JP5320027B2 - 耐火配管構造 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火配管構造に関する。
従来より、複層からなる建築物における上層及び下層を仕切る床や、隣接する空間を仕切る壁など、様々な区画に対し、配管手段を貫通させる構造が存在している(特許文献1)。そうした区画貫通部が防火区画の場合には、区画によって仕切られた一方の空間で火災が発生した場合、火炎が他方の空間へと侵入しないような構造が必要となる。
すなわち、給水管、配電管その他の管が耐火構造の床若しくは壁を貫通する場合においては、当該管と準耐火構造の防火区画とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない、給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に1m以内の距離にある部分を不燃材料で造ることとされている(建築基準法施行令参照)。
したがって、多層建築物の各階を仕切る防火区画である床スラブの貫通部においては、金属製の集合継手を用いるとともに、この集合継手の上下の立管接続部や横枝管接続部に接続される立管および横枝管には、耐火性能に優れた樹脂ライニング鋼管、耐火二層管(樹脂管の周囲に繊維補強モルタル層を設けたもの)、金属管等が使用されている。
しかしながら、金属管を用いた場合、重くて施工性に問題があるとともに、排水音の防音効果に乏しいという問題がある。一方、耐火二層管の場合、金属管に比べ軽量にはなるとともに、排水音の防音性も高いものの、モルタル層が割れる問題があり、取り扱い性に問題がある。他方、樹脂ライニング鋼管の場合、金属管に比べ軽量になり、排水音の防音性も高いとともに、取り扱い性にも優れているのであるが、樹脂のみの配管材に比べてコストが割高になるという問題がある。
そこで、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層を備える耐火樹脂管が本発明の発明者たちによって既に提案されているとともに、平成19年10月に上市されている(非特許文献1参照)。
すなわち、この耐火樹脂管は、ベース樹脂として、自己消火性を有するポリ塩化ビニル系樹脂が用いられているため、燃焼速度の遅延が効果的に行われ、燃焼時の火炎の伝播速度を抑えることができる。その上、ポリ塩化ビニル系樹脂は、燃焼初期に発泡する性質があるため、熱膨張性黒鉛が膨張しやすいという利点がある。
また、熱膨張性黒鉛は、それ自体が燃えにくく、かつ、熱により膨張して断熱効果が発現するので、燃焼速度の遅延がさらに効果的に行われる。
しかも、パイプの成形性に優れており、例えば、射出成形や押出成形などによって、高い寸法精度で連続的に生産できる上、パイプの内面を滑らかな状態にすることができ、製品としての外観および排水性能に優れたものとすることができる。
ところで、上記耐火樹脂管の場合、上記のように熱膨張黒鉛が膨張して、管路を閉塞するため、火災が発生しても、防火区画を隔てて隣接する上階等の隣接する区画への延焼や一酸化炭素などの有毒ガスの流入を長時間防止できるのであるが、スラブを貫通するように設けられた鋳鉄製集合継手にこの耐火樹脂管を従来の方法で接続したのでは、つぎのような問題があった。
すなわち、集合継手と樹脂管との接続には環状をした止水ゴム(以下、「ゴム輪」と記す)がフランジ圧縮により管壁を押し付け、固定される構造であるゴム輪接合が一般に用いられる。
しかし、火災時には上記ゴム輪が燃え尽き、耐火樹脂管が集合継手の下端から脱落してしまうため、加熱膨張する耐火樹脂管の効果を十分発揮することができず、管路を閉塞できないおそれがあり、建築物の防火区画を排水管等で貫通施工するための消防評定の取得が困難であるという問題があった。
特開平10-195947号公報 エスロンタイムズon the Web 耐火VPパイプ・耐火DV継手 2008.1 改訂3版 インターネットURL http:/www.eslontimes.com
本発明は、上記事情に鑑みて、鋳鉄製の継手と耐火樹脂管とをゴム輪接合を用いて接続した場合において、ゴム輪が焼失しても耐火樹脂管が継手との接続が解除されず、耐火樹脂管による耐火性が維持できる耐火配管構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の耐火配管構造(以下、「請求項1の耐火配管構造」と記す)は、建物の防火区画を上下方向に貫通するように設けられる不燃材料からなる継手の下端に少なくとも火炎による加熱により熱膨張する耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を備える耐火樹脂管が接続されている耐火配管構造であって、前記継手に、前記耐火樹脂管が加熱されて軟化状態となったときにばね力によって押圧部が耐火樹脂管を周囲から押圧して管壁を縮径方向に凹ませて耐火樹脂管が継手から落下することを防止する耐火樹脂管落下防止手段が設けられていることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の耐火配管構造(以下、「請求項2の耐火配管構造」と記す)は、請求項1の耐火配管構造継手において、下端にフランジ部を備える継手本体と、継手本体の耐火樹脂管接続部に嵌合されるゴム輪パッキンと、前記フランジ部方向に締め付けられることによって、前記ゴム輪パッキンを縮径させて耐火樹脂管の周壁に圧接させる締め付けリングとを備えている構成のものを用いることがこのましい。
本発明の請求項3に記載の耐火配管構造(以下、「請求項3の耐火配管構造」と記す)は、請求項2の耐火配管構造継手において、耐火樹脂管落下防止手段は、耐火樹脂管を環状に囲繞するように配置される押圧部と被支持部とを有し、この押圧部が締め付けリング内を耐火樹脂管の離脱方向に移動可能に、前記被支持部が締め付けリングに支持されていることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の耐火配管構造(以下、「請求項4の耐火配管構造」と記す)は、 また、請求項1〜請求項3のいずれかの耐火配管構造継手において、耐火樹脂管落下防止手段が、押圧部をばね力に抗して非押圧状態に保持し、耐火樹脂管が火炎に曝されたとき、焼失して前記保持を解除する非押圧状態保持手段を備えている構成とした。
本発明以外の耐火配管構造としては、建物の防火区画を上下方向に貫通するように設けられる不燃材料からなる継手の下端に少なくとも火炎による加熱により熱膨張する耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を備える耐火樹脂管が接続されている耐火配管構造であって、一部が脱落防止状態に前記継手に係止され、前記耐火樹脂管が加熱膨張したときに、軟化状態の耐火樹脂管の外壁面に食い込んで耐火樹脂管の継手からの離脱を防止する耐火樹脂管落下防止手段を備えていることを特徴としたものもある。
本発明の請求項に記載の耐火配管構造(以下、「請求項の耐火配管構造」と記す)は、
請求項1〜請求項のいずれかの耐火配管構造において、耐火樹脂管が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層を少なくとも備えることを特徴としている。
上記耐火樹脂管を構成する樹脂組成物の主成分樹脂としては、特に限定されないが、自己消火性を備えるポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体;塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。又、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類などが挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合するものであれば、特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されるものではないが、小さくなると成形体の物性低下が起こり、大きくなると溶融粘度が高くなって成形が困難になるので、400〜1600が好ましく、600〜1400が、特に好ましい。尚、上記平均重合度とは、ポリ塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、従来公知の任意の重合方法が採用されてよく、例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の塩素化方法としては、特に限定されず、従来公知の塩素化方法が採用されてよく、例えば、熱塩素化方法、光塩素化方法等が挙げられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂はいずれも、樹脂組成物としての耐火性能を阻害しない範囲で、架橋、変性して用いてもよい。この場合、予め架橋、変性した樹脂を用いてもよく、添加剤等を配合する際に、同時に架橋、変性してもよいし、あるいは樹脂に前記成分を配合した後に架橋、変性してもよい。上記樹脂の架橋方法についても、特に限定はなく、ポリ塩化ビニル系樹脂の通常の架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物を使用する架橋、電子線照射による架橋、水架橋性材料を使用した方法等が挙げられる。
本発明の耐火樹脂管は、火炎等によって加熱されると耐火膨張層が膨張して、管内を閉塞あるいは閉塞に近い状態にすることができるものであれば、特に限定されず、耐火膨張層のみの単層のものでも、耐火膨張層の内外面に耐火膨張層の耐火性能を阻害しない範囲で膨張黒鉛を含まない樹脂組成物からなる樹脂層を設けた複層構造とするようにしても構わないが、内面平滑性を考慮すると、耐火膨張層の内面に膨張黒鉛を含まない樹脂組成物からなる樹脂層を設けることが好ましい。さらには、内面被覆層が多条の内面ラセン構造であれば、排水性能も向上して好ましい。
なお、上記単層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含むものが好ましく、1〜8重量部の割合で含むものがより好ましく、2〜7重量部の割合で含むものがさらに好ましい。すなわち、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られない恐れがあり、10重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまう恐れがある。
一方、複層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含むものが好ましく、1〜12重量部の割合で含むものがより好ましく、2〜10重量部の割合で含むものがさらに好ましい。すなわち、熱膨張性黒鉛を熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないし、15重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまう恐れがある。
上記のような複層構造品の場合、耐火膨張層の内面を被覆する被覆層の厚みは、0.2〜2.0mmであることが好ましい。
すなわち、耐火膨張層の内面を被覆する被覆層の厚みが0.2mm未満であると、内面平滑効果が不十分となり、2.0mmを超えると耐火性が低下する恐れがある。
本発明で用いられる熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで、黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であって、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛、および、1.3倍膨張温度が180℃〜240℃の熱膨張性黒鉛を用いることが好ましい。
すなわち、熱膨張性黒鉛のpHが1.5未満であると、酸性が強すぎて、成形装置の腐食などを引き起こしやすく、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られなくなる恐れがある。
上記熱膨張性黒鉛のpH調整方法は、特に限定されないが、通常、上記のように、原料黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした状態では、pH1以下になっているため、例えば、酸処理後の黒鉛を水で洗浄して、黒鉛の表面に残存する酸を除去した後、乾燥させる方法が挙げられる。すなわち、熱膨張性黒鉛のpHを上昇させるには、水洗と乾燥とを繰り返せばよい。
一方、熱膨張性黒鉛の1.3倍膨張温度が180℃未満であると、成形中に熱膨張性黒鉛が膨張してしまうことがあり、管の外観不良を引き起こす上、燃焼時の耐火性が低下してしまう恐れがあり、熱膨張性黒鉛の1.3倍膨張温度が240℃を超えると、成形中に熱膨張性黒鉛の膨張が開始してしまう恐れはないものの、燃焼時において、ポリ塩化ビニル系樹脂の熱分解(発泡)が進行し、ポリ塩化ビニル系樹脂の柔軟性が低下してしまった後に、熱膨張性黒鉛が膨張するため、ポリ塩化ビニル系樹脂が、熱膨張性黒鉛の膨張に耐え切れなくなり、バラバラに崩壊してしまう恐れがある。
なお、1.3倍膨張温度とは、加熱炉内を一定温度にして、熱膨張性黒鉛の試料を30分加熱した後の熱膨張性黒鉛の膨張倍率が、1.3以上になる温度を意味する。また、膨張倍率は、加熱後の試料の体積を加熱前の試料の体積で除することで求められる。
上記熱膨張性黒鉛の粒径は、特に限定されないが、好ましくは100〜400μmであり、さらに好ましくは120〜350μmである。すなわち、粒径が細かくなりすぎると、耐火性樹脂組成物の膨張率が低下してしまう恐れがある。一方、粒径が大きくなりすぎると、加熱により組織が熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうし、耐火性樹脂組成物を配管材としたときの引張強度や扁平強度などの物性が低下してしまい、管材として必要な機械的強度が得られなくなってしまう恐れがある。
また、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて安定剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマーなどの添加剤が添加されていてもよい。
上記安定剤としては、特に限定されないが、鉛系安定剤、有機スズ安定剤、高級脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらが単独であるいは複合して用いられる。
鉛系安定剤としては、例えば、鉛白、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、シリカゲル共沈ケイ酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛が挙げられる。
また、有機スズ系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプトなどのメルカプチド類;ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマーなどのマレート類;ジブチル錫メルカプトジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマーなどのカルボキシレート類が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩(金属石ケン)としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸カドミウム、ラウリン酸カドミウム、リシノール酸カドミウム、ナフテン酸カドミウム、2−エチルヘキソイン酸カドミウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛が挙げられる。
上記安定剤の配合割合は、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3〜5.0重量部とすることが好ましい。
すなわち、安定剤の配合割合が0.3重量部未満であると、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定性が確保されにくく、成形中に炭化物が出やすくなってしまう恐れがあり、5.0重量部を超えると、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進を阻害して十分な耐火性能が得られなくなる恐れがある。
無機充填剤としては、特に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が候補に挙げられ、これらのうち、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化鉄等の塩基性無機充填剤を用いることが好ましい。
これらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
また、無機充填剤の配合割合は、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜50重量部の割合とすることが好ましく、2〜5重量部の割合とすることがより好ましい。すなわち、無機充填剤が0.3重量部未満であると、燃焼時に、骨材的な働きがなされず、その形状を保持できずに残渣が脱落して、耐火性が低下してしまう恐れがあり、50重量部を超えると、組成物全体に対するポリ塩化ビニル系樹脂の割合が低くなるため、引張強度が低下してしまう恐れがある。
特に、熱膨張性黒鉛として、pHを1.5〜4.0に調整されたものを用いる場合には、上記塩基性無機充填剤をポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部の割合で配合することが好ましい。すなわち、塩基性無機充填剤の配合割合がポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3重量部未満であると、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定性が確保されず、成形中に炭化物が出やすくなってしまい、塩基性化合物が5.0重量部を超えると、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進を阻害することとなり、耐火性能の著しい向上が見られなくなる恐れがある。
上記難燃剤としては、燃焼時の難燃性を高めるためのものであれば特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、ハイドロタルサイト、二酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、三酸化モリブデン、二硫化モリブデン、アンモニウムモリブデート等のモリブデン化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロムエタン、テトラブロムエタン、テトラブロムエタン等の臭素系化合物、トリフェニルフォスフェート、アンモニウムポリフォスフェート等のリン系化合物、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛などが挙げられるが、ポリ塩化ビニルの燃焼抑制効果としては、三酸化アンチモンが特に好ましい。アンチモン化合物は、ハロゲン系化合物の存在下では、高温条件のもとで、ハロゲン化アンチモン化合物を作り、燃焼サイクルを抑制させる効果が非常に強く、相乗効果が著しいからである。
難燃剤を併用することにより、燃焼時において、熱膨張性黒鉛の膨張による断熱効果と難燃剤による燃焼遅延効果が相乗効果を発揮して、より効率的に耐火性能を向上させることができる。難燃剤の添加部数は、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下、添加されていることが好ましい。難燃剤が1重量部未満であると、十分な相乗効果が得られにくいし、難燃剤が20重量部を超えて添加されると、成形性や物性が著しく低下してしまう恐れがあるからである。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、例えば重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤などが挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては特に限定されず、例えば、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、例えばメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、アクリルゴムなどが挙げられる。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えばα−メチルスチレン系、N−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤などが挙げられる。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤などが挙げられる。
上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系などの無機顔料などが挙げられる。
また、上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物には可塑剤が添加されていてもよいが、成形品の耐熱性や耐火性を低下させることがあるため、多量に使用することはあまり好ましくない。上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等の塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、上記の耐火樹脂管としては、特に限定されないが、例えば、積水化学工業株式会社製の商品名エスロン耐火VPパイプ等の市販のものを用いることができる。
以上のように、請求項1の耐火配管構造は、前記継手に、前記耐火樹脂管が加熱されて軟化状態となったときにばね力によって押圧部が耐火樹脂管を周囲から押圧して管壁を縮径方向に凹ませて耐火樹脂管が継手から落下することを防止する耐火樹脂管落下防止手段が設けられているので、火災が発生し耐火樹脂管が火炎により加熱されると、熱膨張して管が閉塞状態になり、火災発生区画から煙や火炎が管内を通り防火区画を越えて上階に入り込むことを防止できる。しかも、火炎による加熱によって耐火樹脂管が軟化状態になると、耐火樹脂管落下防止手段によって押圧された部分が他の部分より管内側に凹む。すなわち、耐火樹脂管が耐火樹脂管落下防止手段の押圧部が耐火樹脂管に食い込んだようになる。したがって、耐火樹脂管が耐火樹脂管落下防止手段によって支持されて耐火樹脂管の継手からの離脱が防止される。
また、請求項2の耐火配管構造のように、継手が、下端にフランジ部を備える継手本体と、継手本体の耐火樹脂管接続部に嵌合されるゴム輪パッキンと、前記フランジ部方向に締め付けられることによって、前記ゴム輪パッキンを縮径させて耐火樹脂管の周壁に圧接させる締め付けリングとを備えている構成とすれば、ゴム輪パッキンによって耐火樹脂管の管壁が周囲から強く押圧された状態になり、ゴム輪パッキンが焼失しない限り、ゴム輪パッキンによっても耐火樹脂管の落下を防止でき、より防火性が向上する。
請求項3の耐火配管構造のように、耐火樹脂管落下防止手段を、耐火樹脂管を環状に囲繞するように配置される押圧部と被支持部とを有し、この押圧部が締め付けリング内を耐火樹脂管の離脱方向に移動可能に、前記被支持部が締め付けリングに支持されている構成とすれば、押圧部がその中心軸を耐火樹脂管の管軸に対して傾いた状態で耐火樹脂管の周囲を締め付け状態で押圧となるため、耐火樹脂管に対して管軸を垂直方向から傾く方向のモーメントがかかり、耐火樹脂管がより落下しにくくなる。
請求項4の耐火配管構造のように、耐火樹脂管落下防止手段が、押圧部をばね力に抗して非押圧状態に保持し、耐火樹脂管が火炎に曝されたとき、焼失して前記保持を解除する非押圧状態保持手段を備えている構成とすれば、耐火樹脂管を継手に接続する際に押圧部が邪魔にならず、耐火樹脂管の継手への接続作業が容易になる。
上記本発明以外の耐火配管構造は、一部が脱落防止状態に継手に係止され、耐火樹脂管が加熱膨張したときに、軟化状態の耐火樹脂管の外壁面に食い込んで耐火樹脂管の継手からの離脱を防止する耐火樹脂管落下防止手段を備えているので、火災が発生し耐火樹脂管が火炎により加熱されると、熱膨張して管が閉塞状態になり、火災発生区画から煙や火炎が管内を通り防火区画を越えて上階に入り込むことを防止できる。しかも、火炎による加熱によって耐火樹脂管が半径方向の外側に向かっても膨張するとともに、軟化状態になっているので、外側に膨張した部分が、耐火樹脂管落下防止手段の一部に食い込む。したがって、耐火樹脂管が耐火樹脂管落下防止手段によって支持され、ゴムパッキンが焼失しても耐火樹脂管の継手からの離脱が防止される。
そして、請求項の耐火配管構造のように、耐火樹脂管として、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層を少なくとも備えるものを用いれば、より耐火性および防火性が向上するとともに、施工性も向上する。
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図3は、本発明にかかる耐火配管構造の第1の実施の形態をあらわしている。
図1〜図3に示すように、この耐火配管構造Aは、継手の第1の例である集合継手1aが上下階を仕切る防火区画としての床スラブSの上部からその下端部を貫通孔S1に通して床スラブSの下方に臨ませた状態で貫通孔S1にモルタルMを充填することによって設置され、この集合継手1aに、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層を少なくとも備える耐火樹脂管(例えば、積水化学工業株式会社製商品名エスロン耐火VPパイプ)Pが接続されている。
集合継手1aは、鋳鉄製の継手本体11と、鋳鉄製の締め付けリング12と、耐火樹脂管落下防止手段2aとを備えている。
継手本体11は、上端に耐火樹脂管Pの下端を受けるゴム輪パッキン(図示せず)が内蔵されたゴム輪受口11aが設けられ、中間部の側壁に枝管接続口11bが設けられ、下端にフランジ部11cが設けられている。
フランジ部11cは、図3に示すように、放射状に3つのねじ孔(図では2つしかあらわれていない)11dを備え、図2に示すように、内側にゴム輪パッキン13が内蔵されるようになっている。
締め付けリング12は、図1〜図4に示すように、リング本体12aと、耐火樹脂管落下防止手段支持部12bとを備えている。
リング本体12aは、その外形がフランジ部11cと略同じ形をしていて、耐火樹脂管Pが挿通可能になっているとともに、ねじ孔11dに対応する位置にそれぞれボルト挿通孔12cが穿設され、ボルト14によってフランジ部11cに締め付けられることによって、ゴム輪パッキン13を管軸方向に圧縮するとともに、接続部を止水状態に保つようになっている。
耐火樹脂管落下防止手段支持部12bは、リング本体12aからリング本体12aと同じ中心軸を有し同内径をしたリング状をしていて、リング本体12aの下方に設けられ、壁面にボルト挿通孔12cの近傍の仕切り部12dを介して仕切られた3つの円弧状をした長孔12eが穿設されている。
耐火樹脂管落下防止手段2aは、ばね鋼製の線材を焼入れ加工することによって形成され、図5に示すように、長孔12eに挿入可能な長さの円弧状をした2つの押圧部21と、押圧部21と押圧部21とを連結する略U字形をした連結部22と、押圧部21の先端から外側に折れ曲がるように設けられた挿入ガイド部23とを備え、2つの押圧部21間の最大距離が無負荷状態で耐火樹脂管Pの外径より小さくなっていて、後述するように、耐火樹脂管落下防止手段支持部12bに支持させた状態で、図5に示すように、2つの押圧部21が外側に広がった状態で耐火樹脂管Pの外壁面に沿うようになっている。
そして、耐火配管構造Aは、まず、従来の集合継手と立管との接続と同様にして、耐火樹脂管Pを集合継手1aの下端部に接続したのち、挿入ガイド部23を先頭にして、2つの押圧部21が隣接する2つの長孔12eに嵌り込むように耐火樹脂管落下防止手段2aを耐火樹脂管落下防止手段支持部12bの外側から押し込んで耐火樹脂管落下防止手段2aを耐火樹脂管落下防止手段支持部12bに支持させるようになっている。なお、2つの押圧部21間の最大距離が無負荷状態で耐火樹脂管Pの外径より小さくなっているので、このように耐火樹脂管落下防止手段2aが支持された状態では、2つの押圧部21の距離が無負荷状態より大きくなっており、押圧部21がその弾性復元力によって、常に耐火樹脂管Pの管壁を耐火樹脂管Pの内側に向かって押圧し続けるようになる。
すなわち、この耐火配管構造Aは、以上のようになっているので、火災による熱によって耐火樹脂管Pが軟化すると、広がった状態で耐火樹脂管Pの外壁面に沿った2つの押圧部21がその弾性復元力によって耐火樹脂管Pの管壁を耐火樹脂管Pの内側に向かって押圧し耐火樹脂管Pの押圧部21によって押圧された部分を内側に向かって凹ませる。すなわち、押圧部21が耐火樹脂管Pに食い込んだようになる。
したがって、耐火樹脂管Pは、耐火樹脂管落下防止手段2aを介して集合継手1aに支持された状態が確保され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。しかも、火災が発生した場合、火災発生階では、耐火樹脂管Pが火炎によって加熱されると、耐火膨張層が熱膨張し、管内を閉塞状態にする。したがって、耐火樹脂管Pの耐火性能によって2時間以上火災発生階から上階への煙や火炎の流れ込みが防止される。
図6は、耐火配管構造の第1参考例をあらわしている。
図6に示すように、この耐火配管構造Bは、従来の集合継手1bに耐火樹脂管Pを接続するとともに、耐火樹脂管落下防止手段としての亀甲金網2bを集合継手1bと耐火樹脂管Pの接続部およびその近傍部分に円筒状に巻きつけるとともに、上端部を集合継手1bに固定するようにした。
すなわち、この耐火配管構造Bは、上記のように耐火樹脂管落下防止手段としての亀甲金網2bを備えているので、火災の熱で耐火樹脂管Pが熱膨張により拡径すると塩化ビニル樹脂は軟化状態になっているので、耐火樹脂管Pの外壁の一部が亀甲金網2bの網目内に入り込む。したがって、耐火樹脂管Pは、耐火樹脂管落下防止手段2aを介して集合継手1aに支持された状態が確保され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。
図7は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この耐火配管構造Cは、従来の集合継手1bに耐火樹脂管Pを接続するとともに、集合継手1bの締め付けリング15のボルト14によって締め付けリング15のねじ挿通孔形成部に上端が固定された耐火樹脂管落下防止手段としての3つの押圧部材2cを備えている。
すなわち、押圧部材2cは、ばね鋼製の帯状板材の一端部を側面視略釣り針状に折り曲げて押圧部24を形成するとともに、他端部を一端部の折り曲げ方向と逆方向に略直角に折り曲げて固定部25を形成するとともに、図示していないが、固定部25にボルト挿通孔が形成されている。
そして、3つの押圧部材2cは、締め付けリング15を継手本体11のフランジ部11cにボルト14で固定し、耐火樹脂管Pを集合継手1bに接続する際に、それぞれ押圧部24が耐火樹脂管Pの外壁面に押圧部材2cのばね弾性力によって圧接されるように、ボルト14によって締め付けリング15の下端面に固定部25が固定されている。
この耐火配管構造Cは、上記のように、押圧部材2cの押圧部24によって耐火樹脂管Pの外壁が3方から内側に向かって押圧されているので、火災による熱によって耐火樹脂管Pが軟化すると、3つの押圧部24がその弾性復元力によって耐火樹脂管Pの管壁を耐火樹脂管Pの内側に向かって押圧し、押圧部24によって押圧された部分を内側に向かって凹ませる。すなわち、押圧部24が耐火樹脂管Pに食い込んだようになる。
したがって、耐火樹脂管Pは、押圧部材2cを介して集合継手1bに支持された状態が確保され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。
図8は、耐火配管構造の第2参考例をあらわしている。
図8に示すように、この耐火配管構造Dは、集合継手1cが、継手本体11と、締め付けリング16とを備えている。
締め付けリング16は、リング本体17と、クランプリング18とを備えている。
リング本体17は、図示していないが、継手本体11の内部に挿入される挿入部を有し、この挿入部が後述するようにクランプリング18によって押圧されてゴム輪パッキン13を管軸方向に圧縮するようになっている。
クランプリング18は、図8及び図9に示すように、3つのボルト挿通孔18aを有するとともに一箇所が切断された略C字形をしていて、切断部から外側に延出する延出部18b、18bのボルト挿通孔18cに挿通された締め付けボルト18dをナット18eに締め込むことによって縮径し耐火樹脂管Pの外周面をクランプできるようになっている。
また、クランプリング18は、その内周面に図9に示すように、耐火樹脂管落下防止手段としての断面略三角形の複数の突条2dが管軸方向に並ぶように設けられている。
突条2dは、締め付けボルト18dの締め込みによってその頂部が少し耐火樹脂管Pの外壁に食い込むように作用する。
そして、クランプリング18は、上記のように耐火樹脂管Pをクランプした状態で継手本体11のフランジ部11cにボルト14によってねじ固定される。
この耐火配管構造Dは、上記のようになっており、耐火樹脂管Pがクランプリング18の内周面によってクランプされた状態で集合継手1cに支持されるので、耐火樹脂管Pが落下しにくい。しかも、クランプリング18の内周面に複数の断面三角形の突条2dが管軸方向に並ぶように設けられているので、火災による熱によって軟化状態になって膨張する耐火樹脂管の外壁面の一部が突条2dと突条2dとの隙間に入り込み、耐火樹脂管Pがクランプリング18によりしっかりと支持され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。
図10〜図12は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態に用いる集合継手の締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段をあらわしている。
図10〜図12に示すように、この締め付けリング4は、リング本体41と、耐火樹脂管落下防止手段支持部42とを備えている。
リング本体42は、上記締め付けリング12のリング本体12aと同じ構造をしている。
耐火樹脂管落下防止手段支持部42は、リング状をしていて、図11に示すように、内周面に耐火樹脂管防止手段支持凹溝42aが環状に設けられている。
そして、耐火樹脂管防止手段支持凹溝42aには、耐火樹脂管落下防止手段として押圧リング2eと、非押圧状態保持手段としてのスペーサ5とが収容支持されている。
すなわち、押圧リング2eは、ばね鋼材によって、内径が耐火樹脂管の外径より小径で、外径が耐火樹脂管落下防止手段支持部42の最小内径より大きく形成されていて、リングの1箇所が切断されている。
スペーサ5は、火災の熱で容易に融けるあるいは焼失するポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で形成されていて、ばね鋼製押圧リング2eの切断部間に挿入されて押圧リング2eをその内径が耐火樹脂管Pの外径より大きくした状態に保持している。
この締め付けリング4は、以上のようになっており、図示していないが、従来の集合継手の締め付けリングと同様にして継手本体にボルトによって固定することによって耐火樹脂管Pを集合継手に接続できる。そして、押圧リング2eが、スペーサ5によって、内径が耐火樹脂管Pの外径より大きい状態になっているので、耐火樹脂管Pを接続する際に邪魔にならない。一方、火災が発生すると、スペーサ5が火災の熱によって容易に融けるか焼失し、押圧リング2eの切断面間からスペーサ5が無くなり、押圧リング2eが弾性復元力によって図13に示すように縮径し、リング内壁面によって耐火樹脂管Pの外壁面をその周方向から縮径方向に押圧する。この押圧によって火災の熱によって軟化状態となった耐火樹脂管Pの外壁をリング状に凹ませるように耐火樹脂管Pに食い込む。しかも、縮径した押圧リング2eは、その外径が耐火樹脂管落下防止手段支持部42の最小内径より大きいので、耐火樹脂管Pが押圧リング2eを介して締め付けリング4に支持され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。
図14は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態に用いる集合継手の締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段をあらわし、図15は締め付けリング、図16は耐火樹脂管落下防止手段をあらわしている。
図14及び図15に示すように、この締め付けリング6は、リング本体61の下面側に2つの耐火樹脂管落下防止手段支持部62、63を備えている。
一方の耐火樹脂管落下防止手段支持部62は、リング本体61の内周面に沿う内周面を備えた弧角が例えば120〜130°の円弧状をしていて、中央部に後述する耐火樹脂管落下防止手段2fの一部が遊嵌状態に挿通される貫通孔62aが円弧に沿った長孔状に穿設されている。
また、耐火樹脂管落下防止手段支持部62は、その下端の円周方向両端の貫通孔62aからずれた位置にリング本体61の半径方向内側に向かって張り出す係止リブ62bが設けられている。
他方の耐火樹脂管落下防止手段支持部63は、耐火樹脂管落下防止手段支持部62に対面するように設けられ、リング本体61の内周面に沿う内周面を備えた弧角が例えば30〜40°の円弧状をしていてその下端にリング本体61の半径方向内側に向かって張り出す係止リブ63aが設けられている。
図14及び図16に示すように、耐火樹脂管落下防止手段2fは、ばね鋼製の線材を曲げ加工するとともに、焼入れ加工して得られ、押圧部25aと、被支持部25bと、押圧解除レバー部25c、25dとを備えている。
押圧部25aは、無負荷状態で、線材の一部が上下に重なり、内径が耐火樹脂管Pの外径より小径で、外径が係止リブ62b及び係止リブ63aの締め付けリング6の内壁面側の面に沿う円と略同じか少し小径になっている略円形となるとともに、後述する2つの押圧解除レバー部25c、25dを近づけるように操作すると、拡径するようになっている。
被支持部25bは、押圧部25aの一方の端部に連続して設けられ、押圧部25aの中心軸方向に貫通孔62aの上下方向の寸法より高い高さの山形に線材を折り曲げることによって形成されている。
押圧解除レバー部25cは、押圧部25aの円形と略同じ面内で被支持部25bの端から線材が直線状に延出したのち、外側に向かって直角に折れ曲がるように形成されている。
もう一方の押圧解除レバー部25dは、押圧部25aの円形と略同じ面内で押圧部25aの他方の端から線材が直線状に延出したのち、外側に向かって直角に折れ曲がるように形成されている。
そして、この耐火樹脂管落下防止手段2fは、図14に示すように、押圧部25aが締め付けリング6の内側に配置され、被支持部25b及び2つの押圧解除レバー部25c、25dが締め付けリング6外部に突出するように、被支持部25b及び2つの押圧解除レバー部25dを締め付けリング6の内側から外側に向かって貫通孔62aに挿入したのち、2つの押圧解除レバー部25c、25dを手あるいは工具を用いて近づけて押圧部25aを耐火樹脂管落下防止手段支持部62、63の円弧の内壁面に接するまで拡径し、この状態を保つように火災による熱によって融けるあるいは焼失するポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で形成された非押圧状態保持手段としての樹脂バンド7が2つの押圧解除レバー部25c、25dに掛け渡されている。また、耐火樹脂管落下防止手段2fは、この拡径状態で押圧部25aの内径が耐火樹脂管Pの外径より大きくなるようになっている。
この耐火樹脂管落下防止手段2fは、以上のように、樹脂バンド7によって、内径が耐火樹脂管Pの外径より大きい状態に保持されているので、耐火樹脂管Pを接続する際に邪魔にならない。一方、火災が発生すると、樹脂バンド7が火災の熱によって容易に融けるか焼失し、押圧部25aがその弾性復元力によって縮径し、押圧部25aの内壁面によって耐火樹脂管Pの外壁面をその周方向から縮径方向に押圧する。この押圧によって火災の熱によって軟化状態となった耐火樹脂管Pの外壁をリング状に凹ませるように耐火樹脂管Pに食い込む。そして、被係止部25bを備えているので、耐火樹脂管Pが押圧リング2eを介して締め付けリング4に支持され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。しかも、被係止部25b及び2つの押圧解除レバー部25c、25dが貫通孔62aに遊嵌されているので、図17に示すように、押圧部25aの中心軸が耐火樹脂管Pの管軸に対して傾いた片持ち状態で耐火樹脂管落下防止手段2fが締め付けリング6に支持されるので、耐火樹脂管Pがより抜け落ちにくい状態に支持される。
図18は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態に用いる集合継手の締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段をあらわし、図19は締め付けリングをあらわしている。
図18及び図19に示すように、この締め付けリング8aは、リング本体81と、耐火樹脂管落下防止手段支持部82とを備えている。
耐火樹脂管落下防止手段支持部82は、リング本体81からリング本体81と同じ中心軸を有し同内径をしたリング状をしていて、2つの貫通孔82a、82bが穿設されている。
一方の貫通孔82aは、弧角が120°程度の円弧状に隣り合う2つのボルト挿通孔81a間に亘って設けられ、他方の貫通孔82bは、もう1つのボルト挿通孔81aを臨む部分に弧角が30°程度の円弧状に設けられている。
耐火樹脂管落下防止手段2gは、図18に示すように、貫通孔82bに挿入される略U字形をした被係止部26aと、被係止部26aの両側から円弧状に延出し、その端部が他方の端部と重なりあうように設けられた押圧部26b,26bと、両押圧部26b,26bの端部で外側に突出するよう設けられた拡径レバー部26c、26cとを備え、無負荷状態では、両押圧部26b,26bによって形成される略円形部分の内径が耐火樹脂管Pの外径より小さくなるようにばね鋼製の線材を焼入れ加工することによって形成されている。
また、耐火樹脂管落下防止手段2gは、被係止部26aを貫通孔82bに挿入するとともに、拡径レバー部26c、26cを貫通孔82aに挿入することによって耐火樹脂管落下防止手段支持部82に支持された状態になる。
そして、まず、拡径レバー部26c、26cを手あるいは工具を用いて近づけるように操作し、押圧部26b,26bを耐火樹脂管Pの外径より大きな内径になるまで拡径させて、耐火樹脂管Pを集合継手に接続したのち、拡径レバー部26c、26cをフリーにすれば弾性復元力によって、押圧部26b,26bが縮径し、耐火樹脂管Pの外壁を常に内側に向かって押圧された状態になる。
したがって、耐火樹脂管Pは、耐火樹脂管落下防止手段2gを介して集合継手に支持された状態が確保され、火災が発生し、ゴム輪パッキン13が焼失しても落下することがない。
図20は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態をあらわし、図21はこの耐火配管構造に用いる集合継手の締め付けリングをあらわし、図22はこの締め付けリングの耐火樹脂管落下防止手段をあらわしている。
図20に示すように、この耐火配管構造Eは、この集合継手1dが、第1の実施の形態と同様の継手本体11と、図21に示す締め付けリング8bとを備えている。
締め付けリング8bは、図21に示すように、耐火樹脂管落下防止手段支持部82の貫通孔82dが、ボルト挿通孔81aからずれた位置に穿設されている以外は、上記締め付けリング8aと同様になっている。
そして、図22に示すように、耐火樹脂管落下防止手段2hは、拡径レバー部26d,26dが直線状になっている以外は、上記耐火樹脂管落下防止手段2gと同様になっている。
因みに、図22に示す各部寸法は、呼び径100Aの耐火樹脂管用の耐火樹脂管落下防止手段2hのとき、ばね材の線径がφ2〜5mm(φ3〜4mmがより好ましい、φ3.5mmが特に好ましい)のとき、V=30mm以下(より好ましくは25mm)、W(押圧部間の最も狭い部分の距離)=パイプの内径±10mm(より好ましく94mm)が好ましい。
この集合継手1dは、上記のように、耐火樹脂管落下防止手段支持部82の貫通孔82dが、ボルト挿通孔81aからずれた位置に穿設されているので、ボルトがより締めやすく施工性に優れたものとなる。
つぎに、この集合継手1dと、耐火樹脂管Pとの接合方法の1例を図20及び図23〜図26に基づいて説明する。
まず、図示していないが、集合継手1dの受口へ差しこみ長さをはかり、耐火樹脂管Pの管壁に、差し込む長さにあわせて差し込み栓線を油性ペン等によって記載する。
そして、図23に示すように、締め付けリング8bの拡径レバー部26d,26dを手で持ち、図24に示すように、一方の拡径レバー部26dが他方の拡径レバー部26dの間隔が狭まるように押圧し、押圧部26b,26b間が耐火樹脂管Pの外径より大きく拡径した状態にして、図25に示すように、この拡径状態を保ちながら、耐火樹脂管Pの管端を押圧部26b,26b間に臨ませたのち、図26に示すように、耐火樹脂管Pの管軸方向に移動させて、締め付けリング8bが上記差し込み標線に一致した時点で押圧を解除し、縮径状態になった押圧部26b,26b間で耐火樹脂管Pの外壁面を挟みこむことによって締め付けリング8bを耐火樹脂管Pに支持された状態にする。
次に、図示していないが、管端部にゴム輪パッキン13を嵌合させたのち、図20に示すように、上階の床スラブSから下方に延出するように設置された継手本体11のゴム輪受口11aに下方から締め付けリング8bが支持された耐火樹脂管Pの管端部を差し入る。
その後、締め付けリング8bをボルト14によって継手本体11のフランジ部11cに締め付けて、耐火樹脂管Pを集合継手1dに接続する。
また、必要に応じて、図20に示すように、集合継手1dと、耐火樹脂管Pとの接続部外周を、断熱材90を巻くようにしても構わない。なお、断熱材90は、特に限定されないが、例えば、針金91などによって集合継手1d及び耐火樹脂管Pに物理的に固定することが好ましい。
断熱材としては、不燃性のものが好ましく、例えば、ロックウール、グラスウール(密度10K 厚み25mmのものなど)が好適であり、これらと、アルミガラスクロスシートと積層構造になったものがより好ましい。
この集合継手1dと耐火樹脂管Pとの接続方法によれば、締め付けリング8bが耐火樹脂管
Pの管端部に支持され、ズレ動かない状態でボルト14を締めこむことができるので、締め付けリング8bを片手で持ったまま、もう片方の手でボルト止めするという不安定な作業を高所で行う必要がなく、安全にかつ迅速に作業を行うことができる。
また、上記のように、集合継手1dと、耐火樹脂管Pとの接続部外周を、断熱材90を巻いた構造とすれば、万一、火災時の加熱によって耐火樹脂管Pが脱落するとしても、まず、断熱材90が巻かれた境目より下方の部分が脱落する。
したがって、断熱材90の内部に残った耐火樹脂管Pは、下側からの熱気により閉塞が進行し、閉塞によって、管内への熱気の侵入を防ぐことができる。階上への延焼及びガスの流入をより確実に防ぐことができる。
なお、上記耐火樹脂管落下防止手段2hに代えて、図27に示すように、一方の拡径レバー部26eが他方の拡径レバー部26fより長さが長い耐火樹脂管落下防止手段2iや、図28に示すように、一方の拡径レバー部26gが被係止部26aの中心軸26k上に配置されるとともに、一方の拡径レバー部26gと他方の拡径レバー部26hとが中心軸26kをはさんで非対称位置に設けられている耐火樹脂管落下防止手段2jを用いるようにしても構わない。
因みに、耐火樹脂管落下防止手段2iのように、一方の拡径レバー部26eが他方の拡径レバー部26fより長さが長い構成とすれば、例えば、拡径レバー部26eを親指が引っ掛けられるだけの最小限の長さにし、拡径レバー部26fを他の複数の指が引っ掛けられるだけの最小限の長さにすることによって、リング本体81からの突出部の突出度合いを必要最小限に止め、作業時に極力邪魔のならないようにすることができる。
また、耐火樹脂管落下防止手段2jのように、一方の拡径レバー部26gが被係止部26aの中心軸26k上に配置されるとともに、一方の拡径レバー部26gと他方の拡径レバー部26hとが中心軸26kを挟んで非対称位置に設けられている構成において、拡径レバー部26gと他方の拡径レバー部26hとのなす角度は、角度が大きくなると締め付け力が低下するおそれがあるので、30°以下が好ましい。
図29は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態をあらわしている。
図29に示すように、この耐火配管構造Fは、上記締め付けリング8cが耐火樹脂管落下防止手段2h(図29では図示していない)を備えているとともに、リング本体81の耐火樹脂管Pの外周面を臨む位置に、熱膨張部材85を装着した凹部86が設けられている以外は、上記耐火配管構造Eと同様になっている。
なお、熱膨張部材85は、耐火樹脂管Pを閉塞させるほどの膨脹力は必要なく、耐火樹脂管Pが膨脹した時に集合継手1d内で脱落しないように少し支える程度でよい。したがって、熱膨張部材85の膨脹量は600℃で10分加熱した時に厚み方向に10mm程度膨れるものあれば十分である。また、熱膨張部材85の膨張前の厚みは1mm以上、熱膨張部材85の幅は、5mm以上あれば十分で、小さい方が、締め付けリング8cの納まりがよい。熱膨張部材85の材質としては、特に限定されず、例えば、EPDM等のゴム組成物、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等の合成樹脂に膨張黒鉛を添加したものが挙げられる。膨脹黒鉛の添加量は、全体の2重量%以上が好ましい。
図30は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態をあらわしている。
図30に示すように、この耐火配管構造Gは、上記締め付けリング8bと耐火樹脂管Pとの間に耐火樹脂管Pを囲繞するように熱膨張部材85を配置した以外は、上記耐火配管構造Eと同様になっている。
図31は、本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態をあらわしている。
図31に示すように、この耐火配管構造Hは、上記ゴム輪パッキン13aが熱膨張性のゴム組成物で形成され、ゴム輪パッキン13aの熱膨張によっても耐火樹脂管Pの集合継手からの抜け落ち防止するようにている以外は、上記耐火配管構造Eと同様になっている。
なお、ゴム輪パッキン13aは、耐火樹脂管Pを閉塞させるほどの膨脹力は必要なく、耐火樹脂管Pが膨脹した時に集合継手1d内で脱落しないように少し支える程度でよい。ゴム輪パッキン13aの材質としては、特に限定されないが、EPDM等のゴム組成物に膨張黒鉛を添加したものが挙げられる。膨脹黒鉛の添加量は、全体の2重量%以上が好ましい。
さらに、上記耐火配管構造F〜Hにおいても、耐火配管構造Eと同様に必要に応じて集合継手と、耐火樹脂管Pとの接続部外周を、断熱材90を巻くようにしても構わない。
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、継手が集合継手であったが、単管継手でも構わない。
また、上記の実施の形態では、締め付けリングを締め付けてゴム輪パッキンを圧縮することによって耐火樹脂管を周囲から締め付けるとともに、止水状態にするようにしているが、コーキング材等を用いて止水を図るようにしても構わない。
本発明にかかる耐火配管構造の第1の実施の形態であって、その床スラブ部分を側面からみた一部切欠側面図である。 図1の耐火配管構造の継手と耐火樹脂管の接続部分の断面図である。 図1の耐火配管構造を床スラブの下面側から見た一部切欠斜視図である。 図1の耐火配管構造の耐火樹脂管落下防止手段の取り付け前の状態を床スラブの下面側から見た一部切欠斜視図である。 図1の耐火配管構造に用いる耐火樹脂管落下防止手段の押圧部の押圧状態を説明する平面図である。 火配管構造の第1参考例であって、その床スラブ部分を側面からみた一部切欠側面図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態であって、その床スラブの下面側から見た一部切欠斜視図である。 火配管構造の第2参考例であって、その床スラブ部分を側面からみた一部切欠側面図である。 図8の耐火配管構造に用いるクランプリングの斜視図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態に用いる集合継手の締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段を組み合わせた状態をあらわす斜視図である。 図10のX−X断面の端面図である。 図11のY−Y線断面図である。 図10の耐火樹脂管落下防止手段のスペーサが焼失した状態を説明する断面図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態に用いる集合継手の締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段を組み合わせた状態をあらわす斜視図である。 図14の締め付けリングをあらわす斜視図である。 図14の耐火樹脂管落下防止手段をあらわす斜視図である。 図14に示す締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段を用いた場合の耐火樹脂管落下防止手段により耐火樹脂管の支持状態を模式的に説明する図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第5の実施の形態に用いる集合継手の締め付けリング及び耐火樹脂管落下防止手段を組み合わせた状態をあらわす斜視図である。 図18の締め付けリングの斜視図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態の集合継手と耐火樹脂管との接続部の斜視図である。 図20の集合継手の締め付けリングの斜視図である。 図21の締め付けリングの耐火樹脂管落下防止手段の平面図である。 図20の耐火配管構造の施工方法の1工程を説明する図である。 図23の後工程を説明する図である。 図24の後工程を説明する図である。 図25の後工程を説明する図である。 図21の締め付けリングに用いる他の耐火樹脂管落下防止手段の平面図である。 図21の締め付けリングに用いる他の耐火樹脂管落下防止手段の平面図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態の集合継手と耐火樹脂管との接続部を模式的にあらわした断面図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態の集合継手と耐火樹脂管との接続部を模式的にあらわした断面図である。 本発明にかかる耐火配管構造の第の実施の形態の集合継手と耐火樹脂管との接続部を模式的にあらわした断面図である。
符号の説明
A,B,C,D,E,F,C,D 耐火配管構造
P 耐火樹脂管
S 床スラブ(防火区画)
1a,1b,1c,1d 集合継手(継手)
11 継手本体
11a フランジ部
12,16,4,6,8a,8b 締め付けリング
13 ゴム輪パッキン
2a,2g,2h,2i,2j 耐火樹脂管落下防止手段
21 押圧部
2b 亀甲金網(耐火樹脂管落下防止手段)
2c 押圧部材(耐火樹脂管落下防止手段)
24,25a,26b 押圧部
2d 突条(耐火樹脂管落下防止手段)
2e 押圧リング(耐火樹脂管落下防止手段)
5 スペーサ(非押圧状態保持手段)
62a,82a,82b,82d 貫通孔
7 樹脂バンド(非押圧状態保持手段)

Claims (5)

  1. 建物の防火区画を上下方向に貫通するように設けられる不燃材料からなる継手の下端に少なくとも火炎による加熱により熱膨張する耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を備える耐火樹脂管が接続されている耐火配管構造であって、
    前記継手に、前記耐火樹脂管が加熱されて軟化状態となったときにばね力によって押圧部が耐火樹脂管を周囲から押圧して管壁を縮径方向に凹ませて耐火樹脂管が継手から落下することを防止する耐火樹脂管落下防止手段が設けられていることを特徴とする耐火配管構造。
  2. 継手が、下端にフランジ部を備える継手本体と、継手本体の耐火樹脂管接続部に嵌合されるゴム輪パッキンと、前記フランジ部方向に締め付けられることによって、前記ゴム輪パッキンを縮径させて耐火樹脂管の周壁に圧接させる締め付けリングとを備えている請求項1に記載の耐火配管構造。
  3. 耐火樹脂管落下防止手段は、耐火樹脂管を環状に囲繞するように配置される押圧部と被支持部とを有し、この押圧部が締め付けリング内を耐火樹脂管の離脱方向に移動可能に、前記被支持部が締め付けリングに支持されている請求項2に記載の耐火配管構造。
  4. 耐火樹脂管落下防止手段が、押圧部をばね力に抗して非押圧状態に保持し、耐火樹脂管が火炎に曝されたとき、焼失して前記保持を解除する非押圧状態保持手段を備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の耐火配管構造。
  5. 耐火樹脂管が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層を少なくとも備える請求項1〜請求項のいずれかに記載の耐火配管構造。
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