を蒸留塔頂部の蒸気出口11を通して流出する蒸気の温度より3〜20℃、好ましくは5〜10℃高くなるように調整する。
中間液保持部1dには、エタノールと溶媒との混合物が一定量保持されるように堰1gが設けられ、堰1gを越えた液は開口1fから下層(溶媒分離部)1cに流下する。そして、この混合物は、下層(溶媒分離部)1cの上部から下部に流下しながらエタノール中の溶媒が気化分離され、蒸留塔1の塔底部の無水エタノール取り出し口12から実質的に溶媒を含まない無水エタノールが回収される。
また、蒸留塔1の塔底部の配管13から取り出された塔底液は、リボイラー14により無水エタノールの沸点になるように加熱され、配管15を経由して蒸留塔1の塔底部へ戻される。蒸留塔1の塔底部で発生した蒸気は溶媒に一部エタノールが混合しており、下層(溶媒分離部)1cを上昇し、中間液保持部1dに設けた貫通する空隙である開口1fを経由して上昇するが、上層(エタノール回収部)1aで蒸気中のエタノールは回収される。貫通する空隙である開口1fは、堰1gを越えて流下する液が逆流しない蒸気速度になるように設計されている。
蒸留塔1の塔頂部に設けられた蒸気出口11から取り出された、実質的にエタノールを含まない溶媒と水分の混合蒸気は、圧力調整弁16および配管17を経由して圧縮機2へ導入されて圧縮される。圧縮された蒸気は、配管18を経由して中間加熱部3の熱源として供給される。この蒸気の凝縮温度が中間液保持部1dの中間液温度より高くなるように、圧縮機2で圧縮する。配管18から供給される蒸気の凝縮温度と中間保持部1dの中間液温度との差が大きいと中間加熱器3は小さくできるが、圧縮機2の動力が大きくなるので、経済性を考慮して最適な圧縮比に設計される。
配管18から供給される蒸気は、その凝縮潜熱を中間加熱器3の熱源として用い、凝縮液となり配管19から分離槽4に供給される。液体状態において、水は溶媒(比重:約0.5〜0.6)よりも比重が大きいので容易に重力沈降分離し、分離槽4の下部から配管20を経由して水が抜出される。水が実質的に分離された溶媒は分離槽4の上部から配管21を経由して取り出され、圧力調整弁22および配管23を経由して溶媒供給口8から蒸留塔1の塔頂部に再循環される。配管21,23および圧力調整弁22が、分離槽4から溶媒供給口8に還流する手段となる。
分離槽4の底部から配管20により抜き出される水への溶媒の溶解度は非常に小さいので、溶媒の損失は極めて少ない。なお、運転開始時や運転中に溶媒を供給する配管を、配管23などに接続することができるが、図1では省略している。
溶媒供給口8からの溶媒の導入量は、中間層(エタノール濃縮脱水部)1bにおいて水分を蒸気相に完全に追い出すために必要な量であり、上層(エタノール回収部)1aにおいてエタノールを回収するに必要な量よりも十分大きい。このため、下層(溶媒分離部)1cの上部から上昇する蒸気中のエタノールは十分回収可能である。
すなわち、図3に示される従来型の蒸留装置における、配管48から供給される溶媒とエタノール回収部41aは不要になる。これにより、本発明の蒸留装置では、従来2塔必要であった蒸留塔を1塔に統合することが可能となり、溶媒循環量が減少し圧縮機の動力をその分だけ削減することができる。
また、図1に示される本発明の蒸留装置を図3に示される従来型の蒸留装置と対比すると、図3のエタノール回収部41aは図1の上層(エタノール回収部)1aでの代用により削減され、熱交換器は4基から3基に削減され、制御装置は5系統から2系統に削減される。そして、本発明の蒸留装置により配管の半減などが達成され、設備コストの削減と運転制御の簡素化による運転人員の削減が可能となる。また、設置スペースやメインテナンス費の削減も可能となる。
(プロセスシミュレータによるプロセス計算)
ブタンまたはプロパン、エタノール、水からなる系について広範囲条件での相平衡データを測定し、高精度の相平衡モデルを開発した。そのモデルを市販の汎用プロセスシミュレータPRO II(Simulation Sciences Inc)に組み込み、プロセスシミュレーションを行った。
なお、上記プロセスシミュレーションの結果と図3に示すフローに相当する装置での実測値とが、ほぼ一致することを既に確認している。
(実施例1)
本発明の実施態様である図1の蒸留装置について、原料であるエタノール濃度90質量%の含水エタノールを5.5t/hrで供給し、蒸留塔頂部へ供給する溶媒のノルマルブタンを100t/hr、蒸留塔内圧力を0.6MPaとして、上記シミュレータによりプロセスシミュレーションを行った。なお、上記原料の含水エタノールは、エタノール濃度10%の含水エタノールを単純蒸留することにより得られるので、これをベースにした。
その結果を表1に示す。なお、表1において、蒸留塔1の中間液保持部及び塔頂部の温度を、それぞれ、T11及びT12と表記した。
回収エタノール純度は99.9質量%以上、エタノール回収率96%以上であった。
(比較例1)
従来システムである図2のシステムについて、実施例1と同様にプロセスシミュレーションを行った。
その結果を表1に示す。なお、表1において、抽出蒸留塔30の塔底部及び塔頂部の温度を、それぞれ、T301及びT302と表記した。
回収エタノール純度は99.9質量%以上、エタノール回収率96%以上であった。
(比較例2)
従来システムである図3のシステムについて、実施例1と同様にプロセスシミュレーションを行った。
その結果を表1に示す。なお、表1において、抽出蒸留塔40の塔底部及び塔頂部の温度を、それぞれ、T401及びT402と表記した。
回収エタノール純度は99.9質量%以上、エタノール回収率96%以上であった。
Figure 0006312614
表1に示されるとおり、図2の従来システム(比較例1)は所要エネルギー(圧縮機の動力+加熱エネルギー)が大きすぎて実用的でない。
また、図1の本発明システム(実施例1)は図3の従来システム(比較例2)に比べて、理論段数が20段少なく、所要エネルギーは約10%少ないという効果を示している。
溶媒がイソブタン、ノルマルブタンとイソブタンとの混合物及びプロパンの場合も、溶媒がノルマルブタンの場合とほぼ同様な結果がそれぞれ得られた。
本発明により、省エネルギーのために2塔式にせざるを得なかった従来のシステムを、1塔の蒸留塔に集約してシステムを簡素化することが可能となった。また、本発明のシステムは、蒸留塔が1塔であるにも関わらず省エネルギー性が損なわれることがなく、逆に省エネルギー性を向上できる。
本発明の含水エタノールの蒸留装置は、含水エタノール、特には、糖化発酵により製造されるバイオエタノール中の水分を除去し、無水エタノールを得るために有用で、このようにして得られる無水エタノールは、自動車用燃料や燃料基材の原料、さらには、各種溶剤(有機溶媒)、有機合成原料、消毒剤などとして利用することができる。
1 蒸留塔(抽出蒸留脱水塔)
1a 上層(エタノール回収部)
1b 中間層(エタノール濃縮脱水部(水分離部))
1c 下層(溶媒分離部)
1d 中間液保持部
2 圧縮機
分離槽
3 中間加熱器
14 リボイラー
16,22 圧力制御装置

Claims (4)

  1. 蒸留塔、圧縮機、中間加熱部及び分離槽を備え、
    前記蒸留塔は、上層、中間層及び下層を有しており、塔頂部に溶媒供給口及び蒸気出口、上層と中間層との間に含水エタノール供給口、中間層と下層との間に中間液保持部、塔底部にリボイラー及び無水エタノール取り出し口を、それぞれ有し、
    前記圧縮機は、前記蒸留塔頂部の前記蒸気出口に接続され、
    前記中間加熱部は、前記中間液保持部に保持された中間液を前記圧縮機で圧縮された蒸気を熱源として加熱するものであり、
    前記分離槽は、前記中間加熱で熱源として利用された蒸気の凝縮液を収容して水と溶媒とを分離するものであり、
    前記分離槽で分離された溶媒を前記蒸留塔頂部の溶媒供給口に還流する手段を有する、含水エタノールの蒸留装置。
  2. 請求項1に記載の含水エタノールの蒸留装置を用い、
    上層と中間層との間に含水エタノールを供給し、
    上層上部へ溶媒を供給し、中間層から流出する中間液を中間液保持部に保持し、
    中間液保持部から流出する中間液を下層へ供給し、
    下層から気化した溶媒は、中間液保持部の開口を通して中間層へ供給され、
    下層からの流出液をリボイラーで加熱し、
    前記中間保持部に保持されている中間液を、蒸留塔頂部から取り出した蒸気を圧縮機で圧縮した流体で加熱し、
    熱源に用いた流体を分離槽にて溶媒と水に分離し、
    分離された溶媒を上層上部へ供給する溶媒として用い、
    蒸留塔底部から無水エタノールを取り出す無水エタノールの製造方法。
  3. 上記溶媒が、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルブタンとイソブタンの混合物、又はプロパンである、請求項に記載の無水エタノールの製造方法
  4. 上記中間加熱部が、中間液保持部の温度を蒸留塔頂部の温度より3〜20℃高く保持するものである、請求項又は請求項に記載の無水エタノールの製造方法
JP2015022004A 2015-02-06 2015-02-06 含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法 Active JP6312614B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015022004A JP6312614B2 (ja) 2015-02-06 2015-02-06 含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015022004A JP6312614B2 (ja) 2015-02-06 2015-02-06 含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016145161A JP2016145161A (ja) 2016-08-12
JP6312614B2 true JP6312614B2 (ja) 2018-04-18

Family

ID=56686025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015022004A Active JP6312614B2 (ja) 2015-02-06 2015-02-06 含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6312614B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111187140A (zh) * 2020-01-14 2020-05-22 石化盈科信息技术有限责任公司 一种用于脱异丁烷塔的节能方法及装置
CN115253350A (zh) * 2022-08-05 2022-11-01 淄博万华机械设备有限公司 一种双塔mvr连续蒸馏回收系统和方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55104243A (en) * 1979-02-06 1980-08-09 Asahi Chem Ind Co Ltd Purification of olefinic unsaturated nitrile
US4626321A (en) * 1983-08-22 1986-12-02 Trustees Of Dartmouth College Distillation systems and methods
JPS60226837A (ja) * 1983-12-01 1985-11-12 Res Assoc Petroleum Alternat Dev<Rapad> 無水エタノ−ルの製造装置および無水エタノ−ルの製造法
JPH03157340A (ja) * 1989-11-14 1991-07-05 Tsuushiyousangiyoushiyou Kiso Sangiyoukiyokuchiyou 無水アルコールの製造方法
JP5239998B2 (ja) * 2008-03-31 2013-07-17 三菱化学株式会社 易重合性化合物の製造方法及び重合防止方法
JP2011162502A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Hirotoshi Horizoe 無水エタノールの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016145161A (ja) 2016-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI421121B (zh) 用以脫水含水乙醇的低能量萃取蒸餾製程
US20130015052A1 (en) Liquid Separation by membrane assisted vapor stripping process
US8287698B2 (en) Process and system for producing alcohol by split-feed distillation
JP6329962B2 (ja) アルカノールの製造装置
JP2011162502A (ja) 無水エタノールの製造方法
US20140150493A1 (en) Process and apparatus for removing heat and water from flue gas
CN104968636A (zh) 用于制备烷醇的装置
CN102875329B (zh) 一种热泵精馏分离异戊醇同分异构体的工艺及装置
CN102936198A (zh) 生产醋酸乙烯的方法
JP6312614B2 (ja) 含水エタノールの蒸留装置および無水エタノールの製造方法
CN103484154B (zh) 凝结水汽提原油稳定方法及其专用装置
CN205730432U (zh) 一种机械式蒸汽再压缩蒸馏系统
CN105237370A (zh) 一种环己醇脱氢生产环己酮的工艺方法
US20230159418A1 (en) Process and Apparatus for distillation
US4303478A (en) Process for distillatively separating liquid mixtures
CN109704920A (zh) 从低浓度发酵液生产燃料乙醇的节能工艺方法和装置
KR101127160B1 (ko) 분리벽형 칼럼을 이용한 공비 혼합물의 분리 방법
JP6612961B1 (ja) 蒸留装置
JP2017159220A (ja) 液体混合物の分離方法
CN105713113B (zh) 一种凝聚釜气相物料热量回收的方法
CN209537349U (zh) 一种节能节水的氯乙烯精馏系统
CN106823437A (zh) 一种盐析‑精馏耦合法脱水方法及装置
CN104560115B (zh) 吸收稳定系统及其工作流程和应用和一种制备稳定汽油的方法
KR20080089961A (ko) 추출증류를 이용한 무수 에탄올 생산방법
RU2394064C2 (ru) Способ перегонки нефти

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170704

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180320

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6312614

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250