JP6458910B1 - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、被転写膜の欠点検査を適切に行うことができこと、離型フィルムの識別性が良好であること、耐溶剤性が良好であること、および加熱後の剥離性が良好であることを同時に満足する、離型フィルムを提供することを目的とする。
かかる目的を達するための本発明の離型フィルムは以下の構成を有する。すなわち、基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、ヘイズ値が1.5〜8.0%であり、かつ前記離型層が炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層である、離型フィルム、である。

Description

本発明は離型フィルムに関する。詳細には、基材フィルム上に長鎖アルキル化合物(炭素数8以上のアルキル基を有する化合物)を含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層からなる離型層を備えた離型フィルムに関する。
離型フィルムは、セラミックコンデンサー、ハードディスクドライブ、半導体装置等の精密電子機器の製造工程に用いられる粘着剤層の表面を保護する目的で使用されている。また、離型フィルムは、粘着シートを製造する際のキャリアフィルムとしても使用されている。さらには、離型フィルムは、グリーンシート、光学用樹脂シート、感光性樹脂シートなどを成型するときのキャリアフィルムとして使用されている。
離型フィルムには、通常、剥離性の向上を目的として離型層が設けられている。
離型フィルムの離型層にはシリコーン系化合物が一般的に用いられるが、精密電子機器等に関連する用途にシリコーン系化合物を用いると、離型層に含まれる低分子量のシリコーン系化合物が粘着剤層に移行して精密電子機器に残存し、精密電子機器にトラブルを発生させることが懸念されている。
そこで、離型層に非シリコーン系化合物を用いた離型フィルムが知られており、非シリコーン系化合物として長鎖アルキル化合物を使用することが提案されている(例えば、特許文献1〜6)。
特開2011−230289号公報 特開2013−87239号公報 特開2015−30795号公報 特開2016−33173号公報 特開2001−240775号公報 特開2004−197050号公報
離型フィルムを工程フィルムとして用いるとき、以下のような性能が求められることがある。例えば、1)離型フィルム上に形成される被転写膜の欠点等の検査が適切に行われること、2)離型フィルムの識別性が良好であること(離型フィルムは最終的には剥離除去されるものであり、離型フィルムが剥離されているかどうかを視覚的に確認できること、即ち、離型フィルムの剥がし忘れが抑制できること)、3)耐溶剤性が良好であること(離型フィルム上に形成される被転写膜の塗工液の多くは有機溶剤を含むことから耐溶剤性が良好であること)、および4)離型フィルム上に形成された被転写膜は加熱されることがあり、加熱後であっても剥離性が良好であること、が求められる。
しかし、前述した特許文献1〜6に記載された技術では、上記課題の全てを同時に満足させることはできない。
従って、本発明の目的は、被転写膜の欠点検査を適切に行うことができること、離型フィルムの識別性が良好であること、耐溶剤性が良好であること、および加熱後の剥離性が良好であることを同時に満足する、離型フィルムを提供することにある。
上記目的は以下の発明によって達成された。
[1]基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、ヘイズ値が1.5〜8.0%であり、かつ前記離型層が炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層である、離型フィルム。
[2]前記炭素数8以上のアルキル基を有する化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物である、[1]に記載の離型フィルム。
[3]活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中に2〜10個のエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物を含有する、[1]または[2]に記載の離型フィルム。
[4]常態剥離力(A)が1.5N/50mm以下、加熱剥離力(B)が2.0N/50mm以下、かつ前記常態剥離力と前記加熱剥離力との差(B−A)が1.3N/50mm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の離型フィルム。
[5]前記離型層の表面自由エネルギーが20〜35mJ/ である、[1]〜[4]のいずれかに記載の離型フィルム。
[6]基材フィルムの厚みが50μm未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の離型フィルム。
[7]基材フィルムが3層積層構造である、[1]〜[6]のいずれかに記載の離型フィルム。
[8]基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムを製造する方法であって、前記離型フィルムのヘイズ値が1.5〜8.0%であり、かつ炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含む組成物に活性エネルギー線を照射して硬化層とすることにより前記離型層を形成する工程を有する、離型フィルムの製造方法。
本発明によれば、被転写膜の欠点検査を適切に行うことができること、離型フィルムの識別性が良好であること(剥がし忘れが抑制できること)、耐溶剤性が良好であること、および加熱後の剥離性が良好であることを同時に満足する、離型フィルムを提供することができる。
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する。かかる離型層は、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層からなる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、シリコーン系化合物を含有しないことが好ましいが、シリコーン系化合物を含有する場合は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
ここで、シリコーン系化合物とは、従来からシリコーン系離型剤として一般的に知られているシリコーン系化合物を指す。シリコーンとは、有機基(例えばアルキル基やフェニル基など)をもつケイ素と酸素が交互に結合してできた主鎖より成るポリマーである。例えば、基本骨格としてジメチルポリシロキサンを有するシリコーン系化合物がよく知られている。
本発明における炭素数8以上のアルキル基を有する化合物は、炭素数が8以上の直鎖あるいは分岐のアルキル基を有する化合物である。以下、炭素数8以上のアルキル基を「長鎖アルキル基」ということがあり、また炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を「長鎖アルキル化合物」ということがある。
長鎖アルキル化合物における長鎖アルキル基の炭素数は、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。また、長鎖アルキル基の炭素数は30以下が好ましく、28以下がより好ましく、25以下が特に好ましい。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線によって重合し硬化する化合物(以下、重合性化合物)を含有する。かかる重合性化合物としては、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)が挙げられる。ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有される長鎖アルキル化合物は、重合性化合物であってもよいし、なくてもよいが、重合性化合物であることが好ましい。つまり、活性エネルギー線硬化性組成物に含有される長鎖アルキル化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と長鎖アルキル基とを含む化合物(以下、「重合性長鎖アルキル化合物(α)」ということがある)であることが好ましい。長鎖アルキル化合物が重合性長鎖アルキル化合物(α)であることによって、離型層の常態剥離力を小さくしやすくなり、かつ加熱剥離力の上昇を抑制しやすくすることができる。
前述したように、活性エネルギー線硬化性組成物に含有される長鎖アルキル化合物は重合性化合物でなくてもよい。以下、重合性化合物ではない長鎖アルキル化合物を非重合性長鎖アルキル化合物ということがある。かかる非重合性長鎖アルキル化合物としては、例えば、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有アルキド樹脂、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物等を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物が長鎖アルキル化合物として非重合性長鎖アルキル化合物のみを含有する場合は、分子中に長鎖アルキル基(炭素数8以上のアルキル基)を有しない重合性化合物(以下、「重合性化合物(β)」ということがある)を含有する必要がある。重合性化合物(β)については、詳細は後述する。
活性エネルギー線硬化性組成物には、重合性長鎖アルキル化合物(α)と非重合性長鎖アルキル化合物とを併用することができるし、あるいは重合性長鎖アルキル化合物(α)と重合性化合物(β)とを併用することができる。特に、活性エネルギー線硬化性組成物には、重合性長鎖アルキル化合物(α)と重合性化合物(β)とを併用することが好ましい。
尚、以下の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」とは、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」の総称である。
重合性長鎖アルキル化合物(α)は、分子中にエチレン性不飽和基と長鎖アルキル基を含む化合物である。長鎖アルキル基の炭素数は、8以上であり、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。また、長鎖アルキル基の炭素数は30以下が好ましく、28以下がより好ましく、25以下が特に好ましい。
重合性長鎖アルキル化合物(α)としては、例えば、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に、以下に示す重合性長鎖アルキル化合物(α)が好ましく用いられる。かかる化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを分子中にそれぞれ1個以上有する(メタ)アクリレート化合物(a)と、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(b)と、炭素数が8〜30の高級アルコール(c)とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート化合物(a)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アシッドフォスフェート、エポキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、分子中に2〜30個のアルキレンオキシ基(例えば、エンチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基など)を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記化合物の中でも、剥離力を比較的小さくし、かつ耐熱性を向上させるという観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、分子中に2〜30個のアルキレンオキシ基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物(b)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、さらにはこれら各種ジイソシアネート化合物と水とを反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート化合物、または各種ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物、または各種化合物をイソシアヌレート化せしめて得られる多量体等公知のものがあげられる。
上記ポリイソシアネート化合物の中でも、分子量が50〜500の化合物が好ましく、分子量が100〜400の化合物がより好ましく、特に分子量が130〜300の化合物が好ましい。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)、ジフェニルメタンジイソシアネート(分子量250)が好ましい化合物として例示される。
高級アルコール(c)としては、例えば、直鎖状の高級アルコールとして、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニールアルコールなど、直鎖状の不飽和高級アルコールとしてオレイルアルコールなど、分岐型高級アルコールとして2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラドデカノールなどが挙げられる。
高級アルコール(c)としては、市販品を使用することができる。例えば、直鎖状の飽和高級アルコールとしては、“コノール(登録商標)”10WS、コノール1098、コノール1275、コノール20F、コノール20P、コノール1495、コノール1670、コノール1695、コノール30CK、コノール30OC、コノール30RC、コノール30F、コノール30S、コノール30SS、コノール30T、コノール2265、コノール2280(新日本理化(株)の商品名)、“カルコール(登録商標)”0898、カルコール0880、カルコール1098、カルコール2098、カルコール4098、カルコール6098、カルコール8098、カルコール200GD、カルコール2475、カルコール2474、カルコール2473、カルコール2463、カルコール2455、カルコール2450、カルコール4250、カルコール6870、カルコール6850、カルコール8688、カルコール8665、カルコール220−80(花王(株)の商品名)、直鎖状の不飽和高級アルコールとしては、“リカコール(登録商標)”60B、リカコール70B、リカコール75BJ、リカコール85BJ、リカコール90B、リカコール90BR、リカコール90BHR、リカコール110BJ、“アンジェコール(登録商標)”50A、アンジェコール60AN、アンジェコール70AN、アンジェコール80AN、アンジェコール85AN、アンジェコール90AN、アンジェコール90NR、アンジェコール90NHR(新日本理化(株)の商品名)、分岐型の高級アルコールとしては“エヌジェコール(登録商標)”160BR、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化(株)の商品名)などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有することができる重合性化合物(β)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート−トルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート−イソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
本発明の離型フィルムにおいて、活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中に2〜10個のエチレン性不飽和基を有しかつ長鎖アルキル基を有しない化合物を含有することが好ましい。すなわち、上記重合性化合物(β)の中でも、分子中に2〜10個のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく、さらに分子中に2〜7個のエチレン性不飽和基を有する化合物がより好ましく、特に分子中に3〜6個のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。かかる重合性化合物(β)を含有させることによって、離型層の硬度が向上しやすくなり、耐溶剤性や耐熱性が向上しやすくなる。
活性エネルギー線硬化性組成物における長鎖アルキル化合物(重合性長鎖アルキル化合物(α)および非重合性長鎖アルキル化合物の合計量)の含有量は、離型層の剥離力を小さくするという観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が特に好ましい。一方、長鎖アルキル化合物の含有量が多くなり過ぎると離型層の強度(硬度)が低下し耐溶剤性や耐熱性が低下することがあるので、長鎖アルキル化合物の含有量は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物における重合性化合物(β)の含有量は、離型層の強度(硬度)を高めて耐溶剤性や耐熱性(加熱後の剥離力上昇を抑制すること)を向上させるという観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。一方、重合性化合物(β)の含有量が多くなり過ぎると、離型層表面の剥離力が高くなることがあるので、重合性化合物(β)の含有量は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の“イルガキュア(登録商標)”184、イルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、“DAROCUR(登録商標)” TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製の“Speedcure(登録商標)”MBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、“Esacure(登録商標)” ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46等、日本化薬(株)製の“KAYACURE(登録商標)” DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるための活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましく用いられる。
紫外線を照射するための光源としては、特に限定されないが、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく用いられる。また、紫外線を照射するときに、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができるので好ましい。
紫外線の照射光量は、50mJ/cm以上が好ましく、100mJ/cm以上がより好ましく、特に150mJ/cm以上が好ましい。また、紫外線の照射光量は2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。
離型層の厚みは、10〜1000nmの範囲が好ましく、20〜600nmの範囲がより好ましく、20〜500nmの範囲がさらに好ましく、50〜300nmの範囲が特に好ましい。前記範囲にあることで薄膜基材フィルムを使用しても離型層の効果収縮によるカールが抑制でき、また良好な塗膜を形成することができる。
上述したように、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層からなる離型層を設けることにより、耐溶剤性が向上し、加熱後の剥離力の上昇が抑制される。また、離型層の剥離力も比較的軽剥離となる。
本発明における離型層の剥離力および加熱後の剥離力は、離型層に対する粘着テープの剥離力で表すことができる。つまり、離型層表面に粘着テープを貼り合せ常温(23±2℃)で24時間経過後に粘着テープ側を180°に引き剥したときの剥離力を常態剥離力(A)といい、離型層表面に粘着テープを貼り合せ70℃で24時間経過後に粘着テープ側を180°に引き剥したときの剥離力を加熱剥離力(B)という。
本発明における離型層の常態剥離力(A)は、被転写膜をスムーズに剥離転写するという観点から、1.5N/50mm以下が好ましく、1.0N/50mm以下がより好ましく、0.7N/50mm以下が特に好ましい。上記常態剥離力(A)は、0.05N/50mm以上が好ましく、0.10N/50mm以上がより好ましく、0.15N/50mm以上が特に好ましい。
離型層の加熱剥離力(B)は、加熱後被転写膜を比較的スムーズに剥離転写するという観点から、2.0N/50mm以下が好ましく、1.5N/50mm以下がより好ましく、1.0N/50mm以下が特に好ましい。上記加熱剥離力(B)は、0.1N/50mm以上が好ましく、0.2N/50mm以上がより好ましく、0.3N/50mm以上が特に好ましい。
また、常態剥離力(A)に対する加熱剥離力(B)の上昇は小さいほど好ましい。この観点から、上記剥離力の差(B−A)は、1.3N/50mm以下が好ましく、1.0N/50mm以下がより好ましく、0.7N/50mm以下が特に好ましい。また、上記剥離力の比率(B/A)は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が特に好ましい。
離型層として活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を用いることによって、さらには、上記活性エネルギー線硬化性組成物が重合性長鎖アルキル化合物(α)を含有することによって、常態剥離力(A)および加熱剥離力(B)を上述の範囲とすることができる。上記観点から、特に、上記活性エネルギー線硬化性組成物が重合性長鎖アルキル化合物(α)と重合性化合物(β)を含有することが好ましい。
本発明の離型フィルムは、常態剥離力(A)が1.5N/50mm以下、加熱剥離力(B)が2.0N/50mm以下、かつ前記常態剥離力と前記加熱剥離力との差(B−A)が1.3N/50mm以下であることが好ましい。
離型フィルムの離型層上に積層される被転写膜の良好な塗工性を確保するという観点および剥離力を小さくするという観点から、離型層の表面自由エネルギーが20〜35mJ/mであることが好ましく、21〜32mJ/mであることがより好ましく、22〜30mJ/mであることが特に好ましい。離型層の表面自由エネルギーが20mJ/m未満になると被転写膜の塗工性が悪化することがあり、一方、35mJ/mより大きくなると剥離力が高くなることがある。
離型層として活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を用いることによって、さらには、上記活性エネルギー線硬化性組成物が重合性長鎖アルキル化合物(α)を含有することによって、表面自由エネルギーを上述の範囲とすることができる。
ここで、表面自由エネルギーは、接触角計、例えば、協和界面科学(株)の「Drop Master DM501」を用いて測定することができる。詳細は後述する。
離型層の表面粗さSRaは、離型フィルムのヘイズ値が2.0〜8.0%を逸脱しない範囲で平滑であることが好ましい。離型層の表面粗さSRaが比較的平滑であることにより、離型層上に形成される被転写膜の塗布性が良好となり、また、被転写膜の表面性が平滑になるので好ましい。
離型層の表面粗さSRaは、上記観点から、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下が特に好ましい。離型フィルムの滑り性や巻き取りを確保するという観点から、上記表面粗さSRaは、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、さらに8nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。ここで、表面粗さSRaは、光干渉型顕微鏡、例えば、(株)菱化システム製の「VertScan」を用いて測定することができる。
上記観点から、離型層は粒子を含有しないことが好ましいが、離型層に粒子を含有させる場合であっても、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
離型層は、基材フィルム上に活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、必要に応じて乾燥し、活性エネルギー線を照射し、硬化することによって形成することができる。活性エネルギー線硬化性組成物は、ウェットコーティング法により塗布することができる。ウェットコーティング法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
本発明の離型フィルムは、ヘイズ値が1.5〜8.0%である。離型フィルムのヘイズ値が1.5〜8.0%であることにより、離型フィルム上に形成された被転写膜の欠点検査を適切に行うことができ、かつ離型フィルムの識別性が良好になる。
離型フィルムのヘイズ値が8.0%より大きくなると欠点検査精度が低下する。一方、離型フィルムのヘイズ値が1.5%未満となると、離型フィルムの識別性が低下する。
被転写膜の欠点検査精度を向上させるという観点から、離型フィルムのヘイズ値は、7.0%以下が好ましく、6.5%以下がより好ましく、6.0%以下が特に好ましい。
離型フィルムの識別性を向上させるという観点から、離型フィルムのヘイズ値は、2.0%以上が好ましく、2.5%以上がより好ましく、さらに3.0%以上が好ましく、3.5%以上が特に好ましい。
離型フィルムのヘイズ値は、基材フィルムおよび離型層のいずれか一方または両方のヘイズ値を制御することによって調整することができる。基材フィルムのヘイズ値は、例えば、基材フィルム中に粒子を含有させることによって制御することができる。離型層のヘイズ値は、例えば、離型層中に粒子を含有させることによって制御することができる。
上述したように、離型層は平滑であることが好ましく、また粒子を含有しないことが好ましい。よって、離型フィルムのヘイズ値は、基材フィルムのヘイズ値を制御することによって調整することが好ましい。
つまり、離型フィルムのヘイズ値を1.5〜8.0%に調整する方法として、基材フィルムのヘイズ値を制御することが好ましい。基材フィルムのヘイズ値は、離型層のヘイズ値に応じて適宜制御される。上記観点から、基材フィルムのヘイズ値は、概ね1.8〜8.5%の範囲に制御することが好ましく、2.3〜8.5%の範囲に制御することがより好ましい。前述したように、本発明における離型層は平滑であること好ましく、基材フィルム上に平滑な離型層を設けることにより、ヘイズ値は若干低下する傾向にあるので、基材フィルムのヘイズ値は、目標とする離型フィルムのヘイズ値より若干高く設計することが好ましい。
基材フィルムのヘイズ値は、さらに、2.8〜7.3%の範囲が好ましく、3.3〜6.8%の範囲がより好ましく、3.8〜6.3%の範囲が特に好ましい。基材フィルムのヘイズ値の制御については、詳細は後述する。
本発明の離型フィルムに用いられる基材フィルムは、特に限定されないが、基材フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の各種樹脂が使用できる。
基材フィルムの厚みは、50μm未満であることが好ましく、37μm未満であることがより好ましく、30μm未満であることが特に好ましい。また、上記基材フィルムの厚みは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上が特に好ましい。つまり、本発明における基材フィルムは、比較的薄膜であることが好ましい。
基材フィルムを比較的薄膜とすることにより、離型フィルムの曲げ剛性が小さくなり、被転写膜から離型フィルムを剥離するときの剥離力が相対的に小さくなることから好ましい。
また、基材フィルムを比較的薄膜とすることによって、単位長さ当たりの質量が相対的に小さくなるので、1つの巻き取りロールの最大長さを長尺にすることができる。巻き取りロールを長尺化することによって、離型フィルムをロール・ツー・ロール方式で連続的に生産するとき、あるいは離型フィルム上にロール・ツー・ロール方式で連続的に被転写膜を積層するときに、生産性向上が図られる。
基材フィルム上に設けられる離型層は活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層である。従来から一般的な熱硬化型離型層の加熱による形成には加熱工程が必要であり、基材フィルムに掛かる温度が比較的高温になる。一方、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化層の形成には、加熱工程が不要であり、比較的低温で形成することができる。つまり、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層の形成の場合は、基材フィルムにかかる温度があまり高温にならないので、特に薄膜の基材フィルムの変形や皺の発生が抑制される。
本発明の離型フィルムの製造方法は、基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムを製造する方法であって、前記離型フィルムのヘイズ値が1.5〜8.0%であり、かつ長鎖アルキル化合物を含む組成物に活性エネルギー線を照射して硬化層とすることにより前記離型層を形成する工程を有する。かかる工程を有することにより、基材フィルムにかかる温度が高温になりすぎず、基材フィルムの変形や皺の発生を抑制しやすくなる。
本発明に用いられる基材フィルムは、ポリエステルフィルムが好ましく、特に、二軸延伸されたポリエステルフィルムが好ましい。上記ポリエステルフィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
ここで、ポリエステルは、少なくとも70モル%以上が、芳香族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルであることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、などを挙げることができ、特にはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、などを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
ポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特に、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
前述したように、離型フィルムのヘイズ値を1.5〜8.0%に調整するために、基材フィルムのヘイズ値を制御することが好ましい。基材フィルムのヘイズ値は、例えば、粒子を含有させることによって調整することができる。
基材フィルムに含有させる粒子の平均粒子径は、0.1〜1.5μmであることが好ましく、0.2〜1.3μmであることがより好ましい。基材フィルムにおける粒子の含有量は、0.001〜2.0質量%の範囲が好ましく、0.003〜1.0質量%の範囲がより好ましい。
粒子としては、無機粒子や有機粒子を用いることができる。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどの無機粒子、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂などの有機粒子を挙げることができる。
基材フィルムは、3層積層構造であることが好ましい。基材フィルムを3層積層構造とし、それぞれの層において、添加する粒子の種類や平均粒子径および添加量を制御することによって、欠陥が少なく良好な外観の基材フィルムを製造することができる。
ここで、3層積層構造とは、A層/B層/A層またはA層/B層/C層からなるものが好ましく、生産設備の簡易化や生産性向上の観点から、A層/B層/A層の構成が特に好ましい。
ここで、A層/B層/A層の積層構造において、A層とB層は組成が異なることを意味し、両側表層のA層はそれぞれ組成が同一であることを意味する。同様に、A層/B層/C層の積層構造において、A層、B層およびC層はいずれも組成が異なることを意味する。
表層であるA層あるいはC層、およびB層は、前述したように粒子を含有することが好ましい。これらの層に含有する粒子種、平均粒子径、含有量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記の3層積層構造において、A層あるいはC層のそれぞれの厚みは0.2〜5.0μmの範囲が好ましく、0.3〜3.0μmの範囲がより好ましく、0.4〜2.5μmの範囲が特に好ましい。B層の厚みは、基材フィルムの総厚みに応じて適宜設定することができる。
次に、基材フィルムとして特に好適な二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法について説明する。
ポリエステルに粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば3μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制できるので好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も有効である。
このようにして準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する。
続いて、スリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを製造する。即ち、1から3台の押出機、1から3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて必要に応じて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを製造する。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。
逐次二軸延伸の場合、最初の長手方向の延伸が重要であり延伸温度は90〜130℃が好ましく、より好ましくは105〜120℃である。延伸温度を90℃以上とすることによりフィルムが破断しにくくなり、延伸温度を130℃以下とすることによりフィルム表面が熱ダメージを受けにくくなる。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸は2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は長さ方向に3〜4.5倍が好ましく、より好ましくは3.2〜4.2倍であり、幅方向に3.2〜5.0倍が好ましく、より好ましくは3.9〜4.5倍である。目標とするフィルムの破断強度を達成するため、適時倍率を選択できるが、幅方向の破断強度を高くするため、幅方向の延伸倍率を長手方向よりも高めに設定することがさらに好ましい。かかる温度、倍率範囲とすることにより延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題が生じにくくなり、本発明における基材フィルムが得られやすくなる。再縦または横延伸した後、好ましくは200〜230℃、より好ましくは210〜230℃で、好ましくは0.5〜20秒、より好ましくは1〜15秒熱固定を行う。特に熱固定温度を200℃以上とすることによりフィルムの結晶化が進みやすくなるために構造が安定しやすくなり、目標とする熱収縮率などの特性が得られやすくなる。その後、長手及び/又は幅方向に0.5〜7.0%の弛緩処理を施すことが好ましい。
延伸過程では、フィルムとロールの接触が避けられず、ロールの周速とフィルムの速度差を極力抑えるようにするとともに、延伸ロールとしては、表面の粗さなどを制御しやすい非粘着性のシリコーンロールが好ましい。従来技術のようにセラミックスやテフロン(登録商標)さらには金属のロールを用いても可能であるが、非粘着性のシリコーンロールを用いることにより、フィルム表面のみが局所的に加熱されて粘着が発生しにくく、フィルム表面に傷を発生しにくくなる。
[適用例]
本発明の離型フィルムは、工程フィルムとして好適である。離型フィルムの離型層上に塗布などによって形成される被転写膜としては、例えば、粘着剤層、セラミック層、金属粒子含有樹脂層、光学用樹脂層、感光性樹脂層などが挙げられる。
また、本発明の離型フィルムは加熱剥離性が良好なため、例えばコンプレッションモールド等の半導体樹脂封止用やフレキシブル銅張積層板(FCCL)とカバーレイを貼り合せるフレキシブルプリント基板(FPC)製造時の加熱プレス工程にも好適に用いることが出来る。
また、本発明の離型フィルムは、上記した被転写膜、例えば、粘着剤層、セラミック層、金属粒子含有樹脂層、光学用樹脂層、感光性樹脂層などの被転写膜を保護するための保護フィルム(カバーフィルム)として適用することができる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[測定方法および評価方法]
(1)離型フィルムおよび基材フィルムのヘイズ値の測定
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−4000」を用いて離型フィルムのヘイズ値を測定した。測定に際し、離型フィルムの離型層表面に光が入射するように配置した。
また、基材フィルムのヘイズ値もJIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−4000」を用いて測定した。
(2)離型層の表面自由エネルギーの測定
表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力、極性力、水素結合力)の値が既知の3種の液体として、水、ジヨードメタン、1−ブロモナフタレンを用い、23℃、65%RH下で、接触角計DropMasterDM501(協和界面科学(株)製)にて、各液体の離型層上での接触角を測定した。1つの測定面に対し5回測定を行いその平均値を接触角(θ)とした。この接触角(θ)の値および各液体の既知の値(Panzerによる方法IV(日本接着協会誌第15巻、第3号、第96頁に記載)の数値から、北崎・畑の式より導入される下記式を用いて各成分の値を計算した。
(γSd・γLd)1/2+(γSp・γLp)1/2+(γSh・γLh)1/2=γL(1+cosθ)/2
ここで、γLd、γLp、γLhは、それぞれ測定液の分散力、極性力、水素結合力の各成分を表し、θは測定面上での測定液の接触角を表し、また、γSd、γSp、γShは、それぞれ積層膜表面の分散力、極性力、水素結合力の各成分の値を表し、γLは各液体の表面エネルギーを表す。既知の値およびθを上記の式に代入して得られた連立方程式を解くことにより、測定面(離型層表面)の3成分の値を求めた。
下記式の通り、求められた分散力成分の値と極性力成分の値と水素結合力成分の値の和を、表面自由エネルギー(E)の値とした。
E=γSd+γSp+γSh
(3)常態剥離力(A)の測定
離型フィルムの離型層表面にアクリル系粘着テープ(日東電工(株)製の「No.31B」)の粘着面を自重5kgのゴムローラーで押さえながら一往復させて貼り合わせ、室温(23±2℃)で24時間放置後、引張り試験機にて、300mm/minの速度で、粘着テープ側を180°に引き剥したときの剥離力を測定した。
(4)加熱剥離力(B)の測定
離型フィルムの離型層表面にアクリル系粘着テープ(日東電工(株)製の「No.31B」)の粘着面を自重5kgのゴムローラーで押さえながら一往復させて貼り合わせ、70℃のオーブンに24時間投入した後取り出し、室温(23±2℃)で1時間放置後、引張り試験機にて、300mm/minの速度で、粘着テープ側を180°に引き剥したときの剥離力を測定した。
(5)耐溶剤性
有機溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、酢酸エチルを用いて、それぞれの有機溶剤に対する耐溶剤性を以下の要領で評価した。
上記有機溶剤を浸した綿棒で、離型フィルムの離型層表面を5往復擦って離型層の状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
A:変化なし
B:白化
C:消失
(6)各層の厚み
離型フィルムの断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム(日立製FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡(日立製H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、断面観察用サンプルの断面を観察し、基材フィルムおよび離型層の厚みを測定した。
(7)欠点検査性
東レ(株)のポリエステルフィルム(“ルミラー(登録商標)” S10)から最大長さ300μmの異物欠点(フィッシュアイ)をマーキングした。次に異物欠点がマーキングされた部分と離型フィルムの離型面とを3M(株)のアクリル粘着シート(“OCA”(登録商標)8146−2;厚み50μm)を用いて貼り合せて試験片を作製した。次に、この試験片を離型フィルムが上になるように台に静置し、積層体から高さ50cmの位置に設置された40W三波長蛍光下で目視観察し、下記基準で評価した。
A:異物欠点が容易に視認できる。
B:異物欠点がなんとか視認できる。
C:異物欠点が視認できない。
(8)離型フィルムの識別性
3M(株)のアクリル粘着シート(“OCA”(登録商標)8146−2)の片方のセパレータを剥離し、実施例および比較例で作製した離型フィルム貼り合せて試験片を作製した。次に、この試験片を離型フィルムが上になるように台に静置し、試験片から高さ50cmの位置に設置された40W三波長蛍光下で目視観察し、下記基準で評価した。
A:離型フィルムが容易に識別できる。
B:離型フィルムがなんとか識別できる。
C:離型フィルムが識別できない。
[基材フィルムの準備]
基材フィルムとして下記のポリエステルフィルムを用意した。
<ポリエステルフィルム1>
東レ(株)のポリエステルフィルム(“ルミラー(登録商標)” R75X)を用意した。このポリエステルフィルムは、厚みが25μmであり、ヘイズ値が4.7%であった。
<ポリエステルフィルム2>
東レ(株)のポリエステルフィルム(“ルミラー(登録商標)” R60)を用意した。このポリエステルフィルムは、厚みが38μmであり、ヘイズ値が9.4%であった。
<ポリエステルフィルム3>
東レ(株)のポリエステルフィルム(“ルミラー(登録商標)” FB40)を用意した。このポリエステルフィルムは、厚みが25μmであり、ヘイズ値が0.6%であった。
<ポリエステルフィルム4>
下記要領で、A層/B層/A層の3層構造のポリエステルフィルムを製造した。
A層原料;固有粘度が0.60のポリエチレンテレフタレート(PET)に重合時に、平均粒子径が1.1μmの凝集シリカを0.08質量%添加し、水分率200ppmになるまで乾燥した。
B層原料;固有粘度が0.58のポリエチレンテレフタレート(PET)に重合時に、平均粒子径が1.0μmの凝集シリカを0.02質量%添加し、水分率200ppmになるまで乾燥した。
上記原料を290℃でA層/B層/A層からなる3層積層シート状に押し出し、表面温度が30℃にコントロールされた冷却ロール上で急冷、固化させた。この未延伸積層シートを、延伸温度115℃、延伸倍率3.8倍で長手方向に延伸し、続いて延伸温度120℃、延伸倍率3.7倍で幅方向に延伸し、しかる後に215℃で弛緩率5.0%にて熱処理して、A層/B層/A層の厚みが1/18/1(μm)の総厚み20μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。このポリエステルフィルムのヘイズ値は2.7%であった。
<ポリエステルフィルム5>
ポリエステルフィルム4の製造において、A層原料における凝集シリカの添加量を0.07質量%に変更し、かつB層原料における凝集シリカの添加量を0.01質量%に変更する以外は、ポリエステルフィルム4と同様にして製造した。このポリエステルフィルムのヘイズ値は2.1%であった。
<ポリエステルフィルム6>
ポリエステルフィルム4の製造において、A層原料における凝集シリカの添加量を0.09質量%に変更し、かつB層原料における凝集シリカの添加量を0.03質量%に変更する以外は、ポリエステルフィルム4と同様にして製造した。このポリエステルフィルムのヘイズ値は3.8%であった。
<ポリエステルフィルム7>
ポリエステルフィルム4の製造において、A層原料における凝集シリカの添加量を0.04質量%に変更し、かつB層原料における凝集シリカの添加量を0.004質量%に変更する以外は、ポリエステルフィルム4と同様にして製造した。このポリエステルフィルムのヘイズ値は1.2%であった。
<ポリエステルフィルム8>
下記要領で、A層/B層/A層の3層構造のポリエステルフィルムを製造した。
(炭酸カルシウム粒子の製造)
粉砕後選別したFeを鉄元素として70ppm含有する石灰石を粗原料に用いて、石灰乳を製造後、COガスを導通して炭酸化反応を完結させ、得られた平均粒子径0.05μmの炭酸カルシウムのシード粒子(10質量%濃度水分散体)に石灰乳を添加しながら1.2μmの粒径まで熟成させた後、脱水、乾燥した。該炭酸カルシウム粒子の鉄元素含有量は70ppmであった。その後、ポリアクリル酸アンモニウム塩(東亜合成株式会社製:A−30SL)を炭酸カルシウムに対して1.0質量%になるように添加後、エチレングリコールでスラリー化し、湿式粉砕することで平均粒子径が1.1μmのカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子の50質量%エチレングリコールスラリーを得た。その後、35質量%の濃度にエチレングリコールで希釈し、スーパーデカンター(トモエ製P−3000)を使用して、ボール回転数4000rpm、バックドライブ回転数1800rpm、供給速度0.4m3/hr、供給スラリー温度35℃で湿式分級を実施し、最終的にエチレングリコールで10質量%の濃度に希釈し、10μmのフィルターで濾過して使用した。
(ポリエステル組成物1の製造)
250℃のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびそのオリゴマーが存在するエステル化反応装置にテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー(エチレングリコール/テレフタル酸のモル比は1.15)を3時間連続的に供給した。スラリー供給中はエステル化反応装置内に0.1MPaの圧力を加え、250℃でエステル化反応を行い、反応時間4時間でエステル化反応率98.0%の直重法オリゴマーを得た。仕込んだ分のエステル化反応物を重縮合反応缶に移した。該エステル化反応物の低重合体は、平均重合度は7.0であった。該低重合体に、常圧下、まず、0.23モルのエチレングリコールを追加添加し、5分後、三酸化アンチモン/酢酸マグネシウム・4水和物/酢酸リチウム・2水和物をアンチモン元素として230ppm、マグネシウム元素として65ppm、リチウム元素として2ppmとなるように添加、5分後、更に0.23モルのエチレングリコールを追加添加し、5分後トリメチルフォスフェートをリン元素として45ppmとなるように添加(((1/2)A+M)/P=1.94)、再度、5分後、0.24モルのエチレングリコールをトータルのモル比が1.85となるように追加(3回の追加エチレングリコール添加量合計0.7モル)添加した。低重合体の平均重合度は2.1であった。その後、上記で調製した炭酸カルシウム粒子の10質量%エチレングリコールスラリーを、炭酸カルシウム粒子としてポリエステルに対して1.0質量%となるように常圧下、250℃で低重合体に添加した。10分間攪拌後、反応系を常圧から100Paまで徐々に下げ、290℃まで昇温して重縮合反応を終了させポリエステル組成物1を得た。
(ポリエステル組成物2の製造)
上記ポリエステル組成物1と同様の方法で炭酸カルシウム粒子だけを含有しないポリエステル組成物2を製造した。
(ポリエステルフィルムの製造)
以下に記載する該フィルムの回収原料とポリエステル組成物1を50重量%ずつ配合したB層(26μm)と、ポリエステル組成物1とポリエステル組成物2を炭酸カルシウム粒子として0.5重量%となるように配合したA層(2μm)とから、A層(2μm)/B層(26μm)/A層(2μm)の3層積層構造のポリエステルフィルム(総厚み30μm)を得た。
具体的には、ポリエステル組成物1、2およびフィルムの回収原料をそれぞれ配合し160℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。この未延伸積層フィルムをリニアモーター式の同時二軸延伸機により95℃で長手方向に3.6倍、及び幅方向にそれぞれ4.1倍、トータルで14.8倍延伸しその後、再度180℃で1.05倍幅方向に延伸し、定長下、220℃で3秒間熱処理し、総厚み30μmのポリエステルフィルムを得た。このポリエステルフィルムのヘイズ値は7.0%であった。
<ポリエステルフィルム9>
炭酸カルシウムの平均粒子径を0.3μmに変更する以外は、ポリエステルフィルム8と同様にして製造した。このポリエステルフィルムのヘイズ値は、6.0%であった。
<ポリエステルフィルム10>
炭酸カルシウムの平均粒子径を1.7μmに変更する以外は、ポリエステルフィルム8と同様にして製造した。このポリエステルフィルムのヘイズ値は、10.5%であった。
[実施例1]
ポリエステルフィルム1の一方の面に、下記の離型層塗工液p1(活性エネルギー線硬化性組成物)をグラビアコーターで塗布し、100℃で乾燥後、紫外線を300mJ/cm照射し硬化させて離型層を形成して離型フィルムを作製した。離型層の厚みは200nmであった。
<離型層塗工液p1>
下記で合成した重合性長鎖アルキル化合物(α1)を25質量部、重合性化合物(β)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)を75質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)を10質量部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。この組成物をトルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度4質量%にして塗工液を調製した。
<重合性長鎖アルキル化合物(α1)の合成>
撹拌機および温度計を装備したフラスコに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(a)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒(株)の「BHEA」を100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)としてジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)の「“ミリオネート(登録商標)”MT」)を240質量部、高級アルコール(c)としてステアリルアルコール(新日本理化(株)の「コノール30SS」)26質量部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、反応を終了させた。
[実施例2]
下記の離型層塗工液p2(活性エネルギー線硬化性性組成物)に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。
<離型層塗工液p2>
下記で合成した重合性長鎖アルキル化合物(α2)を15質量部、重合性化合物(β)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)を85質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)を10質量部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。この組成物をトルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度4質量%にして塗工液を調製した。
<重合性長鎖アルキル化合物(α2)の合成>
撹拌機および温度計を装備したフラスコに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(a)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒(株)の「BHEA」を100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)としてヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)の商品名「HDI」)を86質量部、高級アルコール(c)としてステアリルアルコール(新日本理化(株)の「コノール30SS」)46質量部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、反応を終了させた。
[実施例3]
下記の離型層塗工液p3(活性エネルギー線硬化性性組成物)に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。
<離型層塗工液p3>
下記で合成した非重合性長鎖アルキル化合物10質量部、重合性化合物(β)として、ウレタンアクリレート(共栄社化学製の「UA−306T」)66質量部、およびトリシクロデカンジメタノールアクリレート33質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)3質量を、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度4質量%にして塗工液を調製した。
<非重合性長鎖アルキル化合物の合成>
撹拌機、窒素導入管、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート50質量部を加え、さらに2,2′−ビピリジン1.2質量部を加えて、系内を窒素置換した。窒素気流下、臭化銅0.5質量部を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤(2−ブロモイソ酪酸エチル)0.6質量部を加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下で90℃で10時間重合した。重合率が85重量%以上であることを確認したのち、アクリル酸2−エチルヘキシル33質量部をラバーセブタムから添加して、110℃で20時間加熱した。
このようにして、オクタデシルアクリレート重合体ブロックとアクリル酸2−エチルヘキシル重合体ブロックとのA−B型ジブロックポリマーを得た。これを60℃に加熱して、8,000gの遠心力で30分遠心処理し、上澄みの重合体を得た。この重合体50質量部にスルホン酸型イオン交換樹脂10質量部を加え、100℃で1時間撹拌して、イオン交換樹脂を濾去し、数平均分子量が25,000の長鎖アルキル化合物(ポリマー)を得た。
[比較例1]
ポリエステルフィルム1の一方の面に、下記の離型層塗工液p4(熱硬化性組成物)をグラビアコーターで塗布し、100℃で予備乾燥後、160℃で加熱乾燥し、離型層を形成して離型フィルムを作製した。離型層の厚みは200nmであった。
<離型層塗工液p4>
長鎖アルキル化合物(アシオ産業(株)の「“アシオレジン(登録商標)”」RA−95H)を固形分換算で10質量部、メラミン系架橋剤(住友化学(株)の「“スミマール(登録商標)”」M66−B)を固形分換算で2.5質量部、酸触媒(p−トルエンスルホン酸(テイカ(株)の「TAYCACURE」AC−700))を固形分換算で1.3質量部を、トルエンで溶解して、固形分濃度2.0質量%の塗工液を調製した。
[実施例4〜8および比較例2〜5]
実施例1のポリエステルフィルム1を表1に示すポリエステルフィルム2〜10に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4〜8および比較例2〜5の離型フィルムを作製した。
[評価]
上記で作製した実施例および比較例の離型フィルムについて、上述の測定方法および評価方法に従って評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0006458910
Figure 0006458910

Claims (8)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、ヘイズ値が1.5〜8.0%であり、かつ前記離型層が炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層であり、前記基材フィルムが3層積層構造である、離型フィルム。
  2. 前記炭素数8以上のアルキル基を有する化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物である、請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中に2〜10個のエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物を含有する、請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 常態剥離力(A)が1.5N/50mm以下、加熱剥離力(B)が2.0N/50mm以下、かつ前記常態剥離力と前記加熱剥離力との差(B−A)が1.3N/50mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
  5. 前記離型層の表面自由エネルギーが20〜35mJ/mである、請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
  6. 基材フィルムの厚みが50μm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルム。
  7. 基材フィルムがA層/B層/A層またはA層/B層/C層の3層積層構造である、請求項1〜6のいずれかに記載の離型フィルム。
  8. 基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムを製造する方法であって、前記離型フィルムのヘイズ値が1.5〜8.0%であり、かつ炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含む組成物に活性エネルギー線を照射して硬化層とすることにより前記離型層を形成する工程を有する、離型フィルムの製造方法。
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