JP3918991B2 - 重合性化合物、これを含有する樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【0001】
【従来の技術】
光導波路の材料として石英がよく用いられているが、加工温度が高い、大面積のものが作製しがたいという問題があった。最近、加工のし易さの観点からポリメチルメタクリレート等を利用したプラスチック導波路の研究が進んでいるが、このような樹脂を用いた場合でも樹脂は溶剤に溶かした状態で基板などに塗布した後、溶剤を除去してコア部等にするため、溶剤を除去するときに適度な速度で溶剤を除去しなければならない。除去速度が大きい場合には気泡やボイドが生じたり内部歪が発生する。また、除去速度が小さい場合には、当然製造に要する時間が長くかかるという欠点があった。除去温度を上げる場合には、やはり気泡やボイドの発生や樹脂と基板との熱膨張率の差に起因する内部歪が起きる可能性がある。また、可溶性の樹脂を光導波路に用いる場合はクラッド部とコア部を形成させるときに既に形成している樹脂部分が溶けないようにしなければならない。このため、樹脂に架橋成分を導入したり、コア部とクラッド部の樹脂成分を変えることが必要であった。光導波路における光伝送損失要因、固有要因としては、赤外振動吸収の高周波、電子遷移に基づく紫外吸収などの吸収損失、密度・濃度ゆらぎによるレイリー散乱による散乱損失が挙げられ、外的要因としては遷移金属・OH基・その他不純物による吸収損失、ほこり・気泡などの不純物、コア/クラッドの界面不整・コア径の変動・マイクロベンディング・配向複屈折などの構造不整による散乱損失が挙げられる。レイリー散乱に関しては、屈折率の異なる領域の共存は好ましくなく、光導波部においても結晶性高分子、ブロック共重合、グラフト共重合などのミクロ相分離構造を呈するものは好ましくない。また、熱運動による固体内の揺らぎも押さえるためには線形高分子よりも紫外線等により三次元硬化する樹脂が望まれている。また、コア/クラッド界面のはく離も、伝送損失の要因となるため、クラッド樹脂にはコア材への良好な密着性、接着性が要求される。このため、コア部とクラッド部は類似の成分であることが望まれている。光導波路のコアの屈折率はクラッドの屈折率よりも大きいことが要求される。一般的なマルチモードの導波路のクラッド材はコア材の2〜3%以上の屈折率差があれば好適である。また、シングルモードで光導波させる場合、コア部の断面が一辺8μmの正方形であるとき、0.3%ほど屈折率の小さなクラッドが要求されるため、このような導波路に用いるコア材とクラッド材の屈折率ゆらぎは1000分の5の精度が要求される。したがって、良くクラッド材に用いられるシリコン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の屈折率範囲(1.45〜1.60)を制御できるコア材(屈折率1.46〜1.62)が望まれていた。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した課題を解決し、加工性に優れる光導波路に適する樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、特定の重合性化合物(A)を見出し、これを主成分とする樹脂組成物は、組成を変えることにより屈折率をある程度自由に制御できること、それらの樹脂は、光導波路のコア部やクラッド層に適用したとき光透過性に優れ、加熱処理後にも光透過性に優れ、且つ平坦性に極めて優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
すなわち、本発明は、
(1)、分子中に水添テルペンジフェニル基とエチレン性不飽和基を有することを特徴とする重合性化合物(A)、
(2)、水添テルペンジフェノール(a)と(メタ)アクリル酸(b)又は2−イソシアネートエチルメタクリレート(c)との反応物(I)である(1)記載の重合性化合物(A)、
(3)、水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテル(d)と(メタ)アクリル酸(b)及び/又はマレイミド基を有するモノカルボン酸(e)との反応物(II)又は反応物(II)の水酸基と2−イソシアネートエチルメタクリレート(c)又は多塩基酸無水物(f)との反応物(III)である(1)記載の重合性化合物(A)、
(4)、(1)ないし(3)項のいずれか1項に記載の重合性化合物(A)と(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物、
(5)、光重合開始剤(C)を含有する(4)記載の樹脂組成物、
(6)、(4)または(5)記載の樹脂組成物の硬化物、
に関する。
【0005】
【本発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。
本発明の重合性化合物(A)は、分子中に水添テルペンジフェニル基とエチレン性不飽和基の両方を有する重合性化合物である。
【0006】
本発明の重合性化合物(A)の具体例としては、下記構造式(1)を有する水添テルペンジフェノール(a)
【0007】
【化1】
【0008】
と(メタ)アクリル酸(b)とを反応させることにより得られる重合性化合物(A−1)、前記構造式(1)で表される水添テルペンジフェノール(a)と2−イソシアネートエチルメタクリレート(c)とを反応させることにより得られる重合性化合物(A−2)、前記構造式(1)で表される水添テルペンジフェノール(a)とマレイミド基含有モノカルボン酸(e)とを反応させることにより得られる重合性化合物(A−3)、下記構造式(2)で表される水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテル(d)と
【0009】
【化2】
【0010】
(メタ)アクリル酸(b)とを反応させて得られる重合性化合物(A−4)、前記構造式(2)で表される水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテル(d)とマレイミド基含有モノカルボン酸(e)とを反応させて得られる重合性化合物(A−5)、前記(d)成分と(b)成分と(e)成分とを反応させて得られる重合性化合物(A−6)、前記重合性化合物(A−4)、(A−5)及び(A−6)の1種と2−イソシアネートエチルメタクリレート(c)とを反応させて得られる重合性化合物(A−7)、前記重合性化合物(A−4)、(A−5)及び(A−6)の1種と多塩基酸無水物(f)とを反応させて得られるカルボキシル基変性重合性化合物(A−8)等を挙げることができる。
【0011】
前記(メタ)アクリル酸(b)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。
【0012】
多塩基酸無水物(f)の具体例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、パーフルオロ無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
【0013】
前記、重合性化合物(A−1)〜(A−8)の中で、重合性化合物(A−1)、(A−2)及び(A−8)が好ましい例として挙げられるが、以下にこれらの詳細について述べる。
【0014】
前記、重合性化合物(A−1)は、前記構造式(1)で表される水添テルペンジフェノール(a)中の水酸基と(メタ)アクリル酸(b)中のカルボン酸の脱水、エステル化反応を行うことにより得ることができる。(a)成分中の水酸基1当量に対して、(b)成分中のカルボキシル基0.5〜3当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは1.0〜1.5当量を反応させる。反応溶媒として、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の有機溶剤を使用するのが好ましい。反応における脱水触媒として、硫酸、P−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸を使用するのが好ましい。反応中の重合を防止するために重合禁止剤を使用するのが好ましく、使用しうる具体例としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、P−メトキシフェノール、フェノチアジン等を挙げることができる。反応温度及び反応時間は、使用する反応溶媒の種類や原料の仕込み割合により異なるが、反応温度は、80〜150℃が好ましく、反応時間は3〜20時間が好ましい。
【0015】
前記、重合性化合物(A−2)は、(a)成分中の水酸基と2−イソシアネートエチルメタクリレート(c)中のイソシアネート基のウレタン化反応を行うことにより得ることができる。(a)成分中の水酸基1当量に対して、(c)成分中のイソシアネート基0.5〜1.2当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、0.95〜1.05当量を反応させる。反応溶媒としては、水酸基やイソシアネート基と非反応溶媒であればいずれでも良い。具体的には、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチルエステル、酢酸エチルエステル、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等を挙げることができる。これらは1種以上を選択して使用することができる。反応を促進するために反応触媒として、ジ−n−ブチルスズジラウリレート等のスズ化合物等を使用することができる。反応温度は40〜100℃が好ましく、反応時間は0.5〜20時間が好ましい。又、反応中、重合を防止するために、前記の重合禁止剤を使用することもできる。
【0016】
重合性化合物(A−8)は、例えば、前記構造式(2)で表される水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテル(d)中のエポキシ基と(メタ)アクリル酸(b)とを反応させ(反応物は、前記、重合性化合物(A−4)である。)、次いで、この反応物中の水酸基と多塩基酸無水物(f)中の無水物基とを反応させることにより得ることができる。(d)成分中のエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸(b)中のカルボキシル基0.5〜1.05当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、0.9〜1.01当量を反応させる。反応溶媒として、前記の有機溶剤や後記の(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)中の(メタ)アクリレートモノマー類等を使用することができる。反応を促進するために反応触媒として、テトラメチルアンモニウムクロライド、N、N−ジメチルアミノフェノール、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等の塩基性化合物等を使用するのが好ましい。反応温度は、80〜150℃が好ましく、反応時間は、10〜40時間が好ましい。次いでこのようにして得られた(d)成分と(b)成分の反応物中の水酸基1当量に対して多塩基酸無水物(f)中の無水物基0.2〜1.0当量を反応させるのが好ましい。又、反応中、重合を防止するために、前記の重合禁止剤を使用することもできる。
【0017】
本発明では、(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)を使用することも出来る。このような(B)成分の具体例としては、(メタ)アクリレートモノマー類、(メタ)アクリレートオリゴマー類、マレイミド化合物類、ビニルエーテル化合物類及びN−ビニル化合物類等を挙げることができる。
【0018】
(メタ)アクリレートモノマー類の具体例としては、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート。ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンのジ・アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(又はテトラ)(メタ)アクリレートネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのε−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールヘキサフルオロプロピルポリエトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールヘキサフルオロプロピルポリエトキシジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0019】
(メタ)アクリレートオリゴマー類の具体例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0020】
ポリエステル(メタ)アクリレートの具体例としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン等のポリオール成分とマレイン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、セバチン酸、アゼライン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、等の多塩基酸及びこれらの無水物との反応物であるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;前記ポリオール成分と多塩基酸及びこれらの無水物とε−カプロラクトンとの反応物である環状ラクトン変性ポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート等の多官能性ポリエステル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0021】
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、有機イソシアネート化合物とポリオール化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物との反応物を代表的なものとして挙げることができる。
【0022】
有機ポリイソシアネートの具体例としては、P−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、P−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの1種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を三量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0023】
ポリオール化合物の具体例としては、前記、ポリオール成分、ポリエステルポリオール、環状ラクトン変性ポリエステルポリオール等を挙げることができる。
【0024】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0025】
エポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、2官能性以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる生成物を挙げることができる。
【0026】
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,3−ビス〔1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、スピログリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
これら、エポキシ(メタ)アクリレートに多塩基酸無水物(例、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、パーフルオロ無水コハク酸、パーフルオロヘキサヒドロ無水フタル酸等)を反応させて得られるカルボキシル基変性エポキシ(メタ)アクリレートも好ましく、使用することができる。
【0028】
マレイミド化合物類の具体例としては、マレイミド基を含有する化合物であれば使用可能であり、特開昭58−40374号に記載されている1〜3官能性マレイミド化合物、特開平3−12414号に記載のマレイミド基含有ウレタンオリゴマー等を挙げることができる。
【0029】
それらの具体例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−アリルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−2−メチル−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルヘキシルマレイミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)マレイミド、N−(1−メトキシメチルプロピル)マレイミド、N、N’−1,6−ヘキサンビスマレイミド、ビス(3−N−マレイミドプロピル)ポリテトラメチレングリコール、ビス(2−N−マレイミドプロピル)ポリプロピレングリコール、ビス(2−N−マレイミドエチル)ポリエチレングリコール、1,2(1,3または1,4)−ビス(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン、
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
等のマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のマレイミド基中の不飽和炭素原子に結合した水素原子が塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基等で置換されたマレイミド化合物等を挙げることができる。
【0034】
ビニルエーテル化合物類の具体例としては、ヒドロキシメチルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノ又はジビニルエーテル、シクロヘキサンモノ又はジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルポリテトラメチレングリコールジビニルエーテル、ポリウレタンポリビニルエーテル、ポリエステルポリビニルエーテル等を挙げることができる。
【0035】
N−ビニル化合物類の具体例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等を挙げることができる。
【0036】
これら(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)の好ましいものとしては、アクリレートモノマー類、アクリレートオリゴマー類及びマレイミド化合物類等を挙げることができる。
【0037】
本発明では、任意成分として光重合開始剤(C)を含有する。含有しうる光重合開始剤(C)の具体例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアトフェノン、ベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンソインイソプロピルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルベンゾイソホメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0038】
本発明の光導波路用樹脂組成物中、前記(A)〜(C)成分の含有割合は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分は、10〜500重量部が好ましく、特に好ましくは20〜200重量部であり、(A)+(B)成分の総量100重量部に対して、(C)成分は0〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.05〜6重量部である。
【0039】
なお、本発明において、必要な場合は、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、可とう性付与剤、特性改質剤等を加えることができる。これらの材料を単独あるいは混合して主成分に加えることにより樹脂組成物の特性を改質することができる。
【0040】
例えば、本発明の樹脂組成物の接着性を高めるために加えられるシランカップリング剤の例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、塩酸基、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(C)成分及び前記のカップリング剤等を混合、溶解し、必要なら、クリーンルーム内でロ過をすることにより得ることができる。
【0042】
本発明における光導波路の作製方法としてはクラッドは通常の高分子樹脂を用いる場合とコア材と同様の紫外線硬化樹脂を用いる場合では若干異なるが、その例として、
【0043】
(1)任意の基板に下層クラッドとなるコアよりも屈折率の小さな樹脂を塗布する。塗布後、加熱により溶媒を除去又は、そのまま、紫外線を照射して硬化する。
(2)この上にコアとなる本発明の樹脂組成物物を塗布し、次に、導波路パターンを有するネガマスクを介して紫外線を照射し硬化する。その後、この試料を有機溶剤、水と水溶性有機溶剤の混合物あるいは希アルカリ水溶液等で現像し、マスクパターンに従い、光照射部のみを硬化し、導波路パターンが作製できる。
(3)その後、この上にクラッド用の高分子樹脂又は紫外線硬化樹脂を塗布し、加熱により溶媒を除去又は、そのまま、紫外線を照射し硬化する。ここで下層クラッド、並びに最後に形成するコア側面部及び上部のクラッドは同じ屈折率であることが望ましく、同一の材料である方が好適である。更に、クラッドに紫外線硬化樹脂を用いた場合、最上面表面が平坦化できる。この場合、多層の光配線が可能になり、多層化を行う場合は、上記(2)、(3)を繰り返せばよい。
本発明の樹脂組成物は、光導波路のコア部やクラッド層に適用したとき光透過性に優れ、加熱処理後にも光透過性に優れ、且つ平坦性に極めて優れている。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実施例1
攪拌器、水分離器付きコンデンサー、温度計、空気吹き込み管の付いた500mリットル4口フラスコに水添テルペンジフェノール168.3g、アクリル酸93.7g、ハイドロキノン0.6g、トルエン91g、シクロヘキサン39g、硫酸2.8gを仕込み、空気を吹き込みながら加熱攪拌し反応させた。反応温度は98〜110℃ 6時間で水18.5mリットルが留出した。反応液を1リットル分液ロートに移しトルエン280g、シクロヘキサン120g、25%苛性ソーダ水溶液100gを加えて洗浄し、15重量%食塩水100mリットルで3回洗浄した。洗浄した有機相をナス型フラスコに移しメトキノン10mgを加えて減圧下80℃で濃縮した。生成物158gが得られた。屈折率1.506(25℃)で室温で放置すると固体になった。生成物は、NMR分析及びGCMS分析により、下記構造式の化合物が主成分であることを確認した。
【0045】
【化6】
【0046】
実施例2
式(1)で表される水添テルペンジフェノール336gをエピクロルヒドリン1850gとジメチルスルホキシド925gに溶解させた後、攪拌下70℃で98.5重量%NaOH105.6gを100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。次いで過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750gに溶解させ、さらに30重量%NaOH20gを加え70℃で1時間反応させた。反応終了後、水400gで2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量226の前記式(1)で表される水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテルを得た。次いで、この水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテル452g、プロピレングリコールモノメチルアセテート66g、アクリル酸141.2g及びP−メトキシフェノール0.3gを仕込み、90℃に加熱し、溶解した。溶解後、60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン1.6gを仕込み、98℃で約32時間反応(反応液の酸価(mgKOH/g)が0.5以下になるまで。)し、次いで無水コハク酸100gとプロピレングリコールモノメチルアセテート11.2gを仕込み90℃で約10時間(無水物基が消えるまで)反応し、固形分90重量%、固形分酸価(mgKOH/g)81.2の生成物を得た。NMR分析及びGCMS分析により、生成物の生成分は、下記、構造式のものであることを確認した。
【0047】
【化7】
【0048】
実施例3
実施例2で得た固形分90重量%の水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテルとアクリル酸の反応物に無水コハク酸の反応生成物77.8g、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンのジアクリレート30g及び/−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤)3gから調製した樹脂組成物(a)を準備した。この樹脂組成物(a)の硬化後の屈折率は、波長589nmで1.511であった。
【0049】
次に、シリコン基板上に、実施例1で得た水添テルペンジフェノールとアクリル酸の反応生成物45g、下記、構造式で表されるフッ素原子含有ジアクリレート55g
【0050】
【化8】
【0051】
及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3gから調製した樹脂組成物(b)をスピンコートにより塗布して、80℃で20分乾燥後その全面に紫外線を照射して10μmの下部クラッド層を作製した。
【0052】
次に、この下部クラッド層の上に、前記、樹脂組成物(a)をスピンコートにより5μmの厚さに塗布した。なお、下部クラッド層の硬化後の屈折率は波長589nmで1.466であった。
【0053】
次に、導波路パターンを有するネガマスクを介して紫外線を照射し、その後、この試料を1重量%Na2CO3水溶液を用いて現像し、導波路パターンを作製した。その後、この導波路パターンおよび下部クラッド層の上に、前記、樹脂組成物(b)を15μmの厚さに塗布し、80℃で30分間乾燥し、次いで紫外線を照射して硬化させ光導波路を作製した。この操作により、硬化後の屈折率1.466の樹脂組成物(b)の硬化物からなる下部クラッド層と上部クラッド層および屈折率1.511の樹脂組成物(a)の硬化物からなるコアを有するマルチモードチャンネル導波路が作製できた。
【0054】
得られた光導波路を5cmの長さに切り出し、150℃の乾燥器に24時間、放置した後、633nmのHe−Neレーザー光を用いて光導波損失を調べたところ0.20dB/cmであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明は溶媒を用いないコア材を使用するために、溶媒に起因する問題が解消され、導波路形成工程が簡略化される。耐熱性にも優れ、平坦化も容易であるため、多層の光配線が可能な光導波路が実現できる。
Claims (4)
- 水添テルペンジフェノールジグリシジルエーテル(d)と(メタ)アクリル酸(b)及び/又はマレイミド基を有するモノカルボン酸(e)との反応物(II)又は反応物(II)の水酸基と2−イソシアネートエチルメタクリレート(c)又は多塩基酸無水物(f)との反応物(III)である重合性化合物(A)。
- 請求項1記載の重合性化合物(A)と(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 更に、光重合開始剤(C)を含有する請求項2記載の樹脂組成物。
- 請求項3記載の樹脂組成物に紫外線を照射して得られる硬化物。
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