JP2020029020A - パターン転写物の製造方法 - Google Patents

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Yukio Tokunaga
幸雄 徳永
成樹 志野
Shigeki Shino
成樹 志野
寛彦 後閑
Hirohiko Gokan
寛彦 後閑
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Abstract

【課題】被転写体に対する転写パターンの転写性と密着性が改善されたパターン転写物の製造方法を提供することにある。【解決手段】少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層上に転写パターンを形成する工程、前記工程で得られた転写パターンを常温で粘着性を有する被転写体に転写する工程、および転写パターンが転写された被転写体を加熱硬化する工程を少なくとも具備するパターン転写物の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、被転写体に対する転写パターンの転写性と密着性が改善されたパターン転写物の製造方法に関する。
近年、様々な高精細印刷技術が開発され、多くの高精細な印刷物が製造・販売されているが、他人とは違う印刷物を得るためのオンデマンド性の要求の高まりにより、従来の紙媒体だけでなく、布帛などの繊維材料、合成皮革、樹脂成型物、金属成型物、木材加工物など様々な対象物に高精細な印刷を施す必要性が高まってきた。このような状況の中、例えば昇華型インクを用いて印刷した転写紙を使用して基材に熱昇華転写する昇華型インク捺染転写、水性顔料インクを基材に直接印刷する水性顔料インクダイレクト捺染、UV硬化型インクを使用し対象物に直接印刷するUVインクジェット印刷、その他スクリーン印刷による方法などが使用されている。
しかし、例えば昇華型インク捺染転写や水性顔料インクダイレクト捺染では、対象物によっては昇華性インクや水性顔料インクを保持するための定着層(吸収層)を設ける必要があった。またUVインクジェット印刷を使用した場合、比較的多くの種類の対象物に印刷することができるものの、UV硬化型インクの残存モノマー成分によると思われる臭気が酷く、しばしば問題となる場合があった。またスクリーン印刷による方法では、UVインクジェット印刷と比較して臭気などは低いが、使用するインキの硬化に時間がかかる場合があった。
一方、例えば特開2014−192275号公報(特許文献1)には、支持体上にインク受容層となる多孔質層と、該多孔質層上にコロイダルシリカを主成分とする層を有する基材上に導電性パターンを形成し、支持体上に粘着性を有する接着剤層あるいは粘着剤層が設けられた被転写体の粘着面へ導電性パターンを転写する導電性パターンの転写方法が開示されており、この被転写体を筐体に貼り付けることにより導電性部材を製造することができる。しかしながら、被転写体は少なくとも数μmから数十μm以上の厚みがあり、且つ、無印字部にも粘着剤等で覆われてしまうため、筐体と転写パターンの一体感が損なわれるという問題が新たに発生した。
特開2014−192275号公報
本発明の課題は、被転写体に対する転写パターンの転写性と密着性が改善されたパターン転写物の製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層上に転写パターンを形成する工程、前記工程で得られた転写パターンを常温で粘着性を有する被転写体に転写する工程、および転写パターンが転写された被転写体を加熱硬化する工程を少なくとも具備するパターン転写物の製造方法。
本発明により、被転写体に対する転写パターンの転写性と密着性が改善されたパターン転写物の製造方法を提供することができる。
本発明における転写パターンを形成した転写用基材の概略図 本発明における転写パターンを形成した転写用基材を、常温で粘着性を有する被転写体に転写する工程の概略図 本発明におけるパターン転写物の概略図 本発明におけるパターン転写物の別の概略図
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のパターン転写物の製造方法を説明する。まず、支持体1上に多孔質層2と解離層3を有する転写用基材10を準備する。次に、転写用基材10に例えば顔料インクを使用したインクジェットプリンタで印刷して転写パターン4を形成する(図1)。続いて、形成した転写用基材10の転写パターン4面と、転写パターン4を転写する常温で粘着性を有する被転写体5の転写面を密着させることで、転写パターン4を被転写体5に転写する(図2)。最後に、転写用基材10を剥離し加熱硬化、もしくは剥離する前に加熱硬化し、その後転写用基材10を剥離することで、本発明におけるパターン転写物(図3あるいは4)を製造することができる。
本発明における少なくとも多孔質層と解離層を有する転写用基材は、支持体の上に形成された微粒子と樹脂バインダーを含有する多孔質層と、さらに該多孔質層の上に形成された解離層を有し、該解離層上に転写パターンを一旦担持し、常温で粘着性を有する被転写体に転写する用途に供する基材である。多孔質層及び解離層は必要に応じ、支持体の両面に設けても良い。
本発明における支持体としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルや塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂類よりなるフィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、紙、不織布、布、各種金属、各種セラミックス等を挙げることができる。また用途に応じこれら基材を適宜組み合わせることができ、例えば、紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることができる。
これらの中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートからなる支持体が好ましい。
上記した支持体の中でも、各種樹脂からなるフィルム、ガラス、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、多孔質層を形成する塗布液の塗布性と多孔質層の支持体に対する接着性を改善するために、支持体と多孔質層との間に、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等からなる公知の下塗層を設けることが好ましい。また、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは易接着処理品として下塗層を予め設けた状態で市販されており、これを用いても良い。また、コロナ処理あるいはプラズマ処理により支持体の濡れ性を改善することも好ましい
下塗層の固形分塗布量としては、0.5g/m以下であり、好ましくは0.3g/m以下、さらに好ましくは0.1g/m以下である。
本発明における多孔質層は、転写パターンを形成するインク等の転写材料が含有する水あるいは有機溶剤といった溶媒成分を吸収する機能を担う。
本発明の多孔質層とは、微粒子を主体に含有する層であることが溶媒成分の吸収性の観点から好ましい。本発明において、微粒子を主体に含有するとは、多孔質層の50質量%以上が微粒子であることであり、好ましくは70質量%以上である。用いられる微粒子としては、公知の微粒子を広く用いることができる。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ブタジエン系樹脂、スチレン/イソプレン系樹脂、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等を挙げることができる。無論、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を混合して用いることもできる。上記の中でも、吸収性の観点からは無機微粒子を用いることが好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が特に好ましい。また、転写用基材に可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物を用いることが特に好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ及びその他に大別することができる。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として、(株)トクヤマからトクシール(登録商標)、ファインシール(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシル(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲル(登録商標)として、グレースジャパン(株)からシロイド(登録商標)、シロジェット(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。本発明において沈降法シリカあるいはゲル法シリカを用いることが好ましく、沈降法シリカがより好ましい。
本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径が50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ粉体状態での平均凝集粒子径は1〜50μmであることが好ましい。
平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、平均二次粒子径500nm以下に分散することがより好ましい。平均二次粒子径を500nm以下に分散することにより、形成される多孔質層中の細孔径が分散を行わない場合よりも微細となるため、例えば、転写パターンを形成する転写材料として金属ナノ粒子などの金属超微粒子を用いた場合に、金属超微粒子が細孔中に入り込み転写パターンの均一性が失われて非導通状態となることが少なくなり、得られる転写パターンの導電性が良好となる。分散された湿式法シリカ粒子の平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nmであり、転写用基材に透明性が要求される場合には、透明性の観点から更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、ウィリー・エ・バッコーフェン社よりダイノーミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミル(登録商標)として、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミル(登録商標)として市販されている。メディアミル等を用いて分散した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
ここで、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることができる。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル(登録商標)、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径500nm以下に分散することが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nmであり、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造する際に、スラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、カチオン性化合物の存在下で分散する方法、シランカップリング剤存在下で分散する方法等を挙げることができ、カチオン性化合物の存在下で分散する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ジアリルアミン誘導体由来の構造単位を有する重合物、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基や4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特にジアリルアミン誘導体由来の構造単位を有する重合物が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明に使用するアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、多孔質層を構成する微粒子と共に用いられる樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白など、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤等を挙げることができ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。この他、公知の天然樹脂あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これらのうち、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。平均重合度は200〜5000のものが好ましい。
微粒子に対する樹脂バインダーの含有量は特に限定されないが、微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して、好ましくは80質量%以下、更には3〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
本発明では、多孔質層を構成する上記樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の使用量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合には、硬膜剤としては、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。下限は0.1質量%以上であることが好ましい。
その他、多孔質層には必要に応じ、防腐剤、界面活性剤、着色染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子の分散剤、消泡剤、レベリング剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することができる。
多孔質層は2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの多孔質層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば湿式法シリカによる多孔質層の上に、アルミナ水和物による多孔質層が形成されていても良い。
多孔質層の層厚(乾燥時)は、一般に1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
多孔質層は、微粒子と樹脂バインダー等を適当な溶媒に溶解または分散させて塗布液を調製し、該塗布液をスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等による印刷等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、支持体表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、形成することができる。また、塗布を行った後、鏡面ロールに圧接するキャスト処理を行い、表面を平滑にすることや、カレンダー処理を行い、表面を平滑にすることもできる。
本発明において転写用基材は、上記した多孔質層上に無機微粒子及び/または有機微粒子を主成分とする解離層を有する。解離層とは、転写パターンを被転写体へ転写する際に多孔質層と転写パターンを分離する層であり、図3のように転写パターンのみを被転写体へ転写する、あるいは図4のように転写パターンと解離層の一部を共に被転写体へ転写することができる。転写された解離層の一部は必要に応じ洗浄し、除去してもよい。
本発明における解離層は、転写用基材を被転写体から剥離する前に被転写体を加熱硬化する場合において転写用基材に掛かる温度である、被転写体を加熱硬化する時の温度で、溶融あるいは粘着性を示さない層であることが好ましい。なお、主成分とするとは、かかる層の全固形分に対して、93質量%以上が無機微粒子及び/または有機微粒子であることを示し、好ましくは98質量%以上である。
本発明において解離層が含有する無機微粒子としては、公知の無機微粒子を広く用いることができる。例えば炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化錫等の無機微粒子を例示することができ、これらを2種以上併用してもよい。
解離層が含有する無機微粒子の平均一次粒子径は10〜200nmであることが好ましく、20nm以上がより好ましい。平均一次粒子径が10nm未満であると多孔質層の空隙を塞ぎ吸収性が低下する場合がある。平均一次粒子径が200nmを超えると、解離層を形成する際に使用される塗布液において、無機微粒子が沈降し塗布に支障をきたす場合がある。
このような無機微粒子としてコロイド状態にある無機微粒子分散液を用いることが好ましく、例えば、コロイド状シリカであるコロイダルシリカ、酸化チタンゾル、アルミナゾル、酸化セリウムゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化ニオブゾル、酸化錫ゾルを挙げることができる。酸化ジルコニウムゾルは、例えば第一稀元素化学工業(株)よりZSL−20N、ナイヤコール社(米国)よりZr100/20として、酸化セリウムゾルは、例えばナイヤコール社(米国)よりCEO2(AC)として、酸化ニオブゾルは、例えば多木化学(株)よりバイラール(登録商標)として市販されている。
コロイダルシリカとしては、シリカゾルから弱アルカリ性下で粒子成長させたそのままのタイプ、イオン交換によりアルカリを減量したタイプ、格子の珪素原子の一部をアルミニウム原子に置換してアニオン性を強化したタイプ、アルミナ表面処理によりカチオン性にしたタイプ、アルコキシシランを原料にゾルゲル法で合成されたタイプ等が例示されるがいずれも使用可能である。コロイダルシリカはアルカリに若干溶解するのでアルカリが残っている方が結着力の面で有利と考えられるが、イオン交換したタイプでも実用上問題なく使用できる。これらコロイダルシリカは、例えば日産化学工業(株)よりスノーテックス、扶桑化学工業(株)よりクォートロン(登録商標)として市販されている。
本発明において解離層が含有する有機微粒子としては、公知の有機微粒子を広く用いることができる。例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アセタール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機微粒子を例示することができ、これらを2種以上併用してもよい。
解離層が含有する有機微粒子の平均一次粒子径は10〜500nmであることが好ましく、20nm以上がより好ましい。平均一次粒子径が10nm未満であると多孔質層の空隙を塞ぎ吸収性が低下する場合がある。平均一次粒子径が500nmを超えると、解離層を形成する際に使用される塗布液において、有機微粒子が沈降し塗布に支障をきたす場合がある。
このような有機微粒子として、ポリアミドイミド樹脂は、例えば東レ(株)よりトレパール(登録商標)PAIとして、ポリエーテルスルホン樹脂は、例えば東レ(株)よりトレパールPESとして、フッ素樹脂は、例えば三井・ケマーズ フロロプロダクツ(株)よりPTFE 31−JR、ダイキン工業(株)よりポリフロン(登録商標)PTFE D−210Cとして市販されている。
本発明における解離層は、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を併用して用いることもできる。無機微粒子と有機微粒子の体積比率としては、1:9から9:1の範囲が好ましい。
本発明において解離層に含まれる無機微粒子及び/または有機微粒子以外の成分としては、樹脂バインダーとしての例えばポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂やラテックス類、樹脂バインダーの硬膜剤、界面活性剤等を挙げることができる。
本発明において解離層の固形分塗布量は、0.01g/m以上であることが好ましく、0.1g/m以上がより好ましい。固形分塗布量が0.01g/m未満であると、被転写体へ多孔質層が転写されてしまうことがある。解離層の固形分塗布量の上限は特にないが、10g/mを超えると無機微粒子及び/または有機微粒子を主成分とする解離層に亀裂の入る可能性が高くなるため、好ましくない。
解離層の形成用塗布液は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等による印刷等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、予め支持体上に作製された多孔質層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、解離層を形成することができる。特に好ましくは、リバースグラビアロール方式の中でも、ロールの直径が100mm以下(より好ましくは20〜80mm)の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)を用いる方式である。
本発明の転写用基材における解離層の形成用塗布溶媒あるいは分散媒が主に水である場合には、多層スライドカーテン方式、多層スライドビード方式、多層スロットダイ方式等の多層同時塗布が可能な塗布方式を用い、多孔質層と解離層を同時に塗布しても良い。また、支持体が搬送されるライン上に複数の塗布装置が設置されるタンデム型の多層塗布装置を用いても良い。
本発明において、転写パターンは転写材料を用いて形成される。本発明に用いられる転写材料は、その構成成分が解離層上で保持される程度の大きさを有するもの、つまりは解離層で作られる隙間より大きいものであれば適宜使用することができるが、例えば、特開2013−141787号公報に例示されている、水性顔料インク、非水性顔料インク、または紫外線硬化型の顔料インクに代表されるインクジェット印刷用顔料インク、電子写真印刷用インク、スクリーン印刷等で用いられる印刷用インキなどの顔料色材を含有する転写材料などが用いられ、特に安全性と解像度等の理由によりインクジェット印刷用水性顔料インクが好ましく用いられる。
本発明における解離層上に保持される転写材料の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜10μmがさらに好ましい。
本発明において好ましく用いられるインクジェット印刷用水性顔料インクは、少なくとも顔料色材、顔料色材分散剤、エマルジョン形態の熱可塑性樹脂及び水溶性の熱可塑性樹脂のうち少なくともいずれかと、1atmにおける沸点が250℃以下である水溶性有機溶剤、界面活性剤、水等を含む公知のものを使用することができる。また各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。インクの総質量(100質量%)に対する、各成分の含有量は、顔料色材が0.2〜10質量%、顔料色材分散剤、エマルション形態の熱可塑性樹脂及び水溶性の熱可塑性樹脂の合計が1.5〜15質量%、1atmにおける沸点が250℃以下である水溶性有機溶剤が5〜40質量%、界面活性剤が0.5〜2質量%、水が50〜92質量%であることが好ましい。
本発明における転写パターンは、転写材料を用いて様々な印刷方法あるいは塗布方式により転写用基材上にパターン形成される。例えば、線状の塗布を行うことができるディスペンサー印刷方法を用いた任意の線状のパターン形成、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法、電子写真印刷方法、及び凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、平版印刷方法、凹版印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等の公知の各種印刷方法により任意のパターンを形成することができる。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、転写用基材の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成すること、間欠塗工ダイコーター等を用い転写用基材の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成すること、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式とも言われる)を用い転写用基材の全体に転写材料を付着させることもできる。より好ましい形成方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法を挙げることができる。
本発明において、転写用基材上に形成され保持された転写パターンは常温で粘着性を有する被転写体へ粘着性が発現している状態で転写される。転写は、転写パターンが形成・保持されている転写用基材の転写パターンが形成された面と、粘着性を有する被転写体を粘着性が発現している状態で貼合し、その後これらを剥離することによってなされる。
なお本発明における常温とはJIS Z 8703に記載される温度範囲、具体的には5〜35℃を示す。
本発明における常温で粘着性を有する被転写体は、常温では柔らかく粘着性を有するが、加熱により硬化する樹脂を含む。このような樹脂として熱硬化性樹脂が知られており、液状レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂などを例示することができる。これらの樹脂を用い被転写体を製造する際には、熱硬化性樹脂以外に、酸硬化剤、アミン系硬化剤などの硬化剤、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ系などの可塑剤、粉末様の酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどの充填材、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの補強材などが配合されていてもよい。
特に、硬化剤などを含んだエポキシ樹脂やフェノール樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を炭素繊維やガラス繊維に含浸させ、フィルム状に成型し、離型フィルムや離型紙を両面に貼合し、加熱または乾燥により半硬化状態とした材料が、炭素繊維強化樹脂やガラス繊維強化樹脂のプリプレグとして広く用いられている。これらの材料は、半硬化状態のプリプレグを重ねた際に容易に粘着し一体化するように、常温で粘着性を有しており、本発明における常温で粘着性を有する被転写体として好適に用いることができる。
また、前記プリプレグを製造するために、硬化剤などを含んだエポキシ樹脂をシート化したエポキシ樹脂シートが市販されており、本発明における常温で粘着性を有する被転写体として好適に用いることができる。
本発明における被転写体に転写パターンを転写する工程について説明する。被転写体は常温で粘着性を有する被転写体であり、粘着性が発現している状態で転写パターンの転写が行われる。転写は転写用基材と被転写体を貼合し剥離することにより行われる。例えば被転写体が立体物である場合には被転写体に転写用基材を貼合し剥離することにより行われ、例えばプリプレグ等のシート様物であればロールラミネーターを使用した圧着法により転写パターンを被転写体に圧着する方法が好ましい。圧着の条件としては、ロール温度は常温(5〜35℃)、圧力が1〜50N/cmで、時間が0.1秒〜5分であることが好ましく、より好ましく圧力が5〜20N/cmで、時間が1秒〜1分であるが、被転写体の厚みや種類等により適宜調整することができる。圧力が1N/cmを下回ると被転写体への転写パターンの転写が均一に行われない場合があり、50N/cmを超えると転写用基材の剥離が困難になる場合がある。
貼合された転写用基材と被転写体を剥離する場合、剥離する際の転写用基材側における、JIS Z0237に準じ測定される角度は浅い方が好ましい。転写用基材から被転写体を剥離する際には剥離部分にて曲がりが発生し、これにより転写パターンも曲がることとなるが、この曲がる時の角度が小さい程、転写パターンの転写性が良好となるため好ましい。具体的には90度以下で剥離することが好ましい。
本発明において常温で粘着性を有する被転写体の粘着力は、JIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定され、幅25mmあたりの粘着力(N/25mm)として示される。本発明において、常温で粘着性を有する被転写体の好ましい粘着力は、0.1〜20N/25mmであり、より好ましくは0.2〜10N/25mmである。粘着力が0.1N/25mm未満では、転写パターンの転写を行うことができない場合があり、20N/25mmを超えると、転写用基材の剥離が困難となる場合がある。従って、本発明において粘着性を有さないとは、粘着力が0.1N/25mm未満であることを言う。
本発明において、被転写体は転写パターンの転写後に加熱硬化を実施する。加熱硬化を行うことにより、転写パターンの被転写体に対する密着力が向上するとともに、転写パターンの転写前に被転写体が有していた粘着性が消失または小さくなる。また被転写体としてプリプレグを用いた場合には、転写パターンが転写されたプリプレグをそのまま加熱硬化しパターン転写物としても良いが、必要に応じ転写パターンが転写されていないプリプレグを重ねて成型した後に加熱硬化し、パターン転写物としてもよい。加熱硬化の条件は熱硬化性樹脂に適した温度や加熱時間で行えば良く、例えばエポキシ樹脂の場合には好ましくは130〜200℃であり、より好ましくは140〜190℃、加熱時間は5分〜2時間程度であるが、これに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
(実施例1)
水に、カウンターイオンに塩素イオンを持つジアリルジメチルアンモニウムクロライド−重合物としてシャロール(登録商標)DC902P(第一工業製薬(株)製)8質量部と、無機微粒子として気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100質量部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20質量%の無機微粒子分散液を製造した。無機微粒子の平均二次粒子径は130nmであった。
上記無機微粒子分散液を用い下記組成の多孔質層形成用塗布液1を作製した。支持体として易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)に多孔質層形成用塗布液をスライドビードコーターで気相法シリカ換算25g/mとなるように塗布、乾燥し多孔質層を設けた。得られた多孔質層の膜厚は38μmであった。
<多孔質層形成用塗布液1>
無機微粒子分散液 (シリカ固形分として)100質量部
ポリビニルアルコール 25質量部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4質量部
ノニオン性界面活性剤 0.3質量部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
水以外の成分濃度が13質量%になるように水で調整した。
多孔質層上に下記配合の解離層塗布液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥し、実施例1の転写用基材1を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。多孔質層上に形成された解離層の固形分塗布量は0.6g/mであった。
<解離層塗布液1>
コロイダルシリカ20質量%スラリー 15質量部
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−3L、平均一次粒子径35nm)
水 85質量部
転写用基材1に、水性顔料インクを用いたインクジェットプリンタにて、50mm×50mmの大きさの画像パターンの印刷を行い、転写用基材1上に転写パターンを形成した。
ロールラミネーターを用い、転写用基材1の転写パターン形成面と被転写体1である炭素繊維強化樹脂成型用のプリプレグ(東レ(株)製トレカ(登録商標)F6343B、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂、25℃におけるJIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定された粘着力は0.25N/25mm)を密着させ、ロール温度25℃、圧力10N/cm、速度0.3m/分(圧着時間として1秒)で圧着処理を行った。圧着処理を行った後、転写用基材1を剥離し、140℃で30分間の加熱硬化処理を行い、転写パターンを有する実施例1のパターン転写物を得た。
(実施例2)
水に硝酸2.5質量部とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)100質量部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液2を得た。無機微粒子分散液2中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。
上記無機微粒子分散液2を用い下記組成の多孔質層形成塗布液2を作製し、支持体として易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)に多孔質層形成塗布液2をスライドビードコーターで固形分塗布量がアルミナ水和物換算で32g/mとなるように塗布、乾燥し多孔質層を形成した。該多孔質層の膜厚は42μmであった。
<多孔質層形成塗布液2>
無機微粒子分散液 (アルミナ水和物固形分として)100質量部
ポリビニルアルコール 9質量部
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4質量部
ノニオン性界面活性剤 0.3質量部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
水以外の成分濃度が16質量%になるように水で調整した。
多孔質層上に下記配合の解離層塗布液2を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥し、実施例2の転写用基材2を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。多孔質層上に形成された解離層の固形分塗布量は0.04g/mであった。
<解離層塗布液2>
コロイダルシリカ12質量%スラリー 1.7質量部
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−1、平均一次粒子径15nm)
水 98.3質量部
転写用基材2に、水性顔料インクを用いたインクジェットプリンタにて、50mm×50mmの大きさの画像パターンの印刷を行い、転写用基材2上に転写パターンを形成した。
ロールラミネーターを用い、転写用基材2の転写パターン形成面と被転写体2であるエポキシ樹脂シート(サンユレック(株)製DRS−028、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂、25℃におけるJIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定された粘着力は0.9N/25mm)を密着させ、ロール温度25℃、圧力10N/cm、速度0.3m/分(圧着時間として1秒)で圧着処理を行った。圧着処理を行った後、転写用基材2を剥離し、150℃で60分間の加熱硬化処理を行い、転写パターンを有する実施例2のパターン転写物を得た。
(実施例3)
実施例1の解離層塗布液1を下記組成の解離層塗布液3へ変更した以外は同様とし、実施例3のパターン転写物を得た。なお、多孔質層上に形成された解離層の固形分塗布量は0.6g/mであった。
<解離層塗布液3>
酸化ジルコニウム20質量%ゾル 15質量部
(ナイヤコール社製、Zr100/20、平均一次粒径100nm)
水 85質量部
(実施例4)
実施例1の解離層塗布液1を下記組成の解離層塗布液4へ変更した以外は同様とし、実施例4のパターン転写物を得た。なお、多孔質層上に形成された解離層の固形分塗布量は0.2g/mであった。
<解離層塗布液4>
フッ素樹脂60質量%水分散体 1.7質量部
(ダイキン工業(株)製ポリフロンPTFE D−210C、平均一次粒子径220nm)
水 98.2質量部
アニオン性界面活性剤 0.05質量部
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
(実施例5)
実施例1の転写用基材1に、下記のインク調整液1をワイヤーバーにて湿分塗布量が12g/mになるよう塗布し、転写用基材1上に転写パターンを形成した。
<インク調整液1>
詰め替え用インク ユニバーサルインク顔料ブラック 0.5質量部
(有限会社総合企業サービス製、UNI−E100−BK)
アクリルエマルジョン 0.37質量部
(楠本化成株式会社製、NeoCryl(登録商標) YK−188、固形分濃度44.5質量%)
水 0.14質量部
その後、ロールラミネーターを用い、転写用基材1の転写パターン形成面と被転写体1を密着させ、ロール温度25℃、圧力10N/cm、速度0.3m/分(圧着時間として1秒)で圧着処理を行った。圧着処理を行った後、転写用基材1を剥離し、140℃で30分間の加熱硬化処理を行い、転写パターンを有する実施例5のパターン転写物を得た。
(実施例6)
実施例5のインク調整液1を下記のインク調整液2に変更した以外は、実施例5と同様にして実施例6のパターン転写物を得た。
<インク調整液2>
詰め替え用インク ユニバーサルインク顔料ブラック 0.5質量部
(有限会社総合企業サービス製、UNI−E100−BK)
アクリルエマルジョン 0.25質量部
(楠本化成株式会社製、NeoCryl YK−188、固形分濃度44.5質量%)
水 0.25質量部
(比較例1)
実施例1の解離層塗布液1を多孔質層上に塗布せず、多孔質層のみを有する転写用基材を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例1のパターン転写物を得た。
(比較例2)
実施例1の多孔質層形成用塗布液1を塗布しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例2のパターン転写物を得ようとしたが、解離層のみを有する転写用基材が水性顔料インクの溶剤を吸収せず、良好なパターン転写物が得られなかった。
(比較例3)
実施例1の被転写体1を被転写体3であるABS樹脂((株)セコン製作所製ABSシートF−4626黒、厚み1mm)に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3のパターン転写物を得ようとしたが、転写パターンが被転写体に転写せず、良好なパターン転写物が得られなかった。なお、ABS樹脂の表面は常温において粘着性を有さない。
(比較例4)
比較例3の転写用基材1と被転写体3との間に、両面のPET剥離フィルムを剥がしたアクリル系透明光学粘着両面フィルムシート(グンゼ(株)製NNX50:厚み50μm)を挟んで密着させ、ロールラミネーターを用いて、ロール温度25℃、圧力10N/cm、速度0.5m/分で圧着処理を行った以外は比較例3と同様にして、比較例4のパターン転写物を得た。なお、アクリル系透明光学粘着両面フィルムシートの表面は常温で粘着性を有するが、加熱硬化性は有さない。
(比較例5)
実施例1において、転写用基材1剥離後の、140℃で30分間の加熱硬化処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして、比較例5のパターン転写物を得た。
(比較例6)
実施例1の転写用基材を、受容層転写シート(サンワサプライ(株)製洗濯に強いアイロンプリント紙JP−TPRTYN)に変更し、説明書に記載された転写方法に準じて、被転写体1に画像パターンを転写後に、140℃で30分間の加熱処理を行って、比較例6のパターン転写物を作製した。
得られた実施例1〜6及び比較例1、4〜6のパターン転写物に関し、以下の評価を実施した。
<転写性>
パターン転写物の転写状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。評価結果は表1にまとめた。
◎ :パターンが非常にきれいに転写されている。
〇 :上記◎にはやや劣るがパターンがきれいに転写されている。
× :パターンは転写されているものの鮮明ではない。
××:パターンの転写されていない部分が散見される。
<密着性>
パターン転写物にエリエールプロワイプ(登録商標)ソフトワイパーS200(大王製紙(株)製)をあて、10往復擦った後のパターンの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎ :擦る前と全く変わらない。
〇 :擦る前とほとんど変わらない。
× :パターンが一部脱落しワイパー側にくっついた。
××:パターンがほとんど脱落した。
表1の結果から、本発明のパターン転写物の製造方法により、被転写体に対する転写パターンの転写性と密着性が改善されたことが判る。
1 支持体
2 多孔質層
3 解離層
4 転写パターン
5 常温で粘着性を有する被転写体
10 転写用基材

Claims (1)

  1. 少なくとも多孔質層と該多孔質層上に解離層を有する転写用基材の解離層上に転写パターンを形成する工程、前記工程で得られた転写パターンを常温で粘着性を有する被転写体に転写する工程、および転写パターンが転写された被転写体を加熱硬化する工程を少なくとも具備するパターン転写物の製造方法。
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