JP2016010767A - 水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感温性物質を用いて順浸透法で水処理する装置で、加温槽、冷却槽及び熱回収装置を個別に設けず、投入熱エネルギーを低減する水処理装置の提供。【解決手段】被処理水1中の水を半透膜3を通して、下限臨界溶液温度を有する感温性物質を水に溶解した誘引溶液4に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液5と第一の膜濃縮水2を得る順浸透膜処理装置10と、希釈誘引溶液5を下限臨界溶液温度以上に加温して相分離させた感温性物質濃度の高い濃厚相7と感温性物質濃度の低い希薄相6と、希釈誘引溶液5とを同時に熱交換させる加温分離器11と、感温性物質含有濃厚相液7を下限臨界溶液温度より低い温度に冷却する冷却手段と、再生誘引溶液4を順浸透膜処理装置10に循環する循環手段と、前記希薄相液を膜処理し、膜ろ過水と第二の膜濃縮水9を得る膜処理装置12と、第二の膜濃縮水9を希釈誘引溶液5に混合する混合手段を有する水処理装置。【選択図】図1
Description
本発明は、海水、かん水などの被処理水から淡水を製造する水処理装置に関するものである。
海水から半透膜を用いて淡水を製造する方法は種々知られているが、海水に浸透圧以上の圧力を加えて水を強制的に透過させる逆浸透法が主に開発されてきた。しかし、この方法は高圧に加圧する必要があるため、設備費および運転費にコストがかかるという問題点がある。そこで、半透膜を介して海水と海水より高濃度の塩溶液を接触させ、加圧せずとも浸透圧により海水中の水をこの塩溶液に移動させ、分離、回収することにより淡水を製造する方法が開発されている。(特許文献1、2)。
特許文献1の方法は、半透膜を介して海水と反対側にアンモニアと二酸化炭素を溶解して得られる塩溶液を流して、海水中の水を半透膜を通過させて該塩溶液に移動させ、得られた希釈塩溶液をイオン交換膜や蒸留塔等を用いてアンモニウムイオンと炭酸イオンを個別に分離して浄水を得るとともに、分離したアンモニウムイオンと炭酸イオンを該塩溶液に溶解して半透膜の元の部屋に戻す方法である。
特許文献2の方法は、曇点を有する物質を溶質とした誘引溶液を用いており、図3に示すように、海水21を順浸透システム30に送って、そこで半透膜を介して誘引溶液24と接触させて海水21中の水を浸透圧により半透膜を透過させて誘引溶液22へ移動させる。水が誘引溶液に移動して残った濃縮海水22は順浸透システム30から流出する。一方、海水中の水で希釈された希釈誘引溶液25は加熱器を備えた沈殿システム34に送られ、そこで相分離あるいは沈殿を生じた希釈誘引溶液はポンプ37で加圧されてろ過システム32に送られる。その際、溶質の曇点より低い温度の液29を添加することができる。ろ過システム32で濃縮された誘引溶液24は順浸透システム30に返送される。一方、ろ過された膜ろ過水28は後処理部33でさらに精製されて飲料水となる。曇点を有する物質としてはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールが使用され、ろ過システムのろ材にはナノろ過膜や逆浸透膜が使用されている。
特許文献1の方法では、誘引物質(例えば炭酸アンモニウム)の分離、回収を蒸発法で行うが、その際、アンモニアおよび同伴する水分の蒸発潜熱が多大で、膨大なエネルギーを要しコストも高い。さらに、蒸発設備サイズが極めて大きく、大量(例えば10万m3/日)の飲料水製造には不向きである。また、投入エネルギーが大きいため熱交換器のサイズも大きくなり、大量処理には不向きである。さらに、炭酸アンモニウムを用いる場合にはFO膜からのバックフローによって膜濃縮水を介して環境中に漏洩する誘引物質が窒素を含むため、富栄養化の原因となる。
特許文献2の方法は、誘引溶液の温度感応性を利用して誘引物質の一部を凝集させることにより、膜ろ過エネルギーを低減させることができる。この方法においては、誘引物質を凝集させた希釈誘引溶液はそのままろ過システムに送って凝集物をろ過分離していた。ところが、一定の濃度以上になった凝集物は再び溶解するため、高濃度の誘引溶液を得るためには、ろ過分離に多大な時間とエネルギーを要していた。
本発明者は、この問題を解決する手段として、誘引物質を凝集させた希釈誘引溶液を、そのままろ過システムに送るのではなく、一旦、相分離槽で感温性物質である誘引物質を主体とする濃厚相液と水を主体とする希薄相液に分離して、濃厚相液は曇点以下に冷却して誘引溶液として順浸透過程へ循環し、希薄相液のみをナノろ過膜等でろ過する方法を既に開発している。
この誘引溶液が相分離される経過は次のようなものである。まず感温性物質は曇点以下では溶解状態にあって均一濃度の単一相で存在する。次に、曇点以上に加温すると、溶解状態の単一相では存在できなくなり、感温性物質から水が離脱して凝集し、溶液中に濃厚相の微細な粒が発生する。また、同時に感温性物質の濃度が低くなった希薄相が発生し、濃厚相と希薄相が解け合わずに混合した状態となる。この希薄相中に発生した濃厚相の粒によって、液全体が白濁したように見えるため、そのときの温度を「曇点」または「下限臨界溶液温度」という。
濃厚相は互いに合体しながら成長し、希薄相と比重差によって分離して沈降する。こうして、最終的には異なる濃度の上下二層に分離する。
順浸透法で水処理する本装置において、被処理水から水を効率よく誘引溶液側へ移動させるためには、誘引溶液を高濃度にする必要がある。しかしながら、希釈誘引溶液から高濃度の濃厚相を得るには、希釈誘引溶液を高温に加温しなければならず、多くの熱エネルギーを投入する必要があるという問題がある。
また、希釈誘引溶液の加温槽、分離した後の濃厚相液と希薄相液の冷却槽およびそれらからの熱回収装置をそれぞれ設ける場合は、設備費が増大するという問題がある。
本発明の目的は、感温性物質を用いて順浸透法で水処理する装置において、加温槽、冷却槽およびを加温槽からの熱回収装置を個別に設けることなく、かつ投入熱エネルギーを低減することができる装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、希釈誘引溶液の加温と相分離を一体としたコンパクトな加温分離器を案出するに至り、この加温分離器において、既分離の濃厚相液および希薄相液で未分離の希釈誘引溶液を加温すると同時に相分離も行なうことによって、高濃度の濃厚相を生成するための投入熱エネルギーを低減することができることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち、本発明は、
被処理水と、下限臨界溶液温度を有する感温性物質を水に溶解した誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と第一の膜濃縮水を得る順浸透膜処理装置と、前記希釈誘引溶液を下限臨界溶液温度以上に加温するとともに、感温性物質濃度の高い濃厚相と感温性物質濃度の低い希薄相とに相分離させ、さらに生成した濃厚相液および希薄相液と、前記希釈誘引溶液とを熱交換させる加温分離器と、前記加温分離器で濃厚相として分離された感温性物質含有液を下限臨界溶液温度より低い温度に冷却する冷却手段と、前記冷却手段で冷却され、再生された誘引溶液を前記順浸透膜処理装置に循環する循環手段と、前記加温分離器で希薄相として分離された溶液を膜処理し、膜ろ過水と第二の膜濃縮水を得る膜処理装置と、前記第二の膜濃縮水を前記希釈誘引溶液に混合する混合手段を有することを特徴とする水処理装置を提供するものである。
被処理水と、下限臨界溶液温度を有する感温性物質を水に溶解した誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と第一の膜濃縮水を得る順浸透膜処理装置と、前記希釈誘引溶液を下限臨界溶液温度以上に加温するとともに、感温性物質濃度の高い濃厚相と感温性物質濃度の低い希薄相とに相分離させ、さらに生成した濃厚相液および希薄相液と、前記希釈誘引溶液とを熱交換させる加温分離器と、前記加温分離器で濃厚相として分離された感温性物質含有液を下限臨界溶液温度より低い温度に冷却する冷却手段と、前記冷却手段で冷却され、再生された誘引溶液を前記順浸透膜処理装置に循環する循環手段と、前記加温分離器で希薄相として分離された溶液を膜処理し、膜ろ過水と第二の膜濃縮水を得る膜処理装置と、前記第二の膜濃縮水を前記希釈誘引溶液に混合する混合手段を有することを特徴とする水処理装置を提供するものである。
本発明の装置では、希釈誘引溶液は、加温器と相分離器が一体となった加温分離器で従来よりも高温に加温される。相分離温度を高温化することにより、高濃度の濃厚相が得られる。この加温分離器では、冷却器および淡水が系内から持ち出す熱エネルギーの分だけ加温すればよいため、投入熱エネルギーを低減することができる。
本発明により、曇点を有する感温性物質を誘引溶液に用いた順浸透法による水処理装置において、投入熱エネルギーを低減することができ、希釈誘引溶液を加温する槽と、感温性物質の濃厚相液と希薄相液が上下に分離するまで保持する槽と、分離した後の濃厚相液と希薄相液から熱エネルギーを回収する熱交換器とを別々に設けることなく、これらの機能を一体として保有する装置を設けることにより、設備コストおよび設置面積を低減することができる。
図1に本発明の一実施態様を模式的に示す。
本発明の装置で処理される被処理水は水を溶媒とする溶液であり、海水、かん水などである。かん水は、シェールガス、オイルサンド、CBM(炭層メタン)、石油等を採掘する坑井からの随伴水も含まれる。
随伴水は、坑井からの採掘目的物に同伴して排出される水であり、塩分、有機物、懸濁物などを含んでいる。汚濁物質の濃度としては、例えば蒸発残留物(主にNa+、K+、Ca2+、Cl-、SO4 2-など)が1,000〜100,000mg/L、有機物(油分や添加した薬剤など)がTOCとして10〜1,000mg/L、懸濁物質が100〜10,000mg/Lといった範囲で含有される。
油分と随伴水の分離手段は問わないが、例えば沈降などで油水分離が行われている。
図1に示していないが、被処理水を必要によりまずろ過処理する。このろ過処理は、例えば、精密ろ過膜を用いたろ過器で行い、ろ過膜は、精密ろ過膜として使用されている通常の膜を使用することができる。例えば、酢酸セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニルなどの外、セラミック製の膜や多孔質ガラス製の膜なども利用できる。精密膜ろ過処理では、精密ろ過膜を通過した膜ろ過水と、膜を通過しないで残った膜濃縮水が得られる。
精密膜ろ過のほか、限外膜ろ過、砂ろ過等のろ過処理が用いることができる。限外膜ろ過の材質は精密膜ろ過と同様のものが用いられる。
精密膜ろ過のほか、限外膜ろ過、砂ろ過等のろ過処理が用いることができる。限外膜ろ過の材質は精密膜ろ過と同様のものが用いられる。
順浸透膜処理装置
順浸透膜処理装置は、ろ過処理した被処理水と、感温性物質を水に溶解した高浸透圧の誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と第一の膜濃縮水を得る装置である。
順浸透膜処理装置は、ろ過処理した被処理水と、感温性物質を水に溶解した高浸透圧の誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と第一の膜濃縮水を得る装置である。
半透膜は水を選択的に透過できるものがよく、順浸透(Forward Osmosis)膜が好ましいが、逆浸透膜も使用できる。材質は特に制限されないが、例示すれば、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリエチレンイミン系、ポリスルホン系、ポリベンゾイミダゾール系のものなどを挙げることができる。半透膜の形態も特に制限されず、平膜、管状膜、中空糸などいずれであってもよい。
この半透膜を装着する順浸透膜処理装置は通常は円筒形あるいは箱形の容器内に半透膜を設置して、この半透膜で仕切られた一方の室に被処理水を流し、他方の室に誘引溶液を流せるものであり、公知の半透膜装置を用いることができ、市販品を用いることができる。
感温性物質は、低温では水によく溶けるが、下限臨界溶液温度以上になると溶解度が低下する物質であり、水溶性〜水不溶性に変化するこの下限臨界溶液温度は曇点とも呼ばれる。この温度に達すると感温性物質が析出して白濁が起こる。
この感温性物質は、各種界面活性剤、分散剤、乳化剤などとして利用されており、例示すれば、アルコールまたは脂肪酸とエチレンオキサイドの化合物、アクリルアミドとアルキル基の化合物、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、アミノ酸およびその誘導体などであり、好ましくは、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックまたはランダム共重合体、グリセロールエトキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート等である。本発明において使用する感温性物質としては、曇点が30℃〜80℃の範囲、特に40℃〜60℃の範囲のものが好ましい。そのために、HLB値が10以上の非イオン性界面活性剤とそれよりHLB値が低い非イオン性界面活性剤、脂肪酸あるいはアルコールを組み合わせて曇点を上記の範囲に調節することができる。
誘引溶液の濃度は、誘引溶液の浸透圧が、被処理液の浸透圧より十分高くなるように調整しなければならない。
加温分離器
加温分離器は、前記希釈誘引溶液を下限臨界溶液温度以上に加温するとともに、感温性物質濃度の高い濃厚相と感温性物質濃度の低い希薄相とに相分離させ、さらに生成した濃厚相および希薄相と、前記希釈誘引溶液とを熱交換させるものである。
加温分離器は、前記希釈誘引溶液を下限臨界溶液温度以上に加温するとともに、感温性物質濃度の高い濃厚相と感温性物質濃度の低い希薄相とに相分離させ、さらに生成した濃厚相および希薄相と、前記希釈誘引溶液とを熱交換させるものである。
加温分離器の構造は、容器内に希釈誘引溶液の流路と濃厚相液の流路と希薄相液の流路が設けられていること、濃厚相液の流路と希薄相液の流路は伝熱壁を介して希釈誘引溶液の流路と向流接触していることが要件である。その外、濃厚相と希薄相の分離手段が必要であり、これには、重力分離を利用するのがよい。
希釈誘引溶液の流路を水平あるいは水平からやや傾けて設け、該流路を流れていく間に、析出した濃厚相の粒子を沈降させて流路の下部から流出させる。その間、粒子は合体していく。希釈誘引溶液の流路の出口からは、濃厚相は下方へ、そして希薄相は上方へそれぞれ流出してUターンし、それぞれの流路を戻っていく。濃厚相と希薄相の相分離を良好にするために、それぞれの流路の出口あるいは途中に流量調節弁等の流量調節手段を設けることができる。また、濃厚相液および希薄相液と希釈誘引溶液との熱交換効率を高めるために濃厚相液と希薄相液の流路には適宜邪魔板等を設けて蛇行流や螺旋流など乱流を形成させることもできる。
加温分離器の形状は、円筒形、箱形など如何なる形状であってもよい。伝熱壁の材質には、ステンレス、チタン、銅、アルミおよびそれらの合金などを用いることができる。
沈降分離を利用した加温分離器の一例を図2に示す。この装置は、横型円筒形容器の内部のうち、一方の端部近傍を除いた部分を2つの板状の伝熱壁で区分し、前記端部で連通する希薄相液の流路と、希釈誘引溶液の流路と、濃厚相液の流路を形成するとともに、該容器の他方の端部の中央部に希釈誘引溶液の流入口と、外周部に濃厚相液及び希薄相液の流出口を有し、さらに、前記一方の端部に容器内液体の加温手段を備えている。
希釈誘引溶液は図面左側より加温分離器に流入して右方に流れ、その間、左方に流れる希薄相液および濃厚相液と伝熱壁を介して向流接触し加温される。この加温によって下限臨界溶液温度以上になると感温性物質が凝集して濃厚相の粒子が発生、沈降し、粒子が合体して濃厚相と希薄相に分相され、容器右端部に設置された加熱器で加温されて、それぞれの流路を経由して流出する。このとき、濃厚相側の伝熱壁を下向きに設置すると、生成した濃厚相液が滞留または逆流することにより、希薄相液と再混合することを抑制することができる。希薄相側の伝熱壁は、その逆に上向きに設置することが望ましい。
冷却手段
冷却手段は、前記加温分離器で濃厚相液として分離された感温性物質含有液を下限臨界溶液温度より低い温度に冷却することで水に溶解させて誘引溶液に再生する手段である。この温度は広い範囲で採用可能であるが、経済性を考慮すると常温かそれより高い温度が好ましい。この冷却熱源としては、被処理水あるいは順浸透膜処理装置において得られた希釈誘引溶液を用いることがエネルギーの効率利用の点で好ましい。
冷却手段は、前記加温分離器で濃厚相液として分離された感温性物質含有液を下限臨界溶液温度より低い温度に冷却することで水に溶解させて誘引溶液に再生する手段である。この温度は広い範囲で採用可能であるが、経済性を考慮すると常温かそれより高い温度が好ましい。この冷却熱源としては、被処理水あるいは順浸透膜処理装置において得られた希釈誘引溶液を用いることがエネルギーの効率利用の点で好ましい。
循環手段
再生した誘引溶液は前記順浸透膜処理装置にそのまま循環使用できる。この循環は単なる配管接続であってもよく、誘引溶液タンクに投入できるようにしてもよい。
再生した誘引溶液は前記順浸透膜処理装置にそのまま循環使用できる。この循環は単なる配管接続であってもよく、誘引溶液タンクに投入できるようにしてもよい。
膜処理装置
一方、前記加温分離器で希薄相液として分離された溶液は、ナノろ過膜や逆浸透膜などで膜ろ過して、そこに残存している感温性物質を除去する。膜ろ過水は淡水であり、飲料水などに利用できる。膜ろ過されないで残った第二の膜濃縮水は、感温性物質が含まれているので、希釈誘引溶液に混合するのがよい。
一方、前記加温分離器で希薄相液として分離された溶液は、ナノろ過膜や逆浸透膜などで膜ろ過して、そこに残存している感温性物質を除去する。膜ろ過水は淡水であり、飲料水などに利用できる。膜ろ過されないで残った第二の膜濃縮水は、感温性物質が含まれているので、希釈誘引溶液に混合するのがよい。
この本発明の装置の一実施態様を図1に示す。同図に示すように、海水等の被処理水1は順浸透膜装置10に送入され、半透膜3を通して水が反対側の室に透過されて残った第一の膜濃縮水2が排出される。順浸透膜装置10の反対側の室には誘引溶液4が流入しており、そこで半透膜3を介して被処理水1と向流接触して被処理水1から移行した水で希釈されて順浸透膜装置10を出る。順浸透膜装置10を出た希釈誘引溶液5は、加温分離器11に入って、伝熱壁を介して向流する希薄相液6と濃厚相液7と熱交換して昇温されながら内部を右方に進み、下限臨界溶液温度に達して濃厚相粒子を発生させていく。これらの粒子はそれぞれ合体して大きくなりながら進み加温分離器の右端で濃厚相液7は下方へ、希薄相液6は上方へそれぞれUターンし、その際加温器14で加温される。尚、希釈誘引溶液5と希薄相液6と濃厚相液7の各流路の間は伝熱壁で区分されている。そして、希薄相液6はタンク6aに入れられ、ポンプで膜ろ過装置12に送られる。膜ろ過水8は取り出されて必要によりさらに精製されて飲料水等に利用される。分離された第二の膜濃縮水9は順浸透膜装置10を出た希釈誘引溶液に混合される。一方、濃厚相液7は冷却器15で冷却されて誘引溶液4に再生されタンク4aに入れられる。そして、ポンプにより順浸透膜処理装置へ循環される。
本発明により、希釈誘引溶液を加温して高濃度の誘引溶液を得るための熱エネルギーを最小限にすることができ、かつ希釈誘引溶液の加温槽と、相分離した後の濃厚相液と希薄相液の貯留槽、およびそれらからの熱エネルギー回収装置を別々に設けることによる設備コストと設置面積を低減することが可能である。
本発明の方法は、海水から淡水の製造や、坑井からの随伴水の処理などに広く利用できる。
1 被処理水
2 第一の膜濃縮水
3 半透膜
4 誘引溶液
4a タンク
5 希釈誘引溶液
6 希薄相液
6a タンク
7 濃厚相液
8 膜ろ過水
9 第二の膜濃縮水
10 順浸透膜装置
11 加温分離器
12 膜ろ過装置
14 加温器
15 冷却器
2 第一の膜濃縮水
3 半透膜
4 誘引溶液
4a タンク
5 希釈誘引溶液
6 希薄相液
6a タンク
7 濃厚相液
8 膜ろ過水
9 第二の膜濃縮水
10 順浸透膜装置
11 加温分離器
12 膜ろ過装置
14 加温器
15 冷却器
Claims (1)
- 被処理水と、下限臨界溶液温度を有する感温性物質を水に溶解した誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と第一の膜濃縮水を得る順浸透膜処理装置と、前記希釈誘引溶液を下限臨界溶液温度以上に加温するとともに、感温性物質濃度の高い濃厚相と感温性物質濃度の低い希薄相とに相分離させ、さらに生成した濃厚相液および希薄相液と、前記希釈誘引溶液とを同時に熱交換させる加温分離器と、前記加温分離器で濃厚相液として分離された感温性物質含有液を下限臨界溶液温度より低い温度に冷却する冷却手段と、前記冷却手段で冷却され、再生された誘引溶液を前記順浸透膜処理装置に循環する循環手段と、前記加温分離器で希薄相液として分離された溶液を膜処理し、膜ろ過水と第二の膜濃縮水を得る膜処理装置と、前記第二の膜濃縮水を前記希釈誘引溶液に混合する混合手段
を有することを特徴とする水処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014133529A JP2016010767A (ja) | 2014-06-30 | 2014-06-30 | 水処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014133529A JP2016010767A (ja) | 2014-06-30 | 2014-06-30 | 水処理装置 |
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---|---|
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JP (1) | JP2016010767A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019171230A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | Jfeエンジニアリング株式会社 | 水処理装置およびその起動方法 |
-
2014
- 2014-06-30 JP JP2014133529A patent/JP2016010767A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019171230A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | Jfeエンジニアリング株式会社 | 水処理装置およびその起動方法 |
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