JPH10259162A - 新規(メタ)アクリル酸誘導体およびそれを含有する硬化型樹脂組成物 - Google Patents

新規(メタ)アクリル酸誘導体およびそれを含有する硬化型樹脂組成物

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JPH10259162A
JPH10259162A JP8444897A JP8444897A JPH10259162A JP H10259162 A JPH10259162 A JP H10259162A JP 8444897 A JP8444897 A JP 8444897A JP 8444897 A JP8444897 A JP 8444897A JP H10259162 A JPH10259162 A JP H10259162A
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JP
Japan
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meth
cyclic terpene
compound
skeleton
acrylic acid
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Pending
Application number
JP8444897A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Morikawa
敏行 森川
Takafumi Fujinobu
尊文 藤信
Yuji Kanefuji
祐司 金藤
Shinobu Mineyama
忍 峰山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yasuhara Chemical Co Ltd
Original Assignee
Yasuhara Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目 的】 新規(メタ)アクリル酸誘導体およびそれ
を含有する硬化物の基材に対する密着性や可とう性、耐
熱性、電気絶縁性、耐水性などの性能の向上した硬化型
樹脂組成物を提供すること。 【構 成】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフェ
ノール系化合物を基本骨格とする新規(メタ)アクリル
酸誘導体およびそれを含有する硬化型樹脂組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規(メタ)アクリ
ル酸誘導体およびそれを含有する硬化型樹脂組成物に関
する。さらに詳しくは、新規(メタ)アクリル酸誘導体
およびそれを含有する、硬化物の基材に対する密着性や
可とう性、耐熱性、電気絶縁性、耐水性などに優れた硬
化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱、あるいは紫外線、電子線など
のエネルギー線の照射等によって硬化する硬化型樹脂組
成物は、無溶剤型硬化材料として広範な用途に使用され
ている。中でもエネルギー線硬化型は省エネルギー、低
温高速硬化など様々な利点からレジストインキ等のプラ
スチック、金属、木材、紙などの塗装や印刷などに使用
されている。このような目的に使用される硬化型樹脂組
成物として種種のアクリル化合物やメタクリル化合物が
使用されている。
【0003】例えば、2ーエチルヘキシルアクリレー
ト、ラウリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート等の多価(メタ)アクリル酸エ
ステル、ポリエチレングリコールジアクリレート、オキ
シエチレン化ビスフェノールAジアクリレート等のアル
コキシ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールA
型グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、
フェノールノボラック型ポリエポキシ化合物の(メタ)
アクリレート等のエポキシアクリレート等、種々の(メ
タ)アクリル化合物が使用されている。
【0004】しかしながら、これらの化合物は、硬化物
の基材に対する密着性、可とう性、耐熱性、電気絶縁
性、耐水性などの性能が必ずしも満足するものではなか
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の課題を背景になされたもので、硬化型樹脂組成物
において、硬化物の基材に対する密着性や可とう性、耐
熱性、電気絶縁性、耐水性などの性能を向上させること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、上記目的を達成
できることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明は
分子内に環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合
物を基本骨格とする新規(メタ)アクリル酸誘導体およ
びそれを含有する硬化型樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0007】本発明で用いられる分子内に環状テルペン
骨格を含有するフェノール系化合物としては環状テルペ
ン化合物1モルとフェノール類1モルの付加物、および
環状テルペン化合物1モルとフェノール類1モルの付加
物をメチロール化し、さらにフェノール類と縮合させて
得られる環状テルペン骨格含有ポリフェノール系化合物
を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0008】本発明で使用される分子内に環状テルペン
骨格を含有するフェノール系化合物は環状テルペン化合
物とフェノール化合物の反応物で、例えば下記一般式
(1)〜(3)で表される環状テルペン化合物1モルと
フェノールまたは炭素数1〜5のアルキル基及びまたは
水酸基の置換したフェノール化合物(以下フェノール類
と表す)1モルが付加した環状テルペン/フェノール類
1モル/1モル付加物を挙げることができる。
【0009】加えて、例えば下記一般式(4)〜(6)
で表される環状テルペン化合物1モルとフェノールまた
は炭素数1〜5のアルキル基及びまたは水酸基の置換し
たフェノール化合物(以下フェノール類と表す)1モル
が付加した環状テルペン/フェノール類1モル/1モル
付加物をメチロール化し、さらにフェノール類と縮合さ
せて得られる環状テルペン骨格含有ポリフェノール系化
合物を挙げることができる。しかし、本発明で使用され
る分子内に環状テルペン骨格を含有するフェノール系化
合物はこれらの化合物に限定されない。
【0010】
【化1】
【0011】{一般式(1)中、Aはパラメンタニル基
(−C10H19)またはパラメンテニル基(−C10
H17)を示し、X1,X2は、同一または異なり、水
素原子、または、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは
水酸基を示す。}
【0012】
【化2】
【0013】{一般式(2)中、X3,X4は、同一ま
たは異なり水素原子、または炭素数1〜5のアルキル
基、あるいは水酸基を示す。}
【0014】
【化3】
【0015】{一般式(3)中、X5,X6は、同一ま
たは異なり水素原子、または炭素数1〜5のアルキル
基、あるいは水酸基を示す。}
【0016】
【化4】
【0017】{一般式(4)中、Aはパラメンタニル基
(−C10H19)またはパラメンテニル基(−C10
H17)を示し、X7,X8,X9、X10、X11、
X12は、同一または異なり、水素原子、または、炭素
数1〜5のアルキル基、もしくは水酸基を示し、nは0
または1を示す。}
【0018】
【化5】
【0019】{一般式(5)中、X13,X14,X1
5、X16、X17、X18は、同一または異なり、水
素原子、または、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは
水酸基を示し、nは0または1を示す。}
【0020】
【化6】
【0021】{一般式(6)中、X19,X20,X2
1、X22、X23、X24は、同一または異なり、水
素原子、または、炭素数1〜5のアルキル基、もしくは
水酸基を示し、nは0または1を示す。}
【0022】本発明で使用される分子内に環状テルペン
骨格を含有するフェノール系化合物を製造するための原
料の環状テルペン化合物は、単環のテルペン化合物であ
ってもよいし、双環のテルペン化合物であってもよい。
その具体的な例として例えば次のものが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。
【0023】α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リ
モネン、α−フェランドレン、β−フェランドレン、α
−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テル
ピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、
α−ターピネオール、β−ターピネオール、γ−ターピ
ネオール、4−ターピネオール、サビネン、カンフェ
ン、トリシクレン、パラメンテン−1、パラメンテン−
2、パラメンテン−3、パラメンテン−8、パラメンタ
ジエン類、Δ2−カレン、Δ3−カレン等。
【0024】また、これらの環状テルペン化合物は単独
で使用することもできるし2種以上を混合して使用して
もかまわない。
【0025】本発明で使用される分子内に環状テルペン
骨格を含有するフェノール系化合物を製造するための他
方の原料であるフェノール類としては、フェノールまた
は炭素数1〜5のアルキル基及びまたは水酸基の置換し
たフェノール化合物が挙げられる。
【0026】炭素数が1〜5のアルキル基が付加したフ
ェノール化合物としては、o−クレゾール、p−クレゾ
ール、m−クレゾール、2,6−キシレノール、2,4
キシレノール、プロピルフェノール、o−エチルフェノ
ール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、
o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブ
チルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシ
レノール、2,5−キシレノール、2,6ーキシレノー
ル、3,4ーキシレノール、3,6ーキシレノール、p
−フェニルフェノール等の化合物が挙げれるが、これら
の化合物に限定されない。
【0027】また水酸基の置換したフェノール化合物と
しては、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピ
ロガロール等の化合物が挙げられるが、これらの化合物
に限定されるものではない。
【0028】また、上記フェノール類の他にp−メトキ
シフェノール、m−メトキシフェノール、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ナフトール等の化合物を使用
することもできる。これらのフェノール類は、単独もし
くは2種以上混合して使用することができる。
【0029】本発明で使用される分子内に環状テルペン
骨格を含有するフェノール系化合物の製造方法は、分子
内に環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物が
環状テルペン/フェノール類1モル/1モル付加物であ
る場合は、例えば環状テルペン化合物1モルに対してフ
ェノール類を0.1〜6モル、好ましくは0.5〜4モ
ル使用し、酸性触媒の存在下で20〜150℃の温度で
1〜10時間反応させることにより得られる。その酸性
触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、三フ
ッ化硼素もしくはその錯体、陽イオン交換樹脂、ヘテロ
ポリ酸、活性白土等が挙げられる。その際、反応溶媒は
使用しなくてもよいが、芳香族系炭化水素類、アルコー
ル類、エーテル類等の溶媒を使用することもできる。
【0030】また、分子内に環状テルペン骨格を含有す
るフェノール系化合物が環状テルペン/フェノール類1
モル/1モル付加物をメチロール化し、さらにフェノー
ル類と縮合させて得られる環状テルペン骨格含有ポリフ
ェノール系化合物である場合は、例えば環状テルペン/
フェノール類1モル/1モル付加物を上記の方法で製造
した後、メチロール化剤でメチロール化し、更にそのメ
チロール基にフェノール類を脱水縮合させることにより
得られる。
【0031】環状テルペン/フェノール類1モル/1モ
ル付加物のメチロール化は、一般にアルカリ性条件下で
メチロール化剤を付加反応させることにより行うことが
できる。そのメチロール化反応は環状テルペン/フェノ
ール類1モル/1モル付加物1モルに対して、メチロー
ル化剤をホルムアルデヒド換算で0.1〜8モル、好ま
しくは0.5〜5モルである。メチロール化剤が0.1
モル未満であると生成するメチロール基の数が少なく、
メチロール化剤が8モルを越えると縮合反応が進み高分
子量となり好ましくない。
【0032】メチロール化反応のメチロール化剤として
通常ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドが用
いられる。この際ホルムアルデヒドは、無水物の状態の
もの、あるいは水溶液の状態のもの何れも使用できる。
【0033】メチロール化の反応温度は、−40℃〜1
00℃、好ましくは0℃〜60℃である。反応温度が−
40℃未満であると反応が進みにくく、また100℃を
越えると縮合反応が進み高分子量となるため好ましくな
い。
【0034】また、メチロール化反応はアルカリ性条件
下で行われるが、使用するアルカリとして例えば、水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルア
ミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒド
ロオキシド等の水溶液が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。その際、反応溶媒は使用しなくても
よいが、芳香族系炭化水素類、アルコール類、エーテル
類等の溶媒を使用することもできる。
【0035】上記環状テルペン/フェノール類1モル/
1モル付加物のメチロール化物とフェノール類の縮合反
応は、通常メチロール化物とフェノール類を酸性触媒存
在下で反応することにより行うことができる。
【0036】その縮合反応を行う際の酸性触媒として
は、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、三フッ化硼素も
しくはその錯体、陽イオン交換樹脂、活性白土等が挙げ
られるがこれらに限定されない。その際反応溶媒は使用
しなくてもよいが、芳香族系炭化水素類、アルコール
類、エーテル類等の溶媒を使用することもできる。
【0037】その縮合反応に使用されるフェノール類と
しては、フェノールまたは炭素数1〜5のアルキル基及
びまたは水酸基の置換したフェノール化合物が挙げられ
る。
【0038】炭素数が1〜5のアルキル基が付加したフ
ェノール化合物としては、o−クレゾール、p−クレゾ
ール、m−クレゾール、2,6−キシレノール、2,4
キシレノール、プロピルフェノール、o−エチルフェノ
ール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、
o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブ
チルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシ
レノール、2,5−キシレノール、2,6ーキシレノー
ル、3,4ーキシレノール、3,6ーキシレノール、p
−フェニルフェノール等の化合物が挙げれるが、これら
の化合物に限定されない。
【0039】また水酸基の置換したフェノール化合物と
しては、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピ
ロガロール等の化合物が挙げられるが、これらの化合物
に限定されるものではない。
【0040】また、上記フェノール類の他にp−メトキ
シフェノール、m−メトキシフェノール、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ナフトール等の化合物を使用
することもできる。これらのフェノール類は、単独もし
くは2種以上混合して使用することができる。
【0041】また、その縮合反応の反応温度は、通常0
〜150℃、好ましくは20〜100℃である。反応温
度が0℃未満だと反応が進みにくく、150℃を越える
と副反応がおこり好ましくない。
【0042】本発明で使用される分子内に環状テルペン
骨格を含有するフェノール系化合物を基本骨格とする
(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリル化合物の
酸置換基の部分が、分子内に環状テルペン骨格を含有す
るフェノール系化合物を基本単位とする化合物で構成さ
れており、例えば環状テルペン骨格を含有するフェノー
ル系化合物のヒドロキシル基の部分に(メタ)アクリル
基を導入しエステル基としたもの、あるいはヒドロキシ
ル基を他の官能基を有する化合物と反応させ、さらに
(メタ)アクリル基を導入した化合物等を挙げることが
できる。
【0043】例えば、 (1)環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
の(メタ)アクリル酸エステル (2)環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
のアルコキシ(メタ)アクリル酸エステル (3)環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
のエポキシアクリレート (4)環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
のウレタンアクリレートが挙げられる。
【0044】環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物の(メタ)アクリル酸エステルは環状テルペン骨
格を含有するフェノール系化合物と(メタ)アクリル酸
とのエステル化合物であり、例えば、環状テルペン骨格
を含有するフェノール系化合物と(メタ)アクリル酸に
よるエステル化反応、(メタ)アクリル酸エステルによ
るエステル交換反応、(メタ)アクリル酸クロリドによ
る縮合反応等により製造することができる。
【0045】環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物のアルコキシ(メタ)アクリル酸は、環状テルペ
ン骨格を含有するフェノール系化合物とエチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイド等のアルコキサイドやエチ
レンクロルヒドリン等のアルキレンクロルヒドリンとの
反応物に(メタ)アクリル酸を反応させたエステル化合
物であり、例えば環状テルペン骨格を含有するフェノー
ル系化合物のアルコキサイド反応物と(メタ)アクリル
酸によるエステル化反応、(メタ)アクリル酸エステル
によるエステル交換反応、(メタ)アクリル酸クロリド
による縮合反応等により製造することができる。
【0046】環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物のエポキシアクリレートは、環状テルペン骨格を
含有するフェノール系化合物とエピクロルヒドリン等と
の反応物に(メタ)アクリル酸を反応させたエステル化
物であり、例えば環状テルペン骨格を含有するフェノー
ル系化合物とエピクロルヒドリン等とを縮合反応させエ
ポキシ化合物とした後、(メタ)アクリル酸と付加反応
させることにより製造することができる。
【0047】環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物のウレタンアクリレートは、環状テルペン骨格を
含有するフェノール系化合物とジイソシアネート化合物
の反応物に(メタ)アクリル酸のヒドロキシル含有エス
テルを反応させた化合物、あるいは環状テルペン骨格を
含有するフェノール系化合物とエチレンオキサイド等の
アルコキサイドとの反応物にジイソシアネート化合物を
反応させ、これにさらに(メタ)アクリル酸のヒドロキ
シル含有エステルを反応させた化合物である。例えば前
者の例として、環状テルペン骨格を含有するフェノール
系化合物とジイソシアネートを付加反応させた後、(メ
タ)アクリル酸アルキレングリコールモノエステルを付
加反応させることにより製造することができる。また、
後者の例として、環状テルペン骨格を含有するフェノー
ル系化合物のエチレンオキサイド反応物にジイソシアネ
ートを付加反応させた後、(メタ)アクリル酸アルキレ
ングリコールモノエステルをさらに付加反応させること
により製造することができる。
【0048】ここで用いられるジイソシアネート化合物
としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシア
ネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】また、(メタ)アクリル酸アルキレングリ
コールモノエステルは、アルキレングリコールと(メ
タ)アクリル酸のモノエステル体である。例えば、2ー
ヒドロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシプロピ
ルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート
等が挙げられる。
【0050】このようにして得られる分子内に環状テル
ペン骨格を含有するフェノール系化合物を基本骨格とす
る新規(メタ)アクリル酸誘導体はアクリル系ポリマー
のモノマー成分として利用できる。その用途は例えば、
接着剤、塗料、インキ、建材、照明、ガラス繊維強化樹
脂、防錆・防食、光学レンズ、光ファイバーコーティン
グ、UV・EB硬化性樹脂、レジスト、繊維、繊維改良
剤、皮革、紙加工、ゴム、看板、ディスプレイ、車両・
航空機・船舶、電気・機械部品、日曜雑貨品、温室、水
族館の水槽等が挙げられる。
【0051】本発明の新規(メタ)アクリル酸誘導体
は、単官能の(メタ)アクリル酸誘導体または2官能以
上の多官能の(メタ)アクリル酸誘導体からなる化合物
である。本発明の単官能の新規(メタ)アクリル酸誘導
体は反応性モノマーとして利用する場合、多官能誘導体
に比較して重合性が低いため機能性付与剤として利用さ
れ、通常多官能(メタ)アクリル酸誘導体と併用して使
用される。
【0052】その際、併用する多官能(メタ)アクリル
酸誘導体としては、本発明の多官能新規(メタ)アクリ
ル酸誘導体や例えば、1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート等の多価(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジア
クリレート、オキシエチレン化ビスフェノールAジアク
リレート等のアルコキシ(メタ)アクリル酸エステル、
ビスフェノールA型グリシジルエーテルの(メタ)アク
リル酸エステル、フェノールノボラック型ポリエポキシ
化合物の(メタ)アクリレート等のエポキシアクリレー
ト等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0053】本発明の硬化型樹脂組成物は、前記分子内
に環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物を基
本骨格とする新規(メタ)アクリル酸誘導体を含有する
ことを特徴とし、硬化物の基材に対する密着性や可とう
性、耐熱性、電気絶縁性、耐水性などの性能を向上させ
ることができる。
【0054】本発明の硬化型樹脂組成物で使用される分
子内に環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
を基本骨格とする新規(メタ)アクリル酸誘導体におい
て、環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物の
(メタ)アクリル酸エステル、環状テルペン骨格を含有
するフェノール系化合物のアルコキシ(メタ)アクリル
酸エステル、環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物のエポキシアクリレート、環状テルペン骨格を含
有するフェノール系化合物のウレタンアクリレート等は
単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使
用することもできる。
【0055】本発明の硬化型樹脂組成物に使用される上
記分子内に環状テルペン骨格を含有するフェノール系化
合物を基本骨格とする(メタ)アクリル化合物の使用量
は、組成物に対して5重量%以上、好ましくは10重量
%以上である。5重量%未満だと硬化物の密着性等の性
能を満足することができない。
【0056】また、本発明の硬化型樹脂組成物に、上記
環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物の(メ
タ)アクリル酸エステル、環状テルペン骨格を含有する
フェノール系化合物のアルコキシ(メタ)アクリル酸エ
ステル、環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合
物のエポキシアクリレート、環状テルペン骨格を含有す
るフェノール系化合物のウレタンアクリレートに他の
(メタ)アクリル化合物を併用することができる。
【0057】他の(メタ)アクリル化合物としては、例
えば、エチレングリコール等の多価アルコールとフタル
酸等の多塩基酸との反応で得られるポリエステルを(メ
タ)アクリル化して製造されるポリエステルアクリレー
トやビスフェノールA型のエポキシ樹脂、ノボラック型
のエポキシ樹脂または脂環型エポキシ樹脂のエポキシ基
を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ら
れるエポキシアクリレート、あるいはジフェニルメタン
ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物に2ーヒ
ドロキシ(メタ)アクリレートのようなヒドロキシ基を
有するアクリレートを反応させて得られるウレタンアク
リレート、更にはポリエーテルアクリレート、メラミン
アクリレート、アルキッドアクリレート、シリコンアク
リレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】これら他の(メタ)アクリル化合物の使用
量は、組成物に対して、80重量%未満、好ましくは6
0重量%未満である。80重量%を越えると硬化物の密
着性等の性能を満足することができない。
【0059】分子内に環状テルペン骨格を含有するフェ
ノール系化合物を基本骨格とするアクリル化合物やメタ
クリル化合物の反応性基であるアクリル基とメタクリル
基について、熱やエネルギー線による反応性は一般に、
アクリル基のほうがメタクリル基よりも高くその有用性
は大きい。本発明の硬化型樹脂組成物にはアクリル化合
物、メタクリル化合物ともに使用可能であるが、上記の
理由よりアクリル化合物のほうがより好ましく用いられ
る。
【0060】本発明の硬化型樹脂組成物には、硬化反応
を促進させるため通常開始剤が添加される。例えば、熱
エネルギーによる硬化反応に対してはラジカル開始剤用
いられる。そのラジカル開始剤としては、例えばベンゾ
イルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジーt
ーブチルパーオキサイド、tーブチルパーオキシラウレ
ート、ジクミルパーオキサイド、α,α’ービスーtー
ブチルパーオキシーpージイソプロピルベンゼン、2,
5−ジメチルー2,5−ジーtーブチルパーオキシパー
オキシヘキサン、2,5−ジーt−ブチルパーオキシヘ
キシン、tーブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチ
ルー4,4ービス−t−ブチルパーオキシバレート、p
ーメンタンヒドロパーオキサイド、tーブチルクミルパ
ーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニ
トリル、2,2’ーアゾビス(2,4,4ートリスメチ
ルバレロニトリル)、2,2’ーアゾビス(2ーシクロ
プロピルプロピオニトリル)等のアゾビス化合物が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0061】またエネルギー線による硬化反応に対して
は光開始剤が用いられる。その光開始剤として例えば、
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベン
ゾインブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、
2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキ
シアセトフェノン、ミヒラーケトン、4ージアルキルア
ミノアセトフェノン、2−フェニルチオアセトフェノ
ン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイル
ベンゾエート、アンスラキノン、2ーエチルアンスラキ
ノン、ナフトキノン、2,4−ジイソプロピルチオキサ
ントン、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾ
ビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパ
ーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジフェ
ニルジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルフ
ァイド、テトラエチルチウラムジサルファイド、ベンゾ
フェノン、ビバロインエチルエーテル、ジベンジルサル
ファイド、シンナモイルクロライド、ジメチルジフェニ
レンジサルファイド、ジベンゾチアゾールジサルファイ
ド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0062】このラジカル開始剤または光開始剤の使用
量は、硬化型樹脂組成物に対して0.01重量%以上、
5重量%以下、好ましくは,0.05重量%以上、3%
以下である。0.01重量%未満だと硬化速度が遅く実
用的でない。また、5重量%を越えると硬化速度向上効
果がもはや得られず、且つ硬化皮膜の性能が低下するの
で好ましくない。
【0063】本発明のエネルギー線による硬化型樹脂組
成物には、光開始剤の効果を増強させる目的で、増感剤
を添加することができる。増感剤は単独ではエネルギー
線照射によって活性化しないが、光開始剤と一緒に使用
すると、光開始剤単独よりも効果を上げるものである。
例えば、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、
n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−
ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジルイソ
チウロニウムーpートルエンスルフィネート、ジエチル
アミノエチルメタクリレート等が挙げられるがこれらに
限定されない。
【0064】この増感剤の使用量は、硬化型樹脂組成物
に対して0.01重量%以上、5重量%以下、好ましく
は,0.05重量%以上、3%以下である。0.01重
量%未満だと硬化速度が遅く実用的でない。また、5重
量%を越えると増感剤としての向上効果がもはや得られ
ず、且つ硬化皮膜の性能が低下するので好ましくない。
【0065】本発明の硬化型樹脂組成物には、実用に際
して粘度を下げ作業性を向上させる目的で重合性希釈剤
を用いることができる。例えば、2−エチルヘキシルア
クリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペ
ンテニルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビス
(アクリロキシエチル)ビスフェノールA、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトール
トリアクリレート等が挙げられるがこれらに限定される
ものではない。
【0066】この重合性希釈剤の使用量はエネルギー線
硬化型樹脂組成物に対して70重量%以下、好ましくは
50重量%以下である。70重量%を越えると、硬化物
の実用性能に劣り好ましくない。
【0067】本発明で必要に応じて無機充填剤、レベリ
ング剤、顔料や染料等の着色剤、消泡剤、密着性付与
剤、可塑剤、溶剤、貯蔵安定剤等の成分を添加すること
ができる。
【0068】本発明のエネルギー線による硬化型樹脂組
成物に関して、その組成物に照射して硬化反応させるた
めのエネルギー線としては、紫外線、電子線、X線等が
挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光
線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタル
ハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク等が
使用できる。
【0069】本発明の硬化型樹脂組成物を用いることに
より、皮膚刺激性が少なく、硬化物の基材に対する密着
性や、耐摩擦強度などの耐久性、さらには耐水性、可と
う性などの性能が向上する。これは環状のテルペン骨格
を(メタ)アクリル化合物に導入したことに起因すると
考えられる。即ち、炭素原子と水素原子で構成されたメ
ンタン骨格、ピナン骨格、ボルナン骨格などの環状テル
ペン骨格が、皮膚刺激性の少ない組成物を与え、硬化物
の耐久性、耐熱性、耐水性、可とう性を与えるものと考
えられる。
【0070】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を示すが、
本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではな
い。尚、実施例中、部および%は特に断らない限り、重
量基準を示す。
【0071】環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物の合成例を下記に示す。 合成例1 環状テルペン骨格を含有するフェノール系化
合物 温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備えた内
容積1リットルの4つ口フラスコに、フェノールを11
2.8g(1.2モル)、強酸性陽イオン交換樹脂を2
0g仕込んだ後、80℃の温度に保持しながら、パラメ
ンテンー1を138g(1モル)を3時間かけて滴下
し、その後3時間攪拌し反応させた。次いで、該混合液
から、ろ過によって陽イオン交換樹脂を除き、得られた
反応液にトルエンを300gを加え溶解させ、蒸留水で
2回洗浄したのち、5mmHgの減圧条件下蒸留を行
い、沸点138℃〜148℃の留分195gを得た。得
られた留分は融点は88℃を示す結晶で、またガスクロ
マトグラフィーにより分析した結果、構造式(1)で表
されるパラメンタニルフェノールが93%含まれてい
た。
【0072】
【化7】
【0073】合成例2 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物 上記環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
の製造例において、原料のフェノールを141g(1.
5モル)に、テルペン化合物をdーリモネン136g
に、触媒として強酸性陽イオン交換樹脂に変えて活性白
土を30g使用した以外は環状テルペン骨格を含有する
フェノール系化合物の製造例と同様に製造し、沸点1
42℃〜151℃/5mmHgの留分81gを得た。得
られた留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結
果、一般式(1)で表されるパラメンテニルフェノール
が73%含まれていた。
【0074】合成例3 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物の製造例 上記環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物
の製造例において、原料のテルペン化合物をカンフェン
136gに変えた以外は環状テルペン骨格を含有すフェ
ノール系化合物の製造例と同様に製造し、沸点145
℃〜155℃/5mmHgの留分176gを得た。得ら
れた留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結
果、構造式(2)で表されるイソボルニルフェノールが
92%含まれていた。
【0075】
【化8】
【0076】合成例4 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物の製造例 温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備えた内
容積1リットルの4つ口フラスコに、フェノール282
g(3モル)、強酸性陽イオン交換樹脂34gを仕込ん
だ後、80℃の温度に保持しながら、αーピネン136
g(1モル)を4時間かけて滴下し、その後2時間攪拌
し反応させた。次いで、該混合液から、ろ過によって陽
イオン交換樹脂を除き、得られた反応液にトルエンを5
00g加え溶解させ、蒸留水で2回洗浄したのち、5m
mHgの減圧条件下で蒸留し、沸点143℃〜152℃
の留分86gを得た。得られた留分をガスクロマトグラ
フィーにより分析した結果、一般式(3)で表される環
状テルペン骨格を含有するフェノール化合物が68%含
まれていた。
【0077】合成例5 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物の製造例 温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備えた4
つ口フラスコに合成例1で得られたパラメンタニルフェ
ノールを23.2g(0.1モル)、トルエンを60g
仕込み溶解させ、10%水酸化ナトリウム水溶液を80
g仕込みこれに撹拌しながら25℃で37%ホルマリン
水溶液49gを10分間で滴下し、その後40℃で6時
間撹拌反応させた。得られた反応液にトルエンを200
g仕込み、10%塩酸水溶液70gで中和し更に水洗を
行った。次に、反応液にフェノールを188g、メタノ
ールを64g濃硫酸を1g仕込み、70℃で5時間撹拌
反応させた。得られた反応液は水洗した後、5mmHg
の減圧条件下、250℃で30分間保持して未反応物と
副生成物を蒸留により留去し、目的とする一般式(4)
で表される環状テルペン骨格含有ポリフェノール系化合
物である微黄色樹脂状物31.4gを得た。得られた樹
脂状物の水酸基当量からの1分子あたりの水酸基の数は
2.8であった。
【0078】合成例6〜7 環状テルペン骨格を含有す
るフェノール系化合物〜の製造例 環状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物の製
造例において、パラメンタニルフェノールに変えて、環
状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物(イソ
ボルニルフェノール)または環状テルペン骨格を含有す
るフェノール系化合物を23.0g使用する以外は環
状テルペン骨格を含有するフェノール系化合物と同様
に操作し、目的とする一般式(5)および一般式(6)
で表される環状テルペン骨格含有ポリフェノール系化合
物である黄褐色樹脂状物を化合物については30.6
g、化合物については27.3を得た。得られた樹脂
状物の水酸基当量からの1分子あたりの水酸基の数は
は2.9、は2.5であった。
【0079】実施例1 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物のアクリル酸エステルの合成 温度計、環流冷却管、滴下ロート、攪拌装置を付けたガ
ラス製フラスコに、合成例1で得られたパラメンタニル
フェノール23.2g、メタノールを150ml、水酸
化ナトリウムを4.0g仕込み、攪拌し溶解させた。滴
下ロートに塩化アクリロイル9.1gにハイドロキノン
0.1gを溶解させたものを仕込み、窒素ガスシール
下、50℃で滴下反応させた。滴下終了後、同温度で2
時間攪拌した。反応生成物にトルエンを300ml加え
溶解させ、水500mlを加え攪拌し、下層を分液し上
層液をさらに水300mlで3回水洗を行った。得られ
た反応油にハイドロキノンを0.1g加え、減圧下トル
エンを留去し、1mmHgの真空下軽沸点化合物を留去
させ、釜残として微黄色液状物を得た。次にカラムクロ
マトグラフィーにより精製し無色粘調物20.6gを得
た。この白色固体はGC−MS(ガスクロマトグラフィ
ー質量)分析、1HNMR(プロトン核磁気共鳴)分
析、C13NMR(炭素13核磁気共鳴)分析およびI
R(赤外吸収)分析により構造式(3)で表されるパラ
メンタニルフェニルアクリレートであると特定した。
【0080】
【化9】
【0081】実施例2 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物のアルコキシアクリル酸エステルの合
成 ガラス内張りのオートクレーブに合成例3で得られたイ
ソボルニルフェノールを23.0g、粉末状水酸化ナト
リウムを0.01g仕込み、160℃に加熱攪拌し、次
いで反応容器内を10mmHgの減圧にし、4.4gの
エチレンオキサイドを3気圧の窒素圧の下に流入を調節
しながら圧入し反応を行った。続いて、環流装置付き油
水分離器を装着した反応器に先の反応物とトルエンを1
00g、アクリル酸を7.8g、濃硫酸を0.16g、
ハイドロキノンを0.1g仕込み、加熱攪拌しながら、
110℃で環流した。生成してくる水を油水分離器で除
去しながら、10時間反応した。次に反応油を水洗し、
減圧下蒸留を行い、トルエン、未反応物を留去させ、釜
残として微黄色液状物を得た。次にカラムクロマトグラ
フィーにより精製し無色液状物19.3gを得た。この
液状物はGC−MS分析1HNMR、C13NMR分析
およびIR分析により構造式(4)で表されるイソボル
ニルフェニルエトキシアクリレートであると特定した。
【0082】
【化10】
【0083】実施例3 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物のエポキシアクリレートの合成 温度計、攪拌装置、冷却管を付けたフラスコに、合成例
5で得られた環状テルペン骨格を含有するフェノール系
化合物を15.9g、エピクロルヒドリンを46.3
g、イソプロピルアルコールを50g仕込み溶解させ
た。次いでこの溶液を40℃に保ちながら45重量%の
水酸化ナトリウム水溶液9.8gを1時間で滴下した。
その後内温を60℃に昇温させ1時間攪拌した。反応液
は水洗し、さらに減圧下で過剰のエピクロルヒドリンと
イソプロピルアルコールを留去しエポキシ化合物を得
た。次に、このエポキシ化合物にアクリル酸を7.4
g、メトキシハイドロキノンを0.03g、テトラメチ
ルアンモニウムブロマイドを0.15g加え、130℃
で4時間反応させた。その後室温まで冷却し、微黄色液
状物25.0gを得た。得られた液状物をカラムクロマ
トグラフィーにより精製し無色液状物を得た。この液状
物をLC−MS(液体クロマトグラフィー質量)分析、
GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)分
析およびIR分析によりパラメンタニルポリフェノール
のエポキシアクリレート体であると推定した。
【0084】実施例4 環状テルペン骨格を含有するフ
ェノール系化合物のウレタンアクリレートの合成 温度計、攪拌装置、冷却管、窒素ガスシール管を付けた
フラスコに環状テルペン骨格を含有するフェノール系化
合物を16.0gを仕込み、130℃に加熱し溶解さ
せる。これを60torrの減圧下、撹拌しながら脱泡
した。次に、4,4’ージフェニルメタンジイソシアネ
ートを25g加え、窒素ガスシール下130℃で1時間
撹拌反応させた。次に、130℃で2ーヒドロキシエチ
ルアクリレートを11.6gを30分間で滴下し、その
後同温度で30分間後反応を行い、微黄色液状のウレタ
ンアクリレート52.5gを得た。得られた液状物をカ
ラムクロマトグラフィーにより精製し無色液状物を得
た。この液状物をLC−MS分析、GPC分析およびI
R分析によりイソボルニルポリフェノールのウレタンア
クリレート体であると推定した。
【0085】実施例5 実施例1で得られたパラメンタニルフェニルアクリレー
トを用いて、表1に示す配合処方の紫外線硬化型ソルダ
ーレジストインキ組成物とした。この配合物を三本ロー
ルで均一に混練りし、300メッシュのポリエステルス
クリーン版を用い、ポリイミド基板フレキシブル銅張積
層板に印刷し、80W/cm高圧水銀灯下、15cmの
距離で1,000mJ/平方cmの積算光量で硬化させ
た。硬化物は下記の方法で密着性、可とう性、ハンダ耐
熱性、電気絶縁性、耐水性についての評価を行った。得
られたレジスト膜の諸性能の測定結果を表2に示す。
【0086】評価方法 [密着性]レジスト膜のゴバン目クロスカット・セロフ
ァンテープ剥離試験(JISD0202) [可とう性]180度の外折り内折り試験(MIT試
験)によるクラック発生までの折り曲げ回数で判定し
た。(径=4mmφ) [半田耐熱性]250℃の半田浴に1分間浸漬後の外観
変化を評価した。 [電気絶縁抵抗]エッチング法により形成したくし型電
極(JISZ−3197)を用い、その絶縁抵抗値を測
定した。 [耐水性]試験片を、沸騰水中に100時間入れ、重量
の変化を吸水率(%)として測定した。
【0087】比較例1 実施例5で用いたアクリレート体に代えて、2ーエチル
ヘキシルアクリレートを用いる以外は実施例5と同様の
配合で硬化させレジスト膜を得た。得られたレジスト膜
の諸性能の測定結果を表2に示す。
【0088】実施例6 実施例2で得られた環状テルペン多価フェノール系化合
物のアルコキシアクリル酸エステルを用いて、表1に示
す配合処方の紫外線硬化型ソルダーレジストインキ組成
物とし、実施例5と同様に評価した。得られたレジスト
膜の諸性能の測定結果を表3に示す。
【0089】比較例2 実施例6で用いたアクリレート体に代えて、フェノキシ
エチルアクリレートを用いる以外は実施例6と同様の配
合で硬化させレジスト膜を得た。得られたレジスト膜の
諸性能の測定結果を表3に示す。
【0090】実施例7 実施例3で得られた環状テルペン骨格を含有するフェノ
ール系化合物のエポキシアクリレートを用いて、表4に
示す配合処方の紫外線硬化型ソルダーレジストインキ組
成物とし、実施例5と同様に評価した。得られたレジス
ト膜の諸性能の測定結果を表5に示す。
【0091】比較例3 実施例7で用いたアクリレート体に代えて、ビスフェノ
ールA型エポキシアクリレートを用いる以外は実施例7
と同様の配合で硬化させレジスト膜を得た。得られたレ
ジスト膜の諸性能の測定結果を表5に示す。
【0092】実施例8 実施例4で得られた環状テルペン骨格を含有するフェノ
ール系化合物のウレタンアクリレートを用いて、表4に
示す配合処方の紫外線硬化型ソルダーレジストインキ組
成物とし、実施例5と同様に評価した。得られたレジス
ト膜の諸性能の測定結果を表6に示す。
【0093】比較例4 実施例8で用いたアクリレート体に代えて、4,4’ー
ジフェニルメタンジイソシアネートと2ーヒドロキシエ
チルアクリレートとの反応で得られるウレタンアクリレ
ートを用いる以外は実施例8と同様の配合で硬化させレ
ジスト膜を得た。得られたレジスト膜の諸性能の測定結
果を表6に示す。
【0094】表2、表3、表5、表6より、本発明に使
用されるアクリレートを用いた硬化物は、密着性、可と
う性、半田耐熱性、電気絶縁性および耐水性の向上が認
められた。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【発明の効果】本発明の新規(メタ)アクリル酸誘導体
は工業的に有用な化合物であり、これを含有する硬化型
樹脂組成物はレジストインキ等のプラスチック、金属、
木材、紙などの塗装や印刷などに用いることにより、密
着性、可とう性、耐熱性、電気絶縁性、耐水性等を向上
させる目的に好適である。
フロントページの続き (72)発明者 峰山 忍 広島県府中市高木町1080番地 ヤスハラケ ミカル株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物を基本骨格とする新規(メタ)アクリ
    ル酸誘導体。
  2. 【請求項2】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物が、環状テルペン化合物1モルとフェ
    ノール類1モルの付加物である請求項1記載の新規(メ
    タ)アクリル酸誘導体。
  3. 【請求項3】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物が、環状テルペン化合物1モルとフェ
    ノール類1モルの付加物をメチロール化し、さらにフェ
    ノール類と縮合させて得られる環状テルペン骨格含有ポ
    リフェノール系化合物である請求項1記載の新規(メ
    タ)アクリル酸誘導体。
  4. 【請求項4】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物を基本骨格とする新規(メタ)アクリ
    ル酸誘導体が、分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物の(メタ)アクリル酸エステルである
    請求項1および/または請求項2および/または請求項
    3記載の新規(メタ)アクリル酸誘導体。
  5. 【請求項5】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物を基本骨格とする新規(メタ)アクリ
    ル誘導体が、分子内に環状テルペン骨格を含有するフェ
    ノール系化合物のアルコキシ(メタ)アクリル酸エステ
    ルである請求項1および/または請求項2および/また
    は請求項3記載の新規(メタ)アクリル酸誘導体。
  6. 【請求項6】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物を基本骨格とする新規(メタ)アクリ
    ル誘導体が、環状テルペン骨格を含有するフェノール系
    化合物のエポキシアクリレートである請求項1および/
    または請求項2および/または請求項3記載の新規(メ
    タ)アクリル酸誘導体。
  7. 【請求項7】 分子内に環状テルペン骨格を含有するフ
    ェノール系化合物を基本骨格とする新規(メタ)アクリ
    ル化合物が、分子内に環状テルペン骨格を含有するフェ
    ノール系化合物のウレタンアクリレートである請求項1
    および/または請求項2および/または請求項3記載の
    新規(メタ)アクリル酸誘導体。
  8. 【請求項8】 請求項1および/または請求項2および
    /または請求項3および/または請求項4および/また
    は請求項5および/または請求項6および/または請求
    項7記載の新規(メタ)アクリル酸誘導体を含有するこ
    とを特徴とする硬化型樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005350356A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Yasuhara Chemical Co Ltd ジ(メタ)アクリレート化合物およびその硬化性組成物
WO2009005118A1 (ja) * 2007-07-04 2009-01-08 Nitto Denko Corporation アクリル系粘弾性組成物、及び感圧性接着テープ又はシート
WO2020158289A1 (ja) * 2019-01-30 2020-08-06 横浜ゴム株式会社 ウレタン系接着剤組成物

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