JP2020043674A - グロメット - Google Patents
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Abstract
Description
グロメットは、ワイヤハーネスが挿入される室内側ハーネス挿通部と、室内側ハーネス挿通部に小径側の端において一体化した略円錐台状(所謂お椀状)の室内側筒部と、室内側部の大径側の端において一体化したパネル当接部とを有している。パネル当接部は貫通孔に侵入不可能で、室内側筒部とパネル当接部との境界に車体係止凹部が形成されている。このため、室内側筒部を室内側(小径側の端部の方向)に引っ張って室内側筒部の外周を貫通孔に摺動させながら縮径させ、車体係止凹部を貫通孔に勘合させている。そうすると、装着後に、室外側部を室外側に引っ張って室内側部から引き離す方向の力が作用すると、車体係止凹部は引き伸ばされて外径が縮小するため、車体係止凹部が貫通孔から抜け出すおそれがあった(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献2に開示されたグロメットの室内側リップの外径は、前端が小さく(細く)なっていて、嵌合部に向かって一旦徐々に拡径した(太くなった)後、徐々に縮径する(細くなる)から、室内側リップの外周は断面略山状を呈している。そして、外径が嵌合部に向かって徐々に縮径する範囲に相当する内周側の位置に室内側リップに接続されている。このため、グロメットを貫通孔に装着する際、室内側リップの外径は嵌合部に向かって徐々に拡径する範囲においてまず貫通孔に摺動する(山を登る方向に摺動する)。そうすると、かかる摺動する位置(外周)と連結部が接続された位置(内周)との間において、室内側リップは軸方向の圧縮力を受けて拡径することになる(山頂を含む範囲に圧縮力が働き山は高くなる)。そのため、円筒を室内側に向かって引き込んだり、あるいは押し込んだりしてグロメットを装着する際、過大な力が必要になるという問題があった。
また、前記リップ山は複数であって、前記リップ山同士の間に放射方向の凹部が形成されていることを特徴とする。
さらに、前記連結部は、前記パネル当接部に向かって徐々に縮径する傾斜部分と、前記傾斜部分につながった平行部分と、前記平行部分に形成された凸形状部とを具備し、前記貫通孔に装着される際、前記傾斜部分は前記貫通孔の内周に摺動し、前記貫通孔に装着された状態において、前記凸形状部は前記貫通孔の内周に密着することを特徴とする。
また、リップ山同士の間に放射方向の凹部が形成されているから、リップ山は円周方向で互いに近接しながら花びらを開くようにたわむから、装着がさらに容易になる。
さらに、連結部が具備する凸形状部が貫通孔の内周に密着するから、止水機構を有する。
図1〜図7は本発明の実施の形態1に係るグロメットの構造を模式的に説明するものであって、図1は斜め室内側から見た斜視図、図2は斜め室外側から見た斜視図、図3は側面視(図5に示すB−B断面)の断面図、図4は側面視(図5に示すA−A断面)の断面図、図5は正面図、図6は背面視(図4に示すG−G断面)の断面図、図7は一部を拡大して示す側面視の断面図である。
図1および図2おいて、グロメット100は、自動車等の車両の車両パネルに形成された貫通孔を貫通したワイヤハーネス(いずれも図示しない)を保護するためのものである。グロメット100は、室外側(車外側)から室内側(車内側)に向かって貫通孔8に押し込まれる場合について説明する(図8参照)。なお、本発明は車両パネル9に形成された貫通孔8に限定して装着されるものではなく、各種構造物や各種装置に形成された貫通孔にも装着されるものである。
グロメット100は、ワイヤハーネスの一部が貫通する室内側に配置される室内側ハーネス挿通部10および室外側に配置される室外側ハーネス挿通部20と、室内側ハーネス挿通部10に一体化したリップ山基盤30と、室外側ハーネス挿通部20に一体化した作業部60とを有している。
そして、リップ山基盤30の室内側にはリップ山70が、リップ山基盤30の室外側には中間リブ80が一体化している。
また、作業部60の室内側には作業押圧部90が一体化し、作業部60の外周には、円盤状のパネル当接部50が一体化している。さらに、リップ山基盤30とパネル当接部50とが連結部40によって連結されている(図3および図4参照)。
なお、「一体化」とは、別部位が一体的に連続した状態で成形された場合と、別部位がそれぞれ別個に形成された後、相互に連結された場合とがあり、以下、「接続されている」あるいは「つながっている」等と称す場合がある。
図1および図2おいて、室内側ハーネス挿通部10は、断面円弧状の円弧片12によって構成され、円弧片12の側縁同士の間には、軸方向に平行なスリット13が形成されている。
また、室外側ハーネス挿通部20は、前端21と中間位置23との間におけるスリットのない円筒部分22と、円筒部分22に接続されたコルゲート部分24と、コルゲート部分24に接続されたスリット部分25とを具備している。スリット部分25には一対の貫通孔28が形成され、貫通孔28と後端29との間に軸方向に平行なスリット27が形成されている。すなわち、スリット27に挟まれるように、断面半円状の円弧片26が形成されている。
そして、室内側ハーネス挿通部10の中心軸と室外側ハーネス挿通部20の中心軸とは一致しているため、以下、これを「中心軸1」と称し、中心軸1に近づく方向あるいは近い位置を「内側」または「内」、中心軸1から離れる方向あるいは離れた位置を「外側」または「外」と称す。また、室内側ハーネス挿通部10の側を「室内側」、室外側ハーネス挿通部20の側を「室外側」と称す。
図3において、室内側に突出したリップ山70はリップ山基盤30に一体化している。リップ山基盤30は薄肉の孔空き円盤状であって、側面視において、室内側ハーネス挿通部10の後端19に接続された内周31と、内周31から外側になる程徐々に室外側に位置する内後退部32と、内後退部32に底部33において接続され、外側になる程徐々に室内側に位置する進出部34と、進出部34に頂部35において接続され、外側になる程徐々に室外側に位置する外後退部36とを具備している。
なお、リップ山基盤30には室内側にリップ山70が一体化しているため、正面視において、略三角形状の薄肉部分2と、内周31に近い環状の範囲と、外周39とが視認され、室外側に中間リブ80が一体化している(図5および図6参照)。
図4および図5において、リップ山70は正面視において略矩形状であって、リップ山基盤30の室内側において底部33と外周39との間、すなわち内後退部32を除く範囲において室内側に突出し、円周方向の8個所に等角配置され、主にリップ山基盤30の剛性を高めている。そして、リップ山70は側面視において、リップ山内周71がリップ山基盤30の底部33に接続され、室内側になる程徐々に外側になるリップ山内面72と、リップ山内面72に連続して中心軸1に垂直なリップ山室内側面73と、リップ山室内側面73とリップ山外面75とを結びつけるリップ山円弧面74とを具備している。また、リップ山外面75は室外側(連結部40)に近づく程徐々に拡径する(外側になる)略直線を呈している。そして、リップ山外面75の中心軸1から最も離れた位置が、リップ山基盤30の外周39に一致したリップ山外周79になっている(正確には正面視において、外周39は円周状であるのに対し、リップ山外周79は断続した円弧状を呈する)。
図3および図6において、リップ山基盤30の室外側には平面視において、底部33に相当する位置と外周39よりも少し内側の位置(以下「外周近傍37」と称す)との間に、中間リブ80が円周方向の8個所に等角配置されている。このとき、リップ山70と中間リブ80とは円周方向で同一位相になっている。
中間リブ80は側面視において、底部33に相当する位置にある内周81と頂部35に略相当する位置にある中間位置83との間に形成された室外側面82と、中間位置83と外周近傍37との間に形成され、室外側に向かって突出した突出部分84とを具備している。なお、室外側面82は中心軸1に垂直で、突出部分84は略台形状で、室外側になる程外側になる内テーパ部分84aと、内テーパ部分84aにつながって中心軸1に垂直な垂直部分84bと、垂直部分84bにつながって室内側になる程内側になる外テーパ部分84cとを具備している。
なお、中間リブ80の室外側面82には押し面部95の室内側面92が押し当てられるものであるが、中間リブ80の設置を省略して、リップ山70(リップ山基盤30に同じ)に押し面部95の室内側面92が押し当てられようにしてもよい。
図5および図6において、リップ山70は正面視において矩形状であるため、リップ山内周71に近づく程、隣接するリップ山70の側面(以下「リップ山側面76」と称す)同士が近接し、リップ山側面76が正面視で略円弧状のリップ山側面隅77によってつながっている。そして、リップ山室内側面73のリップ山側面隅77より内側の範囲は正面視において円環状につながっている(以下、かかる部分を「リップ山環状面78」と称す)。
そのため、リップ山基盤30の室内側面は正面視において、外周39とリップ山側面76とリップ山側面隅77に挟まれた略三角形の薄肉部分2が視認されることになる。
さらに、薄肉部分2の対称線の位置(円周方向の位置)で外後退部36の範囲(径方向の範囲)に、放射方向で貫通したスリット3および放射方向で底付きの溝状の凹部4が形成されている。このとき、凹部4およびスリット3はそれぞれ十字状に配置されているから、スリット3が形成された薄肉部分2に隣接する薄肉部分2には凹部4が形成されている。
このとき、スリット3はリップ山基盤30のたわみ変形を容易にするためのものである。なお、貫通したスリット3に代えて、全ての薄肉部分2に凹部4を形成してもよい。
図6において、中間リブ80はリップ山70と同様に背面視において矩形状であるため、内周81に近づく程、隣接する中間リブ80の側面86同士は近接し、室外側面82の中心軸1に近い範囲が円環状につながっている(図示しない)。そして、リップ山基盤30の室外側は背面視において、側面86に挟まれた略三角形の薄肉部分2が視認されることになる。
なお、中間リブ80と作業押圧部90とは背面視において同一位相であるため、図6において、室外側面82の内周81寄りの範囲は押し面部95によって隠され、また、後記する外周近傍37および外周最近傍38はパネル当接部50の厚肉部分54によって隠されている。
さらに、8個所の薄肉部分5の内、1つ飛びの薄肉部分2には薄肉部分5の対称線の位置に、貫通したスリット3が視認されている。なお、貫通したスリット3に代えて、全ての薄肉部分2に凹部4を形成した場合に、薄肉部分5に凹部4に準じた底付き溝を形成してもよい。
図3において、作業部60は略ベル形状で、内周61が室外側ハーネス挿通部20の中間位置23に接続され、外周69がパネル当接部50の内周51に一体的に接続されている。そして、側面62は、室外側になる程徐々に内側に近づいている。
なお、外周69および内周51は、説明の便宜上規定した仮想の面であって、位置が厳密に特定されるものではない(その他の接合部についても、仮想の面同士が接合するような説明をしている)。
図4および図6において、作業部60の内周と室外側ハーネス挿通部20とに跨がって作業押圧部90が一体化され、作業押圧部90の室内側には突出した押し面部95が一体化されている。作業押圧部90および押し面部95は平面視において、リップ山70(中間リブ80に同じ)と円周方向の同一位相で放射方向に等角配置されている。
作業押圧部90は、室外側ハーネス挿通部20の円筒部分22に接続された内周91と、作業部60の外周69に一体化した外周99とを具備している(なお、外周99および外周69は、説明の便宜上規定した仮想の面である)。
押し面部95は、薄肉部分52と略同一面の仮想面96において作業押圧部90に一体化され、仮想面96よりも室内側に突出し、前端21から外側に向かって中心軸1に垂直な室内側面92と、室外側になる程外側になる直線状の外面94と、室内側面92と外面94とを結ぶ略円弧状の円弧面93とを具備している。
図3および図4おいて、パネル当接部50は側面視において、内周51が作業部60の外周69に一体化され、中心軸1に垂直な薄肉部分52と、薄肉部分52の外周(以下「中間位置53」と称す)に一体化した厚肉部分54とを具備している。そして、厚肉部分54は薄肉部分52よりも室内側に位置して中心軸1に垂直なパネル当接面55を具備している。さらに、パネル当接面55の外周59(正確には外周59に近い所定の幅の範囲)には、室内側に向かって突出した円環状のパネル当接突起56が形成されている。
なお、パネル当接部50の厚肉部分54の内側および円筒部分22の室内側面と、作業押圧部90の外面94の外側とは滑らかにつながって、室外側に向かって陥没した空間部57が形成されている。
図3、図4および図7おいて、連結部40は、室内側面41がリップ山基盤30に(外周最近傍38と外周39との間において)接続され、室外側面49がパネル当接部50に(中間位置53寄りの範囲において)接続されている。
連結部40は薄肉の円筒であって、室外側になる程徐々に内側になるように傾斜した傾斜部分42と、傾斜部分42につながって中心軸1に平行な平行部分43とを具備している。そして、平行部分43の外面(以下「平行外面43b」と称す)に突出した凸形状部44が形成されている。
このとき、傾斜部分42の内面は突出部分84の外テーパ部分84cに略平行になっていて、隙間45が形成されている。すなわち、隙間45は外周近傍37と外周最近傍38との間に形成されている。
図8および図9は本発明の実施の形態1に係るグロメットの装着要領を模式的に説明するものであって、図8は動作を示す側面視の断面図、図9は作用効果を説明するための背面視の断面図である。なお、図8において、中心軸1より下側は装着開始当初を、中心軸1より上側は装着中を示している。
したがって、さらに押し込まれると、リップ山外周79(リップ山基盤30の外周39に同じ)は貫通孔内周7から外れるから、貫通孔内周7は連結部40に勘合し、凸形状部44が貫通孔内周7に密着する。
図9において、前記のようにリップ山基盤30には十字状に配置されたスリット3が形成されているから、リップ山基盤30は模式的に図示すように4個所の扇型部分(斜線を付した範囲)に分割され、薄肉部分2のスリット3を除く狭い範囲において連結された状態と看做すことができる。
そうすると、かかる扇型部分は極めて剛性の低い範囲によって連結されているから、装着の際、あたかも「花びらが開くように」容易にたわむことになる。よって、リップ山外面75が中心軸1と平行になる方向に傾斜する変形が、さらに容易になっている。
以上のように、グロメット100は押し面部95および作業押圧部90を有し、リップ山70を貫通孔8に押し込む際、作業押圧部90および押し面部95がリップ山70を室内側に押し込むため、リップ山外面75は室外側に内側に向かって倒れるように変形する。すなわち、リップ山外面75が中心軸1と平行になるように変形するから、リップ山70のリップ山外周79(リップ山基盤30の外周39に同じ)は縮径して装着が容易になる。
このとき、リップ山基盤30は凹部4およびスリット3を具備するため、リップ山70は円周方向で互いに近接しながら、花びらを開くようにたわむから、装着に要する力がさらに低減している。
さらに、連結部40は凸形状部44を具備し、装着された際、凸形状部44が貫通孔内周7に密着するから、止水機能を発揮する。
2 :薄肉部分
3 :スリット
4 :凹部
5 :薄肉部分
6 :フランジ
7 :貫通孔内周
7a:貫通孔先端
7b:貫通孔後端
8 :貫通孔
9 :車両パネル
10 :室内側ハーネス挿通部
12 :円弧片
13 :スリット
19 :後端
20 :室外側ハーネス挿通部
21 :前端
22 :円筒部分
23 :中間位置
24 :コルゲート部分
25 :スリット部分
26 :円弧片
27 :スリット
28 :貫通孔
29 :後端
30 :リップ山基盤
31 :内周
32 :内後退部
33 :底部
34 :進出部
35 :頂部
36 :外後退部
37 :外周近傍
38 :外周最近傍
39 :外周
40 :連結部
41 :室内側面
42 :傾斜部分
43 :平行部分
43b:平行外面
44 :凸形状部
45 :隙間
49 :室外側面
50 :パネル当接部
51 :内周
52 :薄肉部分
53 :中間位置
54 :厚肉部分
55 :パネル当接面
56 :パネル当接突起
57 :空間部
59 :外周
60 :作業部
61 :内周
62 :側面
69 :外周
70 :リップ山
71 :リップ山内周
72 :リップ山内面
73 :リップ山室内側面
74 :リップ山円弧面
75 :リップ山外面
76 :リップ山側面
77 :リップ山側面隅
78 :リップ山環状面
79 :リップ山外周
80 :中間リブ
81 :内周
82 :室外側面
83 :中間位置
84 :突出部分
84a:内テーパ部分
84b:垂直部分
84c:外テーパ部分
86 :側面
90 :作業押圧部
91 :内周
92 :室内側面
93 :円弧面
94 :外面
95 :押し面部
96 :仮想面
99 :外周
100 :グロメット
Claims (3)
- 車体パネルに形成された貫通孔に装着されるグロメットであって、
ワイヤハーネスが貫通し、室内側に突出した室内側ハーネス挿通部および室外側に突出した室外側ハーネス挿通部と、
前記室内側ハーネス挿通部に一体化したリップ山と、
前記車体パネルの室外側における前記貫通孔の周囲に当接するパネル当接部と、
前記リップ山と前記パネル当接部とを連結する連結部と、
前記室外側ハーネス挿通部と前記パネル当接部とに跨がって形成された作業部と、
前記室外側ハーネス挿通部および前記作業部に一体化された作業押圧部と、
前記作業押圧部に一体化され前記リップ山に向かって突出した押し面部とを備え、
前記作業押圧部が室内側に向けて押圧されると、前記押し面部が前記リップ山に当接して、前記リップ山を室内側に押すことを特徴とするグロメット。 - 前記リップ山は複数であって、前記リップ山同士の間に放射方向の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のグロメット。
- 前記連結部は、前記パネル当接部に向かって徐々に縮径する傾斜部分と、前記傾斜部分につながった平行部分と、前記平行部分に形成された凸形状部とを具備し、
前記貫通孔に装着される際、前記傾斜部分は前記貫通孔の内周に摺動し、前記貫通孔に装着された状態において、前記凸形状部は前記貫通孔の内周に密着することを特徴とする請求項1または2記載のグロメット。
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