JP7086355B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
[1]無延伸ポリオレフィンフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する、積層フィルム。
[2]前記炭素数8以上のアルキル基を有する化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物(α)である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)を含有する、[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記硬化層の中心線平均粗さRaが10nm以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]ヘイズ値が1.5%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]前記硬化層の表面自由エネルギーが20~35mJ/m2である、[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルムからなる、離型フィルム。
[8][1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層上に被転写層を積層するために用いられる、転写用離型フィルム。
[9][1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層上に粘着層が積層されてなる、粘着層転写フィルム。
[10][1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層とは反対面に粘着層が積層されてなる、粘着フィルム。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する。以下、炭素数8以上のアルキル基を「長鎖アルキル基」ということがあり、また炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を「長鎖アルキル化合物」ということがある。長鎖アルキル基は直鎖あるいは分岐のアルキル基を含む。
重合性化合物(β)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート-トルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート-イソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層は、例えば、該組成物を無延伸ポリオレフィンフィルム上に塗布し乾燥した後、活性エネルギー線を照射し、硬化することによって得られる。
本発明における無延伸ポリオレフィンフィルムを構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの混合物が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、無延伸ポリオレフィンフィルムの少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有する。硬化層は、無延伸ポリオレフィンフィルムの片面のみに設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
本発明の積層フィルムは、離型フィルムとして好適である。例えば、粘着層、感光性樹脂層、セラミック層、エポキシ封止層などの被剥離層を積層し、この被剥離層を他の被着体に転写被着するために用いられる転写用離型フィルムとして好適である。特に、被剥離層が粘着層である粘着層転写用離型フィルムとして好適である。この場合、積層フィルムの硬化層は離型層として機能する。
[測定方法および評価方法]
(1)積層フィルムおよび無延伸ポリオレフィンフィルムのヘイズ値の測定
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH-4000」を用いて積層フィルムのヘイズ値を測定した。測定に際し、積層フィルムの硬化層表面に光が入射するように配置した。
JIS B0601(1982)に基づき、触針式表面粗さ測定器SE-3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。
・送り速さ;0.5mm/sec
・評価長さ;8mm
・カットオフ値λc;
Raが20nm以下の場合、λc=0.08mm
Raが20nmより大きく100nm以下の場合、λc=0.25mm
Raが100nmより大きく2000nm以下の場合、λc=0.8mm
尚、上記測定条件で測定するに際し、まずカットオフ値λc=0.8mmで測定し、その結果、Raが100nmより大きい場合はそのRaを採用する。一方、上記測定の結果、Raが100nm以下の場合は、λc=0.25mmで再測定し、その結果、Raが20nmより大きい場合は、そのRaを採用する。一方、上記の再測定の結果、Raが20nm以下の場合は、λc=0.08mmで測定し、そのRaを採用する。
表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力、極性力、水素結合力)の値が既知の3種の液体として、水、ジヨードメタン、1-ブロモナフタレンを用い、23℃、65%RH下で、接触角計DropMasterDM501(協和界面科学(株)製)にて、各液体の硬化層上での接触角を測定した。1つの測定面に対し5回測定を行いその平均値を接触角(θ)とした。この接触角(θ)の値および各液体の既知の値(Panzerによる方法IV(日本接着協会誌第15巻、第3号、第96頁に記載)の数値から、北崎・畑の式より導入される下記式を用いて各成分の値を計算した。
ここで、γLd、γLp、γLhは、それぞれ測定液の分散力、極性力、水素結合力の各成分を表し、θは測定面上での測定液の接触角を表し、また、γSd、γSp、γShは、それぞれ硬化層表面の分散力、極性力、水素結合力の各成分の値を表し、γLは各液体の表面エネルギーを表す。既知の値およびθを上記の式に代入して得られた連立方程式を解くことにより、測定面(硬化層表面)の3成分の値を求めた。
(4)硬化層の剥離力の測定
積層フィルムの硬化層表面にアクリル系粘着テープ(日東電工(株)製の「No.31B」)の粘着面を自重5kgのゴムローラーで押さえながら一往復させて貼り合わせ、室温(23±2℃)で24時間放置後、引張り試験機にて、300mm/minの速度で、粘着テープ側を180°に引き剥したときの剥離力を測定した。
有機溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、酢酸エチルを用いて、それぞれの有機溶剤に対する耐溶剤性を以下の要領で評価した。
A;上記3種のいずれの溶剤でも硬化層が変化しない場合。
B;上記3種の溶剤の中に硬化層を白化させる溶剤がある場合。
C;上記3種の溶剤の中に硬化層を消失させる溶剤がある場合。
積層フィルムの断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム(日立製FB-2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118~119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡(日立製H-9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、断面観察用サンプルの断面を観察し、無延伸ポリオレフィンフィルムおよび硬化層の厚みを測定した。
積層フィルムの外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A;積層フィルムに皴および変形は認められない。
B;積層フィルムに皴あるいは変形がわずかには認められる。
C;積層フィルムに皴あるいは変形が認められる。
3M(株)のアクリル粘着シート(“OCA(登録商標)”8146-2)の片方のセパレータを剥離し、実施例および比較例で作製した積層フィルムの硬化層と貼り合せて試験片を作製した。次に、この試験片を積層フィルムが上になるように台に静置し、試験片から高さ50cmの位置に設置された40W三波長蛍光下で目視観察し、下記基準で評価した。
A;積層フィルムが容易に識別できる。
B;積層フィルムがなんとか識別できる。
C;積層フィルムが識別できない。
下記の無延伸ポリプロピレンフィルムを用意した。
<フィルム1>
東レフィルム加工(株)の“トレファン(登録商標)”NO3721;厚みは70μm、ヘイズ値は26.1%、中心線平均粗さRaは195nm。
<フィルム2>
東レフィルム加工(株)の“トレファン(登録商標)”NO3701J;厚みは40μm、ヘイズ値は24.3%、中心線平均粗さRaは237nm。
<フィルム3>
東レフィルム加工(株)の“トレファン(登録商標)”NO3301;厚みは50μm、ヘイズ値は4.2%、中心線平均粗さRaは63nm。
<フィルム4>
東レフィルム加工(株)の“トレファン(登録商標)”NO3501;厚みは60μm、ヘイズ値は3.0%、中心線平均粗さRaは47nm。
フィルム1のコロナ処理面に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物p1をグラビアコーターで塗布し、最高温度70℃で乾燥後、紫外線を300mJ/cm2照射し硬化させて硬化層を形成して積層フィルムを作製した。硬化層の厚みは200nmであった。
下記で合成した重合性長鎖アルキル化合物(α1)を25質量部、重合性化合物(β)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)を75質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)を10質量部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。この組成物をトルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度4質量%にして組成物を調製した。
撹拌機および温度計を装備したフラスコに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(a)として2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒(株)の「BHEA」を100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)としてジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)の「“ミリオネート(登録商標)”MT」)を240質量部、高級アルコール(c)としてステアリルアルコール(新日本理化(株)の「コノール30SS」)26質量部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、反応を終了させた。
下記の活性エネルギー線硬化性組成物p2に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
下記で合成した重合性長鎖アルキル化合物(α2)を20質量部、重合性化合物(β)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック(株)の商品名「DPHA」)を80質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)を10質量部仕込み100℃に昇温してから1時間混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。この組成物をトルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度4質量%にして塗工液を調製した。
撹拌機および温度計を装備したフラスコに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(a)として2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒(株)の「BHEA」を100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)としてヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)の商品名「HDI」)を86質量部、高級アルコール(c)としてステアリルアルコール(新日本理化(株)の「コノール30SS」)46質量部を仕込み、100℃まで昇温して7時間保温して反応させ、IR測定の結果イソシアネート基が消失したことを確認し、反応を終了させた。
下記の活性エネルギー線硬化性組成物p3に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
下記で合成した非重合性長鎖アルキル化合物13質量部、重合性化合物(β)として、ウレタンアクリレート(共栄社化学製の「UA-306T」)60質量部、およびトリシクロデカンジメタノールアクリレート27質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184)7質量を、トルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒(トルエン:IPA=3:1(質量比))で固形分濃度4質量%にして塗工液を調製した。
撹拌機、窒素導入管、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート50質量部を加え、さらに2,2′-ビピリジン1.2質量部を加えて、系内を窒素置換した。窒素気流下、臭化銅0.5質量部を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤(2-ブロモイソ酪酸エチル)0.6質量部を加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下90℃で10時間重合した。重合率が85重量%以上であることを確認したのち、アクリル酸2-エチルヘキシル33質量部をラバーセブタムから添加して、110℃で20時間加熱した。
フィルム1のコロナ処理面に、下記の熱硬化性組成物p4をグラビアコーターで塗布し、最高温度90℃で乾燥後、最高温度160℃で加熱硬化し、硬化層を形成して積層フィルムを作製した。硬化層の厚みは200nmであった。
長鎖アルキル化合物(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の「ピーロイル」1050)を固形分換算で10質量部、メラミン系架橋剤(三井化学(株)の「ユーバン」28-60)を固形分換算で25質量部、p-トルエンスルホン酸(テイカ(株)の「TAYCACURE」AC-707)を固形分換算で2.0質量部を、混合溶媒(トルエン:メチルエチルケトン:シクロヘキサノン=45:45:10(質量比))で固形分濃度2.0質量%になるように調製した。
比較例1において、最高温度90℃で乾燥後、最高温度120℃で加熱硬化した以外は比較例1と同様にして硬化層を形成して積層フィルムを作製した。
実施例1のフィルム1を表1に示すようにフィルム2~4に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4~6の積層フィルムを作製した。
[評価]
上記で作製した実施例および比較例の積層フィルムについて、上述の測定方法および評価方法に従って評価した。その結果を表1に示す。
Claims (9)
- 無延伸ポリオレフィンフィルムの少なくとも一方の面に、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層を有し、
活性エネルギー線硬化性組成物が、分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)を含有し、
活性エネルギー線硬化性組成物における炭素数8以上のアルキル基を有する化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、3質量%以上70質量%以下であり、
活性エネルギー線硬化性組成物における分子中にエチレン性不飽和基を有しかつ炭素数8以上のアルキル基を有しない化合物(β)の含有量が、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、10質量%以上90質量%以下であり、
前記硬化層の中心線平均粗さRaが10nm以上である、積層フィルム。 - 前記炭素数8以上のアルキル基を有する化合物が、分子中にエチレン性不飽和基と炭素数8以上のアルキル基とを含む化合物(α)である、請求項1に記載の積層フィルム。
- 活性エネルギー線硬化性組成物が、さらに光重合開始剤を含み、前記光重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、0.1~15質量%である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
- ヘイズ値が1.5%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記硬化層の表面自由エネルギーが20~35mJ/m2である、請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルムからなる、離型フィルム。
- 請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層上に被転写層を積層するために用いられる、転写用離型フィルム。
- 請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルムの硬化層上に粘着層が積層されてなる、粘着層転写フィルム。
- 無延伸ポリオレフィンフィルムの一方の面にのみ硬化層を有する請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの前記硬化層とは反対面に粘着層が積層されてなる、粘着フィルム。
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