JP2013201311A - 導電性パターン形成用基材および導電性部材 - Google Patents

導電性パターン形成用基材および導電性部材 Download PDF

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昌治 赤岩
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Abstract

【課題】金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて形成された導電性パターンのにじみが少なく、かつ断線が生じにくい導電性パターン形成用基材、およびこれらに優れた導電性部材を提供する。
【解決手段】支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と、該多孔質層の上にガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を有する導電性パターン形成用基材。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを基材に印刷あるいは塗布することにより、RFID、無線LAN、電磁誘導による給電、電磁波吸収等に用いられる種々のアンテナや、電子回路等を製造するために用いられる導電性パターン形成用基材、および導電性部材に関する。
近年、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用いたプリンタブルエレクトロニクスが注目されている。
印刷による導電性パターンの製造に関し、従来は銀粉と樹脂バインダーおよび有機溶剤を含む高粘度の導電性樹脂ペーストを、スクリーン印刷方法等の高粘度ペーストに適した印刷方法を用いパターン化していた。しかしながら、適用出来る印刷方法が少ないこと、銀粉のサイズが大きいために細線の印刷が困難であること等の理由により、近年は金属超微粒子を含むインクあるいはペーストをインクジェット印刷によりパターン化する試みが盛んになされている。
従来、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用いてパターン化された金属超微粒子含有部は、導電性を発現させるために200℃程度での焼結が必要とされていた。しかし金属超微粒子を含むインクやペーストが利用出来る基材は、200℃程度の焼結温度で軟化しない材料に制限されるため、より低温で焼結可能なインクあるいはペーストの製造方法が、例えば特開2002−338850号公報や特開2005−81501号公報に開示されている。
印刷に用いられる導電性パターン形成用基材としては従来、ガラス類やセラミック類のみならず、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等の各種フィルムが使用されるが、焼結工程を無くすことで基材の選択制をより広げる試みもされており、例えば特開2008−4375号公報(特許文献1)、特開2008−235224号公報(特許文献2)等には、銀超微粒子を加熱することなく、非常に高い導電性を得ることが可能な導電性パターン形成用基材として、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物や還元性物質等を含有する多孔質層を有する導電性パターン形成用基材が開示されている。
また、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて導電性部材を製造する際、導電性パターンの微細化への対応が難しく、パターン形成時に生じるにじみを改善する導電性パターン形成用基材として、例えば特開2003−229653号公報(特許文献3)には支持体上に多孔質な溶媒浸透層と無機酸化物微粒子を含有する凝集促進層を有する導電性パターン形成用基材が開示され、また画像のにじみと導電性パターンの密着性を改善する導電性パターン形成用基材として、例えば特開2010−165997号公報(特許文献4)には支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と多孔質層の上層に樹脂を主成分とする層を有する導電性パターン形成用基材が開示される。このような導電性パターン形成用基材を用いることで導電性パターンの微細化への対応が可能となる。
一方で、近年のプリンタブルエレクトロニクスの拡大に伴って、例えば上記した種々のアンテナや電子回路を、ACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電接続用ペースト/導電粒子有り)やNCP(Non−Conductive Paste:異方性導電接続用ペースト/導電粒子無し)により、ICチップを実装することが求められている。しかし上記したようなパターンの微細化が可能な導電性パターン形成用基材にパターンを形成した導電性部材を実装しようとした場合、断線が生じる場合があり、改善が求められていた。
他方、特開2007−211127号公報(特許文献5)には、ACPやNCPにより膨潤し難く高導電銀ペーストとの密着性に優れる回路基板として、基材上に、ガラス転移点が80℃以上の第一樹脂と、該第一樹脂よりもガラス転移点が低い第二樹脂と、硬化剤を少なくとも含有するプライマー層を備えた回路基板が開示されている。
特開2008−4375号公報 特開2008−235224号公報 特開2003−229653号公報 特開2010−165997号公報 特開2007−211127号公報
本発明の目的は、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて形成された導電性パターンのにじみが少なく、かつ断線が生じにくい導電性パターン形成用基材、およびこれらに優れた導電性部材を提供するものである。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と、該多孔質層の上にガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を有する導電性パターン形成用基材。
2.上記1に記載の導電性パターン形成用基材に、金属超微粒子を含有するインクあるいはペーストを付与することで得られた導電性部材。
本発明によれば、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて形成された導電性パターンのにじみが少なく、かつ断線が生じにくい導電性パターン形成用基材、およびこれらに優れた導電性部材を提供することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における導電性パターン形成用基材とは、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを印刷や塗布等の各種手法を用いてパターン化し導電性パターンを形成するために用いられる基材である。
本発明における導電性パターン形成用基材は、支持体の上に形成された微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と、更に該多孔質層の上に、ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を有する。また上記した多孔質層および最表層は必要に応じ、支持体の両面に設けても良い。
微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層は、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストが含有する分散媒を速やかに吸収する役目を担い、これにより印刷あるいは塗布された導電性パターンのにじみを抑制する。
ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層(以下、本発明の最表層とも記載する。)は、ACPやNCPにより実装した際に生じる断線を防止すると共に、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストが含有する分散媒を、上記した多孔質層へと速やかに移動させ、かつ形成される導電性パターンに十分な強度を付与し、結果、にじみが少なく、かつ断線が生じることのない導電性部材を形成することが可能となる。
なお、本発明でいう細孔容量は、例えば水銀圧入式細孔分布測定装置(マイクロメリテックス社製オートポアIV9500等)を用いて水銀圧入法で測定出来る。
本発明における支持体としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル・塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂類よりなるフィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、紙、不織布、布、各種金属、各種セラミックス等を挙げることが出来る。また用途に応じこれら支持体を適宜組み合わせることが出来、例えば、銅箔とポリイミドを積層したフレキシブルプリント基板材料や、紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることが出来る。更には、これらの樹脂等を使用し、立体形状に成型された物体も支持体として使用可能である。
これらの中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートからなる支持体が好ましい。
上記した支持体の中でも、各種樹脂からなるフィルム、ガラス、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、多孔質層を形成する塗液の塗布性と多孔質層の支持体に対する接着性を改善するために、支持体と多孔質層との間に、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等からなる公知の下塗層を設けることが出来る。また、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは易接着処理品として下塗層をあらかじめ設けた状態で市販されており、これを用いても良い。また、コロナ処理あるいはプラズマ処理により支持体の濡れ性を改善することも好ましい。
下塗層の固形分塗布量としては、0.5g/m以下であり、好ましくは0.3g/m以下、更に好ましくは0.1g/m以下である。
本発明の、微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層とは、微粒子と微粒子に対し80質量%以下の樹脂バインダーを含有する層であることが好ましい。用いられる微粒子としては、公知の微粒子を広く用いることが出来る。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ブタジエン系樹脂、スチレン/イソプレン系樹脂、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等を挙げることが出来る。無論、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を混合して用いることも出来る。上記の中でも、吸収性の観点からは無機微粒子を用いることが好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が特に好ましい。また無機微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましい。更に導電性パターン形成用基材に可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物を用いることが特に好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、およびその他に大別することが出来る。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。ゾル法シリカは球状の粒子であり多孔質層を形成し難いため沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、沈降法シリカがより好ましい。
微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層が含有する湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が1〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましい。
また、平均凝集粒子径が1〜50μmである湿式法シリカ粒子を、平均二次粒子径500nm以下に分散することがより好ましい。平均二次粒子径を500nm以下に分散することにより、形成される多孔質層中の細孔径が分散を行わない場合よりも微細となるため、金属超微粒子が細孔中に入り込み非導通状態となることが少なくなり、得られる導電性が良好となる。分散された湿式法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、透明性の観点から更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、(株)シンマルエンタープライゼスよりダイノミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミルとして、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミルとして市販されている。メディアミル等を用いて分散した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
ここで、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることが出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることが出来る。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することが出来る。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径500nm以下に分散することが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造する際に、スラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、カチオン性化合物の存在下で分散する方法、シランカップリング剤存在下で分散する方法等を挙げることが出来、カチオン性化合物の存在下で分散する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用出来る。
本発明のアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、およびアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、多孔質層を構成する微粒子と共に用いられる樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコールなど、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤等を挙げることが出来、これらを単独あるいは混合して用いることが出来る。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これらの内、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。平均重合度は200〜5000のものが好ましい。
微粒子に対する樹脂バインダーの含有量は特に限定されないが、微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して80質量%以下、更には3〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
本発明は、多孔質層を構成する上記樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることも出来る。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。硬膜剤の使用量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合には、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
多孔質層は2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの多孔質層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば湿式法シリカによる多孔質層の上に、アルミナ水和物による多孔質層が形成されていても良い。
本発明における多孔質層は、前記した微粒子を乾燥固形分量として1〜100g/m含有することが好ましく、より好ましくは5〜50g/mである。
本発明の導電性パターン形成用基材は、多孔質層の上に、ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を有する。
本発明の最表層が有するガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂としては、例えばポリイソプレン(−70℃)、ポリブタジエン(−85℃)、ポリエチレン(−110℃)、ポリプロピレン(−20℃)、ポリ塩化ビニリデン(−18℃)等が挙げられる。またこのような重合体が得られる複数のモノマーとの共重合体も好ましく用いることが出来、例えば特開2000−238419号公報、特開2008−230206号公報等に記載されているような方法を用いることが出来る。これらの熱可塑性樹脂は、最表層を塗設により設ける場合は、塗工液にエマルジョンの性状で添加することが好ましい。
例えば2種類のモノマーの共重合体からなる熱可塑性樹脂のガラス転移点は、両成分のガラス転移点(Tg)をTg(1)、Tg(2)、両成分の重量分率をw(1)、w(2)とした場合、1/Tg=w(1)/Tg(1)+w(2)/Tg(2)で表されるFoxの式をもって、計算で求めることも出来る。主な共重合体の例としては、スチレン−アクリル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、また市販される各種熱可塑性樹脂も好ましく利用することが出来る。
熱可塑性樹脂を含有する最表層の細孔容量を0.2ml/g以上とするためには、最表層は無機微粒子を含有することが好ましく、かかる無機微粒子としては、前述した微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層が含有する無機微粒子が挙げられる。また細孔容量を上記範囲にするためには最表層の全固形分に対して40質量%以上が無機微粒子であることが好ましい。最表層の細孔容量は0.4ml/g以上であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂を含有する最表層は、上記したガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂以外に、ガラス転移点が0℃を超える熱可塑性樹脂、および水溶性樹脂等を含有しても良いが、ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂の30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。また熱可塑性樹脂を含有する最表層は硬膜剤を含有することが出来る。
熱可塑性樹脂を含有する最表層は、全固形分量(乾燥固形分量)が0.1〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/mである。
次に本発明の導電性パターン形成用基材の製造方法について説明する。支持体の上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と、更に該多孔質層の上に、ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を形成するには、支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層を塗設した後、ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を塗設する方法(逐次塗布)、あるいは支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と、ガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を重層して塗設する方法(重層塗布)が挙げられる。
逐次塗布方法では、先に形成された多孔質層に対して最表層を塗設するため、最表層を塗工するための塗工液量によっては、先に形成された多孔質層内部から気泡が生じ、最表層表面の均一性を低下させる場合がある。このような気泡が生じた場合、断線の生じる頻度が高くなる場合がある。従って本発明の導電性パターン形成用基材の製造では、多孔質層と最表層を重層塗布することが好ましい。重層塗布方法としては、支持体上に、微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層を設けるための塗工液を塗布し、該塗工液の乾燥が始まる前に最表層を設けるための塗工液を塗布する逐次重層塗布方法、あるいは支持体上に、微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層を設けるための塗工液と、最表層を設けるための塗工液とを同時に塗布する同時重層塗布方法が挙げられる。
上記した塗布にあたっては、従来から一般に知られる各種塗布方式、例えばスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等の中から適宜選択し、あるいは各種塗布方法を適宜組み合わせて用いれば良い。また、塗布を行った後、鏡面ロールに圧接するキャスト処理を行い表面を平滑にすることやカレンダー処理を行い、表面を平滑にすることも出来る。また乾燥は、最表層が含有する熱可塑性樹脂のガラス転移点を超える温度で行うことが望ましい。
次に、本発明の導電性パターン形成用基材を用いて導電性部材を作成する際に使用する、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストについて説明する。かかる金属超微粒子を含むインクあるいはペーストは、水および/または有機溶媒中に金属超微粒子がコロイドとして分散されているインクあるいはペーストであり、金属種としては、金、銀、銅、ニッケル等を例示することが出来る。特に高い導電性、価格、生産性、扱いやすさ等の点から主に銀からなることが好ましい。主に銀からなるとは、金属超微粒子を含むインクあるいはペースト中に含まれる全金属超微粒子の50質量%以上が銀であることであり、好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、銀のみであってもよい。分散している金属超微粒子の平均一次粒子径は、金属超微粒子がコロイドとして安定した分散状態を保持する観点より、平均一次粒子径が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、更に50nm以下であることが特に好ましい。ここで平均一次粒子径とは、金属超微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均し求めたものである。
本発明における金属超微粒子を含むインクあるいはペースト中に含まれる金属超微粒子の含有量は、金属超微粒子を含むインクあるいはペースト全体の質量に対して1質量%から95質量%が好ましく、より好ましくは、3質量%から90質量%である。
金属超微粒子を含むインクあるいはペーストに用いられる金属超微粒子の分散媒は水および/または有機溶媒であり、水のみ、水と有機溶媒の混合物、有機溶媒のみの構成を挙げることが出来る。水と有機溶媒の混合物の構成としては、有機溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の水溶性の低沸点溶媒や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の水溶性の高沸点有機溶媒を添加することが出来る。有機溶媒のみの構成としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系高沸点有機溶媒、ジアセトンアルコール、イソホロン、γ−ブチルラクトン等のケトン系高沸点有機溶媒、2−フェノキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系高沸点有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート等のエステル系高沸点有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系高沸点有機溶媒、テレピン油、α−テルピネオール、ミネラルスピリット等が使用される。
金属超微粒子は、不活性ガス中で金属を蒸発させガスとの衝突により冷却・凝縮し回収するガス中蒸発法、真空中で金属を蒸発させ有機溶剤と共に回収する金属蒸気合成法、レーザー照射のエネルギーにより液中で蒸発・凝縮させ回収するレーザーアブレーション法、水溶液中で金属イオンを還元し生成・回収する化学的還元法、有機金属化合物の熱分解による方法、金属塩化物の気相中での還元による方法、酸化物の水素中還元法、紫外線や超音波、マイクロウェーブ等のエネルギーを利用する方法等、公知の種々の方法により製造された金属超微粒子を好ましく用いることが出来る。
金属超微粒子を含むインクあるいはペーストには増粘剤、帯電防止剤、UV吸収剤、可塑剤、高分子バインダー等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよく、例えば、UV硬化樹脂成分を含ませることにより、UV印刷あるいはUVインクジェット方式によるパターン形成に適した特性(UV硬化特性)を持たせることも出来る。
本発明において、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストは、低粘度の溶液状態から高粘度のペースト状態まで任意の形態に調整される。具体的には、導電性パターン形成用基材上に金属超微粒子を付与する方法に適した粘度、表面張力、金属超微粒子の大きさ・含有率等が調整される。例えば、グラビア印刷、インクジェット方式を用いる場合には、粘度を1〜100mPa・sの範囲に調整することが好ましく、凸版印刷やスクリーン印刷を用いる場合には、1〜500Pa・sの範囲に調整することが好ましい。
ペースト状態に調整する場合には、金属超微粒子の濃度を高くするだけでは所望の粘度を得ることは困難であるため、高分子バインダーあるいは増粘剤を添加することが好ましい。高分子バインダーとしては、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等、公知の各種高分子バインダーを使用することが出来る。増粘剤としてヒドロキシルプロピルセルロースやカルボキシメチルセルロース、ペクチン、ポリスチレンスルホン酸塩類、ポリアクリル酸等、公知の各種増粘剤を使用することが出来る。
本発明に用いられる金属超微粒子を含むインクあるいはペーストには、公知あるいは市販の導電性パターンを形成するために供されている金属超微粒子が含まれるコロイド、インクあるいはペーストを広く用いることが出来る。また、製造方法が簡便であり、下記の導電性発現剤を用いた場合における導電性にも優れていることから、例えばExperiments in Colloid Chemistry,1940,p.19,Hauser,E.A.and Lynn,J.E.に記載される方法の如く、デキストリンを用いて作製される銀超微粒子を用いることが好ましい。
本発明において、金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを、様々な印刷方法あるいは塗布方式により基材に付与することによりパターンが形成される。例えば線状の塗布を行うことが出来るディスペンサー印刷方法を用いた任意の線状のパターン形成、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法を用いた任意の線状あるいは面状のパターン形成、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、平版印刷方法、凹版印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等の公知の各種印刷方法により任意のパターンを形成することが出来る。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、導電性パターン形成用基材の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成すること、間欠塗工ダイコーター等を用い導電性パターン形成用基材の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成すること、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式ともいわれる)を用い、導電性パターン形成用基材全体に金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを付着させることも出来る。より好ましい印刷方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法を挙げることが出来る。
これらの方法によりパターン化された金属超微粒子を含むインクあるいはペーストは、含まれている分散媒を揮散させた後、加熱により焼成し導電性パターンとしても良いが、主に銀からなる金属超微粒子を含むインクあるいはペーストを用い、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報、特願2007−184064号公報に記載される主に銀からなる金属超微粒子に作用し導電性を発現させることが可能な物質(以下、導電性発現剤とする)を支持体、多孔質層、最表層、下塗層の何れか、あるいは複数層にわたり含有させ、化学的な作用により金属超微粒子同士を結合し導電性パターンとすることがより好ましい。含有させる層として、多孔質層あるいは最表層が特に好ましい。導電性発現剤として特に好ましいのは、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物、チオ硫酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩である。また、これらの物質を複数種類併用することも好ましい態様の一つである。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
<導電性パターン形成用基材1の作製>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度が30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成塗液1を作製した。
<多孔質層形成塗液1>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 12g
(ケン化度88%、平均重合度3500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.5g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
次に下記組成の最表層形成塗液1を作製した。
<最表層形成塗液1>
無機微粒子 80g
(ニップシールLP、平均二次粒子径8μmの沈降法シリカ、東ソー・シリカ(株)製)
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に多孔質層形成塗液1をアルミナ水和物の固形分として30g/mとなるように、および最表層形成塗液1を全固形分量が6g/mとなるように、スライドビード方式を用いて重層塗布し、乾燥した。
次に、上記した最表層上に下記組成の導電性発現塗液1を斜線グラビアロールを用いた塗布方式を用いて塗布を行い、乾燥機により乾燥した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。導電性発現剤塗液1の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。このようにして導電性パターン形成用基材1を得た。
<導電性発現剤塗液1>
塩化ナトリウム 1.0g
水 99.0g
形成された最表層の細孔容量は以下のようにして求めた。易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)に最表層形成塗液1を、全固形分量が10g/mとなるよう別途、塗布、乾燥し、形成した膜の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定した。この結果、最表層の細孔容量は0.33ml/gであった。
<導電性パターン形成用基材2の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液2に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材2を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、0.47ml/gであった。
<最表層形成塗液2>
無機微粒子 80g
(ニップシールAY200、平均二次粒子径2.3μmの沈降法シリカ、東ソー・シリカ(株)製)
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材3の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液3に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材3を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、0.56ml/gであった。
<最表層形成塗液3>
無機微粒子 120g
(ニップシールLP、平均二次粒子径8μmの沈降法シリカ、東ソー・シリカ(株)製)
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材4の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液4に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材4を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、0.83ml/gであった。
<最表層形成塗液4>
無機微粒子 70g
(ミズカシルP78A、平均二次粒子径3.3μmのゲル法シリカ、水澤化学(株)製)
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材5の作製>
<シリカ分散液1の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。平均二次粒子径は、堀場製作所製LA910を用いて測定すると130nmであった。
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液5に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材5を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、1.0ml/gであった。
<最表層形成塗液5>
シリカ分散液1(気相法シリカの固形分として) 480g
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材6の作製>
<シリカ分散液2の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーでシリカ分散液1の作製時よりも処理時間を延長して処理し、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。平均二次粒子径は、堀場製作所製LA910を用いて測定すると100nmであった。
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液6に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材6を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、1.3ml/gであった。
<最表層形成塗液6>
シリカ分散液2(気相法シリカの固形分として) 440g
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材7の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液7に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材7を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、0.1ml/gであった。
<最表層形成塗液7>
無機微粒子 40g
(ニップシールAY200、平均二次粒子径2.3μmの沈降法シリカ、東ソー・シリカ(株)製)
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(リカボンドEK−820、Tg=−35℃、中央理科工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材8の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液8に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材8を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、1.3ml/gであった。
<最表層形成塗液8>
シリカ分散液2(気相法シリカの固形分として) 440g
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(スーパーフレックスSF650、Tg=−17℃、第一工業製薬(株)製ウレタンカーボネート樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材9の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液9に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材9を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、1.3ml/gであった。
<最表層形成塗液9>
シリカ分散液2(気相法シリカの固形分として) 440g
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(スーパーフレックスSF500M、Tg=−39℃、第一工業製薬(株)製ウレタンエステル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材10の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を下記最表層形成塗液10に変更した以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材10を得た。また導電性パターン形成用基材1と同様にして最表層の細孔容量を水銀圧入式細孔分布測定装置で測定したところ、1.3ml/gであった。
<最表層形成塗液10>
シリカ分散液2(気相法シリカの固形分として) 440g
熱可塑性樹脂(固形分として) 100g
(ビニブラン2652、Tg=20℃、日信化学工業(株)製アクリル樹脂)
固形分濃度が12質量%になるように水で調整した。
<導電性パターン形成用基材11の作製>
導電性パターン形成用基材1の作製において、最表層形成塗液1を塗布しなかった以外は導電性パターン形成用基材1と同様にして、導電性パターン形成用基材11を得た。
<にじみ評価>
導電性パターン形成用基材1〜11に、下記組成の銀超微粒子インク1を入れた市販のピエゾ方式のインクジェットプリンタを用いて、幅2mm、長さ10cmの直線が直交するように描画し、導電性パターン形成用基材上に金属超微粒子含有部を形成した。
<銀超微粒子分散液1の作製>
内容積250mlのポリプロピレン製容器中に、直径1mmのジルコニアビーズを見かけ上の体積として50mlを投入した。この容器に、純水126gに硝酸銀73.2gおよびデキストリン(日澱化學(株)製、デキストリンNo.1−A)30.2gを溶解した溶液を入れ、容器全体を氷浴中に浸漬し約5℃まで冷却を行った。これに、純水54.6gに水酸化ナトリウム25.8gを溶解し、約10℃まで冷却した溶液を加え、直ちに容器を密閉し、容器の周囲に冷却済みの市販の保冷剤を巻き付け、毎分600回の振盪速度に設定したペイントシェイカーに装着し、1時間の混練を行い、銀超微粒子の生成を行った。混練後の溶液を酢酸でpH5に調整し、α−アミラーゼ(天野エンザイム(株)製、ビオザイムF10SD)0.1gを加え撹拌した後、40℃で1時間放置した。その後、遠心分離により銀超微粒子を沈殿させ、この沈殿物に純水を加え再分散した後、エタノールを加え、再び遠心分離を行い銀超微粒子を沈殿させた。この沈殿物に純水を適量入れ、再分散を行い、銀超微粒子が約50質量%含まれた銀超微粒子分散液1を得た。電子顕微鏡にて観察した結果、得られた銀超微粒子の平均一次粒子径は約15nmであった。
<銀超微粒子インク1>
銀超微粒子分散液1 40.0g
エチレングリコール 10.0g
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系ノニオン性界面活性剤 0.2g
水 49.8g
上記の金属超微粒子含有部が形成された導電性パターン形成用基材1〜11について、金属超微粒子含有部の形状に関して以下の基準に従い評価を行い、その結果を表1に示した。
○ :直線のエッジ部ににじみは殆どなく、線はシャープに形成されている。
△ :直線のエッジ部ににじみは殆どないが、直交部にややにじみが認められる。
× :直線のエッジ部ににじみがあり、線はシャープに形成されていない。
<ACPを用いた実装試験>
導電性パターン形成用基材1〜11に、上記した銀超微粒子インク1を入れた市販のピエゾ方式のインクジェットプリンタを用いて、幅0.5mm×長さ3cmの線を描画し金属超微粒子含有部を形成した。このようにして描画された細線の導電性をテスターにて調べたところ、何れの導電性パターン形成用基材においても導通が確認された。
フリップチップ実装機を用いて、上記導電性パターン形成用基材1〜11に形成した金属超微粒子含有部上に、市販のACPを使用してNXPセミコンダクターズ製のUHF帯RFID半導体チップを実装した。実装条件として、温度160℃、時間10秒として、圧力を0.1MPa、0.4MPa、1MPaと3水準変化させて加熱圧着を施した。加熱圧着後の断線状態を評価するため、再びテスターにて細線の導通具合を確認した。この時、導通が認められたものを○、断線し導通が認められなかったものを×として評価した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明によって金属超微粒子を含むインクを用いて形成された導電性パターンのにじみが少なく、かつ断線が生じにくい導電性パターン形成用基材、およびこれらに優れた導電性部材が得られることが判る。

Claims (2)

  1. 支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と、該多孔質層の上にガラス転移点が0℃以下の熱可塑性樹脂を含有する細孔容量が0.2ml/g以上の最表層を有する導電性パターン形成用基材。
  2. 前記請求項1に記載の導電性パターン形成用基材に、金属超微粒子を含有するインクあるいはペーストを付与することで得られた導電性部材。
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