JP7289011B2 - 感熱ラベル及び感熱ラベルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、感熱ラベル及び感熱ラベルの製造方法に関する。
金型内に樹脂を注入して成形するインモールド成形では、金型内部に感熱ラベルを挿入し、成形時の熱によって成形体に熱融着させることがある。インモールド成形において、成形前の樹脂とラベルとの間の空気が逃げにくいと、成形後の成形体とラベルとの間に空気が残留して、ラベルの接着強度が低下するだけでなく、ブリスターと呼ばれる外観不良が生じ得る。
これに対し、成形体に接着する接着層にエンボス加工によって特定の凹凸形状が設けられたインモールドラベルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。凹凸により空気の流路が形成され、ラベルと成形体との間の空気を排出することができる。
特開平3-260689号公報
ラベルは、通常は成形体との接着面と反対側の表面に印刷が施される。上述のように成形体側の表面にエンボスが設けられると、ラベルのスタック時に印刷面にエンボスの凹凸形状が転写されることがある。そのため、エンボス加工によらずブリスターを減らせる感熱ラベルの開発が行われていた。
本発明は、ブリスターが少ない感熱ラベル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、成形体側のヒートシール層にフィラー粒子を配合し、かつヒートシール層が多層であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)基材層と、
前記基材層上にフィラー粒子を含有するヒートシール層と、を有し、
前記ヒートシール層が、前記基材層上に第1ヒートシール層と、前記第1ヒートシール層上に第2ヒートシール層とを有し、
前記フィラー粒子が、前記第2ヒートシール層により覆われ、
前記第2ヒートシール層の十点表面粗さRzJISが、5~15μmである
感熱ラベル。
(2)前記第2ヒートシール層が、ヒートシール樹脂を含有し、
前記ヒートシール樹脂のスウェル値が、0.5~1.6である
前記(1)に記載の感熱ラベル。
(3)前記ヒートシール層中の前記フィラー粒子の含有量が、2.5~25質量%である
前記(1)又は(2)に記載の感熱ラベル。
(4)前記第1ヒートシール層と前記基材層との間にサポート層を有し、
前記第1ヒートシール層は、エチレン系樹脂を含有し、
前記サポート層は、プロピレン系樹脂を含有する
前記(1)~(3)のいずれかに記載の感熱ラベル。
(5)基材層の樹脂組成物を用いて基材層を形成するステップと、
前記基材層上に第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の各樹脂組成物を共押出ししし、前記基材層、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層の順に積層された積層体を得るステップと、
前記積層体を延伸して、前記基材層、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層を含む感熱ラベルを得るステップと、を含み、
前記第1ヒートシール層の樹脂組成物がフィラー粒子を含有し、前記第2ヒートシール層の樹脂組成物がフィラー粒子を含有しないか、又は5質量%以下のフィラー粒子を含有し、
前記第2ヒートシール層の十点表面粗さRzJISが、5~15μmである
感熱ラベルの製造方法。
(6)前記積層体を得るステップは、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層の樹脂組成物とともにサポート層の樹脂組成物を共押出しし、前記基材層、前記サポート層、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層の順に積層された積層体を得る
前記(5)に記載の感熱ラベルの製造方法。
(7)前記第1ヒートシール層の樹脂組成物中の前記フィラー粒子の含有量が、5~50質量%である
前記(5)又は(6)に記載の感熱ラベルの製造方法。
本発明によれば、ブリスターが少ない感熱ラベル及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態の感熱ラベルの構造を示す断面図である。
以下、本発明の感熱ラベル及びその製造方法について詳細に説明する。以下の説明は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
(感熱ラベル)
本発明の感熱ラベルは、基材層と、当該基材層上にフィラー粒子を含有するヒートシール層とを有する。ヒートシール層は、基材層上に第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層をこの順に有する。フィラー粒子は、第2ヒートシール層により覆われ、この第2ヒートシール層の十点表面粗さRzJISが5~15μmである。通常は、基材層のヒートシール層と反対側の面に印刷層が設けられる。
このように、ヒートシール層中にフィラー粒子を含有させることによって、感熱ラベルの表面に十点表面粗さRzJISが特定範囲内にある微細な凹凸を設けることができる。凹凸によって感熱ラベルが成形体と接したときも空気の流路が形成されるため、インモールド成形時に成形体との間の空気を排出してブリスターの発生を減らすことができる。エンボス加工により凹凸を設ける場合に比べて凹凸が微細且つ不規則であるため、感熱ラベルがスタックされた場合でも、ヒートシール層と反対側の印刷層に凹凸形状が転写されることがなく、感熱ラベルの優れた外観が維持される。
一方、フィラー粒子によって微細な凹凸を設ける場合、メヤニが生じやすくなる。メヤニとは、押出成形を利用してヒートシール層を形成する際に、時間の経過とともに成形機のリップに付着する粒子の凝集物等をいう。一般に、粒子の凝集によるメヤニはフィラー粒子を多量に含む層を形成する際に生じやすい。しかし、ヒートシール層に用いられる樹脂は基材層と比べて溶融粘度が低く、感熱ラベルの製造過程における加熱によって溶融すると、ヒートシール層中のフィラー粒子が容易に移動する傾向がある。このため、フィラー粒子の含有量が少なくてもその一部が凝集してダイのリップに溜まり、メヤニとなり得る。メヤニが脱落して感熱ラベル中に異物として残存すると、感熱ラベルの品質を低下させる要因となり得る。
よって、ヒートシール層がフィラー粒子を含有する場合は定期的にメヤニを除去する等の製造上の管理が必要になる。しかし、本発明の感熱ラベルのヒートシール層は、第1ヒートシール層と第2ヒートシール層とを有し、多層化されている。第1ヒートシール層中にフィラー粒子を配合すれば、フィラー粒子が第1ヒートシール層の表面に移行しても、第2ヒートシール層によって覆われるため、表面におけるフィラー粒子の凝集及び凝集物の脱落を抑えることができる。したがって、メヤニの発生を抑えながら、ブリスターが少ない感熱ラベルを連続生産することが可能である。
本発明の感熱ラベルは、第1ヒートシール層と基材層との間にサポート層を有することが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態としての感熱ラベル10の構成を示す。
図1に例示する感熱ラベル10は、基材層1、ヒートシール層2及びサポート層3を有する。サポート層3は、基材層1とヒートシール層2の間に配置される。ヒートシール層2は、サポート層3上に第1ヒートシール層21及び第2ヒートシール層22をこの順に有する。また、ヒートシール層2は、第2ヒートシール層22により覆われたフィラー粒子4を含有する。基材層1のヒートシール層2と反対側の面上には印刷によって印刷層5が形成され得る。
以下、感熱ラベルの構成について説明する。
<基材層>
基材層は、感熱ラベルに機械的強度を付与することができる。これにより、感熱ラベルへの印刷時又は金型へのラベル挿入時に十分なコシが得られ、優れた取り扱い性が得られる。
<<熱可塑性樹脂>>
基材層は、熱可塑性樹脂を含有する。
熱可塑性樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。基材層は、機械的強度の観点から、熱可塑性樹脂として、オレフィン系樹脂又はエステル系樹脂を含むことが好ましく、オレフィン系樹脂を含むことがより好ましい。これらのうち、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
オレフィン系樹脂としては、例えばプロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂等が挙げられる。成形性及び機械的強度の観点からは、プロピレン系樹脂が好ましい。
プロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等が挙げられる。また、主成分となるプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、又は1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。これらのなかでも、プロピレン単独重合体が基材層の主原料として取扱いやすく、好ましい。
エチレン系樹脂としては、例えば密度が0.940~0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920~0.935g/cmの中密度ポリエチレン、密度が0.900~0.920g/cmの直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレン等を主体とし、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4-メチルペンテン-1等のα-オレフィンを共重合させた共重合体、マレイン酸変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体の金属塩(金属は亜鉛、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、エチレン-環状オレフィン共重合体、及びマレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
エステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
また、アミド系樹脂としては、例えばナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、及びナイロン-6,12等が挙げられる。
基材層中の熱可塑性樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。含有量が50質量%以上であれば、基材層の機械的強度が向上しやすい。一方、熱可塑性樹脂の含有量の上限は特になく、100質量%であってもよいし、強度又は成形性に影響を与えない範囲で後述するフィラー及び添加剤等が添加されて100質量%未満となってもよい。
<<フィラー>>
基材層は、フィラーを含有することができる。フィラーの含有により、延伸の際に基材層内部に空孔が形成されやすく、白色度又は不透明度を高めることができる。この場合、基材層は多孔質延伸層である。
基材層に使用できるフィラーとしては、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、珪藻土、白土、タルク、ルチル型二酸化チタン等の酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、及びガラスファイバー等の無機粒子が挙げられる。なかでも、重質炭酸カルシウム、クレイ又は珪藻土は、空孔の成形性が良好で、安価なために好ましい。なお、分散性改善等の目的から、無機フィラーの表面は脂肪酸等の表面処理剤で表面処理されていてもよい。
有機フィラーとしては、オレフィン系樹脂と非相溶のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状オレフィン単独重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体、ポリエチレンサルファイド、ポリイミド、ポリメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、及びメラミン樹脂等の有機粒子が挙げられる。
上記無機フィラー又は有機フィラーの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
基材層の白色度又は不透明度を高くする観点からは、基材層中のフィラーの含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、基材層の成形の均一性を高める観点からは、基材層中のフィラーの含有量は、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
無機フィラー又は有機フィラーの平均粒子径は、空孔形成の容易性の観点から、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。引裂き耐性等の機械的強度を付与する観点からは、無機フィラー又は有機フィラーの平均粒子径は、15μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は、粒子計測装置、例えばレーザー回折式粒子径分布測定装置(マイクロトラック、株式会社日機装製)により測定した体積累積で50%にあたる体積平均粒子径(累積50%粒径)D50である。また、有機フィラーの平均粒子径は、溶融混練と分散により熱可塑性樹脂中に分散したときの平均分散粒子径である。平均分散粒子径は、有機フィラーを含有する熱可塑性樹脂フィルムの切断面を電子顕微鏡で観察し、少なくとも10個の粒子の最大径を測定し、その平均値として求めることができる。
基材層には、必要に応じて公知の添加剤を任意に添加することができる。該添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機微細粉末の分散剤、高級脂肪酸金属塩などの滑剤、高級脂肪酸アミドなどのアンチブロッキング剤、染料、顔料、可塑剤、結晶核剤、離型剤、又は難燃剤などが挙げられる。
酸化防止剤を添加する場合は、立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、またはアミン系酸化防止剤等を通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。光安定剤を使用する場合は、立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、またはベンゾフェノン系光安定剤を通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。分散剤又は滑剤は、例えばフィラーを分散させる目的で使用する。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸あるいはステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリ(メタ)アクリル酸又はそれらの塩等を通常0.01~4質量%の範囲内で使用することができる。これらは、熱可塑性樹脂フィルムからなるインモールド成形用ラベルの印刷性及びヒートシール性を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
<<空孔率>>
基材層が内部に空孔を有する場合、層中の空孔の割合を表す空孔率は、不透明性を得る観点から、10%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。機械的強度を維持する観点からは、同空孔率は、45%以下であることが好ましく、44%以下であることがより好ましく、42%以下であることがさらに好ましい。また、透明性を得る観点からは、基材層中の空孔率は10%未満であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。同空孔率は0%であってもよい。
上記空孔率は、電子顕微鏡で観察したサンプルの断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。
基材層の厚さは、層強度の観点から、20μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。感熱ラベルの軽量化の観点から、基材層の厚さは、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
基材層のヒートシール層と反対側の面は、印刷層との密着性を高める観点から、表面処理が施されてもよい。また、基材層のヒートシール層と反対側の面上に印刷層との密着性が高い印刷受容層等が設けられてもよい。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、樹脂容器等の成形体(被着体)との接着性を高めることができる。加熱によってヒートシール層が溶融し、成形体の表面に感熱ラベルが熱融着する。成形体をインモールド成形する場合には、成形体(容器)とヒートシール層とが対面するように感熱ラベルが金型の内側に設けられ、インモールド成形時のパリソン又はプリフォームが有する熱によってヒートシール層が熱融着する。
ヒートシール層は多層構造を有し、上述のように基材層上に第1ヒートシール層と、第1ヒートシール層上に第2ヒートシール層と、を有する。ヒートシール層はフィラー粒子を含有し、フィラー粒子は第2ヒートシール層により覆われている。このような多層構造のヒートシール層は、例えば、フィラー粒子を含む第1ヒートシール層用樹脂組成物と、フィラー粒子を含まない第2ヒートシール用樹脂組成物とが共押出成形された後、延伸されることによって得られる。
ヒートシール層中のフィラー粒子の含有量は、2.5質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい、同含有量は、25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。含有量が上記下限値以上であれば、ブリスターを抑制しやすい。含有量が上記上限値以下であれば、成形時のメヤニを減らしやすい。
<<第1ヒートシール層>>
第1ヒートシール層は、第1ヒートシール樹脂とフィラー粒子とを含む樹脂組成物を用いて形成される。第1ヒートシール層用樹脂組成物に含まれるフィラー粒子の一部は、延伸によって第1ヒートシール層からその厚さ方向にはみ出て、ヒートシール層表面の粗さの形成に寄与する。
<<<第1ヒートシール樹脂>>>
低温でも十分な接着性を得る観点から、第1ヒートシール樹脂は、基材層に使用する熱可塑性樹脂よりも融点が低いことが好ましい。具体的には、第1ヒートシール樹脂の融点は、基材層に使用される熱可塑性樹脂の融点よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、30℃以上低いことがさらに好ましい。このように、第1ヒートシール樹脂は低い融点を有することから、第1ヒートシール層用樹脂組成物がフィラー粒子を含んでいても、基材層のように延伸により多孔質層とはならない。
上記融点は、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により測定することができる。
成形性の観点から、第1ヒートシール樹脂の融点は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上がより好ましい。接着性の観点からは、140℃以下であることが好ましく、120℃以下がより好ましい。2種以上の第1ヒートシール樹脂を併用する場合は、少なくとも1種が上記範囲の融点を有することが好ましく、すべてが上記範囲の融点を有することがより好ましい。
第1ヒートシール樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1~8)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(例えばZn、Al、Li、K、Naから選択される金属との塩)等の樹脂が挙げられる。
また第1ヒートシール樹脂としては、分子内に炭素2~20個を有するα-オレフィンから選択された少なくとも2種以上のコモノマーを共重合して得られるα-オレフィンのランダム共重合体またはブロック共重合体が挙げられる。
炭素2~20個のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、1-ヘプテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、オクタデセン等が挙げられる。これらの中でも共重合のしやすさ、経済性などの観点から、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましい。
これらの中でも、種々の被着体に対して一定の接着強度が得られやすい点で、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又はメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン(メタロセン系ポリエチレン)が好ましく、低密度ポリエチレン又はメタロセン系ポリエチレンがより好ましい。一方、被着体がポリプロピレンである場合にも優れた接着強度を得る点から、第1ヒートシール樹脂はポリエチレン及びエチレン-αオレフィン共重合体を含むことが好ましく、ポリエチレン及びエチレン-プロピレン共重合体を含むことがより好ましい。この場合、ポリエチレンに対するエチレン-αオレフィン共重合体の質量比は、10/90~50/50であることが好ましく、20/80~40/60であることがより好ましい。
<<<フィラー粒子>>>
第1ヒートシール層の樹脂組成物中に配合されるフィラー粒子としては、基材層で説明したフィラーと同様の材料を用いることができ、好ましい材料も同じである。上述した無機フィラー及び有機フィラーの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
フィラー粒子の平均粒子径は、2μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましく、6μm以上がさらに好ましい。また、同平均粒子径は、16μm以下が好ましく、14μm以下がより好ましく、12μm以下がさらに好ましい。平均粒子径が、上記下限値以上であればブリスターを抑制しやすく、上記上限値以下であればフィラー粒子の脱落を抑えてメヤニを抑制しやすい。
第1ヒートシール層の樹脂組成物中のフィラー粒子の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましい、同含有量は、50質量%以下であることが好ましく、35質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。含有量が上記下限値以上であれば、ブリスターを抑制しやすい。含有量が上記上限値以下であれば、成形時のメヤニを減らしやすい。
フィラー粒子の平均粒子径は、第1ヒートシール層と第2ヒートシール層の厚さに応じて選択できる。
具体的には、フィラー粒子の平均粒子径D50から第1ヒートシール層の厚さT1と第2ヒートシール層の厚さT2の合計を引いた差(D50-(T1+T2))が、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上がより好ましく、3.0μm以上がさらに好ましい。また、差(D50-(T1+T2))は、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。差(D50-(T1+T2))が上記下限値以上であれば、十点平均粗さRzJISを上述した範囲に調整しやすく、ブリスターを抑制しやすい。また、差(D50-(T1+T2))が上記上限値以下であれば、フィラー粒子の脱落が抑えられやすく、メヤニの発生を減らしやすい。
また、フィラー粒子の平均粒子径D80から第1ヒートシール層の厚さT1と第2ヒートシール層の厚さT2の合計を引いた差(D80-(T1+T2))が、2.5μm以上であることが好ましく、4.0μm以上がより好ましく、5.0μm以上がさらに好ましい。また、差(D80-(T1+T2))は、15μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。差(D80-(T1+T2))が上記下限値以上であれば、十点平均粗さRzJISを上述した範囲に調整しやすく、ブリスターを抑制しやすい。また、差(D80-(T1+T2))が上記上限値以下であれば、フィラー粒子の脱落が抑えられやすく、メヤニの発生を減らしやすい。
なお、平均粒子径D80は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(マイクロトラック、株式会社日機装製)により測定した体積累積で80%にあたる体積平均粒子径(累積80%粒径)である。
また、本明細書において、第1ヒートシール層の厚さT1と第2ヒートシール層の厚さT2は、フィラー粒子が存在しない部分の厚さを指すものとする。
第1ヒートシール層は、必要に応じて上記基材層の項で列挙した公知の添加剤を任意に含むことができる。
これらの添加剤の配合率は、添加剤の所定の性能を発揮する観点から、第1ヒートシール層の固形分全量に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。一方、接着強度を確保する観点から、添加剤の配合率は、ヒートシール層中の固形分全量に対して7.5質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
<<第2ヒートシール層>>
第2ヒートシール層は、第2ヒートシール樹脂を含む樹脂組成物により形成される。第2ヒートシール層は、ヒートシール層中のフィラー粒子を覆う。
<<<第2ヒートシール樹脂>>>
第2ヒートシール樹脂としては、第1ヒートシール樹脂と同様の熱可塑性樹脂を使用することができる。第2ヒートシール樹脂は、第1ヒートシール樹脂と同じであっても異なっていてもよい。
第2ヒートシール樹脂は、種々の被着体に対して一定の接着強度が得られやすい点で、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又はメタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン(メタロセン系ポリエチレン)が好ましく、低密度ポリエチレン又はメタロセン系ポリエチレンがより好ましい。一方、被着体がポリプロピレンである場合にも優れた接着強度を得る点から、第1ヒートシール樹脂はポリエチレン及びエチレン-αオレフィン共重合体を含むことが好ましく、ポリエチレン及びエチレン-プロピレン共重合体を含むことがより好ましい。この場合、ポリエチレンに対するエチレン-αオレフィン共重合体の質量比は、10/90~50/50であることが好ましく、20/80~40/60であることがより好ましい。
第2ヒートシール樹脂のスウェル値は、1.6以下が好ましく、1.4以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。スウェル値が1.6以下であれば、成形時にメヤニの発生が抑制されやすい。同スウェル値は、通常0.5以上であり、0.7以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。
上記スウェル値は、キャピラリーの孔の径に対してキャピラリーから押出された樹脂の溶融体の径の比であり、キャピログラフ(1D、東洋精機社製)により測定できる。キャピログラフにおいて、キャピラリーダイの孔直径Dは1mmであり、孔長さLは10mmである。
第2ヒートシール樹脂の融点は、第1ヒートシール樹脂と同様に基材層の熱可塑性樹脂よりも低いことが好ましい。具体的には、第2ヒートシール樹脂の融点は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上がより好ましい一方、140℃以下であることが好ましく、120℃以下がより好ましい。2種以上の第2ヒートシール樹脂を併用する場合は、少なくとも1種が上記範囲の融点を有することが好ましく、すべてが上記範囲の融点を有することがより好ましい。
第2ヒートシール層は、本発明の効果を阻害しない範囲で第1ヒートシール層と同様のフィラー粒子を含有してもよい。フィラー粒子の脱落を抑え、メヤニを減らす観点からは、第2ヒートシール層の樹脂組成物にはフィラー粒子が含まれないことが好ましい。具体的には、第2ヒートシール層の樹脂組成物中のフィラー粒子の含有量は、5質量%以下であり、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
第2ヒートシール層は、印刷時の搬送性などハンドリングの観点から、ヒートシール性能に影響を及ぼさない範囲で帯電防止剤を含むことができる。第2ヒートシール層に配合するのに好適な帯電防止剤としては、1~3級アミンまたは4級アンモニウム塩構造を有する化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等の完全脂肪酸エステル又は部分脂肪酸エステルが挙げられる。
帯電防止剤の含有量は、第2ヒートシール層の固形分全量に対して、帯電防止剤の所定の性能を発揮する観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。一方、感熱ラベルをプラスチック容器に貼着した場合の接着強度を確保する観点から、帯電防止剤の含有量は、ヒートシール層の固形分全量に対して、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
第2ヒートシール層は、必要に応じて上記基材層の項で列挙した公知の添加剤を任意に含むことができる。
これらの添加剤の含有量は、添加剤の所定の性能を発揮する観点から、第2ヒートシール層の固形分全量に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。一方、接着強度を確保する観点から、添加剤の含有量は、ヒートシール層中の固形分全量に対して7.5質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
接着強度向上及びメヤニ抑制の観点からは、第2ヒートシール層中の第2ヒートシール樹脂の含有量は、95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
<<厚さ>>
第1ヒートシール層と第2ヒートシール層を含むヒートシール層の厚さ(T1+T2)は、2μm以上が好ましく、2.5μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。同厚さ(T1+T2)は、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、7.5μm以下がさらに好ましい。厚さが上記下限値以上であれば、フィラー粒子の脱落が抑えられメヤニの発生が抑制されやすい。厚さが上記上限値以下であれば、ブリスターが抑制されやすい。
ブリスター抑制の観点から、第1ヒートシール層の厚さ(T1)は、フィラー粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的には、第1ヒートシール層の厚さ(T1)は、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、1.5μm以上がさらに好ましい。同厚さ(T1)は、10μm以下が好ましく、7.5μm以下がより好ましく、5.0μm以下がさらに好ましい。厚さ(T1)が上記下限値以上であれば、幅方向(TD)の厚さが安定し、ヒートシール層表面の平滑度及び粗さ、並びに接着強度等が安定しやすくなる。厚さが上記上限値以下であれば、凹凸が形成されやすく、ブリスター及びブロッキングが抑制されやすい。
第2ヒートシール層の厚さ(T2)は、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、1.5μm以上がさらに好ましい。同厚さ(T2)は、10μm以下が好ましく、7.5μm以下がより好ましく、5.0μm以下がさらに好ましい。厚さ(T2)が上記下限値以上であれば、フィラー粒子の脱落が抑えられメヤニの発生が抑制されやすい。厚さ(T2)が上記上限値以下であれば、凹凸が形成されやすく、ブリスター及びブロッキングが抑制されやすい。
<サポート層>
サポート層は、基材層上にヒートシール層とともに共押出成形される。ヒートシール層には比較的融点が低いヒートシール樹脂が使用され、成形温度によっては押出成形が不安定になることがあるが、サポート層とともに共押出されることにより、安定した成形が可能である。また、サポート層によって、第1ヒートシール層の樹脂組成物中のフィラー粒子が基材層側に移行することを抑制でき、目的の十点表面粗さRzJISの表面が形成されやすい。
サポート層は、基材層と同様に構成することができる。フィラー粒子の基材層側への移行を抑制する観点からは、サポート層に使用する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂が好ましく、オレフィン系樹脂のなかでもプロピレン系樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の融点は、第1ヒートシール層に用いられる第1ヒートシール樹脂よりも高いことが好ましい。
サポート層の厚さは、2μm以上が好ましく、2.5μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。同厚さは、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、7.5μm以下がさらに好ましい。厚さが上記下限値以上であれば、ヒートシール層の成形の安定性が得られやすい。
(感熱ラベルの製造方法)
本発明の感熱ラベルは、次のようにして基材層上に第1ヒートシール層と第2ヒートシール層を積層し、得られた積層体を延伸することにより製造される。
<基材層の形成ステップ>
まず、上述した基材層の樹脂組成物を用いて基材層を形成する。
基材層の成形方法としては、Tダイによる押出し成形(キャスト成形)、Oダイによるインフレーション成形、又は圧延ロールによるカレンダー成形等が挙げられる。
印刷層との密着性を高める観点から、基材層のヒートシール層と反対側の面は、表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、及びオゾン処理等が挙げられ、これら処理は組み合わせることができる。なかでも、コロナ放電処理又はフレーム処理が好ましく、コロナ処理がより好ましい。
コロナ放電処理を実施する場合の放電量は、好ましくは600J/m(10W・分/m)以上であり、より好ましくは1,200J/m(20W・分/m)以上である一方、好ましくは12,000J/m(200W・分/m)以下であり、より好ましくは10,800J/m(180W・分/m)以下である。フレーム処理を実施する場合の放電量は、好ましくは8,000J/m以上であり、より好ましくは20,000J/m以上である一方、好ましくは200,000J/m以下であり、より好ましくは100,000J/m以下である。
<ヒートシール層の形成>
次いで、基材層上に第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の各樹脂組成物を共押出しし、基材層、第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の順に積層された積層体を得る。
第1ヒートシール層の樹脂組成物中のフィラー粒子の含有量は、上述のように5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましい。同含有量は、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。含有量が上記下限値以上であれば、ブリスターを抑制しやすい。含有量が上記上限値以下であれば、成形時のメヤニを減らしやすい。
また、上述のように、第2ヒートシール層の樹脂組成物はフィラー粒子を含有しないことが好ましいが、含有する場合の第2ヒートシール層の樹脂組成物中のフィラー粒子の含有量は5質量%以下であることが好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
成形の安定性向上の観点から、さらにサポート層の樹脂組成物も共押出しし、基材層、サポート層、第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の順に積層された積層体を得ることが好ましい。
共押出成形では、各層の樹脂組成物をフィルム状に積層して押出し成形できるのであれば、多層のTダイ、Iダイ等により溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、又はインフレーション成形等を用いることができる。
基材層へのヒートシール層の積層方法としては、押出ラミネート法又はフィルム貼合法等が挙げられる。
押出ラミネート法は、基材層を先に成形し、これに溶融したヒートシール層用の熱可塑性組成物を共押出して積層し、冷却しながらロールでニップするため、成形と積層とは別工程で行われる。
フィルム貼合法は、基材層とヒートシール層とをそれぞれフィルム成形し、感圧接着剤を介して両者を貼り合わせるため、成形と積層とは別工程で行われる。
<積層体の延伸ステップ>
次いで、積層体を延伸して、基材層、第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層を含む感熱ラベルを得る。
延伸により各層の厚さが小さくなる結果、第1ヒートシール層中のフィラー粒子が第1ヒートシール層から突出し、第2ヒートシール層をも押しのけて表面に不規則且つ微細な凹凸形状が形成される。また、基材層がフィラーを含む場合には、延伸によって基材層中に空孔が形成されやすくなる。
延伸方法としては、例えばロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを利用した横延伸法、これらを組み合わせた逐次二軸延伸法、圧延法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込む同時二軸延伸(インフレーション成形)法等も使用できる。
基材層、第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の積層体は、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。基材層は、強度向上の観点から、二方向に延伸されていることがより好ましい。
延伸を実施するときの延伸温度は、使用する熱可塑性樹脂が、非結晶性樹脂の場合は当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合の延伸温度は、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、かつ当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましく、具体的には熱可塑性樹脂の融点よりも2~60℃低い温度が好ましい。
延伸速度は、特に限定されるものではないが、安定した延伸成形の観点から、20~350m/分の範囲内であることが好ましい。
また、延伸倍率についても、使用する熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定することができる。 例えば、プロピレンの単独重合体又はその共重合体を含む熱可塑性樹脂フィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、通常、下限が通常は1.2倍以上、好ましくは2倍以上であり、上限が通常は12倍以下、好ましくは10倍以下である。一方、二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で通常、下限が通常は1.5倍以上、好ましくは10倍以上であり、上限が通常は60倍以下、好ましくは50倍以下である。
また、エステル系樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、上限が通常は1.2倍以上、好ましくは2倍以上であり、下限が通常は10倍以下、好ましくは5倍以下である。二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で下限が通常は1.5倍以上、好ましくは4倍以上であり、上限が通常は20倍以下、好ましくは12倍以下である。
上記延伸倍率の範囲内であれば、目的の空孔率が得られて不透明性が向上しやすい。また、熱可塑性樹脂フィルムの破断が起きにくく、安定した延伸成形ができる傾向がある。
(感熱ラベルの物性)
<<十点平均粗さ>>
本発明の感熱ラベルの第2ヒートシール層の十点平均粗さRzJISは、上述のように5μm以上であるが、5.5μm以上であることが好ましく、6μm以上がより好ましい。また、同十点平均粗さは、15μm以下であるが、12μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。十点平均粗さRzJISが上記下限値以上にあれば、インモールドラベルとして使用する場合に、成形用樹脂と感熱ラベルとの間の空気が排出されやすく、ブリスターを抑制しやくなるとともに、排出されず残った空気による接着強度の低下を抑制しやすい。十点平均粗さRzJISが上記上限値以下にあれば、容器との接着強度が得られやすい。
なお、十点平均粗さRzJISは、JIS B0601:2013附属書1に準拠して測定される。
<<平滑度>>
本発明の感熱ラベルの第2ヒートシール層側の表面の平滑度は、100秒以上が好ましく、200秒以上がより好ましく、1000秒以下が好ましく、500秒以下がより好ましい。平滑度が上記上限値以下にあれば、インモールドラベルとして使用する場合に、成形用樹脂と感熱ラベルとの間の空気が排出されやすく、ブリスターを抑制しやくなる。また、排出されず残った空気による接着強度の低下を抑制しやすい。平滑度が上記下限値以上にあれば、容器との接着強度が得られやすい。
(印刷ラベル)
<印刷層>
印刷層は、感熱ラベルのヒートシール層と反対側の面上に、インクを用いて印刷を施すことにより形成される。
印刷情報としては、例えば写真画像、絵柄、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、又は使用方法等が挙げられる。
使用できる印刷方法としては特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シール印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷等が挙げられる。印刷方法に合わせて、油性インク、酸化重合硬化型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、及び液体トナーインク等のインクを使用できる。
本発明に係る感熱ラベル及び印刷ラベルはインモールド成形用のラベル(インモールドラベル)として利用することができる。
(ラベル付き容器)
ラベル付き容器は、本発明の感熱ラベル又は印刷ラベルと、プラスチック容器本体とを有する。感熱ラベル又は印刷ラベルは、ヒートシール層を介して、プラスチック容器本体に貼着されている。
<プラスチック容器>
プラスチック容器の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びその共重合体などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂;並びにポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。なかでも、ブロー成形し易い樹脂であることから、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂を用いることがより好ましい。また、これらの熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を使用することが好ましい。
<ラベル付きプラスチック容器の製造方法>
ラベル付きプラスチック容器は、中空成形、インジェクション成形及び差圧成形等のプロセスにおいて、プラスチック容器の成形時にインモールドラベルを当該容器に接着する方法が挙げられる。
例えば中空成形では、インモールドラベルを、成形金型のキャビティ内にラベルのヒートシール層側の面が金型のキャビティ側(印刷層側の面が金型に接するよう)に向くように配置された後、吸引又は静電気により金型内壁に固定される。次いで容器成形材料となる樹脂のパリソン又はプリフォームの溶融物が金型間に導かれる。型締めした後に常法により中空成形され、該ラベルがプラスチック容器の外壁に一体に融着されたラベル付きプラスチック容器が成形される。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
表1は、実施例及び比較例に使用された材料の一覧を示す。
Figure 0007289011000001
(実施例1)
表1に記載のプロピレン単独重合体(PP1)(商品名:ノバテックPP MA4、日本ポリプロ社製、融点(JIS K7121):167℃)99質量%、無機フィラー(CA1)(重質炭酸カルシウム、商品名:ソフトン#1800、備北粉化工業社製、平均粒子径D50:2.0μm、平均粒子径D80:4.4μm)1質量%を混合し、基材層の樹脂組成物(A)を調製した。樹脂組成物(A)と同様にして、サポート層の樹脂組成物(B)を調製した。つまり、サポート層の樹脂組成物(B)は、基材層と材料及びその含有量が同じである。
表1に記載のメタロセン系ポリエチレン(PE1)(商品名:エンゲージ8411、The Dow Company社製、スウェル値:0.96、融点(JIS K7121):76℃)92質量%、無機フィラー(CA2)(軽質炭酸カルシウム、商品名:CUBE-80KAS、丸尾カルシウム社製、平均粒子径D50:8.8μm、平均粒子径D80:11.0μm)8質量%を混合し、第1ヒートシール層の樹脂組成物(C)を調製した。また、メタロセン系ポリエチレン(PE1)100質量%を、第2ヒートシール層の樹脂組成物(D)とした。
上記基材層の樹脂組成物(A)を250℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定したTダイに供給し、シート状に押し出した。これを冷却ロールにより約60℃まで冷却して無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、シート表面の温度が140℃になるように熱ロールで再加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に4倍延伸した。冷却ロールによりシート表面の温度が約60℃になるまで冷却して、4倍延伸シートを得た。
次いで、上記樹脂組成物(B)~(D)を、230℃に設定した別の3台の押出機にて溶融混練した後、230℃に設定したTダイよりシート状に押し出し、上記4倍延伸シート上に積層した。これにより、基材層(A)/サポート層(B)/第1ヒートシール層(C)/第2ヒートシール層(D)の順に積層された4層構造を有する積層体のシートを得た。
この積層体のシートを、テンターオーブンを用いてシート表面の温度が160℃になるように再加熱した後、テンターを用いて横方向に9倍延伸し、更に170℃に調整した熱セットゾーンによりアニーリング処理を行った。冷却ロールにて約60℃まで冷却し、耳部をスリットして4層構造の2軸延伸樹脂フィルムを得た。これをガイドロールでコロナ放電処理器に導き、基材層側の表面に50W・分/mの処理量でコロナ放電処理を施した。巻き取り機で巻き取って、実施例1の感熱ラベルを得た。
得られた感熱ラベルは、全厚が100μmであり、基材層(A)/サポート層(B)/第1ヒートシール層(C)/第2ヒートシール層(D)の各層の延伸軸数が二軸/一軸/一軸/一軸であり、各層厚が91μm/5μm/2μm/2μmであった。
(実施例2)
実施例1において、第2ヒートシール層の樹脂組成物(D)に表1に記載のエチレン・プロピレン共重合体(PP2)(商品名:VISTAMAXX 3588FL、エクソンモービル社製、スウェル値:1.02、融点(JIS K7121):103℃)をさらに加え、第2ヒートシール層の組成を表2に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の感熱ラベルを得た。
(実施例3)
実施例2において、第1ヒートシール層の樹脂組成物(C)にさらにエチレン・プロピレン共重合体(PP2)を加え、樹脂組成物(C)の組成を表2に示すように調整したこと以外は、実施例2と同様にして実施例3の感熱ラベルを得た。
(実施例4)
実施例2において、第1ヒートシール層の樹脂組成物(C)の無機フィラーを有機フィラー(F1)(架橋ポリスチレン、商品名SSX-108、積水化成品工業社製、平均粒子径D50:8.8μm、平均粒子径D80:11.0μm)8質量%に代えたこと以外は、実施例2と同様にして実施例4の感熱ラベルを得た。
(比較例1)
実施例1において、第2ヒートシール層を形成せずに厚さ4μmの第1ヒートシール層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の感熱ラベルを得た。
(比較例2)
実施例2において、第1ヒートシール層の樹脂組成物(C)の無機フィラーを重質炭酸カルシウム(CA1)8質量%に代えたこと以外は、実施例2と同様にして比較例2の感熱ラベルを得た。
(比較例3)
実施例2において、第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の厚さをそれぞれ5μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして比較例3の感熱ラベルを得た。
(比較例4)
比較例2において、第2ヒートシール層を形成せずに第1ヒートシール層の厚さを4μmに変更したこと以外は、比較例2と同様にして比較例4の感熱ラベルを得た。
(比較例5)
比較例2において、第2ヒートシール層の樹脂組成物(D)に無機フィラー(CA1)を追加し、樹脂組成物(D)の組成を表2に示すように調整したこと以外は、比較例2と同様にして比較例5の感熱ラベルを得た。
(比較例6)
比較例1において、第1ヒートシール層の樹脂組成物(C)にフィラーを配合せず、100質量%のメタロセン系ポリエチレン(PE)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして比較例6の感熱ラベルを得た。
(感熱ラベルの物性)
各実施例及び比較例の感熱ラベルの厚さ、ヒートシール層表面の平滑度及び十点平均粗さを、次のようにして測定した。
<厚さ>
感熱ラベルの厚さ(全厚)は、JIS K7130:1999に準拠し、定圧厚さ測定器(製品名:PG-01J、テクロック社製)を用いて測定した。また、感熱ラベルにおける各層の厚さは、次のようにして求めた。測定対象試料を液体窒素にて-60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(製品名:プロラインブレード、シック・ジャパン社製)を直角に当て切断し、断面観察用の試料を作製した。得られた試料の断面を走査型電子顕微鏡(製品名:JSM-6490、日本電子社製)を使用して観察し、外観から各層の熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、インモールドラベルの全厚に観察される各層の厚さ比率を求めた。この厚さ比率を上記測定された全厚に乗算して各層の厚さを求めた。
<平滑度>
感熱ラベルのヒートシール層表面の王研式平滑度をJIS P 8155:2010「紙及び板紙-平滑度試験方法-王研法」に従って、デジタル王研式透気度、平滑度試験機(製品名:EYO-55-1M、旭精工株式会社製)で測定した。
<十点平均粗さ>
感熱ラベルのヒートシール層表面の表面粗さRzJISを、JIS B0601:2013附属書1に従って測定した。表面粗さ測定機(製品名:SURFCOM 1500DX、東京精密社製)を用いて、(50mm×50mm)に断裁したラベルのヒートシール面を測定長さ30mmで測定した。
(評価)
各実施例及び比較例の感熱ラベルをインモールドラベルとして用いて、ポリプロピレン樹脂の容器と、ポリエチレン樹脂の容器とをそれぞれインモールド成形し、ラベル付き容器を製造した。これらラベル付き容器を用いて、感熱ラベルのブリスター、成形体との接着強度及びメヤニを下記のように評価した。
<ラベル付き成形体(PP容器)の製造>
感熱ラベルを横60mm、縦120mmの矩形に打抜加工した。加工後の感熱ラベルを、0.4Lの内容量のボトルを成型できるブロー成形用金型の一方にヒートシール層がキャビティ側を向くように配置し、吸引を利用して金型上に固定した。
金型間にプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックHD EG8B、日本ポリプロ社製、MFR(JIS K7210:1999):0.8g/10分、密度(JIS K7112:1999):0.90g/cm)を180℃で溶融してパリソン状に押出した。ラベルが貼着する部分のパリソンを180℃に設定した。金型を型締めした後、4.2kg/cmの圧縮空気をパリソン内に供給し、20秒間パリソンを膨張させて金型に密着させて容器状とするとともにラベルと融着させた。次いで、金型内で成型物を冷却し、型開きをしてラベル付き容器を得た。この際、金型冷却温度は20℃、ショットサイクル時間は31秒/回とした。
<ラベル付き成形体(PE容器)の製造>
感熱ラベルを横60mm、縦120mmの矩形に打抜加工した。加工後の感熱ラベルを、0.4Lの内容量のボトルを成型できるブロー成形用金型の一方にヒートシール層がキャビティ側を向くように配置し、吸引を利用して金型上に固定した。
金型間に高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HB420R、日本ポリエチレン株式会社製、MFR(JIS K7210:1999):0.2g/10分、密度(JIS K7112:1999):0.956g/cm)を180℃で溶融してパリソン状に押出した。ラベルが貼着する部分のパリソンを180℃に設定した。金型を型締めした後、4.2kg/cmの圧縮空気をパリソン内に供給し、20秒間パリソンを膨張させて金型に密着させて容器状とするとともにラベルと融着させた。次いで、金型内で成型物を冷却し、型開きをしてラベル付き容器を得た。この際、金型冷却温度は20℃、ショットサイクル時間は31秒/回とした。
<ブリスター>
ラベル付きPE容器の外観を目視で観察し、接着不足によるブリスターと、空気抜け不足によるブリスターと、を下記のように評価した。
<<接着不足によるブリスター>>
〇:接着不足によるブリスターが認められない
×:接着不足によるブリスターが認められる
<<空気抜け不足によるブリスター>>
〇:空気抜け不足によるブリスターが認められない
×:空気抜け不足によるブリスターが認められる
<接着強度>
ラベル付き容器を23℃、相対湿度50%の環境下に1週間保管した。その後、JIS K 6854-3:1999に従い、ラベル付き容器のラベル貼着部分を15mm幅の短冊状に切り取ってサンプルを作製した。サンプルを引張試験機(オートグラフAGS-D型、島津製作所製)にセットし、引張試験機により300mm/minの引張速度でT字状にラベルを引っ張って剥離することにより、ラベルと容器との間の接着強度を求めた。
<メヤニ>
感熱ラベルを12時間連続生産し、得られた感熱ラベルのヒートシール層側の表面を目視で観察した。メヤニが押出成形機のダイのリップに発生すると、感熱ラベルの表面にメヤニに伴うスジが生じることから、感熱ラベルにおけるスジの有無を観察して次のようにしてメヤニの発生を評価した。
〇:12時間後の感熱ラベルにスジが認められず、メヤニが発生していないか、又はメヤニが発生していても実用できるレベル
×:12時間後の感熱ラベルにスジが認められ、実用できないレベル
表2は、各実施例及び比較例の組成を示す。表3は、評価結果を示す。


Figure 0007289011000002

Figure 0007289011000003


実施例1~4によれば、いずれもブリスターが認められず、PE容器及びPP容器のいずれとも十分な接着強度が得られている。また、12時間連続生産してもメヤニの発生がなかった。
一方、十点平均粗さRzJISが特定範囲にある比較例1はブリスターが発生していないが、特定範囲外の比較例2~4はブリスターが発生しており、空気の抜けが不十分であることが分かる。また、比較例1、4及び5はメヤニが発生している。これは、第1ヒートシール層中のフィラー粒子を覆う第2ヒートシール層がないか、第2ヒートシール層中に配合されたフィラー粒子が脱落したためと推察される。ヒートシール層中にフィラーを含有しない比較例6においては、メヤニの発生はないが、やはりブリスターが発生し、空気が十分に抜けていない。
本出願は、2020年3月27日に出願された日本特許出願である特願2020-058967号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願のすべての記載内容を援用する。
10・・・感熱ラベル、1・・・基材層、2・・・ヒートシール層、21・・・第1ヒートシール層、22・・・第2ヒートシール層、3・・・サポート層、4・・・フィラー粒子、5・・・印刷層

Claims (7)

  1. 基材層と、
    前記基材層上にフィラー粒子を含有するヒートシール層と、を有し、
    前記ヒートシール層が、前記基材層上に第1ヒートシール層と、前記第1ヒートシール層上に第2ヒートシール層とを有し、
    前記フィラー粒子が、前記第2ヒートシール層により覆われ、
    前記第2ヒートシール層の十点表面粗さRzJISが、5~15μmである
    感熱ラベル。
  2. 前記第2ヒートシール層が、ヒートシール樹脂を含有し、
    前記ヒートシール樹脂のスウェル値が、0.5~1.6である
    請求項1に記載の感熱ラベル。
  3. 前記ヒートシール層中の前記フィラー粒子の含有量が、2.5~25質量%である
    請求項1又は2に記載の感熱ラベル。
  4. 前記第1ヒートシール層と前記基材層との間にサポート層を有し、
    前記第1ヒートシール層は、エチレン系樹脂を含有し、
    前記サポート層は、プロピレン系樹脂を含有する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の感熱ラベル。
  5. 基材層の樹脂組成物を用いて基材層を形成するステップと、
    前記基材層上に第1ヒートシール層及び第2ヒートシール層の各樹脂組成物を共押出しし、前記基材層、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層の順に積層された積層体を得るステップと、
    前記積層体を延伸して、前記基材層、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層を含む感熱ラベルを得るステップと、を含み、
    前記第1ヒートシール層の樹脂組成物がフィラー粒子を含有し、前記第2ヒートシール層の樹脂組成物がフィラー粒子を含有しないか、又は5質量%以下のフィラー粒子を含有し、
    前記第2ヒートシール層の十点表面粗さRzJISが、5~15μmである
    感熱ラベルの製造方法。
  6. 前記積層体を得るステップは、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層の樹脂組成物とともにサポート層の樹脂組成物を共押出し、前記基材層、前記サポート層、前記第1ヒートシール層及び前記第2ヒートシール層の順に積層された積層体を得る
    請求項5に記載の感熱ラベルの製造方法。
  7. 前記第1ヒートシール層の樹脂組成物中の前記フィラー粒子の含有量が、5~50質量%である
    請求項5又は6に記載の感熱ラベルの製造方法。

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