JP2021027155A - 転写用基材の製造方法 - Google Patents

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成樹 志野
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Abstract

【課題】長期間に渡って保存されていた場合においても、粘着性を有する被転写体への転写性が劣化しない転写用基材が得られる、転写用基材の製造方法を提供する。【解決手段】支持体上に微粒子、樹脂バインダー、および硬膜剤を少なくとも含有する多孔質層形成塗布液を塗布して多孔質層を形成し、該多孔質層を30℃以上の温度で3日以上加温した後、該多孔質層上に解離層形成塗布液を塗布して解離層を形成する。【選択図】なし

Description

本発明は、パターンを被転写体へ転写するために用いられる転写用基材の製造方法に関する。
導電性パターンの製造方法に関し、銀粉と樹脂バインダーおよび有機溶剤を含む高粘度の導電性樹脂ペーストを、スクリーン印刷法を用いて絶縁性材料に印刷し、導電性パターンを製造する方法や、金属超微粒子を含むインクを、インクジェット印刷法を用いて絶縁性材料に印刷し、導電性パターンを製造する方法等が検討されている。
近年では、特にスマートフォンに代表されるハンドヘルドタイプの電子機器の進展が著しく、コストダウンや機器の薄型化の要求が進む中、外装筐体の内面への導電性パターンの形成が求められている。しかし外装筐体そのものは基本的に立体物であり、先のスクリーン印刷法やインクジェット印刷法は平面を対象とする印刷方法であるため、表面に凹凸がある物品や、曲面を有する物品への印刷は困難であった。
上記した凹凸や曲面を有する物品表面にパターンを形成する方法として、転写用基材上にパターンをインクジェットプリンタで印刷した後、該パターンを被転写体である物品に加熱・圧着する手法が知られている。この様な手法に用いる転写シートとして例えば特開2007−313847号公報(特許文献1)には、基材となるフィルム上に平均粒子径が300nm以下の無機粒子及び、該無機粒子に対してバインダーを5〜50質量%含有するインク受容層を有し、更に、その上にガラス転移点が0〜50℃の熱可塑性樹脂からなる接着剤層を有するインクジェット記録用インク受容層転写シートが開示されている。しかしながら、該転写シートを用い導電性パターンの転写を行っても、導電性パターンと共にインク受容層が被転写体に転写され、転写されたインク受容層が導電性パターン表面を覆ってしまうため、他の部材と電気的な接続を行うことができず、導電性パターンとして利用することは困難であった。
また、導電性パターンそのものを被転写体へ転写する方法として、特開2010−135692号公報(特許文献2)には、離型性耐熱基板上に、平均粒子径が1〜100nmの導電性金属系粒子を含む分散液をインクジェット記録方式で印刷し、焼成することにより形成された幅200μm以下の配線からなる配線回路を有する転写用配線回路板を用い、支持基材の少なくとも一方の面に、該配線回路を、粘着剤層を介して転写する方法が開示されているが、離型性耐熱基板はインク吸収性を有さないため、微細な導電性パターンの形成が難しいという課題があった。
一方、特開2008−4375号公報(特許文献3)には、金属超微粒子を含有する金属コロイドを用いた導電性発現方法が開示され、該金属コロイドを形成する分散媒を吸収するために、無機微粒子と該無機微粒子に対し80質量%以下のバインダーからなる多孔質層を有する基材が開示されている。しかしながら該多孔質層上に導電性パターンを形成し、該導電性パターンを例えば粘着剤層を有する被転写体と密着させることでパターンの転写を試みた場合、粘着剤層中の粘着剤が多孔質層に一部吸収され非常に強固に粘着することから、被転写体を剥がすことができない、あるいは剥がした被転写体に導電性パターンと共に多孔質層も転写されてしまう等の問題があり、上手く転写することは困難であった。
上記した課題を解決し、容易に導電性パターンを転写可能な転写用基材として、例えば特開2014−192275号公報(特許文献4)には、支持体上に多孔質層と、該多孔質層上にコロイダルシリカを主成分とする層を有する転写用基材が開示されている。該コロイダルシリカを主成分とする層は解離層として作用することから、粘着性を有する被転写体へ、容易に導電性パターンを転写することが可能であるが、長期間に渡って保存されていた転写用基材を使用すると、転写性が劣化し、転写用基材に導電性パターンが残留してしまうという問題があり改善が求められていた。
特開2007−313847号公報 特開2010−135692号公報 特開2008−4375号公報 特開2014−192275号公報
本発明の目的は、長期間に渡って保存されていた場合においても、粘着性を有する被転写体への転写性が劣化しない転写用基材が得られる、転写用基材の製造方法を提供するものである。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
導電性微粒子を含むインクによって形成されたパターンを一旦保持し、該パターンを被転写体に転写するために用いられる転写用基材の製造方法であって、支持体上に微粒子、樹脂バインダー、および硬膜剤を少なくとも含有する多孔質層形成塗布液を塗布して多孔質層を形成し、該多孔質層を30℃以上の温度で3日以上加温した後、該多孔質層上に解離層形成塗布液を塗布して解離層を形成することを特徴とする転写用基材の製造方法。
本発明によれば、長期間に渡って保存されていた場合においても、粘着性を有する被転写体への転写性が劣化しない転写用基材が得られる、転写用基材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における転写用基材とは、導電性微粒子を含むインクによって形成されたパターンを一旦保持し、次いで該パターンを粘着性を有する被転写体に転写する用途に供する基材である。
本発明の転写用基材を用いてパターンが転写される被転写体は、パターン転写時に粘着性を有することが必要であり、例えば基材上にアクリルやシリコーンなどの粘着剤が塗布された粘着テープ、あるいは立体成形加工されたシリコーンゴム等の様に、常温で粘着性を有するフィルムや成型物が例示される。また他の被転写体としては、例えばホットメルトフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムあるいは射出成形や3Dプリント造型により立体成型加工された熱可塑性樹脂等の様に、常温では粘着性を有さないが加熱により粘着性が生じるフィルムや成型物が例示される。他にも、例えばエポキシ樹脂シート等の熱硬化性樹脂で形成されたフィルムあるいは炭素繊維強化樹脂成型用プリプレグ等の様に、常温で粘着性を有するが加熱により粘着性を失うフィルムや成型物、また例えばポリイミドカバーレイフィルム等の熱硬化性樹脂が塗布されたフィルムあるいはガラスエポキシプリプレグ等のBステージシート状成型物等の様に、常温では粘着性を有さないが加熱により粘着性が生じ、更なる加熱により硬化する(粘着性を失う)フィルムあるいは成型物が例示される。また、例えばUV剥離(硬化)テープ等の様に、通常は粘着性を有するが電子線(EB)や紫外線等の活性エネルギー線の照射により粘着性を失う紫外線硬化樹脂が塗布されたフィルムあるいは成型物が例示される。
転写用基材は製造後直ちに使用されることはなく、通常は大型ロール形状に巻き取られた状態で保管され、必要に応じシート形状あるいは小型ロール形状にカットあるいはスリットした後に出荷される。一般的に製造後使用するまでに少なくとも30日以上の期間に渡って常温で保存され、更に該保存期間が60日を超えることも多い。この様な場合において前記した転写性の劣化はより顕著に現れるが、本発明はとりわけ有効に作用する。
本発明の転写用基材が有する支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂からなるフィルム、紙、不織布、布、各種金属等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また用途に応じこれら支持体を適宜組み合わせることができ、例えば、紙をポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙が挙げられる。
上記した支持体の中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、およびポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートから選択された樹脂フィルムが好ましい。
また、上記した支持体の中でも、各種樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体は、非吸液性支持体と多孔質層との接着性を改善するために、非吸液性支持体と多孔質層との間に、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等を含有する公知の下塗層を設けることや、予め接着性を改善するための層が設けられた易接着処理品(例えば易接着処理がなされたポリエチレンテレフタレートフィルム)を用いることが好ましい。また、コロナ処理あるいはプラズマ処理により非吸液性支持体の濡れ性を改善することも好ましい。
上記した下塗層の固形分塗布量としては、0.5g/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.3g/m以下、更に好ましくは0.1g/m以下である。下限は0.01g/m以上であることが望ましい。
本発明において転写用基材が有する多孔質層は、パターンを形成するために用いられるインク(導電性微粒子を含むインク)が含有する水あるいは有機溶剤といった分散媒を吸収する機能を担う。
本発明において転写用基材が有する多孔質層は、微粒子、樹脂バインダーおよび硬膜剤を少なくとも含有する。中でも多孔質層は微粒子を主体に含有する層であることが、導電性微粒子を含むインクが含有する分散媒の吸収性の観点から好ましい。微粒子を主体に含有するとは、多孔質層の全固形分中に占める微粒子の割合が50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上である。多孔質層が含有する微粒子としては、公知の微粒子を広く用いることができる。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−イソプレン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の有機微粒子が挙げられる。有機微粒子は上記した少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等を挙げることができる。無論、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を共に含有することもできる。上記した微粒子の中でも、前記した分散媒の吸収性の観点から無機微粒子を含有することが好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が特に好ましい。また、転写用基材に可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物が好適である。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ及びその他に大別することができる。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。本発明において多孔質層が含有する湿式法シリカとしては、沈降法シリカあるいはゲル法シリカを用いることが好ましく、沈降法シリカがより好ましい。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として、丸尾カルシウム(株)からトクシール(登録商標)、ファインシール(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシル(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲル(登録商標)として、GCPジャパン(株)からシロイド(登録商標)、シロジェット(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。
本発明に用いられる湿式法シリカとしては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均二次粒子径は500nm以下である湿式法シリカが好ましく、より好ましくは20〜300nmである。湿式法シリカは水性媒体中で粉砕し分散された湿式法シリカ微粒子分散液の形で使用されることが好ましい。粉砕方法としては、湿式法シリカ粒子を機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により粉砕を行うものであり、ウィリー・エ・バッコーフェン社よりダイノーミルとして、淺田鉄工(株)よりグレンミル(登録商標)として、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミル(登録商標)として市販されている。具体的にはプロペラ羽根型撹拌機、のこぎり歯状ブレード型撹拌機、ホモミキサー型撹拌機等で湿式法シリカと水性媒体を予備混合した後、メディアミルを用いて湿式法シリカを粉砕し、湿式法シリカ微粒子分散液とすることが好ましい。また更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を用いて粉砕し湿式法シリカ微粒子分散液とすることも好ましい。
本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱方式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA910)や動的光散乱方式の粒度分布計(例えば、大塚電子(株)製、PAR−III)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル(登録商標)、(株)トクヤマからレオロシール(登録商標)として市販されている。
本発明において多孔質層が含有する気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜300nmである。気相法シリカは水性媒体中に分散された気相法シリカ微粒子分散液の形で使用される。具体的には、プロペラ羽根型撹拌機、のこぎり歯状ブレード型撹拌機、ホモミキサー型撹拌機等で気相法シリカと水性媒体を予備混合した後、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散し、気相法シリカ微粒子分散液とすることが好ましい。
本発明において、平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液あるいは気相法シリカ微粒子分散液の製造にあたり、高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているアルカリ性化合物、またはカチオン性化合物、あるいはシランカップリング剤を用いることができるが、カチオン性化合物を用いることがより好ましい。
上記したカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ジアリルアミン誘導体由来の構造単位を有する重合物、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基や4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特にジアリルアミン誘導体由来の構造単位を有する重合物が好ましく用いられる。湿式法シリカあるいは気相法シリカの分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオン性化合物の分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明において多孔質層が好ましく含有するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕したものが使用できる。アルミナの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは20〜300nmである。
本発明において多孔質層が好ましく含有するアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。アルミナ水和物の平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nmである。
本発明において多孔質層が好ましく含有する上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散され、アルミナ微粒子分散液、及びアルミナ水和物微粒子分散液の形で使用されることが好ましい。
本発明において、多孔質層は上記した微粒子と共に樹脂バインダーを含有する。該樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性、シリル変性、カチオン性基変性、ジアセトンアクリルアミド変性、アセトアセチル変性などの各種変性ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などの天然高分子化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックスなどのラテックス類、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性合成樹脂系接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤等を挙げることができ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これらの内、好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールである。これらポリビニルアルコールの平均重合度は200〜5,000であることが好ましい。
微粒子に対する樹脂バインダーの含有量は特に限定されないが、微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して3〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%の範囲である。
また多孔質層は、上記した多孔質層を構成する上記樹脂バインダーと共に硬膜剤を含有する。硬膜剤の具体的な例としては、グリオキシル酸ナトリウム、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、チタンアセチルアセテートの如き多価金属化合物、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンの如きアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインの如きヒドラジン化合物、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の含有量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。下限は0.1質量%以上であることが好ましい。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合、硬膜剤はホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましい。これら硬膜剤の使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。下限は0.1質量%以上であることが好ましい。
その他、多孔質層は必要に応じ、防腐剤、界面活性剤、着色染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子の分散剤、消泡剤、レベリング剤、粘度安定剤、pH調節剤などを含有することができる。また、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報等に記載される導電性発現剤を含有することが好ましい。
多孔質層は2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの多孔質層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば湿式法シリカを含有する多孔質層の上に、アルミナ水和物を含有する多孔質層が形成されていても良い。
多孔質層の固形分塗布量は1〜100g/mが好ましく、5〜60g/mがより好ましい。
多孔質層は、微粒子と樹脂バインダー、硬膜剤等を適当な溶媒に溶解または分散させて多孔質層形成塗布液を調製し、支持体上に該多孔質層形成塗布液を塗布して形成される。塗布方式としてはスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等による塗布方式が例示される。またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等、公知の各種印刷方法を利用して、支持体表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行うことができる。また、塗布を行った後、鏡面ロールに圧接するキャスト処理を行い表面を平滑にすることや、カレンダー処理を行い表面を平滑にすることもできる。
本発明の転写用基材の製造方法では、上記した多孔質層上に解離層形成塗布液を塗布して解離層を形成する。解離層とは、パターンを被転写体へ転写する際に多孔質層とパターンを分離する層であり、被転写体へ転写する際に加熱を要する場合には、該解離層は溶融あるいは粘着性を示さない層であることが好ましく、該解離層は無機微粒子を主成分として含有することが好ましい。ここで無機微粒子を主成分として含有するとは、解離層の全固形分量に対して無機微粒子が93質量%以上であることを示し、好ましくは98質量%以上である。
本発明において解離層が含有する無機微粒子としては、公知の無機微粒子を広く用いることができる。例えば炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化錫等の無機微粒子を例示することができ、これらを2種以上併用してもよい。インクが含有する分散媒の吸収性の観点から非晶質合成シリカが好ましく、非晶質合成シリカの一種類であるコロイダルシリカを用いることが特に好ましい。
コロイダルシリカとしては、シリカゾルから弱アルカリ性下で粒子成長させたそのままのタイプ、イオン交換によりアルカリを減量したタイプ、格子の珪素原子の一部をアルミニウム原子に置換してアニオン性を強化したタイプ、アルミナ表面処理によりカチオン性にしたタイプ、アルコキシシランを原料にゾルゲル法で合成されたタイプ等が例示されるが何れも使用可能である。コロイダルシリカはアルカリに若干溶解するのでアルカリが残っている方が結着力の面で有利と考えられるが、イオン交換したタイプでも実用上問題なく使用できる。また、コロイダルシリカがシリカあるいは金属酸化物を含有するシリカにより結合し、一平面内に伸張した鎖状形状を有するコロイダルシリカを含むことも好ましい。これらコロイダルシリカは、例えば日産化学(株)よりスノーテックス(登録商標)、扶桑化学工業(株)よりクォートロン(登録商標)として市販されている。
解離層が含有するコロイダルシリカの平均一次粒子径は10〜200nmであることが好ましく、20nm〜150nmがより好ましい。平均一次粒子径が10nm未満であると多孔質層の空隙を塞ぎ、インクが含有する分散媒の吸収性が低下する場合がある。平均一次粒子径が200nmを超えると、解離層を形成する際に使用される塗布液において、コロイダルシリカが沈降し塗布に支障をきたす場合がある。
本発明において解離層が含有する無機微粒子以外の成分としては、例えばポリビニルアルコールに代表される水溶性樹脂や、公知のラテックス類等の樹脂バインダー、該樹脂バインダーの硬膜剤、その他界面活性剤等を挙げることができる。
本発明において解離層の固形分塗布量は、0.01g/m以上であることが好ましく、0.1g/m以上がより好ましい。固形分塗布量が0.01g/m未満であると、被転写体へ多孔質層が転写されてしまう場合がある。解離層の固形分塗布量の上限は特にないが、5g/mを超えると無機微粒子を主成分とする解離層に亀裂や脱落の生じる可能性が高くなり好ましくない。解離層に亀裂や脱落が生じると導電性パターンに断線が生じる可能性が高くなる。よって上限は5g/m以下であることが好ましい。
解離層形成塗布液の塗布は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、あるいはスクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等を利用して、予め支持体上に作製された多孔質層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い解離層を形成することができる。特に好ましくは、リバースグラビアロール方式の中でも、ロールの直径が100mm以下(より好ましくは20〜80mm)の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)を用いる方式である。
本発明においては、前記した多孔質層形成塗布液を支持体上に塗布・乾燥し、多孔質層を形成してから、30℃以上、好ましくは40℃以上の環境下で、3日以上、好ましくは8日以上加温した後、無機微粒子を主成分とする解離層形成塗布液の塗布を行う。加温する温度の上限は多孔質層の脆化を抑制する観点から100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。加温する期間の上限は特にないが、生産性の観点から30日以下であることが好ましい。また、室温や気温が30℃以上である場合には、加温する操作は特に必要としないが、例えば日本薬局方によると常温は15〜25℃と定義されており、また国際度量衡総会(GCPM)では常温を27℃と定義されていることから、この様な室温や気温が30℃以上である場合も、本発明における加温に含むものとする。また加温する期間は連続していても、連続していなくても良く、合計の期間が3日(72時間)以上であれば良い。
本発明により得られる転写用基材には導電性微粒子を含むインクを用いて導電性パターンが形成される。本発明に用いられる導電性微粒子を含むインクは、公知のインクを広く用いることができ、例えば銀ナノインク、銅ナノインク、ニッケルインク、カーボンインク、銀ペースト、カーボンペースト等を例示することができる。なお本発明においてインクとの用語は、比較的粘度の高いペーストも含むものとする。導電性に優れ、形成された導電性パターンが酸化されにくい点から、銀超微粒子を含有する銀ナノインクを用いることが好ましい。銀ナノインクは、例えば三菱製紙(株)よりNBSIJシリーズとして市販されている。
本発明において、導電性微粒子を含むインクは、様々な印刷方法あるいは塗布方式によりパターン形成される。パターン形成方法としては、例えば線状の塗布を行うことができるディスペンサー印刷方法を用いたパターン形成方法、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法を用いたパターン形成方法、凸版印刷、フレキソ印刷、平版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、枚葉スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷等の公知のパターン形成方法を例示することができる。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、転写用基材が有する解離層の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成すること、間欠塗工ダイコーター等を用い転写用基材が有する解離層の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成すること、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式とも言われる)を用い、転写用基材が有する解離層全体に導電性微粒子を含むインクを付着させて、パターンを形成することもできる。より好ましいパターン形成方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法を挙げることができる。
上記した印刷方法あるいは塗布方式により形成されたパターンは、上記したインクに含まれている分散媒を多孔質層が吸収した後、加熱により硬化あるいは焼成し導電性パターンとしても良いが、主に銀からなる金属超微粒子を含むインクを用い、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報等に記載される導電性発現剤を多孔質層および/または解離層に含有させ、化学的な作用により金属超微粒子同士を結合し導電性パターンとすることが好ましい。化学的な作用により金属超微粒子同士を結合させた場合、得られる導電性パターンは多孔質となるため、被転写体表面の粘着性を有する樹脂成分が導電性パターン内部へ拡散し、被転写体との間に高い密着力を得ることができる。かかる導電性発現剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム等を例示することができる。
本発明において、転写用基材の解離層上に形成されたパターンは粘着性を有する被転写体へ転写される。転写は、パターンが形成・保持されている転写用基材のパターンが形成された面と、粘着性を有する被転写体を粘着性が発現している状態で貼合し、その後これらを剥離することによってなされる。
例えば被転写体が立体物である場合には、被転写体に、パターンが形成、保持されている転写用基材のパターン形成面を貼合し剥離することにより行われ、例えば被転写体がプリプレグ等のシート状物であればロールラミネーターを使用したラミネート法により、パターンが形成、保持されている転写用基材のパターン形成面を被転写体に圧着、剥離する方法が好ましい。
本発明において被転写体の粘着力は、JIS Z0237に準じて、ステンレス試験板を用い、剥離角度180度にて測定され、幅25mmあたりの粘着力(N/25mm)として示される。本発明において、粘着性を有する被転写体の好ましい粘着力は、0.1〜20N/25mmであり、より好ましくは0.2〜10N/25mmである。粘着力が0.1N/25mm未満では、導電性パターンの転写を行うことができない場合があり、20N/25mmを超えると、転写用基材の剥離が困難となる場合がある。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
(実施例1)
水に硝酸2.5質量部とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)100質量部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、該アルミナ水和物を分散し、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成塗布液を作製した。
<多孔質層形成塗布液>
無機微粒子分散液 (アルミナ水和物固形分として)100質量部
ポリビニルアルコール 9質量部
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.4質量部
ノニオン性界面活性剤 0.3質量部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
成分濃度が16質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション(株)製)を用い、該支持体上に前述した多孔質層形成塗布液を固形分塗布量として32g/mとなるようにスライドビード方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、多孔質層を形成した。
この様にして得た多孔質層上に、下記組成の導電性発現剤塗布液を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式にて塗布を行い、乾燥機により乾燥した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、多孔質層の搬送方向に対して該グラビアロールをリバース回転で用いた。導電性発現剤塗布液の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。
<導電性発現剤塗布液>
塩化ナトリウム 0.6質量部
水 99.4質量部
上記の導電性発現剤塗布液を塗布・乾燥し形成された多孔質層を30℃6日の加温を行った後、下記組成の解離層塗布液を、前述した導電性発現剤塗布液の塗布と同様にして多孔質層上に塗布を行い、乾燥機により乾燥し転写用基材1を得た。解離層塗布液の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。多孔質層上に形成された解離層の固形分塗布量は0.6g/mであった。
<解離層塗布液>
コロイダルシリカ20質量%スラリー 15.0質量部
(扶桑化学工業(株)製クォートロンPL−3L、平均一次粒子径35nm)
水 85.0質量部
(実施例2)
実施例1の多孔質層の加温条件を30℃6日から30℃10日に変更した以外は実施例1と同様にして、転写用基材2を得た。
(実施例3)
実施例1の多孔質層の加温条件を30℃6日から40℃6日に変更した以外は実施例1と同様にして、転写用基材3を得た。
(実施例4)
実施例1の多孔質層の加温条件を30℃6日から40℃10日に変更した以外は実施例1と同様にして、転写用基材4を得た。
(実施例5)
実施例1の多孔質層の加温条件を30℃6日から40℃30日に変更した以外は実施例1と同様にして、転写用基材5を得た。
(比較例1)
実施例1の多孔質層の加温条件を30℃6日から30℃2日に変更した以外は実施例1と同様にして、転写用基材6を得た。
(比較例2)
実施例1の多孔質層の加温条件を30℃6日から20℃6日に変更した以外は実施例1と同様にして、転写用基材7を得た。
(比較例3)
実施例1の多孔質層の加温を実施せず、導電性発現剤塗布液を塗布・乾燥し形成された多孔質層に直ちに解離層塗布液を塗布した以外は実施例1と同様にして、転写用基材8を得た。
(比較例4)
実施例1の多孔質層の加温を実施せず、導電性発現剤塗布液を塗布・乾燥し形成された多孔質層に直ちに解離層塗布液を塗布し、更に解離層塗布液を塗布・乾燥した後に40℃6日間の加温を実施した以外は実施例1と同様にして、転写用基材9を得た。
<保存前転写用基材上への印刷>
転写用基材1〜9をA4サイズにそれぞれ裁断し、銀ナノインク(三菱製紙(株)製NBSIJ−MU01、銀濃度15質量%)を入れたピエゾタイプのインクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製PX−S160T)に該転写用基材1〜9をそれぞれセットし、50mm×50mmのベタパターン(面状パターン)をA4用紙中央に一つ配置した画像を枚葉印刷した。銀ナノインクの吐出量は20ml/mであり、ベタパターンの厚みは0.7μmであった。
<保存前転写性の評価>
転写用基材1〜9上に形成されたベタパターン上に、粘着面のJIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定された粘着力が7.5N/25mmである(株)寺岡製作所製カプトン(登録商標)粘着テープ654Sの粘着面を圧着・剥離し、ベタパターンの転写を行った。転写用基材上に残留したベタパターンを以下の基準により評価し、転写性の評価とした。この結果を表1に示す。
×:転写用基材上に残留したベタパターンの面積が10%以上。
△:転写用基材上に残留したベタパターンの面積が1%以上10%未満。
○:転写用基材上に残留したベタパターンの面積が1%未満。
<保存後転写用基材上への印刷>
転写用基材1〜9を20℃の環境下で60日間保存した後、A4サイズにそれぞれ裁断し、前記した保存前転写用基材上への印刷と同様にして印刷を行った。
<保存後転写性の評価>
前記した保存前転写性の評価と同様にして、保存後転写性評価を行った。
Figure 2021027155
表1の結果より、本発明の製造方法により得られた転写用基材1〜5は、長期間に渡って保存された場合においても粘着性を有する被転写体への転写性に優れていることが判る。

Claims (1)

  1. 導電性微粒子を含むインクによって形成されたパターンを一旦保持し、該パターンを被転写体に転写するために用いられる転写用基材の製造方法であって、支持体上に微粒子、樹脂バインダー、および硬膜剤を少なくとも含有する多孔質層形成塗布液を塗布して多孔質層を形成し、該多孔質層を30℃以上の温度で3日以上加温した後、該多孔質層上に解離層形成塗布液を塗布して解離層を形成することを特徴とする転写用基材の製造方法。
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