JP5879047B2 - 排水管継手 - Google Patents
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Description
この排水管継手は、継手構成部材が全て合成樹脂で形成されているので、軽量で取扱い性に優れているとともに、スラブ貫通部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されているので、火災時は、耐火熱膨張性樹脂パイプの膨張黒鉛が熱膨張してパイプが閉塞されるとともに、モルタルとのシールが確保でき、優れた耐火性が発現する。
また、遮音樹脂シートとしては、遮音性を上げることができれば、特に限定されず、例えば、一般に建物の壁の遮音性を高めるために用いられる市販の遮音シートを用いることができるが、それ自体で自己消火性を備えた軟質塩化ビニル樹脂製シート状体からなる表面層と、軟質塩化ビニル樹脂製シートに含まれる可塑剤が耐火熱膨張性樹脂パイプ側に悪影響を与えないように、合成樹脂製不織布からなる裏面層とを備えた積層体が好ましい。
また、遮音樹脂シートを構成する樹脂組成物中には、遮音性能を高めるために、鉄粉などの充填材が分散混合されていても構わない。
上記不織布としては、特に限定されず、例えばポリエステル製のものが挙げられる。
したがって、床スラブ貫通部となる耐火熱膨張性樹脂パイプと遮音樹脂シートとの隙間の厚み、すなわち、耐火熱膨張性樹脂パイプに添設されるスペーサの厚みは、3mm以下とすることが好ましい。
また、遮音樹脂シート及び隙間形成用シートとしては、特に限定されないが、例えば、それ自体で自己消火性を備えた軟質塩化ビニル樹脂製シート状体からなる表面層と、軟質塩化ビニル樹脂製シートに含まれる可塑剤が耐火熱膨張性樹脂パイプ側に悪影響を与えないように、合成樹脂製不織布からなる裏面層とを備えた積層体シートを打ち抜いたものを
用いることがより好ましい。
一方、床スラブ貫通部となる耐火熱膨張性樹脂パイプ部分以外の部分のスペーサとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン発泡体、熱可塑性樹脂エラストマー、ゴムなどの弾性体、段ボール紙などが挙げられ、これらをスペース形成部に応じた形状のテープなどの裁断片にしたものが用いられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体;塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。又、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。
また、上記のように耐火膨張層がポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物で形成された複層構造品の場合、耐火膨張層の内外面を熱膨張性耐火材料非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で被覆した3層構造とすることが好ましい。
すなわち、耐火膨張層の内面および外面を被覆する被覆層の厚みが0.2mm未満であると管としての機械的強度に劣るおそれがあり、2.0mmを超えると耐火性が低下するおそれがある。
すなわち、熱膨張性黒鉛のpHが1.5未満であると、酸性が強すぎて、成形装置の腐食などを引き起こしやすく、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られなくなるおそれがある。
なお、1.3倍膨張温度とは、加熱炉内を一定温度にして、熱膨張性黒鉛の試料を30分加熱した後の熱膨張性黒鉛の膨張倍率が、1.3以上になる温度を意味する。また、膨張倍率は、加熱後の試料の体積を加熱前の試料の体積で除することで求められる。
上記安定剤としては、特に限定されないが、鉛系安定剤、有機スズ安定剤、高級脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらが単独であるいは複合して用いられる。
また、有機スズ系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプトなどのメルカプチド類;ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマーなどのマレート類;ジブチル錫メルカプトジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマーなどのカルボキシレート類が挙げられる。
すなわち、安定剤の配合割合が0.3重量部未満であると、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定性が確保されにくく、成形中に炭化物が出やすくなってしまうおそれがあり、5.0重量部を超えると、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進を阻害して十分な耐火性能が得られなくなるおそれがある。
これらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
すなわち、非膨張性黒鉛が0.1重量部未満では、熱によって変形しやすくモルタルとのシール面が保持できず発煙してしまう、場合によっては、燃焼してしまうおそれがあり、1.0重量部を超えると、継手のJIS物性である偏平強度が確保できなくなってしまうおそれがある。
い。すなわち、300μm以上では、偏平強度が不足するおそれがある。
すなわち、市販の黒鉛には、揮発分が付着しており、この揮発分が成形時の温度上昇に
より揮発し、成形品外観が悪化する不具合が発生するおそれがあり、成形品の外観を良好に保つために熱乾燥処理によって揮発分を事前に除去することが好ましい。
また、本発明の排水管継手は、排水性能を向上させることを目的として、内部に旋回羽根を備えていてもよい。
さらに、内径が上下に接続される立管より大径の本体胴部と、この本体胴部の壁面から突出するように設けられた少なくとも1つの横枝管接続部と、本体胴部より下方に設けられ、下端側に向かって徐々に縮径するテーパー筒部とを備える排水管継手においては、前記本体胴部の内部に設けられる第1旋回羽根と、この第1旋回羽根の下端より下方に設けられた第2旋回羽根と、この第2旋回羽根の下端より下方、かつ、前記テーパー筒部内に設けられた第3旋回羽根とを有し、前記第1〜第3旋回羽根は、第1旋回羽根で受けられた排水が、前記第2旋回羽根で受けられて、前記第3旋回羽根に受けられない旋回流となるように配置されている構成とすることが好ましい。
また、投影された垂線L4と垂線L6のなす角度が、150°未満では、第2旋回羽根からの旋回流と第3旋回羽根の旋回流が干渉仕合い、流れが乱れ、通気芯を閉塞し、200°を超えると、第1旋回羽根と第3旋回羽根の重なりが大きくなり、それぞれの旋回羽根の効果が十分に発揮されないおそれがある。
なお、上記旋回羽根の外縁とは、旋回羽根を支持する継手本体の内壁面や支持脚の壁面に沿う縁を意味し、旋回羽根の形状によっては、外縁上端が旋回羽根の最高点、外縁下端が旋回羽根の最低点でない場合もある。
したがって、旋回羽根の外縁とは、円筒状部の内壁面に接する縁、円筒状部材の内周面に接する縁、あるいは、羽根支持脚部の円弧内壁面に接する縁をいい、外縁上端及び外縁下端は、必ずしも旋回羽根自体の上端あるいは下端でない場合がある。
すなわち、高低差が上記範囲から逸脱すると、第1旋回羽根から第2旋回羽根にうまく排水が載り移らず、旋回流を乱すおそれがある。
上記第1〜第3旋回羽根の管軸に対する傾斜角度は、同じでも構わないが、第2旋回羽根の傾斜角度を、第1旋回羽根の傾斜角度及び第3旋回羽根の傾斜角度より小さくすることが好ましい。
すなわち、投影面積比率が小さすぎると、旋回羽根による効果を十分に得られなくなり、投影面積比率が大きすぎると、立管路内を流下してくる固形物やテストボールの通過の妨げとなるおそれがある。
また、縦リブは、上記第1旋回羽根の下流側に設け、縦リブに当たった排水が第2旋回羽根に受けられるようにしてもよい。
すなわち、すべて合成樹脂で形成されているので、軽量である。
しかも、少なくとも床スラブ貫通部の一部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されているので、火災が発生して耐火熱膨張性樹脂パイプが火炎に曝されると耐火熱膨張性樹脂パイプの耐火膨張層が膨張してパイプ内が閉塞状態になるとともに、パイプの周壁が床スラブ貫通孔の内壁面に密着し、火災発生階から区画貫通部である床スラブ貫通孔を介して他の階への類焼及び煙の流入を長時間防止することができる。また、全体が樹脂で形成されているので、軽量である。
図1は、本発明にかかる排水管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
継手本体Bは、図2に示すように、本体胴部11aと、3つの横枝管接続部21と、テーパー筒部13bとを備えるとともに、第1旋回羽根14g、第2旋回羽根12c及び第3旋回羽根52の計3つの旋回羽根を備え、図3に示す第1継手構成部材10〜第11継手構成部材20の11の継手構成部材と、第1パッキン31〜第3パッキン33の3つのパッキンを組み立てることによって形成されている。
すなわち、本体胴部11aは、内径が上下に接続される立管より大径(例えば、立管が100Aの場合、内径135〜145mm)になっている。
本体胴部11aの内壁面には、図4に示すように、3つの縦リブ51a,51b,51cが一体に設けられている。
また、縦リブ51a,51b,51cの高さ(本体胴部11aの内壁面から本体胴部11aの中心軸方向の寸法)は、テストボールの通過の障害とならず、上記目的を達成することができれば、特に限定されないが、後述する第1旋回羽根14gの下流側で第1旋回羽根14gの直近に設けられる縦リブ51aが少し他より高くなっている。
また、第1旋回羽根14gは、その傾斜角度が管軸に対して15〜50°で、接続される立管の内断面積に対する投影面積比率が5〜30%となる大きさに形成されている。
また、第2旋回羽根12cは、第1旋回羽根14gの外縁上端と外縁下端とを結ぶ線分L1の中点C1から本体胴部11aの中心軸Cへの垂線L2と、第2旋回羽根12cの外縁上端と外縁下端とを結ぶ線分L3の中点C2から本体胴部11aの中心軸Cへの垂線L4とをそれぞれ本体胴部11aの中心軸方向に投影したときの投影された垂線L2と垂線L4とのなす角度αが70〜90°を満足するとともに、縦リブ51aを下方から受けるように配置されている。
第3旋回羽根52は、テーパー筒部13bに設けられ、その大きさが立管の内断面積に対する投影面積比率が5〜30%となる大きさに形成されている。
また、第3旋回羽根52は、第3旋回羽根52の外縁上端と外縁下端とを結ぶ線分L5の中点C3から本体胴部の中心軸への垂線L6と、上記垂線L4とを、それぞれ本体胴部11aの中心軸方向に投影したときの投影された垂線L6と垂線L4とのなす角度βが150〜200°を満足するとともに、第2旋回羽根12cによって旋回流となった排水が第3旋回羽根52上を流れないような位置に設けられている。
そして、第2継手構成部材11は、図2、図3及び図5に示すように、縦方向の管路形成部としての本体胴部11aと、横枝管接続部21の一部を構成する3つの横枝管接続部形成用筒部11bと、を備えている。
また、本体胴部11aの内面には、上述の3本の縦リブ51a,51b,51cが上部嵌合部11cの下端から下部嵌合部12dの上端に達するように設けられている。
また、第2継手構成部材11は、射出成形の際のゲート位置が、その下端、すなわち、第1継手構成部材10との接続部に設けられている。
リング状嵌合部12aは、上記第2継手構成部材11の本体胴部11aの内径とほぼ同じ外径をしていて、縦リブ51の高さとほぼ同じ肉厚のリング状をしている。
羽根支持脚部12dは、リング状嵌合部12aの下端から延出していて、上下方向の寸法が第1継手構成部材10の上下方向(管軸方向)の寸法とほぼ同じになっているとともに、水平断面が円弧状をしている。
そして、第3継手構成部材12は、図3に示すように、第2旋回羽根12cが縦リブ51aを下方から臨む位置に設けられる。
上部受口13aは、第1継手構成部材10の下端が嵌り込むようになっていて、その内径が第1継手構成部材10の外径とほぼ同じになっている。
また、テーパー筒部13bは、図2及び図5に示すように、その壁面の一部を内側に凹ませることによって、その内側に突出するように、第3旋回羽根52が設けられている。
本体部14aは、上部筒部14cと、下部筒部14dとを備えている。
上部筒部14cは、その外径が第2継手構成部材11の本体胴部11aの内径より大きくなっていて、その上端部外周面に、後述する第6継手構成部材15が抜け止め状態で嵌合する嵌合突条14eがリング状に設けられている。
また、下部筒部14dは、その下端に内側に鍔状に張り出し、後述する第1パッキン31の立管受部31bを介して排水立管P1の荷重を受けるリブ14fをリング状に備えている。
旋回羽根形成部14bは、第1旋回羽根14gと、羽根支持脚部14hとを備えている。
旋回羽根支持脚部14hは、第1旋回羽根14g水平方向の幅と略同じ幅で下部筒部14dの下端から下方に延出し、第1旋回羽根14gを下端縁から少し上側で支持している。
また、リップ部31aは、下端側に向かって徐々に小径となるように設けられ、上端側が排水立管P1の外径と略同じか少し大径になっていて、下端側が排水立管P1の外径より小径となって段状に立管受部31bを有している。そして、図10に示すように、この立管受部31bが排水立管P1の管端部を受けて、排水立管P1の熱伸縮を吸収するようになっている。
そして、第5継手構成部材14、第1パッキン31及び第6継手構成部材15は、予め、組み立てた一体化したのち、第5継手構成部材14の下部筒部14dを第2継手構成部材11の本体胴部11aに設けられた上部嵌合部11cに嵌合接着される。
嵌着部16aは、第2継手構成部材11の横枝管接続部形成用筒部11bに嵌合接着される。
パッキン装着部16bは、嵌着部16aより外径が少し大径になっていて、後述する第2パッキン32が嵌着される。
嵌着部18aは、第2継手構成部材11の横枝管接続部形成用筒部11bに嵌合接着される。
また、嵌着部18a及びパッキン装着部18bを貫通する後述する横枝管P3が挿通される孔18cは、第9継手構成部材1の横枝管接続部形成用筒部11bへの第9継手構成部材18の中心軸から下方に偏芯している。
スペーサS1aは、図6及び図7に示すように、独立気泡ポリエチレン発泡体のテープ(厚み8mm程度、幅20mm程度、発泡倍率30倍)からなり、第2継手構成部材11の本体胴部11aの上下端及び3つの横枝管接続部形成用筒部11bの先端部周囲にそれぞれリング状に巻き付けた状態で粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤)を介して貼着されている。スペーサS1bは、図7に示すように、スペーサS1aより細幅の独立気泡ポリエチレン発泡体のテープ(厚み8mm程度、幅10mm程度、発泡倍率30倍)からなり、本体胴部11aの横枝管接続部形成用筒部11bが設けられていない部分で上下にリング状に巻き付けられた発泡体のテープS1a間を上下方向に連結するように本体胴部11aの中心軸に略平行に本体胴部11aの壁面に粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤)を介して貼着されている。
また、スペーサS2は、特に限定されないが、例えば、図9に示すように、外形が平行四辺形をしていて、長手方向の両端縁が斜め切り状態になっている。
すなわち、第1継手構成部材10及び第1継手構成部材10と第2継手構成部材11の嵌合接続部を含む部分を床スラブ100の貫通孔に臨ませた状態で設置され、下側の階の排水立管P1(例えば、市販品である積水化学工業社製のエスロン耐火VPパイプが使用できる)を第4継手構成部材13の下部受口13cに嵌合させて接着する。
また、第6継手構成部材5を介して上側の階の排水立管P1の下端部を第5継手構成部材15に嵌合させる。
そして、第9継手構成部材19、第8継手構成部材18を介して横枝管P2の端部を第7継手構成部材17内に挿入して横枝管P2を接続する。
また、継手本体Bの床スラブ貫通部が遮音カバーXaで覆われているので、排水管継手A1の内部を流れる排水音が、床スラブ100を伝播して建物内に伝わることを少なくすることができ、居室内に伝わる排水騒音を軽減できる。しかも、遮音カバーXaが、カバー本体X1と継手本体Bとの間にスペーサS1a、S1b、S2を設けることによって、カバー本体X1と継手本体Bとの間に部分的に隙間を設けた構造となっているので、遮音樹脂シートのみからなる遮音カバーを備えた排水管継手に比べ、さらに、排水音が、床スラブ100を伝播して建物内に伝わることを少なくすることができ、居室内に伝わる排水騒音を軽減できる。
すなわち、上階から排水管継手A1まで流下してきた排水のうち、第1旋回羽根14gによって受けられた排水が、まず、第1旋回羽根14gによって減速され、旋回力を付与される。そして、第1旋回羽根14gを経た排水は、第1旋回羽根14gに受け止められず、第2旋回羽根12cに直接受け止められた排水とともに第2旋回羽根12cに受け止められて、旋回力をさらに付与されながら下方に流下する。そして、第2旋回羽根12cを経た排水は、第3旋回羽根52に受け止められることなく、旋回流を保ちながら、下階の排水立管P1へと流れ込む。
すなわち、この排水管継手A1は、上記第1旋回羽根14g及び上記第2旋回羽根12cによって旋回流となった排水と、第3旋回羽根によって旋回流となった排水とが、合流することなく下方へ流下する。したがって、通気芯が十分確保でき、排水性能が向上する。
さらに、上方の立管から流下してきた排水は、この排水管継手A1内に入り、第1旋回羽根14gに受けられた排水は、第1旋回羽根14gによって旋回力が強められて下流側に向かうが、第1旋回羽根14gの下流直近に設けられた縦リブ51aの高さを他の縦リブ51b,51cより高くしたので、縦リブ51aを乗り越えることがない。
さらに、第1継手構成部材10に巻き付けられる遮音樹脂シートX1a及び隙間形成用シートS2は、巻き付けられたとき、軟質塩化ビニル樹脂シートのカレンダー成形時の圧延方向に直交する方向が第1継手構成部材10の管軸に直交するように裁断されているので、火災の熱によって第1継手構成部材10の径を縮める方向に熱収縮しにくい。したがって、排水管継手A1の床スラブ貫通部の周面と床スラブ100のモルタル110との間に隙間が生じることがより少なくなる。
図11に示すように、この排水管継手A2は、遮音カバーXbが、スペーサS1a(S1b、S2)に設けられた貫通孔Z部分に、すなわち、遮音樹脂シートX1aと継手本体Bとの隙間部分にグラスウール300が断熱材として嵌め込まれている以外は、上記の排水管継手A1と同様になっている。
すなわち、遮音樹脂シートX1aは、その弾性率が温度により変化し、低温時には、硬くなり、常温時と比べて遮音性が低減されるおそれがあるが、上記グラスウール300によって外気温度に影響が受けにくくなり、遮音性を安定して発現することができる。
図12に示すように、この排水管継手A3は、遮音カバーXcがスペーサS1a(S1b、S2)と遮音樹脂シートX1aとを継手本体Bの外周方向に2層に巻回して形成されている以外は、上記の排水管継手A1と同様になっている。
図13に示すように、この排水管継手A4は、遮音カバーXdが、上記排水管継手A2と同様に各貫通孔Zにグラスウール300が嵌め込まれている以外は、上記の排水管継手A3と同様になっている。
図14に示すように、この排水管継手A5は、第1旋回羽根14g(第2旋回羽根12c、第3旋回羽根52)の上面(排水を受ける面)に衝撃吸収層400を積層した以外は、上記排水管継手A1と同様になっている。
衝撃吸収層400は、第1旋回羽根14g(第2旋回羽根12c、第3旋回羽根52)の上面に、シリコーンシーラントを塗布したり、エラストマーやゴムなどの弾性体シートを接着したりすることによって形成される。
なお、かかる衝撃吸収層400は、上記第2〜第4の実施の形態の排水管継手に設けるようにしてもよい。
上記の実施の形態では、遮音樹脂シートが表面層と裏面層を備えていたが、単層でも構わない。
上記第2の実施の形態及び第4の実施の形態では、隙間にグラスウールが嵌め込まれていたが、グラスウールに代えてロックウールや樹脂発泡体を用いるようにしても構わない。
なお、発泡体としては、独立気泡のものより、スポンジ状の連続気泡のものが好ましい。
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:90°
角度β:157°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:41mm
つぎに、酸化鉄粉を含む軟質塩化ビニル樹脂からなる表面層と、ポリエステル製不織布からなる裏面層とを備え、厚み1.1±0.2mm、質量2.1±0.2kg/m2の原反を裁断して図8に示すような遮音樹脂シートと、隙間形成用シートとを得た。
そして、この遮音樹脂シート遮音樹脂シートと、隙間形成用シート及び図6,7に示す独立気泡ポリエチレン発泡体のテープを用いて上記継手本体Bの周囲に遮音カバーを設け、図1に示すような排水管継手を得た。
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した以外は、実施例1と同様にして排水管継手を得た。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:90°
角度β:167°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:41mm
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した以外は、実施例1と同様にして排水管継手を得た。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:90°
角度β:157°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:200mm
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した以外は、実施例1と同様にして排水管継手を得た。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:51°
角度β:146°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:40mm
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した以外は、実施例1と同様にして排水管継手を得た。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:29°
角度β:147°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:41mm
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した以外は、実施例1と同様にして排水管継手を得た。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:29°
角度β:167°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:41mm
各部寸法に設けられた図2に示す継手本体を作製した以外は、実施例1と同様にして排水管継手を得た。
本体胴部11aの内径:140mm
第1継手構成部材10の内径:125mm
第1旋回羽根14gの傾斜角度:35°
第1旋回羽根14gの投影面積比率:14%
第2旋回羽根12cの傾斜角度:29°
第2旋回羽根12cの投影面積比率:20%
第3旋回羽根52の傾斜角度:34°
第3旋回羽根52の投影面積比率:21%
縦リブ51aの高さ:20mm
角度α:284°
角度β:223°
第1旋回羽根14gの下端と、第2旋回羽根12cの上端との高低差:41mm
スペーサS1,S2を設けず、遮音樹脂シートを継手本体に直接巻回した以外は、上記実施例1と同様にして排水管継手を得た。
遮音カバーを設けず、実施例1と同様の継手本体のみの排水管継手を作製した。
図15に示す耐火試験炉Fにより、耐火試験(平成12年6月1日に施行された改正建築基準法の耐火性能試験の評価方法,ISO834-1に従う)を実施した。
なお、床スラブ100は、100mm厚さのPC(プレキャストコンクリート)パネルを用いた。また、図11中、200はバーナー、TCは温度測定用の熱電対である。
〔遮音性能試験〕
横枝管接続部を塩化ビニル樹脂製キャップで封鎖した状態の実施例1、比較例1,2で得られた排水管継手とその上部に塩化ビニル樹脂管を接続した1階分のサンプル立管路をそれぞれ形成するとともに、サンプル立管路の上下端が遮音ボックス外に露出した状態で遮音ボックス内に収容し、サンプル立管路の遮音ボックス外の上部開口端から3.0L/sで排水を流したときの、サンプル立管路から発生する排水音を遮音ボックス内に設けた騒音計によって測定した。
また、第1旋回羽根14gで受けられた排水が、第2旋回羽根12cに受けられるか否か、第2旋回羽根12cに受けられた排水が第3旋回羽根52に受けられるか否かを調べた。
なお、表2中、排水が受けられたときは「のる」、受けられないときは「のらない」と記載した。
B 継手本体
Xa〜Xd 遮音カバー
X1 カバー本体
X1a 遮音樹脂シート
S1a,S1b,S2 スペーサ
10 第1継手構成部材(耐火熱膨張性パイプ)
11 第2継手構成部材
11a 本体胴部
11b 横枝管接続部形成用筒部
12 第3継手構成部材
12c 第2旋回羽根
13 第4継手構成部材
13b テーパー筒部
14 第5継手構成部材
14g 第1旋回羽根
15 第6継手構成部材
16 第7継手構成部材
17 第8継手構成部材
18 第9継手構成部材
19 第10継手構成部材
20 第11継手構成部材
21 横枝管接続部
31 第1パッキン
32 第2パッキン
33 第3パッキン
51a,51b,51c 縦リブ
52 第3旋回羽根
300 グラスウール
400 衝撃吸収層
P1 排水立管
P2,P3 横枝管
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂組成物からなる複数の継手構成部材を組み立てて形成され、前記複数の継手構成部材のうち、少なくとも床スラブ貫通部の一部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されてなる継手本体の周囲を囲むように遮音カバーが設けられた排水管継手で
あって、
前記遮音カバーが、継手本体の周面の一部に添設されたスペーサと、このスペーサに一部が受けられ、前記継手本体の周面との間に隙間が形成されるように継手本体の周囲に巻き付けられた遮音樹脂シートからなるカバー本体とを備え、
前記遮音カバーの耐火熱膨張性樹脂パイプ部分を囲む部分は、スペーサが、遮音樹脂シートの一部を打ち抜き除去した隙間形成用シートを継手本体の耐火熱膨張性樹脂パイプ部分に巻きつけることによって形成されていることを特徴とする排水管継手。 - 熱可塑性樹脂組成物からなる複数の継手構成部材を組み立てて形成され、前記複数の継手構成部材のうち、少なくとも床スラブ貫通部の一部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されてなる継手本体の周囲を囲むように遮音カバーが設けられた排水管継手で
あって、
前記遮音カバーが、継手本体の周面の一部に添設されたスペーサと、このスペーサに一部が受けられ、前記継手本体の周面との間に隙間が形成されるように継手本体の周囲に巻き付けられた遮音樹脂シートからなるカバー本体とを備え、遮音樹脂シートが、遮音樹脂シートの熱収縮方向が前記床スラブ貫通部の中心軸に平行となるように、前記継手本体の周囲に巻回されて形成されていることを特徴とする排水管継手。 - 熱可塑性樹脂組成物からなる複数の継手構成部材を組み立てて形成され、前記複数の継手構成部材のうち、少なくとも床スラブ貫通部の一部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されてなる継手本体の周囲を囲むように遮音カバーが設けられた排水管継手で
あって、
前記遮音カバーが、継手本体の周面の一部に添設されたスペーサと、このスペーサに一部が受けられ、前記継手本体の周面との間に隙間が形成されるように継手本体の周囲に巻き付けられた遮音樹脂シートからなるカバー本体とを備え、
前記遮音樹脂シートが、軟質塩化ビニル樹脂製シートからなる表面層と、ポリエステル製不織布からなる裏面層とを備えた積層体であることを特徴とする排水管継手。 - 熱可塑性樹脂組成物からなる複数の継手構成部材を組み立てて形成され、前記複数の継手構成部材のうち、少なくとも床スラブ貫通部の一部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されてなる継手本体の周囲を囲むように遮音カバーが設けられた排水管継手で
あって、
前記遮音カバーが、継手本体の周面の一部に添設されたスペーサと、このスペーサに一部が受けられ、前記継手本体の周面との間に隙間が形成されるように継手本体の周囲に巻き付けられた遮音樹脂シートからなるカバー本体とを備え、
前記遮音樹脂シートは、前記耐火熱膨張性樹脂パイプとこの耐火熱膨張性樹脂パイプに接合された他の継手構成部材とに跨るように巻き付けられていることを特徴とする排水管継手。
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