JP2013203008A - 導電性部材形成用基材および導電性部材 - Google Patents

導電性部材形成用基材および導電性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷を行った際に一回の印刷で抵抗値の低い導電性部材を形成する事の出来る導電性部材形成用基材、および抵抗値の低い導電性部材を提供する。
【解決手段】金属超微粒子含有組成物を、凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷し、導電性部材を形成する導電性部材形成用基材であって、支持体上に受容層を有し、受容層を有する側の表面が、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)が3.1〜13.1μmである導電性部材形成用基材。
【選択図】なし

Description

本発明は導電性部材形成用基材および、これを用いて得られる導電性部材に関する。
近年、印刷により例えばTFTやメモリ、アンテナ、タッチパネル、センサー等を形成する、プリンテッドエレクトロニクスが注目されている。プリンテッドエレクトロニクスは従来のフォトリソあるいはエッチングによる製造方法に対し、印刷による製造方法であるため、高い生産性や材料使用効率、省電力、製造コストの低減等が期待されている。
印刷により導電性部材を製造する手法として、従来は銀粉等の導電性粉と樹脂等の有機バインダーあるいはガラス等の無機バインダー、有機溶剤を含む高粘度の導電性樹脂ペーストを、スクリーン印刷を用い基材等の対象物へ印刷していた。しかしながら、スクリーン版のメッシュサイズや、導電性粉のサイズが大きいため、細線の印刷が困難であった。そのため、近年はグラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、フレキソ印刷等の凹版や凸版を用いた印刷方法が盛んに検討されている。例えば、特開2003−266583号公報(特許文献1)にはCTP製版による印刷版を用いたフレキソ印刷により、細線を形成する方法が開示されている。
また、印刷に使用するペーストあるいはインクの検討も進んでおり、導電性粉のサイズを1μm以下のサイズまで微小化した導電性樹脂ペーストや、ナノサイズの導電性粉、例えば銀ナノ粒子や銅ナノ粒子といった金属超微粒子を用いたペーストあるいはインクが提案されている。
これらのペーストあるいはインクは、有機系のバインダーあるいは分散剤が含まれる場合は100℃から300℃、無機系のバインダーが含まれる場合であれば500℃以上の温度で数分から30分程度焼成する必要があり、生産性向上の阻害要因となっていた。
そのため、支持体上に予め受容層を設けた基材を用いることにより焼成を不要とする提案がなされており、例えば特開2004−127851号公報(特許文献2)においては、少なくとも多孔質の無機フィラーを含む受容層と前記導電性被膜とが接するように、金属コロイド液を塗布し乾燥して導電性被膜を形成する方法が開示され、特開2005−32458号公報(特許文献3)においては、金属コロイド液を乾燥することにより形成される導電性被膜を積層形成してなる導電性被膜複合体において、上記導電性被膜と基材との間に、水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなり、JISB0601による十点平均表面粗さRzが3μm以下である中間層が介されることを特徴とする導電性被膜複合体が開示されているが、共に得られる導電性は不十分なものであった。更に特開2008−4375号公報(特許文献4)では、金属超微粒子を加熱することなく、非常に高い導電性を得ることが可能な導電性部材形成用基材として、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を有する導電性部材形成用基材が開示されており、特開2010−165997公報(特許文献5)では、導電性部材の基材に対する密着性が高く、にじみが少なく、かつ優れた導電性が得られる導電性部材形成用基材として、支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有する導電性部材形成用基材が開示されている。
しかしながら、これらの導電性部材形成用基材に対してフレキソ印刷等の凸版印刷法を用いて、あるいはグラビア印刷や彫刻印刷等の凹版印刷法を用いて印刷を行った場合、刷版上のインクが導電性部材形成用基材へ転写する割合が低く、刷版側にインクが残る現象が生じることで、一回の印刷で得ることの出来る導電性部材の抵抗値は高く、優れた導電性を有する導電性部材を得るには複数回の印刷を重ねる必要があるという課題があった。
一方、エッチング方法を用い導電性部材を形成する方法として、例えば特開2004−111784号公報(特許文献6)には、透明基材と導電性金属箔を積層した後、フレキソ印刷によりレジストパターンを設け、エッチングを行い、光透過性電磁波遮蔽シートを製造する方法において、導電性金属箔の印刷面の表面粗さがJIS−B−0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとすることにより、印刷再現性を向上せしめた光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法が開示されている。
また、基材上に受容層を設けない場合、金属被膜と基材との密着性を改善するために、例えば、特開2004−200288号公報(特許文献7)には、密着性向上を目的として基材の表面に予め粗面化処理(Rmax=20〜500nm)を行い、60〜100℃に維持しながらインクジェット法を用いて描画するメッキ用シードパターンの形成方法が開示されている。
特開2003−266583号公報 特開2004−127851号公報 特開2005−32458号公報 特開2008−4375号公報 特開2010−165997公報 特開2004−111784号公報 特開2004−200288号公報
本発明の目的は、印刷を行った際に一回の印刷で抵抗値の低い導電性部材を形成することの出来る導電性部材形成用基材、および抵抗値の低い導電性部材を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.金属超微粒子含有組成物を凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷し、導電性部材を形成する導電性部材形成用基材であって、支持体上に受容層を有し、受容層を有する側の表面が、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)が3.1〜13.1μmである事を特徴とする導電性部材形成用基材。
2.上記1記載の導電性部材形成用基材に、金属超微粒子含有組成物を凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷して得られた導電性部材。
本発明によれば、印刷を行った際に一回の印刷で抵抗値の低い導電性部材を形成することの出来る導電性部材形成用基材、および抵抗値の低い導電性部材を提供することが出来る。
本発明者らは、支持体上に受容層を有する導電性部材形成用基材に対し、金属超微粒子含有組成物を凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷し導電性部材を形成する場合において、受容層を有する側の表面が、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)が3.1〜13.1μmである場合、刷版上のインクが導電性部材形成用基材へ転写する割合が高く、一回の印刷で抵抗値の低い導電性部材を形成することが可能であることを見出した。本発明における十点平均表面粗さ(Rz)のより好ましい範囲は、4.7〜7.4μmである。
本発明において、受容層を有する側の表面が、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)を3.1〜13.1μmとするためには、支持体上に設けられる受容層等の各種塗布層に球状粒子やマット剤を含有させる方法、あるいは受容層等の各種塗布層が塗布・乾燥された後にマット加工、エンボス加工等がなされたロール面を加圧し凹凸を転写する等の方法を好ましく用いることが出来るが、支持体の受容層が塗布される面に予め凹凸を設けることも好ましい様態の一つである。例えば紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙は、ポリオレフィン樹脂を押出機で加熱溶融し、紙基体とクーリングロールとの間にポリオレフィン樹脂をフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造されるが、クーリングロール表面の形状を適切に設計することにより、ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に所望の凹凸を設けることが出来る。
本発明の導電性部材形成用基材が有する支持体としては、前述したポリオレフィン樹脂被覆紙以外に、可撓性が要求される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂類よりなる各種フィルムを挙げることが出来、可撓性が要求されない場合には、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)等の各種ガラス、各種金属、各種セラミックス等を挙げることが出来る。
これらの中でも価格および汎用性の観点から、ポリオレフィン樹脂被覆紙、ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、各種ガラスから選ばれる支持体が好ましい。
また、各種樹脂からなるフィルム、各種ガラス、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、受容層を形成する塗液の塗布性と、支持体に対する受容層の接着性を改善するために、支持体は、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等からなる公知の下塗り層を有していても良く、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは易接着処理品として下塗り層を予め設けた状態で市販されている。また、これら支持体の表面はコロナ処理あるいはプラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
なお、一般的にこれら支持体の表面は平滑であり、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)の数値は0.5μm以下、多くは0.1μm以下である。また、塗布を行う際の濡れ性向上を目的に、ラビング法、ブラスト法、液体ホーニング法等により物理的に表面を荒らす処理を行う場合もあるが、一般的に十点平均表面粗さ(Rz)が3.0μmを超える程まで荒らされることはない。
本発明の導電性部材形成用基材は、支持体上に受容層を有する。金属超微粒子含有組成物に含まれる分散媒に主に水を使用する場合には、受容層はゼラチン、カラギーナン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等、各種水溶性樹脂と、耐水性を付与するための硬膜剤を適宜1種類以上を組み合わせて用いることが出来る。硬膜剤としては、後述する多孔質層を構成する樹脂バインダーに用いる硬膜剤を使用することが出来る。また、金属超微粒子含有組成物に含まれる分散媒に主に有機溶媒を使用する場合には、受容層に、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、アクリルエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂等を用いることが出来る。このようにして得られる受像層は、上記した樹脂が膨潤することでペーストあるいはインクを受容する膨潤型の受容層であり、膨潤型の受容層の好ましい層厚(乾燥時)は、一般に0.01〜50μmが好ましく、1〜40μmがより好ましく、5〜30μmが特に好ましい。
また、受容層を多孔質層とし、多孔質層の微細空隙による毛細管現象を用いて、金属超微粒子含有組成物に含まれる分散媒を吸収させることがより好ましい。一般的に、膨潤型の受容層よりも多孔質の受容層の方が分散媒の吸収速度が速く、分散媒の種類を問わない傾向にあるため、ペーストやインクのにじみや広がりを抑制する効果が高く、微細なパターンを有する導電性部材を形成する上でより好ましい。
本発明において多孔質層とは、微粒子と微粒子に対し80質量%以下の樹脂バインダーを含有する層であることを意味する。用いられる微粒子としては、公知の微粒子を広く用いることが出来る。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機微粒子、アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、スチレン/ブタジエン系樹脂、スチレン/イソプレン系樹脂、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の、無孔質あるいは多孔質の有機微粒子等を挙げることが出来る。また、上記した無機微粒子の1種以上と有機微粒子の1種以上を混合して用いることも出来る。上記した微粒子の中でも、金属超微粒子含有組成物に含まれる水や高沸点溶媒等の吸収性の観点から無機微粒子を用いることが好ましく、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより緻密な構造の多孔質層を形成することが可能であることから特に好ましく、更にこれら無機微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましい無機微粒子の平均二次粒子径は10〜300nmであり、更には20〜200nmである。また、導電性部材形成用基材に可撓性が要求される場合には、アルミナ水和物を用いることが特に好ましい。
また、多孔質層は複数層から構成されていても良く、支持体に近い層には軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク等の安価な無機微粒子を用い、支持体から遠い層に非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物を用いた層を設けても良い。
本発明に好ましく利用される非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、およびその他に大別することが出来る。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカを好ましく使用出来る。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。平均二次粒子径を500nm以下に微粉砕することにより、形成される多孔質層中の細孔径が微粉砕を行わない場合よりも微細となるため、金属超微粒子が細孔中に入り込み非導通状態となることが少なくなり、得られる導電性が良好となる。粉砕方法としては、水性媒体中に分散した湿式法シリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用され、これにはビーズミル等のメディアミルを用いることが好ましい。ビーズミルは密閉されたベッセル内に充填されたビーズとの衝突により顔料粉砕を行うものであり、(株)シンマルエンタープライゼスよりダイノミルとして、浅田鉄工(株)よりグレンミルとして、アシザワ・ファインテック(株)よりスターミルとして市販されている。メディアミル等を用いて粉砕した後、更に高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を用いて分散することが好ましい。
なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものである。また平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることが出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。また、平均凝集粒子径とは、粉体として供給される湿式シリカの平均粒子径を示し、例えばコールターカウンター法で求めることが出来る。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することが出来る。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は40nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカを用いた場合においても、湿式法シリカと同様に、平均二次粒子径を500nm以下に分散することが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は、より好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと水を主体とする分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
平均二次粒子径500nm以下の湿式法シリカあるいは気相法シリカのスラリーを製造する際に、スラリーの高濃度化や分散安定性を向上させるため、公知の種々の方法を用いても良い。例えば、特開2002−144701号公報、特開2005−1117号公報に記載されているが如くアルカリ性化合物の存在下で分散する方法、特開2001−19421号公報に記載されているが如くカチオン性化合物の存在下で分散する方法、特開2006−110770号公報に記載されているが如くシランカップリング剤存在下で分散する方法等を挙げることが出来、カチオン性化合物の存在下で分散あるいは粉砕する方法がより好ましい。
上記湿式法シリカあるいは気相法シリカの粉砕あるいは分散に使用するカチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜100,000が好ましく、特に2,000〜30,000が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用出来る。
本発明に使用するアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、およびアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、多孔質層を構成する微粒子と共に用いられる樹脂バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられその他としては、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることが出来、これらを単独あるいは混合して用いることが出来る。この他、公知の天然、あるいは合成樹脂バインダーを単独であるいは混合して用いることは特に限定されない。
これら樹脂バインダーの内、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。平均重合度は200〜5,000のものが好ましい。
微粒子を用い多孔質層を形成するためには、樹脂バインダーの含有量は、微粒子に対して80質量%以下とすることが必要であり、更には3〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
多孔質層は上記した樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることも出来る。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることが出来る。硬膜剤の使用量は特に限定されないが、樹脂バインダーに対して50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
樹脂バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合には、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
多孔質層の層厚(乾燥時)は、一般に1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
また更に、前述した多孔質層上には、樹脂を主成分とする層を設けることにより、インクあるいはペーストが含有する金属超微粒子同士が融合し形成された金属被膜と多孔質層間の密着性が向上し、擦過や粘着性物質の脱着による剥離を抑制することが出来るため、より好ましい。
樹脂を主成分とする層の主成分とは、樹脂を主成分とする層の全固形分に対して、65質量%以上が樹脂であることを意味し、樹脂の含有量は好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。樹脂には、各種水溶性樹脂、各種有機微粒子等、塗布により被膜を形成することが可能な樹脂を広く用いることが出来る。樹脂を主成分とする層は緻密な被膜として多孔質層上に形成されていても良く、微細な孔を無数に有していても良い。
本発明の樹脂を主成分とする層に用いる水溶性樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等の水溶性セルロース類、膠、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン類、ポリビニルアルコール、シラノール変成ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変成ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カラギーナン、アラビアガム等の多糖類等を広く用いることが出来る。使用する水溶性樹脂は1種類であってもよいし、2種以上混合して用いても良い。水溶性樹脂の分子量は10,000以上であることが好ましく、より好ましくは50,000以上である。
本発明の樹脂を主成分とする層に用いる有機微粒子としては、主に水からなる分散媒中に単独重合体や共重合体等各種公知の有機微粒子が分散されたエマルジョンあるいはラテックスを用いることが好ましい。有機微粒子の材質としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元樹脂、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ビニルピリジン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、エポキシ樹脂等、従来公知のものから広く選ぶことが出来る。
また、これら有機微粒子のモノマー組成、粒子径、重合度の異なる複数の重合体が混合されて単一粒子内に存在する異相構造粒子を使用することも出来る。
異相構造微粒子としては、特にその構造は限定しない。異相構造粒子の構造例および調整方法は「合成ラテックスの応用(杉村孝明・片岡靖男・鈴木聡一・笠原啓司編集(株)高分子刊行会発行(1993))」に記載されている。例として、コア−シェル構造、複合構造、局在構造、だるま状構造、ラズベリー状構造、多粒子複合構造、みずかき構造、IPN(相互貫入網目構造)等があるが、本発明においてそれらの構造は特に限定はしない。
使用する有機微粒子は1種類であってもいし、2種以上混合して用いても良い。また、水溶性樹脂と有機微粒子を併用することも出来る。
このように樹脂を主成分とする層には様々な種類の樹脂を使用することが出来るが、金属被膜の密着性の観点から水溶性樹脂としてはポリビニルアルコール類、ゼラチン類、多糖類がより好ましく、有機微粒子としてはアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂のようにモノマー単位としてアクリル基やビニル基を有する樹脂、およびウレタン結合を有するウレタン樹脂がより好ましい。
これら水溶性樹脂、有機微粒子は、水、有機溶剤、必要に応じレベリング剤、界面活性剤等を添加し、樹脂を主成分とする層の形成用塗液として調整される。
樹脂を主成分とする層の固形分塗布量としては、0.01〜5g/mが好ましく、0.03〜1g/mがより好ましい。0.01g/m未満では金属超微粒子含有組成物を印刷し形成された金属被膜の密着性が不十分となる場合があり、5g/mを超えると、金属超微粒子含有組成物に含まれる溶媒の多孔質層への吸収を阻害し、形成される金属被膜の導電性が低下する場合がある。また、固形分塗布量が0.2g/mを超えると、光学干渉により例えば赤色や紫色に発色することがあるため、0.03〜0.2g/mが特に好ましい。
本発明における導電性部材形成用基材において、前述した下塗り層、受容層、樹脂を主成分とする層等は支持体の両面に設けても良い。
受容層(膨潤型の受容層、多孔質層および樹脂を主成分とする層)を形成する塗液は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スピンコート方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、支持体表面の全面、あるいは必要とされる(任意の)部位への選択的な塗布を行い、形成することが出来る。また、支持体が立体である場合には、ディップ方式や曲面に対応したスクリーン印刷、タンポ印刷(パッド印刷ともいう)等を用いることが出来る。
なお、樹脂を主成分とする層と多孔質層は、多層スライドカーテン方式などの多層塗布が可能な塗布方法を用い、重層塗布を行っても良く、あるいは、予め支持体上に形成された多孔質層表面上に樹脂を主成分とする層を形成する場合には、樹脂を主成分とする層の塗液の湿分塗布量を多孔質層の空隙容量以下に制御して塗布することが、均一な塗布面が得られるため好ましい。
本発明における、金属超微粒子含有組成物とは、水および/または有機溶媒中に金属超微粒子がコロイドとして分散されており、金属種としては、金、銀、銅、ニッケル等を例示することが出来る。特に高い導電性、価格、生産性、扱いやすさ等の点から主に銀からなることが好ましい。主に銀からなるとは、全金属超微粒子に銀が占める割合が少なくとも50質量%以上であり、好ましくは銀の占める割合が70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であることを意味する。
金属超微粒子の平均粒径は、金属超微粒子が安定した分散状態を保持するという観点から0.1μm以下であることが必要であり、0.05μm以下であることが好ましい。なお、金属超微粒子の平均粒径は、電子顕微鏡下での観察により求めることが出来る。詳細にはポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、金属超微粒子分散液を塗布、乾燥させ、走査型電子顕微鏡にて観察し、一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均し求める。
本発明における金属超微粒子含有組成物に含まれる金属超微粒子の含有量は、金属超微粒子含有組成物全体の質量に対して1〜95質量%が好ましく、より好ましくは、3〜90質量%である。
金属超微粒子含有組成物に用いられる金属超微粒子の分散媒は水および/または有機溶媒であり、水のみ、水と有機溶媒の混合物、有機溶媒のみの構成を挙げることが出来る。水と有機溶媒の混合物の構成としては、有機溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の水溶性の低沸点溶媒や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の水溶性の高沸点有機溶媒を添加することが出来る。有機溶媒のみの構成としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系高沸点有機溶媒、ジアセトンアルコール、イソホロン、γ−ブチルラクトン等のケトン系高沸点有機溶媒、2−フェノキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系高沸点有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート等のエステル系高沸点有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系高沸点有機溶媒、テレピン油、α−テルピネオール、ミネラルスピリット等が使用される。
金属超微粒子は、不活性ガス中で金属を蒸発させガスとの衝突により冷却・凝縮し回収するガス中蒸発法、真空中で金属を蒸発させ有機溶剤と共に回収する金属蒸気合成法、レーザー照射のエネルギーにより液中で蒸発・凝縮させ回収するレーザーアブレーション法、水溶液中で金属イオンを還元し生成・回収する化学的還元法、有機金属化合物の熱分解による方法、金属塩化物の気相中での還元による方法、酸化物の水素中還元法、紫外線や超音波、マイクロウェーブ等のエネルギーを利用する方法等、公知の種々の方法により製造された金属超微粒子を好ましく用いることが出来る。
金属超微粒子含有組成物には増粘剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、湿潤剤、界面活性剤、高分子バインダー等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよく、例えば、紫外線硬化性樹脂を含ませることにより、UV印刷あるいはUVインクジェット方式によるパターン形成に適した特性(紫外線硬化特性)を持たせることも出来る。
本発明において、金属超微粒子含有組成物は、凸版印刷法あるいは凹版印刷法に適した形態に調整される。例えば、凸版印刷法であるフレキソ印刷や凹版印刷であるグラビア印刷であれば、粘度を1〜100mPa・sの範囲に調整することが好ましい。粘度の調整に、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等、公知の各種高分子バインダーを使用してもよく、ヒドロキシルプロピルセルロースやカルボキシメチルセルロース、ペクチン、ポリスチレンスルホン酸塩類、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール等、公知の各種増粘剤を使用することが出来る。
本発明に用いられる金属超微粒子含有組成物には、凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷し、導電性部材を形成するために供されている、公知あるいは市販の金属超微粒子が含まれるコロイド、インクあるいはペーストを広く用いることが出来る。また、製造方法が簡便であり、後述する導電性発現剤を用いた場合における導電性にも優れていることから、例えばExperiments in Colloid Chemistry,1940,p.19,Hauser,E.A.and Lynn,J.E.に記載される方法の如く、デキストリンを用いて作製される銀超微粒子を用いることが好ましい。
本発明において、金属超微粒子含有組成物は、凸版印刷法あるいは凹版印刷法によりパターンが形成される。具体的には、凸版印刷法としてフレキソ印刷、凹版印刷法としてグラビア印刷や彫刻印刷を例示することが出来る。またブランケットを介して印刷を行っても良い。
これらの方法によりパターン化された金属超微粒子含有組成物は、加熱により焼成し導電性パターンとしても良いが、主に銀からなる金属超微粒子含有組成物を用い、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報、特開2008−167825号公報に記載される主に銀からなる金属超微粒子に作用し導電性を発現させることが可能な物質(以下、導電性発現剤とする)を支持体、多孔質層、下塗り層の何れか、あるいは複数層にわたり含有させ、化学的な作用により金属超微粒子同士を結合し導電性パターンとすることがより好ましい。含有させる層として、多孔質層が特に好ましい。導電性発現剤として特に好ましいのは、例えば塩化ナトリウムや塩化カリウム等のイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物、チオ硫酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩である。また、これらの物質を複数種類併用することも好ましい態様の一つである。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
《実施例1》
<ポリオレフィン樹脂被覆紙1の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して0.1質量%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、表面(受容層塗設面)とした。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、微粒面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙1の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下塗り層をゼラチンの付着量が60mg/mとなるように塗布乾燥した。
<下塗り層>
ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 8部
得られたポリオレフィン樹脂被覆紙1の受容層塗設面をJIS−B−0601に則り、基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)値を求めたところ0.98μmであった。測定には(株)東京精密Surfcom1400A型を用いた。以下、十点平均表面粗さ(Rz)の測定は同条件にて実施した。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙2の作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙1の作製において、受容層塗設面のクーリングロールを微粒面加工されたものへ変更し、ポリオレフィン樹脂被覆紙2を作製した。得られたポリオレフィン樹脂被覆紙2の受容層塗設面の十点平均表面粗さ(Rz)値は6.5μmであった。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙3の作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙1の作製において、受容層塗設面のクーリングロールをマット面加工されたものへ変更し、ポリオレフィン樹脂被覆紙3を作製した。得られたポリオレフィン樹脂被覆紙3の受容層塗設面の十点平均表面粗さ(Rz)値は8.0μmであった。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙4の作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙1の作製において、受容層塗設面のクーリングロールをポリオレフィン樹脂被覆紙3の作製に用いられたクーリングロールよりも粗くマット面加工されたものへ変更し、ポリオレフィン樹脂被覆紙4を作製した。得られたポリオレフィン樹脂被覆紙4の受容層塗設面の十点平均表面粗さ(Rz)値は10.4μmであった。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙5の作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙1の作製において、受容層塗設面のクーリングロールを絹目面加工されたものへ変更し、ポリオレフィン樹脂被覆紙5を作製した。得られたポリオレフィン樹脂被覆紙5の受容層塗設面の十点平均表面粗さ(Rz)値は13.5μmであった。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙6の作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙1の作製において、受容層塗設面のクーリングロールをポリオレフィン樹脂被覆紙5の作製に用いられたクーリングロールよりも粗く絹目面加工されたものへ変更し、ポリオレフィン樹脂被覆紙6を作製した。得られたポリオレフィン樹脂被覆紙6の受容層塗設面の十点平均表面粗さ(Rz)値は20.2μmであった。
<導電性部材形成用基材1の作製>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成用塗液を作製した。
<多孔質層形成用塗液>
無機微粒子分散液 (アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 12g
(ケン化度88%、平均重合度3500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.5g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
支持体として、ポリオレフィン樹脂被覆紙1を用い、支持体上に多孔質層形成塗液をアルミナ水和物の固形分として30g/mとなるようにスライドビード方式を用いて塗布を行い、乾燥機により乾燥した。断面観察により得られた多孔質層の厚みは35μmであった。
次いで、下記組成の導電性発現剤塗液を斜線グラビアロールを用いた塗布方式により塗布を行い、乾燥機により乾燥した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/mに設定した。
<導電性発現剤塗液>
塩化ナトリウム 0.5g
水 99.5g
次いで、下記組成の塗液を上記導電性発現剤塗液と同じ塗布方法を用い、斜線グラビアロールの回転数を調整し湿分塗布量を20g/mに設定し、乾燥機により乾燥し、樹脂を主成分とする層と多孔質層からなる受容層を有する導電性部材形成用基材1を得た。
<塗液>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(スミエリート1010、住友化学株式会社、平均粒子径200nm、Tg0℃)
水 99.0g
得られた導電性部材形成用基材1の受容層を有する側の表面の十点平均表面粗さ(Rz)値は0.4μmであった。
<導電性部材形成用基材2の作製>
導電性部材形成用基材1の作製において、支持体をポリオレフィン樹脂被覆紙1からポリオレフィン樹脂被覆紙2へ変更した以外は同様に作製し、導電性部材形成用基材2を得た。得られた導電性部材形成用基材2の受容層を有する側の表面の十点平均表面粗さ(Rz)値は2.5μmであった。
<導電性部材形成用基材3の作製>
導電性部材形成用基材1の作製において、支持体をポリオレフィン樹脂被覆紙1からポリオレフィン樹脂被覆紙3へ変更した以外は同様に作製し、導電性部材形成用基材3を得た。得られた導電性部材形成用基材3の受容層を有する側の表面の十点平均表面粗さ(Rz)値は3.7μmであった。
<導電性部材形成用基材4の作製>
導電性部材形成用基材1の作製において、支持体をポリオレフィン樹脂被覆紙1からポリオレフィン樹脂被覆紙4へ変更した以外は同様に作製し、導電性部材形成用基材4を得た。得られた導電性部材形成用基材4の受容層を有する側の表面の十点平均表面粗さ(Rz)値は5.6μmであった。
<導電性部材形成用基材5の作製>
導電性部材形成用基材1の作製において、支持体をポリオレフィン樹脂被覆紙1からポリオレフィン樹脂被覆紙5へ変更した以外は同様に作製し、導電性部材形成用基材5を得た。得られた導電性部材形成用基材5の受容層を有する側の表面の十点平均表面粗さ(Rz)値は9.2μmであった。
<導電性部材形成用基材6の作製>
導電性部材形成用基材1の作製において、支持体をポリオレフィン樹脂被覆紙1からポリオレフィン樹脂被覆紙6へ変更した以外は同様に作製し、導電性部材形成用基材6を得た。得られた導電性部材形成用基材6の受容層を有する側の表面の十点平均表面粗さ(Rz)値は16.9μmであった。
<銀超微粒子を含有するインクの作製>
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化学(株)製、デキストリンNo.3)653gと純水5772gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀1582gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム730gを純水1007gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で撹拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整した後、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を添加し1時間撹拌した。得られた液を遠心分離法により精製した後、銀の固形分濃度が45質量%になるように純水を加え再分散し銀超微粒子分散液を得た。含まれる銀超微粒子の平均粒径は20nmであり、収率は87%であった。
銀超微粒子分散液を500g取り、ノニオン性界面活性剤を1g、エチレングリコールを150g、増粘剤としてBYKE420(ビックケミー・ジャパン株式会社)を4.5g加え、純水にて全量を調整し、銀の固形分濃度が30質量%、粘度40mPa・sの銀超微粒子を含有するインクを750g作製した。
<導電性部材1〜6の作製>
上記の銀超微粒子を含有するインクを用い、導電性部材形成用基材1〜6にフレキソ印刷法を用いてベタパターンを印刷し、導電性部材1〜6を作製した。印刷版は旭化成イーマテリアルズ製のADS60を用い、ベタ部は400lpiで濃度80%の網点を形成した。アニロックスロールには線数80線、セル容積13ml/mのロールを用い、印刷速度は30m/分とした。
<導電性部材7、8の作製>
上記の銀超微粒子を含有するインクを用い、導電性部材形成用基材1および4にグラビア印刷法を用いてベタパターンを印刷し、導電性部材7、8を作製した。グラビア印刷版のセル容積は20ml/m、印刷速度は50m/分とした。
<導電性の評価>
導電性部材1〜8について、シート抵抗値を測定器((株)ダイアインスツルメンツ製 ロレスターGP)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果より明らかなように、本発明により、一回の印刷であっても抵抗値が低い導電性部材が得られる。

Claims (2)

  1. 金属超微粒子含有組成物を凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷し、導電性部材を形成する導電性部材形成用基材であって、支持体上に受容層を有し、受容層を有する側の表面が、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの十点平均表面粗さ(Rz)が3.1〜13.1μmである事を特徴とする導電性部材形成用基材。
  2. 請求項1に記載の導電性部材形成用基材に、金属超微粒子含有組成物を凸版印刷法あるいは凹版印刷法によって印刷して得られた導電性部材。
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