JP2012023312A - 非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法および非接触型メディア - Google Patents
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Abstract
【課題】非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜を容易かつ高速に製造する方法を提供する。
【解決手段】支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有し、該多孔質層および/または該樹脂を主成分とする層にイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物およびチオ硫酸塩から選択される化合物を含有する基材を製造する第一の工程、基材上の樹脂層を主成分とする層上に平均粒径が0.1μm以下の銀超微粒子を含む銀超微粒子含有組成物を塗布あるいは印刷し導電性銀膜を形成する第二の工程を少なくとも具備する、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有し、該多孔質層および/または該樹脂を主成分とする層にイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物およびチオ硫酸塩から選択される化合物を含有する基材を製造する第一の工程、基材上の樹脂層を主成分とする層上に平均粒径が0.1μm以下の銀超微粒子を含む銀超微粒子含有組成物を塗布あるいは印刷し導電性銀膜を形成する第二の工程を少なくとも具備する、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法およびこれにより形成された導電性銀膜を有する非接触型メディアに関する。
非接触ICカードやHF帯、UHF帯等の各種電波帯域を用いるRFIDインレイ、RFIDタグ、RFIDラベル等、コネクタや端子等の物理的な電気的接点を用いず、電波などの電磁波を用い情報の授受を行う非接触型メディアは、例えば、電車搭乗用のICカード、店頭決済用ICカード、完成品管理、廃棄物管理、物流管理、人や車等の移動管理、盗難防止、ゲームカードへのID付与、ゲームカートリッジの模造品対策等として、近年急速に普及している。
非接触型メディアの代表的な構造としては、アンテナと半導体チップとして実装する通信回路を組み合わせた構造、あるいは特定の波長に共振するアンテナや、LC共振回路を単数あるいは複数形成した、半導体チップを用いない構造がある。
アンテナは導電性被膜からなり、この導電性被膜を形成する方法として、一般的に、アルミ張り基材あるいは銅張り基材等の上にエッチングレジストを印刷し化学的あるいは電気化学的にエッチングレジストが存在しない部分を溶解除去するエッチング法、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等に代表される樹脂バインダーと銀粉末等の導電性粉末と溶剤を含有している導電性樹脂ペーストを印刷・乾燥・加熱硬化させる方法、無電解メッキ触媒を印刷し、無電解メッキを行う無電解メッキ法が知られている。
エッチング法は、エッチングレジストを印刷するための印刷装置のみならず、塩化第二鉄に代表されるエッチング液を用いるエッチング槽、エッチング液の濃度管理装置、水洗・乾燥装置、廃液処理装置等が必要となるため装置コストが高く、エッチングに時間がかかるため製造効率は低いものであった。
導電性樹脂ペーストを印刷・乾燥・加熱硬化させる方法は、得られる導電性被膜の体積抵抗率が高く、アンテナとして充分な特性を得るためには多量の導電性粉末が必要となり高コストとなること、加熱硬化の時間も120〜150℃で10分から30分程度必要であり、製造効率は低いものであった。例えば特開平11−96833号公報(特許文献1)には、150℃で15分間加熱し、印刷アンテナ回路を形成する方法が開示されている。
また、金属超微粒子を加熱することなく融合させ導電性を得る方法が、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報、特開2009―21153号公報、特開2009−104807号公報に開示されているが、多孔質基材上に形成された導電性パターンの多孔質層に対する密着性が充分でなく、擦過等により導電性銀膜が剥がれる、あるいは断線する場合があり、非接触型メディアの製造効率を低下させる原因となっていた。
特開2008−41766号公報(特許文献2)には、無電解めっき触媒(パラジウム)をインクジェット法を用いて印刷し、無電解銅めっき浴中に浸漬することにより、銅を析出させ導電性パターンを形成する非接触型メディアのアンテナパターンの製造方法が開示されているが、無電解めっき時間は80分と長く、製造効率は低いものであった。
特開2008−153555号公報(特許文献3)には、50〜100m/分の印刷速度で凹版を利用したグラビア印刷にてアンテナ回路の印刷を行うことにより製造効率を高めた導電回路および非接触型メディアの製造方法が開示されているが、印刷速度が速いため、乾燥・加熱硬化するために長大な熱風オーブンが必要であり、装置コストが高いものであった。
本発明の目的は、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜を容易かつ高速に製造する方法、および高い製造効率で生産可能な非接触型メディアを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有し、該多孔質層および/または該樹脂を主成分とする層にイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物およびチオ硫酸塩から選択される化合物を含有する基材を製造する第一の工程、基材上の樹脂層を主成分とする層上に平均粒径が0.1μm以下の銀超微粒子を含む銀超微粒子含有組成物を塗布あるいは印刷し導電性銀膜を形成する第二の工程を少なくとも具備する、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法。
2.上記1に記載の製造方法により形成された導電性銀膜を有する非接触型メディア。
1.支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有し、該多孔質層および/または該樹脂を主成分とする層にイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物およびチオ硫酸塩から選択される化合物を含有する基材を製造する第一の工程、基材上の樹脂層を主成分とする層上に平均粒径が0.1μm以下の銀超微粒子を含む銀超微粒子含有組成物を塗布あるいは印刷し導電性銀膜を形成する第二の工程を少なくとも具備する、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法。
2.上記1に記載の製造方法により形成された導電性銀膜を有する非接触型メディア。
本発明によれば、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜を容易かつ高速に製造することが可能となる。また高い製造効率で生産可能な非接触型メディアを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、非接触型メディアとは、コネクタや端子等の物理的な電気的接点を用いず、電波などの電磁波を用いるメディアであり、具体的には非接触ICカード、HF帯、UHF帯等の各種電波帯域を用いるRFIDインレイ、RFIDタグ、RFIDラベル等が挙げられる。アンテナは導電性被膜からなり、本発明において導電性被膜は導電性銀膜からなる。
基材を製造する第一の工程について説明する。
本発明における支持体とは、非接触型メディアに可撓性が要求される場合には、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル・塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂類よりなる各種フィルム、紙、不織布、布、紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙等を示し、可撓性が要求されない場合には、加えて、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、各種金属、各種セラミックス等を示す。
本発明の多孔質層とは、微粒子と微粒子に対し80質量%以下の樹脂バインダーを含有する層であることを意味する。用いられる微粒子としては、公知の微粒子を広く用いることができる。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ブタジエン系樹脂、スチレン/イソプレン系樹脂、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の、無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等を挙げることができる。また、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を混合して用いることもできる。上記した微粒子の中でも、銀超微粒子含有組成物に含まれる水や高沸点溶媒等の吸収性の観点から無機微粒子を用いることが好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより緻密な構造の多孔質層を形成することが可能であることから特に好ましく、更にこれら無機微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましい。また、非接触型メディアに可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物を用いることが特に好ましい。
また、多孔質層は複数層から構成されていても良く、支持体に近い層には軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク等の安価な無機微粒子を用い、支持体から遠くかつ樹脂を主成分とする層の間に非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物を用いた層を設けても良い。
本発明に好ましく利用される非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、およびその他に大別することができる。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカを好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。平均二次粒子径を500nm以下に微粉砕することにより、形成される多孔質層中の細孔径が微粉砕を行わない場合よりも微細となるため、銀超微粒子が細孔中に入り込み非導通状態となることが少なくなり、得られる導電性が良好となる。粉砕方法としては、水性媒体中に分散した湿式法シリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、(株)シンマルエンタープライゼスよりダイノミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミルとして、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミルとして市販されている。メディアミル等を用いて分散した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
ここで、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることができる。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径500nm以下に分散することが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造する際に、スラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、特開2001−19421号公報に記載されているが如くカチオン性化合物の存在下で分散する方法、特開2006−110770号公報に記載されているが如くシランカップリング剤存在下で分散する方法等を挙げることができ、カチオン性化合物の存在下で分散する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの粉砕あるいは分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜100,000が好ましく、特に2,000〜30,000が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、およびアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、多孔質層を構成する微粒子とともに用いられる樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコールなど、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤等を挙げることができ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これら樹脂バインダーのうち、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。平均重合度は200〜5000のものが好ましい。
微粒子に対する樹脂バインダーの含有量は特に限定されないが、微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して80質量%以下とすることが必要であり、更には3〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
本発明は、多孔質層を構成する上記樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の使用量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合には、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
多孔質層の厚み(乾燥時)は、一般に1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
多孔質層は、微粒子と樹脂バインダー等を適当な溶媒に溶解または分散させて塗布液を調製し、該塗布液をスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等の公知の方法により支持体上に塗布・乾燥を行うことにより得ることができる。
本発明において、樹脂を主成分とする層により、導電性銀膜の基材に対する強固な接着性が生じ、実装された通信回路の脱離や、ラミネート後のアンテナ部分でのラミネートの剥がれ等が抑制され、不良品の発生率が低下する。
本発明の樹脂を主成分とする層の主成分とは、樹脂を主成分とする層の全固形分に対して、65質量%以上が樹脂であることを意味し、樹脂の含有量は好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。樹脂には、各種水溶性樹脂、各種有機微粒子等、塗布により被膜を形成することが可能な樹脂を広く用いることができる。樹脂を主成分とする層は緻密な被膜として多孔質層上に形成されていても良く、微細な孔を無数に有していても良い。
本発明の樹脂を主成分とする層に用いる水溶性樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等の水溶性セルロース類、膠、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン類、ポリビニルアルコール、シラノール変成ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変成ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カラギーナン、アラビアガム等の多糖類等を広く用いることができる。使用する水溶性樹脂は1種類であっても良いし、2種以上混合して用いても良い。水溶性樹脂の分子量は10,000以上であることが好ましく、より好ましくは50,000以上である。
本発明の樹脂を主成分とする層に用いる有機微粒子としては、主に水からなる分散媒中に単独重合体や共重合体等各種公知の有機微粒子が分散されたエマルジョンあるいはラテックスを用いることが好ましい。有機微粒子の材質としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元樹脂、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ビニルピリジン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、エポキシ樹脂等、従来公知のものから広く選ぶことができる。
エマルジョン中の有機微粒子の平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜5μmである。有機微粒子のガラス転移点温度あるいは最低造膜温度は、銀超微粒子含有組成物が塗布された後に暴露される周辺温度以下であることが好ましく、加熱を行う場合には加熱により上昇した表面温度以下であることが好ましい。具体的にガラス転移点温度あるいは最低造膜温度は、100℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。ガラス転移点温度あるいは最低造膜温度の下限は特にないが、市販されているエマルジョンあるいはラテックスにおいては、一般的に−40℃以上である。
また、これら有機微粒子のモノマー組成、粒子径、重合度の異なる複数の重合体が混合されて単一粒子内に存在する異相構造粒子を使用することもできる。
異相構造微粒子としては、特にその構造は限定しない。異相構造粒子の構造例および調整方法は「合成ラテックスの応用(杉村孝明・片岡靖男・鈴木聡一・笠原啓司編集(株)高分子刊行会発行(1993))」に記載されている。例として、コア−シェル構造、複合構造、局在構造、だるま状構造、ラズベリー状構造、多粒子複合構造、みずかき構造、IPN(相互貫入網目構造)などがあるが、本発明においてそれらの構造は特に限定はしない。
使用する有機微粒子は1種類であってもいし、2種以上混合して用いても良い。また、水溶性樹脂と有機微粒子を併用することもできる。
このように樹脂を主成分とする層には様々な種類の樹脂を使用することができるが、導電性銀膜の密着性の観点から水溶性樹脂としてはポリビニルアルコール類、ゼラチン類、多糖類がより好ましく、有機微粒子としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂のようにモノマー単位としてアクリル基やビニル基を有する樹脂、ウレタン結合を有するウレタン樹脂がより好ましい。
これら水溶性樹脂、有機微粒子は、水、有機溶剤、必要に応じレベリング剤、界面活性剤等を添加し、樹脂を主成分とする層の形成用塗液として調整される。
樹脂を主成分とする層の固形分塗布量としては、0.01〜5g/m2が好ましく、0.03〜1g/m2がより好ましい。0.01g/m2未満では導電性銀膜の密着性が非接触型メディアとして用いる場合に不十分となる場合があり、5g/m2を超えると、銀超微粒子含有組成物に含まれる水や高沸点溶媒等の多孔質層への吸収を阻害し、形成される導電性銀膜の導電性が低下する場合がある。また、固形分塗布量が0.2g/m2を超えると、光学干渉により例えば赤色や紫色に発色することがあるため、0.03〜0.2g/m2が特に好ましい。
樹脂を主成分とする層の形成用塗液は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、あらかじめ支持体上に作製された多孔質層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、樹脂を主成分とする層を形成することができる。
樹脂を主成分とする層の形成用塗液の溶剤あるいは分散媒が主に水である場合には、多層スライドカーテン方式、多層スライドビード方式、多層スロットダイ方式等の多層同時塗布が可能な塗布方式を用い、多孔質層と樹脂を主成分とする層を同時に塗布しても良い。また、支持体が搬送されるライン上に複数の塗布装置が設置されるタンデム型の多層塗布装置を用いても良い。
あらかじめ支持体上に形成された多孔質層表面上に樹脂を主成分とする層を形成する場合には、樹脂を主成分とする層の形成用塗液の湿分塗布量を多孔質層の空隙容量以下に制御して塗布することが、均一な塗布面が得られ、形成される導電性銀膜の導電性の偏差が小さくなり、アンテナの性能が均一となるため好ましい。湿分塗布量は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式では、塗布する部分(所謂コーターヘッド)への送液量の変化、ダイレクトグラビアロール方式あるいはグラビア印刷では、グラビアロールに刻まれたパターンの細かさや深さの変化、リバースグラビア方式ではグラビアローに刻まれたパターンの細かさや深さの変化および多孔質層を有する支持体の搬送速度とグラビアロールの周速との比率の変化、スクリーン印刷ではスクリーンメッシュの厚み・開口率・線数等の変化、インクジェット方式あるいはインクジェット印刷ではノズル径・駆動周波数・駆動波形・駆動電圧等の変化、ディスペンサー方式ではピストンを駆動する空気の流量の変化、フレキソ印刷であれば、刷版に塗液を付与するロールに刻まれたパターンの細かさ・深さ・回転数等の変化により塗布液の供給量を制御することができる。
本発明でいう空隙容量とは、水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用い測定・処理された、多孔質層部分における細孔半径3nmから400nmまでの累積細孔容積(mL/g)に、多孔質層の塗布固形分(g/平方メートル)を乗ずることで、単位面積(平方メートル)あたりの数値として求めることができる。
また、樹脂を主成分とする層の形成用塗液の塗布は、剪断速度1000(1/S)以上を与えて塗布することがより好ましい。剪断速度を与えることにより、より均一な塗布面を得ることが可能となり、形成される導電性銀膜の導電性の偏差が小さくなり、アンテナの性能が均一となる。また、特に有機微粒子を用いる場合、有機微粒子が剪断速度を受けることにより、剪断方向に扁平に変形した状態になりながら多孔質層表面に吸着されるため、より均一な厚みの樹脂を主成分とする層を形成することができる。剪断速度を与える塗布方式として、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式のような塗布液を塗布巾方向に均一に流出するためのスリットを持つ塗布方式、リバースグラビアロール方式等を例示することができ、スロットダイ方式、リバースグラビアロール方式がより好ましく、特に好ましくは、リバースグラビアロール方式の中でも、ロールの直径が100mm以下(より好ましくは20〜80mm)の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)を用いる方式である。
本発明で用いられるイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物としては、ハロゲン化水素、無機塩類、無機高分子ハロゲン化物、有機高分子ハロゲン化物等を挙げることができる。ハロゲン化水素として、塩酸、臭化水素酸等を挙げることができる。無機塩類として、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ジルコニウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等を挙げることができる。無機高分子ハロゲン化物としては、塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいるポリ水酸化アルミニウムを挙げることができ、カウンターイオンとしてハロゲンを持つものを用いる。これは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)として、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードのものを容易に入手できる。有機高分子ハロゲン化物としては、カウンターイオンにハロゲンを持つ、カチオン性の高分子化合物を広く用いることができる。なお組成、重合度は任意である。例えば、カチオン性ポリビニルアルコール、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合物、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄共重合物、ジアリルメチルアミン塩酸塩重合物、ポリアリルアミン塩酸塩等のジアリルアミン系重合物やアリルアミン系重合物の塩酸塩類、アンモニウム塩類、ポリアミン系重合物、アリル系重合物、アルキルアミン系重合物、ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、ポリアミドエピクロルヒドリン重合物等を挙げることができる。例示したイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。特に好ましく用いられるイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、ポリ塩化アルミニウムである。
本発明で用いられるチオ硫酸塩としては、チオ硫酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアンモニウム塩等を広く用いることができる。水に対する溶解度は高い方が好ましく、具体的にはチオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸アンモニウムが特に好ましい。
多孔質層乃至樹脂を主成分とする層にイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物、チオ硫酸塩から選択される化合物を含有せしめる方法としては特に限定されず、無機微粒子を分散する際の添加、多孔質層を形成する塗液への添加、樹脂を主成分とする層の形成用塗液への添加、あるいは樹脂を主成分とする層が形成された後、これら物質を溶解した液を付与する方法等を例示することができる。
以上の方法により製造された基材は、シート形状あるいはロール形状に加工され、第二の工程で使用される塗布あるいは印刷装置へ供する。
銀超微粒子含有組成物による導電性銀膜を形成する第二の工程について説明する。
本発明における銀超微粒子含有組成物とは、銀超微粒子を必須成分として含有し、その他に、印刷あるいは塗布方法に応じて添加される、粘度調整用の増粘剤(キサンタンガム、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、バイオセルロース、BYK−Chemie GmbH社が上市している各種液状レオロジーコントロール剤)、乾燥抑制用の高沸点溶媒(エチレングリコール、グリセリン等)、水、表面張力調整用の界面活性剤(アルキル硫酸ナトリウム類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム類、フッ素系界面活性剤等)の他、消泡剤、レベリング剤、ラテックス等が含まれていても良い。
本発明で用いられる銀超微粒子含有組成物が含有する銀超微粒子とは、銀の占める割合が少なくとも50質量%以上である銀超微粒子であり、好ましくは銀の占める割合が70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。銀以外に含まれる金属としては、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、ニッケル、ビスマスを挙げることができる。銀以外の金属は銀超微粒子中に含まれていても良く、銀超微粒子と銀以外の金属の超微粒子が混合されていても良い。
銀超微粒子の平均粒径は、銀超微粒子含有組成物中に含まれる銀超微粒子が安定した分散状態を保持するという観点から0.1μm以下であることが必要であり、好ましくは0.05μm以下である。なお、銀超微粒子の平均粒径は、電子顕微鏡下での観察により求めることができる。詳細にはポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、銀超微粒子分散液を塗布、乾燥させ、走査型電子顕微鏡にて観察し、一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均し求める。
銀超微粒子としては、不活性ガス中で金属を蒸発させガスとの衝突により冷却・凝縮し回収するガス中蒸発法、レーザー照射のエネルギーにより液中で蒸発・凝縮し回収するレーザーアブレーション法、水溶液中で溶液中金属イオンを還元し生成・回収する化学的還元法、有機金属化合部の熱分解による方法、金属塩化物の気相中での還元による方法、酸化物の水素中還元法等、公知の種々の方法により製造されたものを好ましく用いることができる。本発明においては、銀超微粒子含有組成物の作製が容易になる点より水系での化学還元法で作製されたものがより好ましく、分散剤として作用する水溶性高分子化合物および還元剤としてデキストリン等の多糖類を用いて作製されたものが特に好ましい。
本発明において、銀超微粒子含有組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、ディスペンサー印刷、パッド印刷等、公知の方法により所望のパターンで塗布あるいは印刷される。
銀超微粒子含有組成物の塗布あるいは印刷する量は、基材上に形成される導電性銀膜に所望される導電性に応じ調節すれば良く、1m2あたりの塗布量として、第一の工程により製造された基材が有する空隙容量以下であることが好ましい。塗布あるいは印刷に用いる装置が可能とする1m2あたりの塗布量の制限等の理由により、必要に応じ複数回数の塗布あるいは印刷に分けて行っても良い。また、塗布あるいは印刷する雰囲気を重量絶対湿度Hとして0.01kg/kgD.A.以上とすることも好ましい。
塗布あるいは印刷された銀超微粒子含有組成物中に含まれる水や高沸点溶媒等は毛細管現象により数十ミリ秒から1秒以下で第一の工程により製造された基材へ急速に吸収され、塗布あるいは印刷された銀超微粒子含有組成物の表面はタック性を失い、乾燥させたのと同等の状態となるため、乾燥工程は必要なく導電性銀膜を高速に製造するにあたり極めて有用である。その後、基材中に含まれるイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物、チオ硫酸塩から選択される物質が銀超微粒子に作用し、銀超微粒子を互いに融合させ、導電性銀膜を形成する。導電性銀膜の形成に必要な時間は数秒から1分以下であり、すでに乾燥させたのと同等の状態であるため、導電性銀膜を形成する段階では、塗布あるいは印刷された基材はロール状に巻き取られる等、重なっていても良い。
更に、第一の工程により製造された基材へはカラーインク等を印刷することができ、この場合においても、カラーインク等に含まれる溶剤成分を基材が急速に吸収し、実質的に乾燥させたのと同等の状態とすることができる。
このように、第二の工程においては、従来必要であった、乾燥・加熱を行う設備は必須ではなく、乾燥・加熱工程の設備規模により塗布あるいは印刷の速度が制限されることもなく、極めて高い効率で導電性銀膜を形成することができる。また、形成された導電性銀膜の比抵抗も第一の工程のイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物、チオ硫酸塩から選択される物質の作用により、銀粉を用いた導電性樹脂ペーストよりも低いため、使用する銀の量を大幅に低減することができる。
なお、銀超微粒子含有組成物の1m2あたりの塗布量として、第一の工程により製造された基材が有する空隙容量以上が必要となる場合には、空隙容量以下の塗布あるいは印刷を行った後、基材中に吸収された銀超微粒子含有組成物中に含まれる水や高沸点溶媒等を適量乾燥させ、再度塗布あるいは印刷を行えば良い。
以上、第一および第二の工程により、非接触型メディアにおいてアンテナ等として機能する導電性銀膜を容易かつ高速に製造することができる。
第二の工程において、所望のパターンで塗布あるいは印刷し形成された導電性銀膜は、単独でも特定の共振周波数を有するアンテナや、LC共振回路を形成することができるため、単純な、例えば16ビット程度の容量を有する非接触型メディアを製造しても良いが、別の通信回路と結合することにより、数十バイトから数千バイトの容量を持つ高度な非接触型メディアとしても良い。
通信回路には、一般的にはシリコン等を用いた半導体チップが用いられるが、近年発達の著しい印刷によりトランジスタ等が形成された通信回路を用いることもできる。ストラップとは、あらかじめ小型のフレキシブル基板等の上に半導体チップからなる通信回路を実装し、アンテナへの実装を容易としたものである。半導体チップは小さいものでは0.2mm×0.2mmと非常に小さく、位置決めを行いパッドエリアへ実装するには、高度な製造設備が必要となり実装速度も低下するが、ストラップを用いることによりパッドエリアのサイズが大きくなるため、要求される位置決め精度が緩和され、より効率的に製造を行うことが可能となる。半導体チップは、インピンジ、テキサスインスツルメント、STマイクロ、NXP等から供給されており、ストラップはエイリアンテクノロジー、テキサスインスツルメント等から供給されている。
通信回路と導電性銀膜を結合するには、半導体チップ上に形成された端子を直接あるいはストラップを介して本発明の導電性銀膜より形成されたパッドエリアへ実装し電気的に結合する方法と、TAGSYSによって開発された電磁的に結合する方法がある。具体的には小さな第1のアンテナ上に半導体チップが実装されており、通常非導電性の接着剤(Non Conductive Paste:NCP)を使用して、より大きな第2のアンテナの上、あるいは第2のアンテナの近くに配置する。すると第1および第2のアンテナ間に電磁的な結合が発生し、電気的な結合を行った場合と同様の効果を得ることができる。電磁的な結合の場合、第一のアンテナを第二のアンテナに配置する精度は低くて良く、高速かつ安価に実装することができる。本発明の製造方法によって得られた導電性銀膜は第二のアンテナの製造に用いることが好ましい。
半導体チップ上の端子と本発明の導電性銀膜より形成されたパッドエリアを結合する場合、半導体チップ上の端子と導電性銀膜を物理的に接触させNCPにより接着する方法、半導体チップ上の端子と導電性銀膜をACP(Anisotropic Conductive Paste:異方導電性接着剤)あるいはACF(Anisotropic Conductive Film:異方導電性フィルム)を介して導通させ接着する方法を例示することができる。NCPは日立化成工業株式会社、株式会社スリーボンド、ナガセケムテックス株式会社、京セラケミカル株式会社、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社等から上市されており、ACPは京セラケミカル株式会社、DELO社、株式会社スリーボンド、サンユレック株式会社等から上市されており、ACFは日立化成工業株式会社、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社等から上市されている。これら材料の硬化温度は180℃以下が好ましく、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは120℃以下である。
半導体チップあるいはストラップの実装機は、例えばミュールバウアー、大崎エンジニアリング株式会社、パナソニック株式会社、JETTECH、株式会社ハリーズ等から上市されている。NCP、ACP、ACFの加熱には、チップあるいはストラップを押しつける部分の加熱あるいはレーザーによる加熱が用いられる。
また、本発明により基材上に形成された導電性銀膜は主成分が銀であるため、大気中に放置しておくと次第に導電性が低下する場合があるため、大気より遮蔽することが好ましく、具体的にはフィルム等の貼合あるいは樹脂の塗布により被覆を行うことが好ましい。
貼合に用いるフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリル(PAN)フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(EMAA)フィルム、セロファン、ナイロンフィルム等の各種フィルムを用いることができる。また、大気から保護する意味合いにおいて同等となる、フィルム以外の例えば樹脂被覆紙やOPニスが塗布された紙等も使用することができる。
フィルムの貼合には、ポリウレタン系ホットメルト、ポリエステル系ホットメルト、EVA系ホットメルト等、公知のホットメルト系接着剤を用い、ホットラミネーターにより熱圧着する方法、あるいは常温で粘着力を有するシリコーン系粘着剤、アクリルエマルジョン系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム等の合成ゴム系粘着剤等、公知の粘着剤を用い、コールドラミネーターにより圧着する方法がある。
樹脂の塗布による被覆は、主に水からなる分散媒中に単独重合体や共重合体等各種公知の有機微粒子が分散されたエマルジョンあるいはラテックス類より、最低造膜温度が塗布された後に暴露される温度以下のものを選択することが好ましい。また最低造膜温度を超える所定の温度まで加熱する工程を有することも好ましい。また、水溶性セルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の各種水溶性樹脂あるいは有機溶剤に溶解されたナイロン、ポリビニルブチラール等の各種樹脂を塗布しても良い。また、多孔質層に塗布される樹脂の架橋剤をあらかじめ含有させておくことにより、被覆の強度を高めることもできる。被覆に用いる樹脂の固形分塗布量は、0.1g/m2以上が好ましく、1g/m2以上がより好ましい。上限は特にないが、生産性の観点から10g/m2以下であることが好ましい。塗布方法は、半導体チップ等の実装により凹凸があるため、非接触型の塗布方法である、インクジェット法あるいはスプレー法を用いることが好ましい。
フィルムの貼合あるいは樹脂の塗布による被覆は、基材上にアンテナが形成されている部分および必要に応じ通信回路が実装されている部分へ行えば良く、基材全体を被覆しなくとも良い。
なお、後工程にて粘着層を有するラベルあるいはシールへの加工が行われる場合には、この粘着層を樹脂の塗布による被覆と兼用することにより、製造工程を減少させることができる。また、カードへの加工等の後工程において、本発明による導電性銀膜が外気から遮断される場合には、フィルム等の貼合あるいは樹脂の塗布は不要となる。
以上の工程により、基材上にアンテナと通信回路を有した非接触型メディアを製造することができる。本発明により製造された非接触型メディアは、使用目的に応じ、カードへの加工、ラベルへの加工、シールへの加工、棒状や板状への加工が行われる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
《実施例1》
<基材1の作製>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成塗液を作製した。
<基材1の作製>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成塗液を作製した。
<多孔質層形成塗液>
無機微粒子分散液 (アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 12g
(ケン化度88%、平均重合度3500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.5g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
無機微粒子分散液 (アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 12g
(ケン化度88%、平均重合度3500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.5g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、支持体上に多孔質層形成塗液をアルミナ水和物の固形分として30g/m2となるようにスライドビード方式を用いて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、多孔質層を形成した。支持体上に形成された多孔質層の厚みは約40μmであり、水銀ポロシメーターを用いて測定された空隙容量は23ml/m2であった。
上記多孔質層上に、下記組成の層形成塗液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式を用いて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、基材1を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。層形成塗液1の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m2に設定した。得られた基材1は幅10cm、長さ300mにスリット加工を行った。
<層形成塗液1>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(スミエリート1010、住友化学株式会社、平均粒子径200nm、Tg0℃)
塩化ナトリウム 1.0g
水 198.0g
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(スミエリート1010、住友化学株式会社、平均粒子径200nm、Tg0℃)
塩化ナトリウム 1.0g
水 198.0g
<銀超微粒子分散液の作製>
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化学(株)製、デキストリンNo.3)を272gと純水4300gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀659gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム304.5gを純水419.5gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で撹拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整した後、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を1g添加し45℃で1時間撹拌した。次に、得られた銀超微粒子分散液を遠心分離法により精製した後、銀濃度が45質量%になるように純水を加えて再分散し、銀超微粒子分散液を800g得た。含まれる銀超微粒子の平均粒径は20nm、収率は86%であった。
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化学(株)製、デキストリンNo.3)を272gと純水4300gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀659gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム304.5gを純水419.5gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で撹拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整した後、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を1g添加し45℃で1時間撹拌した。次に、得られた銀超微粒子分散液を遠心分離法により精製した後、銀濃度が45質量%になるように純水を加えて再分散し、銀超微粒子分散液を800g得た。含まれる銀超微粒子の平均粒径は20nm、収率は86%であった。
<銀超微粒子含有組成物の作製>
銀超微粒子分散液を200g取り、界面活性剤、純水、エチレングリコールを加え、銀濃度20質量%、表面張力30mN/m、粘度6mPa・sの銀超微粒子含有組成物を得た。
銀超微粒子分散液を200g取り、界面活性剤、純水、エチレングリコールを加え、銀濃度20質量%、表面張力30mN/m、粘度6mPa・sの銀超微粒子含有組成物を得た。
<導電性銀膜の作製>
インクジェット印刷を用い、スリット加工された基材1上にUHF帯のRFIDアンテナとして機能する導電性銀膜(外形寸法:長さ1cm×幅9cm)を形成した。用いたインクジェット装置は、ラインタイプのインクジェットヘッドが直列に3個配置し、銀超微粒子含有組成物のインクジェット印刷後は直ちに巻き取られるロールツーロールの構成とした。3個のヘッドは同じパターンのインクジェット描画を行い、1パスで3回の重ね印刷を行うようにした。なお、銀超微粒子含有組成物印刷部分における銀超微粒子含有組成物の1m2あたりの塗布量は21mlとし、印刷速度は50m/分とした。
インクジェット印刷を用い、スリット加工された基材1上にUHF帯のRFIDアンテナとして機能する導電性銀膜(外形寸法:長さ1cm×幅9cm)を形成した。用いたインクジェット装置は、ラインタイプのインクジェットヘッドが直列に3個配置し、銀超微粒子含有組成物のインクジェット印刷後は直ちに巻き取られるロールツーロールの構成とした。3個のヘッドは同じパターンのインクジェット描画を行い、1パスで3回の重ね印刷を行うようにした。なお、銀超微粒子含有組成物印刷部分における銀超微粒子含有組成物の1m2あたりの塗布量は21mlとし、印刷速度は50m/分とした。
<通信回路の実装>
フリップチップ実装機を用い、基材1上に形成された導電性銀膜に、NXP製のUHF帯RFID用半導体チップを実装した。実装には京セラケミカル製のACPを用いた。
フリップチップ実装機を用い、基材1上に形成された導電性銀膜に、NXP製のUHF帯RFID用半導体チップを実装した。実装には京セラケミカル製のACPを用いた。
<フィルムの貼合>
ホットラミネーターを用い、接着用のEVA樹脂が塗布された厚み5μmのPETフィルムを貼合し、非接触型メディア1を作製した。
ホットラミネーターを用い、接着用のEVA樹脂が塗布された厚み5μmのPETフィルムを貼合し、非接触型メディア1を作製した。
<後加工>
シャーカッターを用い、ロール状に連なった形で作製された非接触型メディア1を切り離し、UHF帯のRFIDインレイとした。
シャーカッターを用い、ロール状に連なった形で作製された非接触型メディア1を切り離し、UHF帯のRFIDインレイとした。
《実施例2》
非接触型メディア1の作製において、導電性銀膜の形状を変更し、フリップチップ実装機の替わりにストラップ実装機を用い、エイリアンテクノロジー製のストラップを実装し、非接触型メディア2を作製した。実装には京セラケミカル製のNCPを用い、他工程は実施例1と同様とした。
非接触型メディア1の作製において、導電性銀膜の形状を変更し、フリップチップ実装機の替わりにストラップ実装機を用い、エイリアンテクノロジー製のストラップを実装し、非接触型メディア2を作製した。実装には京セラケミカル製のNCPを用い、他工程は実施例1と同様とした。
《実施例3》
非接触型メディア1の作製において、ホットラミネーターによるフィルムの貼合の替わりに、スプレーノズルを用い、エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(スミエリート1010、住友化学株式会社、平均粒子径200nm、Tg0℃)を1m2あたりの塗布固形分量として、2g/m2となるように塗布・乾燥を行い、非接触型メディア3を作製した。他工程は実施例1と同様とした。
非接触型メディア1の作製において、ホットラミネーターによるフィルムの貼合の替わりに、スプレーノズルを用い、エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(スミエリート1010、住友化学株式会社、平均粒子径200nm、Tg0℃)を1m2あたりの塗布固形分量として、2g/m2となるように塗布・乾燥を行い、非接触型メディア3を作製した。他工程は実施例1と同様とした。
《比較例1》
非接触型メディア1の作製において、基材1上にインクジェット印刷を用いて導電性銀膜を形成する替わりに、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)に、ロールツーロール型の平台スクリーン印刷機を用い、導電性樹脂ペーストDW−260H−1(東洋紡績株式会社製)を印刷し130℃で10分間加熱して、導電性銀膜を形成した。加熱用の熱風オーブンの長さは20mであり、印刷速度は2m/分であった。以降の工程は実施例1と同様とし、比較例の非接触型メディア4を作製した。
非接触型メディア1の作製において、基材1上にインクジェット印刷を用いて導電性銀膜を形成する替わりに、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)に、ロールツーロール型の平台スクリーン印刷機を用い、導電性樹脂ペーストDW−260H−1(東洋紡績株式会社製)を印刷し130℃で10分間加熱して、導電性銀膜を形成した。加熱用の熱風オーブンの長さは20mであり、印刷速度は2m/分であった。以降の工程は実施例1と同様とし、比較例の非接触型メディア4を作製した。
《比較例2》
非接触型メディア1の作製において、層形成塗液1を下記組成の層形成塗液2に変更した以外は同様にして、比較例の非接触型メディア5を作製した。
非接触型メディア1の作製において、層形成塗液1を下記組成の層形成塗液2に変更した以外は同様にして、比較例の非接触型メディア5を作製した。
<層形成塗液2>
塩化ナトリウム 1.0g
水 199.0g
塩化ナトリウム 1.0g
水 199.0g
<UHF帯RFIDの評価>
非接触型メディア1から5を各々1000個作製し、リーダー、ライター装置を用いて、3mの距離から通信の可否を確認した。通信できなかった不良品の発生率を初期不良率として表1に示した。また、得られた良品を直径10mmの棒に巻き付けた後、同様のテストを行い、不良品の発生率を屈曲時不良率として表1に示した。
非接触型メディア1から5を各々1000個作製し、リーダー、ライター装置を用いて、3mの距離から通信の可否を確認した。通信できなかった不良品の発生率を初期不良率として表1に示した。また、得られた良品を直径10mmの棒に巻き付けた後、同様のテストを行い、不良品の発生率を屈曲時不良率として表1に示した。
表1の結果から明らかなように、本発明の非接触型メディア1から3は、初期不良率、屈曲時不良率共に低いことが判る。比較例の非接触型メディア4は、導電性銀膜の印刷速度が遅く、製造効率が低く、初期不良率も高いことが判る。比較例の非接触型メディア5は、樹脂を主成分とする層を有さないため、導電性銀膜の基材に対する密着性が低いために製造工程中に受ける物理的なストレスのために導電性銀膜あるいは通信回路の剥離により初期不良率が高く、更には屈曲時不良率も高いことが判る。
Claims (2)
- 支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有し、該多孔質層および/または該樹脂を主成分とする層にイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物およびチオ硫酸塩から選択される化合物を含有する基材を製造する第一の工程、基材上の樹脂層を主成分とする層上に平均粒径が0.1μm以下の銀超微粒子を含む銀超微粒子含有組成物を塗布あるいは印刷し導電性銀膜を形成する第二の工程を少なくとも具備する、非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により形成された導電性銀膜を有する非接触型メディア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010162139A JP2012023312A (ja) | 2010-07-16 | 2010-07-16 | 非接触型メディアのアンテナとして使用される導電性銀膜の製造方法および非接触型メディア |
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Cited By (1)
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JP2023111052A (ja) * | 2022-01-31 | 2023-08-10 | 株式会社Tbm | Rfタグ用の高周波誘電体の製造方法 |
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2010
- 2010-07-16 JP JP2010162139A patent/JP2012023312A/ja active Pending
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