JP2020044688A - 積層フィルム - Google Patents

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直樹 辻内
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Abstract

【課題】ポリイミドフィルムに長鎖アルキル化合物を含有する硬化層が積層された積層フィルムにおいて、耐溶剤性および加熱プレス後の剥離性を改良する。【解決手段】ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する、積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム上に硬化層を備えた積層フィルムに関し、詳細には、離型フィルム、保護フィルム、あるいは粘着フィルムの基材フィルムとして好適な積層フィルムに関する。
離型フィルムは、セラミックコンデンサー、ハードディスクドライブ、半導体装置等の精密電子機器の製造工程に用いられる粘着層のキャリアフィルムや保護フィルムとして使用されている。また、離型フィルムは、グリーンシート、感光性樹脂層(フォトレジスト層)などを成形するためのキャリアフィルムとして、あるいは回路基板を封止材で封止する熱プレス工程の離型フィルムとして使用されている。
離型フィルムには、通常、剥離性の向上を目的として離型層が設けられている。
離型フィルムの離型層にはシリコーン系化合物(離型剤)が一般的に用いられるが、精密電子機器等に関連する用途にシリコーン系化合物を用いると、離型層に含まれる低分子量のシリコーン系化合物が精密電子機器に移行して、精密電子機器にトラブルを発生させることが懸念されている。また、シリコーン粘着層の離型フィルムにシリコーン系化合物を用いると剥離不良を生じることがある。
そこで、離型層に非シリコーン系化合物を用いた離型フィルムが知られており、非シリコーン系化合物として長鎖アルキル化合物を使用することが提案されている(特許文献1〜5)。
一方、ポリイミドフィルムを用いた離型フィルムが知られている(特許文献6)。
特開2003−300283号公報 特開2011−230289号公報 特開2013−87239号公報 特開2015−30795号公報 特開2016−33173号公報 国際公開第2015/087884号
ポリイミドフィルムは耐熱性に優れており、加熱プレスなどの加熱工程に使用する離型フィルムの基材として好適である。しかし、非シリコーン系離型剤として長鎖アルキル化合物を含有する従来の離型層は、耐溶剤性を十分に満足できるものではなかった。離型層の耐溶剤性が低いと、粘着層や封止樹脂層などの被剥離層を形成するための塗布組成物に含まれる有機溶剤が離型層表面を膨潤あるいは溶解することによって離型層と被剥離層との剥離性が不安定になることがある。
また、長鎖アルキル化合物を含有する従来の離型層は、加熱プレス後の剥離性が低下することがあった。
従って、本発明の目的は、ポリイミドフィルムに長鎖アルキル化合物を含有する硬化層が積層された積層フィルムにおいて、耐溶剤性および加熱プレス後の剥離性を改良することにある。
上記本発明の目的は以下の発明によって達成された。
[1]ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する、積層フィルム。
[2]前記炭素数8以上のアルキル基を有する化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物(α)である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)を含有する、[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記硬化層の算術平均粗さRaが10nm以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]CIELAB色空間における透過b*値が10以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]前記硬化層の表面自由エネルギーが20〜35mJ/mである、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルムからなる、離型フィルム。
[8][1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層上に、シリコーン粘着層、回路基板の封止樹脂層および多層プリント配線板の層間絶縁層からなる群から選ばれるいずれか一層が積層されてなる、転写フィルム。
[9]ポリイミドフィルムの一方の面にのみ硬化層を有する[1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの前記硬化層とは反対面にシリコーン粘着層が積層されてなる、シリコーン粘着フィルム。
本発明によれば、ポリイミドフィルムに長鎖アルキル化合物を含有する硬化層が積層された積層フィルムにおいて、耐溶剤性および加熱プレス後の剥離性が改良された積層フィルムを提供することにある。
本発明の積層フィルムは、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する。かかる活性エネルギー線硬化性組成物は、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって硬化する組成物である。かかる活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層は、例えば、該組成物をポリイミドフィルム上に塗布し乾燥した後、活性エネルギー線を照射することによって得られる。
[活性エネルギー線硬化性組成物]
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する。以下、炭素数8以上のアルキル基を「長鎖アルキル基」ということがあり、また炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を「長鎖アルキル化合物」ということがある。長鎖アルキル基は直鎖あるいは分岐のアルキル基を含む。
長鎖アルキル化合物における長鎖アルキル基の炭素数は、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。また、長鎖アルキル基の炭素数は30以下が好ましく、28以下がより好ましく、25以下が特に好ましい。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線によって重合し硬化する化合物(以下、重合性化合物)を含有する。かかる重合性化合物としては、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)が挙げられる。ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有される長鎖アルキル化合物は、重合性化合物であってもよいし、なくてもよいが、重合性化合物であることが好ましい。つまり、活性エネルギー線硬化性組成物に含有される長鎖アルキル化合物は、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物(α)(以下、「重合性長鎖アルキル化合物(α)」ということがある)であることが好ましい。長鎖アルキル化合物が重合性長鎖アルキル化合物(α)であることによって、硬化層の耐溶剤性および加熱プレス後の剥離性がさらに向上する。
以下の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」とは、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」の総称である。
重合性長鎖アルキル化合物(α)としては、例えば、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に、以下に示す重合性長鎖アルキル化合物(α)が好ましく用いられる。かかる化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを分子中にそれぞれ1個以上有する(メタ)アクリレート化合物(a)と、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(b)と、炭素数が8〜30の高級アルコール(c)とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート化合物(a)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、エポキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、分子中に2〜30個のアルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基など)を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記化合物の中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、分子中に2〜30個のアルキレンオキシ基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物(b)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、さらにはこれら各種ジイソシアネート化合物と水とを反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート化合物、または各種ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物、または各種化合物をイソシアヌレート化せしめて得られる多量体等公知のものがあげられる。
上記ポリイソシアネート化合物の中でも、分子量が50〜500の化合物が好ましく、分子量が100〜400の化合物がより好ましく、特に分子量が130〜300の化合物が好ましい。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)、ジフェニルメタンジイソシアネート(分子量250)が好ましい化合物として例示される。このようなポリイソシアネート化合物を用いることによって、硬化層の耐溶剤性および加熱プレス後の剥離性がさらに向上する。
高級アルコール(c)としては、例えば、直鎖状の高級アルコールとして、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなど、直鎖状の不飽和高級アルコールとしてオレイルアルコールなど、分岐型高級アルコールとして2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラドデカノールなどが挙げられる。
高級アルコール(c)としては、市販品を使用することができる。例えば、直鎖状の飽和高級アルコールとしては、“コノール(登録商標)”10WS、コノール1098、コノール1275、コノール20F、コノール20P、コノール1495、コノール1670、コノール1695、コノール30CK、コノール30OC、コノール30RC、コノール30F、コノール30S、コノール30SS、コノール30T、コノール2265、コノール2280(新日本理化(株)の商品名)、“カルコール(登録商標)”0898、カルコール0880、カルコール1098、カルコール2098、カルコール4098、カルコール6098、カルコール8098、カルコール200GD、カルコール2475、カルコール2474、カルコール2473、カルコール2463、カルコール2455、カルコール2450、カルコール4250、カルコール6870、カルコール6850、カルコール8688、カルコール8665、カルコール220−80(花王(株)の商品名)、直鎖状の不飽和高級アルコールとしては、“リカコール(登録商標)”60B、リカコール70B、リカコール75BJ、リカコール85BJ、リカコール90B、リカコール90BR、リカコール90BHR、リカコール110BJ、“アンジェコール(登録商標)”50A、アンジェコール60AN、アンジェコール70AN、アンジェコール80AN、アンジェコール85AN、アンジェコール90AN、アンジェコール90NR、アンジェコール90NHR(新日本理化(株)の商品名)、分岐型の高級アルコールとしては“エヌジェコール(登録商標)”160BR、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化(株)の商品名)などが挙げられる。
前述したように、活性エネルギー線硬化性組成物に含有される長鎖アルキル化合物は重合性化合物でなくてもよい。以下、重合性化合物ではない長鎖アルキル化合物を「非重合性長鎖アルキル化合物」ということがある。かかる非重合性長鎖アルキル化合物としては、例えば、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アルキド樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂は、ポリビニルアルコール重合体(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を含む)、エチレン−ビニルアルコール重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物を含む)あるいはビニルアルコール−アクリル酸共重合体(酢酸ビニル−アクリル酸共重合体の部分ケン化物を含む)と、長鎖アルキル基含有イソシアネート化合物を反応させることによって合成することができる。
長鎖アルキル基含有イソシアネート化合物としては、長鎖アルキル基を有するモノイソシアネート化合物が挙げられ、具体的には、オクチルイソシアネート、ノニルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネートなどが挙げられる。
長鎖アルキル基含有アルキド樹脂としては、多塩基酸と多価アルコールとの縮合物を長鎖アルキル基を含む脂肪油や脂肪酸などの変性剤で変性したものが挙げられる。多塩基酸としては、無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和多塩基酸や、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和多塩基酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物などのその他多塩基酸が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトールなどの四価以上のアルコールが挙げられる。変性剤としては、大豆油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、及びこれらの脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸などの油脂及び油脂脂肪酸、ロジン、コバール、コハク、セラックなどの天然樹脂、エステルガム、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂が挙げられる。
長鎖アルキル基含有アクリル樹脂としては、長鎖アルキル基を有するアクリル酸モノマーあるいはメタクリル酸モノマー、例えば、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシルなどの単独重合体あるいは共重合体が挙げられる。
上記共重合体に用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレンなどが挙げられる。
また、上記した非重合性長鎖アルキル化合物は、市販されており、それらを使用することができる。市販品としては、中京油脂社製のレゼムシリーズの「K−256」、「N−137」、「P−677」、「Q−472」、アシオ産業(株)社製の“アシオレジン(登録商標)”シリーズの「RA−80」、「RA−95H」、「RA−585S」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の“ピーロイル(登録商標)”シリーズの「HT」、「1050」、「1010」、「1070」、「406」、日本酢ビ・ポバール社製の「ZF−15」、「ZF−15H」、日本触媒社製の“エポミン(登録商標)”「RP−20」などが挙げられる。
本発明の積層フィルムにおいて、活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)を含有することが好ましい。なお、本発明において、分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)を単に「重合性化合物(β)」ということがある。すなわち、重合性化合物(β)は、長鎖アルキル基を有しない重合性化合物である。重合性化合物(β)については、詳細は後述する。
活性エネルギー線硬化性組成物が長鎖アルキル化合物として非重合性長鎖アルキル化合物のみを含有する場合は、重合性化合物(β)を含有する必要がある。
活性エネルギー線硬化性組成物には、重合性長鎖アルキル化合物(α)と非重合性長鎖アルキル化合物とを併用することができるし、あるいは重合性長鎖アルキル化合物(α)と重合性化合物(β)とを併用することができるし、または重合性長鎖アルキル化合物(α)と非重合性長鎖アルキル化合物と重合性化合物(β)とを併用することができる。
特に、活性エネルギー線硬化性組成物には、重合性長鎖アルキル化合物(α)と重合性化合物(β)とを併用することが好ましい。これによって、硬化層の耐溶剤性がさらに向上する
重合性化合物(β)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート−トルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート−イソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
上記した重合性化合物(β)の中でも、分子中に2〜10個のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく、分子中に3〜8個のエチレン性不飽和基を有する化合物がより好ましく、特に分子中に4〜6個のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。かかる重合性化合物(β)を含有させることによって、硬化層の硬度が高くなりやすく、その結果、耐溶剤性が向上しやすくなる。
活性エネルギー線硬化性組成物における長鎖アルキル化合物(重合性長鎖アルキル化合物(α)および非重合性長鎖アルキル化合物の合計量)の含有量は、加熱プレス後の剥離性を向上させるという観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。一方、長鎖アルキル化合物の含有量が多くなり過ぎると硬化層の強度(硬度)が低下し耐溶剤性が低下することがあるので、長鎖アルキル化合物の含有量は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物における重合性化合物(β)の含有量は、硬化層の強度(硬度)を高めて耐溶剤性を向上させるという観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。一方、重合性化合物(β)の含有量が多くなり過ぎると、硬化層の剥離性が低下することがあるので、重合性化合物(β)の含有量は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の“イルガキュア(登録商標)”184、イルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、“DAROCUR(登録商標)”TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製の“Speedcure(登録商標)”MBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、“Esacure(登録商標)”ONE、EsacureKIP150、EsacureKTO46等、日本化薬(株)製の“KAYACURE(登録商標)”DETX−S、KAYACURECTX、KAYACUREBMS、KAYACUREDMBI等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜15質量%の範囲が適当であり、0.5〜10質量%の範囲が好ましくい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、さらにバインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エラストマー樹脂などが挙げられる。ここで、バインダー樹脂は長鎖アルキル基を含まない樹脂である。
また、活性エネルギー線硬化性組成物は、粒子、帯電防止剤、着色剤などを含有することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、シリコーン系化合物を全く含有しないことが好ましいが、シリコーン系化合物を含有する場合は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
ここで、シリコーン系化合物とは、従来からシリコーン系離型剤として一般的に知られているシリコーン系化合物を指す。シリコーンとは、有機基(例えばアルキル基やフェニル基など)をもつケイ素と酸素が交互に結合してできた主鎖より成るポリマーである。例えば、基本骨格としてジメチルポリシロキサンを有するシリコーン系化合物がよく知られている。
[硬化層]
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層は、例えば、該組成物をポリイミドフィルム上に塗布し乾燥した後、活性エネルギー線を照射し、硬化することによって得られる。
活性エネルギー線硬化性組成物の塗布方法としては、ウェットコーティング法が好ましく用いられる。かかるウェットコーティング法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるための活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましく用いられる。
紫外線を照射するための光源としては、特に限定されないが、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプを好ましく用いられる。また、紫外線を照射するときに、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができるので好ましい。
紫外線の照射光量は、50mJ/cm以上が好ましく、100mJ/cm以上がより好ましく、特に150mJ/cm以上が好ましい。また、紫外線の照射光量は2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。
硬化層の厚みは、良好な剥離性を得るという観点から、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上が特に好ましい。一方、硬化層の厚みが大きくなりすぎると、ポリイミドフィルムに変形や皴が発生しやすくなるので、硬化層の厚みは1000nm以下好ましく、500nm以下がより好ましく、300nm以下が特に好ましい。
積層フィルムの硬化層上に積層あるいは重ね合わされる被剥離層の良好な塗工性を確保するという観点および剥離力を小さくするという観点から、硬化層の表面自由エネルギーは20〜35mJ/mであることが好ましく、21〜32mJ/mであることがより好ましく、22〜30mJ/mであることが特に好ましい。硬化層の表面自由エネルギーが20mJ/m未満になると被剥離層の塗工性が悪化することがあり、一方、35mJ/mより大きくなると剥離力が高くなることがある。
硬化層として活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を用いることによって、好ましくは、上記活性エネルギー線硬化性組成物が重合性長鎖アルキル化合物(α)を含有することによって、表面自由エネルギーを上述の範囲とすることができる。
ここで、表面自由エネルギーは、接触角計、例えば、協和界面科学(株)の「Drop Master DM501」を用いて測定することができる。詳細は後述する。
硬化層の算術平均粗さRaは、積層フィルムの製造工程や被剥離層の積層工程におけるロール搬送性や巻取り性の観点から、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が特に好ましい。硬化層の算術平均粗さRaが過度に大きくなると被剥離層の塗工性が悪化することがあるので、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下が特に好ましい。
[ポリイミドフィルム]
ポリイミドフィルムは、例えば、芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で重合させることにより得られたポリアミック酸溶液を環化反応させてゲルフィルムとし、このゲルフィルムを乾燥し、熱処理することによって得ることができる。
芳香族テトラカルボン酸としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸などが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼンなどが挙げられる。
これらの中で、芳香族テトラカルボン酸無水物がピロメリット酸無水物あるいは3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物からなり、芳香族ジアミンがパラフェニレンジアミンあるいは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる組み合わせが、延伸性や機械的安定性の点で好ましい。
上記したような芳香族環を有するポリイミドフィルムは、通常、茶色あるいは黄色に着色している。このような着色ポリイミドフィルムを用いた積層フィルムを離型フィルムとして適用した場合、離型フィルムの識別性が高まるので離型フィルムの剥がし忘れを予防することができるので好ましい。
ポリイミドフィルムは、延伸されていても、延伸されていなくてもよいが、延伸されていることが好ましく、特に二軸延伸されていることが好ましい。
ポリイミドフィルムは、硬化層との密着性を向上させるために、例えば、プラズマ処理やコロナ放電処理が施されていてもよい。
ポリイミドフィルムは、一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、東レ・デュポン(株)製“カプトン”(登録商標)、宇部興産(株)製“ユーピレックス”(登録商標)、(株)カネカ製“アピカル”(登録商標)などが挙げられる。
ポリイミドフィルムの厚みは、硬化層の積層工程における変形や皴の発生を抑制するという観点から、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上が特に好ましい。また、上記厚みは200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する。硬化層は、ポリイミドフィルムの片面のみに設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
本発明の積層フィルムが離型フィルムとして適用される場合、離型フィルムは最終的には剥離除去されるので、離型フィルムの剥がし忘れを予防できるように離型フィルムが比較的容易に識別できることが好ましい。積層フィルム(離型フィルム)の識別性を高めるという観点から、積層フィルム(離型フィルム)のCIELAB色空間における透過b*値が10以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、50以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、120程度である。
前述したように、芳香族環を有するポリイミドフィルムは、通常、茶色あるいは黄色に着色しており、これらのポリイミドフィルムを用いることによって、積層フィルムの透過b*値を10以上に調整することができる。
本発明の積層フィルムは、耐溶剤性が良好である。ここで、耐溶剤性が良好であるとは、硬化層が有機溶剤に対して溶解や膨潤が起こりにくいことを意味する。硬化層の耐溶剤性が低いと、粘着層や封止樹脂層などの被剥離層を形成するための塗布組成物に含まれる有機溶剤が硬化層表面を膨潤あるいは溶解することによって硬化層の剥離性が不安定になるが、硬化層の耐溶剤性が向上することによってかかる問題を改良することができる。
さらに、ポリイミドフィルムを用いた本発明の積層フィルムは耐熱性が良好であるので、加熱プレスなどの加熱工程における熱変形の抑制が期待できる。特に、200℃以上の高温による加熱プレス工程に有効である。
[適用例]
本発明の積層フィルムは、離型フィルムとして好適である。この場合、積層フィルムの硬化層は離型層として機能する。
本発明の離型フィルムは、本発明の積層フィルムからなる。詳細には、本発明の離型フィルムは、「ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層からなる離型層を有する、離型フィルム」である。
本発明の離型フィルムは、被剥離層(被転写層)を他の被着体に転写被着するために硬化層(離型層)上に一時的に積層することができる。離型フィルムの離型層上に被剥離層(被転写層)が積層されたものを「転写フィルム」という。
被剥離層としては、例えば、シリコーン粘着層、感光性樹脂層、セラミック層、回路基板の封止樹脂層、多層プリント配線板の層間絶縁層などが挙げられる。
本発明の積層フィルム(離型フィルム)は、耐熱性が良好であるので、被剥離層の転写被着工程に加熱プレス工程を含む転写フィルムの離型フィルムとして好適である。上記の加熱プレス工程が含まれる転写フィルムを構成する被剥離層としては、シリコーン粘着層、回路基板の封止樹脂層、多層プリント配線板の層間絶縁層が挙げられる。
ここで、回路基板の封止樹脂層および多層プリント配線板の層間絶縁層には、一般的に熱硬化性エポキシ樹脂が用いられている。
本発明の転写フィルムは、本発明の積層フィルムの硬化層上に、シリコーン粘着層、回路基板の封止樹脂層および多層プリント配線板の層間絶縁層からなる群から選ばれるいずれか一層が積層されてなる。
本発明の転写フィルムは、シリコーン粘着層、封止樹脂層あるいは層間絶縁層に対して、加熱プレス後であっても良好な剥離性が維持できるという特長がある。
また、本発明の積層フィルムは、シリコーン粘着フィルムの基材フィルムとして好適である。この場合、積層フィルムの硬化層は離型層として機能する。かかる適用例においては、積層フィルムの硬化層とは反対面にシリコーン粘着層が積層されてシリコーン粘着フィルムが得られる。このシリコーン粘着フィルムは、通常、ロール・ツー・ロールで生産されロールで供給されることから積層フィルムの硬化層はシリコーン粘着層と対向密着する。シリコーン粘着フィルムのロールは、使用に際してスムーズに巻きほどかれる必要があり、本発明の積層フィルムはシリコーン粘着層との剥離性が良好であることから好適である。
つまり、本発明のシリコーン粘着フィルムは、ポリイミドフィルムの一方の面にのみ硬化層を有する本発明の積層フィルムにおいて、積層フィルムの硬化層とは反対面にシリコーン粘着層が積層されてなる。
また、積層フィルム(離型フィルム)は、積層インダクタの加熱プレス工程の離型フィルムとして好適である。この加熱プレス工程では、積層インダクタと金型との間に離型フィルムを配置して加熱プレスされる。本発明の積層フィルム(離型フィルム)は、200℃以上の温度で加熱プレスされた後であっても剥離性が良好である。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[測定方法および評価方法]
(1)積層フィルムおよびポリイミドフィルムのCIELAB色空間における透過b*値の測定
JIS Z8781−4(2013)で規定されるCIELAB色空間における透過b*を日本電色工業(株)製の分光色彩計「SD6000」を用いて、光源はD65、視野角2度で測定した。
(2)積層フィルムの硬化層およびポリイミドフィルムの算術平均粗さRaの測定
JIS B0601(2001)に準拠して表面粗さ測定機((株)ミツトヨ製の「サーフテストSJ−400」)を用いて測定した。
<測定条件>
・触針先端半径;2μm
・測定力;0.75mN
・カットオフ値;λc=0.8mm
・測定速度;0.5mm/秒
・測定長さ;4mm。
(3)硬化層の表面自由エネルギーの測定
表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力、極性力、水素結合力)の値が既知の3種の液体として、水、ジヨードメタン、1−ブロモナフタレンを用い、23℃、65%RH下で、接触角計DropMasterDM501(協和界面科学(株)製)にて、各液体の硬化層上での接触角を測定した。1つの測定面に対し5回測定を行いその平均値を接触角(θ)とした。この接触角(θ)の値および各液体の既知の値(Panzerによる方法IV(日本接着協会誌第15巻、第3号、第96頁に記載)の数値から、北崎・畑の式より導入される下記式を用いて各成分の値を計算した。
(γSd・γLd)1/2+(γSp・γLp)1/2+(γSh・γLh)1/2=γL(1+cosθ)/2
ここで、γLd、γLp、γLhは、それぞれ測定液の分散力、極性力、水素結合力の各成分を表し、θは測定面上での測定液の接触角を表し、また、γSd、γSp、γShは、それぞれ硬化層表面の分散力、極性力、水素結合力の各成分の値を表し、γLは各液体の表面エネルギーを表す。既知の値およびθを上記の式に代入して得られた連立方程式を解くことにより、測定面(硬化層表面)の3成分の値を求めた。
下記式の通り、求められた分散力成分の値と極性力成分の値と水素結合力成分の値の和を、表面自由エネルギー(E)の値とした。
E=γSd+γSp+γSh
(4)封止樹脂層の加熱プレス後の剥離力の測定
回路基板の封止樹脂層として、以下の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を積層フィルムの硬化層上に塗布形成して転写フィルムを作製した。
<熱硬化性エポキシ樹脂組成物の調製>
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828EL」)100質量部、熱可塑性樹脂としてカルボキシ化NBR(日本ゼオン社製、商品名「“ニポール(登録商標)”1072」)を45質量部、硬化剤として4,4′−ジアミノジフェニルスルホン35質量部をメチルエチルケトン(MEK)に溶解分散させて、固形分濃度が30質量%となるように調製した。
<転写フィルムの作製>
それぞれの積層フィルムの硬化層上に、上記組成物を乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、150℃、20分間乾燥し、封止樹脂層を形成して転写フィルムを作製した。
<被着体>
被着体として、圧延銅箔(JX日鉱日石金属社製、厚さ35μm)の粗面に厚さ25μmのポリイミド層が積層された基板を用意した。
<加熱プレスによる封止樹脂層の転写>
転写フィルムの封止樹脂層面と被着体の圧延銅箔とが対向するように重ねて試験用積層体を作製した。この積層体を、加熱プレス装置(ミカドテクノス(株)製の2ton真空ヒータープレス 型番MKP−150TV−WH)に挿入し、プレス温度210℃、プレス圧2MPaにて15分間熱プレスした。その後、積層体を取り出し、常温で1時間放置後、剥離力を測定した。
<剥離力の測定>
積層体を幅50mm×長さ70mmに切り出して測定用サンプルとした。この測定用サンプルについて、引張り試験機にて、300mm/minの速度で、積層フィルム側を180°に引き剥したときの剥離力を測定した。
<剥離性の評価>
A;剥離力が0.5N/50mm未満
B;剥離力が0.5N/50mm以上、1.0N/50mm未満
C;剥離力が1.0N/50mm以上。
(5)硬化層の耐溶剤性の評価
有機溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、酢酸エチルを用いて、それぞれの有機溶剤に対する耐溶剤性を以下の要領で評価した。
上記有機溶剤を浸した綿棒で、積層フィルムの硬化層表面を5往復擦って硬化層の状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
A;上記3種のいずれの溶剤でも硬化層が変化しない場合
B;上記3種の溶剤の中に硬化層を白化させる溶剤がある場合
C;上記3種の溶剤の中に硬化層を消失させる溶剤がある場合。
(6)積層フィルムの識別性
3M(株)のアクリル粘着シート(“OCA(登録商標)”8146−2)の片方のセパレータを剥離し、実施例および比較例で作製した積層フィルムの硬化層と貼り合せて試験片を作製した。次に、この試験片を積層フィルムが上になるように台に静置し、試験片から高さ50cmの位置に設置された40W三波長蛍光下で目視観察し、下記基準で評価した。
A;積層フィルムが容易に識別できる
B;積層フィルムが識別できない。
[実施例1]
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製“カプトン”(登録商標)100H)の一方の面に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物p1をグラビアコーターで塗布し、温度80℃で乾燥後、紫外線を300mJ/cm照射し硬化させて硬化層を形成して積層フィルムを作製した。硬化層の厚みは200nmであった。このポリイミドフィルムは、算術平均粗さRaが47nm、CIELAB色空間における透過b*値が69.0であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物p1>
下記で合成した重合性長鎖アルキル化合物(α1)を25質量部、重合性化合物(β)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)を75質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)を10質量部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、さらに、トルエンとイソプロピルアルコール(IPA)の混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度が4質量%になるように調製した。
<重合性長鎖アルキル化合物(α1)の合成>
撹拌機および温度計を装備したフラスコに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(a)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒(株)の「BHEA」)を100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)としてジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)の「“ミリオネート(登録商標)”MT」)を240質量部、高級アルコール(c)としてセチルアルコール(花王(株)の「カルコール6098」)26質量部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、反応を終了させた。
[実施例2]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物p2に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物p2>
下記で合成した重合性長鎖アルキル化合物(α2)を20質量部、重合性化合物(β)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)を80質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)を10質量部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、さらに、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度が4質量%になるように調製した。
<重合性長鎖アルキル化合物(α2)の合成>
撹拌機および温度計を装備したフラスコに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(a)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒(株)の「BHEA」を100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)としてヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)の商品名「HDI」)を86質量部、高級アルコール(c)としてセチルアルコール(花王(株)の「カルコール6098」)46質量部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、赤外分光法(IR)測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、反応を終了させた。
[実施例3]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物p3に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物p3>
下記で合成した非重合性長鎖アルキル化合物20質量部、重合性化合物(β)として、ウレタンアクリレート(共栄社化学製の「UA−306T」)50質量部、およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)30質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)7質量を、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度が4質量%になるように調製した。
<非重合性長鎖アルキル化合物の合成>
撹拌機、窒素導入管、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート50質量部を加え、さらに2,2′−ビピリジン1.2質量部を加えて、系内を窒素置換した。窒素気流下、臭化銅0.5質量部を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤(2−ブロモイソ酪酸エチル)0.6質量部を加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下90℃で10時間重合した。重合率が85重量%以上であることを確認したのち、アクリル酸2−エチルヘキシル33質量部をラバーセブタムから添加して、110℃で20時間加熱した。
このようにして、オクタデシルアクリレート重合体ブロックとアクリル酸2−エチルヘキシル重合体ブロックとのA−B型ジブロックポリマーを得た。これを60℃に加熱して、8,000gの遠心力で30分遠心処理し、上澄みの重合体を得た。この重合体50質量部にスルホン酸型イオン交換樹脂10質量部を加え、100℃で1時間撹拌して、イオン交換樹脂を濾去し、数平均分子量が25,000の非重合性長鎖アルキル化合物(ポリマー)を得た。
[比較例1]
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製“カプトン”(登録商標)100H)の一方の面に、下記の熱硬化性組成物p4をグラビアコーターで塗布し、温度90℃で乾燥後、温度160℃で加熱硬化し、硬化層を形成して積層フィルムを作製した。硬化層の厚みは200nmであった。
<熱硬化性組成物p4>
長鎖アルキル化合物(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の“ピーロイル(登録商標)”HT)を固形分換算で10質量部、メラミン系架橋剤(三井化学(株)の“ユーバン(登録商標)”28−60)を固形分換算で2.5質量部、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(テイカ(株)の「TAYCACURE」AC−707)を固形分換算で1.3質量部を、混合溶媒(トルエン:メチルエチルケトン:シクロヘキサノン=45:45:10(質量比))で固形分濃度が2.0質量%になるように調製した。
[比較例2]
下記の熱硬化性組成物p5に変更する以外は、比較例1と同様にして積層フィルムを作製した。
<熱硬化性組成物p5>
アミノアルキド樹脂(日立化成(株)の“テスファイン(登録商標)”305)を固形分換算で10質量部、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(テイカ(株)の「TAYCACURE」AC−707)を固形分換算で1質量部を、混合溶媒(トルエン:メチルエチルケトン:シクロヘキサノン=45:45:10(質量比))で固形分濃度が2.0質量%になるように調製した。
[評価]
上記で作製した実施例および比較例の積層フィルムについて、上述の測定方法および評価方法に従って評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2020044688

Claims (9)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する、積層フィルム。
  2. 前記炭素数8以上のアルキル基を有する化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物(α)である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)を含有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記硬化層の算術平均粗さRaが10nm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. CIELAB色空間における透過b*値が10以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記硬化層の表面自由エネルギーが20〜35mJ/mである、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムからなる、離型フィルム。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層上に、シリコーン粘着層、回路基板の封止樹脂層および多層プリント配線板の層間絶縁層からなる群から選ばれるいずれか一層が積層されてなる、転写フィルム。
  9. ポリイミドフィルムの一方の面にのみ硬化層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの前記硬化層とは反対面にシリコーン粘着層が積層されてなる、シリコーン粘着フィルム。
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