JP4668136B2 - 排水管の施工方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に係る技術は、図8に示すように、耐火二層管100を高さ方向に配管する際に、内管102が外管104に対し、自重で軸方向に位置ずれしないようにするための技術である。耐火二層管100は、一般的に樹脂製の内管102と耐火繊維モルタル製の外管104とから構成されており、内管102と外管104との間には微細な隙間(図示省略)が形成されている。このため、外管104を把持した状態で、その耐火二層管100を縦向きして持ち上げると、内管102が自重で外管104に対して位置ずれを起こすことがある。
この問題を解決するため、特許文献1に係る耐火二層管100では、図9に示すように、内管102の外周面に突条102aを形成し、外管104の内周面に前記突条102aと嵌合する内周溝104mを形成している。これによって、内管102と外管104とは軸方向に相対移動不能に保持され、配管作業中に内管102が外管104に対して位置ずれを起こすことはない。
請求項1の発明は、内管の周囲が変形可能な被覆部材により隙間を介した状態で覆われている排水管の上端部を集合住宅の上階と下階とを仕切るコンクリートスラブの貫通孔に通し、その排水管の内管の下端部を排水管継手の上部受け口に接続する場合の排水管の施工方法であって、前記排水管の前記被覆部材を一部取り除いて前記内管の一部を露出させる施工準備工程と、前記排水管において内管が露出している部位を把持し、その排水管を縦向きに持ち上げて上端部を上階のコンクリートスラブの貫通孔に通し、その内管の下端部を排水管継手の上部受け口に挿入接続する配管工程と、前記配管工程の後、前記施工準備工程において露出した前記内管の一部を被覆部材で覆う被覆工程とを有することを特徴とする。
請求項3の発明によると、準備工程では、筒状の被覆部材を上側被覆部材と下側被覆部材とに分割し、その下側被覆部材を前記内管に固定した状態で、前記上側被覆部材を軸方向に移動させて、前記下側被覆部材と上側被覆部材との間で前記内管を露出させ、被覆工程では、上側被覆部材を元の位置まで戻すことで、露出している前記内管を覆うことを特徴とする。
このため、準備工程及び被覆工程における作業が容易になる。
このため、上端部に受け口を備える排水管において内管を露出させることが可能になる。
請求項5の発明によると、準備工程では、配管作業中に把持される位置にある前記被覆部材を窓状に切り取ることで、前記内管を露出させることを特徴とする。
請求項7の発明によると、被覆部材には、振動エネルギーを吸収可能な材料が使用されることを特徴とする。
請求項8の発明によると、内管には金属製の管が使用されることを特徴とする。
先ず、排水立て管の施工方法を説明する前に、図1、図2に基づいて、排水立て管の説明を行なう。
排水立て管10は、例えば硬質塩化ビニル製の内管11を備えている。内管11は、直管部12と、その直管部12の一端(図1、図2(A)では上端)に形成された受け口13とから構成されており、その受け口13に排水管継手60(図3、図4参照)の下部配管62が挿入接続される。図2(A)に示すように、内管11の直管部12と受け口13との間にはその受け口13側で拡開するテーパ状の境界拡開部13wが形成されている。なお、境界拡開部13wは、排水抵抗緩和のため緩やかなテーパであることが望ましい。
受け口13の先端部(上端部)近傍には、内周面側に半円溝13mが円周方向に形成されており、外周面側にその半円溝13mによる突条13jが形成されている。そして、受け口13の半円溝13mにリング状のシール材20が装着されている。
内管11の直管部12の上半分は、変形可能な直管部用の耐火遮音筒40(あるいは耐火遮音シート40)によって覆われている。なお、内管11の直管部12と直管部用の耐火遮音筒40との間には、若干の隙間Sが形成されている(図2(B)参照)。さらに、直管部用の耐火遮音筒40の上端部分、及び内管11の受け口13の外周面であって突条13jを除く部分は、凹凸吸収シート40aによって覆われている。そして、凹凸吸収シート40aの周囲及び受け口13の突条13jの周囲が同じく変形可能な受け口用の耐火遮音筒40によって覆われている。ここで、凹凸吸収シート40aは接着剤等で直管部用の耐火遮音筒40の上端部分、及び内管11の受け口13の外周面に貼着されており、受け口用の耐火遮音筒40は同じく接着剤等で凹凸吸収シート40aの外周面に貼着されている。
遮音材44は、排水の音等を反射させて外部に漏らさないようにするための部材であり、耐火性、かつ気密性を有し、比重の大きな材料、例えば、アスファルトにポリマーやゴム等を添加した改質アスファルト及び不織布等から構成されている。
また、受け口13mの外周面を覆う凹凸吸収シート40aは耐火遮音筒40の吸音材42と等しい材料により構成されている。
さらに、直管部用の耐火遮音筒40と受け口用の耐火遮音筒40との合わせ目部分には、遮音材44とほぼ等しい材質のジョイントテープ46が巻かれて、その合わせ目部分が露出しないようになっている。
内管11の露出部分には、配管作業後に縦割り状態(外周壁が軸方向に切断された状態)の下側耐火遮音筒40xが被せられる。そして、下側耐火遮音筒40xの縦割り部分40c、及びその下側耐火遮音筒40xと直管部用の耐火遮音筒40との合わせ目部分にジョイントテープ46が貼着され、その部分がジョイントテープ46によって被覆される。
なお、下側耐火遮音筒40xは直管部12の露出部分の長さ寸法にあわせ、工場で予め成形しておいても良いし、配管作業後に実際の露出部分の寸法に合わせて耐火遮音シートを現場で裁断することにより、成形しても良い。
即ち、直管部用及び受け口用の耐火遮音筒40及びジョイントテープ46等が本発明の被覆部材に相当する。
次に、上記した排水立て管10の施工方法について説明する。
先ず、施工準備として、図1に示すように、排水立て管10の下側耐火遮音筒40xが取外され、内管11の直管部12のほぼ下半分が露出させられる。次に、図3に示すように、内管11の露出部分が把持されて排水立て管10が縦向きの持ち上げられ、その排水立て管10の受け口部分Uが上階AのコンクリートスラブCSの貫通孔CHに通される。次に、内管11の直管部12の下端部が下階Bの排水管継手60の上部受け口61に挿入されて、排水立て管10と下階Bの排水管継手60との接続が行なわれる。
ここで、排水立て管10の長さ寸法は、その排水立て管10が下階Bの排水管継手60と接続された状態で、受け口部分Uの上端面の高さ位置が上階AのコンクリートスラブCSの上面とほぼ等しくなるように、設定されている。
次に、排水立て管10の受け口部分U(内管11の受け口13)に上階Aの排水管継手60の下部配管62が挿入され、排水立て管10と上階Aの排水管継手60とが接続される。
このように、上記した手順が繰り返されることで各階における排水立て管10の配管施工が行なわれる。
なお、コンクリートスラブCSの貫通孔CHには、配管施工後に埋め戻し用のモルタルMが充填される。
上記した施工方法によると、露出している内管11を把持して排水立て管10の配管作業を行なうため、排水立て管10を縦向きにして持ち上げたときに、従来のように、内管11が自重で耐火遮音筒40(外管)に対して軸方向に位置ずれを起こすことがない。このため、排水立て管10の配管作業性が向上する。
図5は、排水立て管10の変更例を表している。変更例に係る排水立て管50は、受け口13を備える第1の排水立て管50aと直管状に形成された第2の排水立て管50bとから構成されている。即ち、第1の排水立て管50aの内管11aと第2の排水立て管50bの内管11bとがソケット52によって相対移動不能に接続されている。このため、排水立て管50を縦向きにして持ち上げる際に、ソケット52を把持すれば内管11の重量が耐火遮音筒40(被覆部材)に加わるようなことがなく、内管11が耐火遮音筒40に対して軸方向に位置ずれすることがない。
また、内管11を露出させる必要がないため、施工後に内管11の露出部分を耐火遮音筒40で覆う工程が不要になる。
図6は、耐火遮音筒40の必要個所(把持する部位)に窓状の開口40wを設け、内管11の露出部分12rを必要最小限にした例を表している。なお、配管施工後は、補修用耐火遮音筒40hで窓状の開口40wが塞がれ、耐火遮音筒40と補修用耐火遮音筒40hとの合わせ目部分がジョイントテープ46で貼り合わされる。
図7(A)に示す排水立て管70の場合、内管11を覆う耐火遮音筒40が下側耐火遮音筒40dと上側耐火遮音筒40uとに分割されている。下側耐火遮音筒40dは、内管11の下端部を排水管継手60に対する挿入代L0だけ露出させた状態で、その内管11の外周面に固定されている。一方、上側耐火遮音筒40uは、内管11に対して軸方向に移動可能な状態でその内管11を覆っている。このため、上側耐火遮音筒40uを軸方向に移動させて、下側耐火遮音筒40dと上側耐火遮音筒40uとの間で内管11を露出させることで、その内管11の露出部分を把持して配管作業を行なえるようになる。また、配管施工後に、上側耐火遮音筒40uを元の位置まで戻すことで、内管11の露出部分を容易に被覆できるようになる。
図7(B)に示す排水立て管70の場合、図1に示す排水立て管10と同様に、上側耐火遮音筒40uが内管11に固定されており、内管11の露出部分に縦割り状態の下側耐火遮音筒40dが配管作業後に被せられるように構成されている。
なお、耐火遮音筒40を上下に二分割した例を示したが、耐火遮音筒40の分割数は適宜変更可能である。また、内管11の周囲を予め耐火遮音筒40(上側耐火遮音筒40u、下側耐火遮音筒40d)とで被覆しておく例を示したが、内管11の配管後に耐火遮音シートを裁断し、その内管11の露出部分を覆うことも可能である。
内管81の直管部82の上半分は、変形可能な直管部用の耐火遮音筒40(あるいは耐火遮音シート40)によって覆われている。また、直管部用の耐火遮音筒40の上端部分、及び内管81の受け口83の外周面が同じく変形可能な受け口用の耐火遮音筒40によって覆われている。さらに、直管部用の耐火遮音筒40と受け口用の耐火遮音筒40との合わせ目部分には、遮音材44とほぼ等しい材質のジョイントテープ46が巻かれて、その合わせ目部分が露出しないようになっている。なお、配管施工後に下側耐火遮音筒40xを排水立て管80に装着する手順は前述の通りである。ここで、鋳鉄製の内管81を使用する代わりに、塩ビライニング鋼管や、鋼管、あるいはステンレス鋼管等を内管として使用することも可能である。
また、本実施形態では、被覆部材として耐火遮音筒40を使用する例を示したが、耐火性能を有しない繊維状の被覆部材、例えば、保温筒を有する排水管に本発明を適用することも可能である。
また、耐火遮音筒40の代わりに音による空気の振動エネルギーや排水による内管の振動エネルギーを吸収するゴムシート、プラスチックシート、あるいはゴムシート等と薄い金属シートとの積層体等を使用することも可能である。さらに、高分子材料をメインポリマーとした粘弾性体等とプラスチックシート等との積層体や,不織布、フェルト等の気泡構造を有する材料等を使用することも可能である。これにより、排水立て管10,80の防音、防振効果が得られるようになる。
10 排水立て管
11 内管
40 耐火遮音筒(被覆部材)
40u 上側耐火遮音筒
40d 下側耐火遮音筒
40w 開口
42 吸音材
44 遮音材
52 ソケット
80 排水立て管
81 内管
Claims (8)
- 内管の周囲が変形可能な被覆部材により隙間を介した状態で覆われている排水管の上端部を集合住宅の上階と下階とを仕切るコンクリートスラブの貫通孔に通し、その排水管の内管の下端部を排水管継手の上部受け口に接続する場合の排水管の施工方法であって、
前記排水管の前記被覆部材を一部取り除いて前記内管の一部を露出させる施工準備工程と、
前記排水管において内管が露出している部位を把持し、その排水管を縦向きに持ち上げて上端部を上階のコンクリートスラブの貫通孔に通し、その内管の下端部を排水管継手の上部受け口に挿入接続する配管工程と、
前記配管工程の後、前記施工準備工程において露出した前記内管の一部を被覆部材で覆う被覆工程と、
を有することを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項1に記載された排水管の施工方法であって、
排水管を縦向きに持ち上げる際に把持される部位の前記被覆部材を取外し、その把持される部位で前記内管を露出させる準備工程を有することを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項2に記載された排水管の施工方法であって、
準備工程では、筒状の被覆部材を上側被覆部材と下側被覆部材とに分割し、その下側被覆部材を前記内管に固定した状態で、前記上側被覆部材を軸方向に移動させて、前記下側被覆部材と上側被覆部材との間で前記内管を露出させ、
被覆工程では、前記上側被覆部材を元の位置まで戻すことで、露出している前記内管を覆うことを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項2に記載された排水管の施工方法であって、
準備工程では、筒状の被覆部材を上側被覆部材と下側被覆部材とに分割し、その上側被覆部材を前記内管に固定した状態で、前記下側被覆部材を前記内管から取外し、前記内管を露出させることを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項2に記載された排水管の施工方法であって、
準備工程では、配管作業中に把持される位置にある前記被覆部材を窓状に切り取ることで、前記内管を露出させることを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載された排水管の施工方法であって、
被覆部材には、無機質繊維により伸縮可能に構成された吸音材と、その吸音材を覆う布状部材で耐火性、かつ気密性を有し、前記吸音材よりも比重が大きい遮音材とが使用されることを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載された排水管の施工方法であって、
被覆部材には、振動エネルギーを吸収可能な材料が使用されることを特徴とする排水管の施工方法。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載された排水管の施工方法であって、
内管には金属製の管が使用されることを特徴とする排水管の施工方法。
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