本発明は、ヒートポンプを用いた蒸留装置に関し、詳しくは、低沸点成分を高沸点成分よりも少ない割合で含有する原料液を蒸留して低沸点成分を分離するために用いられる蒸留装置に関する。
蒸留装置における省エネルギー化の必要性は近年、益々増大しており、種々の提案が行われている。
そのような省エネルギー技術の1つとして、蒸留装置にヒートポンプを組み込んで、熱効率を向上させるようにした蒸留装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の蒸留装置は、蒸留塔と、蒸留コンデンサと、蒸留リボイラと、蒸留コンデンサから流出した第一出力流体を蒸留塔に戻すための還流用の配管とを備える蒸留装置である。
そして、この蒸留装置は、作動媒体(水)が蒸留コンデンサで受け取った熱を蒸留リボイラに与えるためのヒートポンプを備えている。ヒートポンプは、蒸留コンデンサと蒸留リボイラを接続するとともに作動媒体が循環する循環流路と、蒸留コンデンサで蒸発した後の作動媒体を圧縮する圧縮機と、蒸留リボイラで熱を与えた後の作動媒体を減圧(膨張)させる減圧弁とを備えた構成とされている。
そして、この蒸留装置によれば、蒸留塔の頂部から流出した第一出力流体の有する熱エネルギーが、ヒートポンプによって蒸留リボイラにおいて有効に回収され、第一出力流体の熱エネルギーの有効利用により、蒸留リボイラにおける第二出力流体の加熱に必要な熱エネルギーの削減を図ることが可能になるとされている。
ところで、蒸留装置における省エネルギー化を図る方法の一つとして、上述のように、ヒートポンプを利用する方法が考えられる。
しかしながら、蒸留塔の塔頂ベーパを冷却するためのコンデンサの冷却水から熱を回収し、加熱源としてリボイラに供給するためには、ヒートポンプとして高圧縮のタイプのものを用いることが必要となる。その結果、ヒートポンプの成績効率(COP)は小さくなり、省エネルギー効果も小さくなるという問題点がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、蒸留装置にヒートポンプを用いて省エネルギーを図るとともに、ヒートポンプに消費されるエネルギーを抑制して、さらなる省エネルギー効果を得ることが可能な蒸留装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、発明者等は、種々の検討を行い、ヒートポンプを用いた蒸留装置において十分な省エネルギー効果を図るためには、低圧縮で、可能な限り成績効率(COP)の高いタイプのヒートポンプを採用できるような設計を行うことが必要であると認識するに至った。
すなわち、蒸留塔(蒸留装置)における分離操作は、高沸点成分が塔底から取り出され、低沸点物が塔頂から取り出されるという構成を基本としているが、それ以外は、蒸留の対象となる原料液の物性や供給濃度、温度などにより、多種多様な構成が採用されており、蒸留塔(蒸留装置)を製作するに当たっては、種々の特徴のある設計が行われているのが実情である。
発明者等は、上述のような知見から、成績効率(COP)が6〜8というような高効率のヒートポンプを用いることができるように蒸留塔(蒸留装置)の設計を行うことで、設備の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、省エネルギー性に優れた蒸留装置を実現することができるのではないかと考え、さらに検討を行って本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる蒸留装置は、
低沸点成分を高沸点成分よりも少ない割合で含有する原料液の蒸留を行う第1蒸留塔と、
前記第1蒸留塔の塔底液を再加熱するリボイラと、
前記第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第1凝縮液と、前記第1凝縮液よりも低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離する第1コンデンサと、
前記第1コンデンサにおいて前記第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した前記第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記リボイラに高温水として供給するように構成されたヒートポンプと、
前記第1コンデンサにおける不凝縮ガスである前記第1ベーパを、下記第2凝縮液と気液接触させて蒸留する第2蒸留塔と、
前記第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、低沸点成分を主成分とする第2凝縮液を回収する第2コンデンサと、
前記第1コンデンサにおける前記第1凝縮液を、前記第1蒸留塔用の還流液として前記第1蒸留塔に還流させる第1還流路と、
前記第2コンデンサにおける前記第2凝縮液の一部を、前記第2蒸留塔用の還流液として前記第2蒸留塔に還流させる第2還流路と、
を備え、
前記ヒートポンプにて温度レベルを上げて前記リボイラに供給する前記高温水の温度Aが80℃以上100℃未満であり、
前記ヒートポンプに送られて熱回収される前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満であり、
前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが前記高温水の温度Aよりも10℃〜35℃低い温度であり、かつ、
前記第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が75℃〜95℃となるような操作圧で操作されるように構成されていること
を特徴としている。
また、本発明の蒸留装置においては、
前記高温水の温度Aが90℃以上100℃未満であり、
前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが60℃以上90℃未満であり、
前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが前記高温水の温度Aよりも10℃〜30℃低い温度であり、かつ、
前記第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃〜95℃となるような操作圧で操作されるように構成されていること
が好ましい。
また、前記第1蒸留塔に供給される前記原料液に含まれる低沸点成分の濃度が0.1wt%以上30wt%以下で、前記第1蒸留塔の塔底から排出される排出液の低沸点成分の濃度が1wt%以下であることが好ましい。
本発明の蒸留装置は、上述のように構成されており、ヒートポンプにおいて温度レベルを上げてリボイラに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満、ヒートポンプに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが高温水の温度Aよりも10〜35℃低い温度であって、第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が75℃〜95℃となるような操作圧で操作されるように構成されていることから、上記条件で稼働させることが可能な蒸留装置を実現することが可能になる。その結果、ヒートポンプを効率よく稼働させて、エネルギーの消費を抑制することが可能な、省エネルギー性に優れた蒸留装置を提供することができる。
すなわち、本発明によれば、第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が75℃〜95℃となるような操作圧とする(原料液が、例えば低沸点成分がアセトン、高沸点成分が水であるような場合には、25kPaA以上大気圧以下の操作圧とする)ことで、ヒートポンプにおいて上昇させるべき温度レベル幅が10〜35℃と、通常のヒートポンプにおいて上昇させるべき温度レベル幅(通常は40〜85℃)よりも小さい温度幅でもヒートポンプの使用が可能になるため、通常のヒートポンプを用いる場合に比べて、高い成績効率(COP)で熱回収を行うことが可能になり、省エネルギー性を向上させることができるようになる。
本発明の蒸溜装置においては、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを高温水の温度Aにできるだけ近づけるため、第1コンデンサを、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)の一部のみを凝縮させることで、第1コンデンサの凝縮温度を高く保つことができるようにしている。そして、その結果として、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを、80℃以上100℃未満という高温水の温度Aに近い温度、すなわち、45℃以上90℃未満という温度に設定することができるようになる。
一方、蒸留対象となる流体の沸点は、大気圧下であればヒートポンプの高温水側の温度を超えることがあるが、これに対しては蒸留装置の操作圧を減圧にして、蒸留対象となる流体の沸点を95℃未満に低下させることにより、ヒートポンプの適用を可能にしている。
蒸留装置の対象液は、さまざまであり、蒸留塔の塔底側の必要熱量と、塔頂側の必要熱量との間に大きな差がある場合には、蒸留塔を2塔に分割し、1塔目の蒸留塔にヒートポンプを適用することで、より消費エネルギーの少ない蒸留システムを構成することができる。
すなわち、本発明では、1塔目の蒸留塔(第1蒸留塔)において、目的成分(低沸点成分)を中間濃度まで濃縮する蒸留を行い、2塔目の蒸留塔(第2蒸留塔)において、目的成分(低沸点成分)を高濃度にまで濃縮する蒸留を行うことで、第1蒸留塔に成績効率(COP)が6〜8である高効率ヒートポンプを付加して、より消費エネルギーの少ない蒸留装置を実現するようにしている。
言い換えると、本発明では、上述のように、第1蒸留塔の塔頂における目的成分(低沸点成分)の濃度を中間濃度とすることで、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を冷却する第1コンデンサ内における凝縮温度を高く維持することを可能にし、ヒートポンプの低温水の温度(すなわち第1コンデンサ用循環冷却水の温度)を例えば、45℃以上90℃(より好ましくは、60℃以上90℃)と、95℃である高温水の温度に極めて近い温度とすることで、高COPのヒートポンプを用いることを可能にしている。
また、本発明の蒸留装置においては、ヒートポンプの動力が第1蒸留塔のリボイラに熱量として加算され、第1コンデンサでの冷却熱量がリボイラで加えられた熱量に対して不足するため、第2蒸留塔においては余剰熱を利用することが可能で、第2蒸留塔の熱負荷が小さくなる。すなわち、第2蒸留塔では、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を冷却する第1コンデンサを通過する余剰熱(第1コンデンサで凝縮せずに、第1コンデンサを通過した第1ベーパが有する熱)を利用して、低沸点成分を高濃度にまで蒸留することができる。その結果、第2蒸留塔にはリボイラが不要になる。ただし、第2蒸留塔でエネルギーが不足する場合は、リボイラを追加する。
さらに、本発明によれば、上述のように、第2蒸留塔の熱負荷が小さくなるので、第2蒸留塔の塔径を、第1蒸留塔の塔径よりも小さくする(例えば1/3〜2/3にする)ことが可能になり設備コストの大幅な低減が期待できる。
また、第2蒸留塔の塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)は第2コンデンサ(濃縮コンデンサ)で冷却されて凝縮し、一部は還流液として第2蒸留塔に供給され、残りは回収溶剤(留出液)として系外に取り出される。
なお、第2コンデンサ(濃縮コンデンサ)においては、冷却水として、第2蒸留塔の塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)を十分に凝縮させることが可能な低温の冷却水が用いられる、これにより、不凝縮ガス以外の低沸点成分は、全て液(留出液)として回収されることになる。
また、前記高温水の温度Aを90℃以上100度未満とし、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを60℃以上90℃以下とし、かつ、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを高温水の温度Aよりも10℃〜30℃低い温度とし、操作圧を第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃〜95℃となるような操作圧(原料液が、例えば低沸点成分がアセトン、高沸点成分が水であるような場合には、25kPaA以上大気圧以下の操作圧)とした場合、さらに高い成績効率(COP)で熱回収を行うことが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
また、本発明の蒸留装置においては、第1蒸留塔に供給される原料液の低沸点成分濃度を0.1wt%以上30wt%以下の範囲とし、第1蒸留塔の塔底から排出される排出液の低沸点成分濃度を1wt%以下とする場合において、効率のよい蒸留を行って、省エネルギー効果を確保しつつ、低沸点成分を分離、回収することが可能になる。
本発明の一実施形態にかかる蒸留装置の構成を示すフローシートである。
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、本実施形態では、低沸点成分であるアセトン1.0wt%を含み、残部(99.0wt%)を高沸点成分である水とする原料液(被処理液)を蒸留してアセトンを分離、回収するための蒸留装置を例にとって説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、ヒートポンプを用いて省エネルギー性の向上を図った蒸留装置である。
図1に示すように、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1蒸留塔1と、リボイラ1aと、第1蒸留塔1の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を冷却する第1コンデンサ11とを備えている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うヒートポンプHPと、第1コンデンサ11における不凝縮ガス(第1ベーパ)の蒸留を行う第2蒸留塔2と、第2蒸留塔2の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)不凝縮ガスを冷却する第2コンデンサ22とを備えている。
そして、第2蒸留塔2は、第1コンデンサ11における不凝縮ガス(第1ベーパ)を、第2コンデンサ22の凝縮液(第2凝縮液)と気液接触させて蒸留を行うように構成されている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1コンデンサ11の凝縮液を、第1蒸留塔1に還流させる第1還流路31と、第2コンデンサ22の凝縮液を、第2蒸留塔2に還流させる第2還流路32とを備えている。
以下、詳しく説明する。
本発明の蒸留装置100が備える第1蒸留塔1は、アセトンを1.0wt%の割合で含むアセトン水溶液(水99.0wt%)である原料液の蒸留を行う蒸留塔である。第1蒸留塔1としては、例えば、棚段塔、充填塔など種々の構成のものを用いることが可能である。本実施形態では充填塔を用いている。
また、リボイラ1aは、第1蒸留塔1の塔底液を再加熱するものであり、再加熱された塔底液は第1蒸留塔1に戻される。なお、リボイラ1aは、後述のヒートポンプHPからの95℃の高温水を用いた間接型熱交換器であって、このリボイラ1aで加熱されることによりベーパを発生させる。
第1蒸留塔1ではリボイラ1aで発生したベーパと、予熱器41を通過して昇温した原料液(供給液)と、第1コンデンサ11で凝縮した凝縮液である還流液とを気液接触させることで、アセトンの蒸留を行い、アセトンが分離(除去)された塔底液(缶出液)が系外に排出される一方、原料液よりも高い割合でアセトンを含む、塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)が第1コンデンサ11に供給される。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100が備える第1コンデンサ11は、第1蒸留塔1の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第1凝縮液と、第1凝縮液よりもアセトンを高い割合で含む第1ベーパとに分離するものである。そして、凝縮液は第1蒸留塔1の塔頂へ還流液として還流される。
すなわち、第1コンデンサ11では、主として高沸点成分(水)が凝縮し、アセトン3.3wt%を含む凝縮液(アセトン水溶液)は、還流液として、第1蒸留塔1の塔頂に戻される。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、ヒートポンプHPを備えており、このヒートポンプHPは、第1コンデンサ11で第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した第1コンデンサ用循環冷却水(本実施形態では65℃)から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げてリボイラ1aに高温水(本実施形態では95℃)として供給することができるように構成されている。
すなわち、本発明にかかる蒸留装置100において、ヒートポンプHPは、例えば、第1コンデンサ11で用いられた45℃以上90℃未満の温度Bの第1コンデンサ用循環冷却水から熱を回収し、電力により温度レベルを10℃以上35℃以下の範囲で上昇させ、80℃以上100℃未満の温度Aでリボイラ1aに供給することで熱エネルギーを循環再利用するものである。
なお、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1コンデンサ11で第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した第1コンデンサ用循環冷却水側(冷水側)と、電力により熱エネルギーレベルを上げてリボイラ1aに供給される高温水側(温水側)との温度差を、従来用いられているヒートポンプの場合よりも小さくすることで、高COPで熱回収を行うことができるようにしたことを、いくつかの特徴を有する構成のうちでも、大きな特徴を有する構成としている。
具体的には、第1コンデンサ11で第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した温度が65℃の第1コンデンサ用循環冷却水がヒートポンプHPにおいて熱回収され、温度が60℃に低下した第1コンデンサ用循環冷却水が第1コンデンサ11に循環供給されるように構成されている。
一方、ヒートポンプHPにおいて、電力により温度レベルが95℃に上げられた高温水側循環水(高温水)は、リボイラ1aに供給され、リボイラ1aで用いられて温度が90℃に低下した高温水側循環水は、ヒートポンプHPに戻されて、温度レベルが95℃に上げられた後、再びリボイラ1aに供給されるように構成されている。
さらに、本実施形態の蒸留装置100は、第1コンデンサ11における不凝縮ガスである第1ベーパを、蒸留する第2蒸留塔2を備えているとともに、第2蒸留塔2の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)を冷却する第2コンデンサ22を備えている。
第2蒸留塔2は、第1コンデンサ11における不凝縮ガスである第1ベーパを第2コンデンサ22で凝縮した第2凝縮液と気液接触させて蒸留し、塔頂からさらにアセトン濃度の高い塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)を取り出す蒸留塔である。第2蒸留塔2としては、例えば、棚段塔、充填塔など種々の構成のものを用いることが可能である。本実施形態では充填塔を用いている。
すなわち、第2蒸留塔2では、アセトン濃度の高い、第1コンデンサ11の不凝縮ガスが蒸留されることにより、アセトンが選択的に第2コンデンサ22に抜き出される。その結果、第1コンデンサ11内の温度を高く保ち、冷媒である第1コンデンサ用循環冷却水の温度を、例えば、60〜65℃と高くすることが可能になり、上述のように、第1コンデンサ用循環冷却水側と、リボイラ1aに供給される高温水側との温度差を小さくして、高COPで熱回収を行うことが可能になる。
この第2コンデンサ22は、第2蒸留塔2の塔頂ベーパである第2塔頂ベーパを第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第2塔頂ベーパに含まれるアセトンと水を凝縮させる機能を果たす。
なお、第2コンデンサ用循環冷却水としては、第2塔頂ベーパに含まれるアセトンと水とを十分に凝縮させることが可能な温度の冷却水が用いられる。
そして、第2コンデンサ22において凝縮した凝縮液の一部が回収溶剤として回収され、他の凝縮液は、第2蒸留塔2の塔頂へ還流液として還流される。
本実施形態の蒸留装置100は、第1コンデンサ11における凝縮液を、第1蒸留塔1用の還流液として第1蒸留塔1に還流させることができるように第1還流路31を備えている。
また、第2コンデンサ22における凝縮液を、第2蒸留塔2用の還流液として第2蒸留塔2に還流させることができるように第2還流路32を備えている。
さらに説明すると、本実施形態の蒸留装置100においては、第1蒸留塔1の塔底から排出される塔底液(缶出液)の温度が75℃〜95℃となるような操作圧(例えば、25kPaA以上大気圧以下)で操作されるようにすることで、ヒートポンプHPにて温度レベルを上げてリボイラ1aに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満となるように構成されている。
また、ヒートポンプHPに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満となるように構成されている。
さらに、ヒートポンプHPに送られて熱回収されるべき第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが上述の高温水の温度Aよりも10〜35℃低い温度となるように構成されている。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、上述のように構成されており、ヒートポンプHPにおいて温度レベルを上げてリボイラ1aに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満、ヒートポンプHPに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満であり、かつ、ヒートポンプHPに送られて熱回収されるべき第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが温度Aよりも10〜35℃低い温度とされ、かつ、第1蒸留塔1の塔底から排出される缶出液の温度が75℃〜95℃となるような操作圧(例えば、25kPaA以上大気圧以下)で操作されるように構成されていることから、ヒートポンプHPを効率よく稼働させることが可能になり、装置全体としてのバランスを保ちつつ、高い成績効率(COP)で熱回収を行って、省エネルギー性を向上させることができる。
すなわち、本実施形態にかかる蒸留装置100によれば、ヒートポンプHPにおいて上昇させるべき温度レベルが10〜35℃であり、通常のヒートポンプを用いる場合に比べて、ヒートポンプで上昇させるべき温度レベルの幅が小さいため、ヒートポンプHPにおけるエネルギーの消費量を抑えて、高い成績効率(COP)で熱回収を行うことができる。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第1蒸留塔1に供給される原料液を、アセトン濃度が1.0wt%のアセトン水溶液とし、第1蒸留塔1の塔底から排出される排出液のアセトン濃度が0.0002wt%(2ppm)となるようにしている。
このような状況において、本実施形態の蒸留装置100を適用することにより、効率のよい蒸留を行って省エネルギーを図りつつ、原料液から低沸点成分であるアセトンを確実に分離、回収することが可能になる。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、上述のように構成されており、「第1蒸留塔1の塔底から排出される塔底液(缶出液)の温度が75℃〜95℃となるような操作圧(例えば、25kPaA以上大気圧以下)で操作され、リボイラ1aに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満、ヒートポンプHPに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満であり、かつ、温度Bが温度Aよりも10〜35℃低い温度である」という、本発明の特徴的な条件で装置を稼働させることが可能になり、全体的なバランスを破綻させることなく、省エネルギーを図ることができる。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、ヒートポンプHPの動力は第1蒸留塔1のリボイラ1aに熱量として加算され、第1コンデンサ11における冷却熱量が、リボイラ1aで加えられた熱量に対して不足するため、第2蒸留塔においては余剰熱を利用することが可能になり、第2蒸留塔2における熱負荷が小さくなる。その結果、第2蒸留塔2の塔径を第1蒸留塔1の塔径よりも小さくすることが可能になり、設備コストの低減を図ることができる。
次に、本実施形態にかかる蒸留装置100を用いてアセトンと水を含む原料液(被処理液)の蒸留を行った場合の運転結果の一例について説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100を用いて原料液の蒸留を行うに当たっては、原料液として、温度:25℃、アセトン濃度:1.0wt%のアセトン水溶液を、予熱器41、リボイラ1aを経て、3000kg/hrの割合で第1蒸留塔1に供給した。
ここで、第1蒸留塔1に供給される原料液中のアセトンの量は1時間当たり30kgとなる。
一方、第1蒸留塔1の塔底液として、温度:28℃、アセトン濃度:2ppmの水(ほとんどのアセトンが分離された処理液)を2970kg/hrの割合で系外に排出した。
ここで、塔底液として系外に排出されるアセトンは、約0.50kg/hr(2970kg/hr×2×1/10-6=0.5kg/hr)となる。
また、第2蒸留塔2においては、塔頂から塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)として、温度:43℃、アセトン濃度:98.3wt%のベーパが256kg/hrの割合で取り出される。
さらに、第2コンデンサ22においては、第2蒸留塔2の塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)が冷却され、凝縮することで、温度:43℃、アセトン濃度:98.3wt%の凝縮液が256kg/hrの割合で回収される。
そして、256kg/hrの凝縮液のうち、226kg/hr(アセトン濃度:98.3wt%)が第2蒸留塔2に還流される一方、回収溶剤として、アセトン濃度が98.3wt%の回収溶剤が30kg/hrの割合で回収される。
ここで、回収溶剤として回収されるアセトンは、約29.5kg(30kg/hr×0.983=約29.5g)となる。
また、本実施形態における蒸留装置100全体の消費エネルギー、すなわち、電力消費量は、ヒートポンプHPで電力消費量50kWと、各種ポンプ(循環ポンプ、移送ポンプ、還流ポンプ、真空ポンプなど)などの消費電力を合わせて約80kW程度であった。
これに対し、従来の昇温幅の大きいヒートポンプを用い、第1コンデンサにおいて塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した35℃の循環冷却水から熱回収を行い、回収した熱を電力により温度レベルを上げて95℃の高温水をリボイラに供給するように構成された蒸留装置(参考例の蒸留装置)の場合、装置全体の消費エネルギー、すなわち、電力消費量は、200kW程度となる。
したがって、本実施形態にかかる蒸留装置100を用いることにより、上述の従来のヒートポンプを用いた参考例の蒸留装置の場合に比べて、電力消費量を約40%程度にまで低減することが可能になり、省エネルギーの見地から、本発明が大きな意義を有するものであることがわかる。
なお、上記実施形態で説明し、あるいは、図1に示した、原料液、塔底液、第1および第2凝縮液、第1および第2ベーパなどに関する各種の量や、温度、アセトン濃度、消費エネルギー(kW)、圧力などの値は、あくまでも例示であって、本発明は、それらの値が上記実施形態の値とは異なる値となる場合を排除するものではない。
また、上記実施形態では、低沸点成分がアセトン、高沸点成分が水である原料液を蒸留してアセトンを回収する場合を例にとって説明したが、本発明において、低沸点成分と高沸点成分の種類は上記実施形態に限定されるものではなく、低沸点成分がメタノール、クロロフォルム、ベンゼンなどであったり、高沸点成分が酢酸、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、トルエンなどであったりしてもよい。
また、上記実施形態では、第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃〜95℃となるような操作圧で操作されるように構成しているが、高温水の温度Aを90℃以上100度未満とし、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを60℃以上90℃以下とし、かつ、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを高温水の温度Aよりも10℃〜30℃低い温度とし、操作圧を第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃〜95℃となるような操作圧とすることで、さらに高い成績効率(COP)で熱回収を行うことが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、応用、変形を加えることが可能である。
1 第1蒸留塔
2 第2蒸留塔
1a リボイラ
11 第1コンデンサ
22 第2コンデンサ
31 第1コンデンサの凝縮液を第1蒸留塔に還流させる第1還流路
32 第2コンデンサの凝縮液を第2蒸留塔に還流させる第2還流路
41 予熱器
100 蒸留装置
HP ヒートポンプ
本発明は、ヒートポンプを用いた蒸留装置に関し、詳しくは、低沸点成分を高沸点成分よりも少ない割合で含有する原料液を蒸留して低沸点成分を分離するために用いられる蒸留装置に関する。
蒸留装置における省エネルギー化の必要性は近年、益々増大しており、種々の提案が行われている。
そのような省エネルギー技術の1つとして、蒸留装置にヒートポンプを組み込んで、熱効率を向上させるようにした蒸留装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の蒸留装置は、蒸留塔と、蒸留コンデンサと、蒸留リボイラと、蒸留コンデンサから流出した第一出力流体を蒸留塔に戻すための還流用の配管とを備える蒸留装置である。
そして、この蒸留装置は、作動媒体(水)が蒸留コンデンサで受け取った熱を蒸留リボイラに与えるためのヒートポンプを備えている。ヒートポンプは、蒸留コンデンサと蒸留リボイラを接続するとともに作動媒体が循環する循環流路と、蒸留コンデンサで蒸発した後の作動媒体を圧縮する圧縮機と、蒸留リボイラで熱を与えた後の作動媒体を減圧(膨張)させる減圧弁とを備えた構成とされている。
そして、この蒸留装置によれば、蒸留塔の頂部から流出した第一出力流体の有する熱エネルギーが、ヒートポンプによって蒸留リボイラにおいて有効に回収され、第一出力流体の熱エネルギーの有効利用により、蒸留リボイラにおける第二出力流体の加熱に必要な熱エネルギーの削減を図ることが可能になるとされている。
ところで、蒸留装置における省エネルギー化を図る方法の一つとして、上述のように、ヒートポンプを利用する方法が考えられる。
しかしながら、蒸留塔の塔頂ベーパを冷却するためのコンデンサの冷却水から熱を回収し、加熱源としてリボイラに供給するためには、ヒートポンプとして高圧縮のタイプのものを用いることが必要となる。その結果、ヒートポンプの成績効率(COP)は小さくなり、省エネルギー効果も小さくなるという問題点がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、蒸留装置にヒートポンプを用いて省エネルギーを図るとともに、ヒートポンプに消費されるエネルギーを抑制して、さらなる省エネルギー効果を得ることが可能な蒸留装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、発明者等は、種々の検討を行い、ヒートポンプを用いた蒸留装置において十分な省エネルギー効果を図るためには、低圧縮で、可能な限り成績効率(COP)の高いタイプのヒートポンプを採用できるような設計を行うことが必要であると認識するに至った。
すなわち、蒸留塔(蒸留装置)における分離操作は、高沸点成分が塔底から取り出され、低沸点物が塔頂から取り出されるという構成を基本としているが、それ以外は、蒸留の対象となる原料液の物性や供給濃度、温度などにより、多種多様な構成が採用されており、蒸留塔(蒸留装置)を製作するに当たっては、種々の特徴のある設計が行われているのが実情である。
発明者等は、上述のような知見から、成績効率(COP)が6〜8というような高効率のヒートポンプを用いることができるように蒸留塔(蒸留装置)の設計を行うことで、設備の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、省エネルギー性に優れた蒸留装置を実現することができるのではないかと考え、さらに検討を行って本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる蒸留装置は、
低沸点成分を高沸点成分よりも少ない割合で含有する原料液の蒸留を行う第1蒸留塔と、
前記第1蒸留塔の、温度が75℃以上95℃以下の塔底液を再加熱するリボイラと、
前記第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第1凝縮液と、前記第1凝縮液よりも低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離する第1コンデンサと、
前記第1コンデンサにおいて前記第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、温度が45℃以上90℃未満の前記第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記リボイラに、温度が80℃以上100℃未満で、かつ前記第1コンデンサ用循環冷却水よりも温度が10℃以上35℃以下の範囲で高い高温水として供給するように構成されたヒートポンプと、
前記第1コンデンサにおける不凝縮ガスである前記第1ベーパを、下記第2凝縮液と気液接触させて蒸留する第2蒸留塔と、
前記第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、低沸点成分を主成分とする第2凝縮液を回収する第2コンデンサと、
前記第1コンデンサにおける前記第1凝縮液を、前記第1蒸留塔用の還流液として前記第1蒸留塔に還流させる第1還流路と、
前記第2コンデンサにおける前記第2凝縮液の一部を、前記第2蒸留塔用の還流液として前記第2蒸留塔に還流させる第2還流路と、
前記高温水の温度が80℃以上100℃未満、前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度が45℃以上90℃未満、前記高温水の温度が前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度よりも10℃以上35℃以下の範囲で高く、かつ、前記第1蒸留塔の前記塔底液の温度が75℃以上95℃以下という条件が確保される操作圧となるように、前記第2コンデンサを経て真空吸引し、系内を減圧にする真空ポンプと
を備えていることを特徴としている。
また、本発明の蒸留装置においては、
前記高温水の温度が90℃以上100℃未満であり、
前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度が60℃以上90℃未満であり、
前記高温水の温度が前記第1コンデンサ用循環冷却水の温度よりも10℃以上30℃以下の範囲で高く、かつ、
前記第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃以上95℃以下となるような操作圧で操作されるように構成されていること
が好ましい。
また、前記第1蒸留塔に供給される前記原料液に含まれる低沸点成分の濃度が0.1wt%以上30wt%以下で、前記第1蒸留塔の塔底から排出される排出液の低沸点成分の濃度が1wt%以下であることが好ましい。
本発明の蒸留装置は、上述のように構成されており、真空ポンプにより第2コンデンサを経て真空吸引し、系内を減圧にすることで、ヒートポンプにおいて温度レベルを上げてリボイラに供給する高温水の温度(以下「温度A」ともいう)が80℃以上100℃未満、ヒートポンプに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度(以下「温度B」ともいう)が45℃以上90℃未満、高温水の温度Aが第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bよりも10℃以上35℃以下の範囲で高く、第1蒸留塔の塔底液の温度が75℃以上95℃以下という条件が確保される操作圧となるようにすることが可能になる。
その結果、ヒートポンプを効率よく稼働させて、エネルギーの消費を抑制することが可能な、省エネルギー性に優れた蒸留装置を提供することができる。
すなわち、本発明によれば、第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が75℃以上95℃以下となるような操作圧とする(原料液が、例えば低沸点成分がアセトン、高沸点成分が水であるような場合には、25kPaA以上大気圧以下の操作圧とする)ことで、ヒートポンプにおいて上昇させるべき温度レベル幅が10℃以上35℃以下と、通常のヒートポンプにおいて上昇させるべき温度レベル幅(通常は40℃以上85℃以下)よりも小さい温度幅でもヒートポンプの使用が可能になるため、通常のヒートポンプを用いる場合に比べて、高い成績効率(COP)で熱回収を行うことが可能になり、省エネルギー性を向上させることができるようになる。
本発明の蒸溜装置においては、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを高温水の温度Aにできるだけ近づけるため、第1コンデンサを、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)の一部のみを凝縮させることで、第1コンデンサの凝縮温度を高く保つことができるようにしている。そして、その結果として、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを、80℃以上100℃未満という高温水の温度Aに近い温度、すなわち、45℃以上90℃未満という温度に設定することができるようになる。
一方、蒸留対象となる流体の沸点は、大気圧下であればヒートポンプの高温水側の温度を超えることがあるが、これに対しては蒸留装置の操作圧を減圧にして、蒸留対象となる流体の沸点を95℃未満に低下させることにより、ヒートポンプの適用を可能にしている。
蒸留装置の対象液は、さまざまであり、蒸留塔の塔底側の必要熱量と、塔頂側の必要熱量との間に大きな差がある場合には、蒸留塔を2塔に分割し、1塔目の蒸留塔にヒートポンプを適用することで、より消費エネルギーの少ない蒸留システムを構成することができる。
すなわち、本発明では、1塔目の蒸留塔(第1蒸留塔)において、目的成分(低沸点成分)を中間濃度まで濃縮する蒸留を行い、2塔目の蒸留塔(第2蒸留塔)において、目的成分(低沸点成分)を高濃度にまで濃縮する蒸留を行うことで、第1蒸留塔に成績効率(COP)が6〜8である高効率ヒートポンプを付加して、より消費エネルギーの少ない蒸留装置を実現するようにしている。
言い換えると、本発明では、上述のように、第1蒸留塔の塔頂における目的成分(低沸点成分)の濃度を中間濃度とすることで、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を冷却する第1コンデンサ内における凝縮温度を高く維持することを可能にし、ヒートポンプの低温水の温度(すなわち第1コンデンサ用循環冷却水の温度B)を例えば、45℃以上90℃未満(より好ましくは、60℃以上90℃未満)と、95℃である高温水の温度Aに極めて近い温度とすることで、高COPのヒートポンプを用いることを可能にしている。
また、本発明の蒸留装置においては、ヒートポンプの動力が第1蒸留塔のリボイラに熱量として加算され、第1コンデンサでの冷却熱量がリボイラで加えられた熱量に対して不足するため、第2蒸留塔においては余剰熱を利用することが可能で、第2蒸留塔の熱負荷が小さくなる。すなわち、第2蒸留塔では、第1蒸留塔の塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を冷却する第1コンデンサを通過する余剰熱(第1コンデンサで凝縮せずに、第1コンデンサを通過した第1ベーパが有する熱)を利用して、低沸点成分を高濃度にまで蒸留することができる。その結果、第2蒸留塔にはリボイラが不要になる。ただし、第2蒸留塔でエネルギーが不足する場合は、リボイラを追加する。
さらに、本発明によれば、上述のように、第2蒸留塔の熱負荷が小さくなるので、第2蒸留塔の塔径を、第1蒸留塔の塔径よりも小さくする(例えば1/3〜2/3にする)ことが可能になり設備コストの大幅な低減が期待できる。
また、第2蒸留塔の塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)は第2コンデンサ(濃縮コンデンサ)で冷却されて凝縮し、一部は還流液として第2蒸留塔に供給され、残りは回収溶剤(留出液)として系外に取り出される。
なお、第2コンデンサ(濃縮コンデンサ)においては、冷却水として、第2蒸留塔の塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)を十分に凝縮させることが可能な低温の冷却水が用いられる、これにより、不凝縮ガス以外の低沸点成分は、全て液(留出液)として回収されることになる。
また、前記高温水の温度Aを90℃以上100度未満とし、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを60℃以上90℃未満とし、かつ、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを高温水の温度Aよりも10℃以上30℃以下の範囲で低い温度とし、操作圧を第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃以上95℃以下となるような操作圧(原料液が、例えば低沸点成分がアセトン、高沸点成分が水であるような場合には、25kPaA以上大気圧以下の操作圧)とした場合、さらに高い成績効率(COP)で熱回収を行うことが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
また、本発明の蒸留装置においては、第1蒸留塔に供給される原料液の低沸点成分濃度を0.1wt%以上30wt%以下の範囲とし、第1蒸留塔の塔底から排出される排出液の低沸点成分濃度を1wt%以下とする場合において、効率のよい蒸留を行って、省エネルギー効果を確保しつつ、低沸点成分を分離、回収することが可能になる。
本発明の一実施形態にかかる蒸留装置の構成を示すフローシートである。
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、本実施形態では、低沸点成分であるアセトン1.0wt%を含み、残部(99.0wt%)を高沸点成分である水とする原料液(被処理液)を蒸留してアセトンを分離、回収するための蒸留装置を例にとって説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、ヒートポンプを用いて省エネルギー性の向上を図った蒸留装置である。
図1に示すように、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1蒸留塔1と、リボイラ1aと、第1蒸留塔1の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を冷却する第1コンデンサ11とを備えている。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うヒートポンプHPと、第1コンデンサ11における不凝縮ガス(第1ベーパ)の蒸留を行う第2蒸留塔2と、第2蒸留塔2の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)不凝縮ガスを冷却する第2コンデンサ22とを備えている。
そして、第2蒸留塔2は、第1コンデンサ11における不凝縮ガス(第1ベーパ)を、第2コンデンサ22の凝縮液(第2凝縮液)と気液接触させて蒸留を行うように構成されている。
なお、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第2コンデンサ22を経て真空吸引し、系内を減圧にする真空ポンプ34を備えている。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1コンデンサ11の凝縮液を、第1蒸留塔1に還流させる第1還流路31と、第2コンデンサ22の凝縮液を、第2蒸留塔2に還流させる第2還流路32とを備えている。
以下、詳しく説明する。
本発明の蒸留装置100が備える第1蒸留塔1は、アセトンを1.0wt%の割合で含むアセトン水溶液(水99.0wt%)である原料液の蒸留を行う蒸留塔である。第1蒸留塔1としては、例えば、棚段塔、充填塔など種々の構成のものを用いることが可能である。本実施形態では充填塔を用いている。
また、リボイラ1aは、第1蒸留塔1の塔底液を再加熱するものであり、再加熱された塔底液は第1蒸留塔1に戻される。なお、リボイラ1aは、後述のヒートポンプHPからの95℃の高温水を用いた間接型熱交換器であって、このリボイラ1aで加熱されることによりベーパを発生させる。
第1蒸留塔1ではリボイラ1aで発生したベーパと、予熱器41を通過して昇温した原料液(供給液)と、第1コンデンサ11で凝縮した凝縮液である還流液とを気液接触させることで、アセトンの蒸留を行い、アセトンが分離(除去)された塔底液(缶出液)が系外に排出される一方、原料液よりも高い割合でアセトンを含む、塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)が第1コンデンサ11に供給される。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100が備える第1コンデンサ11は、第1蒸留塔1の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第1塔頂ベーパ)を、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第1凝縮液と、第1凝縮液よりもアセトンを高い割合で含む第1ベーパとに分離するものである。そして、凝縮液は第1蒸留塔1の塔頂へ還流液として還流される。
すなわち、第1コンデンサ11では、主として高沸点成分(水)が凝縮し、アセトン3.3wt%を含む凝縮液(アセトン水溶液)は、還流液として、第1蒸留塔1の塔頂に戻される。
さらに、本実施形態にかかる蒸留装置100は、ヒートポンプHPを備えており、このヒートポンプHPは、第1コンデンサ11で第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した第1コンデンサ用循環冷却水(本実施形態では65℃)から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げてリボイラ1aに高温水(本実施形態では95℃)として供給することができるように構成されている。
すなわち、本発明にかかる蒸留装置100において、ヒートポンプHPは、例えば、第1コンデンサ11で用いられた45℃以上90℃未満の温度Bの第1コンデンサ用循環冷却水から熱を回収し、電力により温度レベルを10℃以上35℃以下の範囲で上昇させ、80℃以上100℃未満の温度Aでリボイラ1aに供給することで熱エネルギーを循環再利用するものである。
なお、本実施形態にかかる蒸留装置100は、第1コンデンサ11で第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した第1コンデンサ用循環冷却水側(冷水側)と、電力により熱エネルギーレベルを上げてリボイラ1aに供給される高温水側(温水側)との温度差を、従来用いられているヒートポンプの場合よりも小さくすることで、高COPで熱回収を行うことができるようにしたことを、いくつかの特徴を有する構成のうちでも、大きな特徴を有する構成としている。
具体的には、第1コンデンサ11で第1塔頂ベーパの冷却に用いられ、昇温した温度が65℃の第1コンデンサ用循環冷却水がヒートポンプHPにおいて熱回収され、温度が60℃に低下した第1コンデンサ用循環冷却水が第1コンデンサ11に循環供給されるように構成されている。
一方、ヒートポンプHPにおいて、電力により温度レベルが95℃に上げられた高温水側循環水(高温水)は、リボイラ1aに供給され、リボイラ1aで用いられて温度が90℃に低下した高温水側循環水は、ヒートポンプHPに戻されて、温度レベルが95℃に上げられた後、再びリボイラ1aに供給されるように構成されている。
さらに、本実施形態の蒸留装置100は、第1コンデンサ11における不凝縮ガスである第1ベーパを、蒸留する第2蒸留塔2を備えているとともに、第2蒸留塔2の塔頂から取り出される塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)を冷却する第2コンデンサ22を備えている。
第2蒸留塔2は、第1コンデンサ11における不凝縮ガスである第1ベーパを第2コンデンサ22で凝縮した第2凝縮液と気液接触させて蒸留し、塔頂からさらにアセトン濃度の高い塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)を取り出す蒸留塔である。第2蒸留塔2としては、例えば、棚段塔、充填塔など種々の構成のものを用いることが可能である。本実施形態では充填塔を用いている。
すなわち、第2蒸留塔2では、アセトン濃度の高い、第1コンデンサ11の不凝縮ガスが蒸留されることにより、アセトンが選択的に第2コンデンサ22に抜き出される。その結果、第1コンデンサ11内の温度を高く保ち、冷媒である第1コンデンサ用循環冷却水の温度を、例えば、60〜65℃と高くすることが可能になり、上述のように、第1コンデンサ用循環冷却水側と、リボイラ1aに供給される高温水側との温度差を小さくして、高COPで熱回収を行うことが可能になる。
この第2コンデンサ22は、第2蒸留塔2の塔頂ベーパである第2塔頂ベーパを第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して、第2塔頂ベーパに含まれるアセトンと水を凝縮させる機能を果たす。
なお、第2コンデンサ用循環冷却水としては、第2塔頂ベーパに含まれるアセトンと水とを十分に凝縮させることが可能な温度の冷却水が用いられる。
そして、第2コンデンサ22において凝縮した凝縮液の一部が回収溶剤として回収され、他の凝縮液は、第2蒸留塔2の塔頂へ還流液として還流される。
本実施形態の蒸留装置100は、第1コンデンサ11における凝縮液を、第1蒸留塔1用の還流液として第1蒸留塔1に還流させることができるように第1還流路31を備えている。
また、第2コンデンサ22における凝縮液を、第2蒸留塔2用の還流液として第2蒸留塔2に還流させることができるように第2還流路32を備えている。
さらに説明すると、本実施形態の蒸留装置100においては、真空ポンプ34により第2コンデンサを経て系内の気体を排出することにより、第1蒸留塔1の塔底から排出される塔底液(缶出液)の温度が75℃以上95℃以下となるような操作圧(例えば、25kPaA以上大気圧以下)で操作されるようにして、ヒートポンプHPにて温度レベルを上げてリボイラ1aに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満となるように構成されている。
また、ヒートポンプHPに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満となるように構成されている。
さらに、ヒートポンプHPに送られて熱回収されるべき第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが上述の高温水の温度Aよりも10℃以上35℃以下の範囲で低い温度となるように構成されている。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、上述のように構成されており、ヒートポンプHPにおいて温度レベルを上げてリボイラ1aに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満、ヒートポンプHPに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満であり、かつ、ヒートポンプHPに送られて熱回収されるべき第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが温度Aよりも10℃以上35℃以下の範囲で低い温度とされ、かつ、第1蒸留塔1の塔底から排出される缶出液の温度が75℃以上95℃以下の範囲でとなるような操作圧(例えば、25kPaA以上大気圧以下)で操作されるように構成されていることから、ヒートポンプHPを効率よく稼働させることが可能になり、装置全体としてのバランスを保ちつつ、高い成績効率(COP)で熱回収を行って、省エネルギー性を向上させることができる。
すなわち、本実施形態にかかる蒸留装置100によれば、ヒートポンプHPにおいて上昇させるべき温度レベルが10℃以上35℃以下の範囲であり、通常のヒートポンプを用いる場合に比べて、ヒートポンプで上昇させるべき温度レベルの幅が小さいため、ヒートポンプHPにおけるエネルギーの消費量を抑えて、高い成績効率(COP)で熱回収を行うことができる。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、第1蒸留塔1に供給される原料液を、アセトン濃度が1.0wt%のアセトン水溶液とし、第1蒸留塔1の塔底から排出される排出液のアセトン濃度が0.0002wt%(2ppm)となるようにしている。
このような状況において、本実施形態の蒸留装置100を適用することにより、効率のよい蒸留を行って省エネルギーを図りつつ、原料液から低沸点成分であるアセトンを確実に分離、回収することが可能になる。
本実施形態にかかる蒸留装置100は、上述のように構成されており、「第1蒸留塔1の塔底から排出される塔底液(缶出液)の温度が75℃以上95℃以下となるような操作圧(例えば、25kPaA以上大気圧以下)で操作され、リボイラ1aに供給する高温水の温度Aが80℃以上100℃未満、ヒートポンプHPに送られて熱回収される第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bが45℃以上90℃未満であり、かつ、温度Bが温度Aよりも10℃以上35℃以下の範囲で低い温度である」という、本発明の特徴的な条件で装置を稼働させることが可能になり、全体的なバランスを破綻させることなく、省エネルギーを図ることができる。
また、本実施形態にかかる蒸留装置100においては、ヒートポンプHPの動力は第1蒸留塔1のリボイラ1aに熱量として加算され、第1コンデンサ11における冷却熱量が、リボイラ1aで加えられた熱量に対して不足するため、第2蒸留塔においては余剰熱を利用することが可能になり、第2蒸留塔2における熱負荷が小さくなる。その結果、第2蒸留塔2の塔径を第1蒸留塔1の塔径よりも小さくすることが可能になり、設備コストの低減を図ることができる。
次に、本実施形態にかかる蒸留装置100を用いてアセトンと水を含む原料液(被処理液)の蒸留を行った場合の運転結果の一例について説明する。
本実施形態にかかる蒸留装置100を用いて原料液の蒸留を行うに当たっては、原料液として、温度:25℃、アセトン濃度:1.0wt%のアセトン水溶液を、予熱器41、リボイラ1aを経て、3000kg/hrの割合で第1蒸留塔1に供給した。
ここで、第1蒸留塔1に供給される原料液中のアセトンの量は1時間当たり30kgとなる。
一方、第1蒸留塔1の塔底液として、温度:28℃、アセトン濃度:2ppmの水(ほとんどのアセトンが分離された処理液)を2970kg/hrの割合で系外に排出した。
ここで、塔底液として系外に排出されるアセトンは、約0.50kg/hr(2970kg/hr×2×1/10-6=0.5kg/hr)となる。
また、第2蒸留塔2においては、塔頂から塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)として、温度:43℃、アセトン濃度:98.3wt%のベーパが256kg/hrの割合で取り出される。
さらに、第2コンデンサ22においては、第2蒸留塔2の塔頂ベーパ(第2塔頂ベーパ)が冷却され、凝縮することで、温度:43℃、アセトン濃度:98.3wt%の凝縮液が256kg/hrの割合で回収される。
そして、256kg/hrの凝縮液のうち、226kg/hr(アセトン濃度:98.3wt%)が第2蒸留塔2に還流される一方、回収溶剤として、アセトン濃度が98.3wt%の回収溶剤が30kg/hrの割合で回収される。
ここで、回収溶剤として回収されるアセトンは、約29.5kg(30kg/hr×0.983=約29.5g)となる。
また、本実施形態における蒸留装置100全体の消費エネルギー、すなわち、電力消費量は、ヒートポンプHPで電力消費量50kWと、各種ポンプ(循環ポンプ、移送ポンプ、還流ポンプ、真空ポンプなど)などの消費電力を合わせて約80kW程度であった。
これに対し、従来の昇温幅の大きいヒートポンプを用い、第1コンデンサにおいて塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した35℃の循環冷却水から熱回収を行い、回収した熱を電力により温度レベルを上げて95℃の高温水をリボイラに供給するように構成された蒸留装置(参考例の蒸留装置)の場合、装置全体の消費エネルギー、すなわち、電力消費量は、200kW程度となる。
したがって、本実施形態にかかる蒸留装置100を用いることにより、上述の従来のヒートポンプを用いた参考例の蒸留装置の場合に比べて、電力消費量を約40%程度にまで低減することが可能になり、省エネルギーの見地から、本発明が大きな意義を有するものであることがわかる。
なお、上記実施形態で説明し、あるいは、図1に示した、原料液、塔底液、第1および第2凝縮液、第1および第2ベーパなどに関する各種の量や、温度、アセトン濃度、消費エネルギー(kW)、圧力などの値は、あくまでも例示であって、本発明は、それらの値が上記実施形態の値とは異なる値となる場合を排除するものではない。
また、上記実施形態では、低沸点成分がアセトン、高沸点成分が水である原料液を蒸留してアセトンを回収する場合を例にとって説明したが、本発明において、低沸点成分と高沸点成分の種類は上記実施形態に限定されるものではなく、低沸点成分がメタノール、クロロフォルム、ベンゼンなどであったり、高沸点成分が酢酸、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、トルエンなどであったりしてもよい。
また、上記実施形態では、第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃以上95℃以下となるような操作圧で操作されるように構成しているが、高温水の温度Aを90℃以上100℃未満とし、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを60℃以上90℃未満とし、かつ、第1コンデンサ用循環冷却水の温度Bを高温水の温度Aよりも10℃以上30℃以下の範囲で低い温度とし、操作圧を第1蒸留塔の塔底から排出される塔底液の温度が85℃以上95℃以下となるような操作圧とすることで、さらに高い成績効率(COP)で熱回収を行うことが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、応用、変形を加えることが可能である。
1 第1蒸留塔
2 第2蒸留塔
1a リボイラ
11 第1コンデンサ
22 第2コンデンサ
31 第1コンデンサの凝縮液を第1蒸留塔に還流させる第1還流路
32 第2コンデンサの凝縮液を第2蒸留塔に還流させる第2還流路
34 真空ポンプ
41 予熱器
100 蒸留装置
HP ヒートポンプ