JP3801899B2 - 樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光回路、光電子混載基板などに使用できる平坦性に優れ、加工が容易な光導波路に適する樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光導波路の材料として石英がよく用いられているが、加工温度が高い、大面積のものが作製しがたいという問題があった。最近、加工のし易さの観点からポリメチルメタクリレート等を利用したプラスチック導波路の研究が進んでいるが、このような樹脂を用いた場合でも樹脂は溶剤に溶かした状態で基板などに塗布した後、溶剤を除去してコア部等にするため、溶剤を除去するときに適度な速度で溶剤を除去しなければならない。除去速度が大きい場合には気泡やボイドが生じたり内部歪が発生する。また、除去速度が小さい場合には、時間が長くかかるという欠点があった。除去温度を上げる場合にはやはり気泡やボイドの発生や樹脂と基板との熱膨張率の差に起因する内部歪が起きる可能性がある。また、溶剤可溶性の樹脂を光導波路に用いる場合はクラッド部とコア部を形成させるときに既に形成している樹脂部分が溶剤に溶けないようにしなければならない。このため、樹脂に架橋成分を導入したり、コア部とクラッド部の樹脂成分を変えることが必要であった。光導波路における光伝送損失要因、固有要因として、赤外振動吸収の高周波、電子遷移に基づく紫外吸収などの吸収損失、密度・濃度ゆらぎによるレイリー散乱による散乱損失が挙げられ、外的要因としては遷移金属・OH基・その他不純物による吸収損失、ほこり・気泡などの不純物、コア/クラッドの界面不整・コア径の変動・マイクロベンディング・配向複屈折などの構造不整による散乱損失が挙げられる。レイリー散乱に関しては、屈折率の異なる領域の共存は好ましくなく、光導波部においても結晶性高分子、ブロック共重合、グラフト共重合などのミクロ相分離構造を呈するものは好ましくない。また、熱運動による固体内の揺らぎも押さえるためには線形高分子よりも紫外線等により三次元硬化する樹脂が望まれている。また、コア/クラッド界面のはく離も、伝送損失の要因となるため、クラッド樹脂にはコア材への良好な密着性、接着性が要求される。このため、コア部とクラッド部は類似の成分であることが望まれている。光導波路のコアの屈折率はクラッドの屈折率よりも大きいことが要求される。一般的なマルチモードの導波路のクラッド材はコア材の2〜3%以上の屈折率差があれば好適である。また、シングルモードで光導波させる場合、コア部の断面が一辺8μmの正方形であるとき、0.3%ほど屈折率の小さなクラッドが要求されるため、このような導波路に用いるコア材とクラッド材の屈折率ゆらぎは1000分の5の精度が要求される。したがって、良くクラッド材に用いられるシリコン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の屈折率範囲(1.45〜1.60)を制御できるコア材(屈折率1.46〜1.62)が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、加工性に優れる光導波路用樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、特定のウレタンメタクリレート化合物(A)と(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)を主成分とする樹脂組成物は、組成を変えることにより屈折率をある程度自由に制御できること、これらの樹脂は硬化前の粘度が低く、スピンコーティング等の塗布性に優れ、光導波路のコア部やクラッド層に適用したとき光透過性に優れ、且つ平坦性に極めて優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)、一般式(1)で表される化合物(a)
【0005】
【化2】
【0006】
(式(1)中、R1は水素原子又はCH3、R2、R3、R4、R5は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を示す)と2−イソシアネート−エチルメタクリレート(b)の反応物であるウレタンメタクリレート化合物(A)と(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物、
(2)、光重合開始剤(C)を含有する(1)記載の樹脂組成物、
(3)、光導波路用樹脂組成物である(1)又は(2)記載の樹脂組成物、
(4)、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物、に関する。
【0007】
【本発明の実施の形態】
本発明の光導波路に適する樹脂組成物は、特定のウレタンメタクリレート化合物(A)と(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)との混合物である。
【0008】
本発明では、ウレタンメタクリレート化合物(A)を使用するウレタンメタクリレート化合物(A)は、前記一般式(1)で表される化合物(a)と2−イソシアネート−エチルメタクリレート(b)を反応させることにより得ることができる。
【0009】
一般式(1)で表される化合物(a)の具体例としては、ビス(4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシプロピルチオフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラメチル−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘキシル−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジヘキシル−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラクロロ−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラブロモ−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド。好ましくは、ビス(4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラブロム−4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド等を挙げることができる。
【0010】
(a)成分と(b)成分の反応割合は、(a)成分中の水酸基1当量に対して(b)成分中のイソシアネート基0.5〜1.1当量を反応させるのが好ましく、0.95〜1.05当量を反応させるのが特に好ましい。
【0011】
反応を促進させるために反応触媒を使用するのが好ましい。反応触媒の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジ(n−ブチル)スズジ(2−エチルヘキサノエート)等のスズ化合物が挙げられ、反応触媒の使用量は、反応混合物中50ppm〜1000ppmが好ましい。
【0012】
反応溶媒を使用するのが好ましく、反応溶媒としては、イソシアネート基や水酸基と不活性の有機溶剤を好ましく用いることができる。有機溶剤の具体例としてはメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン等のエーテル類、γーブチロラクトン、εーカプロラクトン等のラクトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、カルビトールアセテート、ブチるセロソルブアセテート等のエステル類などを挙げることができる。反応温度は20〜100℃が好ましく、特に好ましくは30〜80℃である。
【0013】
本発明では、(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)を使用する。(B)成分の具体例としては、(メタ)アクリレートモノマー類、(メタ)アクリレートオリゴマー類、マレイミド化合物類、ビニルエーテル化合物類及びN−ビニル化合物類等を挙げることができる。
【0014】
(メタ)アクリレートモノマー類の具体例としては、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート。ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(又はテトラ)(メタ)アクリレートネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのε−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートテトラブロモビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールヘキサフルオロプロピルポリエトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールヘキサフルオロプロピルポリエトキシジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0015】
(メタ)アクリレートオリゴマー類の具体例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートを代表的なものとして挙げることができる。
【0016】
ポリエステル(メタ)アクリレートの具体例としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン等のポリオール成分とマレイン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、セバチン酸、アゼライン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、等の多塩基酸及びこれらの無水物との反応物であるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;前記ポリオール成分と多塩基酸及びこれらの無水物とε−カプロラクトンとの反応物である環状ラクトン変性ポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート等の多官能性ポリエステル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0017】
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、有機イソシアネート化合物とポリオール化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物との反応物を代表的なものとして挙げることができる。
【0018】
有機ポリイソシアネートの具体例としては、P−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、P−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの1種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を三量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0019】
ポリオール化合物の具体例としては、前記、ポリオール成分、ポリエステルポリオール、環状ラクトン変性ポリエステルポリオール等を挙げることができる。
【0020】
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0021】
エポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、2官能性以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる生成物を挙げることができる。
【0022】
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,3−ビス〔1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、スピログリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等が代表的なものとして挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
マレイミド化合物類の具体例としては、マレイミド基を含有する化合物であれば使用可能であり、特開昭58−40374号に記載されている1〜3官能性マレイミド化合物、特開平3−12414号に記載のマレイミド基含有ウレタンオリゴマー等を挙げることができる。
【0024】
更に、代表的な具体例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−アリルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−2−メチル−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルヘキシルマレイミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)マレイミド、N−(1−メトキシメチルプロピル)マレイミド、N、N’−1,6−ヘキサンビスマレイミド、ビス(3−N−マレイミドプロピル)ポリテトラメチレングリコール、ビス(2−N−マレイミドプロピル)ポリプロピレングリコール、ビス(2−N−マレイミドエチル)ポリエチレングリコール、1,2(1,3または1,4)−ビス(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン、
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
等のマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のマレイミド基中の不飽和炭素原子に結合した水素原子が塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基等で置換されたマレイミド化合物等を挙げることができる(化4において、a,b,cはそれぞれ独立して0〜3の数を示し、a+b+cは1〜5の数を示す)。
【0029】
ビニルエーテル化合物類の具体例としては、ヒドロキシメチルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノ又はジビニルエーテル、シクロヘキサンモノ又はジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルポリテトラメチレングリコールジビニルエーテル、ポリウレタンポリビニルエーテル、ポリエステルポリビニルエーテル等を挙げることができる。
【0030】
N−ビニル化合物類の具体例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等を挙げることができる。
【0031】
これら(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物(B)の好ましいものとしては、アクリレートモノマー類、アクリレートオリゴマー類及びマレイミド化合物類等を挙げることができる。
【0032】
本発明では、任意成分として光重合開始剤(C)を使用する。光重合開始剤(C)の具体例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルベンゾイソホメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0033】
本発明の光導波路用樹脂組成物中、前記(A)〜(C)成分の使用割合としては、(A)成分100重量部に対して、(B)成分は10〜500重量部が好ましく、特に好ましくは20〜200重量部であり、(A)+(B)成分の総量100重量部に対して、(C)成分は0〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.05〜6重量部である。
【0034】
なお、本発明において、必要な場合は、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、可とう性付与剤、特性改質剤等を加えることができる。これらの材料を単独あるいは混合して主成分に加えることにより樹脂組成物の特性を改質することができる。
【0035】
例えば、本発明の樹脂組成物の接着性を高めるために加えるシランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アモノプロピルトリメトキシシラン塩酸基、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(C)成分及び所望により前記のカップリング剤等を混合、溶解し、クリーンルーム内でのロ過をすることにより得ることができる。
【0037】
本発明における光導波路の作製方法としてはクラッドは通常の高分子樹脂を用いる場合とコア材と同様の紫外線硬化樹脂を用いる場合では若干異なるが、その一例として、
【0038】
(1)任意の基板に下層クラッドとなるコアよりも屈折率の小さなな樹脂を塗布する。塗布後、加熱乾燥などにより溶媒を除去する。ここに紫外線硬化樹脂を用いるときは樹脂を塗布した後に紫外線により硬化するだけで良い。これらの硬化樹脂を用いると溶媒除去の工程は省くことができる。
(2)この上にコアとなる本発明の樹脂を塗布し、次に、導波路パターンを有するネガマスクを介して紫外線を照射し硬化した。その後、この試料を有機溶剤で現像したところ、マスクパターンに従い、光照射部のみ硬化し、導波路パターンが作製できた。
(3)その後、この上に、クラッド用の高分子樹脂又は紫外線硬化樹脂を塗布し溶媒除去又は紫外線により硬化する。ここで下層クラッド、並びに最後に形成するコア側面部及び上部のクラッドは同じ屈折率であることが望ましく、同一の材料である方が好適である。更に、クラッドに紫外線硬化樹脂を用いた場合、最上面表面が平坦化できる。この場合、多層の光配線が可能になり多層化を行う場合は、上記(2)、(3)を繰り返せばよい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(ウレタンメタクリレート化合物(A)の合成例)
合成例1
ビス(4−ヒドロキシエチルチオフェニル)スルフィド338.2g、テトラヒドロフラン(THF)500mリットルを加えた。次いで加熱溶解し、50℃でジブチルスズジラウレート0.26g及びP−メトキシフェノール0.26gを仕込み、攪拌しながら50〜60℃で2−イソシアネート−エチルメタクリレート310gを約1時間で滴下し、その後、約2時間、反応を継続し、イソシアネート−基が残っていないことを確認し反応を終了し、エバポレーターでTHFを留去してから、40℃で約3時間減圧乾燥(5mmHg)させることにより、液状の淡黄色物質を得た。生成物の屈折率(20℃、589nm)は1.60で下記構造式の成分が主成分であった。
【0040】
【化6】
【0041】
(実施例1)
合成例1で得た生成物(一般式(1)中、R1=H、R2〜R5=Hの化合物と2−イソシアネート−エチルメタクリレートの反応物)57.1g、フェノキシエチルアクリレート42.9g及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤)3gから調製した樹脂組成物(a)を準備した。この樹脂組成物(a)の硬化後の屈折率は、波長589nmで1.590であった。
【0042】
次に、シリコン基板に、合成例1で得た生成物14.3g、フェノキシエチルアクリレート85.7g及び/−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤)3gから調製した樹脂組成物(b)をスピンコートにより塗布して、その全面に紫外線を照射して10μmの下部クラッド層を作製した。
【0043】
次に、この下部クラッド層の上に、前記、樹脂組成物(a)スピンコートにより5μmの厚さに塗布した。なお、下部クラッド層の硬化後の屈折率は波長589nmで1.560であった。
【0044】
次に、導波路パターンを有するネガマスクを介して紫外線を照射し、その後、この試料をγ−ブチロラクトンで現像し、導波路パターンを作製した。その後、この導波路パターンおよび下部クラッド層の上に、前記、樹脂組成物(b)を15μmの厚さに塗布し、紫外線を照射して硬化させ、光導波路を作製した。この操作により、硬化後の屈折率1.560の樹脂組成物(b)の硬化物からなる下部クラッド層と上部クラッド層および硬化後の屈折率1.590の樹脂組成物(a)の硬化物からなるコアを有するマルチモードチャンネル導波路が作製できた。
【0045】
得られた光導波路を5cmの長さに切り出し、波長633nmのHe−Neレーザー光を用いて光導波損失を調べたら0.35dB/cmであった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は溶媒を用いないコア材を使用するために、溶媒による問題が解消され、導波路形成工程が簡略化される。また平坦化も容易であるため、多層の光配線が可能な光導波路が実現できる。
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