JP6879785B2 - 導電性パターン形成用基材および導電性部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、導電性部材を製造する際に用いられる導電性パターン形成用基材、および該導電性パターン形成用基材を用いて得られた導電性部材の製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネルやカーナビゲーション用液晶パネル等の各種フラットディスプレイパネルに貼合して用いられる透明電磁波シールド材や、サイネージや看板等に用いられるLED実装基板、および平面での加熱用途に用いられるフレキシブルヒーター基板等の導電性部材の製造においては、近年、金属超微粒子を含有するインクを印刷する方法が実用化されている。
印刷による導電性部材の製造に関し、従来は、銀粉、樹脂バインダー、および有機溶剤を含有する高粘度の導電性樹脂ペーストを、スクリーン印刷に代表される高粘度ペーストに適した印刷方法を利用して、導電性パターンを形成することが一般的であった。しかし適用できる印刷方法が少ないことや、銀粉のサイズが大きいために細線の印刷が困難であることなどの理由により、近年は金属超微粒子を含有するインクあるいはペーストをインクジェット印刷することで導電性パターンを形成する試みが盛んになされている。
金属超微粒子は一般に分散剤により被覆されているため、これを含むインクやペーストを印刷により付与、乾燥するだけでは、形成されたパターンは導電性を有さず、200℃程度での加熱焼結が必要であった。該加熱焼結によって分散剤が揮散し、金属超微粒子同士を融合させることが可能となる。また、基材に安価な樹脂フィルム、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる検討も多くされており、ポリエチレンテレフタレートフィルムが軟化しない150℃以下の温度で、加熱焼結が可能な金属超微粒子が求められている。この様な150℃以下の低温で加熱焼結可能な金属超微粒子の製造方法としては、例えば特開2002−338850号公報、特開2005−81501号公報、特開2009−242874号公報、および特開2011−68939号公報等に開示されている。
一方、上記した金属超微粒子を含有するインクやペースト等の印刷に用いられる導電性パターン形成用基材としては従来、ガラス類やセラミック類のみならず、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等の各種樹脂フィルムが知られていたが、形成されたパターンのにじみにより微細化への対応が難しく、これら基材に加工を施したものも知られている。例えば特開2003−229653号公報(特許文献1)には、基材上に溶媒浸透層と該溶媒浸透層上に、無機酸化物微粒子を含有する導電性パターン形成用基材が開示されている。
また、特開2008−4375号公報(特許文献2)、特開2008−235224号公報(特許文献3)等には、銀超微粒子を加熱焼結することなく、非常に高い導電性を得ることが可能な導電性パターン形成用基材として、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物や還元性物質等を含有する多孔質なインク溶媒吸収層を有する導電性パターン形成用基材が開示されている。
更に、多孔質なインク溶媒吸収層を有するパターン形成用基材において、形成された導電性パターンの多孔質層に対する密着性が弱いため、擦過等により導電性パターンが簡単に剥がれる、あるいは断線するといった問題を改善するため、特開2010−165997号公報(特許文献4)、特開2012−23312号公報(特許文献5)等には、多孔質層上に樹脂を主成分とする層を設けることが開示されている。
しかしながら、LED実装基板の用途や、フレキシブルLED実装基板の用途といった、高温環境下で連続的に用いられる導電性部材を、前記した多孔質なインク溶媒吸収層を有する導電性パターン形成用基材によって形成した場合、使用中に断線が生じるという問題があり、解決が求められていた。
一方、例えば特開2011−159846号公報(特許文献6)、特開2012−121973号公報(特許文献7)には、セラミックス成形体(グリーンシート)上にポリグリセリンを含有する金属粒子インクをインクジェットで印刷し、ポリグリセリンの分解温度以上の温度にて加熱焼結することで断線が解消できることが記載され、特開2012−174719号公報(特許文献8)には、金属超微粒子、セラミック材料、およびバインダーを含有する仮成形体を加熱焼結してセラミックス基板を製造する際に、ポリエチレングリコールやポリグリセリンを仮成形体へ添加することで断線が解消できることが記載されている。しかしながらこれらの製造方法は何れも加熱焼結が伴うため、基材がポリビニルアルコール等を含有するなどして加熱焼結を行うことができない導電性パターン形成用基材に適用することはできなかった。
特開2003−229653号公報 特開2008−4375号公報 特開2008−235224号公報 特開2010−165997号公報 特開2012−23312号公報 特開2011−159846号公報 特開2012−121973号公報 特開2012−174719号公報
本発明の目的は、支持体上にインク溶媒吸収層を有する導電性パターン形成用基材であって、高温環境下で用いた場合における断線の発生を抑制することが可能な導電性パターン形成用基材、および高温環境下で用いた場合における断線の発生が抑制された導電性部材の製造方法を提供するものである。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.支持体上に、無機微粒子、ポリビニルアルコール、および硬膜剤を少なくとも含有するインク溶媒吸収層を有する導電性パターン形成用基材において、該インク溶媒吸収層が更に重合度が2〜20のポリグリセリンを、該インク溶媒吸収層の質量に対し7.5質量%以上30質量%以下で含有することを特徴とする導電性パターン形成用基材。
2.上記1に記載の導電性パターン形成用基材が有するインク溶媒吸収層上に、少なくとも金属超微粒子を含有するインクを付与して導電性パターンを形成する導電性部材の製造方法。
本発明によれば、高温環境下で用いた場合における断線の発生を抑制することが可能な導電性パターン形成用基材、および高温環境下で用いた場合における断線の発生が抑制された導電性部材の製造方法を提供することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における導電性パターン形成用基材とは、金属超微粒子を含有するインクあるいはペーストを、印刷や塗布等の各種手法を用いて基材上に付与し、導電性パターンを形成する導電性部材の製造に用いられる基材である。本発明における高温環境下とは、特に断りが無い限り50℃以上120℃以下の温度環境のことを示す。また以下の説明では、前記したインクあるいはペーストを総称してインクと呼称する。
本発明における導電性パターン形成用基材は、支持体上に、無機微粒子、ポリビニルアルコール、および硬膜剤を少なくとも含有するインク溶媒吸収層を有し、更に該インク溶媒吸収層はグリセリンおよびポリグリセリンから選択される少なくとも1種を含有する。
本発明においてインク溶媒吸収層は、金属超微粒子を含有するインクに含まれる分散媒を速やかに吸収する役目を担い、これにより得られた導電性パターンのにじみやハジキを抑制する。濡れ広がりやすいインクの場合には、にじみによる配線間の誤接続(所謂ブリッジ)を抑制し、逆に濡れ広がりにくいインクの場合には、ハジキによる断線を抑制することが出来る。
本発明の導電性パターン形成用基材が有する支持体としては、例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル・塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂フィルム、紙、不織布、布等を挙げることが出来る。また用途に応じこれら支持体を適宜組み合わせることが出来、例えば、紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることが出来る。更には、これらの材料を立体形状に成型したものも支持体として使用可能である。
これらの中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、トリアセチルセルロースフィルム、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートから選ばれる熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。
上記した支持体の中でも、各種樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、インク溶媒吸収層の支持体に対する接着性を改善するため、支持体はゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等を含有する下塗層を有することが好ましい。また、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等では、易接着処理品として下塗層を有する状態で市販されており、これらを入手し利用しても良い。また支持体の表面を、コロナ処理あるいはプラズマ処理することで、インク溶媒吸収層を塗接する際に用いる、塗液に対する濡れ性を改善することもできる。上記した下塗層の固形分塗布量は10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。
本発明の導電性パターン形成用基材が有するインク溶媒吸収層は、無機微粒子、ポリビニルアルコール、および硬膜剤を少なくとも含有する。該無機微粒子としては、公知の無機微粒子を広く用いることが出来る。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等を挙げることが出来る。無論、上記した無機微粒子の2種以上を含有することもできる。上記した無機微粒子の中でも、インク中に含まれる分散媒等の吸収性の観点から、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が特に好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。ゾル法シリカは球状の粒子であり多孔質層を形成し難いため沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、沈降法シリカがより好ましい。
本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が1〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましい。特に平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、平均二次粒子径500nm以下に分散した湿式法シリカ粒子が好ましく、より好ましくは10〜300nmである。導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、平均二次粒子径は10〜200nmであることが好ましい。分散方法としては、水性媒体中に分散した湿式法シリカ粒子を機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、(株)シンマルエンタープライゼスよりダイノミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミルとして、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミルとして市販されている。メディアミル等を用いて分散した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、無機微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることが出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることが出来る。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)の気相法シリカが好ましい。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径500nm以下に分散することが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nmである。導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、10〜200nmであることが好ましい。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造する際に、スラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、カチオン性化合物の存在下で分散する方法、シランカップリング剤存在下で分散する方法等を挙げることが出来、カチオン性化合物の存在下で分散する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万が好ましく、特に2,000〜3万が好ましい。
本発明に用いられるアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用でき、導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、平均二次粒子径は10〜200nmであることが好ましい。
本発明に用いられるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、インク溶媒吸収層が含有するポリビニルアルコールとしては、部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールの他、カルボキシ変性、スルホン酸変性、チオール変性、シラノール変性、シリル変性、カチオン性基変性、ジアセトンアクリルアミド変性、アセトアセチル変性などの各種変性ポリビニルアルコール等を挙げることが出来、これらを単独あるいは混合して用いることができる。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを混合して用いることは特に限定されない。
上記したポリビニルアルコールの中でも、インクが含有する溶媒成分の吸収性に優れていることから、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい。またポリビニルアルコールの平均重合度は200〜5000のものが好ましい。
インク溶媒吸収層における無機微粒子に対するポリビニルアルコールの含有量は特に限定されないが、無機微粒子に対して、3〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲である。これによりインクが含有する溶媒成分の吸収性に優れた、多孔質なインク溶媒吸収層を得ることができる。
本発明においてインク溶媒吸収層が、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化ポリビニルアルコール、あるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを含有した場合、インク溶媒吸収層が含有する硬膜剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。好ましくはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類であり、ホウ酸が特に好ましい。
上記した硬膜剤の含有量は、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化ポリビニルアルコール、あるいはシラノール変性ポリビニルアルコールの固形分量に対し、0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
本発明において、インク溶媒吸収層がポリビニルアルコールとしてアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを用いる場合、インク溶媒吸収層が含有する硬膜剤としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の如きホウ素化合物、例えばグリオキシル酸ナトリウム、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド基含有化合物、例えば塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、チタンアセチルアセテートの如き多価金属化合物、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンの如きアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインの如きヒドラジン化合物等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でもコハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グリオキシル酸ナトリウムが好ましい。
上記した硬膜剤の含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの固形分量に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
本発明においてインク溶媒吸収層は2層以上であってもよく、この場合、それらのインク溶媒吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば湿式法シリカによるインク溶媒吸収層の上に、アルミナ水和物によるインク溶媒吸収層が形成されていても良い。
インク溶媒吸収層の固形分塗布量は、無機微粒子の固形分量で1〜100g/mが好ましく、5〜50g/mがより好ましい。
本発明においてインク溶媒吸収層は、グリセリンおよびポリグリセリンから選択される少なくとも1種の化合物を含有する。ポリグリセリンとは複数のグリセリンが重合した構造を持つ化合物であり、坂本薬品工業(株)より、重合度2のポリグリセリン(ジグリセリン)としてジグリセリンS、重合度4のポリグリセリンとしてポリグリセリン#310、重合度6のポリグリセリンとしてポリグリセリン#500、重合度10のポリグリセリンとしてポリグリセリン#750が市販されている。また(株)ダイセルより、重合度3のポリグリセリン(トリグリセリン)としてポリグリセリン03P(PGL03P)、重合度6のポリグリセリンとしてポリグリセリン06(PGL06)、重合度10のポリグリセリンとしてポリグリセリン10PSW(PGL10PSW)、重合度20のポリグリセリンとしてポリグリセリン20PW(PGL20PW)、重合度40のポリグリセリンとしてポリグリセリンXPW(PGLXPW)が市販されているので、これらを入手し利用することができる。中でも、グリセリンあるいは重合度が2〜20のポリグリセリンが好ましく、より好ましくは重合度が2〜10のグリセリンである。
グリセリンおよびポリグリセリンから選択される少なくとも1種の化合物の含有量は、該インク溶媒吸収層の質量に対し、7.5質量%以上であることが好ましく、12.5質量%以上であることがより好ましい。上限は特に定めないが、インク溶媒の吸収性の観点から30質量%以下であることが好ましい。
本発明においてインク溶媒吸収層は、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を含有することが好ましい。これにより主に金属超微粒子からなるインクを用いて導電性パターンを形成する際に、1分〜30分程度、100℃〜150℃程度の温度で実施する加熱工程が不要となる。かかる化合物としては、ハロゲン化水素、無機塩類、無機高分子ハロゲン化物、有機高分子ハロゲン化物等を挙げることが出来る。
ハロゲン化水素として、塩酸、臭化水素酸等を挙げることが出来る。無機塩類として、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ジルコニウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等を挙げることが出来る。例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等を挙げることが出来る。
無機高分子ハロゲン化物としては、塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいるポリ水酸化アルミニウムを挙げることが出来、カウンターイオンとしてハロゲンを有するものが挙げられる。例えば多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)として、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードのものを容易に入手できる。
有機高分子ハロゲン化物としては、カウンターイオンにハロゲンを有する、カチオン性の高分子化合物を広く用いることが出来る。なお組成、重合度は任意である。有機高分子ハロゲン化物としては、例えばカチオン性ポリビニルアルコール、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合物、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄共重合物、ジアリルメチルアミン塩酸塩重合物、ポリアリルアミン塩酸塩等のジアリルアミン系重合物やアリルアミン系重合物の塩酸塩類、アンモニウム塩類、ポリアミン系重合物、アリル系重合物、アルキルアミン系重合物、ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、ポリアミドエピクロルヒドリン重合物等を挙げることが出来る。
上記したイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物は、1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。特に好ましく用いられるイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、ポリ塩化アルミニウムである。
イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物の含有量は、使用する金属微粒子を含有するインクの種類や粒径、導電性発現の速度、目標とする導電性等に応じて、適宜調整することが出来るが、例えば、ある一定の面積内に印字された銀微粒子を含有するインクに含まれる銀のモル数に対して、含有するハロゲンの量は0.1〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜10モル%である。
イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物をインク溶媒吸収層に含有せしめるには、該インク溶媒吸収層塗液にイオン結合により分子量内にハロゲンを有する化合物を含有せしめ、塗布・乾燥を行う方法や、インク溶媒吸収層が形成された後、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を水等の適当な溶媒に溶解または分散させ、必要に応じ、有機溶剤、レベリング剤、界面活性剤等を添加して塗液を調整し、かかる塗液を、あらかじめ支持体上に形成されたインク溶媒吸収層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行った後乾燥する方法により、含有せしめることができる。
インク溶媒吸収層は、上記した無機微粒子、ポリビニルアルコール、および硬膜剤に加え、更にグリセリンおよびポリグリセリンから選択される少なくとも1種の化合物やイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物等を、水等の適当な溶媒に溶解または分散させ、必要に応じ、有機溶剤、レベリング剤、界面活性剤等を添加してインク溶媒吸収層塗液を調製し、支持体上に該インク溶媒吸収層塗液を塗布し、形成することができる。塗布方式としては、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等の各種塗布方式が例示される。またインク溶媒吸収層は、該インク溶媒吸収層塗液を支持体表面の全面、あるいは任意の部位へ選択的に印刷することにより形成することができる。印刷方式としては、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の各種印刷方式が例示される。また乾燥後のインク溶媒吸収層は、鏡面ロールに圧接するキャスト処理やカレンダー処理によって、表面を平滑にすることも出来る。また支持体が立体である場合、ディップ方式や曲面に対応したスクリーン印刷、タンポ印刷(パッド印刷とも言う)等を用いることが出来る。
本発明の導電性パターン形成用基材は、前述したインク溶媒吸収層の上に、樹脂を主成分とする層を有することが好ましい。樹脂を主成分とする層により、形成された導電性パターンとインク溶媒吸収層間の密着性が向上し、擦過や粘着性物質の脱着による導電性パターンの剥離を抑制することが出来る。
ここで樹脂を主成分とする層の主成分との用語は、樹脂を主成分とする層の全固形分に対して、65質量%以上が樹脂であることを意味し、樹脂の含有量は好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。樹脂を主成分とする層が含有する樹脂としては、各種水溶性樹脂や有機微粒子等、被膜を形成することが可能な樹脂を広く用いることが出来る。
上記した水溶性樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等の水溶性セルロース類、膠、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン類、ポリビニルアルコール、シラノール変成ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変成ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カラギーナン、アラビアガム等の多糖類等が挙げられる。使用する水溶性樹脂は1種類であってもよいし、2種以上混合して用いても良い。水溶性樹脂の分子量は10,000以上であることが好ましく、より好ましくは50,000以上である。
上記した有機微粒子としては、主に水からなる分散媒中に単独重合体や共重合体等各種公知の有機微粒子が分散されたエマルジョンあるいはラテックスが好適である。かかる有機微粒子は、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元樹脂、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ビニルピリジン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、エポキシ樹脂等、公知の樹脂により形成されたものから広く選ぶことが出来る。中でも形成される導電性パターンとの密着性の観点から、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂等の、モノマー単位としてアクリル基および/またはビニル基を有する樹脂、およびウレタン樹脂が好適である。
また有機微粒子としては、モノマー組成、粒子径、重合度等の異なる複数の重合体が混合されて単一粒子内に存在する異相構造粒子を使用することもできる。
異相構造微粒子としては、特にその構造は限定しない。異相構造粒子の構造例及び調整方法は「合成ラテックスの応用(杉村孝明・片岡靖男・鈴木聡一・笠原啓司編集(株)高分子刊行会発行(1993))」に記載されている。例として、コア−シェル構造、複合構造、局在構造、だるま状構造、ラズベリー状構造、多粒子複合構造、みずかき構造、IPN(相互貫入網目構造)などがあるが、本発明においてそれらの構造は特に限定はしない。
使用する有機微粒子は1種類であってもいし、2種以上混合して用いても良い。また水溶性樹脂と有機微粒子を併用することも出来る。
樹脂を主成分とする層の固形分量としては、0.01〜5g/mが好ましく、0.02〜1g/mがより好ましく、0.03〜0.5g/mが特に好ましい。0.01g/m未満では導電性パターンの密着性が不十分となる場合があり、5g/mを超えると、導電性パターンの導電性が低下する場合がある。
樹脂を主成分とする層は、水溶性樹脂や有機微粒子を水等の適当な溶媒に溶解または分散させ、必要に応じて有機溶剤、レベリング剤、界面活性剤等を添加し、樹脂を主成分とする層塗液を調製し、該樹脂を主成分とする層塗液をスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、あらかじめ支持体上に作製されたインク溶媒吸収層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、その後乾燥することにより形成することができる。また、インク溶媒吸収層が形成された支持体が立体である場合には、インク溶媒吸収層の形成と同様の方式を用いることが出来る。
また上記したインク溶媒吸収層と樹脂を主成分とする層の形成は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式等による多層同時塗布によって形成することも出来る。
本発明において導電性部材の製造に用いられる、金属超微粒子を含有するインクとは、詳細には水及び/または有機溶媒中に金属超微粒子がコロイドとして分散されているインクであり、金属超微粒子としては、金、銀、銅、ニッケル等の金属超微粒子を例示することが出来る。特に高い導電性、価格、生産性、扱いやすさ等の点から主に銀からなることが好ましい。主に銀からなるとは、金属超微粒子を含むインク中に含まれる全金属超微粒子の50質量%以上が銀であることを意味し、好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、銀のみであってもよい。分散している金属超微粒子の平均一次粒子径は、金属超微粒子がコロイドとして安定した分散状態を保持する観点より、平均一次粒子径が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、更に50nm以下であることが特に好ましい。ここで平均一次粒子径とは、金属超微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均し求めたものである。
本発明における金属超微粒子を含有するインク中に含まれる金属超微粒子の含有量は、金属超微粒子を含有するインクの全体質量に対して1質量%から95質量%が好ましく、より好ましくは3質量%から90質量%である。
金属超微粒子を含有するインクに用いられる金属超微粒子の分散媒は水及び/または有機溶媒であり、水のみ、水と有機溶媒の混合物、有機溶媒のみの構成を挙げることが出来る。水と有機溶媒の混合物の構成としては、有機溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の水溶性の低沸点溶媒や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の水溶性の高沸点有機溶媒を添加することが出来る。有機溶媒のみの構成としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系高沸点有機溶媒、ジアセトンアルコール、イソホロン、γ−ブチルラクトン等のケトン系高沸点有機溶媒、2−フェノキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系高沸点有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート等のエステル系高沸点有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系高沸点有機溶媒、テレピン油、α−テルピネオール、ミネラルスピリット等が使用される。
金属超微粒子は、不活性ガス中で金属を蒸発させガスとの衝突により冷却・凝縮し回収するガス中蒸発法、真空中で金属を蒸発させ有機溶剤と共に回収する金属蒸気合成法、レーザー照射のエネルギーにより液中で蒸発・凝縮させ回収するレーザーアブレーション法、水溶液中で金属イオンを還元し生成・回収する化学的還元法、有機金属化合物の熱分解による方法、金属塩化物の気相中での還元による方法、酸化物の水素中還元法、紫外線や超音波、マイクロウェーブ等のエネルギーを利用する方法等、公知の種々の方法により製造された金属超微粒子を好ましく用いることが出来る。
金属超微粒子を含有するインクは上記した金属超微粒子以外に、増粘剤、帯電防止剤、UV吸収剤、可塑剤、高分子バインダー等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよく、例えば、UV硬化樹脂成分を含ませることにより、UV印刷あるいはUVインクジェット方式によるパターン形成に適した特性(UV硬化特性)を持たせることも出来る。
本発明において、金属超微粒子を含有するインクは、低粘度の溶液状態から高粘度のペースト状態まで任意の形態に調整される。具体的には、導電性パターン形成用基材上に金属超微粒子を付与する方法に適した粘度、表面張力、金属超微粒子の大きさ・含有率等が調整される。例えば、グラビア印刷、インクジェット方式を用いる場合には、粘度を1〜100mPa・sの範囲に調整することが好ましく、凸版印刷やスクリーン印刷を用いる場合には、1〜500Pa・sの範囲に調整することが好ましい。なお、金属超微粒子を含有するインクはペーストと呼ばれることもある。
高粘度のペースト状態に調整する場合には、金属超微粒子の濃度を高くするだけでは所望の粘度を得ることは困難であるため、高分子バインダーあるいは増粘剤を添加することが好ましい。高分子バインダーとしては、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等、公知の各種高分子バインダーを使用することが出来る。増粘剤としてヒドロキシルプロピルセルロースやカルボキシメチルセルロース、ペクチン、ポリスチレンスルホン酸塩類、ポリアクリル酸等、公知の各種増粘剤を使用することが出来る。
本発明に用いられる金属超微粒子を含有するインクには、公知あるいは市販の導電性パターンを形成するために供されている金属超微粒子が含まれるコロイド、インクあるいはペーストを広く用いることが出来る。また、製造方法が簡便であることから、例えばExperiments in Colloid Chemistry,1940,p.19,Hauser,E.A.and Lynn,J.E.に記載される方法の如く、デキストリンを用いて作製される銀超微粒子を用いることが好ましい。
本発明において、導電性パターン形成用基材が有するインク溶媒吸収層上、あるいは該インク溶媒吸収層上に設けられる樹脂を主成分とする層上に、金属超微粒子を含有するインクを付与するには、様々な印刷方法あるいは塗布方式を用いることができる。例えば線状の塗布を行うことが出来るディスペンサー印刷方法を用いた任意の線状のパターン形成、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法を用いた任意の線状あるいは面状のパターン形成、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、平版印刷方法、凹版印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等の公知の各種印刷方法により任意のパターンを形成することができる。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、導電性パターン形成用基材の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成すること、間欠塗工ダイコーター等を用い導電性パターン形成用基材の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成すること、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式とも言われる)を用い、導電性パターン形成用基材全体に金属超微粒子を含有するインクを付着させることも出来る。より好ましい印刷方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法を挙げることが出来る。
本発明の導電性パターン形成基材への金属超微粒子を含有するインクの付与量は特に限定されないが、例えばインクジェット方式の場合は得られる導電性の観点から15〜30mL/mが好ましく、20〜25mL/mが特に好ましい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
<導電性パターン形成用基材1の作製>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液1を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液1>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
水以外の成分濃度が16質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液1を乾燥後質量として32.8g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層1を形成した。
この様にして得たインク溶媒吸収層1上に、下記組成のオーバーコート塗液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。オーバーコート塗液1の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。
<オーバーコート塗液1>
塩化ナトリウム 1.0g
水 99.0g
更に下記組成のオーバーコート塗液2を、オーバーコート塗液1を塗布したのと同じ斜線グラビアロールを用いた塗布方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、導電性パターン形成用基材1を得た。オーバーコート塗液2の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。
<オーバーコート塗液2>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(スミエリート1010、住友化学株式会社、平均粒子径200nm、Tg0℃)
水 99.0g
<導電性パターン形成用基材2の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液2を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液2>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ジグリセリン 6.0g
(ジグリセリンS、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン0.9質量%、ジグリセリン95.4質量%)
水以外の成分濃度が17質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液2を乾燥後質量として34.5g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層2を形成した。インク溶媒吸収層2はグリセリンとジグリセリンを合計量として5質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層2上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材2を得た。
<導電性パターン形成用基材3の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液3を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液3>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ジグリセリン 12.7g
(ジグリセリンS、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン0.9質量%、ジグリセリン95.4質量%)
水以外の成分濃度が18質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液3を乾燥後質量として36.5g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層3を形成した。インク溶媒吸収層3はグリセリンとジグリセリンを合計量として10質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層3上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材3を得た。
<導電性パターン形成用基材4の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液4を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液4>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ジグリセリン 20.1g
(ジグリセリンS、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン0.9質量%、ジグリセリン95.4質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液4を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層4を形成した。インク溶媒吸収層4はグリセリンとジグリセリンを合計量として15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層4上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材4を得た。
<導電性パターン形成用基材5の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液5を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液5>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ジグリセリン 28.5g
(ジグリセリンS、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン0.9質量%、ジグリセリン95.4質量%)
水以外の成分濃度が20質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液5を乾燥後質量として41.0g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層5を形成した。インク溶媒吸収層5はグリセリンとジグリセリンを合計量として20質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層5上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材5を得た。
<導電性パターン形成用基材6の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液6を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液6>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
グリセリン 20.4g
(グリセリン、昭和化学株式会社、グリセリン95質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液6を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層6を形成した。インク溶媒吸収層6はグリセリンを15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層6上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材6を得た。
<導電性パターン形成用基材7の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液7を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液7>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ポリグリセリン(重合度4) 20.5g
(ポリグリセリン#310、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン7.3質量%、ポリグリセリン87.2質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液7を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層7を形成した。インク溶媒吸収層7はグリセリンとポリグリセリンを合計量として15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層7上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材7を得た。
<導電性パターン形成用基材8の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液8を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液8>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ポリグリセリン(重合度6) 21.5g
(ポリグリセリン#500、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン0.1質量%、ジグリセリン3.6質量%、ポリグリセリン86.2質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液8を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層8を形成した。インク溶媒吸収層8はグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンを合計量として15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層8上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材8を得た。
<導電性パターン形成用基材9の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液9を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液9>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ポリグリセリン(重合度10) 21.5g
(ポリグリセリン#750、坂本薬品工業株式会社、
グリセリン1.1質量%、ポリグリセリン88.9質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液9を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層9を形成した。インク溶媒吸収層9はグリセリンとポリグリセリンを合計量として15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層9上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材9を得た。
<導電性パターン形成用基材10の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液10を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液10>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ポリグリセリン(重合度20) 21.5g
(ポリグリセリン20PW、株式会社ダイセル、ポリグリセリン90質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液10を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層10を形成した。インク溶媒吸収層10はポリグリセリンを15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層10上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材10を得た。
<導電性パターン形成用基材11の作製>
前記導電性パターン形成用基材1の作製に用いた無機微粒子分散液を用い、下記組成のインク溶媒吸収層塗液11を作製した。
<インク溶媒吸収層塗液11>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 9g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ポリグリセリン(重合度40) 21.5g
(ポリグリセリンXPW、株式会社ダイセル、ポリグリセリン90質量%)
水以外の成分濃度が19質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に前述したインク溶媒吸収層塗液11を乾燥後質量として38.6g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、インク溶媒吸収層11を形成した。インク溶媒吸収層11はポリグリセリンを15質量%含有していた。こうして得られたインク溶媒吸収層11上に、導電性パターン形成用基材1と同様にオーバーコート塗液1およびオーバーコート塗液2を塗布・乾燥し、導電性パターン形成用基材11を得た。
このようにして得られた導電性パターン形成用基材1〜11を210mm×297mmのシート状に加工した。
<導電性部材1〜11の形成>
ピエゾ方式のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに平均一次粒子径が20nmの銀超微粒子を15質量%含有するインク(三菱製紙株式会社製、NBSIJ−MU01)を充填し、導電性パターン形成用基材1〜11、各々2枚に対し、幅4mm、長さ250mmの直線状導電性パターン25本を印刷した。印刷部分における銀超微粒子を含有するインクの1mあたりの塗布量は約23mlであった。
<高温環境下における断線の評価>
上記作製した導電性部材1〜11の直線状導電性パターン50本の両端に電圧を印加し、導電性パターン表面の温度が80℃となるようにした。またこの様に電圧を印加した導電性部材1〜11は、長手方向の両端を保持し宙吊りとした。この状態で20日間維持した後、直線状導電性パターン50本の導通を測定し、50本中断線が発生した本数が0の場合を◎、1〜2本の場合を○、3〜4本の場合を△、5本以上の場合を×として、高温環境下における断線の頻度を評価した。この結果を表1に示す。
Figure 0006879785
表1の結果より、本発明では高温環境下における断線が生じないあるいは生じ難いことが判る。
本発明の導電性パターン形成用基材、および本発明の導電性部材の形成方法は、例えばプラズマディスプレイパネル、航空機用液晶パネル、カーナビゲーション用液晶パネル等の、各種のフラットディスプレイパネルに貼合して用いられる透明電磁波シールド材の製造や、RFID、無線LAN、電磁誘導による給電や電磁波吸収等の用途で用いられる種々のアンテナの製造、サイネージや看板の用途で用いられるLED実装基板の製造、平面での加熱用途に用いられるフレキシブルヒーター基板や、静電チャックや静電モーターに用いられる基板などの単層あるいは数層で構成される導電性パターン基板の製造、更には各種フラットディスプレイパネルに用いられるTFTバックプレーン内のバス電極やアドレス電極の製造等に利用することが可能である。

Claims (2)

  1. 支持体上に、無機微粒子、ポリビニルアルコール、および硬膜剤を少なくとも含有するインク溶媒吸収層を有する導電性パターン形成用基材において、該インク溶媒吸収層が更に重合度が2〜20のポリグリセリンを、該インク溶媒吸収層の質量に対し7.5質量%以上30質量%以下で含有することを特徴とする導電性パターン形成用基材。
  2. 前記請求項1に記載の導電性パターン形成用基材が有するインク溶媒吸収層上に、少なくとも金属超微粒子を含有するインクを付与して導電性パターンを形成する導電性部材の製造方法。
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