JP2020056490A - 伸縮継手及び排水システム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の伸縮継手は、継手本体と、前記継手本体の両端部に設けられ、それぞれの内部に断熱層が設けられた配管が挿入される一対の受口と、環状に形成されて前記継手本体に同軸に配置された断熱部と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、所定の長さの配管が温度変化により伸縮しても、その配管が係止部に強く当たったり、配管の伸縮により、軸線方向において配管の断熱層及び伸縮継手の断熱部のいずれも配置されない領域が生じて、伸縮継手の外面が結露するのをより確実に抑えることができる。また、断熱部が延びる長さを39mm以下にすることにより、断熱部が軸線方向に長くなり過ぎるのを抑制することができる。
この発明によれば、継手本体内と外部とを確実に断熱するとともに、断熱部の外径が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
この発明によれば、外面が結露するのを抑えるとともに、配管と接続する際の施工を容易にした伸縮継手を用いて排水システムを構成することができる。
図1に示すように、集合住宅やオフィスビルディング等の建築物1では、各階が床スラブ6により仕切られている。床スラブ6には、上下方向Zに貫通する貫通孔6aが形成されている。床スラブ6同士は、壁5により連結されている。
床スラブ6の下部には、空調装置7が設置されている。例えば、空調装置7で発生したドレン水を排水するために、本実施形態の排水システム11が用いられている。
排水システム11は、縦管(配管)16と、横管(配管)21と、本実施形態の伸縮継手26と、ドレントラップ56と、を備えている。
縦管16は、発泡樹脂層18内の気体により、発泡樹脂層18を備えない通常の排水管に比べて、熱伝導率が小さい。縦管16は、床スラブ6を上下方向Zに貫通している(図1参照)。
なお、縦管16の構成はこれに限定されず、例えば縦管がスキン層19を備えなくてもよい。
横管21は、第1端部から第2端部に向かうに従い漸次、下方に向かうように傾斜している。
継手本体27は、円管状に形成されている。継手本体27は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル等で形成されている。
継手本体27は、継手本体27の軸線方向が上下方向Zに沿うように配置されている。なお、継手本体27の配置はこれに限定されず、継手本体27の軸線方向が上下方向Zに対して交差するように、継手本体27を配置してもよい。
継手本体27の内径は、上下方向Zの位置によらず一定である。継手本体27の内径、及び縦管16の外径は、互いに同程度である。
この複数の突起27a間は、伸縮継手26を壁面に固定するための把持部を備えた支持具(図2中に二点鎖線Dで、図1中に符号100で示す)により把持するための間隔である。支持具の把持部は突起27a間の継手本体27の外面を把持し、図示しない把持部が突起27aの側面に当接することで、縦管16の伸縮に伸縮継手26が追従しないように固定される。
なお、図1に示すように、支持具100は壁5に固定される。
保持部28aの外周面には、径方向の外側に向かって突出した第1係止部28bが形成されている。第1係止部28bは、保持部28aの全周にわたって形成されていることが好ましい。
保持部28aの径方向の内側には、第1封止部材34が保持されている。第1封止部材34は、円環状に形成され、保持部28aと同軸に配置されている。第1封止部材34に外力が作用しない自然状態では、第1封止部材34の内径は継手本体27の内径よりも小さい。第1封止部材34は、例えば、継手本体27よりも柔らかい樹脂等で形成されている。
第1周壁部39は、円筒状に形成され、第1環状部材38と同軸に配置されている。第1周壁部39は、第1環状部材38の外周縁から下方Z1に向かって延びている。第1周壁部39の内径は、保持部28aの外径よりも大きい。
第1周壁部39の下端部の内周面には、径方向の内側に向かって突出した第1被係止部39aが形成されている。第1被係止部39aは、第1周壁部39の全周にわたって形成されていることが好ましい。第1被係止部39aの内径、及び保持部28aの外径は、互いに同程度である。
予め滑材A1を塗布する場合には、第1キャップ37の開口部(第1環状部材38の開口)をラベル等の封止部材A3でふさいで、滑材A1等にゴミが付かないようにするのが好ましい。
なお、滑材A1等にゴミが付かないようにするために、封止部材A3に代えて、伸縮継手26全体を袋で覆ってもよい。
図2に示すように、第1キャップ37は、継手本体27の受口28に嵌め合わせられている。
より具体的には、第1キャップ37の第1環状部材38が、保持部28aの上面にこの上面の上方(軸線方向の一方側)Z2から接触している。
第1キャップ37の第1周壁部39は、保持部28aを径方向の外側から覆っている。第1周壁部39の第1被係止部39aは、保持部28aの第1係止部28bに第1係止部28bの下方Z1から係止している。
こうして、第1キャップ37が、継手本体27の受口28に嵌め合わせられている。
第2環状部材42は、円環状に形成されている。第2環状部材42は、上下方向Zにおいて継手本体27の外周面における段部と複数の突起27aとの間の部分に、継手本体27と同軸に配置されている。第2環状部材42の内周縁は、継手本体27の外周面に連結されている。
管材43は、円管状に形成されている。管材43は、継手本体27と同軸に配置され、継手本体27の下方Z1の部分を径方向の外側から覆っている。管材43は、継手本体27から径方向の外側に離間している。管材43は、第2環状部材42の径方向の外側の端部から下方Z1に向かって延びている。
管材43の下端部の外周面には、径方向の外側に向かって突出した第2係止部43aが形成されている。第2係止部43aは、管材43の全周にわたって形成されていることが好ましい。
第3環状部材47は、円環状に形成され、継手本体27と同軸に配置されている。第3環状部材47は、第2環状部材42に対して下方Z1に離間している。第3環状部材47の内径、及び継手本体27の外径は、互いに同程度である。
第2周壁部48は、第3環状部材47の外周縁から上方Z2に向かって延びている。第2周壁部48の内径は、管材43の外径よりも大きい。
第2周壁部48の上端部の内周面には、径方向の内側に向かって突出した第2被係止部48aが形成されている。第2被係止部48aは、第2周壁部48の全周にわたって形成されていることが好ましい。第2被係止部48aの内径、及び管材43の外径は、互いに同程度である。
第2キャップ44は、第1キャップ37が継手本体27の受口28に嵌め合わせられているのと同様に、管材43に嵌め合わされている。第2キャップ44の第3環状部材47の内周縁は、継手本体27の段部に係合している。
断熱部S1の熱抵抗値は、継手本体27の熱抵抗値よりも大きい。断熱部S1の熱抵抗値は、0.075m2・K/W以上1.1m2・K/W以下とされ、0.083m2・K/W以上0.70m2・K/W以下が好ましい。熱抵抗値が上記下限値以上とされることで、管材43の外面に結露が発生しにくくなり、上記上限値以下とされることで高価な断熱材を使用せずに必要十分な断熱性能を備えた継手とすることができる。
断熱部S1の厚さ(断熱部S1の外径と内径との差の半分の値)L1は、2mm以上20mm以下である。
係止部31の下面は、平坦に形成され、水平面に沿うように配置されている。一方で、係止部31の上面は、継手本体27の軸線に近づくに従い漸次、下方Z1に向かうように傾斜している。
係止部31は、縦管16を上下方向Zに係止する。前述の断熱部S1は、係止部31の上端から上方Z2に7.8mm以上39mm以下である長さL2延びている。断熱部S1は、上下方向Zにおいて後述する第2封止部材50の下面と同等の位置か、第2封止部材50の下面よりも下方Z1まで延びている。
なお、断熱部S1の下端は、係止部31の上面と面一でもよいし、係止部31の上面よりも下方Z1に延びていてもよい。
なお、接続管52の発泡樹脂層52aが気泡として独立気泡を多く含み、端面から発泡樹脂層52aにドレン水が侵入する恐れが無いときには、第2封止部材50は設けなくてもよい。
上部受け口61、縮径部60、及びトラップ本体57は、上方Z2から下方Z1に向かって、上部受け口61、縮径部60、及びトラップ本体57の順で配置されている。
蓋部58は、有底の円筒状に形成されている。蓋部58は、底壁部が径方向の内側を向くように配置され、トラップ本体57の開口57aに嵌め合っている。
蓋部58は、トラップ本体57の開口57aに着脱可能に取付けられて、トラップ本体57の開口57aを封止している。
トラップ部59は、トラップ本体57内に、トラップ本体57の内周面から離間した状態で配置されている。トラップ部59は、シリコーンゴム等の柔軟な材料で形成された漏斗状の受け容器である。
縮径部60は、トラップ本体57の上端部に設けられている。例えば、縮径部60は、上下方向Zに沿って延びる円筒状に形成されている。縮径部60の外径及び内径は、上方Z2に向かうに従い漸次、それぞれ大きくなる。
上部受け口61は、縮径部60の上端部に設けられている。上部受け口61は円筒状に形成され、縮径部60の外縁部から上方Z2に向かって延びている。上部受け口61の内径、及び接続管52の外径は、互いに同等である。上部受け口61内には、接続管52の下端部が配置されている。
ドレントラップ56は、発泡樹脂層を備えることなく構成されている。この例では、上下方向Zにおいて、ドレントラップ56の上部受け口61、及び接続管52が重なる領域は、接続管52の発泡樹脂層52aにより断熱している。
このように構成されたドレントラップ56では、トラップ本体57に対してトラップユニット62が着脱可能である。ドレントラップ56は、伸縮継手26に接続管52を介して接続されている。
接続管52を介して伸縮継手26に接続されているドレントラップ56では、図1に示すように、例えばドレントラップ56と縦管16との接続部分の外周面に、公知の熱膨張性耐火材で形成された耐火シート101が巻かれている。耐火シート101の少なくとも一部は、床スラブ6の貫通孔6a内に配置されている。床スラブ6のうち貫通孔6aの開口周縁部と耐火シート101との間には、モルタル102が充填されている。伸縮継手26及びドレントラップ56は、伸縮継手26及びドレントラップ56のすぐ下方Z1に位置する床スラブ6の近傍に配置されている。
一方で、ドレントラップ56に接続されていない伸縮継手26では、例えば伸縮継手26と縦管16との接続部分の外周面に耐火シート101が巻かれている。耐火シート101の少なくとも一部は、床スラブ6の貫通孔6a内に配置されている。伸縮継手26は、伸縮継手26のすぐ下方Z1に位置する床スラブ6の近傍に配置されている。
なお、ドレントラップ56、伸縮継手26の一部が床スラブ6の貫通孔6a内に配置されない場合には、耐火シート101を外周面に巻かなくてよい。
継手本体27の受口28,29内に縦管16、接続管52を挿入することにより、他の部品用いることなく伸縮継手26に縦管16、接続管52を接続できるため、排水システム11の施工は容易である。
この場合であっても、伸縮継手26は、伸縮継手26のすぐ下方Z1に位置する床スラブ6の近傍に配置されているため、伸縮継手26と、この伸縮継手26のすぐ下方Z1に位置する耐火シート101との距離、及び伸縮継手26と、この伸縮継手26のすぐ下方Z1に位置するチーズ8との距離が、それぞれ短く抑えられる。このため、耐火シート101が床スラブ6の貫通孔6a内から上下方向Zに移動して貫通孔6a内から抜けにくい。さらに、チーズ8が上下方向Zに移動して、横管21に応力が作用するのを抑えることができる。
冬期と夏期とでは、例えば気温差が30℃あるとする。縦管16の長さが4mの場合、(1)式から、縦管16は7.8mm伸縮する。
6.5×10−5×30×4=7.8mm ・・(1)
前述の長さL2が7.8mmであれば、長さが4mの縦管16を、夏期に係止部31の上面に接触するように施工する。この場合、冬期になって縦管16が7.8mm縮んでも、縦管16の下端は、上下方向Zにおいて断熱部S1の上端と同等の位置に配置される。このため、上下方向Zにおいて縦管16の発泡樹脂層18及び伸縮継手26の断熱部S1のいずれも配置されない領域が生じず、伸縮継手26の外面が結露するのが抑えられる。
4mの長さの縦管16を夏期に施工して冬期に7.8mm縮むことと、4mの長さの縦管16を冬期に施工して夏期に7.8mm伸びること、の両方を考慮すると、前述の長さL2を、7.8mmの2倍の15.6mmとすることがより好ましい。
6.5×10−5×30×10=19.5mm ・・(2)
縦管16の長さが4mの場合と同様に考えると、前述の長さL2を、19.5の2倍の39mmとすれば、縦管16の長さが10mの場合でも対応できるので、さらに好ましい。
施工の時期が冬期であるとして、夏期に気温が30℃上昇し、縦管16が19.5mm伸びても、縦管16が係止部31に強く当るのが抑えられる。
施工の時期が夏期であるとして、秋期に気温が10℃下降しても、(3)式から縦管16は6.5mm縮むが、(26−19.5)の値が6.5であるため、伸縮継手26の外面が結露するのが抑えられる。
6.5×10−5×10×10=6.5mm ・・(3)
夏期に施工した後で、気温が10℃を超えて低下したら、空調装置7は冷房運転や除霜運転はしないと想定すれば、気温がこのように低下した時に空調装置7はドレン水を排水しない。このため、気温が10℃を超えて低下した時期に、上下方向Zにおいて縦管16の発泡樹脂層18及び伸縮継手26の断熱部S1のいずれも配置されない領域が生じても、伸縮継手26の外面はドレン水により結露することはない。
また、本実施形態の排水システム11によれば、外面が結露するのを抑えるとともに、縦管16、接続管52と接続する際の施工を容易にした伸縮継手26を用いて排水システムを構成することができる。
図3に示す排水システム11Aのように、本実施形態の第2封止部材50、ドレントラップ56、接続管52に代えて、ドレントラップ71、接続管72を備えてもよい。
ドレントラップ71は、ドレントラップ56の上部受け口61に代えて、発泡樹脂層74aを備える上部受け口74を備えている。上部受け口74の内径、及び上部受け口61の内径は、互いに同程度である。
接続管72は、発泡樹脂層を備えない樹脂製の排水管である。
この例では、上下方向Zにおいて、ドレントラップ71の上部受け口74、及び接続管72が重なる領域は、上部受け口74の発泡樹脂層74aにより断熱している。
このように構成された排水システム11Aによっても、本実施形態の排水システム11と同様の効果を奏することができる。
図5に示す伸縮継手86のように、継手本体87の径方向の外側に断熱部88が設けられてもよい。この変形例では、継手本体87は、上部本体87aと、下部本体87bと、を組み合わせて構成されている。断熱部88は、例えばグラスウールでシート状に形成されている。継手本体87が施工された後で、断熱部88は、継手本体87の外周面における係止部31よりも上方Z2の位置に巻き付けられて固定される。
図6に示す伸縮継手91のように、継手本体27の径方向の内側であって係止部31よりも上方Z2の位置に断熱部92が設けられてもよい。断熱部92は、例えば発泡ポリエチレン、発泡ゴム等の発泡材で円環状に形成されている。
例えば、前記実施形態では、断熱部S1が係止部31よりも上方Z2に延びる長さL2は、7.8mm未満でもよいし、39mmを超えてもよい。断熱部S1の厚さL1は、2mm未満でもよいし、20mmを超えてもよい。
伸縮継手は、係止部31を備えなくてもよい。縦管16及び接続管52における断熱層は、発泡樹脂層であるとしたが、断熱層は空気のみの層等であってもよい。
継手本体は円管状に形成されているとしたが、継手本体の形状はこれに限定されず、角管状等に形成されていてもよい。
16 縦管(配管)
18,52a 発泡樹脂層(断熱層)
26,81,86,91 伸縮継手
27,82,87 継手本体
28,29 受口
31 係止部
52 接続管(配管)
82a,88,S1 断熱部
L1 厚さ
Z 上下方向(軸線方向)
Z2 上方(軸線方向の一方側)
Claims (4)
- 継手本体と、
前記継手本体の両端部に設けられ、それぞれの内部に断熱層が設けられた配管が挿入される一対の受口と、
環状に形成されて前記継手本体に同軸に配置された断熱部と、
を備える伸縮継手。 - 前記継手本体の内面に設けられ、前記配管を前記継手本体の軸線方向に係止する係止部を備え、
前記断熱部は、前記係止部の前記軸線方向の一方側の端から、前記軸線方向の一方側に7.8mm以上39mm以下延びている請求項1に記載の伸縮継手。 - 前記断熱部の厚さは、2mm以上20mm以下である請求項1又は2に記載の伸縮継手。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮継手と、
前記配管と、
を備える排水システム。
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