JP2020037651A - (メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、及び硬化物 - Google Patents

(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬度、耐溶剤性、密着性、及び柔軟性の全てに優れる硬化膜を与えることのできる(メタ)アクリレート樹脂、並びに当該樹脂を含む硬化性樹脂組成物及び当該組成物の硬化物を提供する。【解決手段】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をフェノール類により変性したフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとをエステル化反応して得られる、(メタ)アクリレート樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、及び硬化物に関する。
近年、各種基材表面の擦傷防止や汚染防止のための保護コーティング材、各種基材の接着剤、シーリング材、フィルム型液晶素子、タッチパネル、およびプラスチック光学部品等の反射防止膜の用途において、硬度、耐溶剤性、密着性、及び柔軟性に優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要求されている。
このような要求を満たすために、種々の組成物が提案されている。
例えば特許文献1には、ベンジルアルコールのアルキレンオキシド変性(メタ)アクリレートを反応性希釈剤として用いた光硬化型樹脂組成物が提案されている。
特許文献2には、ジメチルシロキサン構成単位を有する有機変性ポリシロキサンを配合したポリウレタンアクリレートが提案されている。
特許文献3には、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とメタクリル酸またはアクリル酸との反応物を含有してなる樹脂状組成物が提案されている。
特許文献4には、フェノール変性キシレン樹脂の水酸基またはメチロール基を、アクリル酸またはメタクリル酸エステル化してなる放射線硬化型樹脂が提案されている。
特開平6−329738号公報 特許第2547087号公報 特開昭56−10513号公報 特公平5−64165号公報
上述の通り、これまで種々の組成物が提案されているが、硬度、耐溶剤性、密着性、及び柔軟性の全てに優れる硬化膜を与える硬化性組成物はまだ得られていないのが現状である。
特許文献1は速硬化性を主たる目的としたもので、特許文献1に記載の光硬化型樹脂組成物から得られる硬化物は硬度に劣るという欠点がある。
特許文献2は柔軟性、耐擦傷性等の改良を目的としているが、硬度についてはまだ改善の余地がある。
特許文献3は無臭あるいは低臭気性を主たる目的としたものであり、密着性や柔軟性などの性能については言及されていない。
特許文献4では、アクリル酸又はメタクリル酸を用いてエステル化反応を行っているため、実際には、フェノール変性キシレン樹脂に含まれるアルコール性水酸基(メチロール基)はエステル化するが、一方で、多くのフェノール性水酸基はエステル化せずに残存している。このことは、特許文献4に記載される第1表及び第3表の赤外線吸収スペクトルにおいて、3300cm−1付近にフェノール性水酸基の吸収バンドが存在することにより、確認される。したがって、特許文献4に記載のように、アクリル酸又はメタクリル酸を用いてエステル化反応を行うと樹脂中の(メタ)アクリロイル基の導入量が少なくなり、その結果、樹脂が十分に硬化せず、十分な硬度及び耐溶剤性を得られないおそれがある。また、樹脂の硬化を進行させるために露光量を増やすと、生産効率の観点で悪化し、更に、露光による発熱で硬化物が脆くなって柔軟性が低下するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、硬度、耐溶剤性、密着性、及び柔軟性の全てに優れる硬化膜を与えることのできる(メタ)アクリレート樹脂、並びに当該樹脂を含む硬化性樹脂組成物及び当該組成物の硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとをエステル化反応して得られる、(メタ)アクリレート樹脂が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)
芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をフェノール類により変性したフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとをエステル化反応して得られる、(メタ)アクリレート樹脂。
(2)
重量平均分子量(Mw)が300〜10,000である、(1)に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(3)
前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量が200〜10,000である、(1)又は(2)に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(4)
水酸基価が100mgKOH/g以下である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(5)
前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価が100〜550mgKOH/gである、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(6)
フェノール性水酸基価が100mgKOH/g以下である、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(7)
前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のフェノール性水酸基価が100〜550mgKOH/gである、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(8)
前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、フェノール類変性キシレンホルムアルデヒド樹脂を含有する、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の(メタ)アクリレート樹脂。
(9)
(1)〜(8)のいずれか1つに記載の(メタ)アクリレート樹脂を含む硬化性樹脂組成物。
(10)
(9)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
本発明によれば、硬度、耐溶剤性、密着性、及び柔軟性の全てに優れる硬化膜を与えることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を意味し、他の類似用語(「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル基」等)も同様である。
[(メタ)アクリレート樹脂]
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂は、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとをエステル化反応して得られる。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂は(メタ)アクリロイル基を含むため、UV等の照射又は加熱により容易に硬化させることができ、そのようにして得られた硬化物は高い硬度及び高い耐溶剤性を有する。さらに、前記硬化物は高い硬度及び高い耐溶剤性を有するとともに、密着性及び柔軟性にも優れる。これは、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の固有の特性である優れた密着性及び柔軟性に起因しているものと考えられる。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂は、分析して特定することが困難である構造を有するフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を原料として得られるため、(メタ)アクリレート樹脂もまた、その構造を分析して特定することが困難である。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、密着性向上の観点から、ポリスチレン換算で、好ましくは300〜10,000であり、より好ましくは300〜8,000であり、更に好ましくは500〜7,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂の水酸基価は、UV硬化性の観点から、好ましくは100mgKOH/g以下であり、より好ましくは90mgKOH/g以下であり、更に好ましくは5〜90mgKOH/gである。水酸基価は、無水酢酸−ピリジン法(JIS−K1557−1:2007)に準拠した方法により測定できる。
本実施形態におけるエステル化反応では、(メタ)アクリル酸ハライドを用いるため、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂中に含まれる水酸基(フェノール性水酸基、及びアルコール性水酸基が存在する場合には当該アルコール性水酸基)を十分にエステル化することが可能である。したがって、(メタ)アクリレート樹脂の水酸基価を低く抑えることが可能となる。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂のフェノール性水酸基価は、UV硬化性の観点から、好ましくは100mgKOH/g以下であり、より好ましくは90mgKOH/g以下であり、更に好ましくは5〜90mgKOH/gである。フェノール性水酸基価は、実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態におけるエステル化反応では、(メタ)アクリル酸ハライドを用いるため、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂中に含まれるフェノール性水酸基を十分にエステル化することが可能である。したがって、(メタ)アクリレート樹脂のフェノール性水酸基価を低く抑えることが可能となる。
[(メタ)アクリレート樹脂の製造方法]
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂の製造方法は、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとをエステル化反応する工程を含む。
本実施形態におけるエステル化反応は、(メタ)アクリル酸ハライドを用いることによる、ハロゲン化水素の脱離を伴う、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のアシル化反応である。(メタ)アクリル酸ハライドは、アルコール性水酸基だけでなく、フェノール性水酸基とも反応性が高く、しかも、反応が不可逆的である。したがって、本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂の製造方法は、(メタ)アクリル酸を用いる脱水エステル化法や(メタ)アクリル酸エステルを用いるエステル交換法を用いた場合と異なり、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂中に含まれる水酸基(フェノール性水酸基、及びアルコール性水酸基が存在する場合には当該アルコール性水酸基)を十分にエステル化することが可能である。
(メタ)アクリル酸ハライドとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、(メタ)アクリル酸アイオダイド等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸クロリドが好ましい。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂の製造方法では、ルイス酸触媒と共に、重合禁止剤の存在下でエステル化してもよい。
ルイス酸触媒としては、特に限定されず、公知のルイス酸触媒を使用できる。例えば、塩化亜鉛、臭化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、塩化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム等のアルミニウム化合物、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素等のホウ素化合物、四塩化チタン等のチタン化合物が好ましい。これらのルイス酸触媒は、1種単独で、又は、2種以上を適宜混合して用いることができる。ルイス酸触媒の割合としては、通常、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基1モルに対して、0.01〜10モル%が好ましい。
重合禁止剤は、特に限定されないが、塩化銅(II)、フェノチアジン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどが好ましい。これらは1種単独で、又は、2種以上を適宜混合して用いることができる。
これらの中でも、塩化銅(II)が重合禁止作用が強く、かつ安価であることから好ましい。
重合禁止剤の添加割合は、通常、反応液に対して5〜20,000質量ppmが好ましく、より好ましくは25〜3,000質量ppmであり、更に好ましくは25〜1,000質量ppmである。添加割合が5質量ppm以上であれば、重合禁止効果が十分であり、20,000質量ppm以下であれば経済的であり、得られる(メタ)アクリレート樹脂の着色も生じない。
フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸ハライドのエステル化反応は、定法に従えばよい。フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとを、ルイス酸触媒及び重合禁止剤の存在下に、加熱・撹拌してエステル化する方法などが挙げられる。
エステル化反応は、反応の進行に伴い、生成する芳香族エステルと等量のハロゲン化水素が発生する。かかるハロゲン化水素は反応液内に滞留させないことが好ましく、反応液からハロゲン化水素を追い出すために、窒素ガスまたは窒素ガスと酸素ガスの混合物を反応系に通気しながら反応を行うことが好ましい。
エステル化反応は、無溶剤でも溶媒を用いても行うことができる。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トリクロロエタン、テトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上を適宜混合して用いることができる。これらの溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応原料に対して、重量比で、0.1〜10倍が好ましく、より好ましくは1〜5倍である。
反応温度は、特に限定されないが、反応時間の短縮と重合防止の観点から、0〜90℃が好ましく、より好ましくは15〜70℃である。0℃以上であれば、十分な反応速度となり、収率が良好である。また、90℃以下であれば、(メタ)アクリレート樹脂の熱重合が起こる恐れもない。
エステル化反応により得られた生成物は、定法に従い精製すればよい。
具体的には、反応液を中和・水洗し、水層を分離後、減圧下で反応溶媒を一定量留去する方法などが挙げられる。
[フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂]
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂の原料であるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とは、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をフェノール類により変性したものをいう。
(芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂)
本実施形態における芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、芳香族炭化水素とホルムアルデヒドとを反応させることにより得られる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、デシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、メチルビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、アントラセン、メチルアントラセン、ジメチルアントラセン、エチルアントラセン、及びビナフチルからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、密着性及び柔軟性により一層優れる観点から、キシレン、トルエン、及びメシチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、キシレンであることがより好ましい。すなわち、本実施形態における芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、上記と同様の観点から、キシレンとホルムアルデヒドとを反応させることにより得られるキシレンホルムアルデヒド樹脂、トルエンとホルムアルデヒドとを反応させることにより得られるトルエンホルムアルデヒド樹脂、及びメシチレンとホルムアルデヒドとを反応させることにより得られるメシチレンホルムアルデヒド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、キシレンホルムアルデヒド樹脂を含むことがより好ましい。
本実施形態における芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、市販品を用いてもよく、公知の方法により調製してもよい。市販品としては、例えば、フドー株式会社製の「ニカノールY−100」が挙げられる。公知の方法としては、例えば、特公昭37−5747号公報などに記載された方法により、芳香族炭化水素及びホルムアルデヒドを、触媒の存在下で縮合反応させる方法が挙げられる。
(フェノール類)
フェノール類としては、特に限定されないが、フェノール、クレゾール(例えば、オルトクレゾール、メタクレゾール、及びパラクレゾール)、キシレノール(例えば、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、2,4−キシレノール、及び3,4−キシレノール)、ブチルフェノール(例えば、p−tert−ブチルフェノール)、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール、及びテルペンフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、密着性及び柔軟性の観点から、フェノール類変性キシレンホルムアルデヒド樹脂、フェノール類変性トルエンホルムアルデヒド樹脂、及びフェノール類変性メシチレンホルムアルデヒド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、フェノール類変性キシレンホルムアルデヒド樹脂を含むことがより好ましい。
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を酸性触媒の存在下でフェノール類により変性して得られるノボラック型のフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂であってもよいし、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を塩基性触媒の存在下でフェノール類により変性して得られるレゾール型のフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂であってもよい。レゾール型のフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、フェノール性水酸基だけでなく、アルコール性水酸基であるメチロール基を含む。
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂としては、取扱い性の観点から、ノボラック型のフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、市販品を用いてもよく、公知の方法により調製してもよい。市販品としては、例えば、フドー株式会社製の「ザイスターGP−100」及び「ザイスターP−100」が挙げられる。公知の方法としては、例えば、特開2003−119234号公報、特開2007−297610号公報、国際公開第2013/191012号等に記載のように、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂及びフェノール類を触媒下で縮合反応させることにより製造することができる。
[フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の物性]
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、密着性向上の観点から、ポリスチレン換算で、好ましくは200〜10,000であり、より好ましくは300〜8,000であり、更に好ましくは500〜7,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価は、エステル化後の硬化性の観点から、好ましくは100〜550mgKOH/gであり、より好ましくは100〜500mgKOH/gであり、更に好ましくは150〜450mgKOH/gである。水酸基価は、無水酢酸−ピリジン法(JIS−K1557−1:2007)に準拠した方法により測定できる。
本実施形態におけるフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のフェノール性水酸基価は、エステル化後の硬化性の観点から、好ましくは100〜550mgKOH/gであり、より好ましくは100〜500mgKOH/gであり、更に好ましくは150〜450mgKOH/gである。フェノール性水酸基価は、実施例に記載の方法により測定できる。
[(メタ)アクリレート樹脂を含む組成物]
本実施形態の組成物は、本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂を含む。
本実施形態の組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂以外の(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物などの樹脂、オリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物などの重合性官能基を有するモノマー、マレイミド化合物、充填材、難燃剤、シランカップリング剤、湿潤分散剤、光重合開始剤、光硬化開始剤、熱硬化促進剤、各種添加剤などを含むことができる。本実施形態の組成物に含まれる成分は、一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。
また、各種添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤などが挙げられる。
前記成分は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
また、各成分の配合量も、用途に応じて、種々調製できる。
〔組成物の製造方法〕
本実施形態の組成物は、本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂と、必要に応じて、前記各成分を適宜混合することにより調製される。
組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、前記各成分を順次溶剤に配合し、十分に撹拌する方法が挙げられる。
組成物の製造時には、必要に応じて各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(撹拌、混合、混練処理など)を行うことができる。撹拌、混合、混練処理は、例えば、超音波ホモジナイザーなどの分散を目的とした撹拌装置、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
本実施形態の組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されない。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。これら有機溶剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂を含む組成物を硬化して得られる。
硬化物は、公知の種々の方法により得ることができる。硬化方法としては、たとえば、UVやEUVなどによる照射や加熱などが挙げられ、これらを併用することも可能である。
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂は、高い反応性を有するため、UVやEUVなどで瞬時に硬化する生産性の高いプロセスに好適である。また、高い反応性を有するため、高品質の硬化物を安定して供給できる。本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂及び硬化物は、インキや塗料、光学材料分野において、好適に用いることができる。
紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05J/cm〜10J/cm程度の照射量で照射を行うことができる。
加熱の条件は、(メタ)アクリレート樹脂や、該樹脂を含む組成物中の各成分や、該樹脂及び各成分の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分間〜180分間の範囲、より好ましくは160℃〜200℃で30分間〜150分間の範囲で選択される。
[用途]
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂、組成物及び硬化物は、種々の用途に使用できる。
例えば、粘・接着剤、タッチパネルなどの家電用途、各種レンズ材料、歯科材料などの光学材料及び医療材料用途、塗料、コーティング剤、プライマーなどの自動車・建築材料用途、靴、鞄、ランドセルなどの人工皮革及び合成皮革用途、ニット製品、スパンデックスなどの合成繊維用途、重合原料、成形材料、ガス分離膜、燃料電池用膜、光導波路、ホログラムなどが挙げられる。
特に、自動車用、モバイル端末・弱電製品用、光ディスク用、光ファイバー用、化粧品容器用、建材用・床用、自己修復性塗料・コーティングなどの各種UV硬化型塗料・コーティング材、UV硬化型インクジェットインキ、ナノインプリント用UV硬化型樹脂、3Dプリンタ用UV硬化型樹脂、感光性導電ペーストなどのUVインキ、UV硬化型接着剤、タッチパネル用OCA、タッチパネル用OCR、有機EL用シール材などのUV接着剤、バッファーコート膜用材料、レンズ(ピックアップレンズ、マイクロレンズ、眼鏡レンズ)、偏光膜(液晶ディスプレイ用など)、反射防止フィルム(表示デバイス用反射防止フィルムなど)、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム[PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、VFD(真空蛍光ディスプレイ)、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)、NED(ナノ・エミッシブ・ディスプレイ)、ブラウン管、電子ペーパーなどのディスプレイ(特に薄型ディスプレイ)用フィルム(フィルタ、保護フィルムなど)など]などの光学材料に好適に利用できる。
〔ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂などの原料および改質剤〕
本実施形態の(メタ)アクリレート樹脂を、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂などの原料、樹脂への添加剤および改質剤などに使用すると、これらの樹脂の耐水性、耐薬品性、及び耐熱性を向上させることができる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を持つ高分子化合物を示し、例えば、脂肪族ジアミン又はグリコール類とジイソシアネート類の重合付加によって得られる樹脂である。
アクリル樹脂は、アクリル酸あるいはメタクリル酸、またこれらの誘導体の(メタ)アクリルモノマーを数種類共重合させて得られる。(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
ビニルエステル樹脂は、例えば、ポリエポキシドに付加触媒存在下で、エポキシ基とおよそ当モルのα,β−不飽和一塩基酸を付加して得られる反応生成物をスチレンなどの重合性単量体と混合し、必要に応じて重合防止剤などを添加して得られる樹脂である。
アルキッド樹脂は、多価アルコールと多塩基酸とを縮合した樹脂である。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
エポキシ樹脂は、アミン、酸無水物などによって硬化するエポキシ基を持つ樹脂であり、例えば、エポキシ化合物とビスフェノール類又は多価アルコールとの反応によって得られる樹脂、不飽和基を過酸によってエポキシ化して得られる樹脂などが挙げられる。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂が挙げられる。炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、不飽和二塩基酸などの酸およびアルコールを反応させて得られる不飽和ポリエステルをスチレンなどの重合性単量体と混合し、必要に応じて重合防止剤などを添加して得られる樹脂である。酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和二塩基酸およびこれら酸の無水物が挙げられる。これら不飽和二塩基酸の一部にフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバチン酸など、あるいはこれら酸の無水物を使用してもよい。アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−メチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。これらの一部にシクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどの一価アルコール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールを使用してもよい。
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例及び比較例で採用した評価方法は以下の通りである。
(1)重量平均分子量(Mw)
GPC分析により、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。分析に用いた装置及び分析条件は下記のとおりとした。
装置:Shodex GPC−101型(昭和電工株式会社製)
カラム:Shodex KF−801×2、KF−802.5、KF−803L
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折検出器)
(2)水酸基価(OH価、mgKOH/g)
無水酢酸−ピリジン法(JIS−K1557−1:2007)に準じて測定した。
(3)フェノール性水酸基価(フェノール性OH価、mgKOH/g)
三角フラスコに無水エチレンジアミン25mLをホールピペットではかりとり、о−ニトロアニリン指示薬2滴を加え、0.1Nナトリウムメチラート溶液で赤色になるまで滴定する。これに試料を加えて再び滴定し、次式により試料中のフェノール性水酸基価を計算した。
フェノール性水酸基価(mgKOH/g)=A×94.11×F/W
上記式中、A:試料の滴定に要した0.1Nナトリウムメチラート溶液の量(mL)、F:ナトリウムメチラート溶液の規定度、W:サンプル量(g)である。
(4)鉛筆硬度
得られた硬化塗膜について、JIS K5600−5−4:1999に準じて測定した。
(5)ラビング試験(耐溶剤性)
得られた硬化塗膜について、アセトンを含浸させた綿棒でコート層を擦った。表面が未溶解であった場合は○、溶解した場合は×の評価とした。
(6)密着性
得られた硬化塗膜について、JIS K5600−5−6:1999に準じ、2mm間隔の100個のマス目状の切り込みを入れ、密着性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
◎:100個のマス目中、剥離しなかったマス目の数が90以上であった。
○:100個のマス目中、剥離しなかったマス目の数が60以上90未満であった。
△:100個のマス目中、剥離しなかったマス目の数が30以上60未満であった。
×:100個のマス目中、剥離しなかったマス目の数が30未満であった。
(7)柔軟性
得られた硬化塗膜について、JIS K5600−5−1:1999に準拠して、芯棒に硬化膜を形成した基材を巻きつけ、下記基準に基づいて評価した。
○:直径2mmの芯棒で硬化膜に割れや剥がれがない
×:直径32mmの芯棒で硬化膜に割れや剥がれが生じる
<実施例1>
撹拌装置、温度計、及びガス吹き込み管を備えた内容積200mLの四つ口フラスコに、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂としてフドー株式会社製のノボラック型のフェノール変性キシレン樹脂「ザイスターGP−100」(水酸基価:289mgKOH/g、フェノール性水酸基価:284mgKOH/g、重量平均分子量:1100)を15g、トルエンを37.5g、塩化銅(II)を0.01g、アクリル酸クロライドを7.8g仕込み、溶解させた後、塩化亜鉛0.1gを添加し、40℃に昇温した。空気を吹き込みながら、そのまま1時間保持し、反応を完了させ、反応液に水を加えて撹拌し、分液した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.01gを添加した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して硬化性樹脂Aの36%トルエン溶液を得た。得られた硬化性樹脂Aの重量平均分子量は1234、水酸基価は41mgKOH/g、フェノール性水酸基価は34mgKOH/gであった。
<実施例2>
フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂として、フドー株式会社製の「ザイスターGP−100」に代えて、フドー株式会社製のノボラック型のフェノール変性キシレン樹脂「ザイスターP−100」(水酸基価:305mgKOH/g、フェノール性水酸基価:265mgKOH/g、重量平均分子量:3600)を用いたこと、アクリル酸クロライドの仕込み量を7.8gから8.1gに変えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂Bの54%トルエン溶液を得た。得られた硬化性樹脂Bの重量平均分子量は4671、水酸基価は87mgKOH/g、フェノール性水酸基価は72mgKOH/gであった。
<比較例1>
フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(フドー株式会社製の「ザイスターGP−100」)に代えて、フェノールノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSK−2320」(水酸基価:529mgKOH/g、フェノール性水酸基価:436mgKOH/g、重量平均分子量:4069))を用いたこと、アクリル酸クロライドの仕込み量を14.1gに変えたこと、塩化亜鉛の仕込み量を0.2gに変えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂Cの55%トルエン溶液を得た。得られた硬化性樹脂Cの重量平均分子量は6479、水酸基価は35mgKOH/g、フェノール性水酸基価は6mgKOH/gであった。
<比較例2>
フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(フドー株式会社製の「ザイスターGP−100」)に代えて、フェノールノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSM−2222」(水酸基価:531mgKOH/g、フェノール性水酸基価:467mgKOH/g、重量平均分子量:1979))を用いたこと、アクリル酸クロライドの仕込み量を14.1gに変えたこと、塩化亜鉛の仕込み量を0.2gに変えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂Dの33%トルエン溶液を得た。得られた硬化性樹脂Dの重量平均分子量は2510、水酸基価は62mgKOH/g、フェノール性水酸基価は49mgKOH/gであった。
<実施例3〜4及び比較例3〜4>
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた硬化性樹脂A〜Dのトルエン溶液をそれぞれ、光重合開始剤(BASF製、イルガキュア(登録商標)184)と混合し、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物を各種基材上にバーコーターを用いて塗布し、100℃で2分加熱して乾燥させた後、紫外線照射装置(高圧水銀ランプ、アイグラフィックス株式会社製の「ECS−1511U」)を用いて、500mJ/cmとなるようにUV照射を行い、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について上記の各評価試験を実施した。結果を表1に示す。
なお、用いた基材は、以下の通りである。
・PET(東洋紡株式会社製の「A4100」、厚さ:100μm)
・鋼板(株式会社パルテック製の「PB−N144」、厚さ:200μm)
・PC(汎用品、厚さ:2mm)
・PMMA(汎用品、厚さ:2mm)
実施例3及び4と比較して、比較例3ではPMMAへの密着性、および鋼板での柔軟性が低下し、比較例4では鋼板への密着性、および鋼板での柔軟性が低下した。これは、比較例3及び4で使用したフェノールノボラック樹脂が、フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂由来の芳香環核(キシレン核)を有していないことに起因するものと推測されるが、本発明はこの推測により何ら限定されない。
<実施例5>
撹拌装置、温度計、及びガス吹き込み管を備えた内容積200mLの四つ口フラスコに、フドー株式会社製の「PR−1440M」(フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂としてのレゾール型のフェノール変性キシレン樹脂(水酸基価:416mgKOH/g、フェノール性水酸基価:296mgKOH/g、重量平均分子量:5374)をメタノール中に45質量%含むワニス)を30g、イソホロンを30g仕込み、ワニスに含まれるメタノールを減圧除去した。メタノールを除いたワニスに、塩化銅(II)0.01g、アクリル酸クロライド14.8gを仕込み、溶解させた後、塩化亜鉛0.1gを添加し、40℃に昇温した。空気を吹き込みながら、そのまま1時間保持し、反応を完了させ、反応液に水を加えて撹拌し、分液した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.01gを添加した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して硬化性樹脂Eの76%イソホロン溶液を得た。得られた硬化性樹脂Eの重量平均分子量は3114、水酸基価は45mgKOH/g、フェノール性水酸基価は45mgKOH/gであった。
<比較例5>
撹拌装置、温度計、及びガス吹き込み管を備えた内容積200mLの四つ口フラスコに、フドー株式会社製の「PR−1440M」(フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂としてのレゾール型のフェノール変性キシレン樹脂(水酸基価:416mgKOH/g、フェノール性水酸基価:296mgKOH/g、重量平均分子量:5375)をメタノール中に45質量%含むワニス)を30g、イソホロンを30g仕込み、ワニスに含まれるメタノールを減圧除去した。メタノールを除いたワニスに、塩化銅(II)0.03g、アクリル酸30.6gを仕込み、溶解させた後、p−トルエンスルホン酸0.26gを添加し、空気を吹き込みながら、13kPaに減圧した。60℃に昇温し、そのまま5時間保持し反応を完了させた後、減圧で未反応のアクリル酸を除去し、硬化性樹脂Fの50%イソホロン溶液を得た。得られた硬化性樹脂Fの重量平均分子量は4175、水酸基価は198mgKOH/g、フェノール性水酸基価は148mgKOH/gであった。
なお、得られた硬化性樹脂Fの重量平均分子量が、原料である「PR−1440M」のそれよりも低下していた理由は以下のように推測される。即ち、レゾール型のフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、メチロール基を含むことから、自己縮合により分子内にエーテル結合が含まれる可能性があるところ、酸性条件下でアクリレート化したことで、反応中に分子鎖の切断が起こり、重量平均分子量の低下につながったものと推測される。
実施例5と比較例5では、原料樹脂として同じフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(フドー株式会社製の「PR−1440M」)を用いたが、エステル化の方法が異なったため、表2に示す通り、比較例5で得られた硬化性樹脂Fは、実施例5で得られた硬化性樹脂Eと比較して、水酸基価及びフェノール性水酸基価が高かった。即ち、硬化性樹脂Fは、硬化性樹脂Eと比較して、アクリロイル基の導入量が少ないと考えられる。
<実施例6及び比較例6>
実施例5及び比較例5で得られた硬化性樹脂E及びFのイソホロン溶液をそれぞれ、光重合開始剤(BASF製、イルガキュア(登録商標)184)と混合し、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物を各種基材上にバーコーターを用いて塗布し、60℃で30分加熱後、さらに100℃で60分加熱して乾燥させた後、紫外線照射装置(高圧水銀ランプ、アイグラフィックス株式会社製の「ECS−1511U」)を用いて、500mJ/cmとなるようにUV照射を行い、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について上記の各評価試験を実施した。結果を表3に示す。
<比較例7>
比較例5で得られた硬化性樹脂Fのイソホロン溶液を、光重合開始剤(BASF製、イルガキュア(登録商標)184)と混合し、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物を各種基材上にバーコーターを用いて塗布し、60℃で30分加熱後、さらに100℃で60分加熱して乾燥させた後、紫外線照射装置(高圧水銀ランプ、アイグラフィックス株式会社製の「ECS−1511U」)を用いて、4500mJ/cmとなるようにUV照射を行い、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について上記の各評価試験を実施した。結果を表3に示す。
実施例6と比較して、比較例6では、硬度及び耐溶剤性が低かった。これは、硬化性樹脂Eと比較して、硬化性樹脂Fはアクリロイル基の導入量が少ないために、樹脂が十分に硬化しなかったことに起因すると推測されるが、本発明はこの推測により何ら限定されない。
また、比較例6と同じく硬化性樹脂Fを用いた比較例7では、露光量を多くすることで実施例6と同程度の硬度及び耐溶剤性が得られた。しかし、その一方で、PETでの柔軟性が低下した。これは、UVの露光量が多くなったことにより、UV照射による発熱で硬化物が脆くなったことに起因すると推測されるが、本発明はこの推測により何ら限定されない。

Claims (10)

  1. 芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をフェノール類により変性したフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸ハライドとをエステル化反応して得られる、(メタ)アクリレート樹脂。
  2. 重量平均分子量(Mw)が300〜10,000である、請求項1に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  3. 前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量が200〜10,000である、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  4. 水酸基価が100mgKOH/g以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  5. 前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価が100〜550mgKOH/gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  6. フェノール性水酸基価が100mgKOH/g以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  7. 前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のフェノール性水酸基価が100〜550mgKOH/gである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  8. 前記フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、フェノール類変性キシレンホルムアルデヒド樹脂を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレート樹脂を含む硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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