JP2020050443A - 青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 - Google Patents

青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装袋を製造するに当たり、フィルムのカールを抑えること。【解決手段】孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装袋であって、袋の外表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さRSm1が、80〜550μmである青果物鮮度保持包装袋。また、その青果物鮮度保持包装袋により青果物を包装した青果物入り包装体。また、その青果物鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。【選択図】図1

Description

本発明は、青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法に関する。より具体的には、特定の構成を有する青果物鮮度保持包装袋、当該青果物鮮度保持包装袋により青果物を包装した包装体、および、当該青果物鮮度保持包装袋により青果物を包装して青果物の鮮度を保持する方法に関する。
野菜、果物等の青果物は、収穫された後も呼吸作用を持続している。このため、収穫後の貯蔵、流通または保存中に、青果物自身の呼吸によりエネルギーを消費し鮮度劣化を引き起こす。
そこで、適当な包装材料(例えば合成樹脂フィルム)により青果物を包装することで、青果物の鮮度劣化を抑制する検討が、これまで行われてきている。
一例として、特許文献1には、坪量が30〜70g/mのポリエチレンテレフタレート(PET)系不織布、印刷層、ポリオレフィン系樹脂層が順次積層されている、透湿・通気性包装材料が記載されている。この包装材料の特徴は、ポリオレフィン系樹脂層の所定の領域に、そのポリオレフィン系樹脂層を貫通する複数の孔が形成されてなること等である。
別の例として、特許文献2には、外層と最内層との少なくとも2層からなる生野菜包装用積層フィルムが記載されている。このフィルムにおいて、外層は結晶性ポリプロピレンを主成分とする2軸延伸フィルム状物からなり、最内層は、外層の持つ融点よりも10〜90℃低い融点を持つオレフィン系ポリマよりなるフィルム状物である。そして、最内層について、その厚さは4〜30μm、表面粗度は中心線平均粗さで0.5μm以下であることが記載されている。
特開2006−231723号公報 特開平9−290865号公報
合成樹脂フィルムを用いて青果物鮮度保持包装袋を構成する場合、通気性の調整などのため、合成樹脂フィルムに孔(典型的には貫通孔)を設ける場合がある。つまり、有孔合成樹脂フィルム(またはそのフィルムで構成された包装袋)を用いて青果物を包装する場合がある。
特に最近、青果物の呼吸を考慮したうえで、適当な数、密度および径の孔が設けられた包装袋により青果物を包装することが広く行われてきている。
合成樹脂フィルムに孔を設ける方法は、レーザ、熱針など様々な方法がありうる。
本発明者らの知見によれば、合成樹脂フィルムに孔を設けた場合、フィルムがカールする場合があった。これは、フィルムのハンドリングのしやすさ、袋の製造のしやすさなどの観点から問題であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の1つの目的は、孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装袋を製造するに当たり、フィルムのカールを抑えることである。
本発明者らは、様々な観点から、フィルムのカールの原因や、その抑制方法について検討した。
検討を通じて、本発明者らは、青果物鮮度保持包装袋の外表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さ(しばしば、記号RSmで表される)の値が、フィルムのカールと相関しているらしいことを知見した。
そして、本発明者らはこの知見に基づきさらに検討を進め、以下の発明を完成させた。
本発明によれば、
孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装袋であって、
当該袋の外表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さRSmが、80〜550μmである青果物鮮度保持包装袋
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の青果物鮮度保持包装袋により青果物を包装した青果物入り包装体
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の青果物鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法
が提供される。
本発明によれば、孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装袋を製造するに当たり、フィルムのカールを抑えることができる。
青果物鮮度保持包装袋に設けられた孔の断面形状などを説明するための模式図である。 合成樹脂フィルムの穿孔方法を説明するための、製造装置の断面図である。 合成樹脂フィルムの穿孔方法を説明するための、製造装置の要部拡大断面図である。 合成樹脂フィルムの穿孔方法を説明するための、製造装置の斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)異なる図面間で、同一の構成要素に改めて符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
以下では、「青果物鮮度保持包装袋」を、単に「包装袋」または「袋」と表記する場合がある。
以下に説明する包装袋の特徴のうち、温度による熱膨張/収縮などにより値が変動しうる特徴については、25℃環境下での測定値を採用することができる。ただし、測定/環境条件を特に明記している特徴についてはこの限りではない。
<青果物鮮度保持包装袋>
本実施形態の青果物鮮度保持包装袋は、孔を有する合成樹脂フィルムにより構成されている。
そして、この袋の外表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さRSmは、80〜550μmである。
このように、RSmを80〜550μmとすること(より正確に表現すると、少なくとも片面のRSmが80〜550μmである有孔合成樹脂フィルムを用いて、その片面が外表面となるようにして青果物鮮度保持包装袋を作製すること)により、フィルムのカールを抑えることができる理由については、以下のように説明することができる。
なお、以下説明は推測を含む。また、以下説明により本発明の範囲が限定されるものではない。
レーザや熱針などで合成樹脂フィルムを穿孔する場合、孔の近傍は熱により局所的に収縮する。また、通常、レーザや熱針による穿孔は、合成樹脂フィルムの片面側のみから行われる。
そうすると、合成樹脂フィルムの表面と裏面で局所的な収縮状態が異なってくるものと考えられる。
従来の青果物鮮度保持包装袋では、この「合成樹脂フィルムの表面と裏面で局所的な収縮状態が異なってくる」ことにより、カールが発生する場合があったと推測される。
一方、フィルムの横方向(厚み方向と直角な方向)の粗さに関するパラメータであるRSmが適当な値であることにより、孔周辺の収縮の歪みが適度に分散されたり、収縮がランダムに起こったりすると考えられる。結果、特定の方向にフィルムが歪んでカール発生が抑えられると推測される。
ちなみに、RSmが80〜550μmであることにより、包装袋そのもの、および/または、包装袋で包装された青果物に、意図せぬ「におい」が付きにくくなるという効果も得ることができる。
具体的には、包装袋で青果物を包装した包装体を段ボール箱に詰め、青果物を保存、輸送等したとき、従来の包装袋では、意図せぬにおいが付着する場合がある。しかし、本実施形態の包装袋では、意図せぬにおいの付着を低減できる傾向にある。
特に、青果物がカット野菜やカットフルーツなど、調理を経ることなくそのまま食されうるものである場合には、においの付着は商品価値を大きく減ずることになる。よって、本実施形態の青果物鮮度保持包装袋は、特に、カット野菜やカットフルーツの包装に好ましいと言える。換言すると、本実施形態の青果物鮮度保持包装袋は、カット野菜またはカットフルーツを包装する用途に好ましく用いられるものである。
本発明者らは、上記の「意図せぬにおい」は、包装体が詰められていた段ボール箱に起因するものと考えている(段ボール箱から各種の臭いが発生する可能性については、例えば、におい・かおり環境学会誌、第44巻、第1号「リサイクル原料を使った製品の異臭」などで言及されている)。
従来の包装袋は、段ボール箱と直接触れる袋の外表面の表面性状が特に制御されていなかった。このため、段ボール箱と包装袋外表面との摩擦などにより、微量ではあるが段ボール表面の成分が包装袋の外表面に付着しやすい傾向にあったと考えられる。この、段ボール箱表面から包装袋の外表面に移行した成分が、「におい」の原因になると推定される。
特に、「有孔」樹脂フィルムにより構成された包装袋では、包装袋の外表面に付着したにおい成分が、孔を通じて袋内部に移行しうる。そうすると、包装袋内の青果物にもにおいが付着してしまう場合がある。
一方、本実施形態の包装袋は、段ボール箱と直接触れる袋の外表面の表面性状が適切に制御されている(RSmが80〜550μmである)。詳細は不明であるが、これにより、段ボール箱と袋の外表面との摩擦が低減される、におい成分の付着が低減される、等の効果が得られると推測される。
本実施形態の包装袋についてより具体的に説明する。
(RSm)
本実施形態の包装袋の外表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さRSmは、好ましくは80〜550μmであり、より好ましくは150〜400μmである。
RSmを適切な値とすることで、包装袋としての他性能を維持しつつ、十分なカール抑制効果を得ることができる。
本実施形態の包装袋の内表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さをRSmとしたとき、RSm−RSmの絶対値は、好ましくは100μm以下、より好ましくは95μm以下である。
また、RSm自体の好ましい値は、RSmと同程度である。
袋の外表面と内表面のRSmが同程度であることにより、孔周辺の収縮の歪みが一層適切に分散されると考えられる。よって、カール抑制の効果が一層得られると考えられる。
RSmの測定は、JIS B 0601の定義に基づき行うことができる。RSmの測定が可能な装置としては、例えば、東京精密株式会社の装置「ハンディサーフ E−35B」などが挙げられる。
RSmの値としては、包装袋を構成する合成樹脂フィルム表面の、孔からできるだけ離れたところの4箇所で測定し、得られた4つの値の平均を採用する。
(孔の密度、数など)
本実施形態の包装袋は、孔を有する。孔は、好ましくは貫通孔である。
孔の数や密度は特に限定されないが、密度で言うと、例えば1〜1500個/m、好ましくは2〜1000個/m程度の密度で存在する。なお、密度は、1枚の袋が有する孔の個数を、袋の外表面積で割ることで求めることができる。
また、孔の「数」については、一袋あたり例えば1〜500個、好ましくは1〜300個とすることができる。
従来の包装袋では、一袋当たりに多くの孔を空けると(孔の密度が大きいと)、カールが発生しやすい。しかし、既に述べたように、本実施形態の包装袋では、カールを抑えることができる。
包装する青果物によっては、青果物の適切な呼吸制御のため、孔の数が多い(孔の密度が大きい)ことが必要である。そのような場合にも、本実施形態の包装袋は、カールが抑えられる、段ボール由来のにおいが青果物に移行しづらいなどの効果が十分に得られる。
(孔径)
本実施形態の包装袋において、孔の大きさ、例えば平均孔径(「径」とは、特に断りのない限り、直径のことをいう)は特に限定されない。
カール抑制の効果を得つつ、包装する青果物の鮮度保持効果を一層高める点では、平均孔径は、好ましくは30〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。
なお、孔の形状が略円状とはみなせない場合には、孔の開孔面積と同じ面積を有する真円の直径(真円相当径)を、孔径とする。
また、ある孔の、外表面側の孔径と、内表面側の孔径とが異なる場合は、外表面側の孔径が上記の数値範囲であることが好ましい。
一態様として、本実施形態の包装袋が複数個の孔を有する場合、全ての孔の孔径は30〜500μmの間に収まっていることが好ましい。大きすぎる孔や小さすぎる孔が無いことにより、気体の透過がより適切に制御され、より良好な青果物の鮮度保持効果や、におい付着の抑制効果を得ることができる。
(開孔面積)
本実施形態の包装袋においては、孔が空いている「面積」すなわち開孔面積を適切に調整することで、カールを抑えつつ、より良好な青果物の鮮度保持効果や、におい付着の抑制効果を得ることができる。
具体的には、包装袋が有する孔の総開孔面積をS、包装袋の外表面の面積をSとしたとき、
式:(S/S)×100
で定義される開孔面積比率(%)が、1.0×10−6〜1.0×10−2であることが好ましく、1.0×10−5〜1.0×10−3であることがより好ましい。
また、別観点として、孔の開孔面積については、袋の内表面と外表面である程度異なることが好ましい。具体的には、内表面側の開孔面積をSinとし、外表面側の開孔面積をSoutとしたとき、Soutの値は、Sinの値から3%以上異なっていることが好ましく、3〜20%異なっていることがより好ましく、3〜10%異なっていることがさらに好ましい。
このように包装袋を設計することで、特に、包装袋の製造において、フィルムに孔を設けた後に、そのフィルムを巻き取る際、フィルムのシワを抑制することができる。
このことについて、図1(A)および図1(B)に基づき推定理由を説明する(これら図は、あくまで説明用に大げさに描かれたものであることに留意されたい)。
図1(A)は、合成樹脂フィルムに設けた孔部分の模式的な断面図である。合成樹脂フィルム1は、表面1A、裏面1Bおよび孔2を備えている(ここでの「表」「裏」は、袋にしたときの内表面/外表面と必ずしも対応するものではない)。
孔2の孔径は、表面1Bの側よりも表面1Aの側のほうが大きい。つまり、表面1Aの側の開孔面積のほうが、表面1Bの側の開孔面積よりも大きい。
図1(A)の合成樹脂フィルム1を、表面1Bの側を内側にしてロールに巻き取ることを考える。
ロールのより内側である表面1B側と、ロールのより外側である表面1A側とでは、当然、合成樹脂フィルム1の変形や、合成樹脂フィルム1にかかる応力の程度は異なる。具体的には、ロールのより外側である表面1A側のほうが、変形量は大きく、応力のかかり方は大きいと考えられる。別の言い方としては、表面1A側のほうが「つっぱる」と考えられる。しかし、表面1A側のほうの開孔を大きくしておけば、この「つっぱり」を適度に低減することができると考えられる(図1(B))。つまり、孔周辺での応力が低減され、巻き取り時のシワ抑制につながると考えられる。
袋の内表面と外表面で孔の開孔面積を異なるようにする方法としては、例えば、後述のレーザによる穿孔において、レーザビームの先端形状を適切に調整する、レーザの焦点を適切に設定する(フィルムの厚み方向の真ん中からやや外れた点にレーザの焦点を設定する)等の方法によることができる。
(孔の性状について補足)
孔の外周から10mm以内の領域における樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとしたとき、Tmax/Tminは1.05以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。また、Tmax/Tminは、8以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。
ここで、「孔の外周から10mm以内の領域」とは、例えば、包装袋の外表面において、孔の中心点から孔の周縁部(外周)に直線を引いたとき、当該直線上において、当該直線と孔の周縁部との交点から孔の中心点とは逆方向に10mm離れた箇所までの範囲を指す。
max/Tminが1.05以上であることは、孔の周囲に「こぶ」が存在することを意味する。
この「こぶ」が存在することにより、孔の周囲に使用条件(使用環境)が変化した場合においても、孔の直径や形状が安定的に維持されやすい。結果、長期にわたって安定的に生育中の果実の成熟を遅らせることができたり、水腐れを防止することができたりすると期待される。
「こぶ」は、例えば、後述のレーザにより合成樹脂フィルムを穿孔することで形成することができる。
(合成樹脂フィルムの素材、厚み、層構成等)
包装袋を構成する合成樹脂フィルムの素材については、公知のものを適宜適用することができる。また、合成樹脂フィルムは、延伸された物であっても、未延伸のものであってもよい。
合成樹脂フィルムを得る方法は、特に限定されない。押出、インフレーション、カレンダーリング等の公知の成形方法を用いることができる。
成形の際、必要に応じて防曇剤や結露防止剤などの添加物を混練してもよいし、2種類以上の樹脂をブレンドしてもよい。さらに、延伸処理やアニーリング処理などを行ってもよいし、何らかの機能を付与するためにコーティングを施してもよい。
合成樹脂フィルムは、単層であっても、2層以上の多層であってもよい。多層フィルムを得る方法としては、ドライラミネーション、押出ラミネーション、共押出などの公知の方法を適宜用いることができる。
入手性、コスト、穿孔のしやすさなどから、合成樹脂フィルムは、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むことが好ましい。
合成樹脂フィルムは、特に、ポリプロピレンを含むことが好ましい。理由は定かではないが、本発明者らの知見として、ポリプレピレンを含む合成樹脂フィルムは、段ボール由来の臭いの付着または透過を一層抑えやすい傾向にある。
ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマー、プロピレンのブロックコポリマー、プロピレンのランダムコポリマー等のいずれであってもよい。また、合成樹脂フィルムは、これらのうちの2種以上を含んでもよい。
プロピレンのランダムコポリマーまたはブロックコポリマーの例としては、プロピレンモノマーと、炭素数が2または4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体を挙げることができ、プロピレンとエチレンのランダム共重合体またはブロック共重合体が好ましい。
低温での十分なヒートシール性を重視する場合は、合成樹脂フィルムは、コポリマーはプロピレンとエチレンのランダム共重合体を含むことが好ましい。また、プロピレンとエチレンのランダム共重合体においては、全構造単位中の3モル%以上がエチレン由来の構造単位であることが好ましく、5モル%以上がエチレン由来の構造単位であることがより好ましく、10モル%以上がエチレン由来の構造単位であることがさらに好ましい。上限は特に無いが、例えば95モル%以下である。
合成樹脂フィルムの製造においては、表面のRSmなどを所望の数値とすべく、各種因子を適切に制御することが重要である。すなわち、適切な製造方法によって得られた合成樹脂フィルムを用いることで、初めて、RSmが80〜550μmの合成樹脂フィルムを製造することができる。そして、その合成樹脂フィルムを用いて製袋することで、本実施形態の青果物鮮度保持包装袋を製造することができる。
なお、本実施形態では、以下の条件に関する各種因子を高度に制御すれば、その他の公知の製造条件を組み合わせることにより、適切なフィルムを製造することができる。
(1)合成樹脂フィルムを形成するために用いる素材の組み合わせ
(2)合成樹脂フィルムの層構成、各層の厚み、製膜方法等の組み合わせ
特に、合成樹脂フィルムの表面のRSm値を適当な数値とする方法としては、例えば以下を挙げることができる。
(i)押出法で合成樹脂フィルムを得る際、適度な凹凸がついたエンボスロールを通す(通常の押出法では鏡面ロールを通す)。
(ii)合成樹脂フィルムの素材に、適度な大きさの粒子を加える。例えば、合成樹脂フィルムの製造においてアンチブロッキング剤として用いられることがあるシリカを用いる(特に、そのシリカの粒径を適切に調整する)等。
上記(ii)における粒子の平均粒径は、例えば1〜20μm、好ましくは3〜15μm、より好ましくは3〜10μmであることができる。適当な粒径の粒子を用いることで、合成樹脂フィルムの表面のRSm値を適当な数値に設計しやすい。なお、粒子の平均粒径のみによってRSmが定まるわけではなく、同一の粒子を用いたとしても、粒子の使用量、フィルムの延伸の有無、表面加工/表面処理の有無などによってもRSmは変わる。
平均粒径は、例えば、動的光散乱法による数平均粒子径として測定することができる。動的光散乱法が適用できない場合は、電子顕微鏡で粒子を撮影し、30個以上の粒子の真円相当径を平均して求めてもよい。
合成樹脂フィルムに粒子を含める場合、その量は、合成樹脂フィルム全体に対して、例えば0.01〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%である。適当な量の粒子を用いることで、合成樹脂フィルムの表面のRSm値を適当な数値に設計しやすい。
合成樹脂フィルムの表面(片面または両面)には、何らかの表面処理が施されていてもよい。例えば、コロナ処理が施されていてもよい。特に、合成樹脂フィルムを袋としたときの外表面にコロナ処理が施されていることで、文字や図形を印刷しやすくなる。
なお、本発明者らの知見によれば、コロナ処理の有無は、RSmの値の大きさにはさほど関係しない(コロナ処理の前後で、RSmの値に大きな変化はない)。
(袋の形状、大きさ等)
包装袋の形状は、青果物を包装できる限り特に限定されない。典型的な袋形状は四角形(長方形、正方形等)である。
包装袋の大きさは、包装する青果物の形状、大きさ、個数等に応じて適宜設定することができる。あくまで一例であるが、一般消費者向けの青果物の包装用途では、例えば、115mm×150mm〜260mm×380mm程度の大きさとすることができる。
<青果物鮮度保持包装袋の製造方法>
青果物鮮度保持包装袋の製造方法について説明する。
製造は、大きく分けて、(1)合成樹脂フィルムの準備工程、(2)合成樹脂フィルムに孔を設ける穿孔工程および(3)製袋工程により行うことができる。また、これら以外の工程を含んでもよい。
(2)と(3)の順番は特に限定されないが、生産性の観点からは(2)の後に(3)を行うことが好ましい。
以下、これらの工程について説明する。
(1)合成樹脂フィルムの準備工程
例えば、少なくとも片面のRSmが80〜550μmである合成樹脂フィルムを準備する。
合成樹脂フィルムの素材、製法(少なくとも片面のRSmを80〜550μmとする方法を含む)などについては、前述のとおりである。よって、改めての説明は省略する。
(2)穿孔工程
(1)の準備工程で準備した合成樹脂フィルムに対し、孔を設ける。孔を設ける方法としては、レーザ加工、打ち抜き加工、熱針加工などを挙げることができる。このうち、レーザ加工が、孔の性状の制御のしやすさ、製造装置のメンテナンスのしやすさ(フィルムに非接触で孔を設けることができるため、汚れにくい)等の観点で好ましい。
レーザ加工による穿孔方法の例を詳述する。
図2および図3は、レーザによる穿孔方法を説明するための、製造装置の断面図である。また、図4は、要部斜視図である。以下、これらの図を参照しつつ説明する。
図2の製造装置によれば、巻き出しロール11より巻き出された合成樹脂フィルム12がレーザ照射装置13と回転支持ロール14の間を通過する際、レーザ照射装置13によりパルスレーザのビームを合成樹脂フィルム12に対して照射することができる。こうすることにより、合成樹脂フィルム12に、照射したビームの形状と略同じ形状の孔を設けることができる。
この方法により孔が設けられた合成樹脂フィルム12は、巻き取りロール15により巻き取られる。なお、回転支持ロール14の前後には、2本のガイドロール16を設けることができる。
回転支持ロール14の上端は、2本のガイドロール16の上端を結ぶ線よりも上側に位置することができる。これにより、合成樹脂フィルム12を回転支持ロール14に密着するように押し付けることができ、レーザ照射位置の位置決めを行うことができるとともに縦ジワの発生を防ぐことができる。
また、図2の製造装置においては、回転支持ロール14を介して、巻き出しロール11と巻き取りロール15とを設けることができる。この図2の製造装置において、ガイドロール16は、回転支持ロール14と巻き出しロール11の間、および回転支持ロール14と巻き取りロール15の間に、それぞれ設けることができる。また、浮きロール17は、巻き出しロール11とガイドロール16の間、およびガイドロール16と巻き取りロール15の間に、それぞれ設けることができる。こうすることで、浮きロール17により合成樹脂フィルム12に対して適当な張力を与えることができる。
レーザ照射装置13には、圧縮気体導入路18が設けられ、レーザの照射中に、合成樹脂フィルム12に対して圧縮気体をノズル先端19(図3参照)よりレーザビームに沿って吹き付けることができる。
図3は、図2に示す製造装置におけるレーザ照射装置13の要部拡大断面図である。
図3に示すように、レーザ照射装置13のノズル先端19の下方に合成樹脂フィルム12を走行させることができる。
パルスレーザ20は、導光路21を通り、出射光学部(レンズ)22によって集束されるため、円錐形ビーム23となってノズル先端19より合成樹脂フィルム12に照射することができる。このときノズル先端19の内径は、通過するパルスレーザ20のビーム径より大きくする。また、出射光学部(レンズ)22によって集束されたパルスレーザ20の焦点位置は、合成樹脂フィルム12のレーザ入射面の反対側の面よりわずかにフィルム外に出た位置とすることが好ましい。
焦点位置を意図的にフィルム外に出た位置とすることで、開孔面積が内表面と外表面で異なる孔を得やすい。
円錐形ビーム23を照射することによって、合成樹脂フィルム12におけるビーム照射箇所が溶融、分解、揮散することにより、孔24が形成される。また、通常はこの際に、合成樹脂フィルム12の溶融等により、孔周辺の「こぶ」を形成することができる。
合成樹脂フィルム12に穿孔される孔24のピッチは、合成樹脂フィルム12の走行速度とパルスレーザ20のパルス周波数により調整することができる。1基のレーザ照射装置により、1秒間に通常は20〜1000個の孔24を開けることができるので、合成樹脂フィルム12の走行速度を速め、高い生産性を達成することもできる。
合成樹脂フィルム12に穿孔される孔24の形状は、合成樹脂フィルム12を通過する円錐形ビーム23とほぼ同じ形状となり、常に略一定の形状の孔を開けることができる。円錐形台状の孔は、出射光学部(レンズ)22の焦点距離を長くすることにより、円筒形に近づけることができる。
なお、レーザ照射中に、レーザ照射装置13を適切に動かすことで、孔の形状を略円状ではなく略楕円状などとすることができる。
レーザ照射装置13における導光路21のノズル先端19の近傍には、上記で述べたように圧縮気体導入路18が設けられている。こうすることで、レーザの照射中に、合成樹脂フィルム12に対して圧縮気体をレーザビームに沿って吹き付けることができる。
圧縮気体の流量は、穿孔により発生する分解物が、ノズル先端19より侵入して出射光学部(レンズ)22を汚染しないよう、ノズル先端19の風速を2〜10m/sに設定することが好ましく、3〜6m/sに設定することがより好ましい。
圧縮気体は、特に制限されないが、例えば、圧縮空気のほか、窒素ガス、二酸化炭素ガスなどの不活性ガスを使用することができる。圧縮空気は、取り扱い上の危険がなく、コスト面でも有利である。不活性ガスは、プラスチックフィルムの分解物の酸化を抑え、煤、焦げ、黒化物などを減少することができる。
この穿孔方法では、合成樹脂フィルム12におけるレーザ入射面の反対側の面を回転支持ロール14に接触させ、また、回転支持ロール14により合成樹脂フィルム12を支持している。
回転支持ロール14には、例えば、図4に示されるように、レーザ照射位置に対応する溝25を設けることが好ましい。これにより、合成樹脂フィルム12の分解物をレーザ入射面と反対側からも揮散させることができる。
図4に示される回転支持ロール14は、5条の溝25を有している。このような回転支持ロール14とともに、5基のレーザ照射装置を使用した場合、合成樹脂フィルム12に5列の孔を設けることができる。
レーザ光源の種類は特に限定されない。例えば、ルビーレーザー、ネオジミウムYAGレーザ、ネオジミウムガラスレーザ、炭酸ガスレーザなどを挙げることができる。これらの中で、炭酸ガスレーザは、エネルギー効率が高く、高出力で、熱の除去が容易であるため、特に好適に使用することができる。
ここで説明した穿孔方法によれば、樹脂フィルムに高速で、生産性よく孔を設けることができる。孔の形状は、パルスレーザのビーム形状により決まるため、常に略一定の形状の孔を開けることができる。
また、レーザによって穿孔された部分の樹脂フィルムの材料は、大部分が分解、揮散し、圧縮気体により吹き飛ばされる。このため、レーザ照射装置の出射光学部(レンズ)が、分解物により汚染されることもない。
さらに、レーザ照射装置の基数を選定し、パルスレーザの周期と樹脂フィルムの走行速度を調整することにより、孔の位置や密度を所望の値に変更することができる。
ここで説明した穿孔方法によれば、孔の直径やと孔の位置など高度に制御することができる。なお、袋を作製する際のフィルム材料の選別およびレーザ加工条件の選択については、後述する実施例においてさらに詳細に説明する。
(3)製袋工程
製袋の方法については、公知の方法を特に制限なく適用することができる。
例えば、後掲の実施例に記載のように、有孔合成樹脂フィルムを適当な大きさの四角形に切ったものを2枚準備し、それらを重ねて、四角形の4辺のうち3辺をヒートシールすることで、包装袋を製造することができる。ヒートシールのシール幅は、例えば10mm程度である。
もちろん、これ以外の方法であっても、青果物を包装可能な形状に製袋する任意の方法を適用することができる。
<青果物入り包装体、青果物の鮮度保持方法>
上記の青果物鮮度保持包装袋により、青果物を密封することで、青果物入り包装体を製造することができる。また、上記の青果物鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装することで、青果物の鮮度を保持する(青果物の劣化を抑制する)ことができる。
例えば、まず、青果物鮮度保持包装袋を準備し、その内部空間に適当な量の青果物を収容する。その後、包装袋の開口部に熱シール(ヒートシール加工)を施して、熱シール部分(シール幅は典型的には10mm幅程度)を形成する。以上の手順により、青果物が包装された、青果物入り包装体を得ることができる。そして、包装された青果物の鮮度を保持する(青果物の劣化を抑制する)ことができる。
開口部の閉じ方は、熱シールではなく、粘着テープ、輪ゴム、ひも等であってもよい。要は、開口部からの気体の出入りが十分に制限される閉じ方であればどのような閉じ方であってもよい。
包装対象となりうる青果物は、特に限定されない。青果物の具体例としては、オオバ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、ミブナ、アスパラガス、クウシンサイ、レタス、タイム、セージ、パセリ、イタリアンパセリ、ローズマリー、オレガノ、レモンバーム、チャイブ、ラベンダー、サラダバーネット、ラムズイヤー、ロケット、ダンディライオン、ナスタチューム、バジル、ルッコラ、クレソン、モロヘイヤ、セロリ、ケール、ネギ、キャベツ、ハクサイ、シュンギク、サラダナ、サンチュ、フキ、ナバナ、チンゲンサイ、ミツバ、セリ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ラディッシュ、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマイモ、サトイモ、ジネンジョ、ヤマトイモ、ピーマン、パプリカ、シシトウ、キュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、カボチャ、ゴーヤ、オクラ、スィートコーン、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、菌茸類、などがあげられる。また、柑橘、りんご、ナシ、ブドウ、ブルーベリー、柿、イチゴなどの果実類や切花などでも有効である。
青果物は、カットされた状態、いわゆるカット野菜やカットフルーツなどであってもよい。
既に述べたが、段ボール箱に起因すると考えられる「におい」が付着しにくいという効果は、特に、カット野菜やカットフルーツの包装において利点となる。
もちろん、この効果は、青果物がカット野菜やカットフルーツである場合に限られるものではない。例えば、1つまたは複数の青果物入り包装体を、段ボールに詰めて長距離輸送する場合などがあるが、そのような場合でも、青果物に「におい」は付着しにくいと考えられる。
袋内に収容する青果物の量は、袋の大きさや青果物の種類などにより様々であってよい。一般消費者向けの青果物においては、一例としては50〜1000g、好ましくは100〜800gである。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<青果物鮮度保持包装袋の製造>
(1−1)合成樹脂フィルムの準備(実施例1〜3および6)
まず、合成樹脂素材として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、品番WFW5T)を準備した。この樹脂と、平均粒径5μmのシリカ粒子とを混合して、フィルム原料とした。このフィルム原料中のシリカ粒子の量は0.5質量%とした。
次に、上記フィルム原料を溶融した溶融物を、温度230℃でTダイから押し出した。
そして、押し出された溶融物に、縦5倍×横9倍の延伸処理を施し、最終的な厚みが25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(シリカ粒子入り)を得た。
なお、後掲の表で、実施例1〜3および6のRSmやRSm−RSmの絶対値が異なるのは、製造上のバラつきによる。
(1−2)合成樹脂フィルムの準備(実施例4)
シリカ粒子として、平均粒径3μmのものを用いた以外は、上記(1−1)と同様にして、最終的な厚みが25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(シリカ粒子入り)を得た。
(1−3)合成樹脂フィルムの準備(実施例5)
まず、合成樹脂素材として、日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂(品番WFW5T)を準備した。
次に、上記ポリプロピレン樹脂を溶融した溶融物を、温度230℃でTダイから押し出した。このとき、ダイから出てきた樹脂に対して最初に密着するロールにおいて、巻外側の面に平均粗さ5μmのエンボスロールを接触させ、エンボス柄を転写した。
その後、縦5倍×横9倍の延伸処理を施し、最終的な厚みが25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(1−4)合成樹脂フィルムの準備(比較例1)
シリカ粒子として平均粒径15μmのものを用いた以外は、上記(1−1)と同様にして、最終的な厚みが25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(シリカ粒子入り)を得た。
(1−5)合成樹脂フィルムの準備(比較例2)
エンボスロールを平均粗さ15μmのものに変更した以外は、上記(1−3)と同様にして、最終的な厚みが25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(2−1)穿孔(実施例6以外)
直径318mm、幅725mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅5mm、深さ5mmの溝を図4に示す形状となるように5条有する回転支持ロールを準備した。
レーザ照射装置としては、最大出力150ワットの炭酸ガスレーザを準備した。
このレーザ照射装置5基をそれぞれ、レーザ照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザ照射装置は、合成樹脂フィルムとの距離が10〜15mmとなるように設置した。また、レーザの焦点は、合成樹脂フィルムのレーザ入射面の反対側の面よりわずかにフィルム外に出た位置とした。
次に、図2および3に示される装置を用い、回転支持ロールを周速60m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを一定の走行速度で走行させ、各レーザ照射装置から一定の間隔でパルスレーザを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザビームに沿って吹き付けた。
(2−2)穿孔(実施例6)
合成樹脂フィルムに、熱した針を刺すことで孔を設けた。
(3)製袋
まず、上記(2−1)または(2−2)で得られた有孔合成樹脂フィルムを2枚重ね合わせた。この際、最終的に得られる袋の外表面側のRSmが所定の数値範囲となるように、フィルムの表裏に留意した。
その後、インパルスシーラーを用いて、三方(両サイドおよび底)にヒートシール加工を施した。インパルスシーラーとしては、富士インパルス社製、FI−400Y−10PKを用いた。ヒートシール加工は、160℃、シール時間1秒の条件で行い、10mm幅の熱シール部分を形成した。
以上により、略長方形状の包装袋を得た。得られた包装袋の袋サイズ(外寸)は200mm×300mmであった。
<各種数値の測定>
[RSm]
東京精密株式会社の装置「ハンディサーフ E−35B」を用いて、包装袋を構成する合成樹脂フィルム上の、孔からできるだけ離れたところの4箇所で測定し、得られた値の平均をRSmとした。
測定は内表面側と外表面側の両方で行った。
[孔の密度]
包装袋が有する孔の個数を、袋の外表面積(0.2m×0.3m×2=0.12m)で割った値を、孔の密度とした。
[孔径の測定]
袋の外表面側から、顕微鏡で孔を撮影し、袋に設けられた全ての孔の孔径を測定した。測定データを平均して平均孔径を求めた。
[内表面と外表面での開孔面積の差]
袋の外表面の開孔面積については、上記の[孔径の測定]で得た孔径の値から、円の面積の公式(円周率×半径の2乗)により開孔面積を求めた(この値をSoutとする)。
袋の内表面の開孔面積については、まず、上記の[孔径の測定]と同様の測定を、袋の内表面側から行った(袋を裏返して行った)。その後、得られた孔径の値から、円の面積の公式(円周率×半径の2乗)により開孔面積を求めた(この値をSinとする)。
{|Sout−Sin|/Sin}×100の式により、Soutの値が、Sinの値から3%以上異なっているか否かを判定した。
<性能評価>
[カール性]
各実施例または比較例の包装袋を構成するフィルムを、10cm×10mmに切り取った。これを水平な平面状に置いた。このときの4角の浮きの高さを顕微鏡で観察し、100μm刻みの定規に印を付けて浮きの高さを計測した。4角の浮きの高さを平均した値を、カールの大きさの指標とした。
[野菜の鮮度保持性]および[ダンボールの匂い移り]
以下手順で行った。
(1)各実施例および比較例の包装袋を10袋用意した。
(2)(1)で用意した包装袋に、内容物として千切りキャベツを200gずつ入れ、そして開口部をヒートシールして密封した。これにより千切りキャベツが密封された包装袋を得た。
(3)(2)の包装袋をダンボールに詰め、10℃の環境下で3日間保存した。
(4)各包装袋を開封し、密封されていた千切りキャベツについて、10人のパネラーにより、以下の各項目について3段階評価した。
各実施例または比較例において、10袋×10人のパネラーの評価点数を合計し、100で割って平均点を算出した。その平均点を小数第一位で四捨五入した点数を後掲の表に記載した。
・内容青果物の変色
3:変色無し、2:やや変色、1:著しい変色
・内容青果物の萎れ
3:萎れ無し、2:やや萎れ、1:著しい萎れ
・内容青果物の腐敗
3:腐敗無し、2:やや腐敗、1:著しい腐敗
・ダンボールの匂い移り
3:匂い移り無し、2:やや匂い移り、1:著しい匂い移り
Figure 2020050443
実施例1〜6と比較例1、2との対比より、RSmを80〜550μmの範囲内に設計することで、有孔合成樹脂フィルムのカールを顕著に抑制できることが示された。
また、実施例1〜6と比較例1、2との対比より、RSmを80〜550μmの範囲内に設計することで、ダンボールの匂い移りを抑制できることが示された。
さらに、実施例1〜5と実施例6との対比より、袋の内表面と外表面での開孔面積の差が適度にあることで、フィルムの巻き取り時のシワも抑制される傾向にあることが示された。
1 合成樹脂フィルム
1A 表面
1B 裏面
2 孔
11 巻き出しロール
12 合成樹脂フィルム
13 レーザ照射装置
14 回転支持ロール
15 ロール
16 ガイドロール
17 浮きロール
18 圧縮気体導入路
19 ノズル先端
20 パルスレーザ
21 導光路
23 円錐形ビーム
24 孔
25 溝

Claims (11)

  1. 孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装袋であって、
    当該袋の外表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さRSmが、80〜550μmである青果物鮮度保持包装袋。
  2. 請求項1に記載の青果物鮮度保持包装袋であって、
    当該袋の内表面の、JIS B 0601で定義される粗さ曲線要素の平均長さをRSmとしたとき、RSm−RSmの絶対値が100μm以下である青果物鮮度保持包装袋。
  3. 請求項1または2に記載の青果物鮮度保持包装袋であって、
    前記孔が1〜1500個/mの密度で存在する青果物鮮度保持包装袋。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装袋であって、
    内表面側の開孔面積をSinとし、外表面側の開孔面積をSoutとしたとき、
    outの値は、Sinの値から3%以上異なっている青果物鮮度保持包装袋。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装袋であって、
    前記孔の平均孔径が30〜500μmである青果物鮮度保持包装袋。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装袋であって、
    前記合成樹脂フィルムが、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む青果物鮮度保持包装袋。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装袋であって、
    カット野菜またはカットフルーツを包装する用途に用いられる青果物鮮度保持包装袋。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装袋により青果物を包装した青果物入り包装体。
  9. 請求項7に記載に記載の青果物鮮度保持包装袋により、カット野菜またはカットフルーツを包装した青果物入り包装体。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
  11. 請求項7に記載の青果物鮮度保持包装袋を用いてカット野菜またはカットフルーツを包装する青果物の鮮度保持方法。
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