JP4192600B2 - 含フッ素光導波路用材料 - Google Patents

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Description

本発明は分子鎖中に炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマーを硬化してなる含フッ素光導波路用材料、また該含フッ素光導波路用材料の硬化物からなる部材、およびその硬化物をコア部またはクラッド部の少なくとも一方に用いた光導波路型素子に関する。
光通信システムの高度化、経済化に向けて、様々な光部品の開発が行われている。中でも、光導波路は高密度光配線、導波路型光デバイス実現への基本技術として注目されている。一般に、光導波路材料としては導波路作製の容易性、近赤外波長領域での透明性の制御性、耐熱性、耐水耐湿性などが要求される。
現在、光導波路材料としては石英が最もよく利用されており、1300〜1550nmの近赤外領域の波長で透明性が高く低光損失である。しかしながら、製造プロセスが複雑で、大面積化が困難などの問題を有し、経済性、汎用性に優れる導波路型光デバイスを得にくい。
一方、高分子を用いた光導波路はスピンコート法などによる成膜プロセスが利用できるため、作製プロセスが簡便で、大面積化も可能である。しかしながら、ポリスチレンやアクリル樹脂またはポリイミドなどの従来の透明性樹脂材料では上記近赤外領域について吸収が大きい(透明性が悪い)ため、光損失が大きく利用が困難である。これら樹脂中の水素を重水素(D)やフッ素(F)に置換していき、損失を改善させる試みも行われている。その結果、光学的特性は改善されるが、経時的な吸水によって光学的特性が著しく低下してしまうことが判明した。つまり水分により近赤外領域の吸収が増大してしまい伝送損失が悪化してしまうのである。
近赤外領域での透明性が良好で損失の比較的低くかつ低吸水率の高分子材料として、環状構造を有するパーフルオロ系の非晶性含フッ素ポリマーが提案されている(特開平4−190202号公報、特開2000−81519公報など)。
これらの非晶性含フッ素ポリマーは透明性の点では問題がないが、ガラス転移温度が低く、耐熱性に問題があった。また、構造、組成を変えてガラス転移温度を充分高くした系ではポリマー自体がもろくなり、導波路形成プロセスにおいてクラックを生じるなどの問題があった。また、パーフルオロ系の非晶性含フッ素ポリマーは制御できる屈折率の範囲が狭く、コア−クラッド型の導波路を設計するのに大きな制限がある。例えば導波路のコア部として用いた場合、屈折率の関係上、適当なクラッド材がないため、特開2000−81519公報が開示するように、コア部に高屈折率性を示す化合物を配合する必要があった。かかるコア材の場合、配合した高屈折率成分が外部環境等の要因により再分散し、コア内に屈折率不均一性を生じるため、大きい伝送損失の一因となるという欠点を有している。このように、光導波路用材料について問題がすべて解決されたわけではなく、これらの問題を解決できる新規な光導波路用材料が望まれている。
本発明は、特定の含フッ素プレポリマーを使用し、近赤外領域での透明性(以下、「近赤外透明性」という)を維持しながら、光硬化によって光導波路部材に高弾性化と耐熱性を共に実現できる含フッ素光導波路用材料を提供することを目的とする。
さらに、近赤外透明性を維持しながら、スピンコート法などによる成膜プロセスが利用でき、光リソグラフによる光導波路作製プロセスが利用でき、大面積化も可能でかつ、吸水性が低減された光導波路を製造できる材料を提供することを目的とする。
また本発明は、これらの材料を用いて作製した光導波路用部材および光導波路型素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、ポリマー側鎖中またはポリマー主鎖末端に炭素−炭素二重結合を有することを特徴とする非晶性含フッ素プレポリマーを見出し、このプレポリマーを用いると近赤外透明性を低下させることなく、耐熱性の高い硬化物が得られることを見出した。
またさらに、側鎖末端に炭素−炭素二重結合を有する特定の含フッ素プレポリマーの硬化膜が近赤外透明性と耐熱性を兼ね備えた光導波路用材料として有用であることも見出した。
かかる知見に基づき、本発明者らは以下の本発明を完成するに至った。
本発明の第1は、フッ素含有率が25重量%以上の非晶性ポリマーであってかつ、ポリマー側鎖中および/またはポリマー主鎖末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)からな含フッ素光導波路用材料に関する。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)は、式(1):
Figure 0004192600
[式中、構造単位Mは式(M):
Figure 0004192600
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは該構造単位Mを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含み、数平均分子量が500〜1000000であるポリマーが好適である。
この含フッ素プレポリマー(I)は、1290〜1320nmの波長範囲および/または1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下である含フッ素プレポリマーがより好ましい。
本発明の第2は、含フッ素プレポリマー(I)の硬化物、または含フッ素プレポリマー(I)に加え光ラジカル発生剤(II-1)または光酸発生剤(II-2)などの活性エネルギー線硬化開始剤(II)を含んでなる組成物を光硬化してなる硬化物からなり、それらの硬化物の1290〜1320nmの波長範囲および/または1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下である含フッ素光導波路用部材に関する。
本発明の第3は、前記第2の本発明の含フッ素光導波路用部材をコア部および/またはクラッド部に用いた光導波路型素子に関する。
本発明によれば、近赤外透明性を維持しながら、光硬化によってポリマーに耐熱性、高弾性化を実現できる光導波路用材料を提供することができる。
さらに、光導波路用材料の硬化物を光導波路用部材として用いることにより、耐熱性、低吸水性、近赤外透明性が改善された光導波路型素子を提供することができる。
本発明に用いる含フッ素プレポリマー(I)として好適なポリマーは、前記のとおり式(1):
Figure 0004192600
[式中、構造単位Mは式(M):
Figure 0004192600
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは該構造単位Mを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含み、数平均分子量が500〜1000000である含フッ素ポリマーである。
つまり、ポリマー側鎖に反応により硬化可能なエチレン性炭素−炭素二重結合を与える含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位Mのホモポリマー、またはその構造単位Mを必須成分として有する共重合体である。
構造単位MのRfにおいて、Y1の少なくとも1個はRfの末端に結合していることが好ましい。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)における構造単位Mは、なかでも式(M1):
Figure 0004192600
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;cは0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1が好ましい。
この構造単位M1を含む含フッ素プレポリマーは、特に近赤外透明性が高く、構造単位M1のホモポリマーに限らず、構造単位M1を増やした組成の共重合体においても近赤外透明性を高くすることができ、好ましいものである。
さらに構造単位M1のより好ましい具体例の1つは式(M2):
Figure 0004192600
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M2である。
この構造単位M2はエチレン性炭素−炭素二重結合を末端に有する含フッ素アリルエーテルの構造単位であり、近赤外透明性を高くできるだけでなく、重合性が良好であり、特にホモ重合性および他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好であるため好ましい。
また、構造単位M1の別の好ましい具体例は式(M3):
Figure 0004192600
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M3である。
この構造単位M3はエチレン性炭素−炭素二重結合を末端に有する含フッ素ビニルエーテルの構造単位であり、近赤外透明性を高くでき、また他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好である点で好ましい。
本発明で使用する式(1)の含フッ素プレポリマー(I)において構造単位M、M1、M2およびM3に含まれるY1は、前記のとおり、末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基である。
このY1中の炭素−炭素二重結合は重縮合反応などを起こす能力を有し、硬化(架橋)体を与えることができるものである。詳しくは、たとえばラジカルやカチオンの接触によって、含フッ素プレポリマー(I)分子間で、または含フッ素プレポリマー(I)と必要に応じて加えられる硬化(架橋)剤との間で重合反応や縮合反応を起こし、硬化(架橋)物を与えることができるものである。
好ましいY1の第1としては、
Figure 0004192600
(式中、Y2は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基または含フッ素アルケニル基;dおよびeは同じかまたは異なり、0または1)である。
好ましいY2としては、
−CX6=CX78
(式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)であり、この基はラジカルやカチオンの接触による硬化反応性が高く、好ましいものである。
好ましいY2の具体例としては、
Figure 0004192600
などがあげられる。
またより好ましいY1としては、
−O(C=O)CX6=CX78
(式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)があげられ、この基は特にラジカルの接触による硬化反応性がより高い点で好ましく、光硬化などにより容易に硬化物を得ることができる点で好ましい。
上記より好ましいY1の具体例としては、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
などがあげられる。
その他の好ましいY1の具体例としては、
−CH=CH2、―CH2CH=CH2、−OCH2CH=CH2
−OCH=CH2、−OCF=CF2
Figure 0004192600
などがあげられる。
1のなかでも、−O(C=O)CF=CH2の構造を有するものが近赤外透明性を高くでき、さらに硬化(架橋)反応性が特に高く、効率よく硬化物を得ることができる点で好ましい。
なお、前述した側鎖中に炭素−炭素二重結合を有する有機基Y1は、ポリマー主鎖末端に導入してもよい。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)において、構造単位M、M1、M2およびM3に含まれる−Rf−(−RfからY1を除いた基)は、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。この−Rf−基は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子または塩素原子が結合した含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を有するパーフルオロアルキレン基である。含フッ素プレポリマー(I)中のフッ素含有率は25重量%以上、好ましくは40重量%以上である。これらによって、含フッ素プレポリマー(I)の近赤外透明性を高くすることが可能となり、特に硬化物の耐熱性や弾性率を高くする目的で硬化度(架橋密度)を高くしても近赤外透明性を高く維持できるため好ましい。
−Rf−基の炭素数は大きすぎると、含フッ素アルキレン基の場合は溶剤への溶解性を低下させたり透明性が低下することがあり、またエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の場合はポリマー自身やその硬化物の硬度や機械特性を低下させることがあるため好ましくない。含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20である。
−Rf−の好ましい具体例としては、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
(以上、X9、X12はFまたはCF3;X10、X11はHまたはF;
o+p+qは1〜30;rは0または1;s、tは0または1)
などがあげられる。
前述のとおり、本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)を構成する構造単位Mは構造単位M1が好ましく、構造単位M1としてはさらに構造単位M2または構造単位M3が好ましい。そこで、つぎに構造単位M2および構造単位M3の具体例について述べる。
構造単位M2を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure 0004192600
(以上、nは1〜30の整数;Y1は前記と同じ)
があげられる。
より詳しくは、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
(以上、Rf1、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基;XはH、CH3、FまたはCF3;nは0〜30の整数)
などがあげられる。
構造単位M3を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
(以上、Y1は前記と同じ;nは1〜30の整数)
などがあげられる。
さらに詳しくは、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
(以上、Rf1、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基;mは0〜30の整数;nは1〜3の整数;XはH、CH3、FまたはCF3
などがあげられる。
これらの構造単位M2およびM3以外に、含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mを構成する単量体の好ましい具体例としては、たとえば、
Figure 0004192600
(以上、Y1および−Rf−は前記と同じ)
などがあげられる。
より具体的には、
Figure 0004192600
(以上、Y1は前記と同じ)
などがあげられる。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)において、構造単位Aは任意成分であり、構造単位M、M1、M2またはM3と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、目的とする含フッ素プレポリマー(I)やその硬化物の用途、要求特性などに応じて適宜選択すればよい。
構造単位Aとしては、たとえば、つぎの構造単位が例示できる。
(1)官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位(1)は、含フッ素プレポリマー(I)およびその硬化物の近赤外透明性を高く維持しながら、基材への密着性や溶剤、特に汎用溶剤への溶解性を付与できる点で好ましく、そのほかY1が関与する以外の架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。
官能基を有する好ましい含フッ素エチレン性単量体の構造単位(1)は、式(3):
Figure 0004192600
(式中、X11、X12およびX13は同じかまたは異なり、HまたはF;X14はH、F、CF3;hは0〜2の整数;iは0または1;Rf4は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Z1は−OH、−CH2OH、−COOH、カルボン酸誘導体、−SO3H、スルホン酸誘導体、エポキシ基およびシアノ基よりなる群から選ばれる官能基)で示される構造単位であり、なかでも、
CH2=CFCF2ORf4−Z1
(式中、Rf4およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位が好ましい。
より具体的には、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
(以上、Z1は前記と同じ)などの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
また、
CF2=CFORf4−Z1
(式中、Rf4およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位も好ましく例示でき、より具体的には、
Figure 0004192600
(以上、Z1は前記と同じ)などの単量体から誘導される構造単位があげられる。
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、
CF2=CFCF2−O−Rf−Z1 、CF2=CF−Rf−Z1
CH2=CH−Rf−Z1 、CH2=CHO−Rf −Z1
(以上、−Rf−は前記の−Rf−と同じ;Z1は前記と同じ)
などがあげられ、より具体的には、
CF2=CFCF2OCF2CF2CF2−Z1、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CH2−Z1
Figure 0004192600
(以上、Z1は前記と同じ)などがあげられる。
ただし、−OH基、−COOH基、−SO3H基を有する単量体を用いる場合は、近赤外透明性を低下させない範囲の量であることが好ましい。
(2)官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位(2)は含フッ素プレポリマー(I)またはその硬化物の近赤外透明性をより一層高く維持できる点で好ましい。また単量体を選択することでポリマーの機械的特性やガラス転移温度などを調整でき、特に構造単位Mと共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
この含フッ素エチレン性単量体の構造単位(2)としては、式(4):
Figure 0004192600
(式中、X15、X16およびX18は同じかまたは異なり、HまたはF;X17はH、FまたはCF3;h1、i1およびjは0または1;Z2はH、FまたはCl;Rf5は炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基)で示されるものが好ましい。
具体例としては、
Figure 0004192600
などの単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
(3)フッ素を有する脂肪族環状の構造単位
この構造単位(3)を導入すると、透明性を高くでき、また、より近赤外透明性を高めることが可能となり、さらに高ガラス転移温度の含フッ素プレポリマー(I)が得られ、硬化物にさらなる高硬度化が期待できる点で好ましい。
含フッ素脂肪族環状の構造単位(3)としては式(5):
Figure 0004192600
(式中、X19、X20、X23、X24、X25およびX26は同じかまたは異なり、HまたはF;X21およびX22は同じかまたは異なり、H、F、ClまたはCF3;Rf6は炭素数1〜10の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜10のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;n2は0〜3の整数;n1、n3、n4およびn5は同じかまたは異なり、0または1の整数)で示されるものが好ましい。
たとえば、
Figure 0004192600
(式中、Rf6、X21およびX22は前記と同じ)で示される構造単位があげられる。
具体的には、
Figure 0004192600
Figure 0004192600
(式中、X19、X20、X23およびX24は前記と同じ)などがあげられる。
そのほかの含フッ素脂肪族環状構造単位としては、たとえば
Figure 0004192600
などがあげられる。
(4)フッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位
近赤外透明性を悪化させない範囲でフッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位(4)を導入してもよい。
構造単位(4)を導入することによって、汎用溶剤への溶解性が向上したり、添加剤、たとえば光触媒や必要に応じて添加する硬化剤との相溶性を改善できる。
非フッ素系エチレン性単量体の具体例としては、
αオレフィン類:
エチレン、プロピレン、ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
ビニルエーテル系またはビニルエステル系単量体:
CH2=CHOR、CH2=CHOCOR(R:炭素数1〜20の炭化水素基)など
アリル系単量体:
CH2=CHCH2Cl、CH2=CHCH2OH、CH2=CHCH2COOH、CH2=CHCH2Brなど
アリルエーテル系単量体:
CH2=CHCH2OR (R:炭素数1〜20の炭化水素基) 、
CH2=CHCH2OCH2CH2COOH 、
Figure 0004192600
アクリル系またはメタクリル系単量体:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類のほか、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類など
などがあげられる。これらの非フッ素系エチレン性単量体の水素原子を重水素原子に置換したものは透明性の点でより好ましい。
(5)脂環式単量体から誘導される構造単位
構造単位Mの共重合成分として、より好ましくは構造単位Mと前述の含フッ素エチレン性単量体または非フッ素エチレン性単量体(前述の(3)、(4))の構造単位に加えて、第3成分として脂環式単量体構造単位(5)を導入してもよく、それによって高ガラス転移温度化や高硬度化が図られる。
脂環式単量体(5)の具体例としては、
Figure 0004192600
(mは0〜3の整数;A、B、CおよびDは同じかまたは異なり、H、F、Cl、COOH、CH2OHまたは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基など)で示されるノルボルネン誘導体、
Figure 0004192600
などの脂環式単量体や、これらに置換基を導入した誘導体などがあげられる。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)において、構造単位M(M1、M2、M3)と構造単位Aの組合せや組成比率は、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せの範囲、およびフッ素含有率が25重量%以上の範囲で、上記の例示から、目的とする用途、物性(特にガラス転移温度、硬度など)、機能(透明性、近赤外透明性)などによって種々選択できる。
含フッ素プレポリマー(I)は、構造単位M(M1、M2、M3)を必須成分として含むものであり、構造単位M自体で近赤外透明性を高く維持し、透明性を付与する機能と硬化により硬化物に硬さ、耐熱性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性を付与できる機能を併せもつという特徴を有している。また、構造単位Mの含有量を調整することで屈折率の制御が可能であるという特徴をも有している。したがって含フッ素プレポリマー(I)は、構造単位Mを多く含む組成、極端には構造単位Mのみ(100モル%)からなる重合体であっても近赤外透明性を高く維持できる。さらに同時に硬化(架橋)密度の高い硬化物が得られ、高硬度、耐摩耗性、耐擦傷性、耐熱性に優れた被膜が得られる。
またさらに、含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mと構造単位Aとからなる共重合体の場合、構造単位Aを前述の例示から選択することによって、さらに高硬度で、ガラス転移温度が高く近赤外透明性の高い硬化物を与えるプレポリマーとすることができる。
含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mと構造単位Aとの共重合体の場合、構造単位Mの含有量は、含フッ素プレポリマー(I)を構成する全構造単位の0.1モル%以上であればよいが、硬化(架橋)により高硬度で耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、耐薬品性、耐溶剤性に優れた硬化物を得るためには2.0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。
特に耐熱性、透明性、低吸水性に優れた硬化被膜の形成が必要な光導波路用材料の用途においては、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらには50モル%以上含有することが好ましい。上限は100モル%未満である。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)は、構成単位Mの比率を増やしても(硬化部位を増やしても)近赤外透明性は低下しないため、特に光導波路用材料用途において好ましい特性を有している。
またさらに硬化性含フッ素プレポリマー(I)は、光通信用用途における可視光から近赤外領域において高い透明性を必要とする場合、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せと組成を有することが重要である。ここで、非晶性とはDSC分析において、昇温速度10℃/minの条件で測定(ASTM D3418−99)した際に実質的に融解に基づく吸熱ピークが観測されないか、もしくは融解熱量が1J/g以下である性質を示す。
また、硬化性含フッ素プレポリマー(I)のフッ素含有率は25重量%以上が好ましい。
フッ素含有率が低いと、近赤外領域での透明性が低下する。また、フッ素含有率が低いと吸水性も高くなり、光通信用などの光学材料としては実質的には使用できなくなる。光増幅材料および発光材料用途としては、最も好ましいフッ素含有率は40重量%以上である。フッ素含有率の上限は含フッ素プレポリマー(I)の組成によって異なるが、水素原子が全てフッ素原子に置き換わったときのフッ素含有率であり、75重量%程度である。
含フッ素プレポリマー(I)の分子量は、たとえば数平均分子量において500〜1000000の範囲から選択できるが、好ましくは1000〜500000、特に2000から200000の範囲から選ばれるものが好ましい。
分子量が低すぎると、硬化後であっても機械的物性が不充分となりやすく、特に硬化物や硬化膜が脆く強度不足となりやすい。分子量が高すぎると、溶剤溶解性が悪くなったり、特に薄膜形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすく、また含フッ素プレポリマーの貯蔵安定性も不安定となりやすい。光導波路用途としては、最も好ましくは数平均分子量が5000から100000の範囲から選ばれるものである。
含フッ素プレポリマー(I)は、含フッ素プレポリマー自体(硬化前)の1290〜1320nmの波長範囲および1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下であることが好ましく、さらには0.5cm-1以下、特には0.1cm-1以下であることが好ましい。さらに、屈折率としてndで1.3〜1.7の範囲のものが好ましい。この調整は、構造単位Mの種類、含有量、必要に応じて用いられる構造単位Aの種類を種々決定することによって可能である。これらの調整によって、後述する光導波路型素子におけるコア部またはクラッド部への利用の選択が可能となる。
またさらに含フッ素プレポリマーでは、汎用溶剤に可溶であることが好ましく、たとえばケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤の少なくとも1種に可溶またはこれらの汎用溶剤を少なくとも1種含む混合溶剤に可溶であることが好ましい。
汎用溶剤に可溶であることは、特に、光導波路を形成するプロセスにおいて3μm程度の薄膜形成が必要な際、成膜性、均質性に優れるため好ましく、光導波路形成における生産性の面でも有利である。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)を得るためには、一般には、
(1)Y1を有する単量体を予め合成し、重合して得る方法
(2)一旦、他の官能基を有する重合体を合成し、その重合体に高分子反応により官能基変換し、官能基Y1を導入する方法
のいずれの方法も採用できる。
ただし(1)の方法では、側鎖末端の炭素−炭素二重結合を反応(硬化)させずに側鎖に炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)を得るためには、(共)重合性のモノマー中の2種の二重結合(主鎖となる二重結合と側鎖となる二重結合)の反応性を変えることにより、一方の二重結合のみ重合に関与させる必要があり、かかる方法では、側鎖に二重結合を有する含フッ素プレポリマーを得る重合条件の選択が難しいこと、また、得られる含フッ素プレポリマー中の側鎖の二重結合自体の硬化反応性をあまり高くしにくいので、(2)の方法が好ましい。
(2)の方法は、硬化反応させずに本発明の含フッ素プレポリマーを得るのが容易であり、また、硬化反応性の高い炭素−炭素二重結合も側鎖および/または主鎖末端に導入できる点で好ましい方法である。
(2)の方法のなかでも、後述するように、たとえば一旦ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有する有機基Y3を有する含フッ素単量体の構造単位Nと、必要に応じてNと共重合可能な単量体の構造単位Bからなる含フッ素重合体を合成したのち、不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させて、炭素−炭素二重結合をポリマーの側鎖中および/または主鎖末端に導入する方法が好ましく採用できる。
以下にその詳細を例示する。
まず、式(2):
Figure 0004192600
[式中、構造単位Nは式(N):
Figure 0004192600
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf1は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY3(Y3はヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有する炭素数1〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来するヒドロキシル基含有構造単位、構造単位Bは該構造単位Nを与えるヒドロキシル基含有含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Nを0.1〜100モル%および構造単位Bを0〜99.9モル%含むヒドロキシル基含有含フッ素重合体(III)と、不飽和カルボン酸またはその誘導体をエステル化反応させて、含フッ素プレポリマー(I)を製造する。
この含フッ素プレポリマー(I)の製造法において、式(2)に示した前駆体のヒドロキシル基含有含フッ素重合体(III)において、構造単位Nは具体例としては、前に述べた含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mの具体例のそれぞれに対応する、炭素−炭素二重結合を含む部位Y1をOH基を含む部位Y3に置き換えた構造のものがそれぞれ好ましく利用でき、構造単位Bは、前述の構造単位Aと同様のものが好ましく利用できる。
ヒドロキシル基含有含フッ素重合体(III)と反応させる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、末端に炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸またはその誘導体であればよいが、なかでもα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。
たとえば、
Figure 0004192600
(式中、RはH、CH3、F、CF3またはCl)で示されるカルボン酸またはこれらの無水物、または
Figure 0004192600
(式中、Rは前記と同じ、XはClまたはF)で示される酸ハライドのほか、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどがあげられる。
なかでも不飽和カルボン酸ハライドを採用するときは反応を室温で行なうことができ、生成ポリマーのゲル化を防止することができるため好ましい。
具体的には、
Figure 0004192600
が特に好ましいものである。
ヒドロキシル基含有含フッ素重合体(III)にα,β−不飽和カルボン酸ハライドを反応させる方法は特に限定されるものではないが、通常、ヒドロキシル基含有含フッ素重合体(III)を溶剤に溶解し、それにα,β−不飽和カルボン酸ハライドを−20℃〜40℃程度の温度で撹拌混合し、反応させればよい。
この反応においては、反応によってHClやHFが副生するがこれらを捕捉する目的で適当な塩基を加えることが望ましい。塩基としては、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、テトラメチル尿素、トリエチルアミンなどの3級アミン、金属マグネシウムなどがあげられる。また、反応の際に原料のα,β−不飽和カルボン酸や得られた含フッ素プレポリマー中の炭素−炭素二重結合が重合反応を起こすことを禁止するための禁止剤を共存させてもよい。
禁止剤としては、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどがあげられる。
不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させる前のヒドロキシル基含有含フッ素重合体(III)は、それぞれ構成単位に相当するヒドロキシル基を有するエチレン性単量体N、使用する場合共重合成分となる単量体Bを公知の方法で(共)重合することで得られる。重合方法はラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法などが利用できる。なかでもヒドロキシル基含有重合体(III)を得るために例示した各単量体はラジカル重合性が良好である点、さらには得られる重合体の組成や分子量などの品質のコントロールがしやすい点、工業化しやすい点から、ラジカル重合法が好ましく用いられる。
ラジカル重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、たとえば有機または無機ラジカル重合開始剤、熱、光、あるいは電離放射線などによって開始される。重合の形態も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。また、分子量は重合に用いるモノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度などによって制御される。共重合体組成は仕込み単量体のモノマー組成により制御可能である。
本発明の光導波路用材料は、含フッ素プレポリマー(I)を単独で使用しても得られるが、さらに活性エネルギー線硬化開始剤(II)である光ラジカル発生剤(II−1)または光酸発生剤(II−2)を加えて光硬化型の組成物の形態としてもよい。
本発明の材料における含フッ素プレポリマー(I)は、前述のポリマー側鎖中および/またはポリマー主鎖末端に炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有率が25重量%以上の非晶性含フッ素プレポリマーであり、好ましい具体例についても前記と同様なものが好ましく利用できる。
活性エネルギー線硬化開始剤(II)は、たとえば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外線、電子線、X線、γ線などの活性エネルギー線を照射することによって初めてラジカルやカチオン(酸)などを発生し、含フッ素プレポリマーの炭素−炭素二重結合の硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外線でラジカルやカチオン(酸)を発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。
本発明の光導波路用材料である光硬化型含フッ素樹脂組成物によると、前記活性エネルギー線により容易に硬化反応を開始でき、高温で加熱する必要がなく、比較的低温で硬化反応が可能であるので、耐熱性が低く、熱で変形や分解、着色が起こりやすい基材、たとえば透明樹脂基材などにも適応できる点で好ましい。
本発明の材料における活性エネルギー線硬化開始剤(II)は、含フッ素プレポリマー(I)中の炭素−炭素二重結合の種類(ラジカル反応性か、カチオン(酸)反応性か)、使用する活性エネルギー線の種類(波長域など)と照射強度などによって適宜選択される。
一般に紫外線領域の活性エネルギー線を用いてラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)を硬化させる開始剤(光ラジカル発生剤)としては、たとえばつぎのものが例示できる。
アセトフェノン系
アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなど
ベンゾイン系
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど
ベンゾフェノン系
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトンなど
チオキサンソン類
チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなど
その他
ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなど
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの光開始助剤を添加してもよい。
また、カチオン(酸)反応性の炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)を硬化させる開始剤(光酸発生剤)としては、つぎのものが例示できる。
オニウム塩
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩など
スルホン化合物
β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物など
スルホン酸エステル類
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなど
その他
スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類など
なお、ラジカル反応性の炭素−炭素二重結合としては、たとえば前記式
−O(C=O)CX6=CX78
で示されるものが、カチオン反応性の炭素−炭素二重結合としては、たとえば前記の好ましいY1として示したもののうち、
−OCH=CH2、−C(C=O)OCH=CH2
などのものがあげられる。
本発明の光導波路用材料では、前記のとおり、含フッ素プレポリマー(I)と活性エネルギー線硬化開始剤とにより硬化性含フッ素樹脂組成物を形成し、さらに後述する溶剤を含めた塗工用の含フッ素樹脂組成物塗工液に、これらにさらに必要に応じて硬化剤を添加してもよい。
硬化剤としては、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有しかつラジカルまたは酸で重合できるものが好ましく、具体的にはアクリル系モノマーなどのラジカル重合性の単量体、ビニルエーテル系モノマーなどのカチオン重合性の単量体があげられる。これら単量体は、炭素−炭素二重結合を1つ有する単官能であっても炭素−炭素二重結合を2つ以上有する多官能の単量体であってもよい。
これらの炭素−炭素不飽和結合を有するいわゆる硬化剤は、本発明の材料中の活性エネルギー線硬化開始剤と光などの活性エネルギー線との反応で生じるラジカルやカチオンで反応し、本発明の材料中の含フッ素プレポリマー(I)の炭素−炭素二重結合と共重合によって架橋を達成することができるものである。
単官能のアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、α−フルオロアクリル酸、α−フルオロアクリル酸エステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類のほか、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などを有する(メタ)アクリル酸エステル類などが例示される。
なかでも硬化物の近赤外透明性を高く維持するために、フルオロアルキル基を有するアクリレート系単量体が好ましく、たとえば一般式:
Figure 0004192600
(XはH、CH3またはF;Rf10は炭素数2〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表わされる化合物が好ましい。
具体的には、
Figure 0004192600
(以上、XはH、CH3またはF;nは1〜5の整数)
などがあげられる。
多官能アクリル系単量体としては、ジオール、トリオール、テトラオールなどの多価アルコール類のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた化合物が一般的に知られている。
具体的には、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのそれぞれの多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基がアクリレート基、メタクリレート基、α−フルオロアクリレート基のいずれかに置き換えられた化合物があげられる。
また、含フッ素アルキル基または含フッ素アルキレン基を有する多価アルコールの2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた多官能アクリル系単量体も利用でき、特に硬化物の近赤外透明性を高く維持できる点で好ましい。
具体例としては
Figure 0004192600
(以上、Rf11は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基;RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)、
HO−CH2−Rf12−CH2OH 、
Figure 0004192600
(以上、Rf12は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基;RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)
などの一般式で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基またはα−フルオロアクリレート基に置き換えた構造のものが好ましくあげられる。
また、これら例示の単官能、多官能アクリル系単量体を硬化剤として本発明の材料に用いる場合、なかでも特にα−フルオロアクリレート化合物が硬化反応性が良好な点で好ましい。
本発明の光導波路用材料において、活性エネルギー線硬化開始剤(II)の添加量は、含フッ素プレポリマー(I)中の炭素−炭素二重結合の含有量、硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、含フッ素プレポリマー(I)100重量部に対して0.01〜30重量部、さらには0.05〜20重量部、最も好ましくは、0.1〜10重量部である。
詳しくは、含フッ素プレポリマー(I)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
硬化剤を使用する場合は、含フッ素プレポリマー(I)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)と硬化剤の炭素−炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは0.5〜10モル%である。
本発明の材料は、前述の化合物のほかに、必要に応じて、近赤外透明性を低下させない範囲で種々の添加剤を配合してもよい。
そうした添加剤としては、たとえばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
本発明の光導波路用材料は、後述するように、溶剤に溶解または分散させて光導波路用の各種部材の製造に供される。
ここで溶液の調製に使用する溶剤は、含フッ素プレポリマー(I)、活性エネルギー線硬化開始剤(II)、および必要に応じて添加する硬化剤、レベリング剤、光安定剤などの添加剤が均一に溶解または分散するものであれば特に制限はないが、特に含フッ素プレポリマー(I)を均一に溶解するものが好ましい。
かかる溶剤としては、たとえばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、含フッ素プレポリマー(I)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。
フッ素系の溶剤としては、たとえばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
Figure 0004192600
などのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。
これらのなかでもケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤などが、塗装性、塗布の生産性などの面で好ましいものである。
本発明の第2は、含フッ素プレポリマー(I)を単独で、または前記活性エネルギー線硬化開始剤(II)を含んでなる組成物を光硬化してなる硬化物からなる含フッ素光導波路用部材に関する。
この硬化物は、1290〜1320nmの波長範囲および1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のものである。
第2の発明の光導波路用部材は、光導波路型素子を構成する部材であり、基板上に形成される。ここで、光導波路型素子とは、光機能素子間を光導波路で接続したもので、光導波路部はコア部とクラッド部から構成される。一方、光機能素子とは光通信信号に対し、増幅、波長変換、光合分波、波長選択等の作用を示す素子で、形態も様々ではあるが、光合分波や光増幅のように導波路型の機能素子がある。その場合は、機能素子もコア部とクラッド部より形成されている。本発明の部材はいずれのコア部、クラッド部にも用いることが可能で、コア部のみ、またはクラッド部のみに本発明の部材を用いてもよい。また、種々の機能性化合物、たとえば非線形光学材料や蛍光発光性の機能性有機色素、フォトリフラクティブ材料などを本発明の部材に含有させて、導波路型の機能素子のコア材として用いることも可能である。さらに、コア部とクラッド部との両者が含フッ素プレポリマーを硬化させたものであることがより好ましい。
すなわち本発明の第3は、前記本発明の第2の部材を含む光導波路型素子に関する。
光導波路型素子がコア部とクラッド部とを有する場合、コア部の屈折率はクラッド部のそれより高くなければならないが、コア部とクラッド部との屈折率の差は、0.003以上であることが好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。本発明の材料および部材は幅広く屈折率の制御が可能なため、材料の選択範囲は広い。
光導波路素子において、コア部の幅は1〜200μmが好ましく、さらに好ましくは5〜50μmである。またコア部の高さは、5〜50μmが好ましい。コア部の幅および高さの精度は、平均値の5%以下が好ましく、さらに好ましくは1%以下である。
図1に、典型的な光導波路型素子の構造を概略断面図で例示する。1は基板、2はコア部、4および5はクラッド部である。かかる光導波路型素子は、光機能素子間を接続するために使用され、一方の光機能素子の端末から送出された光は、光導波路型素子のコア部2内を、例えばコア部2とクラッド部4、5との界面で全反射を繰り返しながら、他方の光機能素子端末へと伝播される。光導波路型素子の形式は、平面型、ストリップ型、リッジ型、埋込み型等の適宜の形式をとることができる。
光導波路型素子の基板材料は、特に限定されるものではなく、金属、半導体材料、セラミック、ガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の適宜の材料を使用することができる。
本発明の材料を用いる光導波路型素子の製造工程の一例を図2に示す。光導波路型素子は、フォトリソグラフィー技術を利用して製造される。まず図2(a)に示すように、予め基板1上にクラッド部4を形成し、コア部を形成する本発明の光導波路用材料の膜3を形成する。これらのクラッド部4、コア部を形成する光導波路用材料の膜の形成に際しては、それらの材料溶液を回転塗布、流延塗布、回転塗布等の塗布手段で塗布することが好ましく、特に回転塗布が好ましい。前記各材料溶液は、好ましくは、各膜の厚さに応じた適当濃度で溶媒に溶解したのち、例えば孔径0.2μm 程度のフィルターで濾過して調製される。
前記各材料溶液の好ましい濃度は、塗布方法により異なるが、コア部を形成する樹脂については、一般に溶剤1リットルに対して5〜1000g、特に好ましくは30〜500gであり、クラッド部材料については、一般に1〜1000g、特に好ましくは30〜500gである。また放射線感応性材料の好ましい濃度は、一般に溶剤1リットルに対して100〜500g、特に好ましくは300〜400gである。
ここで溶液の調製に使用する溶剤は、前記したものが好適である。
ついで、図2(b)に示すように、含フッ素プレポリマーに対して、所定パターン形状のマスク6を介して活性エネルギー線7を照射する。その後、必要に応じて予備焼成を行う。光硬化すると本発明の光導波路用材料中の含フッ素プレポリマー(I)の炭素−炭素二重結合が分子間で重合し、ポリマー中の炭素−炭素二重結合が減少または消失する。その結果、樹脂硬度が高くなり、機械的強度が向上したり、耐熱性が向上したり、さらには硬化前には溶解していた溶剤に対して不溶となるだけでなく、他の数多くの種類の溶剤に対して不溶となる。すなわち、フォトレジスト材料として機能する。ついで、未硬化の含フッ素プレポリマーを適当な溶剤で溶解、留去することで、図2(c)に示すように、所定パターン形状のコア部2を形成する。光導波路型素子は、以上のようにして形成されたコア部2のみを有する形態でそのまま使用することもできるが、コア部2の形成後、図2(d)に示すように、さらにクラッド部5を形成することが好ましい。このクラッド部5は、その材料溶液を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等により塗布することにより形成することが好ましく、特に回転塗布が好ましい。またクラッド部5の材料溶液も、所定材料を溶媒に溶解後、例えば孔径0.2μm程度のフィルターで濾過して調製することが好ましい。
また、クラッド部5を本発明の光導波路用材料から構成する場合、これらの樹脂溶液の調製に使用する溶媒としては、例えば前記コア部2あるいはクラッド部4の場合についてあげた溶媒があげられる。
なお従来は、光硬化しないコア材を用いる場合、さらに、放射線感応性材料を用いる必要があった。その場合、コア材の上にさらに放射線感応性材料を塗布後、パターンを介して、放射線照射後、シリル化処理および/またはゲルミル化処理および反応性イオンエッチングを行うことによりドライ現像するプロセスが必要となる。かかるプロセスは非常に煩雑であり、コストアップの要因になっていた。
つぎに合成例、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
合成例1(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)
Figure 0004192600
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を21.2g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で24時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体17.6gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9000、重量平均分子量は22000であった。
実施例1(α−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル80ml、合成例1で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体5.0gと、ピリジン1.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行ないながら、さらにα−フルオロアクリル酸フルオライド(CH2=CFCOF)の1.0gをジエチルエーテル20mlに溶解したものを約30分間かけて滴下した。
滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.0時間撹拌を継続した。
反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ついでエーテル溶液を濾過により分離し、硬化性含フッ素プレポリマーを得た。
この硬化性含フッ素プレポリマーを19F−NMR分析により調べたところ、
Figure 0004192600
の共重合体であった。
NaCl板に塗布し、室温にてキャスト膜としたものをIR分析したところ、炭素−炭素二重結合の吸収が1661cm-1に、C=O基の吸収が1770cm-1に観測された。
実施例2(α−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
α−フルオロアクリル酸フルオライド(CH2=CFCOF)を0.65gとピリジンを1.0g用いた以外は実施例1と同様にして、硬化性含フッ素プレポリマー(エーテル溶液)を合成した。
19F−NMRにより調べたところ、
Figure 0004192600
の共重合体であった。
IR分析において、炭素−炭素二重結合とC=O基の吸収がいずれも実施例1と同様の位置に確認された。
実施例3(α−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
α−フルオロアクリル酸フルオライド(CH2=CFCOF)を0.35gとピリジンを0.3g用いた以外は実施例1と同様にして硬化性含フッ素プレポリマー(I)(エーテル溶液)を合成した。
19F−NMRにより調べたところ、
Figure 0004192600
の共重合体であった。
IR分析において、炭素−炭素二重結合とC=O基の吸収がいずれも実施例1と同様の位置に観測された。
実施例4(光導波路用部材である光硬化フィルムの物性評価)
(1)光導波路用材料の調製
実施例1で製造した硬化性含フッ素プレポリマーをメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリマー濃度50重量%に調整した。
得られた硬化性含フッ素プレポリマー溶液10gに活性エネルギー線硬化開始剤(光ラジカル発生剤)として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンをMEKに1重量%の濃度に溶かした溶液を1.7g加えて光導波路用材料を得た。
(2)光導波路用材料のフィルム作製
上記(1)で調製した光導波路用材料(含フッ素プレポリマーの50%MEK溶液)をアプリケータ−を用いポリエステルフィルム上に乾燥後膜厚が所定の厚さ(約1mmのものと約100μm)になるように塗布し、50℃で10分間真空乾燥後、得られたキャスト膜をポリエステルフィルムから剥離し、膜厚が約1mmおよび約100μmの未硬化のフィルムの形で光導波路用材料を作製した。
(3)光照射による硬化フィルムの作製
上記(2)で作製したフィルムを乾燥後、そのフィルムに高圧水銀灯を用い、室温にて3000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射して、光硬化して硬化フィルムを得た。
(4)硬化フィルムの物性測定
得られた硬化フィルムに関して以下の物性の評価を行なった。
(1)吸光度係数の測定
自記分光光度計((株)日立製作所製のU−3410)を用いて、波長300〜1700nmにおける約1mm厚のサンプル(硬化フィルム)の分光透過率曲線を測定した。得られたスペクトルより、吸光係数の値を下式に従って算出した。
吸光度係数=吸光度/サンプルの厚み
結果を表1に示す。
(2)屈折率の測定
アッベ屈折計を用い約100μm厚のサンプル(硬化前と硬化後フィルム)について25℃で550nmの波長の光における屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(3)熱的特性(DSC)
示差熱熱量計((株)島津製作所製のDSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件で熱的特性を測定したところ、いずれのフィルムにも明確な結晶融点ピークが観察されず、非晶性であった。
(4)耐溶剤性の評価
厚さ約1mmの硬化フィルムをアセトン中で室温にて24時間保持後の状態を目視で観察し、つぎの基準で評価した。結果を表1に示す。
○:外観に変化が認められない。
×:アセトン中に溶解した。
(5)耐熱性の評価
厚さ約1mmの硬化フィルムを150℃にて8時間保持後の形状変化の有無を目視で観察した。結果を表1に示す。
○:外観に変化が認められない。
×:フィルムが最初の形状を維持できなかった。
実施例5〜6
実施例1で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素プレポリマーに代えて表1に示す含フッ素プレポリマー(実施例2で製造したもの、および実施例3で製造したもの)をそれぞれ用いた以外は実施例4と同様にしてフィルムを作製し硬化フィルムの評価を行なった。結果を表1に示す。またDSCで熱的特性を調べたところ、硬化前後のフィルムはいずれも非晶性であることが確認された。
比較例1
実施例4において、光照射を実施しなかった未硬化フィルムについて実施例4と同様にして物性評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0004192600
実施例7〜10(IR分析による硬化反応性の確認)
(1)光導波路用材料(コーティング用含フッ素樹脂組成物)の調製
実施例1で得た硬化性含フッ素プレポリマー(I)を用いて、実施例4と同様な操作を行ない、表2に示すポリマー濃度、活性エネルギー線硬化開始剤量となるようにコーティング組成物(光導波路用材料)をそれぞれ調製した。
(2)IR分析用フィルムの作製
上記のコーティング組成物をアプリケーターを用いてポリエステルフィルムに乾燥後膜厚が約100μmとなるように塗布し、50℃で5分間乾燥後、ポリエステルフィルムから得られた被膜を剥離させ、未硬化のキャストフィルムを得た。
(3)IR分析による硬化反応性の測定
上記未硬化フィルムのIR分析を行なうと、1661cm-1にポリマー中の炭素−炭素二重結合の吸収が観測された。
(4)硬化反応率の測定
炭素−炭素二重結合の吸収に着目し、光照射後の吸収強度の変化を観測し、硬化反応率を下式にしたがって算出した。
Figure 0004192600
高圧水銀灯を用い室温にて、表2に示す照射量で(2)で得られた未硬化フィルムに紫外線照射を行ない、硬化フィルムを得た。また照射量を変化させて、上式で表わされる硬化反応率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0004192600
実施例11(α−フルオロアクリル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
α−フルオロアクリル酸フルオライド(CH2=CFCOF)を2.0g、ピリジンを2.0g用いた以外は実施例1と同様にして硬化性含フッ素プレポリマー(I)(エーテル溶液)を合成した。
この含フッ素プレポリマーを19F−NMR分析により調べたところ、
Figure 0004192600
の共重合体であった。
IR分析において、炭素−炭素二重結合とC=O基の吸収がいずれも実施例1と同様の位置に確認された。
実施例12〜14(IR分析による硬化反応性の確認)
(1)光導波路用材料(コーティング用含フッ素樹脂組成物)の調製
実施例11で得た硬化性含フッ素プレポリマー(I)を用いて、実施例4と同様な操作を行ない、表3に示すポリマー濃度、活性エネルギー線硬化開始剤の種類、活性エネルギー線硬化開始剤量となるようにして光導波路用材料(コーティング組成物)をそれぞれ調製した。
(2)IR分析用フィルムの作製
実施例7と同様にして作製した。
(3)IR分析による硬化反応率の測定
実施例7と同様にして、光照射量1500mJ/cm2照射したときの硬化反応率を算出した。結果を表3に示す。
実施例15
実施例12で調製した光導波路用材料(コーティング組成物)に、さらに硬化剤として
Figure 0004192600
をポリマーに対して20重量%となるように添加し、硬化剤配合の光導波路用材料(コーティング用含フッ素樹脂組成物)を製造した。
この樹脂組成物を用いて実施例12と同様にしてIR分析用フィルムを作製し、硬化反応率の測定を行なった。結果を表3に示す。
Figure 0004192600
合成例2(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
合成例1において、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)を20.0gと
Figure 0004192600
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を10.0gを用いた以外は合成例1と同様にして合成し、得られたポリマーの精製を行ない、無色透明な重合体18.2gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は30000、重量平均分子量は59000であった。
合成例3(OH基を有する含フッ素アリルエーテルとフッ化ビニリデンの共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた300ml容量のステンレススチール製オートクレーブに、パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネール)を34.2gとCH3CCl2F(HCFC−141b)を200g、ジノルマルプロピルパーオキシカーボネート(NPP)の50重量%メタノール溶液を0.16g入れ、ドライアイス/メタノール溶液で冷却しながら系内をチッ素ガスで充分置換した。ついでバルブからフッ化ビニリデン(VdF)を5.8g仕込み、40℃にて振とうさせながら反応を行なった。反応の進行とともに、系内のゲージ圧が反応前の4.4MPaG(4.5kgf/cm2G)から12時間後に0.98MPaG(1.0kgf/cm2G)まで低下した。
この時点で未反応モノマーを放出し、析出した固形物を取り出し、アセトンに溶解させ、ついでヘキサンとトルエンの混合溶剤(50/50)で再沈殿させることにより共重合体を分離した。この共重合体を恒量になるまで真空乾燥し、共重合体31.2gを得た。
この共重合体の組成比は、1H−MNR分析および19F−NMR分析により分析したところ、VdF/OH基含有含フッ素アリルエーテルが55/45(モル%)であった。また、THFを溶媒として用いるGPC分析により測定した数平均分子量は12000、重量平均分子量は18000であった。
合成例4(含フッ素活性エネルギー線硬化開始剤の合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四ツ口フラスコに、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンを2.0g、ピリジンを1.0g、CF3CF2CHCl/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)を20g仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行ないながら、
Figure 0004192600
の2.5gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに4.0時間撹拌を継続した。
反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄を行なって有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち蒸留により生成物2.6gを単離した(収率62%)。
得られた生成物を1H−NMR分析、19F−NMR分析およびIR分析により調べたところ、
Figure 0004192600
であった。
実施例16(α−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四ツ口フラスコに、メチルエチルケトン(MEK)40ml、合成例2で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体5.0gと、ピリジン2.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行ないながら、さらにα−フルオロアクリル酸フルオライド1.2gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.0時間撹拌を継続した。
反応後のMEK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥して硬化性含フッ素プレポリマーを得た。濾過後のポリマー濃度は10.7重量%であった。
この含フッ素プレポリマーを19F−NMR分析により調べたところ、
Figure 0004192600
であった。
また実施例1と同様にしてIR分析を行なったところ、炭素−炭素二重結合の吸収が1660cm-1に,C=Oの吸収が1770cm-1に観測された。
実施例17(α−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
合成例3で得たOH基含有含フッ素アリルエーテルとVdFの共重合体を5.0gとピリジンを1.1g、α−フルオロアクリル酸フルオライドを1.0g用いた以外は実施例16と同様にして硬化性含フッ素プレポリマー(I)(MEK溶液)を合成した。ポリマー濃度は9.9重量%であった。
19F−NMRにより調べたところ、
Figure 0004192600
の共重合体であった。
実施例18(光導波路用部材である光硬化フィルムの物性評価)
(1)光導波路用材料の調製
実施例16で得た含フッ素プレポリマー(MEK溶液)にさらにMEKを加えてポリマー濃度を50重量%に調整した。
この含フッ素プレポリマーのMEK溶液に活性エネルギー線硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンをポリマーに対して2.0重量%となるように添加したところ、白濁して相溶しなかった。
そこで、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンに代えて合成例4で得た含フッ素活性エネルギー線硬化開始剤をポリマーに対して3.6重量%となるように添加したところ相溶し、無色透明の溶液になった。これを光導波路用材料とした。
(2)光導波路用材料の光硬化フィルムの評価
上記(1)で調製した硬化開始剤配合の光導波路用材料(コーティング用組成物)を用いて実施例4の(2)〜(4)に記載(ただし、(3)における照射量は1500mJ/cm2とした)と同様にして評価し、実施例8と同様にして1500mJ/cm2の光照射時の硬化反応率を測定した。結果を表4に示す。またDSCによる分析により、非晶性であることが確認された。
実施例19(光導波路用部材である光硬化フィルムの物性評価)
(1)光導波路用材料の調製
実施例17で得た含フッ素プレポリマー(MEK溶液)にさらにMEKを加えてポリマー濃度を8重量%に調整した。
この含フッ素プレポリマーのMEK溶液に活性エネルギー線硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンをポリマーに対して6.7重量%となるように添加したところ相溶し、無色透明の溶液となった。これを光導波路用材料とした。またDSCによる分析により、非晶性であることが確認された。
(2)光導波路用材料の光硬化フィルムの評価
得られた光導波路用材料(コーティング用組成物)を用いて実施例18と同様の評価を行なった。結果を表4に示す。
Figure 0004192600
合成例5(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)
Figure 0004192600
(以下、「含フッ素アリルエーテルA」という)を5.2gと
Figure 0004192600
(以下、「含フッ素アリルエーテルB」という)を14.2g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で24時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体12.2gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記2種類の含フッ素アリルエーテルの構造単位からなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した重量平均分子量(Mw)は21000であり、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.3であった。
また、つぎの方法で測定した5重量%分解温度は360℃であった。
(5重量%分解温度の測定)
TG/DTA(セイコー電子(株)製のTG/DTA220)により、乾燥空気200ml/分、昇温速度10℃/分の条件で加熱していき、5重量%が熱分解(重量減少)したときの温度を5重量%分解温度とした。
合成例6〜9(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーおよびコポリマーの合成)
合成例5において、2種類の含フッ素アリルエーテルAおよびBの使用量を表5に示す量としたほかは合成例5と同様にして重合し、上記2種類の含フッ素アリルエーテルの構造単位からなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素共重合体(合成例6、7および9)および含フッ素アリルエーテルAの単独重合体(合成例8)を得た。これらの重合体の物性を表5に示す。
Figure 0004192600
実施例20〜24(α−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマー(I)の合成)
実施例1において、合成例1で得たOH基含有含フッ素アリルエーテル重合体に代えて表6に示す合成例5〜9でそれぞれ得たOH基含有含フッ素アリルエーテル重合体を表6に示す量使用し、表6に示す反応条件を採用したほかは同様にしてα−フルオロアクリロイル基を有する硬化性含フッ素プレポリマーを合成した。
得られた硬化性含フッ素プレポリマーについて19F−NMR分析により、OH基を含有する含フッ素アリルエーテルAと含フッ素アリルエーテルBに由来する構造単位の含有量(モル%)をそれぞれ調べたところ、表6に示すとおりであった。
また、NaCl板に塗布し、室温にてキャスト膜としたものをIR分析したところ、いずれも炭素−炭素二重結合の吸収が1661cm-1付近に、C=O基の吸収が1770cm-1付近に観測された。
Figure 0004192600
実施例25〜29(光導波路用部材である光硬化フィルムの物性評価)
実施例1で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素プレポリマーに代えて表7に示す含フッ素プレポリマー(実施例20〜24でそれぞれ製造したもの)をそれぞれ用いた以外は実施例4と同様にしてフィルムを作製し硬化フィルムの評価を行なった。結果を表7に示す。またDSCによる分析により、非晶性であることが確認された。
Figure 0004192600
実施例30(光導波路用部材である光硬化フィルムの物性評価)
(1)光導波路用材料の調製
実施例24で得た硬化性含フッ素プレポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、プレポリマー濃度が40重量%の溶液を調製した。
この含フッ素プレポリマーのPGMEA溶液10gに、活性エネルギー線硬化開始剤(光ラジカル開始剤)として合成例4で得られた化合物の1重量%MEK溶液を1.5g加えてコーティング用の光導波路用材料を調製した。
(2)光導波路用材料の光硬化フィルムの作製
この光導波路用材料(コーティング用組成物)を5インチシリコンウェハー上にスピンコートして膜厚10μmの未硬化フィルムを得た。このフィルムを乾燥後、高圧水銀灯を用い室温にて1800mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射して光硬化フィルムを作製した。
(3)光導波路用材料の光硬化フィルムの評価
得られた硬化フィルムについて、メトリコン社製のプリズムカプラ(モデル2010。商品名)を用いて近赤外領域(1300nmおよび1550nm)における屈折率を測定したところ、1300nmで1.373、1550nmで1.371であった。
実施例31(光導波路用部材である光硬化フィルムの物性評価)
(1)光導波路用材料の調製
実施例30の(1)で得たコーティング用の光導波路用材料を使用した。
(2)光導波路用材料の光硬化フィルムの作製
この光導波路用材料(コーティング用組成物)の所定量を15mm×15mm×1mmの凹型に流し込み、膜厚の異なる3種類の未硬化キャストフィルムを得た。これらのフィルムを乾燥後、高圧水銀灯を用い室温にて1800mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射してそれぞれ膜厚の異なる光硬化フィルムを作製した(膜厚は280μm、450μmおよび1020μm)。
(3)光導波路用材料の光硬化フィルムの評価
日本分光(株)製の微弱吸収測定装置(MAC−1。商品名)を用いて光硬化フィルムの吸収強度を測定波長900〜1700nmの範囲で1nmごとに測定した(測定温度24℃)。なお、厚さの異なるフィルムについても同様に吸収強度を測定し、膜厚で規格化して表面反射の影響を除き、材料自体の吸収損失を調べた。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、1300nmおよび1550nmでの吸収損失はそれぞれ0.1dB/cmおよび0.5dB/cmであり、近赤外領域できわめて優れた透明性を示していることがわかる。
実施例32(光導波路型素子の作製)
光導波路型素子における光導波路の形成は以下の手順で行なった。
コア部用材料として実施例16で調製した光導波路用材料を用い、クラッド部用材料として実施例1で調製した含フッ素プレポリマーを用いて光導波路を作製した。
これら2種の材料をそれぞれメチルイソブチルケトンに溶かし溶液とした。まず、クラッド部用材料をプラスチック基板あるいはシリコン基板上に約15μmの厚さに塗布した。これをベークし、乾燥処理した後、クラッド部用材料の膜上にコア部用材料を約8μmの厚さに塗布した。つぎに、ホトマスクを介して光照射を行い、コア部用の膜を硬化させた。その後、コア部用膜の未硬化の部分を溶剤で洗い流し、コア部として長さ50mm、幅8μm、高さ8μmの直線矩形パターンに加工した。加工後、クラッド部を図2にしたがって説明したように、コア部上に塗布して光導波路を作製した。
つぎに、作製した光導波路の伝播損失の測定を、コア部に波長1300nmの光を通すことによって、伝播損失の測定を行った。その結果、0.5dB/cmであった。
さらに、ここで作製した光導波路を温度80℃、湿度85%RHの環境下で1週間保存したが、伝播損失はまったく変化しなかった。
本発明の光導波路型素子の概略断面図である。 本発明の光導波路型素子の作製工程を説明するための工程図である。 実施例31で作製した光硬化フィルムの各波長における吸収損失を示すグラフである。

Claims (21)

  1. 硬化性含フッ素プレポリマー(I)からなる光導波路用材料であって、含フッ素プレポリマー(I)が、
    (1)フッ素含有率が25重量%以上の非晶性ポリマーであり、かつ
    (2)式(1):
    Figure 0004192600
    [式中、構造単位Mは式(M2):
    Figure 0004192600
    (式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY 1 (Y 1 は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、
    構造単位Aは構造単位Mを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位であって、式(4):
    Figure 0004192600
    (式中、X 15 、X 16 およびX 18 は同じかまたは異なり、HまたはF;X 17 はH、FまたはCF 3 ;h1、i1およびjは0または1;Z 2 はH、FまたはCl;Rf 5 は炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基)で示される構造単位]で示され、構造単位M2を0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーであることを特徴とする含フッ素光導波路用材料。
  2. 含フッ素プレポリマー(I)のフッ素含有率が40重量%以上である請求項1記載の含フッ素光導波路用材料。
  3. 含フッ素プレポリマー(I)が、1290〜1320nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1または2記載の含フッ素光導波路用材料。
  4. 含フッ素プレポリマー(I)が、1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素光導波路用材料。
  5. 炭素−炭素二重結合がラジカル反応性を有するエチレン性炭素−炭素二重結合である請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素光導波路用材料。
  6. 炭素−炭素二重結合がカチオン反応性を有するエチレン性炭素−炭素二重結合である請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素光導波路用材料。
  7. 前記式(M2)におけるRf中のY1の少なくとも1つが、Rfの末端に結合している請求項1〜6のいずれかに記載の含フッ素光導波路用材料。
  8. 前記式(M2)におけるRf中のY1が、
    Figure 0004192600
    (式中、Y2は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基または含フッ素アルケニル基;dおよびeは同じかまたは異なり、0または1)である請求項1〜7のいずれかに記載の含フッ素光導波路用材料。
  9. 前記式(M2)におけるRf中のY1が、
    −O(C=O)CX6=CX78
    (式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)である請求項1〜7のいずれかに記載の含フッ素光導波路用材料。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素プレポリマー(I)に加えて、活性エネルギー線硬化開始剤(II)が配合されてなる含フッ素光導波路用材料。
  11. 活性エネルギー線硬化開始剤(II)が、光ラジカル発生剤(II−1)である請求項10記載の含フッ素光導波路用材料。
  12. 活性エネルギー線硬化開始剤(II)が、光酸発生剤(II−2)である請求項10記載の含フッ素光導波路用材料。
  13. 請求項1〜12いずれかに記載の含フッ素導波路用材料を硬化してなる硬化物からなる含フッ素導波路用部材。
  14. 請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素プレポリマー(I)に加え、活性エネルギー線硬化開始剤(II)を含んでなる組成物を光硬化してなる硬化物からなる含フッ素光導波路用部材。
  15. 含フッ素プレポリマー(I)が請求項記載の含フッ素プレポリマーであり、活性エネルギー線硬化開始剤(II)が光ラジカル発生剤(II−1)である請求項14記載の含フッ素光導波路用部材。
  16. 含フッ素プレポリマー(I)が請求項記載の含フッ素プレポリマーであり、活性エネルギー線硬化開始剤(II)が光酸発生剤(II−2)である請求項14記載の含フッ素光導波路用部材。
  17. 請求項13〜16のいずれかに記載の硬化物の1290〜1320nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下である含フッ素光導波路用部材。
  18. 請求項13〜16のいずれかに記載の硬化物の1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下である含フッ素光導波路用部材。
  19. コア部とクラッド部からなる光導波路型素子であって、コア部およびクラッド部の少なくとも一方が請求項13〜18のいずれかに記載の含フッ素光導波路用部材からなる光導波路型素子。
  20. コア部が請求項13〜18のいずれかに記載の含フッ素光導波路用部材からなる請求項19記載の光導波路型素子。
  21. クラッド部が請求項13〜18のいずれかに記載の含フッ素光導波路用部材からなる請求項19または20記載の光導波路型素子。
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