JP4646051B2 - ジ(メタ)アクリレート化合物およびその硬化性組成物 - Google Patents
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しかしながら、これらの感光性組成物は、硬化収縮性、耐熱性、吸水性などの性能面で、十分な性能を有するものではない。
ここで、本発明のジ(メタ)アクリレート化合物としては、ビシクロ[2.2.2]−オクタン環を有するジ(メタ)アクリレート化合物およびこれを重合させた硬化性組成物であることが好ましい。ビシクロ[2.2.2]−オクタン環を有するジ(メタ)アクリレート化合物は、下記式(I)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物である。
また、式(I)のジ(メタ)アクリレート化合物としては、下記式(II)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
さらに、本発明の硬化性組成物は、このジ(メタ)アクリレート化合物にラジカル重合開始剤を加えた組成物であり、電子線あるいは紫外線などの放射線により硬化させることが可能な組成物である。
水素原子、またはnが1〜5の整数である式CnH2n+1で表される炭化水素基を表す。R7は水素原子または、メチル基である。)
本発明のジ(メタ)アクリレート化合物の製造例の1例を下記に示す。
すなわち、本発明のジ(メタ)アクリレート化合物は、次に示すような方法で製造することができる。しかしながら、これらの製造方法に限定されるものではない。
例えば、本発明のジ(メタ)アクリレート化合物は、(a)テルペン化合物と、(b)不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、および不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物とを反応させ、つづいて、還元反応を行い、ジメチロール化合物とした後、さらに(メタ)アクリル酸、あるいはその無水物とエステル化反応させて得られる。
これら不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルは、単独または2種以上を併用して使用してもよい。
また、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルのアルキル成分としては、特に制限はなく、例えば、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジブチルなどが挙げられる。
なお、(a)テルペン化合物と、(b)化合物との反応は、(a)テルペン化合物1モルに対し、通常、(b)化合物が0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルである。
二重結合の水素添加反応、および還元反応の方法は特に限定されないが、通常、以下の二通りの方法が挙げられる。
すなわち、第1の方法は、まず触媒の存在下で水素による環化付加反応物の二重結合の水素添加反応を行った後、還元剤にて不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元してジメチロール化合物を得る方法である。
溶媒を使用する場合、該溶媒の使用量は、原料であるジメチロール化合物に対し、30〜1000重量%、好ましくは50〜700重量%である。
触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、原料であるジメチロール化合物1モルに対し、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.01モルである。
また、1H−NMRチャートにより、ビシクロ環および側鎖に起因する0.79〜1.86ppmのシグナル、エステルに隣接するメチレン基に起因する4.02〜4.36ppmのシグナル、アクリレートに起因する5.80〜6.42ppmのシグナルにより確認することができる。
なお、本発明の硬化性組成物とは、本発明のジ(メタ)アクリレート化合物にラジカル重合開始剤が配合された組成物であるが、当該化合物がこの重合開始剤によってオリゴマーや重合物となったものをも広く包含する概念である。
ラジカル重合開始剤は、ラジカル重合する開始剤であれば何でもよい。
具体的には、ベンジル、ベンゾイン、ベンジルアルキルケタノールなどのベンゾインエーテル系、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノンなどのアセトフェノン系、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸、4−4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−アルキルチオキサントンなどのチオキサントン系、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド、その他、2−アルキルアントラキノンなどが挙げられる。
ジ(メタ)アクリレート化合物を100重量部として、ラジカル重合開始剤は、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部、さらに好ましくは0.3〜4.0重量部である。0.01重量部未満ではラジカル重合が十分進行せず、一方、10重量部を超えるとラジカル重合以外の余分なものが添加されることになる。
なお、本発明の硬化性組成物を用いて、電子線および紫外線などの放射線で硬化させる ことができるが、紫外線照射が好ましい。紫外線照射は、0.3〜3J/cm2で行うことが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2J/cm2である。紫外線の強さが0.3J/cm2未満では、未硬化部分が残存する可能性が高くなり、一方、3J/cm2を越えると過剰露光により樹脂部分が変色する可能性が高くなるため、好ましくない。
硬化させる装置に関しては、通常使用されている電子線、紫外線の照射装置であれば特に指定はない。
下記の実施例における分析は、下記の機器を使用した。
赤外吸収装置(IR):島津製作所製、FTIR−8100M
ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS):HEWLETT PACKARD社製、HP6890 GC System、カラム:HP−5MS(Crosslinked 5% Ph Me Siloxane)、30m×0.25mm×0.25μm、イオン化モード:EI
NMR:日本電子(株)社製、JNM−LA400、周波数400MHz(溶媒:CDCl3、内部標準物質:テトラメチルシラン)
ジ(メタ)アクリレート化合物の製造:
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた500ml三つ口フラスコに、α−テルピネン71g(0.5モル)およびフマル酸58g(0.5モル)を仕込み、撹拌しながら昇温して、150〜160℃で12時間反応した。反応後、アセトンから再結晶することにより、フマル化α−テルピネン79g(α−テルピネン基準で収率60%、純度96%)を得た。
・分析結果
1)図1:IRチャート 3,000〜2,800cm-1:C−H伸縮、1,725cm-1:C=O伸縮、1,640〜1,620cm-1:C=C伸縮、1,500〜1,350cm-1、:C−H変角、1,300〜1,180cm-1:C−O伸縮
2)図2:GC−MSチャート m/z=291[M−C3H7]+が観測された。
3)図3:1H−NMRチャート
4)図4:13C−NMRチャート
5)図5:DEPTチャート
上記ジ(メタ)アクリレート化合物Aを20g、光ラジカル重合開始剤としてベンゾイル0.5gを混合し、混合物をフィルターに通して濾過し、本発明の感光性組成物を得た。
(硬化収縮率)
上記感光性組成物を25℃の恒温水槽に放置した後、ピクノメーターを用いて、比重D1を測定した。次に、得られる塗膜の厚さが100μmになるようにガラス板に上記感光性組成物を挟み込み、メタルハライドランプで約1J/cm2照射した。JIS Z8807:1976に準じ、この塗膜の固体比重D2を求め、下記計算式により硬化収縮率を求めた。
硬化収縮率の測定結果を表3に記載した。
硬化収縮率(%)=〔(D2−D1)/D2〕×100
樹脂Bを25g、トリグリシジルイソシアヌレート7.5g、ベンゾイル0.5g、BYK357(ビッグケミー製消泡剤)0.5g、BYK054(ビッグケミー製表面平滑剤)0.5g、フタロシアニングリーン(山陽色素製)0.5g、タルク10g、硫酸バリウム5gを混合し、ニューロング精密工業社製スクリーン印刷機LS15GXを使用し、表面機械研磨を行った銅張積層板に膜厚40μmになるように塗布した。塗布した基板を70℃の乾燥機中に30分間放置し、平行光露光機で露光パターンフィルムを載せて250mJ/cm2の光量を露光した。露光後、トルエンで60秒間、1.5kg/cm2のスプレー圧で現像を行った。水洗後、160℃、1時間熱風乾燥機に入れ加熱硬化を行った。
得られた硬化膜を有する試験片について、ガラス転移温度(Tg)測定、吸水率、解像度の評価を行った。結果を表3に記載した。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
塗膜を1度塗り、または2度塗りした基板から剥離し、JIS C:6481の試験方法に従って、TMA引っ張り試験により測定を行った。
(吸水率測定)
サンプルを120℃乾燥機中で一晩置き、十分乾燥させた後、重量(W0)を測定した。
次にこのサンプルをプレッシャークッカー(121℃、2atm)に1時間入れた。プレッシャークッカーから取り出した後、流水で3分間冷却し布で水分を拭き取り、2分間放置した後、重量(W1)を測定し、下式により吸水率を求めた。
吸水率(%)=〔(W1−W0)/W0〕×100
(解像度の評価)
レジスト硬化膜のライン幅が100、50、25μmの三種類の試験片を作製し、断面観察を行った。露光は200mJ/cm2とした。評価は、任意の20カ所を被検部分として選択し、顕微鏡で観察して、検査数に対する正常な部分の数で表示した。
ジグリシジルメタクリレート20g、ベンゾイル0.25g、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート0.25gを混合し、感光性組成物を得、実施例1と同様にして評価した。評価結果は表3に記載した。
Claims (8)
- (a)d−リモネン、ジペンテン、α−フェランドレン、β−フェランドレン、およびα−テルピネンから選ばれたテルペン化合物と、(b)不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、および不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物とをディールス−アルダー反応させ、つづいて還元反応を行って得られるテルペン骨格を有するジメチロール化合物と、(メタ)アクリル酸化合物とを反応させて得られる、ジ(メタ)アクリレート化合物。
- (b)化合物が、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸、およびフマル酸ジアルキルエステルから選ばれた請求項1記載のジ(メタ)アクリレート化合物。
- (a)テルペン化合物と(b)化合物との反応において、(a)テルペン化合物1モルに対し、(b)化合物を0.5〜1.5モルを用い、かつ反応温度が0〜250℃である、請求項1または2記載のジ(メタ)アクリレート化合物。
- 還元反応が、(1)触媒の存在下で水素によるディールス−アルダー反応物の二重結合の水素添加反応を行った後、還元剤にて不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、または不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元してテルペン骨格を有するジメチロール化合物を得る方法、あるいは(2)触媒を用い水素による接触水素化還元反応により、ディールス−アルダー反応物の二重結合および不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、または不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元してテルペン骨格を有するジメチロール化合物を得る方法である、請求項1〜3いずれかに記載のジ(メタ)アクリレート化合物。
- テルペン骨格を有するジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸化合物との反応が、テルペン骨格を有するジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸をエステル化反応させる方法、テルペン骨格を有するジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させる方法、テルペン骨格を有するジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸無水物を反応させる方法、またはテルペン骨格を有するジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸エステルをエステル交換反応させる方法である、請求項1〜4いずれかに記載のジ(メタ)アクリレート化合物。
- テルペン骨格を有するジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸を使用したエステル化反応の際、(メタ)アクリル酸の仕込み比率が原料であるテルペン骨格を有するジメチロール化合物1モルに対し0.1〜20モル、反応温度が30〜200℃である、請求項5記載のジ(メタ)アクリレート化合物。
- ジ(メタ)アクリレート化合物が、下記の式(II)である請求項1〜6いずれかに記載のジ(メタ)アクリレート化合物。
- 請求項1〜7いずれかに記載のジ(メタ)アクリレート化合物100重量部に対し、ラジカル重合開始剤を0.01〜10重量部含有することを特徴とする硬化性組成物。
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