JP6125875B2 - 耐火性管体及び耐火構造 - Google Patents
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Description
上記耐火性管体において、前記非通気層は、高分子材料からなる基材と無機充填剤とを含有する材料から形成されていることが好ましい。
この構成によれば、通気性及び耐火性を有する無機繊維層により、管本体の外周への熱伝導が抑制される。また、無機繊維層の外周側には、非通気層が配置されているため、管本体の外周への熱風の到達が抑制される。すなわち、上記の被覆材が管本体の外周に設けられることで、火災の際に管本体の軟化や熱分解が進行し難くなり、管本体を構成する難燃性の樹脂が被覆材の内側に残留し易くなる。
図1に示すように、耐火性管体11は、建築物の床スラブ71を貫通して配置される鋳鉄製の耐火性継手管61に連結して用いられる。本実施形態の耐火性管体11は、建築物の排水システムを構成する。
耐火性継手管61は、床スラブ71に形成された貫通孔72に挿入される。床スラブ71は、コンクリート製であり、耐火性継手管61と貫通孔72の内壁との間がモルタル73で埋められることで、床スラブ71に耐火性継手管61が固定される。耐火性継手管61は、上下のみに流路を有するものであってもよいし、床スラブ71の上方で横方向に沿った流路を構成する枝管部を有していてもよい。
耐火性管体11は、難燃性を有する樹脂製の管本体12を有している。管本体12は、第1樹脂製継手管13と、この第1樹脂製継手管13に連結される第2樹脂製継手管14とを有している。
第2樹脂製継手管14は、難燃性を有する樹脂製の立て管62が連結される第2連結部16を有している。第2連結部16には、立て管62の端部が挿入され、接着剤で接合される。
<被覆材>
管本体12の外周には、被覆材21が設けられている。被覆材21は、通気性及び耐火性を有する無機繊維層22と非通気層23とを備えている。非通気層23は、無機繊維層22の外周側に配置されている。このように被覆材21は、無機繊維層22、及び非通気層23が積層された積層構造を有している。
次に、被覆材21の配置の詳細について説明する。
耐火構造は、耐火性管体11を用いて構成され、耐火性継手管61に耐火性管体11が連結された構成を有する。すなわち、耐火構造は、建築物の区画部としての床スラブ71と、この床スラブ71を貫通して配置される耐火性継手管61と、耐火性管体11とを備えている。本実施形態の耐火構造は、被覆材21を床スラブ71に支持する金属製の支持具51を備えている。支持具51は、被覆材21を保持する保持部52と、この保持部52を床スラブ71に支持させる支持部53とを備えている。保持部52は、連続した環状に形成されている。保持部52は、その周方向の少なくとも一部を係合及び離脱可能にする開閉部を有し、被覆材21の径方向から装着可能となっている。支持具51は、支持部53の一端を床スラブ71に固定した後に、支持部53の少なくとも一部、又は保持部52と支持部53とが、例えばボルト及びナット等の連結具で連結されることで装着される。支持具51を構成する金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、及びステンレス鋼が挙げられる。
次に、耐火性管体11及び耐火構造の作用について説明する。
耐火性管体11は、無機繊維層22を有するため、管本体12の外周への熱伝導が抑制される。また、無機繊維層22の外周側には、非通気層23が配置されているため、管本体12の外周への熱風の到達が抑制される。すなわち、上記の被覆材21が管本体12の外周に設けられることで、火災の際に管本体の軟化や熱分解が進行し難くなり、管本体12を構成する難燃性の樹脂が被覆材の内側に残留し易くなる。
(1)耐火性管体11は、耐火性継手管61に連結して用いられる。耐火性管体11は、管本体12と被覆材21とを有している。被覆材21は、通気性及び耐火性を有する無機繊維層22と非通気層23とを備えている。非通気層23は、無機繊維層22の外周に配置されている。耐火構造は、耐火性継手管61に耐火性管体11が連結された構成を有する。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記耐火構造において、前記支持具51は省略されてもよい。この場合、被覆材21を構成する層間や本体管と被覆材21との間に、接着層を設けることが好ましい。
・前記保持部52は、被覆材21に挿入される突起を有していてもよい。この場合、保持部52と被覆材21との位置ずれが長期にわたって抑制され易くなる。
・前記非通気層23には、無機繊維が含有されていてもよい。また、前記非通気層23は、金属箔から構成されてもよい。このように変更した場合でも、管本体12の外周への熱風の到達が抑制される。
・前記非通気層23の外周に無機繊維層22をさらに設けてもよい。
・前記第1連結部15は、耐火性管体11が挿入される被挿入部15aを有しているが、耐火性管体11に挿入される挿入部に変更されてもよい。この場合、例えば、特許文献1に開示されるように、耐火性継手管61にフランジを形成し、このフランジ、パッキン、締結具等を用いて、耐火性継手管61に耐火性管体11を固定することができる。
・前記耐火性管体11及び耐火構造は、区画部として、水平方向に沿って区画する床スラブ71に適用されているが、例えば、区画部として、垂直方向に沿って区画する耐火性を有する壁材に適用されてもよい。この場合、第2連結部16には、立て管62の代わりに、難燃性を有する樹脂製の横管が連結される。
・前記耐火性管体11及び耐火構造は、排水システムに適用されているが、通気システムに適用されてもよい。
(イ)前記耐火性管体において、前記非通気層は、高分子材料からなる基材と無機充填剤とを含有する材料から形成される耐火性管体。
(実施例1)
図1に示される耐火性管体を製造した。管本体は、塩化ビニル樹脂製であり、無機繊維層としては、シリカ繊維の不織布を用いた。この不織布の厚みは約5mmであり、密度は約125kg/m3であり、耐熱温度は約1000℃である。非通気層としては、オレフィン系樹脂からなる基材と、無機充填剤としての硫酸バリウムとを含有するシートを用いた。このシートの厚みは、約1.5mmである。この耐火性管体を用いて試験用の耐火構造を形成した。
比較例1では、被覆材を省略した以外は、実施例1と同様に試験用の耐火構造を形成した。
実施例1の耐火構造について耐火性の試験を行った。この試験では、バーナ95を用いて容器91内を加熱した。そして、温度測定箇所96の温度において、開始温度が約20℃であり、終了温度が約1000℃になるようにバーナの火力を調整し、開始から60分後に耐火性の試験を終了した。
続いて、各例の試験後に、耐火性継手管61の上方から流路の写真を撮影した。その写真を用いて、耐火性継手管61下端の開口面積に対して閉塞されている部分の面積を百分率で算出し、これを閉塞率とした。実施例1の閉塞率は65〜75%であるのに対して、比較例1の閉塞率は0%であった。
Claims (3)
- 建築物の区画部を貫通して配置される鋳鉄製の耐火性継手管に連結して用いられる耐火性管体であって、
前記耐火性管体は、難燃性を有する樹脂製の管本体と、前記管本体の外周に設けられる被覆材とを有し、
前記管本体は、前記耐火性継手管に連結される第1樹脂製継手管と、前記第1樹脂製継手管に連結される第2樹脂製継手管とを備え、前記管本体は、前記第1樹脂製継手管の周壁と前記第2樹脂製継手管の周壁とが重なる厚肉部を有し、
前記被覆材は、通気性及び耐火性を有する無機繊維層と、前記無機繊維層の外周側に配置される非通気層とを有するとともに、前記厚肉部と重なる位置に設けられていることを特徴とする耐火性管体。 - 前記非通気層は、高分子材料からなる基材と無機充填剤とを含有する材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の耐火性管体。
- 請求項1又は請求項2に記載の耐火性管体を用いて構成される耐火構造であって、
前記耐火性継手管に前記耐火性管体が連結されてなることを特徴とする耐火構造。
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