JP2004345254A - 積層シート及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】離型シートとして使用される積層シートであって、シートの弾性率や製造時の加工性を損なうことなく、離型性に優れ、粘着テープの粘着性能に悪影響を与え難いと共に、簡便な工程で製造することが出来るため、コスト的にも有利である積層シートを提供する。
【解決手段】少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る積層シートであって、離型層は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体および成分(B)としてポリプロピレン含有量が80重量%以上のプロピレン系重合体を主成分として含有し、かつ、成分(A)と(B)の重量比が90:10〜30:70である離型剤から成り、樹脂基材層のうち離型層に接する基材表面層(S)が特定のメルトフローレートである樹脂から成る。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る積層シートであって、離型層は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体および成分(B)としてポリプロピレン含有量が80重量%以上のプロピレン系重合体を主成分として含有し、かつ、成分(A)と(B)の重量比が90:10〜30:70である離型剤から成り、樹脂基材層のうち離型層に接する基材表面層(S)が特定のメルトフローレートである樹脂から成る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層シート及び成形品に関し、詳しくは、離型シートとして使用され、それ自体および成形品への成形性や物性などを損なうことなく、十分な離型性を有する積層シート及び当該積層シートを成形して成る成形品に関する。なお、本明細書において「シート」の語はフィルムをも含む概念として使用されている。
【0002】
【従来の技術】
現在、食品容器などにおいて、意匠性、品質表示のため、紙ラベル等を容器に貼ると言うことが多用されている。ところが、剥離強度が大きいために紙ラベルを剥がす際の離型性が悪く、結果として紙ラベルを張り付けたまま廃棄することが行われている。そして、プラスチックリサイクルを行う際、その分別が困難であるため、プラスチックゴミは分別回収されても埋め立て処分されることが多い。
【0003】
上記の様な問題に対処するため、ラベルを剥離し易くする技術が幾つか提案されており、例えばシリコンを表面に塗布する方法が考えられる。ところが、シリコーン系離型剤を使用した従来の離型シートは、シリコーン系原料自体が比較的高価である上に、離型シートの製造に際し、離型剤を塗布して離型層を形成する工程を要するため、工程が煩雑となり、コスト的に不利である。また、シリコーン系原料は人体に好ましいものではない。
【0004】
一方、ICトレー等の電子部品を搬送する際にもロットの表示などでラベルを貼り付けることが行われている。ところが、シリコン自体が電極基盤などの電子部品に対し、半田つけ不良などの悪影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
また、電子部品のみならず、ダンボールプラスチック等の用途に使用されるシート、トレー等は、繰り返し使用することを前提としているが、ラベルを剥離することが困難なため、以前のラベルの上から重ねて貼り付けざるを得ず、それがロット表示間違い等のエラーを起こす原因となっている。
【0006】
そこで、シリコーン系材料離型剤の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合エラストマー等を使用する離型剤が開示されている(例えば特許文献1及び2参照)。ところが、エチレン・α−オレフィン共重合エラストマー単体では押出加工が困難なためポリエチレンと混合して使用されているが、このエラストマーの配合割合が少ない場合は離型効果が不十分となり、配合割合が多くなり且つ離型層の厚さが厚い場合は、離型シート弾性率が低下し、ブロッキングし易い等の問題がある。また、離型層の厚さは離型性を大きく左右し、厚さが厚い程に良好な離型特性が得られることが開示されている(例えば特許文献1の実施例8及び比較例7参照)。更に、一般には、離型層の厚さは5μm以上であることが好ましいとされている(例えば特許文献3及び4参照)。
【0007】
上述の様に、離型シートの物性やシート製造時および容器製造時の加工性を維持しながら、良好な離型特性を持たせることは非常に困難である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭55−65281号公報
【特許文献2】
特開昭55−80479号公報
【特許文献3】
特開2001−3010号公報
【特許文献4】
特開2001−246697号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、離型シートとして使用される積層シートであって、シートの弾性率や製造時の加工性を損なうことなく、離型性に優れ、粘着テープの粘着性能に悪影響を与え難いと共に、簡便な工程で製造することが出来るため、コスト的にも有利である積層シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の積層シートを成形して成る成形品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の要旨は、少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る積層シートであって、離型層に接する樹脂基材層(S)は、以下の式(i)及び(ii)を満足する樹脂から成り、離型層は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体および成分(B)としてポリプロピレン含有量が80重量%以上のプロピレン系重合体を主成分として含有し、かつ、成分(A)と(B)の重量比が90:10〜30:70である離型剤から成ることを特徴とする積層シートに存する。
【0011】
【数2】
0.1g/10分≦M(1)≦20g/10分・・・(i)
M(1)≦M(2) ・・・(ii)
(但し、M(1)は樹脂基材層(S)を構成する樹脂のメルトフローレート、M(2)は離型剤のメルトフローレートである。)
【0012】
本発明の第2の要旨は、上記の積層シートであって、脂基材層の片面のみに離型層を備えている積層シートを使用し、離型層が表面側に位置する様に成形して成ることを特徴とする成形品に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明の積層シートについて説明するに、本発明の積層シートは、少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る。
【0014】
樹脂基材層の構成樹脂は、シート状に加工できる熱可塑性樹脂であれば何ら制限なく使用することが出来る。斯かる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
【0015】
また、樹脂基材層は、必要に応じて多層にし、種々の機能や特性を付与することが出来る。以下にその応用例を幾つか挙げる。内容物を長期保存可能にするため、酸素などのガスバリア性が必要であれば、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂などを接着層と共に積層することも可能である。一例として、エチレンビニルアルコールを使用する場合の層構成としては、離型層/樹脂基材層/接着層/エチレンビニルアルコール層/接着層/樹脂基材層/表面層が挙げられる。接着層としては、公知の接着性樹脂、例えば、変性ポリオレフィン(商品名:三菱化学社製「ModicAP」等)が利用できる。
【0016】
また、容器に蓋をし、開封時に容易に蓋を剥がすことが出来る、所謂イージーピール性を付与するため、基材層の一部にイージーピール層を付加することが出来る。埃などの付着防止、静電気の発生防止が必要とされる電子部品用容器などの用途においては、離型層とは反対側の外表面にカーボンブラック、帯電防止剤など等を練りこんだ導電性を有する材料を配合して帯電防止性を付与することが出来る。また、軽量化のために、樹脂基材層の一部を発泡させることも可能である。発泡方法としては、ガス発泡、化学発泡などの公知の方法が挙げられるが、何れの方法でも構わない。この様に、本発明における樹脂基材層には、その多層化の利点を活かし、離型性以外の種々の機能や特性を付与することが出来る。
【0017】
離型層に接する樹脂基材層(S)の構成樹脂は、シート成形性、樹脂基材層と離型層との密着性などを保持させるため、少なくとも1種のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0018】
上記のポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、プロピレン、エチレン等のα−オレフィン、シクロオレフィン等の環状オレフィンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロックコポリマー等が挙げられる。特に、耐熱性、加工性の点から、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
【0019】
上記のポリプロピレン系熱可塑性樹脂の具体例としては、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1―ペンテン、3―メチル−1―ブテン、1―ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1―オクテン、1―デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。コモノマーとして使用するα−オレフィンは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
また、離型層に接する樹脂基材層(S)の構成樹脂には、例えば、イージーピール性、バリア性などの性能を発現させるため、樹脂基材層と離型層の剥離強度を減退させる、例えば、PET、ナイロン等をブレンドすることも可能である.
【0021】
また、樹脂基材層の構成樹脂には、必要に応じ、物性を損なわない範囲で、無機フィラー、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、核剤、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの添加剤、石油樹脂、ワックス等の改質剤などを添加してもよい。
【0022】
離型層に接する樹脂基材層(S)の構成樹脂は、メルトフローレートに関し、以下の式(i)及び(ii)を満足する必要がある。
【0023】
【数3】
0.1g/10分≦M(1)≦20g/10分・・・(i)
M(1)≦M(2) ・・・(ii)
(但し、M(1)は樹脂基材層(S)を構成する樹脂のメルトフローレート、M(2)は離型剤のメルトフローレートである。)
【0024】
M(1)が上記の式(i)を満足しない場合は次の問題がある。すなわち、0.1g/10分未満の場合はシート成形の際の押出が困難であり、20g/10分を超える場合はシートのドローダウン等の問題によりシート成形性が低下する。また、離型剤の均一な積層(すなわち離型層の形成)に対しても悪影響を与える。一方、M(1)が上記の式(ii)を満足しない場合は、押出し時に内層外層の間で荒れが発生し、外観が損なわれる。M(1)の好ましい値は0.3〜10g/10分である。
【0025】
上記のメルトインデックスは、JIS K7210に基づき、試験温度230℃、試験荷重2.16kgfで測定された値をいう(以下、同じ)。
【0026】
上記の離型層を構成する離型剤は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体、成分(B)としてプロピレン系重合体を主成分として含有する。
【0027】
成分(A)において使用されるα−オレフィン(但しエチレンを除く)としては、α−オレフィンとしては、例えば、前述の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。これらの中では、プロピレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンが好ましい。α−オレフィンは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。α−オレフィンの使用量は、通常20〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。α−オレフィンの使用量が20重量%未満の場合は十分な離型性が得られず、50重量%を超える場合は、耐熱性、加工性に問題が生じる。
【0028】
また、成分(A)の密度は、通常0.86〜0.92g/cm3、好ましくは0.86〜0.90g/cm3である。密度が0.86g/cm3未満の場合はべたつきが発生し、0.90g/cm3を超える場合は十分に小さい離型性が得られない。
【0029】
成分(B)としては、例えば、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、前述の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。コモノマーとして使用するα−オレフィンは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】
成分(B)におけるポリプロピレン含有量は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上である。ポリプロピレン含有量が80重量%未満の場合は耐熱性に問題がある。成分(B)のDSCにより測定された融解ピークは120℃以上であることが好ましい。融解ピークが120℃未満の場合は、離型層以外の耐熱性に対してその性能の発現を損なう恐れがある。ここで、融解ピ−ク温度(Tm)の測定は、JIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して行うことが出来る。
【0031】
成分(A)及び成分(B)は公知の方法によって製造される。例えば、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒がが触媒として使用される。バッチ法、気相法、スラリー法など公知のプロセスが使用される。
【0032】
成分(A)と(B)の重量比は90:10〜30:70である。成分(B)が多すぎる場合は十分な離型性が得られなくなり、少なすぎる場合は基材との密着性が低下して層間剥離が起こったり、基材が持っている耐熱性がトータルとして損なわれる。成分(A)と(B)の重量比は、好ましくは80:20〜50:50である。
【0033】
また、離型剤は、離型性を損なわない範囲で、ブロッキング防止剤(シリカ、ゼオライト等)、滑剤(パラフィン、フッ素樹脂など)、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤等)、核剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料などの各種添加剤の他、ポリエチレン、エラストマー、石油樹脂など他の樹脂を加えることが出来る。
【0034】
特に、離型性を過度に低下させない程度に、反応性の官能基を有するポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。斯かる官能基としては、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、エーテル基、アルキル基、ハロゲン原子含有基、エステル基、カルボニル基などが挙げられる。官能基の種類は1種であってもよく2種以上であってもよい。ポリオレフィンを変性して官能基を導入してもよいし、ポリオレフィンを重合する際にスチレン等のα−オレフィン以外のビニル化合物を併用して重合してよい。反応性の官能基を有するポリオレフィン系樹脂を含むことにより、基材との密着性が向上する。
【0035】
また、離型剤は、必要に応じ、上記の官能基と反応する架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は、上記の官能基と反応する多官能化合物であればよく、特にその種類は限定されない。例えば、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価ブロックイソシアネート化合物、多価カルボニル化合物、多価活性エステル化合物などが挙げられる。これらは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。架橋剤により、離型層の耐熱性や耐溶剤性が向上する。また、架橋剤を併用した場合は、ポリオレフィン系樹脂が有する反応性の官能基が多少多くても、架橋剤と反応することにより反応性の官能基が減少し、離型性の低下が抑制される。
【0036】
離型剤のメルトフローレート(M2)は、通常1〜50g/10分、好ましくは1〜20g/10分である。共押出により多層シートを得る際、メルトフローレートが余りに小さいと表面層の流動性が低下して表面荒れが発生し、余りに大きいと流動性が大きすぎて表面層に均一に押出すことが困難になる。
【0037】
本発明の積層シートは、公知の積層法により、基材の少なくとも片面に離型層を設けることにより得られる。例えば、共押出法、多層ブロー法、多層インジェクション法の他、離型層を予めフィルム状にしておきラミネーション法にて多層化する方法も採用し得る。これらの中では、コスト、他の溶剤を使用しない、満足し得る小さな離型性を保持する等の観点から、共押出法が好ましい。以下、共押出法について詳細に説明する。
【0038】
先ず、前記の樹脂基材層の原料および離型層の原料をそれぞれ溶融混練またはドライブレンドによって調製する。次いで、単軸、2軸などの押出成形機により押出し、フィードブロック等で合流させて積層構造にし、ダイスから押出して冷却した後に巻き取り機で巻き取る。
【0039】
共押出法によって離型シートを製造する場合、離型剤であるポリオレフィン系樹脂組成物の押出し温度は300℃以下に抑制するのが好ましい。また、基材の押出し温度は離型剤と同様に300℃以下に抑制するのが好ましい。離型シートの引き取り速度(m/h)は押出し速度と同じであるが、押出し機の樹脂基材層の原料の吐出量(g/h)は、原料の種類、目的とする離型シートの樹脂基材層の厚さ等により適宜選択することが好ましい。
【0040】
冷却方法は公知の方法を採用し得る。例えば、ポリッシングロールによる挟圧冷却、ベルトによる狭圧冷却、ロール上へのキャスト冷却、エアナイフによる冷却、丸ダイスから押出してブローアップによる冷却、水冷スリット等で冷却、水中へキャストする冷却などを適宜選択して採用することが出来る。また、本発明の離型シートは、無延伸でも又は公知の方法により少なくとも一軸に延伸されていてもよいが、高い製造効率および低い製造コストの観点から、無延伸が好ましい。
【0041】
本発明の積層シートにおける、離型層の平均厚さは、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜20μmである。一方、積層シートの平均厚さは、通常300μmから3mmである。斯かる平均厚さを有することにより、本発明の積層シートは、良好な離型性を発現でき、且つ、積層シート自体の物性や耐熱性などの低下の問題を生じることがない。
【0042】
離型層の平均厚さは、(1)積層シートの同一場所における積層シートの厚さと樹脂基材層の厚さとの差から求めた離型層の厚さを複数箇所測定した際の平均値として求めてもよいし、(2)離型層を構成する材料の特性基の、赤外吸収スペクトル等の吸収強度を測定し、既知の厚さでの吸収強度を基準にして離型層の厚さを換算し、複数箇所測定した際の平均値として求めてもよい。例えば、(2)の方法としてFT−IR法によって赤外吸収スペクトルを測定し、メチレン基の吸収強度(「縦揺れ振動」に起因する1370cm−1の波数を使用)の比較から計算することが出来る。
【0043】
本発明の積層シートは、例えば、積層シートのまま、または、折ることにより、ダンボールプラスチック、通い箱、ディスプレー包装などの用途に使用することが出来る。
【0044】
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、上記の積層シートであって、脂基材層の片面のみに離型層を備えている積層シートを使用し、離型層が表面側に位置する様に成形して成る。成形品の型状としては、各種のカップ、トレイ、皿、椀型などの型を挙げることが出来る。成形に供する離型シートの厚さは、成形品の使用目的に応じて選定すればよいが、通常0.1〜3.0mm、好ましくは0.15〜5.0mmである。
【0045】
成型方法としては、離型シートを加熱して軟化させた後に、金型形状状に成形する熱成形法が採用される。熱成形法を行う際の付型方法としては、真空、圧空、樹脂圧などの力を使用し、必要に応じ、プラグを併用する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)、プレスを使用する方法などが挙げられる。熱成形法の具体例としては、真空成型、プラグアシスト式真空圧空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形、インサートブロー成形、インサートインジェクション成形などが挙げられる。
【0046】
本発明においては、成型が容易である、出来上がった成形品の寸法精度が良い、離型層の性能を十分に保持できるという理由から、真空成型、圧空成型、真空圧空成型が好ましい。成形温度、真空度、圧空の圧力または成形速度などの各種条件は、プラグ型状、金型形状、積層シートの性質などにより適宜設定される。熱成型して得られた容器は、シール等の離型が容易であり、しかも、剛性、耐熱性、衝撃特性にも優れている。
【0047】
また、本発明の成形品は、食品容器、トレーの他、一般産業用途において、部品搬送トレー、キャリアテープ、電子部品トレー等に利用できる。その際、離型性に優れることから、特に、廃棄時や再利用時に粘着剤の着いたラベルを再度はがして利用できるというメリットを持つ。
【0048】
例えば、食品容器、ディスプレー包装などでは、素材別に分別廃棄することを容易にせしめるため、例えば、生産地、賞味期限などの表示、商品の意匠性、開封防止、景品、ガスバリア性付与のための、アルミラベルや印刷フィルム、内容物保護などのための粘着剤付きラベルを積層シート又は容器に貼りつけ、廃棄時に容易に剥離して分別廃棄することが出来る。一般産業用途においては、ダンボールプラスチック、通い箱など再利用する際、ロット番号などの表示したラベルを容易に剥離せしめて再利用することが出来る。また、傷つき防止フィルム、紫外線防止フィルム等においては、その性能が低下した場合、容易に新品に貼り変えることが出来る。離型性としては、剥離強度2000mN/cm以下が性能として有用であり、好ましくは1000mN/cm以下であり、その下限は通常10mN/cmである。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
<評価方法>
【0051】
(1)メルトインデックス:
JIS K7210に基づき、試験温度230℃、試験荷重2.16kgfで測定した。
【0052】
(2)融点;融解ピ−ク温度(Tm):
セイコー社製示差走査熱量測定(DSC)装置を使用し、JIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した。
【0053】
(3)離型シートの離型性:
離型シートの離型層面に粘着テープ(日東電工社製:ニットー502:アクリル系粘着剤)を貼合わせ、2kgの圧着ローラーで圧着し、25℃、湿度50%で1時間放置した後、25mm幅に裁断し、引張り試験機を使用し、同雰囲気下、30cm/minの速度で180°方向に引張り、離型層と粘着テープとの剥離強度を測定した。2000mN/cm以下の剥離強度が合格である。
【0054】
(4)離型シートの離型層の平均厚さ:
FT−IR法によって離型シートの赤外吸収スペクトルを測定し、メチレン基の吸収強度(「縦揺れ振動」に起因する1370cm−1の波数を使用)の比較から計算した。
【0055】
(5)外観の評価:
サンプルがシートの場合は、表面のあれ等を目視で判定した。成形品の場合、金型の再現性を目視で確認した。判定基準は次の通りである。○と△が合格である。
【0056】
【表1】
○:表面にあれ等が発生せず良好な表面状態を保持/表面荒れ等が無く金型を再現している。
△:やや表面にあれ等が発生している/やや表面荒れ等がある又は金型に対して若干ばたつき等が見られる。
×:表面にあれ等が発生している、層剥離などが生じている/金型を再現しておらず、また、層剥離などが生じている。
【0057】
(6)耐熱性評価:
120℃で保持された恒温槽にサンプルを24時間放置した後、初期の形との変形を評価した。評価基準は次の通りである。○と△が合格である。
【0058】
【表2】
○:変形なし。
△:やや変形あり。
×:大きな変形あり。
【0059】
<積層シートの成形>
成形装置として、ポリッシング3本ロール式シート成形機を使用した。装置の基本構成は、単軸押出機(40mmφ、L/D=25.5、2台使用)/フィードブロック/コートハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取り機/巻き取り機である。
【0060】
樹脂基材層、離型層の原料と成る各樹脂チップをドライブレンドによって混合し、これをシート成形機の各押出機に供給し、各成分をそれぞれ溶融混練しながら共押出成形し、積層シートを製造した。
【0061】
押出機は最上流を180℃とし、徐々に設定を上げながら先端を230℃とした。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て230℃とした。ダイリップの開度は0.7mmとした。エアギャップ(ダイリップ先端からロールまでの距離)は150mmとした。
【0062】
溶融樹脂の冷却固化は、金属ポリッシング(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で行った。ロール内部は、一定温度のオイルの循環によって冷却される構造となっており、この時のオイル温度は全て60℃とした。なお、ロール直径は、30cm、ロールの隙間は0.5mmとし、厚さ0.50mmのシートを得た。引き取り速度は1.0m/分とした。
【0063】
<容器の成形>
前記の積層シートを使用した。そして、間接加熱式圧空成形機((株)浅野研究所製:コスミック成形機)を使用し、圧空圧力5kg/cm2の条件で、縦8cm、幅15cm、深さ3cmの箱型容器を成形した。シートから20cm離れた位置にある上下ヒータを450℃に保持してシートを加熱した。加熱時間を変化させ、最良の外観を得られたもので評価を行った。
【0064】
実施例1
離型剤の成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR3.2g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)80重量%と、成分(B)として、エチレン含有量2.1mol%、MFR1.7g/10分のプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:ウィンテックWFX6)20重量%をドライブレンドして成る組成物を使用した。
【0065】
基材として、MFR1.5g/10分のポリプロピレン単独重合体(日本ポリケム社製:EA6A)85重量%、MFR1.2g/10分の高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製:HB439R)15重量%をドライブレンドして成る組成物を使用した。
【0066】
前記の共押出し法によりシート成形を行い、積層シート(離型シート)を得た。離型層の厚さは80μm、離型剤のMFRは2.9g/10分、全体厚さは1.7mm、基材のMFRは1.3g/10分であった。剥離強度は320mN/cmであった。シートの耐熱性および外観は良好であった。
【0067】
実施例2
実施例1において、成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR3.2g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)70重量%、成分(B)として、エチレン含有量3mol%、MFR1.3g/10分のプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:EG7F)30重量%を使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、離型剤のMFRは2.5g/10分であり、剥離強度は700mN/cmであった。シートの耐熱性および外観は良好であった。
【0068】
実施例3
実施例1において、成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR3.2g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)70重量%、成分(B)として、MFR0.7g/10分の低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製:ノバテックLD LF240)30重量%を使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、離型剤のMFRは2.5g/10分であり、剥離強度は650mN/cmであった。外観は若干凹凸が見られる程度であり、耐熱性の評価では若干の変形があった程度である。
【0069】
実施例4
実施例1で成形したシートを箱型容器に真空成形した。剥離強度は51mN/cmであり、耐熱性および外観は良好であった。
【0070】
実施例5
実施例2で成形したシートを箱型容器に真空成形した。剥離強度は765mN/cmであり、耐熱性および外観は良好であった。
【0071】
実施例6
実施例1において、エチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)100重量部に対し、架橋剤(日本油脂社製:パーヘキサ25B)0.1重量部、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)2重量部を210℃で5分間混練して成分(A)として使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型剤のMFRは2.1g/10分であり、剥離強度は80mN/cmであった。耐熱性および外観は良好であった。
【0072】
比較例1
実施例1において、離型剤の組成をプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:ウィンテックWFX6)100重量%に変更した以外は、実施例2と同様に成形して評価した。離型剤のMFRは1.3g/10分であり、剥離強度は2550mN/cmであった。
【0073】
比較例2
実施例1において、離型剤の組成をエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)100重量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、剥離強度は39mN/cmであった。耐熱性が悪く、また、外観は、基材層と離型層とが剥離して損なわれた。
【0074】
比較例3
実施例1において、エチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)を20重量%、成分(B)として、プロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:ウィンテックWFX6)を80重量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、剥離強度は2200mN/cmと高かった。また、耐熱性および外観は良好であった。
【0075】
比較例4
比較例3で成形したシートを上記記載の方法で幅15センチ、縦8センチ、深さ3センチの箱型容器に真空成形した。剥離強度は2230mN/cmと高かった。また、耐熱性および外観は良好であった。
【0076】
比較例5
実施例1において、成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR0.6g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP07P)70重量%、成分(B)として、エチレン含有量 mol%、MFR0.5g/10分のプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:EA9H)30重量%を使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。全体厚さは1.7mm、離型剤のMFRは0.6g/10分、剥離強度は812mN/cmであった。また、耐熱性は良好であったが、外観は荒れが見られて不良であった。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、離型シートとして使用される積層シートであって、シートの弾性率や製造時の加工性を損なうことなく、離型性に優れ、粘着テープの粘着性能に悪影響を与え難いと共に、簡便な工程で製造することが出来るため、コスト的にも有利である積層シート、および、当該積層シートを成形して成る成形品が提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層シート及び成形品に関し、詳しくは、離型シートとして使用され、それ自体および成形品への成形性や物性などを損なうことなく、十分な離型性を有する積層シート及び当該積層シートを成形して成る成形品に関する。なお、本明細書において「シート」の語はフィルムをも含む概念として使用されている。
【0002】
【従来の技術】
現在、食品容器などにおいて、意匠性、品質表示のため、紙ラベル等を容器に貼ると言うことが多用されている。ところが、剥離強度が大きいために紙ラベルを剥がす際の離型性が悪く、結果として紙ラベルを張り付けたまま廃棄することが行われている。そして、プラスチックリサイクルを行う際、その分別が困難であるため、プラスチックゴミは分別回収されても埋め立て処分されることが多い。
【0003】
上記の様な問題に対処するため、ラベルを剥離し易くする技術が幾つか提案されており、例えばシリコンを表面に塗布する方法が考えられる。ところが、シリコーン系離型剤を使用した従来の離型シートは、シリコーン系原料自体が比較的高価である上に、離型シートの製造に際し、離型剤を塗布して離型層を形成する工程を要するため、工程が煩雑となり、コスト的に不利である。また、シリコーン系原料は人体に好ましいものではない。
【0004】
一方、ICトレー等の電子部品を搬送する際にもロットの表示などでラベルを貼り付けることが行われている。ところが、シリコン自体が電極基盤などの電子部品に対し、半田つけ不良などの悪影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
また、電子部品のみならず、ダンボールプラスチック等の用途に使用されるシート、トレー等は、繰り返し使用することを前提としているが、ラベルを剥離することが困難なため、以前のラベルの上から重ねて貼り付けざるを得ず、それがロット表示間違い等のエラーを起こす原因となっている。
【0006】
そこで、シリコーン系材料離型剤の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合エラストマー等を使用する離型剤が開示されている(例えば特許文献1及び2参照)。ところが、エチレン・α−オレフィン共重合エラストマー単体では押出加工が困難なためポリエチレンと混合して使用されているが、このエラストマーの配合割合が少ない場合は離型効果が不十分となり、配合割合が多くなり且つ離型層の厚さが厚い場合は、離型シート弾性率が低下し、ブロッキングし易い等の問題がある。また、離型層の厚さは離型性を大きく左右し、厚さが厚い程に良好な離型特性が得られることが開示されている(例えば特許文献1の実施例8及び比較例7参照)。更に、一般には、離型層の厚さは5μm以上であることが好ましいとされている(例えば特許文献3及び4参照)。
【0007】
上述の様に、離型シートの物性やシート製造時および容器製造時の加工性を維持しながら、良好な離型特性を持たせることは非常に困難である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭55−65281号公報
【特許文献2】
特開昭55−80479号公報
【特許文献3】
特開2001−3010号公報
【特許文献4】
特開2001−246697号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、離型シートとして使用される積層シートであって、シートの弾性率や製造時の加工性を損なうことなく、離型性に優れ、粘着テープの粘着性能に悪影響を与え難いと共に、簡便な工程で製造することが出来るため、コスト的にも有利である積層シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の積層シートを成形して成る成形品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の要旨は、少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る積層シートであって、離型層に接する樹脂基材層(S)は、以下の式(i)及び(ii)を満足する樹脂から成り、離型層は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体および成分(B)としてポリプロピレン含有量が80重量%以上のプロピレン系重合体を主成分として含有し、かつ、成分(A)と(B)の重量比が90:10〜30:70である離型剤から成ることを特徴とする積層シートに存する。
【0011】
【数2】
0.1g/10分≦M(1)≦20g/10分・・・(i)
M(1)≦M(2) ・・・(ii)
(但し、M(1)は樹脂基材層(S)を構成する樹脂のメルトフローレート、M(2)は離型剤のメルトフローレートである。)
【0012】
本発明の第2の要旨は、上記の積層シートであって、脂基材層の片面のみに離型層を備えている積層シートを使用し、離型層が表面側に位置する様に成形して成ることを特徴とする成形品に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明の積層シートについて説明するに、本発明の積層シートは、少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る。
【0014】
樹脂基材層の構成樹脂は、シート状に加工できる熱可塑性樹脂であれば何ら制限なく使用することが出来る。斯かる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
【0015】
また、樹脂基材層は、必要に応じて多層にし、種々の機能や特性を付与することが出来る。以下にその応用例を幾つか挙げる。内容物を長期保存可能にするため、酸素などのガスバリア性が必要であれば、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂などを接着層と共に積層することも可能である。一例として、エチレンビニルアルコールを使用する場合の層構成としては、離型層/樹脂基材層/接着層/エチレンビニルアルコール層/接着層/樹脂基材層/表面層が挙げられる。接着層としては、公知の接着性樹脂、例えば、変性ポリオレフィン(商品名:三菱化学社製「ModicAP」等)が利用できる。
【0016】
また、容器に蓋をし、開封時に容易に蓋を剥がすことが出来る、所謂イージーピール性を付与するため、基材層の一部にイージーピール層を付加することが出来る。埃などの付着防止、静電気の発生防止が必要とされる電子部品用容器などの用途においては、離型層とは反対側の外表面にカーボンブラック、帯電防止剤など等を練りこんだ導電性を有する材料を配合して帯電防止性を付与することが出来る。また、軽量化のために、樹脂基材層の一部を発泡させることも可能である。発泡方法としては、ガス発泡、化学発泡などの公知の方法が挙げられるが、何れの方法でも構わない。この様に、本発明における樹脂基材層には、その多層化の利点を活かし、離型性以外の種々の機能や特性を付与することが出来る。
【0017】
離型層に接する樹脂基材層(S)の構成樹脂は、シート成形性、樹脂基材層と離型層との密着性などを保持させるため、少なくとも1種のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0018】
上記のポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、プロピレン、エチレン等のα−オレフィン、シクロオレフィン等の環状オレフィンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロックコポリマー等が挙げられる。特に、耐熱性、加工性の点から、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
【0019】
上記のポリプロピレン系熱可塑性樹脂の具体例としては、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1―ペンテン、3―メチル−1―ブテン、1―ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1―オクテン、1―デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。コモノマーとして使用するα−オレフィンは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
また、離型層に接する樹脂基材層(S)の構成樹脂には、例えば、イージーピール性、バリア性などの性能を発現させるため、樹脂基材層と離型層の剥離強度を減退させる、例えば、PET、ナイロン等をブレンドすることも可能である.
【0021】
また、樹脂基材層の構成樹脂には、必要に応じ、物性を損なわない範囲で、無機フィラー、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、核剤、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの添加剤、石油樹脂、ワックス等の改質剤などを添加してもよい。
【0022】
離型層に接する樹脂基材層(S)の構成樹脂は、メルトフローレートに関し、以下の式(i)及び(ii)を満足する必要がある。
【0023】
【数3】
0.1g/10分≦M(1)≦20g/10分・・・(i)
M(1)≦M(2) ・・・(ii)
(但し、M(1)は樹脂基材層(S)を構成する樹脂のメルトフローレート、M(2)は離型剤のメルトフローレートである。)
【0024】
M(1)が上記の式(i)を満足しない場合は次の問題がある。すなわち、0.1g/10分未満の場合はシート成形の際の押出が困難であり、20g/10分を超える場合はシートのドローダウン等の問題によりシート成形性が低下する。また、離型剤の均一な積層(すなわち離型層の形成)に対しても悪影響を与える。一方、M(1)が上記の式(ii)を満足しない場合は、押出し時に内層外層の間で荒れが発生し、外観が損なわれる。M(1)の好ましい値は0.3〜10g/10分である。
【0025】
上記のメルトインデックスは、JIS K7210に基づき、試験温度230℃、試験荷重2.16kgfで測定された値をいう(以下、同じ)。
【0026】
上記の離型層を構成する離型剤は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体、成分(B)としてプロピレン系重合体を主成分として含有する。
【0027】
成分(A)において使用されるα−オレフィン(但しエチレンを除く)としては、α−オレフィンとしては、例えば、前述の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。これらの中では、プロピレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンが好ましい。α−オレフィンは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。α−オレフィンの使用量は、通常20〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。α−オレフィンの使用量が20重量%未満の場合は十分な離型性が得られず、50重量%を超える場合は、耐熱性、加工性に問題が生じる。
【0028】
また、成分(A)の密度は、通常0.86〜0.92g/cm3、好ましくは0.86〜0.90g/cm3である。密度が0.86g/cm3未満の場合はべたつきが発生し、0.90g/cm3を超える場合は十分に小さい離型性が得られない。
【0029】
成分(B)としては、例えば、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、前述の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。コモノマーとして使用するα−オレフィンは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】
成分(B)におけるポリプロピレン含有量は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上である。ポリプロピレン含有量が80重量%未満の場合は耐熱性に問題がある。成分(B)のDSCにより測定された融解ピークは120℃以上であることが好ましい。融解ピークが120℃未満の場合は、離型層以外の耐熱性に対してその性能の発現を損なう恐れがある。ここで、融解ピ−ク温度(Tm)の測定は、JIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して行うことが出来る。
【0031】
成分(A)及び成分(B)は公知の方法によって製造される。例えば、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒がが触媒として使用される。バッチ法、気相法、スラリー法など公知のプロセスが使用される。
【0032】
成分(A)と(B)の重量比は90:10〜30:70である。成分(B)が多すぎる場合は十分な離型性が得られなくなり、少なすぎる場合は基材との密着性が低下して層間剥離が起こったり、基材が持っている耐熱性がトータルとして損なわれる。成分(A)と(B)の重量比は、好ましくは80:20〜50:50である。
【0033】
また、離型剤は、離型性を損なわない範囲で、ブロッキング防止剤(シリカ、ゼオライト等)、滑剤(パラフィン、フッ素樹脂など)、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤等)、核剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料などの各種添加剤の他、ポリエチレン、エラストマー、石油樹脂など他の樹脂を加えることが出来る。
【0034】
特に、離型性を過度に低下させない程度に、反応性の官能基を有するポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。斯かる官能基としては、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、エーテル基、アルキル基、ハロゲン原子含有基、エステル基、カルボニル基などが挙げられる。官能基の種類は1種であってもよく2種以上であってもよい。ポリオレフィンを変性して官能基を導入してもよいし、ポリオレフィンを重合する際にスチレン等のα−オレフィン以外のビニル化合物を併用して重合してよい。反応性の官能基を有するポリオレフィン系樹脂を含むことにより、基材との密着性が向上する。
【0035】
また、離型剤は、必要に応じ、上記の官能基と反応する架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は、上記の官能基と反応する多官能化合物であればよく、特にその種類は限定されない。例えば、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価ブロックイソシアネート化合物、多価カルボニル化合物、多価活性エステル化合物などが挙げられる。これらは1種であってもよく2種以上を併用してもよい。架橋剤により、離型層の耐熱性や耐溶剤性が向上する。また、架橋剤を併用した場合は、ポリオレフィン系樹脂が有する反応性の官能基が多少多くても、架橋剤と反応することにより反応性の官能基が減少し、離型性の低下が抑制される。
【0036】
離型剤のメルトフローレート(M2)は、通常1〜50g/10分、好ましくは1〜20g/10分である。共押出により多層シートを得る際、メルトフローレートが余りに小さいと表面層の流動性が低下して表面荒れが発生し、余りに大きいと流動性が大きすぎて表面層に均一に押出すことが困難になる。
【0037】
本発明の積層シートは、公知の積層法により、基材の少なくとも片面に離型層を設けることにより得られる。例えば、共押出法、多層ブロー法、多層インジェクション法の他、離型層を予めフィルム状にしておきラミネーション法にて多層化する方法も採用し得る。これらの中では、コスト、他の溶剤を使用しない、満足し得る小さな離型性を保持する等の観点から、共押出法が好ましい。以下、共押出法について詳細に説明する。
【0038】
先ず、前記の樹脂基材層の原料および離型層の原料をそれぞれ溶融混練またはドライブレンドによって調製する。次いで、単軸、2軸などの押出成形機により押出し、フィードブロック等で合流させて積層構造にし、ダイスから押出して冷却した後に巻き取り機で巻き取る。
【0039】
共押出法によって離型シートを製造する場合、離型剤であるポリオレフィン系樹脂組成物の押出し温度は300℃以下に抑制するのが好ましい。また、基材の押出し温度は離型剤と同様に300℃以下に抑制するのが好ましい。離型シートの引き取り速度(m/h)は押出し速度と同じであるが、押出し機の樹脂基材層の原料の吐出量(g/h)は、原料の種類、目的とする離型シートの樹脂基材層の厚さ等により適宜選択することが好ましい。
【0040】
冷却方法は公知の方法を採用し得る。例えば、ポリッシングロールによる挟圧冷却、ベルトによる狭圧冷却、ロール上へのキャスト冷却、エアナイフによる冷却、丸ダイスから押出してブローアップによる冷却、水冷スリット等で冷却、水中へキャストする冷却などを適宜選択して採用することが出来る。また、本発明の離型シートは、無延伸でも又は公知の方法により少なくとも一軸に延伸されていてもよいが、高い製造効率および低い製造コストの観点から、無延伸が好ましい。
【0041】
本発明の積層シートにおける、離型層の平均厚さは、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜20μmである。一方、積層シートの平均厚さは、通常300μmから3mmである。斯かる平均厚さを有することにより、本発明の積層シートは、良好な離型性を発現でき、且つ、積層シート自体の物性や耐熱性などの低下の問題を生じることがない。
【0042】
離型層の平均厚さは、(1)積層シートの同一場所における積層シートの厚さと樹脂基材層の厚さとの差から求めた離型層の厚さを複数箇所測定した際の平均値として求めてもよいし、(2)離型層を構成する材料の特性基の、赤外吸収スペクトル等の吸収強度を測定し、既知の厚さでの吸収強度を基準にして離型層の厚さを換算し、複数箇所測定した際の平均値として求めてもよい。例えば、(2)の方法としてFT−IR法によって赤外吸収スペクトルを測定し、メチレン基の吸収強度(「縦揺れ振動」に起因する1370cm−1の波数を使用)の比較から計算することが出来る。
【0043】
本発明の積層シートは、例えば、積層シートのまま、または、折ることにより、ダンボールプラスチック、通い箱、ディスプレー包装などの用途に使用することが出来る。
【0044】
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、上記の積層シートであって、脂基材層の片面のみに離型層を備えている積層シートを使用し、離型層が表面側に位置する様に成形して成る。成形品の型状としては、各種のカップ、トレイ、皿、椀型などの型を挙げることが出来る。成形に供する離型シートの厚さは、成形品の使用目的に応じて選定すればよいが、通常0.1〜3.0mm、好ましくは0.15〜5.0mmである。
【0045】
成型方法としては、離型シートを加熱して軟化させた後に、金型形状状に成形する熱成形法が採用される。熱成形法を行う際の付型方法としては、真空、圧空、樹脂圧などの力を使用し、必要に応じ、プラグを併用する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)、プレスを使用する方法などが挙げられる。熱成形法の具体例としては、真空成型、プラグアシスト式真空圧空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形、インサートブロー成形、インサートインジェクション成形などが挙げられる。
【0046】
本発明においては、成型が容易である、出来上がった成形品の寸法精度が良い、離型層の性能を十分に保持できるという理由から、真空成型、圧空成型、真空圧空成型が好ましい。成形温度、真空度、圧空の圧力または成形速度などの各種条件は、プラグ型状、金型形状、積層シートの性質などにより適宜設定される。熱成型して得られた容器は、シール等の離型が容易であり、しかも、剛性、耐熱性、衝撃特性にも優れている。
【0047】
また、本発明の成形品は、食品容器、トレーの他、一般産業用途において、部品搬送トレー、キャリアテープ、電子部品トレー等に利用できる。その際、離型性に優れることから、特に、廃棄時や再利用時に粘着剤の着いたラベルを再度はがして利用できるというメリットを持つ。
【0048】
例えば、食品容器、ディスプレー包装などでは、素材別に分別廃棄することを容易にせしめるため、例えば、生産地、賞味期限などの表示、商品の意匠性、開封防止、景品、ガスバリア性付与のための、アルミラベルや印刷フィルム、内容物保護などのための粘着剤付きラベルを積層シート又は容器に貼りつけ、廃棄時に容易に剥離して分別廃棄することが出来る。一般産業用途においては、ダンボールプラスチック、通い箱など再利用する際、ロット番号などの表示したラベルを容易に剥離せしめて再利用することが出来る。また、傷つき防止フィルム、紫外線防止フィルム等においては、その性能が低下した場合、容易に新品に貼り変えることが出来る。離型性としては、剥離強度2000mN/cm以下が性能として有用であり、好ましくは1000mN/cm以下であり、その下限は通常10mN/cmである。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
<評価方法>
【0051】
(1)メルトインデックス:
JIS K7210に基づき、試験温度230℃、試験荷重2.16kgfで測定した。
【0052】
(2)融点;融解ピ−ク温度(Tm):
セイコー社製示差走査熱量測定(DSC)装置を使用し、JIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定した。
【0053】
(3)離型シートの離型性:
離型シートの離型層面に粘着テープ(日東電工社製:ニットー502:アクリル系粘着剤)を貼合わせ、2kgの圧着ローラーで圧着し、25℃、湿度50%で1時間放置した後、25mm幅に裁断し、引張り試験機を使用し、同雰囲気下、30cm/minの速度で180°方向に引張り、離型層と粘着テープとの剥離強度を測定した。2000mN/cm以下の剥離強度が合格である。
【0054】
(4)離型シートの離型層の平均厚さ:
FT−IR法によって離型シートの赤外吸収スペクトルを測定し、メチレン基の吸収強度(「縦揺れ振動」に起因する1370cm−1の波数を使用)の比較から計算した。
【0055】
(5)外観の評価:
サンプルがシートの場合は、表面のあれ等を目視で判定した。成形品の場合、金型の再現性を目視で確認した。判定基準は次の通りである。○と△が合格である。
【0056】
【表1】
○:表面にあれ等が発生せず良好な表面状態を保持/表面荒れ等が無く金型を再現している。
△:やや表面にあれ等が発生している/やや表面荒れ等がある又は金型に対して若干ばたつき等が見られる。
×:表面にあれ等が発生している、層剥離などが生じている/金型を再現しておらず、また、層剥離などが生じている。
【0057】
(6)耐熱性評価:
120℃で保持された恒温槽にサンプルを24時間放置した後、初期の形との変形を評価した。評価基準は次の通りである。○と△が合格である。
【0058】
【表2】
○:変形なし。
△:やや変形あり。
×:大きな変形あり。
【0059】
<積層シートの成形>
成形装置として、ポリッシング3本ロール式シート成形機を使用した。装置の基本構成は、単軸押出機(40mmφ、L/D=25.5、2台使用)/フィードブロック/コートハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取り機/巻き取り機である。
【0060】
樹脂基材層、離型層の原料と成る各樹脂チップをドライブレンドによって混合し、これをシート成形機の各押出機に供給し、各成分をそれぞれ溶融混練しながら共押出成形し、積層シートを製造した。
【0061】
押出機は最上流を180℃とし、徐々に設定を上げながら先端を230℃とした。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て230℃とした。ダイリップの開度は0.7mmとした。エアギャップ(ダイリップ先端からロールまでの距離)は150mmとした。
【0062】
溶融樹脂の冷却固化は、金属ポリッシング(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で行った。ロール内部は、一定温度のオイルの循環によって冷却される構造となっており、この時のオイル温度は全て60℃とした。なお、ロール直径は、30cm、ロールの隙間は0.5mmとし、厚さ0.50mmのシートを得た。引き取り速度は1.0m/分とした。
【0063】
<容器の成形>
前記の積層シートを使用した。そして、間接加熱式圧空成形機((株)浅野研究所製:コスミック成形機)を使用し、圧空圧力5kg/cm2の条件で、縦8cm、幅15cm、深さ3cmの箱型容器を成形した。シートから20cm離れた位置にある上下ヒータを450℃に保持してシートを加熱した。加熱時間を変化させ、最良の外観を得られたもので評価を行った。
【0064】
実施例1
離型剤の成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR3.2g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)80重量%と、成分(B)として、エチレン含有量2.1mol%、MFR1.7g/10分のプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:ウィンテックWFX6)20重量%をドライブレンドして成る組成物を使用した。
【0065】
基材として、MFR1.5g/10分のポリプロピレン単独重合体(日本ポリケム社製:EA6A)85重量%、MFR1.2g/10分の高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製:HB439R)15重量%をドライブレンドして成る組成物を使用した。
【0066】
前記の共押出し法によりシート成形を行い、積層シート(離型シート)を得た。離型層の厚さは80μm、離型剤のMFRは2.9g/10分、全体厚さは1.7mm、基材のMFRは1.3g/10分であった。剥離強度は320mN/cmであった。シートの耐熱性および外観は良好であった。
【0067】
実施例2
実施例1において、成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR3.2g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)70重量%、成分(B)として、エチレン含有量3mol%、MFR1.3g/10分のプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:EG7F)30重量%を使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、離型剤のMFRは2.5g/10分であり、剥離強度は700mN/cmであった。シートの耐熱性および外観は良好であった。
【0068】
実施例3
実施例1において、成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR3.2g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)70重量%、成分(B)として、MFR0.7g/10分の低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製:ノバテックLD LF240)30重量%を使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、離型剤のMFRは2.5g/10分であり、剥離強度は650mN/cmであった。外観は若干凹凸が見られる程度であり、耐熱性の評価では若干の変形があった程度である。
【0069】
実施例4
実施例1で成形したシートを箱型容器に真空成形した。剥離強度は51mN/cmであり、耐熱性および外観は良好であった。
【0070】
実施例5
実施例2で成形したシートを箱型容器に真空成形した。剥離強度は765mN/cmであり、耐熱性および外観は良好であった。
【0071】
実施例6
実施例1において、エチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)100重量部に対し、架橋剤(日本油脂社製:パーヘキサ25B)0.1重量部、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)2重量部を210℃で5分間混練して成分(A)として使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型剤のMFRは2.1g/10分であり、剥離強度は80mN/cmであった。耐熱性および外観は良好であった。
【0072】
比較例1
実施例1において、離型剤の組成をプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:ウィンテックWFX6)100重量%に変更した以外は、実施例2と同様に成形して評価した。離型剤のMFRは1.3g/10分であり、剥離強度は2550mN/cmであった。
【0073】
比較例2
実施例1において、離型剤の組成をエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)100重量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、剥離強度は39mN/cmであった。耐熱性が悪く、また、外観は、基材層と離型層とが剥離して損なわれた。
【0074】
比較例3
実施例1において、エチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP02P)を20重量%、成分(B)として、プロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:ウィンテックWFX6)を80重量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。離型層の厚さは80μm、全厚さは1.7mm、剥離強度は2200mN/cmと高かった。また、耐熱性および外観は良好であった。
【0075】
比較例4
比較例3で成形したシートを上記記載の方法で幅15センチ、縦8センチ、深さ3センチの箱型容器に真空成形した。剥離強度は2230mN/cmと高かった。また、耐熱性および外観は良好であった。
【0076】
比較例5
実施例1において、成分(A)として、エチレン含有量26重量%、MFR0.6g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(JSR社製:EP07P)70重量%、成分(B)として、エチレン含有量 mol%、MFR0.5g/10分のプロピレン−エチレンランダムコポリマー(日本ポリケム社製:EA9H)30重量%を使用した以外は、実施例1と同様に成形して評価した。全体厚さは1.7mm、離型剤のMFRは0.6g/10分、剥離強度は812mN/cmであった。また、耐熱性は良好であったが、外観は荒れが見られて不良であった。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、離型シートとして使用される積層シートであって、シートの弾性率や製造時の加工性を損なうことなく、離型性に優れ、粘着テープの粘着性能に悪影響を与え難いと共に、簡便な工程で製造することが出来るため、コスト的にも有利である積層シート、および、当該積層シートを成形して成る成形品が提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (9)
- 少なくとも1層から成る樹脂基材層および当該樹脂基材層の少なくとも片面に接する離型層から成る積層シートであって、離型層に接する樹脂基材層(S)は、以下の式(i)及び(ii)を満足する樹脂から成り、離型層は、成分(A)としてエチレンと1種以上のα−オレフィン(但しエチレンを除く)から成るエチレン系共重合体および成分(B)としてポリプロピレン含有量が80重量%以上のプロピレン系重合体を主成分として含有し、かつ、成分(A)と(B)の重量比が90:10〜30:70である離型剤から成ることを特徴とする積層シート。
- 基材表面層(S)の構成樹脂が少なくとも1種のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載の積層シート。
- 成分(B)のDSCにより測定された融解ピークが120℃以上である請求項1又は2に記載の積層シート。
- 離型剤が更に反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含む請求項1〜3の何れかに記載の積層シート。
- 離型剤のメルトフローレートM(2)が1〜50g/10分である請求項1〜4の何れかに記載の積層シート。
- 共押出により成形される請求項1〜5の何れかに記載の積層シート。
- 離型層の厚さが0.1〜100μm、樹脂基材層の厚さが300μmから3mmである請求項第1〜6の何れかに記載の積層シート。
- 請求項1〜7の何れかに記載の積層シートであって、脂基材層の片面のみに離型層を備えている積層シートを使用し、離型層が表面側に位置する様に成形して成ることを特徴とする成形品。
- 真空成型、圧空成型または真空圧空成型により成形された請求項8に記載の成形品。
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JP2003145664A JP2004345254A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 積層シート及び成形品 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010209353A (ja) * | 2010-06-03 | 2010-09-24 | Sony Chemical & Information Device Corp | 異方性導電フィルム及びその製造方法 |
KR101879816B1 (ko) * | 2016-05-09 | 2018-07-18 | 주식회사 에스케이씨에스 | 이형지 및 그의 제조방법 |
JP2020006554A (ja) * | 2018-07-06 | 2020-01-16 | 東レフィルム加工株式会社 | 積層フィルム |
-
2003
- 2003-05-23 JP JP2003145664A patent/JP2004345254A/ja not_active Withdrawn
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