JP2016190194A - 油分及び水分の回収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】設備を安価に小型化しつつ、様々な処理対象物から油分及び水分を回収可能な油分及び水分の回収システムを提供する。【解決手段】油分、水分及び無機塩類を含む処理対象物と、25℃、101kPaで液体となる有機溶剤とを接触させて、前記油分と前記水分と前記無機塩類と前記有機溶剤とを含む混合液を前記固形分から分離する抽出槽3及び固形分分離槽4と、前記混合液を加熱することにより、前記混合液に含まれる前記水分と前記有機溶剤を気化させて、前記混合液から前記水分と前記有機溶剤とを混合気体として気化分離する気化槽5と、気化槽5において前記水分及び前記有機溶剤を気化分離させた後の残留物から前記油分を回収する油水分離槽6と、気化槽5において気化分離された混合気体から前記水分を分離して回収する分離装置7と、を備える【選択図】図1
Description
本発明は、油分及び水分の回収システムに関する。
例えば海洋油田における随伴水や、石油精製施設からの廃棄物や廃水には、油分や水分が含まれている。これらのうち油分は、高純度のものを回収することで、製品として使用することができる。また、水分は、特に砂漠地帯等の水の不足しがちな地域において、回収することで工業用水として使用することができる。従って、例えば随伴水等に含まれる油分や水分は、分離したうえでそれぞれ回収されることが好ましい。
このような技術に関連する発明として、特許文献1に記載の発明が知られている。特許文献1には、ジメチルエーテルの液化物を含油物質に接触させ、該液化物に該含油物質中の油分を溶解させて油分高含有の液化物を得る工程、及び、該油分高含有の液化物中のジメチルエーテルを気化させることにより気体として油分から分離する工程を含む液化物を用いた含油物質の脱油方法が記載されている。
特許文献1に記載の発明では、ジメチルエーテルの液化物が使用されている。しかし、ジメチルエーテルは、常温常圧(25℃、101kPa)で気体である。そのため、ジメチルエーテルの液化物を使用するためには、ジメチルエーテルを加圧等しなければならず、当該液化物が通流する配管や装置等に耐圧性が要求されることになる。そのため、設備が大掛かりなものになり易い。また、装置や配管の材質としては、耐食性を考慮すると例えばステンレスを使用することが考えられる。しかし、ステンレスは高価であり、設備の安価化が難しい。
また、装置や配管に設けられるシール材としても、耐圧性及び耐食性を有し、信頼性が確保できるシール材は現状存在しない。さらには、設備の運転条件を変更する際、油分や水分の回収効果や効率を考慮すると、気軽には設定圧力を変更することができない。そのため、特許文献1の設備の運転条件には制約があり、随伴水等の処理対象物の成分によっては、油分及び水分の回収が困難なことがある。
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、設備を安価に小型化しつつ、様々な処理対象物から油分及び水分を回収可能な油分及び水分の回収システムを提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の知見を見出した。即ち、本発明の要旨は、油分、水分及び無機塩類を含む処理対象物と、25℃、101kPaで液体となる有機溶剤とを接触させて、前記油分と前記水分と前記無機塩類と前記有機溶剤とを含む混合液を前記処理対象物から分離する分離装置と、前記混合液を加熱することにより、前記混合液に含まれる前記水分と前記有機溶剤を気化させて、前記混合液から前記水分と前記有機溶剤とを混合気体として気化分離する気化装置と、前記気化装置において前記水分及び前記有機溶剤を気化分離させた後の残留物から前記油分を回収する油分回収装置と、前記気化装置において気化分離された混合気体から前記水分を分離して回収する水分分離装置と、を備えることを特徴とする、油分及び水分の回収システムに関する。
本発明によれば、設備を小型化しつつ、様々な処理対象物から油分及び水分を回収可能な油分及び水分の回収システムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を、図面を適宜参照しながら説明する。なお、説明の内容はあくまで一例であり、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。また、図1〜図3では、図示の簡略化の観点から、ポンプ等の移送装置や、流量制御弁、水位計等は図示省略している。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の回収システム100の設備を示す系統図である。回収システム100では、海洋油田において発生した随伴水が供給される。ここで、海洋油田においては、油層に海水が注入されることが多い。従って、油層から排出される随伴水には、油分や水分のほか、海水由来の無機塩類(塩化ナトリウムや塩化マグネシウム等。以下、単に「塩類」という)に加え、油層に含有される塩化ナトリウム等の高濃度の無機塩類が含まれることになる。そこで、本実施形態の回収システム100では、海洋油田の油層から排出された随伴水から、アセトン(25℃、101kPaで液体になる有機溶剤(101kPaでの沸点が25℃以上の有機溶剤))を用いて、油分及び水分が回収される。なお、図1では、随伴水から油分及び水分が回収されるまでの流れを太線で示している。
図1は、本実施形態の回収システム100の設備を示す系統図である。回収システム100では、海洋油田において発生した随伴水が供給される。ここで、海洋油田においては、油層に海水が注入されることが多い。従って、油層から排出される随伴水には、油分や水分のほか、海水由来の無機塩類(塩化ナトリウムや塩化マグネシウム等。以下、単に「塩類」という)に加え、油層に含有される塩化ナトリウム等の高濃度の無機塩類が含まれることになる。そこで、本実施形態の回収システム100では、海洋油田の油層から排出された随伴水から、アセトン(25℃、101kPaで液体になる有機溶剤(101kPaでの沸点が25℃以上の有機溶剤))を用いて、油分及び水分が回収される。なお、図1では、随伴水から油分及び水分が回収されるまでの流れを太線で示している。
回収システム100は、凝集磁気分離装置1と、脱水装置2と、抽出槽3(分離装置)と、固形分分離槽4(分離装置)と、気化槽5(気化装置)と、油分分離槽6(油分回収装置)と、分離装置7(水分分離装置)と、アセトン量調整槽8とを備えている。また、回収システム100では、有機溶剤として、前記のようにアセトンが用いられている。そして、使用したアセトンは、抽出槽3とアセトン量調整槽8とを繋ぐアセトン循環ライン(有機溶剤循環ライン)を通って、再利用される。
凝集磁気分離装置(FMS:Flocculation and Magnetic-Separation produced water treatment system)1は、凝集剤及び磁性粉を用いて、石油随伴水中の油分、水分、塩分、懸濁物質(SS:Solid State)等でフロックを形成し、汚泥として磁気分離させるものである。ここで、随伴水には、原油を採掘する油井ごとにその濃度が異なるものの、油分や固形分、高濃度の塩分等が含まれている。特に、塩分の濃度は、高いときには、数%から飽和に近い濃度になることがある。そこで、回収システム100では、後記するアセトンによる油分の回収に先だって、まず、凝集磁気分離装置1において、汚泥が生成するようになっている。これにより、小型の設備を用いて、随伴水を高速で処理し、油分等が分離される。
凝集磁気分離装置1では、随伴水に対して以下のような処理が行われる。凝集磁気分離装置1に供給された随伴水には、無機系(例えばポリ塩化アルミニウム)の凝集剤、及び、有機系(例えばポリアクリルアミド)の凝集剤(図1では、これらの凝集剤を纏めて単に「凝集剤」として示している)並びに磁性粉(例えば鉄粉)が供給される。そうすると、随伴水中の油分及び懸濁物質が、磁性粉を含有してフロックを形成する。次いで、この磁性粉を含んだフロックは、磁気ドラム(図示しない)等を用いて随伴水から分離され、これにより、油分や懸濁物質が除去された随伴水処理水と、油分や懸濁物質を含む汚泥(濃縮汚泥)とが生成する。生成した随伴水処理水は、例えば地下に再度圧入したり、また、海洋等の放流基準に適合する場合には、海洋投棄したりされる。
一方で、生成した汚泥には、前記のように、油分や懸濁物質が含まれている。また、この汚泥には、塩類を含む水分も含まれている。ここで含まれる水分は、汚泥における含水率として95質量%〜99質量%程度である。そこで、その後の移送や最終処分を考慮し、体積を小さくする図る観点から、この濃縮汚泥は、脱水装置2に供給される。
脱水装置2は、濃縮汚泥に対して脱水処理を行うことで汚泥の含水率を50質量%〜70質量%程度に低減するものである。脱水装置2は、経済的な観点からは、例えば遠心脱水装置等の公知の脱水機を用いることできる。ただし、濃縮汚泥は、磁性粉を含有し、さらには、塩類を高濃度で含むことから、脱水装置2は、耐磨耗、耐食性を奏するものが好ましく、例えば機械的な摺動、回転部がないフィルタプレス(図示しない)であることが好ましい。脱水装置2における脱水により、脱水された汚泥(脱水汚泥)と、濃縮汚泥に含まれていた水(脱水濾液)とが生成する。
ここで、本発明者らの検討によれば、随伴水に含まれていた油分の大部分は、凝集剤により形成されたフロック中に含まれ、流出することがないため、脱水汚泥に残存する。そのため、生成した脱水濾液は、凝集磁気分離装置1に供給される随伴水に戻されるものの、生成した脱水汚泥は後段の抽出槽3に供給され、油分等が回収されることになる。
抽出槽3は、アセトン循環ラインによって回収システム100内を循環しているアセトンとともに、供給された脱水汚泥(処理対象物)を攪拌混合するものである。抽出槽3に供給されるアセトンの温度は、例えば30℃程度である。抽出槽3には、モータ11(攪拌混合装置)により駆動する攪拌翼10(攪拌混合装置)が備えられている。そのため、攪拌翼10によって、アセトンと脱水汚泥とが十分に攪拌混合されることになる。そして、アセトンと脱水汚泥とが十分に攪拌混合されることで、脱水汚泥から、油分と、水分と、塩類と、固形分とがほぼ分離されることになる。
抽出槽3では、アセトンと脱水汚泥とが接触する時間(即ち、攪拌翼10によって攪拌されながら脱水汚泥が抽出槽3に滞留する時間)は、例えば30秒〜90分程度、好ましくは5分〜60分程度である。このような時間にすることで、油分及び水分を十分にアセトンに溶解させて、油分及び水分の回収効率を向上させることができる。また、抽出槽3での液温は、本実施形態では5℃〜50℃程度、好ましくは20℃〜45℃程度である。
なお、分離された油分及び水分は、前記のように抽出槽3内のアセトンに溶解する。一方で、塩類はアセトンに溶解しにくいことから、当該塩類を含む水溶液として、後段の固形分分離槽4に供給される。
固形分分離槽4は、抽出槽3において生成した固形分を分離し、分離された固形分を除去するものである。本実施形態では、比重差によって、固形分が分離される。即ち、磁性粉を含有する固形分の比重は、アセトン(油分や水分、一部塩類も溶解)の比重よりも大きいことから、固形分は、固形分分離槽4内で沈殿する。これにより、固形分が分離されることになる。なお、分離された固形分は、バッチ法により、固形分分離槽4から排出されるが、連続で系外に排出することも可能である。排出される固形分の含水率は、5質量%〜30質量%程度であり、前記の濃縮汚泥や脱水汚泥の含水率よりもさらに低くなっているため、排出される汚泥の低体積化が可能となる。
また、固形分分離槽4において固形分が分離された後の溶液(油分及び水分を含むアセトンと、無機塩類を含む水溶液との混合液)は、後段の気化槽5に供給される。
気化槽5は、固形分分離槽4から供給された溶液を加熱し、当該溶液中の水分及びアセトンを気化させるものである。特に、本実施形態では、気化槽5内の水分は完全に気化するようになっている。気化槽5には、図1中破線で示す電気信号線により接続された制御装置50によって制御される加熱器14が備えられている。また、気化槽5には、気化槽5内の温度を測定する温度センサ13が備えられている。
本実施形態では、温度センサ13により測定される気化槽5の内部の温度が例えば70℃〜140℃程度、好ましくは80℃〜120℃程度になるように、加熱器14がフィードバック制御される。特に、気化槽5の内部の温度を上昇させることで水分の気化を促し、これにより生成する水蒸気圧が高められる。詳細は後記するが、水蒸気圧を高めることで、後記する分離膜7aでの分離速度を高めることができるため、本実施形態では、後記する温度センサ16により測定される水分の温度に応じて、加熱器14の設定温度が制御されている。
即ち、温度センサ16により測定された温度が比較的高い場合には、詳細は後記するが、分離膜7aの下流側の水蒸気圧が高くなる。そこで、水蒸気の分離速度を速めるため、上流側の水蒸気圧も高めて差圧を大きくするべく、加熱器14の設定温度が高められる。一方で、温度センサ16により測定された温度が比較的低い場合には、分離膜7aの下流側の水蒸気圧が低くなっている。そこで、上流側と下流側との水蒸気圧の差圧は大きくなっており、分離膜7aにより分離速度は十分に早いと考えられる。そこで、このような場合には、省エネルギの観点から、加熱器14の設定温度を低くする制御が行われる。
気化槽5には、前記のように、油分、水分、塩分及びアセトンを含む溶液が供給される。これらのうち、水分及びアセトンは容易に気化されて、これらは分離装置7に供給される。一方で、塩分は気化せず、また、油分は水分やアセトンと比べて沸点が高く気化しにくいことから、油分(アセトンに溶解しているものを含む)及び塩分は、気化槽5では気化せずに残留する。特に、水分及びアセトンが気化される結果、油分は濃縮されるとともに、塩類は水に対する飽和濃度を超えるために析出する。そのため、濃縮された油分及び析出した塩分(析出塩分)は、後段の油分分離槽6に供給される。なお、油分分離槽6には、気化しなかったアセトンも供給される。
また、気化槽5では、濃縮された油分は、気液界面に層(油層)をなして滞留する。そのため、気化槽5内の液中に含まれる水分及びアセトンの気化が、この油層によって妨げられることがある。そこで、回収システム100では、気化槽5に循環ポンプ12が備えられ、この循環ポンプ12により、気液界面に滞留する油分及び析出塩分が攪拌混合されるようになっている。そして、これにより、気化槽5内の液からの水分及びアセトンの気化が促されるようになっている。
油分分離槽6は、気化槽5において水分及びアセトンを気化させる過程での残留物である油分、析出塩分及びアセトンの混合溶液から、油分、析出塩分、及び、アセトンをそれぞれ分離するものである。油分分離槽6の構成について、図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態の回収システム100における、気化槽5及び油分分離槽6の近傍を拡大して示す系統図である。油分分離槽6の内部には、筒状のセンタウェル18が備えられている。そして、気化槽5からの、油分、塩分(析出塩分)及びアセトンを含む溶液は、このセンタウェル18の内部に供給されている。センタウェル18の内部に当該溶液が供給されることで、油分分離槽6の内部に形成される油分、塩分及びアセトンの界面を過度に崩さずに、気化槽5からの溶液が供給されることになる。
また、油分分離槽6の内部において、センタウェル18の上端部が液面の下側に配置されるように、水位が制御されている(即ち、センタウェル18は水没している)。このように水位を制御することで、気化槽5からの溶液が直接気化槽5に戻ってしまうことが防止されている(即ちショートパスが防止される)。
油分分離槽6の内部では、油分、塩分及びアセトンの比重差により、三つの層が形成される。具体的には、最下部には、最も比重の大きな塩分からなる層(析出塩分からなる固相(スラリー状を含む))が形成され、最上部には、最も比重の小さな油分からなる油層が形成される。そして、塩分の層と、油層との間には、アセトンからなる層が形成される。これらの層のうち、塩分からなる層を構成する塩分は、定期的にバッチ式により、油分分離槽6から排出される。また、油層を構成する油分も、定期的にバッチ式により、油分分離槽6から排出される。さらに、アセトンからなる層を構成するアセトンは、前記の気化槽5に戻される。
これらのようにすることで、油分が回収されるようになっている。回収された油分は、採油された原油と混合されて、その混合物が製品化される。一方で、析出した塩分は、例えば廃棄物として処分される。さらには、アセトンは再び気化槽5に戻され、これにより、アセトンが再利用される。
図1に戻って、回収システム100のその他の構成について説明を続ける。
分離装置7は、気化槽5において気化したアセトン及び水分の混合気体から、気体のアセトンと気体の水分(即ち水蒸気)とに分離するものである。分離装置7は、本実施形態ではゼオライトにより構成される分離膜7a(水分分離装置)である。この分離膜7aには、アセトンの気体は透過しない水蒸気は透過可能な程度の大きさの細孔が多数形成されている。具体的には、本実施形態では、細孔径(直径)は1nm以下になっている。
分離装置7は、気化槽5において気化したアセトン及び水分の混合気体から、気体のアセトンと気体の水分(即ち水蒸気)とに分離するものである。分離装置7は、本実施形態ではゼオライトにより構成される分離膜7a(水分分離装置)である。この分離膜7aには、アセトンの気体は透過しない水蒸気は透過可能な程度の大きさの細孔が多数形成されている。具体的には、本実施形態では、細孔径(直径)は1nm以下になっている。
また、分離装置7では、透過膜7aからみて上流側の水蒸気圧と、透過膜7aからみて下流側の水蒸気圧との差(差圧)が大きいほど、アセトンからの脱水速度が速くなる。そのため、分離装置7では、当該上流側の水蒸気圧を大気圧よりもやや高めるとともに、当該下流側の水蒸気圧よりもやや低くすることが好ましい。これによって、差圧を3kPa〜100kPa程度、好ましくは5kPa〜80kPa程度確保することで、分離速度を速めて、回収システム100での処理効率を高めることができる。なお、分離膜7aの上流側を加圧する場合には、例えば気化槽5の内部を図示しない加圧ポンプ等によって緩やかに加圧することで、達成することができる。また、分離膜7aの下流側を減圧する場合には、図示しない減圧ポンプを用いて当該下流側を緩やかに減圧することで、達成することができる。
さらに、分離装置7では、上流側の気体(アセトンと水蒸気との混合気体)が分離膜7aに接触する部分の好適な面積は、加熱器14及び冷却器15,17の設定温度によって異なる場合がある。即ち、これらの設定温度によって水蒸気量が変化するとともに、その水蒸気量によって、水蒸気圧が変化する。前記のように、分離膜7aによる分離速度は、上流側の水蒸気圧と下流側の水蒸気圧とによって定まることから、分離膜7aの適切な接触面積を決定することで水蒸気圧を制御し、これにより、特に良好な分離速度が達成される。
なお、図示はしていないが、回収システム100では分離装置7はモジュール化されている。適切なモジュールを設定することにより、アセトンの回収率が95%〜99%程度に高められている。
分離装置7における透過膜7aを透過した水蒸気は、冷却器15(水分冷却装置)に供給される。冷却器15では水蒸気が冷却され、これにより、液体の水(水分)が得られる。冷却器15には、図1において破線で示す制御装置50が接続されている。そして、制御装置50は、冷却器15の下流側に備えられた温度センサ16によって水の温度を測定することで冷却の程度を判断し、冷却器15の駆動を制御するようになっている。
即ち、温度センサ16により測定された温度が比較的高い場合には冷却が不十分である結果、液化する水分量が少なくなり、下流側の水蒸気圧が高くなる。そのため、水蒸気の分離速度が低下するため透過膜7aを透過する水蒸気量が減少し、水の回収効率が低下する可能性がある。そこで、このような場合には、冷却を強めるように冷却器15が制御される。一方で、温度センサ16により測定された温度が比較的低い場合には冷却が十分である結果、液化する水分量が増加し、下流側の水蒸気圧を低くすることができる。そのため、このような場合には、水の回収効率が十分に高いため省エネルギ化を図る観点から、冷却を弱めるように冷却器15が制御される。
なお、冷却器15による冷却温度範囲は、本実施形態では−5℃〜40℃程度であり、好ましくは5℃〜30℃程度である。
得られた水分は、水蒸気を冷却して得られたものであるため、塩分を含まない淡水である。そのため、例えば工業用水等に再利用することができる。特に、本実施形態では、回収システム100は海洋油田のような海洋に囲まれているところに設置されるため、淡水が得られにくい。また、回収システム100が中東等の水資源に乏しい砂漠地帯に設置された場合にも、回収された淡水は工業用水等に好適に使用可能である。
一方で、分離装置7において、分離膜7aを透過できなかったアセトンの気体は、その下流側に備えられた冷却器17(有機溶剤冷却装置)によって冷却され、液体のアセトンが生成する。冷却器17にも、前記の冷却器15と同様に、制御装置50が接続されている。そして、制御装置50は、冷却器17の下流側に備えられた温度センサ18によってアセトンの温度を測定することで冷却の程度を判断し、前記の冷却器15と同様に、冷却器17の駆動を制御するようになっている。
なお、冷却器17による冷却温度範囲は、本実施形態では0℃〜45℃程度であり、好ましくは10℃〜35℃程度である。
冷却器17において生成した液体のアセトンは、アセトン量調整槽8に供給される。そして、アセトン量調整槽8に供給されたアセトンは、アセトン循環ラインを通って、再度抽出槽3に供給され、再利用される。
ここで、例えば油分分離槽6等から固形分とともにアセトンが排出された場合、循環するアセトンの量が減少することがある。そこで、本実施形態では、アセトン量調整槽8には図示しない液位センサが備えられている。また、アセトン量調整槽8には、液体のアセトンを貯留するアセトンタンク19が接続されている。これらにより、液位センサによってアセトンの液位を監視し、もしアセトンの循環量が減った場合には、アセトンタンク19からアセトンが新たに供給され、アセトン循環ラインを通流するアセトンの量が一定になるようになっている。
なお、アセトン量調整槽8での液温は、前記の抽出槽3と同様に、本実施形態では5℃〜50℃程度、好ましくは20℃〜45℃程度である。また、アセトンタンク19内のアセトンの液温も、このアセトン量調整槽8と同様の温度範囲になっている。ただし、本実施形態では、この回収システム100が例えば産油国の多い中東域の暑い洋上に設置されることを想定しているため、アセトンタンク19には、タンク内のアセトンを冷却するための冷却器20が接続されている。この冷却器20は、前記の冷却器15等と同様に制御装置50に接続されており、温度センサ21により測定されるタンク内のアセトンの温度に応じて、冷却器20の駆動が制御されるようになっている。
制御装置50は、温度センサ13,16,18,21に接続され、これらの温度センサを用いて液温を測定するものである。また、制御装置50は、加熱器14及び冷却器15,17,20にも接続され、温度センサ13,16,18,21により測定された温度に基づいて、加熱器14及び冷却器15,17,20を制御するものでもある。
制御装置50は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、I/F(インターフェイス)等を備えて構成される。そして、制御装置50は、ROMに格納されている所定の制御プログラムがCPUによって実行されることにより具現化される。
次に、図1を参照しながら、本実施形態の回収システム100における、随伴水から油分及び水分を回収する方法(作用)について説明する。
海洋油田から排出された随伴水は、はじめに凝縮磁気分離装置1に供給される。そして、凝集磁気分離装置1において、凝集剤や磁性粉等が随伴水に混合され、これにより、随伴水中の油分や懸濁物質が凝集し始める。この際、凝集物には、油分や懸濁物質のほか、水分や塩分(即ち水溶系)も取り込まれる。そして、この凝集によって凝集物が大きくなると、濃縮汚泥が生成する。この濃縮汚泥には大量の水分が含まれているため、濃縮汚泥は脱水装置2において脱水された後、脱水汚泥として抽出槽3に供給される。ただし、この脱水汚泥にも、ある程度の水分が含まれている。
抽出槽3では、脱水汚泥とアセトンとが十分に攪拌混合され、これにより、アセトン、油分、水分及び塩分を含む水層と、固形分とに分離する。そして、分離された固形分は、固形分分離槽4において外部に排出される。一方で、水層は、気化槽5に供給される。
気化槽5では、油分、水分、塩分及びアセトンを含む混合溶液が加熱されることで、気化し易いアセトン及び水分が気化する。気化したアセトン及び水分は、分離装置7に供給される。そして、分離装置7では、分離膜7aを気化した水分(即ち水蒸気)が透過する。これにより、気化したアセトンから、水蒸気が分離される。そして、分離された水蒸気は冷却器15によって冷却されることで液体となり、随伴水中の水分が回収されることになる。回収された水分は、例えば工業用水として使用することができる。
また、透過膜7aを透過しなかったアセトン(気体)は、後段の冷却器17によって冷却されることで、液体のアセトンに変化する。この液体のアセトンは、アセトン量調整槽8においてその液量が調整された後、アセトン循環ラインを通って、前段の抽出槽3に戻される。このように、本実施形態の回収システム100では、水分の回収に用いられたアセトンは、系内を循環している。
一方で、気化槽5において、揮発しにくい油分と、揮発しない塩分とは、気化槽5に滞留する。このとき、気化槽5では水分が気化するようになっているため、塩分は、析出した固体として滞留する。また、油分は、前記のように水分が気化されるため、十分に濃縮される。ただし、油分はアセトンに溶解するが、当該濃縮された油分は、アセトンへの溶解可能量を超えると分離する。分離した油分と、析出した塩分とは、油分分離槽6に供給される。
そして、油分分離槽6では、比重の差によって、油分と、アセトンと、析出した塩分とに分離される。そして、油分分離槽6から油分を回収することで、油分が得られる。特に、回収された油分は、気化槽5において十分に濃縮され、さらには、油分分離槽6においてアセトンや析出塩分から分離されることから、高純度である。よって、回収された油分はそのまま製品として十分に使用可能なものである。
また、油分分離槽6において分離したアセトンは、前段の気化槽5に戻され、気化槽5における水分の気化に再度用いられるようになっている。さらに、油分分離槽6において生成した塩分は、油分分離槽6から排出される。油分分離槽6から排出された塩分は、基本的に廃棄物として処分されるが、場合によっては水(例えば回収された水分等)によって洗浄された後、海洋に戻すことも可能である。
以上のような回収システム100によれば、設備を小型化しつつ、様々な処理対象物から油分及び水分を回収可能な油分及び水分の回収システムを提供することができる。特に、本実施形態の回収システム100では、過度に圧力が高くなったり低くなったりする箇所がない。そのため、従来用いられていた高耐圧性の容器を用いる必要がないため、回収システム100の設計をある程度自由に行うことができる。そのため、装置の大きさや配置等を効率の良いものとし、設備全体の小型化を図ることができる。さらには、含フッ素系シール部材等の汎用性の高いシール部材を使用することもできるため、設備コストの安価化(例えば設備コストとして従来の1/5〜1/3程度)を図ることができる。また、汎用的な設備構成とすることができるため、随伴水のほか、様々な処理対象物から水分及び油分を回収することができる。
また、従来の随伴水の処理に際しては、汚濁物質の除去や固形物からの脱水が主な目的となっていた。そのため、随伴水に含まれる水分を利用するといったことは考えられていなかった。また、随伴水に含まれる油分も、従来ではそのまま廃棄されていた。従って、従来では、随伴水に含まれる水分は淡水として有効活用し、また、含まれる油分は製品化するといったことは一切考慮されていなかった。
しかし、本実施形態の回収システム100では、随伴水に含まれる水分は淡水として回収され、さらには、含まれる油分は高純度のものとして回収される。そのため、海洋や砂漠地帯等、淡水が不足する場所での工業用水等としての利用が期待されるほか、淡水が豊富な場所であっても、使用する水のコスト削減を図ることができる。また、製品としてそのまま使用可能な高純度な油分が回収されることから、採油量を増加させるとともに、限りある石油資源を有効利用することができる。
また、気化槽5において気化した水分及びアセトンのうち、冷却器15の設定温度や分離膜7aの条件等によっては、分離装置7で回収されない水分(即ち、分離膜7aを透過しない水分)が存在する可能性がある。しかし、回収システム100では、水分及び油分の回収に用いられたアセトンは、アセトン循環ラインを通って抽出槽3に戻される。そのため、アセトンとともに、分離膜7aにより回収できなかった水分も、再度抽出槽3に戻されることになる。そして、抽出槽3に戻された水分は、気化槽5において再度気化され、再び分離装置7に供給されることになる。このようにすることで、アセトンを循環させてアセトンの新たな使用量を削減するとともに、水分の回収効率をさらに高めることができる。
<第2実施形態>
次に、図3〜図5を参照しながら、回収システム200について説明する。図3において、図1に示した回収システム100における装置等と同じものについては同じ符号を付すものとし、それらの詳細な説明は省略する。また、図3では、図示の簡略化のために、図1において示した電気信号線(破線で示される)の一部を省略して図示している。
次に、図3〜図5を参照しながら、回収システム200について説明する。図3において、図1に示した回収システム100における装置等と同じものについては同じ符号を付すものとし、それらの詳細な説明は省略する。また、図3では、図示の簡略化のために、図1において示した電気信号線(破線で示される)の一部を省略して図示している。
図3は、本実施形態の別の回収システム200の設備を示す系統図である。なお、図3では、図示の簡略化のために、図1において示した凝集磁気分離装置1及び脱水装置2の図示を省略している。前記の回収システム100では、加熱器14及び冷却器15,17が備えられていた。そして、これらは、独立して備えられていた。しかし、図3に示す回収システム200では、加熱器14及び冷却器15,17はいずれも熱交換器であり、これらはヒートポンプ30に接続されている。
そして、加熱器14では、ヒートポンプ30からの熱媒の有する温熱によって、気化槽5の内部が昇温されるようになっている。また、冷却器15では、ヒートポンプ30からの冷媒の有する冷熱によって、気体の水分が冷却されるようになっている。さらに、冷却器17では、冷却器15を経由したヒートポンプ30からの冷媒の有する冷熱によって、気体のアセトンが冷却されるようになっている。
ヒートポンプ30は、低温側の冷媒(詳細は後記するが、冷却器17から排出された冷媒)の有する熱を利用して、高温側の熱媒(詳細は後記するが、加熱器14から排出された熱媒)を加熱するものである。即ち、ヒートポンプ30と加熱器14とは、ヒートポンプ30から排出された熱媒が加熱器14に供給され、また、加熱器14から排出された熱媒がヒートポンプ30に戻るように、接続されている。さらに、ヒートポンプ30と冷却器15,17とは、ヒートポンプ30から排出された冷媒が冷却器15と冷却器17をこの順で通流し、また、冷却器17から排出された冷媒がヒートポンプ30に戻るように、接続されている。加熱器14及び冷却器15,17とヒートポンプ30とがこのように接続されることで、冷却器17から排出され、冷却器15,17において熱を帯びることになった冷媒の当該熱が、加熱器14から排出され、気化槽5において熱を失った熱媒の加熱に利用されることになる。
ここで、ヒートポンプ30は、いずれも図示しないが、凝縮器と、圧縮器と、蒸発器と、膨張弁とを備え、これらには図示しない循環熱媒が通流している。そして、加熱器14と凝縮器とが図示しない配管により接続され、この配管内部を熱媒が通流している。また、冷却器15,17と蒸発器とが図示しない配管により接続され、この配管内部を冷媒が通流している。このようにすることで、冷却器17から排出された冷媒の有する熱を用いて、循環する循環熱媒を介して加熱器14に供給される熱媒が加熱されることになる。
特に、本実施形態の回収システム200では、蒸発器から排出された冷媒(最も温度の低い状態)は、初めに冷却器15に供給されるようになっている。これにより、水蒸気の冷却効率を十分に確保し、水分の回収効率が高められる。そして、冷却器15において使用された冷媒は、その後に冷却器17に供給されるようになっている。
ここで、冷却器15から排出された冷媒は、蒸発器から排出された冷媒の温度よりも高くなっているが、その温度はアセトン(気体)の沸点よりも十分に低いため、冷却器17では全てのアセトン(気体)を液化することができる。そこで、回収システム200では、冷却器15から排出された後の冷媒が冷却器17に供給されている。
また、本実施形態の回収システム200では、ヒートポンプ30と加熱器14との間に、熱媒を補助的に加熱する補助加熱器32(熱媒加熱装置)が備えられている。さらに、補助加熱器32の下流側には、加熱された熱媒の温度を測定する温度センサ31(熱媒温度測定装置)が備えられている。また、ヒートポンプ30と冷却器15との間に、冷媒を補助的に冷却する補助冷却器34(冷媒温度測定装置)が備えられている。そして、ヒートポンプ30と補助冷却器34(冷媒冷却装置)との間には、ヒートポンプ30から排出された冷媒の温度を測定する温度センサ33(冷媒温度測定装置)が備えられている。
前記のように、分離装置7における水分の分離は、加熱器14及び冷却器15,17の設定温度(即ち、加熱能力又は冷却能力)が重要である。そこで、分離システム200では、温度センサ31,33により測定された温度に基づいて、加熱器14に供給される熱媒の温度、及び、冷却器15,17に供給される冷媒の温度が制御されるようになっている。具体的には、温度センサ31,33により測定された温度に基づいて、補助加熱装置32及び補助冷却装置34の駆動が制御されるようになっている。
図4は、図3に示す回収システム200において行われる補助加熱装置32の制御方法を示すフローチャートである。図4に示すフローは、既に補助加熱装置32が駆動されている状態で行われる。また、図4に示すフローは、図1に示した制御装置50によって行われる。まず、制御装置50は、温度センサ31により、補助加熱装置32から排出された熱媒の温度を測定する(ステップS101)。そして、測定された温度が、本実施形態では80℃〜120℃の範囲に含まれる所定の設定温度(予め定められた温度、例えば100℃)以上であるか否かを判断する(ステップS102)。
設定温度以上であると判断された場合(ステップS102のYes方向)、気化槽5での気化に用いられる熱量に対して十分な熱量が供給されていることになるため、補助加熱装置32の駆動が停止される(ステップS103、フィードバック制御)。これにより、熱媒の加熱が停止され、熱媒の温度が設定温度に向かって低下し、熱媒の温度が設定温度になる。そして、補助加熱装置32の駆動が停止されるため、省エネルギ化が図られる。
一方で、測定された温度が、設定温度未満であると判断された場合(ステップS102のNo方向)、制御装置50は、熱媒の温度が設定温度に対して5℃高い温度になるように、補助加熱装置32を駆動させる(ステップS104、フィードバック制御)。これにより、熱媒の加熱が強められ、熱媒の温度が設定温度に向かって上昇し、熱媒の温度が設定温度になる。そして、熱媒が十分に加熱されることで、気化槽5での水及びアセトンのより確実な気化が図られる。
図5は、図3に示す回収システム200において行われる補助冷却装置34の制御方法を示すフローチャートである。補助冷却装置34も、前記の補助加熱装置32と同様の制御が行われる。即ち、図5に示すフローも、既に補助冷却装置34が駆動されている状態で行われる。また、図5に示すフローは、図1に示した制御装置50によって行われる。まず、制御装置50は、温度センサ33により、ヒートポンプ30から排出された冷媒の温度を測定する(ステップS201)。そして、測定された温度が、本実施形態では5℃〜30℃の範囲に含まれる所定の設定温度(予め設定された温度、例えば15℃)以下であるか否かを判断する(ステップS202)。
設定温度以下であると判断された場合(ステップS202のYes方向)、冷却器15において水蒸気を冷却してできるだけ多くの液体の水を得るために用いられる冷熱の量よりも多い冷熱の量が供給されていることになるため、補助冷却装置34の駆動が停止される(ステップS203、フィードフォワード制御)。これにより、冷媒の冷却が停止され、冷媒の温度が設定温度に向かって上昇し、冷媒の温度が設定温度になる。そして、補助冷却装置34の駆動が停止されるため、省エネルギ化が図られる。
一方で、測定された温度が、設定温度を超えると判断された場合(ステップS202のNo方向)、制御装置50は、冷媒の温度が設定温度に対して5℃低い温度になるように、補助冷却装置34を駆動させる(ステップS204、フィードフォワード制御)。これにより、冷媒の冷却が強められ、冷媒の温度が設定温度に向かって低下し、冷媒の温度が設定温度になる。そして、冷却器15,17での水及びアセトンのより確実な冷却(即ち液化)が図られ、高効率に水分を回収することができる。
<変形例>
以上、図面を参照しながら2つの実施形態を説明したが、本実施形態は前記の内容になんら制限されるものではない。
以上、図面を参照しながら2つの実施形態を説明したが、本実施形態は前記の内容になんら制限されるものではない。
例えば、前記の実施形態では、25℃、101kPaで液体になる有機溶剤としてアセトンを使用しているが、このような有機溶剤はアセトンに限定されるものではなく、例えば、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、アセトアルデヒド、ジエチルアミン、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール等であってもよい。これらはいずれも、水に溶解し易く、加水分解を受けにくい。さらには、これらは、沸点等の観点から、取り扱いが比較的容易である。そのため、これらを用いることで、アセトンを用いた場合と同様の効果が得られる。なお、これらは、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで用いられてもよい。そして、使用する有機溶剤の種類に応じて、各装置の温度(温度センサ13,16,18,21等により測定される温度)を適宜変更すればよい。
また、例えば、前記の実施形態では、凝集磁気分離装置1において処理された随伴水(即ち脱水汚泥)から油分及び水分を回収するようにしたが、油分及び水分は、随伴水から直接回収されるようにしてもよい。即ち、回収システム100は凝集磁気分離装置1や脱水装置2を備えなくてもよく、凝集磁気分離装置1等を経ていない随伴水から油分及び水分が回収されるようにしてもよい。さらには、随伴水以外にも、例えば、石油精製施設から発生した油分含有産業廃棄物(固形物のほか、廃水も含む)やオイルサンド(いずれか一方のみでもよく、双方でもよい)を前記の抽出槽3に供給することで、これらの処理対象物から油分及び水分を回収可能である。
さらに、前記の実施形態では、凝集磁気分離装置1及び脱水装置2の双方が備えられていたが、凝集磁気分離装置1が備えられる場合には、脱水装置2は必ずしも備えられなくてもよい。即ち、前記の実施形態では、脱水装置2において脱水された濃縮汚泥(即ち脱水汚泥)が抽出槽3に供給されていたが、凝集磁気分離装置1において発生した濃縮汚泥がそのまま抽出槽3に供給されるようにしてもよい。何れの場合でも、凝集磁気分離装置1において分離された汚泥が抽出槽3に処理対象物として供給され、何れの場合でも、随伴水から油分及び水分を回収可能である。
また、脱水装置2が備えられる場合には、脱水装置2の構成は、前記のフィルタプレス型の脱水機に限られず、例えばスクリュープレス等の既存脱水処理機を用いることもできる。
さらに、例えば、前記の実施形態において、分離装置7にはゼオライトにより構成される分離膜7aが備えられていたが、分離膜7aは、例えば、細孔を有する高分子有機材料により構成される高分子膜であってもよい。また、分離装置7は、分離膜7aを用いずとも、例えば単多段蒸留塔や単蒸留塔等であってもよい。
また、例えば、前記の実施形態では、回収システム100が暑い海上で使用されることを想定してアセトンタンク19に冷却器20を備えるようにしたが、回収システム100が寒い地域で使用される場合には、アセトンタンク19には、加熱器を備えるようにしてもよい。即ち、寒い地域ではアセトンタンク19内のアセトンの温度が低くなるため、アセトンタンク19内のアセトンは、分離装置7等を通流するアセトンの温度と同程度の温度となるように加熱されてもよい。
さらに、例えば、前記の実施形態では、アセトンはその全てが循環するようにしていたが、回収システム100,200の運転時間(アセトンの使用時間)等に応じて、循環するアセトンの一部又は全部が交換されるようにしてもよい。即ち、循環を繰り返すうちに、アセトンの純度が低下する可能性がある。そこで、このような場合を考慮し、例えば循環するアセトンの一部を図示しない排出弁を通じて外部に排出するとともに、新たなアセトンをアセトンタンク19から補充するようにしてもよい。また、アセトンは循環して使用されることが好ましいものの、必ずしも循環されなくてもよい。
さらに、アセトンの循環量を変更する場合にも、当該排出弁を通じて循環するアセトンを外部に排出したり、アセトンタンク19から新たなアセトンを補充したりするようにしてもよい。特に、アセトン量調整槽8が備えられていることで、アセトンの交換やアセトン量の増減を行うときでも、アセトン量調整槽8がバッファ機能を有することになるため、アセトン量の急激な変動が抑制され、安定して回収システム100,200を運転することができる。
また、前記の実施形態では、温度センサ16により測定される温度に基づいて加熱器14や冷却器15の設定温度を変更する制御を行ったが、このような制御は行われなくてもよい。即ち、加熱器14の設定温度や冷却器15の設定温度を固定し、温度センサ13により測定される温度や、温度センサ16により測定される温度が一定になるような制御のみを行うようにしてもよい。
また、図3〜図5を参照しながら説明した回収システム200では、設定温度に対してプラス5℃、又は、マイナス5℃になるように補助加熱装置32又は補助冷却装置34を制御したが、目標温度までの変動幅(ここでいう「5℃」)はこれに限定されるものではなく、分離膜7a(分離装置7に分離膜7aが備えられる場合)の膜面積等の分離条件に御応じて適宜変更することができる。
さらに、回収システム200において、ヒートポンプ30から排出される熱媒の温度(即ち、温度センサ31により測定される温度)に基づいて補助加熱装置32を制御するようにしたが、温度センサ31を設けずに、気化槽5に備えられた温度センサ13により測定される温度に基づいて補助加熱装置32を制御するようにしてもよい。
また、回収システム200では、補助加熱装置32及び補助冷却装置34の双方を制御するようにしたが、いずれか一方のみを制御するようにしてもよい。従って、例えば、熱媒の温度は設定温度であるが、冷媒の温度が設定温度から外れているような場合には、補助冷却装置34のみを制御するようにしてもよい。また、冷媒の温度は設定温度であるが、熱媒の温度が設定温度から外れているような場合には、補助加熱装置32のみを制御するようにしてもよい。
また、回収システム100,200の構成は図示の例になんら限定されず、例えば各種温度センサ等は適宜省略してもよい。他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、回収システム100,200に対して適宜変更を加えて実施することができる。
1 凝集磁気分離装置
2 脱水装置
3 抽出槽(分離装置)
4 固形分分離槽(分離装置)
5 気化槽(気化装置)
6 油水分離槽(油分回収装置)
7 分離装置(水分分離装置)
7a 分離膜(水分分離装置)
10 攪拌翼(攪拌混合装置)
11 モータ(攪拌混合装置)
14 加熱器
15 冷却器(水分冷却装置)
17 冷却器(有機溶剤冷却装置)
30 ヒートポンプ
31 温度センサ(熱媒温度測定装置)
32 補助加熱装置(熱媒加熱装置)
33 温度センサ(冷媒温度測定装置)
34 補助冷却装置(冷媒冷却装置)
50 制御装置(演算制御装置)
100,200回収システム
2 脱水装置
3 抽出槽(分離装置)
4 固形分分離槽(分離装置)
5 気化槽(気化装置)
6 油水分離槽(油分回収装置)
7 分離装置(水分分離装置)
7a 分離膜(水分分離装置)
10 攪拌翼(攪拌混合装置)
11 モータ(攪拌混合装置)
14 加熱器
15 冷却器(水分冷却装置)
17 冷却器(有機溶剤冷却装置)
30 ヒートポンプ
31 温度センサ(熱媒温度測定装置)
32 補助加熱装置(熱媒加熱装置)
33 温度センサ(冷媒温度測定装置)
34 補助冷却装置(冷媒冷却装置)
50 制御装置(演算制御装置)
100,200回収システム
Claims (9)
- 油分、水分及び無機塩類を含む処理対象物と、25℃、101kPaで液体となる有機溶剤とを接触させて、前記油分と前記水分と前記無機塩類と前記有機溶剤とを含む混合液を前記固形分から分離する分離装置と、
前記混合液を加熱することにより、前記混合液に含まれる前記水分と前記有機溶剤を気化させて、前記混合液から前記水分と前記有機溶剤とを混合気体として気化分離する気化装置と、
前記気化装置において前記水分及び前記有機溶剤を気化分離させた後の残留物から前記油分を回収する油分回収装置と、
前記気化装置において気化分離された混合気体から前記水分を分離して回収する水分分離装置と、を備えることを特徴とする、油分及び水分の回収システム。 - 前記有機溶剤は、アセトン、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、アセトアルデヒド、ジエチルアミン、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールからなる群より選ばれる1種以上を含む有機溶剤であることを特徴とする、請求項1に記載の油分及び水分の回収システム。
- 前記水分分離装置において前記水分が回収された後に残留した前記有機溶剤を前記分離装置に供給可能な有機溶剤循環ラインが形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油分及び水分の回収システム。
- 前記水分分離装置は、前記水分を透過可能な細孔が形成された分離膜であり、
前記分離膜は、高分子有機材料により構成される高分子膜、又は、ゼオライトにより構成される膜であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の油分及び水分の回収システム。 - 油分、水分、無機塩類及び懸濁物質を含む石油随伴水に対し、凝集剤及び磁性粉を添加することにより、前記油分と前記水分と前記無機塩類と前記懸濁物質とを含む汚泥を沈殿させた後、沈殿した前記汚泥に対して磁気を作用させることで前記汚泥を前記石油随伴水から分離する凝集磁気分離装置を備え、
前記凝集磁気分離装置において分離された汚泥が、前記分離装置に前記処理対象物として供給されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の油分及び水分の回収システム。 - 石油精製施設において発生した油分含有産業廃棄物、及び、オイルサンドのうちの少なくとも一方が前記分離装置に前記処理対象物として供給されることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の油分及び水分の回収システム。
- 前記分離装置には、前記処理対象物と前記有機溶剤とを攪拌混合する攪拌混合装置が備えられ、
前記分離装置に攪拌混合されることで前記処理対象物と前記有機溶剤とが接触している時間が30秒以上90分以下になるように、攪拌混合装置が駆動されることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の油分及び水分の回収システム。 - 前記気化装置において前記混合液を加熱する加熱器と、
前記水分分離装置において分離された前記水分の気体を冷却する水分冷却装置と、
前記水分分離装置において前記水分が分離された後の残留気体である前記有機溶剤の気体を冷却する有機溶剤冷却装置と、
冷媒の有する熱を利用して、熱媒を加熱するヒートポンプと、を備え、
前記ヒートポンプと、前記水分冷却装置と、前記有機溶剤冷却装置とは、この順で前記冷媒が通流して再び前記ヒートポンプに戻るように前記冷媒を通流可能に接続され、
前記ヒートポンプと、前記加熱器とは、前記ヒートポンプと前記加熱器との間で前記熱媒が通流可能なように接続され、
前記ヒートポンプでは、前記前記有機溶剤冷却装置から戻された冷媒の有する熱を用いて、前記加熱器に供給される熱媒が加熱され、
前記加熱器では、前記ヒートポンプから供給された熱媒の有する温熱によって前記混合液が加熱され、
前記水分冷却装置では、前記ヒートポンプから供給された冷媒の有する冷熱によって前記水分の気体が冷却され、
前記有機溶剤冷却装置では、前記水分冷却装置から排出された冷媒の有する冷熱によって前記有機溶剤の気体が冷却されることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の油分及び水分の回収システム。 - 前記ヒートポンプと、前記加熱器との間には、前記ヒートポンプから排出された熱媒の温度を測定する温度を測定する熱媒温度測定装置と、
前記ヒートポンプと、前記水分冷却装置との間には、前記ヒートポンプから排出された冷媒の温度を測定する温度を測定する冷媒温度測定装置と、
前記ヒートポンプから排出された前記熱媒を加熱する熱媒加熱装置と、
前記ヒートポンプから排出された前記冷媒を冷却する冷媒冷却装置と、
前記熱媒温度測定装置により測定される熱媒の温度、及び、前記冷媒温度測定装置により測定される冷媒の温度の少なくとも一方が予め設定された設定温度になるように、熱媒加熱装置及び前記冷媒冷却装置のうちの少なくとも一方を制御する演算制御装置と、を備えることを特徴とする、請求項8に記載の油分及び水分の回収システム。
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JP6426251B1 (ja) * | 2017-10-30 | 2018-11-21 | 木村化工機株式会社 | 蒸留装置の省エネルギーシステム |
JP2020065957A (ja) * | 2018-10-22 | 2020-04-30 | 木村化工機株式会社 | 蒸留装置の省エネルギーシステム |
CN113060864A (zh) * | 2021-03-25 | 2021-07-02 | 中汇金源(北京)科技发展有限公司 | 一种石化含油污水及污油净化回用工艺 |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015071245A patent/JP2016190194A/ja active Pending
Cited By (5)
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JP2019081125A (ja) * | 2017-10-30 | 2019-05-30 | 木村化工機株式会社 | 蒸留装置の省エネルギーシステム |
JP2020065957A (ja) * | 2018-10-22 | 2020-04-30 | 木村化工機株式会社 | 蒸留装置の省エネルギーシステム |
JP7086815B2 (ja) | 2018-10-22 | 2022-06-20 | 木村化工機株式会社 | 蒸留装置の省エネルギーシステム |
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