JP2016047598A - インモールドラベル、樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

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雄太 岩澤
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洋光 玉内
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Abstract

【課題】接着性及び透明性のいずれにも優れたインモールドラベルを提供する。【解決手段】基材層と、該基材層の表面に積層された状態のシール層と、を少なくとも備え、前記基材層は、JIS−K−7136に準じて測定される内部ヘイズが0.1〜20%であり、前記シール層は、オレフィン系樹脂を含み、溶融熱量が10〜55J/gであり、再結晶化温度が40〜110℃であり、かつ、特定条件での平均屈折率が1.4〜1.6であるインモールドラベルである。【選択図】図1

Description

本発明は、インモールドラベル、樹脂成形品及びその製造方法に関する。
従来、ラベル付きの樹脂成形品を一体成形する技術が知られている。当該技術によれば、ブランク又はラベルを金型内に予め挿入した後、射出成形、中空成形、差圧成形、及び発泡成形などの手法により当該金型内で樹脂を成形する。これにより、樹脂成形体にラベルが貼着した樹脂成形品が得られる。当該ラベルはインモールドラベルと称されている。
このようなインモールドラベルとして、基材が透明であって弾性率が低いものを用いた透明なラベル、及び接着層が溶融熱量の低い樹脂で形成されたラベル等が研究されている(特許文献1〜4参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開昭58−069015号公報
[特許文献2]特開平02−217223号公報
[特許文献3]特開平04−004130号公報
[特許文献4]特開2010−168117号公報
しかしながら、従来のインモールドラベルは、優れた接着性及び透明性を両立させる点で、改善の余地がある。
そこで、本発明は、接着性及び透明性のいずれにも優れたインモールドラベルを提供することを目的の一つとする。また、当該インモールドラベルを含む樹脂成形品及びその製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するラベルを用いてインモールド成形することによって、上記の目的を達成しうることを見出した。
本発明の第1の態様においては、基材層と、該基材層の表面に積層された状態のシール層と、を少なくとも備え、前記基材層は、JIS−K−7136に準じて測定される内部ヘイズが0.1〜20%であり、前記シール層は、オレフィン系樹脂を含み、溶融熱量が10〜55J/gであり、再結晶化温度が40〜110℃であり、かつ、プリフォームが95℃となるように加熱し、2.5MPaの圧空を導入してインモールド成形した後、15秒で50℃まで冷却して、23℃で測定したときの平均屈折率が1.50〜1.60である、インモールドラベルが提供される。
本発明の第2の態様においては、基材層と、該基材層の表面に積層された状態のシール層と、を少なくとも備え、
前記基材層は、JIS−K−7136に準じて測定される内部ヘイズが0.1〜20%であり、前記シール層は、オレフィン系樹脂を含み、溶融熱量が10〜55J/gであり、再結晶化温度が40〜110℃であり、かつ、プリフォームが95℃となるように加熱し、2.5MPaの圧空を導入してインモールド成形した後、15秒で50℃まで冷却して、23℃で測定したときの結晶化度が0〜50%である、インモールドラベルが提供される。
本発明の第3の態様においては、樹脂成形体と、該成形体に貼着される上記各態様のインモールドラベルと、を含む、樹脂成形品であって、JIS−K−7136に準じて測定される、該成形品のうち前記インモールドラベルの貼着部分及び非貼着部分のヘイズの差が、20%以下である、樹脂成形品が提供される。
本発明の第4の態様においては、上記態様の樹脂成形品を製造する方法であって、前記樹脂成形体が成形機で成形されるときに、該成形機の内側に配置された状態の前記インモールドラベルが、該成形体に貼着される段階を含む、樹脂成形品を製造する方法が提供される。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の一実施形態に係るインモールドラベルの断面図である。 本発明の他の実施形態に係るインモールドラベルの断面図である。 本発明の他の実施形態に係るインモールドラベルの断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂成形品の具体例を示す斜視図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書において、「ヘイズ」は、JIS−K−7136に準じて測定される曇点である。また、「内部ヘイズ」とは、JIS−K−7136に準じて基材層のヘイズを測定するときに、基材層の表面の凸凹による光散乱を排除するため、基材層又はこれを含む積層体のサンプルの両面を流動パラフィンに浸した状態で測定し、基材層内部の光散乱のみを抽出した値を意味する。また、JIS−K−7136、より詳しく言えばJIS−K−7136:2000は、名称が「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方(Plastics−Determination of haze for transparent materials)」であり、対応国際規格がISO 14782(1999)である。なお、上記のヘイズ及び内部ヘイズに関するその他の測定方法及び条件は、後述の実施例欄で行われた方法及び条件を採用する。但し、ヘイズ及び内部ヘイズの測定方法及び条件は、ヘイズ及び内部ヘイズの数値範囲を一義的に規定する目的で記載したに過ぎず、以降で説明する実施形態を限定するものではない。
また、本明細書において、「主成分」とは、含まれる成分の総含有量(100質量%)中、含有量が50質量%以上である成分を意味する。
[1.インモールドラベル]
図1は、本発明の一実施形態に係るインモールドラベルの断面図である。インモールドラベル1は、基材層2と、基材層2の表面に積層された状態のシール層3と、を少なくとも備える。また、図1に示すインモールドラベル1は、基材層2及びシール層3の積層構造を有する樹脂フィルムと言うこともできる。インモールドラベル1は、ダイレクトブロー成形及びストレッチブロー成形を含むブロー成形の手法により、金型などの成形機を用いて樹脂をインモールド成形する場合に、成形機の内側、より具体的には成形機の内壁に配される。すると、当該インモールド成形の際にインモールドラベル1が樹脂成形体に貼着し、樹脂成形品が得られる。下記において、基材層2及びシール層3を詳細に説明する。
<1−1.基材層>
基材層2は、インモールドラベル1の支持体となる。基材層2は、印刷及び成形機内への挿入など、ハンドリングができる程度の剛度(コシ)をインモールドラベル1に与える。
また、基材層2は、0.1〜20%の範囲の内部ヘイズを有する。内部ヘイズが上記の範囲内であると、透明性に優れたインモールドラベル1が得られる。さらに、インモールドラベル1の透明性が一層優れたものとなるため、当該内部ヘイズは、1〜16%であることが好ましく、5〜12%であることがより好ましい。
基材層2を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば、樹脂、酸化防止剤、及び紫外線安定剤が挙げられる。当該樹脂としては、特に制限されないが、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。基材層2は、樹脂を主成分とすることが好ましく、熱可塑性樹脂を主成分とすることがより好ましい。
熱可塑性樹脂として、特に制限されないが、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びアイオノマー樹脂などが挙げられる。オレフィン系樹脂の具体例として、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、及びエチレン・環状オレフィン共重合体などが挙げられる。ポリエステル系樹脂の具体例として、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。ポリアミド系樹脂の具体例として、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、及びナイロン−6,12等が挙げられる。
上記の熱可塑性樹脂の中でも、融点が130〜280℃の範囲であり、かつ、結晶化度が0〜50%の範囲である熱可塑性樹脂が好ましい。この場合、内部ヘイズが上記の範囲内である基材層2を備えた樹脂フィルムを成形しやすくなる。そのような熱可塑性樹脂として、例えばポリプロピレン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
基材層2を構成する樹脂は、1種単独であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。一層優れた透明性が得られるため、当該樹脂は、上記で具体的に挙げた熱可塑性樹脂から選択される1種であることが好ましい。より詳しく言えば、基材層2は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエステル系樹脂のうち少なくともいずれかを含むことが好ましく、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂のうち少なくともいずれかを含むことがより好ましく、ポリプロピレン系樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂からなることがさらに好ましい。
また、基材層2に含まれ得る熱可塑性樹脂の融点は、シール層3に含まれ得るオレフィン系樹脂の融点より、15℃以上高いことが好ましい。そのような熱可塑性樹脂の中でも、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。当該ポリプロピレン系樹脂に起因して、透明性、耐熱性、及び耐久性が一層優れたものとなり、かつ、コストを低く抑えられる。
上記のポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティック若しくはシンジオタクティックな立体規則性を示すプロピレンの単独重合体、又は、プロピレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。当該共重合体は、プロピレンを主成分とするのが好ましい。上記α−オレフィンの具体例として、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、及びヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等が挙げられる。上記共重合体は、2元系、3元系、及び4元系のいずれであってもよい。また、上記共重合体は、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。
基材層2は、上記の樹脂に加え、透明性が損なわれない範囲で、必要に応じて添加剤を含んでもよい。当該添加剤の具体例として、酸化防止剤、紫外線安定剤、及び核剤などが挙げられる。
上記の酸化防止剤の具体例として、立体障害フェノール系、リン系、及びアミン系などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、基材層2の構成成分の総含有量(100質量%)に対して、例えば0.001〜1質量%の範囲である。また、上記の紫外線安定剤の具体例として、立体障害アミン系、ベンゾトリアゾール系、及びベンゾフェノン系の光安定剤などが挙げられる。紫外線安定剤の含有量は、基材層2の構成成分の総含有量(100質量%)に対して、例えば0.001〜1質量%の範囲である。
基材層2の厚さは、特に制限されないが、20〜200μmであることが好ましい。当該厚さが20μm以上であると、インモールドラベル1に印刷する場合であってもインモールドラベル1におけるシワの発生を効果的に防止でき、かつ、成形機内への挿入時に正規の位置にラベルを固定しやすくなってずれにくくなる。また、当該厚さが200μm以下であると、得られる樹脂成形品におけるインモールドラベル1の境界部分の強度低下を効果的に防止でき、これにより耐落下強度の低下などを効果的に避けることができる。さらに、上記の効果が一層優れたものとなるため、基材層2の厚さは40〜150μmであることがより好ましい。
ここで、図1に示される基材層2は、例えばフィルム状である。基材層2は、後述するように、無延伸フィルム又は少なくとも一軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。
<1−2.基材層の成形>
本実施形態のインモールドラベル1を構成する基材層2は、当業者に公知の種々の方法及びその組み合わせによって製造することができる。いかなる方法により製造されたインモールドラベル1であっても、本明細書に記載される条件を満たす限り、本実施形態に含まれる。
基材層2を成形する方法としては、特に制限されないが、例えば、キャスト成形法、インフレーション成形法、圧延法、及びカレンダー成形法が挙げられる。上記キャスト成形法は、スクリュー型押出機に接続された単層のT−ダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出す手法である。また、上記インフレーション成形法は、スクリュー型押出機に接続されたO−ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出す手法である。
基材層2自体は、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造であってもよい。基材層2は、多層構造を有することにより、ガスバリア性などが優れたものとなる。
なお、基材層2の成形について記載した事項は、後述する中間層及び印刷可能層についても同様に適用することができる。
<1−3.シール層>
本実施形態のインモールドラベル1に含まれるシール層3は、基材層2の表面に積層され、インモールドラベル1及び樹脂成形体を接着させる。シール層3は、樹脂成形品が成形されるときにインモールドラベル1及び樹脂成形体を接着させるため、良好なヒートシール性能を有する。
シール層3は、オレフィン系樹脂を含む。また、シール層3における、溶融熱量、再結晶化温度、並びに特定条件下での平均屈折率及び結晶化度のうち少なくともいずれかの物性を特定範囲に調整する。これにより、インモールドラベル1の接着性及び透明性が優れたものとなる。
シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂の溶融熱量は、10〜55J/gであり、15〜45J/gであることが好ましく、20〜30J/gであることがより好ましい。溶融熱量が上記範囲内であると、ストレッチブロー成形のような比較的低温(例えば90〜110℃、好ましくは95〜110℃)下での接着が要求される成形手法においても、インモールドラベル1に樹脂成形体との十分な接着強度をもたらす。本明細書における「融解熱量」は、エスアイアイ・テクノロジー社製の示差走査熱量計を用いて測定し、各ラベルを炉内で加熱・冷却したときの吸熱ピークの面積を記載するものとする。
シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂として再結晶化したときに白濁化する材料を用いる場合、当該シール層3又はオレフィン系樹脂の再結晶化温度は、樹脂成形体の成形温度以上であることが好ましく、当該成形温度よりも高いことがより好ましい。この場合、樹脂成形体を成形するときに、シール層3の構成成分が再結晶化しないため、成形後におけるシール層3の白濁化を防止することができる。これにより、成形後であっても、インモールドラベル1の透明性が優れたものとなる。上記の場合の再結晶化温度は、40〜110℃であってよい。再結晶化温度は、45〜105℃であることが好ましく、50〜100℃であることがより好ましい。樹脂成形体としてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる場合、成形温度は、例えば90〜110℃であり、好ましくは95〜110℃である。したがって、シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂として再結晶化温度が樹脂成形体の成形温度以上(好ましくは樹脂成形体の成形温度よりも高い)材料を用いることで、シール層3が白濁化するのを防止することができる。
一方、シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂として、再結晶化しても濁らない材料を用いる場合、又は再結晶化したときに白濁化してもインモールドラベル1の透明性が品質上損なわれないような材料を用いる場合、上記の再結晶化温度は特に制限されない。当該再結晶化温度は、例えば40〜110℃である。本明細書における「再結晶化温度」は、示差走査熱量計(DSC)により測定して得られる値を採用する。
シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂の平均屈折率は、プリフォームが95℃となるように加熱し、2.5MPaの圧空を導入してインモールド成形した後、15秒で50℃まで冷却し、常温(23℃)で測定するという特定条件において、1.4〜1.6であってよい。当該特定条件における平均屈折率は、1.41〜1.55であることが好ましく、1.42〜1.50であることがより好ましい。平均屈折率が上記範囲内であると、シール層3を備えるインモールドラベル1の平均屈折率とPETが主として用いられる樹脂成形体とは、互いに同じか又は近似した値となる。これにより、成形後であっても、ラベルの貼着部分の透明性が優れたものとなる。これに加えて、樹脂成型品のうちラベルの貼着部分の透明性が非貼着部分の透明性と同等に優れたものとなるので、貼着部分と非貼着部分との境界が見えなくなり、樹脂成型品の外観にも優れる。
本明細書における「平均屈折率」は、アッベ(Abbe)屈折計により測定して得られる値を採用する。なお、上記の特定条件は、プリフォームが95℃となるように加熱した後、15秒で50℃まで冷却して測定するという、より簡略化した条件に替えてもよいものとする。
シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂の結晶化度は、プリフォームが95℃となるように加熱し、2.5MPaの圧空を導入してインモールド成形した後、15秒で50℃まで冷却し、常温(23℃)で測定するという特定条件において、0〜50%であり、5〜45%であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましい。結晶化度が上記範囲内であると、結晶によるシール層3の平均屈折率が低下することを避けられる。これにより、成形後であっても、樹脂成型品のうちラベルの非貼着部分の透明性のみならず貼着部分の透明性も優れたものとなる。
なお、上記の特定条件は、プリフォームが95℃となるように加熱した後、15秒で50℃まで冷却して測定するという、より簡略化した条件に替えてもよいものとする。
本明細書における「結晶化度」は、後述の実施例欄で行われた方法(X線回折法)で測定される値を採用する。なお、シール層3が2種以上の成分をそれぞれ検出限界以上含む場合、又はオレフィン系樹脂の結晶化状態が多相であるなど複雑な場合には、シール層3又はオレフィン系樹脂の結晶化度を、X線回折法に代わる方法で測定することができる。当該方法として、示差走査熱量測定(DSC)法を用いた手法が挙げられる。当該手法の手順を説明する。まず、シール層3又はオレフィン系樹脂を室温で12時間放置する。続いて、10mgの試料に切り出し、DSC法を用い、窒素雰囲気下30〜300℃まで10℃/分の速度で昇温させる。そして、昇温時における、各成分の発熱ピークの総熱量と吸熱ピークの総熱量とを求め、以下の式により、結晶化度を算出する。
結晶化度D(%)=[吸熱ピークの総熱量(J/g)−発熱ピークの総熱量(J/g)]/[理論融解熱量の合計(J/g)]×100
なお、上記式中の理論融解熱量の合計は、各成分の含有率及び理論融解熱量を乗じた値の総和である。
溶融熱量、再結晶化温度、平均屈折率、及び結晶化度といった物性は、いずれか一つでも上記の数値条件を満たすことにより、インモールドラベルの接着性及び透明性が良好となる。中でも、平均屈折率及び結晶化度のうち少なくともいずれかが上記の数値条件を満たすことが好ましい。溶融熱量と平均屈折率及び結晶化度のうち少なくともいずれかとの組み合わせが上記の数値条件を満たすことがより好ましい。溶融熱量と平均屈折率又は結晶化度との組み合わせが上記の数値条件を満たすことがさらに好ましい。シール層3又はシール層3に含まれるオレフィン系樹脂として再結晶化したときに白濁化する材料を用いる場合には、上記の好ましい物性に加えて、再結晶化温度も上記の数値条件を満たすことがさらにより好ましい。これらの好ましい物性又はその組み合わせの場合、接着性及び透明性に一層優れたインモールドラベルが得られる。
また、上記の各物性は、シール層3の構成成分全体として特定範囲に調整されることが好ましい。その上で、シール層3はオレフィン系樹脂を含むことから、オレフィン系樹脂が上記各物性のうち少なくともいずれかについて特定範囲内であってもよい。なお、本実施形態においては、各物性のうち、上述のさらにより好ましい組み合わせについて詳細に説明するが、他の好ましい物性又はその組み合わせについても同様のことが言える。
なお、上述の溶融熱量などの測定方法及び条件、並びに結晶化度の上記特定条件は、各物性の数値範囲を一義的に規定するための条件に過ぎず、本実施形態のインモールドラベル1及びこれを構成する各層を限定するものではない。
また、上記の樹脂成形品の成形は、ストレッチブロー法による成形とすることが好ましい。下記において、シール層3に含まれるオレフィン系樹脂、及び当該樹脂のうちオレフィン系樹脂エマルジョンを詳細に説明する。
(オレフィン系樹脂)
オレフィン系樹脂としては、例えばオレフィンの単独重合体及び共重合体、並びにオレフィン及びその他のコモノマーから形成される共重合体などが挙げられる。
上記オレフィンの具体例としては、エチレン及びプロピレン等が挙げられる。これらの中でも、適度な結晶化度が得やすくなり、かつ、ヒートシール性能が調整しやすくなるため、エチレンが好ましい。また、各種の樹脂成形品が高い接着強度を達成しやすくなるため、シール層3は、エチレン及びその他のコモノマーから形成される共重合体が好ましい。当該共重合体の含有割合として当該その他のコモノマーの含有量は、特に制限されないが、共重合体の総含有量(100質量%)に対して5〜50質量%であることが好ましい。この場合、適度な結晶化度が得やすくなり、かつ、ヒートシール性能が調整しやすくなる。さらに、上記オレフィン系樹脂のメルトフローレートは、20g/10分以上であることが好ましい。この場合、後述する水性分散液が得やすくなる。
上記のその他のコモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、アルケン(炭素数は1〜8が好ましい。)、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、及び無水マレイン酸などが挙げられる。
上記の好ましい共重合体の具体例としては、エチレン・ヘキセンの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩、及び、エチレン、アクリル酸アルキルエステル、及び無水マレイン酸の共重合体、並びに、これらの共重合体のうちエチレンをカルボン酸で変性した、カルボン酸変性エチレンを含む共重合体などが挙げられる。
なお、上記金属塩を構成する金属としては、特に制限されないが、例えば亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、カリウム(K)、及びナトリウム(Na)が挙げられる。また、カルボン酸変性エチレンの具体例としては、マレイン酸変性エチレン等が挙げられる。
これらの共重合体の中でも、ストレッチブロー成形のような比較的低温(例えば90〜110℃、好ましくは95〜110℃)下での接着が要求される成形手法においても、インモールドラベル1と樹脂成形体との接着強度に一層優れ、かつ、貼着後の透明性に一層優れるため、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)とマレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(マレイン酸変性EVA)とのうち少なくともいずれかが好ましい。さらに、接着性及び水分散性にも一層優れるため、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体を含むことがより好ましい。
このように、オレフィン系樹脂は、エチレン・酢酸ビニル共重合体とマレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体とのうち少なくともいずれかを含むことが好ましく、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体を含むことがより好ましい。
上記エチレン・酢酸ビニル共重合体のうち酢酸ビニルの含有量は、特に制限されないが、当該共重合体の総含有量(100質量%)に対して5〜50質量%であることが好ましい。当該含有量が5質量%以上であると、インモールドラベル1を樹脂成形体に一層強く接着させることができ、透明性に一層優れたものとなる傾向があり、かつ、媒質中に溶解しやすいことからカルボン酸変性物の製造が容易になる。一方、当該含有量が50質量%以下であると、基材層2及び樹脂成形体を構成する樹脂としてオレフィン系樹脂を用いる場合であっても、接着性に一層優れる傾向がある。
また、上記カルボン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体における酸価は、1〜60であることが好ましい。酸価が1以上であると、水性分散液が得やすくなる。一方、酸価が60以下であると、耐水性及び耐湿性がより優れたものとなる。
カルボン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体は、公知の方法で製造できる。例えば、特開平3−112836号公報に記載のように、まず、エチレン・酢酸ビニル共重合体をトルエン又はキシレン等の芳香族炭化水素類に溶解させる。続いて、メチルアルコール又はエチルアルコール等の低級アルコール類を加え、特定量の水の存在下でアルカリアルコラート触媒を用いてケン化反応させる。続いて、ケン化反応で得られたエチレン・酢酸ビニル共重合体のケン化物と、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、及びアコニット酸などの不飽和カルボン酸、並びにそれらの酸無水物及び酸エステルからなる群より選択される1種以上と、ラジカル重合開始剤と、を反応させることにより、カルボン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体を得ることができる。
これらの中でも、マレイン酸及びマレイン酸無水物のうち少なくともいずれかを含む重合反応により得られたマレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
オレフィン系樹脂は、上記したオレフィンの単独重合体及び共重合体、並びにオレフィン及びその他のコモノマーから形成される共重合体のうち、1種単独からなってもよく、2種以上からなってもよい。
オレフィン系樹脂は、透明性を損なわない範囲で、必要に応じて、いわゆる粘着付与剤、ワックス類、アンチブロッキング剤(より具体的には無機粉末系アンチブロッキング剤)、有機系スリップ剤、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、及び塩素化ポリエチレンからなる群より選択される一種以上をさらに含んでもよい。これらのうち、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、及び塩素化ポリエチレンのうち少なくともいずれかがオレフィン系樹脂に含まれることにより、オレフィン系樹脂の凝集力及び接着力が一層優れたものとなる。上記粘着付与剤の具体例として、ロジン及びその誘導体、テルペン及びその誘導体、石油樹脂、並びにこれらの水素添加物などが挙げられる。上記ワックス類の具体例として、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、及びフィッシャートップスワックス等が挙げられる。上記無機粉末系アンチブロッキング剤の具体例として、シリカ、タルク、及びゼオライト等が挙げられる。上記有機系スリップ剤の具体例として、エルシン酸アミド、オレイン酸アミド、及びステアリン酸アミド等が挙げられる。
(塗工液)
シール層3は、オレフィン系樹脂を含む塗工液が基材層2の表面に塗布、乾燥された状態の塗布層であってもよい。当該オレフィン系樹脂を含む塗工液は、上記したオレフィンの単独重合体及び共重合体、並びにオレフィン及びその他のコモノマーから形成される共重合体を有機溶媒に溶解した状態の溶液でもよく、水性媒体中に分散した状態のオレフィン系樹脂エマルジョンを含む分散液でもよい。
ここで、インモールドラベル1は、成形機内で樹脂成形体と一体成形する前後において、透明な状態を維持するものであってもよく、不透明な状態から透明な状態へと変化するものであってもよい。より具体的に言えば、インモールドラベル1は、これを構成するシール層3において、非加熱状態(上記一体成形の前の状態を言う。)において透明であり、加熱後状態(上記一体成形の後の状態を言う。)においても透明であり得る。そのようなシール層3の材料の具体例として、上述したような、オレフィンの単独重合体及び共重合体、並びにオレフィン及びその他のコモノマーから形成される共重合体などが挙げられる。一方、インモールドラベル1は、これを構成するシール層3において、非加熱状態において不透明であるが、加熱後状態において透明であってもよい。この場合、印刷時に、インモールドラベル1の品質上の不具合を発見しやすくなる。そのようなシール層3の材料の具体例として、オレフィン系樹脂エマルジョンを含む塗工液を用いて作製された塗布層などが挙げられる。
なお、シール層3が透明であるか不透明であるかは、インモールドラベル1の観者による主観的な判断結果であってよい。シール層3の内部ヘイズが50%以下である場合が「透明」であり、50%を上回る場合が「不透明」であってもよい。また、上記の「加熱状態」とは、樹脂成形品の成形時にインモールドラベル1が受ける加熱の状態を意味するが、本実施形態の加熱条件及び成形条件を限定するものではない。
(オレフィン系樹脂エマルジョン)
オレフィン系樹脂エマルジョンをシール層3の材料とするインモールドラベル1は、エマルジョン粒子により不透明であり、ラベルの品質上の不具合を印刷時に発見しやすい利点がある。さらに、オレフィン系樹脂エマルジョンをシール層3の材料とするインモールドラベル1が樹脂成形体に貼着した樹脂成形品において、オレフィン系樹脂が成形中に溶融することでエマルジョン粒子は消失し、シール層3は被膜の均一性及び透明性に一層優れたものとなる。その結果、樹脂成形品におけるインモールドラベル1の貼着部分と非貼着部分とは、互いに外観上の差異が殆ど又は全く無く、一体化して見える。
オレフィン系樹脂が水中に分散した状態の水性樹脂エマルジョンを得る方法としては、例えば、特開昭58−118843号、特開昭56−2149号、特開昭56−106940号、及び特開昭56−157445号公報などに記載される方法が挙げられる。当該方法について具体的に言えば、まず、二軸スクリュー押出機に共重合体樹脂を供給し、溶融混練する。その後、押出機の圧縮部域又はベント域に設けた液導入管より分散液を含有する水を導入し、スクリューを回転することにより溶融した共重合体樹脂と水を混練する。そして、得られた混練物を押出機のハウジング内で逆転相させて押出機の出口ノズルより大気圧域に放出し、必要に応じて水をさらに加え、貯槽内に収容することで得られる。
オレフィン系樹脂エマルジョン中のオレフィン系樹脂粒子の平均粒径は、0.01〜3μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。オレフィン系樹脂粒子の平均粒径が上記範囲内であると、分散液の状態で相が安定し、液の保管性及び塗工性が優れたものとなる。また、当該分散液を塗工して形成されるシール層3は、樹脂成形体に接着された後において、即ち樹脂成形品の状態において、透明性が一層優れたものとなる傾向がある。
ここで、本明細書における「平均粒径」は、次の手順で算出する。まず、サンプル溶液(例えばオレフィン系樹脂エマルジョン溶液)を低温かつ減圧条件下で乾燥させる。当該乾燥後のサンプルを、走査型電子顕微鏡を用いて適度な倍率(例えば1,000倍)に拡大し写真画像を撮影する。撮影した画像から、サンプル中に存在する無作為に選んだ100個の粒径(長径)の平均値を計算する。これにより平均粒径を算出する。
オレフィン系樹脂エマルジョンの固形分濃度は、8〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。当該固形分濃度が上記範囲内であると、分散液の状態で相が安定し、液の保管性及び塗工性が優れたものとなる。
このようなオレフィン系樹脂エマルジョンの市販品としては、例えば、日栄化工株式会社製のライフボンドHC−12、HC−17、HC−38、及びHCN−006(商品名)、並びに東洋モートン株式会社製のAD−37P295J及びEA−H700(商品名)等が挙げられる。また、オレフィン系樹脂が有機溶媒中に溶解した状態の塗工液の市販品としては、例えば、東洋モートン株式会社製のTHS−4884及びAD−1790−15(商品名)等が挙げられる。
(塗工液の塗工)
上述のオレフィン系樹脂を含む塗工液を基材層2上に塗工する方法としては、特に制限されないが、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、ブレードコーター、メイヤーバーコーター、及びエアーナイフコーター等の塗工装置を用いる方法が挙げられる。
なお、当該塗工する方法は、後述する中間層上に塗工液を塗工する場合にも同様に適用することができる。
上記塗工液を塗工してから乾燥することで溶媒(主に水)を除去し、生じた被膜をシール層3とする。シール層3の厚さは、0.3〜10μmであることが好ましい。当該厚さが0.3μm以上であると、樹脂成形体及びインモールドラベル1が強固に融着するため、一層接着強度が優れたものとなる。一方、当該厚さが10μm以下であると、塗工後の乾燥が容易となり、かつ、透明性の悪化及び凝集力不足による接着強度の低下を効果的に防止できる。さらに、これらの効果が一層優れたものとなるため、シール層3の厚さは、1〜5μmであることがより好ましい。
なお、塗工液の塗布量は、上記シール層3が好ましい厚さの範囲となるように、適宜設定すればよい。また、塗工液の固形分濃度は、10〜60質量%であることが好ましい。当該固形分濃度が上記範囲内であると、シール層3の厚さがほぼ均一となるため、シール層3の全面に亘って接着性が同程度に優れ、インモールドラベル1全体としての接着性が一層優れたものとなる。
また、主にシール層3の接着力に起因したインモールドラベル1の接着強度の下限は、200gf/15mm以上であることが好ましい。当該接着強度が200gf/15mm以上であれば、インモールドラベル1が樹脂成形体に十分接着し、剥がれにくくなるので、実用上殆ど問題がない。さらに、実用上の問題が生じるのをより確実に避けるため、インモールドラベル1の接着強度の下限は、300gf/15mm以上であることがより好ましく、400gf/15mm以上であることがさらに好ましい。一方、接着強度の上限は特に制限されないが、1,000gf/15mm以下であるとよい。
上記のような、インモールドラベル1の好ましい接着強度は、シール層3の構成成分を上述した好ましい材料から選択し、かつ、成形機内の温度を特定の範囲内とすることによって、得られやすくなる。樹脂成形品の成形時における成形機内温度は、0〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
さらに、樹脂成形品に貼着するインモールドラベル1を樹脂成形体から剥がした場合に、シール層3が、インモールドラベル1側、即ち基材層2又は後述する中間層と、樹脂成形体と、のうちどちらの側に残したいかという観点で、シール層3の接着強度を設定することができる。
まず、基材層2又は中間層とシール層3との接着強度が、樹脂成形体の構成樹脂とシール層3との接着強度よりも低い場合、インモールドラベル1を樹脂成形体から剥がすと、シール層3は樹脂成形体側に残ることとなる。この場合、樹脂成形体のうちインモールドラベル1が貼着されていた部分にラベルの痕が残る。そのため、第三者がインモールドラベル1を剥がして、製品を偽装することを防止できる。
一方、基材層2又は中間層とシール層3との接着強度が、樹脂成形体の構成樹脂とシール層3との接着強度よりも高い場合、インモールドラベル1を樹脂成形体から剥がすと、シール層3は剥がれたインモールドラベル1側に残ることとなる。この場合、シール層3がもはや樹脂成形体に付着していないため、樹脂成形体のうちインモールドラベル1が貼着されていた部分にはラベルの痕が見られない。そのため、当該樹脂成形体はリサイクル用途に極めて優れたものとなる。
なお、本明細書におけるインモールドラベルの接着強度の測定方法及び条件は、後述の実施例欄で行われた方法や条件を採用する。但し、これは、本実施形態のインモールドラベルにおける接着強度の測定方法及び条件を限定するものではない。
<1−4.インモールドラベルの用途>
本実施形態のインモールドラベル1は、インモールド成形の手法を問わず用いることができるが、ストレッチブロー成形によって、当該ラベルが樹脂成形体に貼着された状態の樹脂成形品を製造する場合に、特に好適に用いられる。インモールド成形は、例えば以下の手順で実施される。まず、基材層2側が成形機の内壁に接するように、インモールドラベル1が成形機内に予め設置される。このとき、シール層3は成形機の内壁面と反対側に位置する。また、熱可塑性樹脂を主成分とするプリフォームが成形機内に導入される。
樹脂成形品を成形機内で成形する手法の一つとして、ブロー成形(中空成形)がある。当該ブロー成形には、樹脂のパリソンを用いるダイレクトブロー成形による手法と、樹脂のプリフォームを用いるストレッチブロー成形による手法と、がある。
ダイレクトブロー成形の手法は、原料樹脂の融点以上まで樹脂を加熱して、樹脂が溶融した状態でパリソンを形成し、これを圧空で膨らませる手法である。一方、ストレッチブロー成形の手法は、原料樹脂の軟化点までプリフォームを加熱して、樹脂が変形可能な状態でプリフォームをロッドで延伸して更に圧空で膨らませる手法である。
ダイレクトブロー成形及びストレッチブロー成形は、同一の樹脂を材料として用いる場合であっても、溶融状態及び軟化状態のいずれを選択するかによって、樹脂に加わる熱量を大きく異にする。具体的に、ダイレクトブロー成形により樹脂成形品を製造する場合、溶融パリソンがラベルに与える熱量によって低融点樹脂が十分に溶融活性化する。そのため、接着強度などの品質に問題のない、ラベルが貼着した樹脂成形品が得られる。これに対し、ストレッチブロー成形により樹脂成形品を製造する場合、プリフォームがラベルに対してラベルの低融点樹脂を溶融活性化するのに十分な熱量を与えることができない。そのため、ラベルを接着できないか、又はラベルが容易に剥がれてしまうといった問題が生じ得る。そのため、ストレッチブロー成形によってラベルを樹脂成形体に貼着する場合、当該ラベルのうち接着層(シール層)の材料として、溶融熱量の低いディレード接着剤を用いることが考えられる。しかし、ディレード接着剤は、常温で視覚的に濁っているため、視覚的に透明なPET及びポリカーボネート(PC)等の樹脂から成形された樹脂成形品に貼着するラベル用のシール層としては適切でないと考えられていた。
本発明者らは、インモールドラベルに含まれるシール層の溶融熱量、再結晶化温度、平均屈折率、及び結晶化度といった物性について検討を重ねた。その結果、ストレッチブロー成形により得られるペットボトル等の透明性に優れた樹脂成形体に、当該樹脂成形体と平均屈折率が同等であるインモールドラベルが貼着した状態の樹脂成形品及び当該成形品に適したインモールドラベルを開発するに至った。当該樹脂成形品は、インモールドラベルの貼着部分及び非貼着部分のどちらからでも内容物を視認できる、透明性に極めて優れたストレッチブロー成形品である。さらに言えば、当該樹脂成形品は、インモールドラベル及び樹脂成形体が一体化して見えるような、即ち樹脂成形品としてノンラベルルックな、インモールドラベル付きの樹脂成形体である。
<1−5.基材層の延伸>
インモールドラベル1を構成する基材層2は、延伸されていない無延伸(未延伸)のフィルムであってもよく、少なくとも一軸方向に延伸された延伸フィルムであってもよい。無延伸フィルムは、透明性及びストレッチブロー成形品への形状追随性が一層優れたものとなる。一方、延伸フィルムは、薄膜化による透明性、軽量性、及び厚みの均一性が一層優れたものとなる。
基材層2を延伸する場合、公知の種々の方法のいずれか又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。基材層2を延伸する方法として、例えば、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、縦延伸及び横延伸を組み合わせた逐次2軸延伸、テンターオーブン及びリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸、テンターオーブン及びパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸、並びに圧延などが挙げられる。また、上述のインフレーション成形法により基材層2を延伸する場合、吹込空気量の調整による同時2軸延伸が好ましく挙げられる。
延伸の倍率は、特に制限されないが、インモールドラベル1の支持体である基材層2に主に用いられる熱可塑性樹脂の特性及び得られる積層樹脂フィルムの物性などを考慮して、適宜決定することができる。例えば、基材層2の熱可塑性樹脂としてプロピレンの単独重合体及びその共重合体のうち少なくともいずれかを使用し、これを一軸延伸する場合の延伸倍率は、1.2〜12倍であることが好ましく、2〜10倍であることがより好ましい。上記熱可塑性樹脂を2軸延伸する場合の延伸倍率は、面積倍率として、1.5〜60倍であることが好ましく、4〜50倍であることがより好ましい。
また、上記したプロピレンの単独重合体及びその共重合体以外の熱可塑性樹脂を含む基材層2を一軸延伸する場合の延伸倍率は、1.2〜10倍であることが好ましく、2〜5倍であることがより好ましい。上記熱可塑性樹脂を2軸延伸する場合の延伸倍率は、面積倍率として、1.5〜20倍であることが好ましく、4〜12倍であることがより好ましい。
延伸の温度は、基材層2に主として含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上であって当該熱可塑性樹脂の結晶相の融点以下である温度範囲内で、適宜決定することができる。上記熱可塑性樹脂がプロピレンの単独重合体(融点155〜167℃)である場合、延伸の温度は、100〜166℃であることが好ましく、上記融点より1〜70℃低い温度であることがより好ましい。また、延伸の速度は、特に制限されないが、例えば20〜350m/分である。
したがって、基材層2は、ポリプロピレン系樹脂の無延伸フィルム(CPPフィルム)又は延伸フィルム(OPPフィルム)であることがより好ましい。透明性が一層優れたものとなるため、インモールドラベル1は、ポリプロピレン系樹脂の無延伸フィルム(CPPフィルム)を基材層2とすることがさらに好ましい。基材層2が無延伸のポリプロピレン系樹脂フィルムであると、ポリプロピレン系樹脂分子の延伸配向による結晶化を抑えることができる。そのため、当該基材層2は、一層優れた透明性を維持しつつ、ストレッチブロー成形によって樹脂成形品の形状変化に追従できる優れた柔軟性を得ることができる。
なお、基材層2の延伸について記載した事項は、後述する中間層及び印刷可能層についても同様に適用することができる。
<1−6.中間層>
図2は、本発明の他の実施形態に係るインモールドラベルの断面図である。インモールドラベル10は、基材層11と、シール層12と、基材層11及びシール層12の間にある中間層13と、を備える。換言すれば、図2に示すインモールドラベル10は、基材層11、中間層13、及びシール層12からなる積層構造を有する樹脂フィルムである。基材層11及びシール層12は、それぞれ上記実施形態における基材層2及びシール層3と同様であるため、ここでの説明を省略する。
中間層13はオレフィン系樹脂を含む。中間層13は、基材層11及びシール層12を仲介してこれらの層間の接着力を高めると推測される。また、中間層13を設けることで、ストレッチブロー成形のような比較的低温(例えば90〜110℃、好ましくは95〜110℃)での加熱であっても、ヒートシール時におけるシール層12の接着強度を一層高めることができる。
より具体的に言えば、中間層13を構成するオレフィン系樹脂の融点は、基材層11を構成する熱可塑性樹脂の融点より5℃以上低く、且つシール層12を構成するオレフィン系樹脂の融点より5℃以上高いことが好ましい。この場合、各層間に融点の勾配が生じるため、基材層11及びシール層12の間の接着性を一層優れたものとすることができる。
このようなオレフィン系樹脂としては、融点が110℃以下のポリエチレン系樹脂が好ましい。当該ポリエチレン樹脂の具体例としては、密度が0.94g/cmを超えて0.97g/cm以下の高密度ポリエチレン、密度が0.90〜0.94g/cmの低密度又は中密度の高圧法ポリエチレン、密度が0.86〜0.94g/cmの線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(金属として例えばZn、Al、Li、K、及びNa等)、及びエチレン・無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記の中でも、結晶化度(X線回折法)10〜60%及び数平均分子量10,000〜40,000である、高圧法ポリエチレン及び線状ポリエチレンのうち少なくともいずれかが好ましい。中でも、エチレン40〜98質量%と炭素数3〜30のα−オレフィン2〜60質量%とをメタロセン触媒の存在下で共重合させることにより、得られる直鎖線状ポリエチレンがより好ましい。この場合、例えば90〜110℃(好ましくは95〜110℃)という比較的低温の条件下での接着性が一層優れたものとなる。また、メタロセン触媒の具体例として、メタロセン・アルモキサン触媒、又は、例えば国際公開第92/01723号パンフレット等に開示されているようなメタロセン化合物と、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンを形成する化合物と、からなる触媒などが挙げられる。
上記のオレフィン系樹脂は、1種単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。中でも、透明性が一層優れたものとなるため、上記のオレフィン系樹脂は基材層11と同様に1種単独で用いることが好ましい。
さらに、本実施形態における中間層13には、目的とする透明性や接着性を阻害しない範囲で、公知の他の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。当該樹脂用添加剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などを挙げることができる。中間層13の厚さは、1〜30μmが好ましい。厚さが1μm以上であれば成形品の成形時に中間層がプリフォームの熱によりシール層とともに融解し、成形品とラベルが強固に融着しやすい。一方、30μm以下であればラベルにカールが発生しにくく、ラベルへのオフセット印刷が困難となったり、ラベルを成形機へ固定することが困難となったりすることがない。さらに、上記の効果が一層優れたものとなるため、中間層13の厚さは、5〜20μmがより好ましい。
<1−7.印刷可能層>
図3は、本発明の他の実施形態に係るインモールドラベルの断面図である。インモールドラベル20は、基材層21と、シール層22と、基材層21及びシール層22の間にある中間層23と、基材層21が有する面のうちシール層22側の面と反対側の面にある印刷可能層24と、を備える。換言すれば、図3に示すインモールドラベル20は、印刷可能層24、基材層21、中間層23、及びシール層22からなる積層構造を有する樹脂フィルムである。基材層21、シール層22、及び中間層23は、それぞれ上記実施形態における基材層2、シール層3、及び中間層13と同様であるため、ここでの説明を省略する。
印刷可能層24は、基材層21側におけるインモールドラベル20の最外層となるように設けることができる。印刷可能層24は、インモールドラベル20の用途に応じて、画像(文字を含む。)が印刷されていてもよく、印刷されていなくてもよい。当該印刷は、インモールドラベル20を製造するいずれの段階でも実行することができ、又はインモールドラベル20の製造前後に実行してもよい。
ここで、インモールドラベル20のインモールド成形は、例えば、印刷可能層24側が成形機の内壁に接するように、成形機内に予め設置される。また、熱可塑性樹脂を主成分とするプリフォームが成形機内に導入される。このとき、シール層22は成形機の内壁面と反対側に位置する。
なお、変形例として、図3に示される積層体は、中間層23を有しないインモールドラベルであってもよい。下記において、印刷可能層24を詳細に説明する。
印刷可能層24の材料としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(金属として例えばZn、Al、Li、K、及びNa等)、ポリ4−メチル−1−ペンテン、及びエチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及び、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、及びナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、並びに、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。好ましくはポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の融点が130〜280℃の範囲の熱可塑性樹脂である。これらの樹脂は、1種単独であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。当該ポリオレフィン系樹脂の中でも、コストを抑えることができ、かつ、耐水性及び耐薬品性がいずれも優れたものとなるため、ポリプロピレン系樹脂及び高密度ポリエチレンのうち少なくともいずれかがより好ましい。当該ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティック又はシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すプロピレンの単独重合体(ポリプロピレン)、並びに、主成分であるプロピレン及びα−オレフィンの共重合体を好ましく使用することができる。α−オレフィンの具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
上記の共重合体は、2元系、3元系、及び4元系のいずれでもよい。また、上記の共重合体は、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、インキ密着性が一層優れたものとなるため、印刷可能層24は、極性基を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。そのような熱可塑性樹脂の具体例として、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、アイオノマー、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(金属として例えばZn、Al、Li、K、及びNa等)、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン、及びマレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、インキ密着性がさらに一層優れたものとなる、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。印刷可能層24は、必要に応じて、無機粉末、酸化防止剤及び紫外線安定剤などをさらに含んでもよい。当該無機粉末の具体例として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、及びタルク等が挙げられる。
印刷可能層24の厚さは、好ましくは1〜30μmの範囲である。厚さが1μm以上であればインキ密着性が向上する。一方、厚さが30μm以下であれば、インモールドラベル20にカールが発生しにくく、インモールドラベル20へのオフセット印刷が困難となったり、インモールドラベル20を成形機に固定することが困難となったりすることがない。さらに、上記の効果が一層優れたものとなるため、印刷可能層24の厚さは、より好ましくは5〜20μmである。
本実施形態のインモールドラベル20は、必要に応じて、活性化処理によって印刷可能層24の表面の印刷性を改善しておくことができる。当該活性化処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、及びオゾン処理からなる群より選ばれる一種以上の酸化処理方法が挙げられる。中でも好ましくは、コロナ処理又はフレーム処理である。処理量は、コロナ処理の場合、例えば600〜12,000J/m(10〜200W・分/m)であり、好ましくは1200〜9,000J/m(20〜150W・分/m)である。600J/m(10W・分/m)以上であれば、コロナ放電処理の効果を十分に得ることができ、インキの密着性がより良好となる。また、12,000J/m(200W・分/m)を上回る範囲においては、処理の効果がほぼ同程度となるため、12,000J/m(200W・分/m)以下で十分である。一方、処理量は、フレーム処理の場合、例えば8,000〜200,000J/mであり、好ましくは20,000〜100,000J/mである。8,000J/m以上であれば、フレーム処理の効果を十分に得ることができ、インキの密着性がより良好となる。また、200,000J/mを上回る範囲においては、処理の効果がほぼ同程度となるため、200,000J/m以下で十分である。
本実施形態のインモールドラベル20の印刷可能層24への印刷は、レター印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、又はスクリーン印刷などの印刷方法で実施できる。インモールドラベル20には、例えば、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、及び使用方法などを印刷することができる。印刷されたインモールドラベル20は、打抜加工により必要な形状寸法のラベルに分離される。このインモールドラベル20は、樹脂成形体の表面の一部に貼着される部分的なものであってもよい。インモールドラベル20は、容器状成形体の側面を一周に亘って取り巻くブランクとして用いるものであってもよく、容器状成形体の表側及び裏側のうち少なくとも一方に貼着されるラベルであってもよい。
<1−8.インモールドラベルの層構成>
これまで説明してきたように、各実施形態のインモールドラベルは、基材層/シール層、基材層/中間層/シール層、印刷可能層/基材層/シール層、及び印刷可能層/基材層/中間層/シール層のうち、いずれかの積層構造を採り得る。
基材層と中間層及び印刷可能層の少なくとも一方とは、予め積層樹脂フィルムとして成形することができる。得られた積層樹脂フィルムの基材層又は中間層の表面に、上述の塗工法によりシール層を設けることで、上記各実施形態のインモールドラベルが得られる。
これらの積層樹脂フィルムの製造方法として、公知の種々のフィルム製造技術及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、スクリュー型押出機に接続された多層のT−ダイを使用した共押出方式、複数のダイスを使用した押出ラミネーション方式及び溶融ラミネート方式、熱ラミネート方式、並びに種々の接着剤を使用したドライラミネート方式及びウェットラミネート方式などが挙げられる。また、多層ダイ及び押出ラミネーションを組み合わせて使用する方法も好ましく挙げられる。各層をより強固に接着できるため、好ましくは共押出方式である。
<1−9.インモールドラベルが有する効果>
上記各実施形態のインモールドラベルを開発するに際し、本発明者らは、例えば上述の特許文献3に開示された多元系共重合体樹脂フィルム、又は無延伸のポリプロピレンフィルム等の、ラベルの基材に透明な樹脂フィルム、及び、例えば特許文献4に開示されたディレード接着剤などの、溶融熱量の低い材料からなる接着層(シール層)を含むラベルを用いてみた。しかし、ラベルを樹脂成形体に接着した後のシール層が透明性に劣り、濁って見えた。さらに、ラベルが浮き上がって見えたので、上記のラベルによって優れた透明性を実現することは困難であることを知見した。
そこで、本発明者らは、インモールドラベルを提供するに当たり、下記の3点を技術課題として鋭意検討を重ねた。1点目は、比較的低温(例えば90〜110℃、好ましくは95〜110℃)下での接着が要求されるストレッチブロー成形用として特に優れたインモールドラベルの提供である。2点目は、樹脂成形体との接着強度が十分なインモールドラベルの提供である。3点目は、透明性に優れてラベルと樹脂成形体との外観に差異を生じることなく樹脂成形品が一体化して見えるインモールドラベルの提供である。
その結果、上記各実施形態で説明したように、基材層と、当該基材層の表面に積層された状態のシール層と、を少なくとも備え、当該基材層は、JIS−K−7136に準じて測定される内部ヘイズが0.1〜20%であり、当該シール層は、オレフィン系樹脂を含み、溶融熱量、再結晶化温度、並びに特定条件下での平均屈折率及び結晶化度のうち少なくともいずれかが特定の数値範囲内である、インモールドラベルに想到した。
上記各実施形態によれば、比較的低温(例えば90〜110℃、好ましくは95〜110℃)の接着条件でも樹脂成形体との接着強度が十分であり、かつ、透明性に優れてラベルと樹脂成形体との外観に差異を生じることなく樹脂成形品が一体化して見える、インモールドラベルを提供することができる。
[2.樹脂成形品]
本発明の一実施形態は樹脂成形品に係る。当該樹脂成形品は、樹脂成形体と、当該樹脂成形体に貼着される上記各実施形態のインモールドラベルと、を含む。
これまで説明してきた各実施形態のインモールドラベルは、加熱した樹脂プリフォームをロッド及び圧空により、成形機(例えば金型)の内壁に圧着して付形する、中空成形用(ストレッチブロー成形用)のインモールドラベルとして好適に使用できる。各実施形態のインモールドラベルを用いて製造されたストレッチブロー成形品は、インモールドラベルの貼着部分と非貼着部分との間の外観の差異が小さく、より高度な一体感を与える。したがって、本実施形態の樹脂成形品は、インモールドラベルが貼着したストレッチブロー成形による樹脂成形品と言うことができる。
当該ストレッチブロー成形品のうち樹脂成形体は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含むことが好ましい。当該樹脂成形体が上記の樹脂を含む場合、本実施形態の樹脂成形品に貼着するインモールドラベルとの間で、透明性が一層優れたものとなる。上記ポリエステル系樹脂の具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、及びポリ乳酸などが挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂の具体例として、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、及びスチレンブタジエン共重合体などが挙げられる。
当該樹脂は、顔料及び染料などを含まない透明又は自然色のものであってもよく、顔料又は染料などを含む不透明又は着色のものであってもよい。樹脂成形体を構成する樹脂が着色のものであっても、樹脂成形体自体の色相とインモールドラベルを介した樹脂成形体の色相との差異は小さく、樹脂成形体とインモールドラベルの一体感は優れたものとなる。樹脂成形体を構成する樹脂が透明である場合、樹脂成形体及びインモールドラベル共に透明であり、樹脂成形品全体として一体感に優れ、樹脂成形品のどの箇所からでも内容物が視認しやすくなる。
樹脂成形品のうちインモールドラベルの貼着部分及び非貼着部分におけるヘイズの差は、20%以下であることが好ましい。当該ヘイズの差が20%以下であると、インモールドラベル及び樹脂成形体の一体感が一層優れたものとなり、ノンラベルルックなインモールドラベルが貼着したストレッチブロー成形による樹脂成形品が得られる。さらに、上記の効果が一層優れたものとなるので、上記ヘイズの差は15%以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における、インモールドラベルの貼着部分及び非貼着部分のヘイズの差は、後述の実施例欄で行われた方法や条件によって算出することができる。但し、これは、本実施形態におけるヘイズの差の測定方法及び条件を限定するものではない。
インモールドラベルの貼着部分及び非貼着部分における色差、即ち樹脂成形品におけるインモールドラベル及び樹脂成形体の間の色差は、3.2以下であることが好ましい。当該色差が3.2以下であれば、肉眼では殆ど色差が感じられず、樹脂成形品におけるインモールドラベル及び樹脂成形体の一体感を一層高めることができる。さらに、上記の効果が一層優れたものとなるため、当該色差は、1.6以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書における色差は、後述の実施例欄で行われた方法により測定された値を採用する。但し、これは、本実施形態における色差の測定方法及び条件を限定するものではない。
[3.樹脂成形品を製造する方法]
本発明の一実施形態は樹脂成形品を製造する方法に係る。当該製造方法は、樹脂成形体が成形機で成形されるときに、当該成形機の内側に配置された状態のインモールドラベルが、当該樹脂成形体に貼着される段階を含む。当該成形機は、特に制限されないが、例えば(成形用)金型である。
図4は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形品の具体例を示す斜視図である。図4の樹脂成形品30は、インモールドラベル32が樹脂成形体(容器)31に貼着したラベル付き容器である。例えば長方形のインモールドラベル32を用いて樹脂成形品30を製造する場合、樹脂成形体(容器)31のうち胴体33の周方向とインモールドラベル32の長手方向とが一致するように、インモールドラベル32は成形機の内壁に配置される。
上記インモールドラベルに含まれるシール層又は当該シール層に含まれるオレフィン系樹脂の再結晶化温度は、上述したとおり、特に当該シール層又は当該オレフィン系樹脂として再結晶化したときに白濁化する材料を用いる場合、樹脂成形体が成形機で成形される温度よりも高いことが好ましい。この場合、シール層の構成成分は、インモールド成形を通じて再結晶化温度よりも高い成形温度で加熱されることがないので、再結晶化による透明性の喪失、即ち白濁化の発生を防止することができる。
以上で説明したように、上記実施形態の樹脂成形品及びその製造方法によれば、上述したインモールドラベルを成形用樹脂と成形機内で一体成形する場合に、当該ラベルの接着性に優れ(当該ラベル及び樹脂成形体の間の接着強度が高く)、かつ、当該ラベルの貼着部分の透明性に優れた(当該ラベル及び樹脂成形体が一体化して見える)、インモールドラベルが樹脂成形体に貼着した樹脂成形品が得られる。さらに、上記実施形態のインモールドラベルが貼着した樹脂成形品は、特にストレッチブロー成形による成形品に適している。
以下、製造例、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用料、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の技術的範囲は以下に示す具体例などにより限定されるものではない。
ここで、製造例、実施例、及び比較例(以降、纏めて「実施例等」とも言う。)における物性の測定方法と評価方法は、以下に示す方法で実施した。
(1)内部ヘイズ
JIS−K−7136:2000に準拠し、ヘイズ計(日本電色工業社製、商品名:NDH2000)を用いて測定した。
各製造例で得た基材層サンプルの測定箇所の表裏面に、流動パラフィン(和光純薬社製、赤外分析用)を塗布した。そして、空気による空隙が無いように2枚のスライドガラス(松浪硝子工業(株)製、商品名:S−7213、プレクリン水縁磨、厚み0.9〜1.2mm)で挟み込んだ。このようにして測定用のサンプルを調製した。
基材層の表裏面に中間層及び印刷可能層のうち少なくともいずれかをさらに設けた製造例については、得られた積層体を内部ヘイズ測定用のサンプルとして扱った。
(2)インモールドラベルの接着強度
下記の各実施例及び各比較例で得たインモールドラベルを、長辺8cm及び短辺6cmの矩形に打ち抜いた。こうして、インモールドラベルが貼着したストレッチブロー成形による樹脂成形品(以降、「ラベル付き成形品」と言うこともある。)に用いられるインモールドラベルを準備した。
上記インモールドラベルを、静電気帯電装置を用いて帯電させた。ストレッチブロー成形機(日精ASB社製、商品名:ASB−70DPH)の成形用金型の内部に、シール層の反対面が金型に接するように(シール層がキャビティ側を向くように)、設置した。インモールドラベルは、金型内でラベルの長辺が樹脂成形体の胴体の周方向に対して平行に貼着するように設置した。金型は、キャビティ側の表面温度が20〜45℃の範囲内となるように冷却した。
次に、ポリエチレンテレフタレートのプリフォームを100℃に予熱した。そして、金型内で、5〜40kg/cmのブロー圧力下、金型温度45℃で1秒間、当該プリフォームをストレッチブロー成形した。その後、15秒で50℃まで冷却した。このようにして、ラベル付き成形品を得た。得られたラベル付き成形品のうち樹脂成形体は、高さ12cm及び一辺約7cmの角型の胴部を有する容器であった。
次に、得られた各ラベル付き成形品を、温度23℃、相対湿度50%環境下で2日間保管した。その後、ラベルの貼着部分をカッターで切り取り、容器の胴の周方向を長手として長さ12cm(ラベルの貼着部分は9cm、非貼着部分は3cm)及び幅1.5cm(全幅にラベルが貼着)の測定用サンプルを、容器2個より計6本採取した。
次に、つかみしろ(ラベルの非貼着)部分からラベルを丁寧に剥がしていき、約1cm剥離した。このとき、ラベルに同じ幅のPETフィルム(50μm)を粘着剤で接着してラベル側のつかみしろ部分とし、接着強度測定用のサンプルを作成した。
次に、JIS−K−6854−2:1999に基づき、引張試験機(島津製作所社製)を用いて180度剥離を実施し、接着強度を測定した。接着強度を算出するまでの具体的条件としては、剥離長さ25mm〜75mm間の剥離力の平均値を測定し、さらにサンプル6点の測定値を平均して得られた値を、接着強度とした。
なお、比較例2のラベル付き成形品については、ラベルの殆どの部分が容器から浮き上がり、サンプリング時に剥がれてしまうほど接着不良となった。そのため、比較例2については接着強度を測定することができなかった。
(3)色差ΔE ab
上記「(2)インモールドラベルの接着強度」で得たラベル付き成形品におけるラベルの貼着部分及び非貼着部分をそれぞれカッターで切り取った。切り取った貼着部分及び非貼着部分の各サンプルについて、JIS−Z−8730:2009に準拠し、分光濃度計(X−Rite社製、商品名:X−Rite508)を用いて色彩を測定した。表面色の明度指数L及びクロマティクネス指数a、bを測定し、測定されたL表示色による両者間の色差(ΔL、Δa、Δb)に基づき、下記式(1)を用いて色差ΔE abを求めた。
ΔE ab = 〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2 ・・・(1)
上記の測定方法は、樹脂成形品の成形に不透明樹脂(着色樹脂)を用いた場合、特に有用である。
本実施例では、目視により以下の評価基準で色差を観察した。
○:良好(肉眼では殆ど色差が感じられない)
×:不可(肉眼で色差が感じられる)
(4)ラベルの貼着部分及び非貼着部分のヘイズの差
JIS−K−7136:2000に準拠し、ヘイズ計(日本電色工業社製、商品名:NDH2000)を用いて、ラベル付き成形品におけるラベルの貼着部分及び非貼着部分のヘイズを測定した。各実施例及び各比較例で得られたラベル付き成形品のうち、ラベルの貼着部分及び非貼着部分(ボトル部分)をそれぞれ切り出し、測定用のサンプルを調製した。
なお、ヘイズの測定方法及び条件については、上記した基材層についての「(1)内部ヘイズ」と同様であるため、ここでの説明を省略する。
(5)結晶化度、融点、密度、及び厚さ
本実施例にて用いる樹脂の結晶化度は、X線回折装置を用いて算出した。また本実施例にて用いる樹脂の融点は、示差走査型熱量計を用いて測定した吸熱曲線の最大ピーク温度(Tm)とした。本実施例にて用いるオレフィン系樹脂の密度は、JIS−K−7112に準じて測定した。
本実施例のインモールドラベル全体の厚さは、JIS−K−7130に準じ、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した。各層の厚さは、次の手順で測定した。まず、測定対象サンプルを液体窒素で−60℃以下の温度に冷却した。ガラス板上に置いた冷却後のサンプルに対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当てて切断し、断面観察用のサンプルを作成した。当該サンプルを、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)で断面観察し、組成の違いによる外観の違いによって、各層(塗膜及び樹脂組成物)ごとの境界線を判別した。このようにして、インモールドラベル全体の厚さ及び観察される各層の厚さの比率を乗算することで、各層の厚さを求めた。
(製造例1)
基材層用の樹脂組成物として、プロピレンの単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP MA3U)100質量%を、押出機を用いて240℃で溶融混練した。また、中間層用の樹脂組成物として、エチレン・ヘキセン−1共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KS340T)85.7質量%、低密度の高圧法ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックLD LC720)9.5質量%、及び帯電防止剤(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックLL LX−AS)4.8質量%の混合物を、押出機を用いて240℃で溶融混練した。また、印刷可能層用の樹脂組成物として、プロピレンの単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP MA3U)70質量%及び低密度の高圧法ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックLD LC720)30質量%の混合物を、押出機を用いて240℃で溶融混練した。なお、これらの溶融混練は、互いに別々の押出機を用いて行った。
これらの混練物を1台の共押出T−ダイに供給し、T−ダイ内で3層に積層した。次に、T−ダイよりシート状に押し出し、これをセミミラー調冷却ロールとマット調ゴムロールとの間に導き、挟圧(線圧:約1.5kg/cm)しながら冷却した。このようにして、印刷可能層/基材層/中間層の3層構造を有する無延伸の積層樹脂フィルムを得た。
次に、得られた積層樹脂フィルムをガイドロールでコロナ放電処理器に導き、印刷可能層側の表面を50W・分/mの処理量でコロナ放電処理を施し、耳部を切り取った。その後、巻き取り機で巻き取った。
上記のセミミラー調冷却ロールとしては、表面粗さ(JIS−B−0601に準拠して測定した算術平均粗さRa)0.3μm、最大高さ(Ry)2.9μm、十点平均粗さ(Rz)2.2μm、直径450mm、及び幅1500mmのものを用いた。当該ロールの冷却温度を70℃とした。なお、上記セミミラー調冷却ロールは、硬化クロムメッキされたミラー仕立(鏡面仕立)の金属冷却ロールをセミミラー調に加工した後、研磨仕上げをしたロールである。
また、上記のマット調ゴムロールとしては、スプリング式JIS硬度計を用いて測定したゴム硬度(JIS−K−6301:1995に準拠)が70Hsであり、かつ、粒子径が31〜37μmの珪砂及び珪酸ガラスの粒子を20〜55質量%の割合で含有させたものを用いた。さらに、当該ゴムロールは、直径300mm及び幅1500mmであった。
挟圧時には、セミミラー調冷却ロールが中間層と接し、マット調ゴムロールが印刷可能層と接するように成形した。得られた積層樹脂フィルムの厚さは100μmであり、内部ヘイズは13%であった。
(製造例2)
基材層用の樹脂組成物として、プロピレンの単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP MA3U)99.9質量%、及び核剤(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP TX922A)0.1質量%の混合物を用いた。中間層用の樹脂組成物として、エチレン・ヘキセン−1共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KS340T)92.6質量%、帯電防止剤(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックLL LX−AS)4.2質量%、及びアンチブロッキング剤(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KMB32F)3.2質量%の混合物を用いた。印刷可能層用の樹脂組成物として、プロピレンの単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP FB3C)70質量%、及びマレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名:モディックAP A515)30質量%の混合物を用いた。
また、マット調ゴムロールとして、ゴム硬度(JIS−K−6301:1995に準拠)が70Hsであり、かつ、粒子径が52〜62μmの珪砂及び珪酸ガラスの粒子を20〜55質量%の割合で含有させたものを用いた。さらに、当該ゴムロールは、直径300mm及び幅1500mmであった。
これらの点以外は、上記の製造例1と同様にして積層樹脂フィルムを得た。得られた積層樹脂フィルムの厚さは100μmであり、内部ヘイズは16%であった。
(製造例3)
基材層用の樹脂組成物として、プロピレン系のランダム共重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP FW3E)100質量%の混合物を用いた。中間層用の樹脂組成物として、エチレン・ヘキセン−1共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KS340T)92.6質量%、帯電防止剤(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックLL LX−AS)4.2質量%、及びアンチブロッキング剤(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KMB32F)3.2質量%の混合物を用いた。印刷可能層用の樹脂組成物として、プロピレンの単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP FB3C)65質量%及びマレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名:モディックAP A515)35質量%の混合物を用いた。
また、マット調ゴムロールとして、ゴム硬度(JIS K−6301:1995に準拠)が70Hsであり、かつ、粒子径が37〜44μmの珪砂及び珪酸ガラスの粒子を20〜55質量%の割合で含有させたものを用いた。さらに、当該ゴムロールは、直径300mm及び幅1500mmであった。
これらの点以外は、上記の製造例1と同様にして積層樹脂フィルムを得た。得られた積層樹脂フィルムの厚さは100μmであり、内部ヘイズは7%であった。
(製造例4)
中間層用の樹脂組成物として、エチレン・ヘキセン−1共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KS340T)89.3質量%、帯電防止剤(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックLL LX−AS)7.1質量%、及びアンチブロッキング剤(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KMB32F)3.6質量%の混合物を用いた。印刷可能層用の樹脂組成物として、プロピレンの単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP MA3U)92質量%及び炭酸カルシウム粉末(備北粉化工業社製、商品名:ソフトン 1000、平均粒径:2.2μm)8質量%の混合物を用いた。
また、マット調ゴムロールとして、ゴム硬度(JIS K−6301:1995に準拠)が70Hsであり、かつ、1インチ当たり250線の逆グラビア型のエンボスを付形し、エンボスゴムロールを用いた。当該エンボスゴムロールは、直径300mm及び幅1500mmであった。
これらの点以外は、上記の製造例1と同様にして積層樹脂フィルムを得た。得られた積層樹脂フィルムの厚さは100μmであり、内部ヘイズは25%であった。
(実施例1〜3、比較例1)
製造例1〜4で得た各積層樹脂フィルムの中間層側の表面に、マイクログラビアコーターを用いて、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体のエマルジョン溶液(東洋モートン社製、商品名:EA−H700、固形分濃度:50%)を塗工した。塗工した積層樹脂フィルムを95℃に設定したオーブンで乾燥させて得られた塗工層を、シール層とした。このようにして、実施例1〜3及び比較例1の各インモールドラベルを得た。各インモールドラベルにおけるシール層の厚さは、いずれも3μmであった。
次に各実施例及び比較例で得たインモールドラベルを、長辺8cm及び短辺6cmの矩形に打ち抜き、静電気帯電装置を用いて帯電させた。ストレッチブロー成形機(日精ASB社製、商品名:ASB−70DPH)の成形用金型の内部に、印刷可能層が金型に接するように(シール層がキャビティ側を向くように)設置した。ラベルは、金型内でラベルの長辺が成形品の胴体の周方向に平行に貼着するように設置した。金型は、キャビティ側の表面温度が20〜45℃の範囲内となるように冷却した。
次に、自然色のポリエチレンテレフタレートのプリフォームを100℃に予熱した。そして、金型内で、5〜40kg/cmのブロー圧力下、金型温度45℃で1秒間、当該プリフォームをストレッチブロー成形した。その後、15秒で50℃まで冷却した。このようにして、ラベル付き成形品を得た。
得られたラベル付き成形品のうち樹脂成形体は、高さ12cm及び一辺約7cmの角型の胴部を有する容器であった。得られたラベル付き成形品の接着強度、色差、及びヘイズ値の結果をまとめて表1に示す。
(実施例4)
オレフィン系樹脂を含む塗工液として、オレフィン系樹脂のエマルジョン溶液(日栄化工社製、商品名:ライフボンド HCN−006、固形分濃度:50%、粘度:600mPa・s/25℃以下、pH:4.4、カチオン性の乳白色エマルジョン)を用いた点以外は、実施例1と同様にしてインモールドラベル及びラベル付き成形品を得た。得られたラベル付き成形品の接着強度、色差、及びヘイズ値の結果をまとめて表1に示す。
(実施例5)
オレフィン系樹脂を含む塗工液として、エチレン・酢酸ビニル共重合体のホットラッカー(東洋モートン社製、商品名:トモフレックス THS−4884−U、固形分濃度:15%)を用いた点以外は、実施例1と同様にしてインモールドラベル及びラベル付き成形品を得た。得られたラベル付き成形品の接着強度、色差、及びヘイズ値の結果をまとめて表1に示す。
(実施例6)
ポリエチレンテレフタレートのプリフォームを、着色したもの(ヨーキ産業社製、商品名:PETボトル用プリフォーム 33g(ブラウン))に変更した点以外は、実施例1と同様にしてインモールドラベル及びラベル付き成形品を得た。得られたラベル付き成形品の接着強度、色差、及びヘイズ値の結果をまとめて表1に示す。
(比較例2)
オレフィン系樹脂エマルジョン溶液の代わりに、変性スチレン系共重合体エマルジョン溶液(第一塗料製造所社製、商品名:バロン BL−1、固形分濃度:42.8%)を用いた点以外は、実施例1と同様にしてインモールドラベル及びラベル付き成形品を得た。得られたラベル付き成形品の接着強度、色差、及びヘイズ値の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2016047598
本発明のインモールドラベルによれば、特にストレッチブロー成形において要求される、種々の成形手法の中でも低温(例えば90〜110℃、好ましくは95〜110℃)下の接着条件(低温接着条件)であっても樹脂成形品との接着強度が十分であり、かつ、従来に無い透明性によってインモールドラベルとの外観に差異を生じせずに一体化して見える樹脂成形品を得ることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1 インモールドラベル、2 基材層、3 シール層、10 インモールドラベル、11 基材層、12 シール層、13 中間層、20 インモールドラベル、21 基材層、22 シール層、23 中間層、24 印刷可能層、30 樹脂成形品(ラベル付き容器)、31 樹脂成形体(容器)、32 インモールドラベル、33 胴体

Claims (14)

  1. 基材層と、該基材層の表面に積層された状態のシール層と、を少なくとも備え、
    前記基材層は、JIS−K−7136に準じて測定される内部ヘイズが0.1〜20%であり、
    前記シール層は、オレフィン系樹脂を含み、溶融熱量が10〜55J/gであり、再結晶化温度が40〜110℃であり、かつ、プリフォームが95℃となるように加熱し、2.5MPaの圧空を導入してインモールド成形した後、15秒で50℃まで冷却して、23℃で測定したときの平均屈折率が1.50〜1.60である、インモールドラベル。
  2. 基材層と、該基材層の表面に積層された状態のシール層と、を少なくとも備え、
    前記基材層は、JIS−K−7136に準じて測定される内部ヘイズが0.1〜20%であり、
    前記シール層は、オレフィン系樹脂を含み、溶融熱量が10〜55J/gであり、再結晶化温度が40〜110℃であり、かつ、プリフォームが95℃となるように加熱し、2.5MPaの圧空を導入してインモールド成形した後、15秒で50℃まで冷却して、23℃で測定したときの結晶化度が0〜50%である、インモールドラベル。
  3. 前記基材層は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエステル系樹脂のうち少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載のインモールドラベル。
  4. 前記基材層は、無延伸フィルム又は少なくとも一軸方向に延伸された延伸フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  5. 前記基材層及び前記シール層の間に、オレフィン系樹脂を含む中間層をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  6. 前記オレフィン系樹脂がエチレン及び酢酸ビニルの共重合体とマレイン酸変性エチレン及び酢酸ビニルの共重合体のうち少なくともいずれかを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  7. 非加熱状態において透明であり、加熱後状態において透明である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  8. 非加熱状態において不透明であり、加熱後状態において透明である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  9. 前記シール層は、前記オレフィン系樹脂を含む塗工液が前記基材層の表面に塗布、乾燥された状態の塗布層であり、
    前記塗工液は、オレフィン系樹脂を水性媒体中に分散した状態のオレフィン系樹脂エマルジョンを含む、請求項8に記載のインモールドラベル。
  10. 前記基材層が有する面のうち、前記シール層側の面と反対側の面に印刷可能層をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインモールドラベル。
  11. 樹脂成形体と、該成形体に貼着される請求項1〜10のいずれか1項に記載のインモールドラベルと、を含む、樹脂成形品であって、
    JIS−K−7136に準じて測定される、該成形品のうち前記インモールドラベルの貼着部分及び非貼着部分のヘイズの差が、20%以下である、樹脂成形品。
  12. 前記樹脂成形体は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含む、請求項11に記載の樹脂成形品。
  13. 請求項11又は12に記載の樹脂成形品を製造する方法であって、
    前記樹脂成形体が成形機で成形されるときに、該成形機の内側に配置された状態の前記インモールドラベルが、該成形体に貼着される段階を含む、樹脂成形品を製造する方法。
  14. 前記インモールドラベルに含まれる前記シール層の再結晶化温度は、前記樹脂成形体が成形機で成形される温度よりも高い、請求項13に記載の樹脂成形品を製造する方法。
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