JP6088311B2 - 導電性パターン転写用基材および導電性パターン転写方法 - Google Patents

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本発明は、基材上に保持された導電性パターンを、被転写体へ転写するために用いられる導電性パターン転写用基材に関する。
印刷による導電性パターンの製造に関し、銀粉と樹脂バインダーおよび有機溶剤を含む高粘度の導電性樹脂ペーストを、スクリーン印刷方法等の高粘度ペーストに適した印刷方法を用い印刷する方法や、金属超微粒子を含むインクをインクジェット印刷により印刷する方法等が検討されている。
一方、近年、特にスマートフォンに代表されるハンドヘルドタイプの電子機器の進展が著しく、コストダウンや薄型化の要求が進む中、外装筐体への導電性パターン形成が求められているが、外装筐体そのものは基本的に立体物であり、先のスクリーン印刷やインクジェット印刷は基本的に平面を対象とする印刷方法であるため、立体物への印刷は困難であるという課題があった。
この課題を解決する方法として、予め別の平面基材上に導電性パターンを形成・保持しておき、これを対象物(被転写体)へ転写する方法が想達される。既にインクジェット印刷においては、インクジェットプリンタで印刷した後、加熱・圧着することにより布に絵柄を転写させる手法が既に用いられている。例えば特開2007−313847号公報には、基材となるフィルム上に平均粒子径300nm以下の無機粒子及び該無機粒子に対して、バインダーを5〜50質量%含有するインク受容層を有し、さらに、その上にガラス転移点が0〜50℃の熱可塑性樹脂からなる接着剤層を有するインクジェット記録用インク受容層転写シートが開示されている。しかしながら、仮に該発明のインクジェット記録用インク受容層転写シートを導電性パターンの転写に用いたとしても、転写を行うと導電性パターンと共にインク受容層が転写されてしまい、転写されたインク受容層が導電性パターン表面を覆ってしまうため、電気的な接続を行うことが出来ず、導電性パターンとして利用することは出来ないという課題を有していた。
他にも、粘着性を有する被転写体への転写が検討されている。例えば特開2010−135692号公報には、離型性耐熱基板上に、平均粒子径1〜100nmの導電性金属系粒子を含む分散液をインクジェット記録方式で印刷し、焼成することにより形成された幅200μm以下の配線からなる配線回路を有する転写用配線回路板を用い、支持基材の少なくとも一方の面に、該転写用配線回路板における配線回路を、粘着剤層を介して転写してなる配線回路部材が開示されているが、離型性耐熱基板はインク受容層を有さないため、該分散液を印刷する際に分散液がはじきやすく、パターン形成が難しいという課題があった。
一方、特開2008−4375号公報には、金属超微粒子と、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物とを作用させ、基材上にて導電性を得る事を特徴とする導電性発現方法および、無機微粒子と無機微粒子に対し80質量%以下のバインダーからなる多孔質層をインク受容層として有する基材が開示されているが、該基材を導電性パターン転写用基材として用い、粘着面として、例えば粘着剤層を有する被転写体への導電性パターンの転写を試みた場合、粘着剤が多孔質層に吸着し非常に強固に粘着するため、粘着剤層を剥がすことが出来ない、あるいは剥がした際に粘着剤層に多孔質層が結着してしまい、上手く転写することは出来なかった。
そのため、インク受容層を有し、かつ電気的な接続を得られる形で導電性パターンを転写可能な、導電性パターン転写用基材が求められていた。
特開2007−313847号公報 特開2010−135692号公報 特開2008−4375号公報
本発明の目的は、基材上に導電性パターンを容易に形成・保持し、保持された導電性パターンを、粘着性を有する被転写体へ転写するために用いられる導電性パターン形成用基材、および転写方法を提供するものである。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.導電性パターンを保持し、保持した導電性パターンを被転写体に転写するために用いられる導電性パターン転写用基材であって、支持体上に少なくとも多孔質層と、該多孔質層上にコロイダルシリカを主成分とする層を有し、コロイダルシリカを主成分とする層の全固形分に対して、80質量%以上がコロイダルシリカであることを特徴とする導電性パターン転写用基材。
2.1記載の導電性パターン転写用基材上に導電性パターンを形成し、粘着性を有する被転写体の粘着面へ導電性パターンを転写する導電性パターンの転写方法。
本発明によれば、導電性パターン転写用基材上に保持した導電性パターンを、粘着性を有する被転写体へ容易に転写することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における導電性パターン転写用基材とは、支持体上に多孔質層を有し、その表面に金属微粒子を含むインクあるいはペーストから形成された導電性パターンを保持し、次いで粘着性を有する被転写体の粘着面へ転写する用途に供する基材である。
本発明者は、多孔質層上に保持された導電性パターンを、被転写体の粘着面へ転写するために鋭意検討を行った結果、多孔質層上にコロイダルシリカを主成分とする層を設けることにより、粘着面が多孔質層に強固に粘着することなく、保持されている導電性パターンを粘着面へ転写させることが可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明における導電性パターン転写用基材は、支持体の上に形成された微粒子と樹脂バインダーを含有する多孔質層と、さらに該多孔質層の上に形成されたコロイダルシリカを主成分とする層を有する。多孔質層およびコロイダルシリカを主成分とする層は必要に応じ、支持体の両面に設けても良い。
本発明における支持体としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル・塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂類よりなるフィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、紙、不織布、布、各種金属、各種セラミックス等を挙げる事が出来る。また用途に応じこれら基材を適宜組み合わせる事が出来、例えば、紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いる事が出来る。
これらの中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートからなる支持体が好ましい。
上記した支持体の中でも、各種樹脂からなるフィルム、ガラス、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、多孔質層を形成する塗液の塗布性と多孔質層の支持体に対する接着性を改善するために、支持体と多孔質層との間に、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等からなる公知の下塗層を設ける事が好ましい。また、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは易接着処理品として下塗層をあらかじめ設けた状態で市販されており、これを用いても良い。また、コロナ処理あるいはプラズマ処理により支持体の濡れ性を改善することも好ましい。
下塗層の固形分塗布量としては、0.5g/m以下であり、好ましくは0.3g/m以下、さらに好ましくは0.1g/m以下である。
本発明における多孔質層は、金属微粒子を含むインクあるいはペーストが含有する水あるいは有機溶剤といった溶媒成分を吸収する機能を担う。
本発明の多孔質層とは、微粒子を主体に含有し微粒子に対し80質量%以下の樹脂バインダーを含有する層である。本発明において、微粒子を主体に含有するとは、多孔質層の50質量%以上が微粒子であることであり、好ましくは70質量%以上である。用いられる微粒子としては、公知の微粒子を広く用いる事が出来る。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ブタジエン系樹脂、スチレン/イソプレン系樹脂、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等をあげることが出来る。無論、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を混合して用いることもできる。上記の中でも、吸収性の観点からは無機微粒子を用いる事が好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が特に好ましい。また、導電性パターン形成用基材に可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物を用いる事が特に好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。本発明において沈降法シリカあるいはゲル法シリカを用いることが好ましく、沈降法シリカがより好ましい。
本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が1〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましい。
平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、平均二次粒子径500nm以下に分散する事がより好ましい。平均二次粒子径を500nm以下に分散する事により、形成される多孔質層中の細孔径が分散を行わない場合よりも微細となるため、導電性パターンを形成する金属微粒子としてナノ粒子などの超微粒子を用いた場合に、金属超微粒子が細孔中に入り込み非導通状態となる事が少なくなり、得られる導電性が良好となる。分散された湿式法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、透明性の観点から更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミルなどのメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、(株)シンマルエンタープライゼスよりダイノミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミルとして、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミルとして市販されている。メディアミル等を用いて分散した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
ここで、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることが出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることが出来る。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
導電性パターン形成用基材に透明性が要求される場合には、本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径500nm以下に分散する事が好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造する際に、スラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、カチオン性化合物の存在下で分散する方法、シランカップリング剤存在下で分散する方法等をあげることが出来、カチオン性化合物の存在下で分散する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、多孔質層を構成する微粒子とともに用いられる樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコールなど、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤等をあげることが出来、これらを単独あるいは混合して用いることができる。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これらの内、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。平均重合度は200〜5000のものが好ましい。
微粒子に対する樹脂バインダーの含有量は特に限定されないが、微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して80質量%以下、更には3〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
本発明は、多孔質層を構成する上記樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の使用量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合には、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
その他、多孔質層には必要に応じ、防腐剤、界面活性剤、着色染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することができる。
多孔質層は2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの多孔質層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば湿式法シリカによる多孔質層の上に、アルミナ水和物による多孔質層が形成されていても良い。
多孔質層の層厚(乾燥時)は、一般に1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
多孔質層は、微粒子と樹脂バインダー等を適当な溶媒に溶解または分散させて塗布液を調製し、該塗布液をスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、支持体表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、形成することができる。また、塗布を行った後、鏡面ロールに圧接するキャスト処理を行い表面を平滑にする事や、カレンダー処理を行い表面を平滑にする事も出来る。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層に用いるコロイダルシリカとしては、シリカゾルから弱アルカリ性下で粒子成長させたそのままのタイプ、イオン交換によりアルカリを減量したタイプ、格子の珪素原子の一部をアルミニウム原子に置換してアニオン性を強化したタイプ、アルミナ表面処理によりカチオン性にしたタイプ、アルコキシシランを原料にゾルゲル法で合成されたタイプ等各種あるが何れも使用可能である。シリカはアルカリに若干溶解するのでアルカリが残っている方が結着力の面で有利と考えられるが、イオン交換したタイプでも実用上問題なく使用出来る。これらコロイダルシリカは、例えば日産化学工業(株)よりスノーテックス、扶桑化学工業(株)よりクォートロンとして市販されている。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層に用いるコロイダルシリカの粒径としては、平均一次粒子径で10〜200nmが好ましく、20nm以上がより好ましい。粒径が10nm未満であると多孔質層の空隙を塞ぎ多孔質層の吸収性が低下する場合がある。粒径が200nmを超えると、コロイダルシリカを主成分とする層を形成する塗液において、コロイダルシリカが沈降し塗布に支障をきたす場合がある。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層の主成分とは、コロイダルシリカを主成分とする層の全固形分に対して、80質量%以上がコロイダルシリカであり、好ましくは90質量%以上、より好ましくは98質量%以上である。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層に含まれるコロイダルシリカ以外の成分としては、バインダーとしての例えばポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂やラテックス類、バインダーの硬膜剤、界面活性剤等を挙げることが出来る。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層の固形分塗布量は、0.01g/m以上であることが好ましく、0.1g/m以上がより好ましい。固形分塗布量が0.01g/m未満であると、層として不連続となるため、粘着性を有する被転写体の粘着面が多孔質層に直接接触するようになり、多孔質層と粘着面の結着が発生し、粘着性を有する被転写体を導電性パターン転写用基材から剥離した際に、多孔質層が転写されてしまうことがある。固形分塗布量の上限は特にないが、10g/m超えるとコロイダルシリカを主成分とする層に亀裂の入る可能性が高くなるため、好ましくない。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層の形成用塗液は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、あらかじめ支持体上に作製された多孔質層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、本発明のコロイダルシリカを主成分とする層を形成することができる。特に好ましくは、リバースグラビアロール方式の中でも、ロールの直径が100mm以下(より好ましくは20〜80mm)の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)を用いる方式である。
本発明のコロイダルシリカを主成分とする層の形成用塗液の溶剤あるいは分散媒が主に水である場合には、多層スライドカーテン方式、多層スライドビード方式、多層スロットダイ方式等の多層同時塗布が可能な塗布方式を用い、多孔質層と樹脂を主成分とする層を同時に塗布しても良い。また、支持体が搬送されるライン上に複数の塗布装置が設置されるタンデム型の多層塗布装置を用いても良い。
本発明において、導電性パターンは、金属微粒子を含むインクあるいはペーストを用いて形成される。本発明に用いられる金属微粒子を含むインクあるいはペーストには、公知あるいは市販の導電性パターンを形成するために供されている金属微粒子が含まれるインクあるいはペーストを広く用いることができ、銀ナノインク、銅ナノインク、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンインク、カーボンペースト等を例示することができる。導電性に優れ、形成された導電性パターンが酸化されにくい点から、銀の超微粒子を用いた銀ナノインクや、銀の微粒子を用いた銀ペーストを用いる事が好ましく、厚み1μm程度の非常に薄い導電性パターンを形成できる点から、銀ナノインクを用いることが特に好ましい。高い導電性が不要の場合には、価格の点からカーボンインクやカーボンペーストを用いることが好ましい。銀ナノインクは、例えば三菱製紙(株)よりNBSIJシリーズとして市販されており、銀ペーストは、例えば藤倉化成(株)よりドータイトシリーズとして市販されている。
本発明において、金属微粒子を含むインクあるいはペーストは、様々な印刷方法あるいは塗布方式によりパターン形成される。例えば線状の塗布を行う事が出来るディスペンサー印刷方法を用いた任意の線状のパターン形成、サーマル、ピエゾ、マイクロポンプ、静電気等の各種方式のインクジェット印刷方法を用いた任意の線状あるいは面状のパターン形成、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、平版印刷方法、凹版印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法等の公知の各種印刷方法により任意のパターンを形成する事ができる。また、グラビアロール方式、スロットダイ方式、スピンコート方式等、公知の各種塗布方式を用い、導電性パターン形成用基材の全面あるいは一部に連続した面としてパターンを形成する事、間欠塗工ダイコーター等を用い導電性パターン形成用基材の全面あるいは一部に断続した面としてパターンを形成する事、あるいは浸漬塗布方法(ディップ方式とも言われる)を用い、導電性パターン形成用基材全体に金属微粒子を含むインクあるいはペーストを付着させる事も出来る。より好ましい印刷方法としては、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法をあげることが出来る。
これらの方法によりパターン化された金属微粒子を含むインクあるいはペーストは、含まれている分散媒を揮散させた後、加熱により硬化あるいは焼成し導電性パターンとしても良いが、主に銀からなる金属超微粒子を含むインクを用い、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報等に記載される主に銀からなる金属超微粒子に作用し導電性を発現させることが可能な物質(以下、導電性発現剤とする)を導電性パターン転写用基材に含有させ、化学的な作用により金属超微粒子同士を結合し導電性パターンとする事が好ましい。
本発明において、導電性パターン転写用基材に形成され保持された導電性パターンは粘着性を有する被転写体へ転写される。転写は、導電性パターンが形成・保持されている導電性パターン転写用基材に、粘着性を有する被転写体の粘着面を貼合し、剥離することによって成される。コロイダルシリカを主成分とする層は導電性パターンとの接着力が低く、粘着面が多孔質層へ吸着することを阻害するため、粘着性を有する被転写体へ導電性パターンのみを転写することが出来る。なお粘着性を有する被転写体へコロイダルシリカを主成分とする層よりコロイダルシリカが極僅か転写される場合もあるが、微量でありかつ粒径が小さいため視認することは困難であり外観を損なうことはなく、転写された導電性パターンへの電気的な接続を妨げることも無い。
導電性パターンが形成・保持されている導電性パターン転写用基材に、粘着性を有する被転写体を貼合し剥離する場合、剥離する角度は浅い方が好ましい。例えば、粘着性を有する被転写体にフレキシブル性のあるフィルム等を用いた場合、平面様に保持された導電性パターン転写用基材から被転写体を剥離する際に、フィルムの曲がりが発生し、これにより導電性パターンも曲がる事となるが、この曲がり方が小さい程、導電性パターンの導電性低下が小さいため好ましい。具体的には90度以下で剥離することが好ましい。90度を超えると、導電性パターンの厚みにもよるが、導電性が数十%程度低下する場合がある。
本発明における粘着性を有する被転写体の粘着面の粘着力は、JIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定され、幅25mmあたりの粘着力(N/25mm)として示される。本発明において、粘着性を有する被転写体の好ましい粘着力は、0.05〜20N/25mmであり、より好ましくは0.2〜10N/25mmである。粘着力が0.05N/25mm未満では、導電性パターンの転写を行うことが出来ない場合があり、20N/25mmを超えると、剥離が困難となる場合がある。
本発明の粘着性を有する被転写体は、支持体上に粘着剤層を有する構成を用いることができる。支持体としては、先の導電性パターン形成用基材に用いる支持体と同様の支持体を用いることができる。また必要に応じ、粘着剤層と支持体の間に離型層を有していても良い。離型層を有する事により、粘着性を有する被転写体へ転写された導電性パターンを別の部材へ再転写することが容易となる。
本発明における粘着剤層を形成するための粘着剤としては、ドライラミネート用途やアンカーコート用途等に用いられる接着剤や、粘着テープ用途等に用いられる粘着剤等を広く用いることができる。
接着剤としては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩化ビニル樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等の合成ゴム系の接着剤をあげることができる。これら接着剤は、例えば、三井化学(株)からタケラック/タケネート、大日精化(株)からセイカボンド、日本ポリウレタン工業(株)からニッポランとして市販されている。接着剤を用いる場合には、溶剤の揮発あるいは架橋の進行により粘着性が変化するため、転写に適した粘着力を有する硬化レベルで用いることが好ましい。
粘着剤としては、例えばアクリル樹脂、イソブチレンゴム樹脂、スチレン−ブタジエンゴム樹脂、イソプレンゴム樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル等の粘着剤をあげることができる。これら粘着剤は、例えばDIC(株)からファインタック/ボンコート、綜研化学(株)からSKダインとして市販されている。また粘着剤においては、粘着強度を調整するために粘着付与剤(タッキファイヤー)を添加してもよい。
これら接着剤あるいは粘着剤を支持体に公知の方法により塗布・乾燥を行い、本発明における粘着剤層とすることができる。なお、粘着剤層には必要に応じ、レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。粘着剤層の塗布量は、前述した粘着力が得られる塗布量であれば良く、塗布の容易さの観点から0.1〜50g/mであることが好ましい。
また、本発明における粘着性を有する被転写体として、ラミネートフィルムや表面保護フィルム、加工工程用粘着シート、エレクトロニクス用フィルム等として市販されている粘着性を有するフィルムを用いることができ、例えば、(株)スミロンよりEシリーズあるいはECシリーズ、日東電工株式会社よりSPVシリーズとして市販されている。また後工程において粘着性が不要となる場合には、UV照射あるいは熱硬化などにより、粘着性を喪失する自己剥離型のフィルムやシートを用いることができる。
本発明において、粘着性を有する被転写体へ転写された導電性パターンは、当然の事ながら粘着面上で導電性を有しており、容易に別の導体と接続することが出来る。
本発明において、導電性パターンを転写された粘着性を有する被転写体は、別の部材と貼合され用いられる導電性パターン形成用材料、さらには貼合後に支持体を剥離し導電性パターンと粘着剤層のみを付与する導電性パターン形成用材料、インモールド成形用導電性パターン形成用材料等として広く用いることが出来る。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
<導電性パターン転写用基材1の作製>
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の調製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して0.1質量%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出コーティングし、鏡面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、表面(多孔質層塗設面)とした。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、微粒面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙1の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下塗り層をゼラチンの付着量が60mg/mとなるように塗布乾燥した。
<下塗り層>
ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 8部
<無機微粒子分散液の調製>
水に、カウンターイオンに塩素イオンを持つジアリルジメチルアンモニウムクロライド−重合物としてシャロールDC902P(第一工業製薬(株)製)8部と、無機微粒子として気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20質量%の無機微粒子分散液を製造した。無機微粒子の平均二次粒子径は130nmであった。
上記無機微粒子分散液を用い下記組成の多孔質層形成塗液を作製し、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体に下記組成の多孔質層塗布液をスライドビードコーターで気相法シリカ換算25g/mとなるように塗布、乾燥し多孔質層基材を得た。得られた多孔質層基材の多孔質層の膜厚は38μmであった。
<多孔質層形成塗液>
無機微粒子分散液 (シリカ固形分として)100g
ポリビニルアルコール 25g
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度は13質量%になるように水で調整した。
次いで、多孔質層面に下記組成の導電性発現剤塗液を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥し、導電性パターン転写用基材1を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。塗布された導電性発現剤塗液は多孔質層内部に吸収され、表面には多孔質層が露出していた。
<導電性発現剤塗液>
塩化ナトリウム 0.3g
水 99.7g
<導電性パターン転写用基材2の作製>
導電性パターン転写用基材1の上に下記配合のコロイダルシリカを主成分とする層の塗布液を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥し、導電性パターン転写用基材2を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。多孔質層上に形成されたコロイダルシリカを主成分とする層の固形分塗布量は0.12g/mであった。
<コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合1>
コロイダルシリカ20質量%スラリー 3g
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−3L、平均一次粒径35nm)
水 97g
<導電性パターン転写用基材3の作製>
導電性パターン転写用基材2の作製において、コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合1を下記配合のコロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合2へ変更した以外は同様に作製し、導電性パターン転写用基材3を得た。多孔質層上に形成されたコロイダルシリカを主成分とする層の固形分塗布量は0.6g/mであった。
<コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合2>
コロイダルシリカ20質量%スラリー 15g
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−3L、平均一次粒径35nm)
水 85g
<導電性パターン転写用基材4の作製>
導電性パターン転写用基材2の作製において、コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合1を下記配合のコロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合3へ変更した以外は同様に作製し、導電性パターン転写用基材4を得た。多孔質層上に形成されたコロイダルシリカを主成分とする層の固形分塗布量は0.3g/mであった。
<コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合3>
コロイダルシリカ30質量%スラリー 5g
(日産化学工業(株)製、スノーテックスAKYL、平均一次粒径60nm)
水 95g
<導電性パターン転写用基材5の作製>
導電性パターン転写用基材2の作製において、コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合1を下記配合のコロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合4へ変更した以外は同様に作製し、導電性パターン転写用基材5を得た。多孔質層上に形成されたコロイダルシリカを主成分とする層の固形分塗布量は0.4g/mであった。
<コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合4>
コロイダルシリカ40質量%スラリー 5g
(日産化学工業(株)製、スノーテックスZL、平均一次粒径80nm)
水 95g
<導電性パターン転写用基材6の作製>
導電性パターン転写用基材2の作製において、コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合1を下記配合のコロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合5へ変更した以外は同様に作製し、導電性パターン転写用基材6を得た。多孔質層上に形成されたコロイダルシリカを主成分とする層の固形分塗布量は0.04g/mであった。
<コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合5>
コロイダルシリカ12質量%スラリー 1.7g
(扶桑化学工業(株)製、クォートロンPL−1、平均一次粒径15nm)
水 98.3g
<導電性パターン転写用基材7の作製>
導電性パターン転写用基材2の作製において、コロイダルシリカを主成分とする層塗布液配合1を下記配合の樹脂を主成分とする塗布液配合1へ変更した以外は同様に作製し、導電性パターン転写用基材7を得た。多孔質層上に形成された樹脂を主成分とする層の固形分塗布量は0.1g/mであった。
<樹脂を主成分とする塗布液配合1>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(住友化学(株)製、スミエリート1010、平均粒子径200nm、Tg0℃)
水 99.0g
<粘着性を有する被転写体1の作製>
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)を用い、これに下記配合のポリウレタン系接着剤を、乾燥後の塗布量として5g/mとなるように塗布および乾燥を行い、粘着性を有する被転写体1を得た。粘着面である粘着剤層のJIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定された粘着力は2.5N/25mmであった。
<ポリウレタン系接着剤配合>
三井化学(株)製、タケラックA3210 15g
三井化学(株)製、タケネートA3072 5g
酢酸エチル 140g
<粘着性を有する被転写体2の作製>
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)を用い、これに下記配合のポリウレタン系接着剤を、乾燥後の塗布量として15g/mとなるように塗布および乾燥を行い、粘着性を有する被転写体2を得た。粘着面である粘着剤層のJIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定された粘着力は4.5N/25mmであった。
<アクリル系粘着剤配合>
DIC(株)製、ファインタックMD327 100g
DIC(株)製、ファインタックD−45 0.5g
<導電性パターン転写用基材上への導電性パターン作製>
導電性パターン転写用基材1〜7に、銀ナノインク(三菱製紙(株)製NBSIJ−MU01、銀濃度15wt%)を入れたピエゾタイプのインクジェットプリンタを用い、1mm×50mmの線状パターンの印刷を行い、導電性パターンの作製を行った。銀ナノインクの吐出量は23cc/mであった。
<転写物1〜7の作製>
粘着性を有する被転写体1の粘着面と導電性パターンが保持された導電性パターン転写用基材1〜7を圧着し、導電性パターン転写用基材を平面様に保持した状態で、90度の角度で粘着性を有する被転写体を剥離し、導電性パターンの転写を行い、転写物1〜7を得た。
<転写物11〜17の作製>
粘着性を有する被転写体2の粘着面と導電性パターンが保持された導電性パターン転写用基材1〜7を圧着し、導電性パターン転写用基材を平面様に保持した状態で、90度の角度で粘着性を有する被転写体を剥離し、導電性パターンの転写を行い、転写物11〜17を得た。
<転写物21〜27の作製>
粘着性を有する被転写体3として、粘着面のJIS Z0237に準じ剥離角度180度にて測定された粘着力が0.25N/25mmである(株)スミロン製微粘着フィルムEC−625を用い、粘着面と導電性パターンが保持された導電性パターン転写用基材1〜7を圧着し、導電性パターン転写用基材を平面様に保持した状態で、90度の角度で粘着剤層を有する支持体を剥離し、導電性パターンの転写を行い、転写物21〜27を得た。
<転写状態の評価>
転写物1〜27について導電性パターンの転写状態を肉眼にて観察し以下の基準に基づき評価した。その結果を表1に示す。
○:導電性パターンのみが転写されている。
×:導電性パターンは転写されているが、導電性パターンが転写されている部分以外の粘着剤層に多孔質層が少量転写されている。
××:導電性パターンは転写されているが、導電性パターンが転写されている部分以外の粘着剤層に多孔質層が多量に転写されている。
×××:導電性パターンは転写されていない。
<抵抗値の評価>
転写された導電性パターンの抵抗値をテスター(横河メータ&インスツルメンツ(株)製TY−520)にて測定した結果を表1に示す。
Figure 0006088311
表1の結果より、本発明の導電性パターン転写用基材2〜6は、導電性パターンのみを転写できることが判る。導電性パターン転写用基材6を用いた転写物は抵抗値が若干高くなっているが、これはコロイダルシリカを主成分とする層に用いたコロイダルシリカの粒径が15nmと小さく、多孔質層の吸収性が若干低下したためと考えられる。

Claims (2)

  1. 導電性パターンを保持し、保持した導電性パターンを被転写体に転写するために用いられる導電性パターン転写用基材であって、支持体上に少なくとも多孔質層と、該多孔質層上にコロイダルシリカを主成分とする層を有し、コロイダルシリカを主成分とする層の全固形分に対して、80質量%以上がコロイダルシリカであることを特徴とする導電性パターン転写用基材。
  2. 請求項1記載の導電性パターン転写用基材上に導電性パターンを形成し、粘着性を有する被転写体の粘着面へ導電性パターンを転写する導電性パターンの転写方法。
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