JP2013191469A - 導電性パターン形成方法および導電性部材 - Google Patents

導電性パターン形成方法および導電性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】金属超微粒子濃度が低い金属超微粒子含有組成物を使用した際にも、高い導電性を有する導電性パターンが得られる導電性パターン形成方法、および導電性部材を提供する。
【解決手段】支持体上に無機微粒子を主成分とする多孔質層と、該多孔質層の上に樹脂層を有し、該樹脂層の表面に存在する亀裂幅の平均値が0.10〜2.5μmである導電性パターン形成用基材の表面に、平均粒子径が1〜100nmの金属超微粒子を含有する金属超微粒子含有組成物を付与する導電性パターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は金属超微粒子含有組成物を用いた導電性パターン形成方法、および導電性部材に関する。
近年、金属超微粒子含有組成物を用いたプリンテッドエレクトロニクスが注目されている。印刷により導電性パターンを含む導電性部材を形成する際、従来は銀粉と樹脂バインダーおよび有機溶剤を含む高粘度組成物を、スクリーン印刷方法等の高粘度組成物に適した印刷方法を用いパターンを形成していた。しかしながら、適用出来る印刷方法が少ない事、銀粉のサイズが大きいために細線の印刷が困難である事等の理由により、近年は金属超微粒子含有組成物をインクジェット印刷によりパターン化する試みが盛んになされている。
このような用途に用いる導電性パターン形成用基材としては従来、ガラス類やセラミック類のみならず、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等の各種樹脂フィルムが使用されていたが、導電性パターンのにじみによりパターンの微細化への対応が難しく、これらの基材表面に加工を施した基材も開示されている。例えば特開2008−4375号公報(特許文献1)では、金属超微粒子を加熱する事なく、非常に高い導電性を得る事が可能な導電性パターン形成用基材として、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を含有する多孔質層を有する導電性パターン形成用基材が開示されている。また特開2010−165997号公報(特許文献2)では、導電性パターンの基材に対する密着性が高く、にじみが少なく、かつ優れた導電性が得られる導電性パターン形成用基材として、支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂層を有する導電性パターン形成用基材が開示されている。
一方、インクジェット印刷ではインクジェットヘッドに複数設けられた微細なノズルより液滴を吐出し基材へ付与するため、金属超微粒子含有組成物の分散媒が揮発し金属超微粒子がノズル先端部に析出すると、ノズルの目詰まりが発生し、金属超微粒子含有組成物付与量の不安定化や液滴軌道変化による導電性パターン形状の乱れを招き、導電性パターンの信頼性が低下する場合がある。
この問題は金属超微粒子含有組成物に占める金属超微粒子濃度を低下させ、代わりに分散媒濃度を上昇させる事で抑制出来る。その場合、金属超微粒子含有組成物の付与量を維持するためには複数回の重ね印刷を実施するか、もしくは印刷1回あたりの金属超微粒子含有組成物の付与量を増大させる必要があり、生産性の観点から印刷1回あたりの付与量を増大させる方法が好ましい。
しかし、従来の導電性パターン形成用基材では、金属超微粒子含有組成物の付与量を増大させて導電性パターンを形成した場合、必ずしも付与した金属超微粒子総量に見合った導電性が得られない場合があった。特に近年では配線の微細化、狭ピッチ化による回路基板の高密度化に伴い、導電性パターンの低抵抗化が求められており、この問題の解決が求められていた。
特開平06−157787号公報(特許文献3)には、プラスチック基材を複数の溶媒に浸漬し前記プラスチック基材の表面に微小節理より成る層を形成し、前記微小節理層に導電性の薄層を施す事を特徴とするプラスチック構造体が開示されている。また特開2004−281941号公報(特許文献4)には電磁波シールド材が不規則な網目構造をした導電性物質を有する事を特徴とする画像表示装置が開示されており、不規則な網目構造をした導電性物質の製造方法として、基板上に薄膜を形成し、薄膜に生じた網目状のマイクロクラック内に導電性物質を充填する方法が記載されている。
特開2008−4375号公報 特開2010−165997号公報 特開平06−157787号公報 特開2004−281941号公報
本発明の目的は、金属超微粒子濃度が低い金属超微粒子含有組成物を使用した際にも、高い導電性を有する導電性パターンが得られる導電性パターン形成方法、および高い導電性を有する導電性部材を提供する事にある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.支持体上に無機微粒子を主成分とする多孔質層と、該多孔質層の上に樹脂層を有し、該樹脂層の表面に存在する亀裂幅の平均値が0.10〜2.5μmである導電性パターン形成用基材の表面に、平均粒子径が1〜100nmの金属超微粒子を含有する金属超微粒子含有組成物を付与する導電性パターン形成方法。
2.基材上に、前記1記載の導電性パターン形成方法を用いて得られた導電性パターンを有する導電性部材。
本発明によれば、金属超微粒子濃度が低い金属超微粒子含有組成物を使用した際にも、高い導電性を有する導電性パターンが得られる導電性パターン形成方法、および高い導電性を有する導電性部材を提供する事が出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、支持体上に無機微粒子を主成分とする多孔質層と、該多孔質層の上に樹脂層を有し、該樹脂層の表面に存在する亀裂幅の平均値が特定の範囲内である導電性パターン形成用基材を用いる事で、金属超微粒子濃度が低い金属超微粒子含有組成物を使用した際にも、高い導電性を有する導電性パターンが得られる事を見出した。
本発明に用いる導電性パターン形成用基材が有する支持体としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、例えばポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、セロファン、ナイロン、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂等の各種樹脂類よりなる各種フィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、耐熱ガラス等の各種ガラス、紙、不織布、布、各種金属、各種セラミックス等を挙げる事が出来る。また用途に応じこれら支持体を適宜組み合わせる事が出来、例えば、紙とポリオレフィン樹脂を積層したポリオレフィン樹脂被覆紙を用いる事が出来る。
これらの中でもコスト、汎用性の観点から、紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートからなる支持体が好ましい。
上記した支持体の中でも、各種樹脂からなるフィルム、ガラス、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸液性支持体を用いる場合には、多孔質層を形成する塗液の塗布性と多孔質層の支持体に対する接着性を改善するために、支持体と多孔質層との間に、ゼラチンや各種ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等からなる公知の下塗層を設ける事が好ましい。また、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは易接着処理品として下塗層をあらかじめ設けた状態で市販されており、これを用いても良い。また、これら支持体の表面はコロナ放電処理あるいはプラズマ処理等の表面処理が施されていても良い。
下塗層を設ける場合の固形分塗布量としては、0.5g/m以下であり、好ましくは0.3g/m以下、更に好ましくは0.1g/m以下である。
本発明に用いる導電性パターン形成用基材が有する無機微粒子を主成分とする多孔質層とは、全固形分に対して少なくとも50質量%以上が無機微粒子である層を意味し、全固形分に対して60質量%以上が無機微粒子である事がより好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。用いられる無機微粒子としては、公知の無機微粒子を広く用いる事が出来る。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等を例示出来る。無機微粒子は1種類であっても良いし、2種以上混合して用いても良い。金属超微粒子含有組成物に含まれる水や高沸点溶媒等の吸収性の観点から、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより好ましく、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物がより緻密な構造の多孔質層を形成する事が可能である事から特に好ましい。
多孔質層は2層以上から構成されていても良く、この場合、それらの多孔質層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。例えば非晶質合成シリカによる多孔質層の上に、アルミナ水和物による多孔質層が形成されていても良い。
本発明に好ましく利用される非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、およびその他に大別する事が出来る。
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用する事が出来る。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明に用いられる上記の非晶質合成シリカは、カチオン性化合物等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。カチオン性化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。また本発明のアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に用いられる上記のアルミナ、およびアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
無機微粒子の粒子径は特に限定されないが、得られる導電性の観点から、平均二次粒子径で10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。
本発明でいう平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求める事が出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA−910)を用いて、個数メジアン径として測定する事が出来る。
多孔質層を構成する上記無機微粒子と共に必要に応じバインダーを用いる事も出来る。バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白等の蛋白質、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール樹脂等の天然あるいは合成樹脂を挙げる事が出来、これらを単独あるいは混合して用いる事が出来る。この他、公知のバインダーを単独であるいは混合して用いる事は特に限定されない。
これらバインダーのうち、ポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールである。平均重合度は200〜5,000のものが好ましい。
無機微粒子に対するバインダーの含有量は特に限定されないが、無機微粒子を用い多孔質層を形成するためには、バインダーの含有量は無機微粒子に対して80質量%以下とする事が好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
多孔質層を構成する上記バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いる事も出来る。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いる事が出来る。硬膜剤の使用量は特に限定されないが、バインダーに対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
バインダーとしてケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールあるいはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる場合には、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、使用量はポリビニルアルコールに対し、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。
多孔質層は、無機微粒子とバインダー等を適当な溶媒に溶解または分散させて多孔質層形成塗液を調製し、該塗液をスライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ワイヤーバーコーティング方式、スピンコート方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、支持体表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、形成する事が出来る。また、支持体が立体である場合には、ディップ方式や曲面に対応したスクリーン印刷、タンポ印刷(パッド印刷とも言う)等を用いる事が出来る。
本発明に用いる導電性パターン形成用基材が有する樹脂層について説明する。樹脂層は、形成後の導電性パターンの多孔質層への密着性を高める事で導電性パターンの信頼性を向上させる役割のみならず、樹脂層の固形分塗布量を変化させる事で導電性パターン形成用基材の表面の亀裂幅を制御する役割も兼ねる。
樹脂層は全固形分に対して65質量%以上が樹脂である事が好ましく、80質量%以上が樹脂である事がより好ましく、90質量%以上が樹脂である事が更に好ましい。樹脂には、各種水溶性樹脂、各種有機溶剤可溶性樹脂、各種有機微粒子等を広く用いる事が出来る。樹脂層は緻密な被膜として多孔質層上に形成されていても良く、微細な孔を無数に有していても良い。
樹脂層が含有する水溶性樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等の水溶性セルロース類、膠、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン類、ポリビニルアルコール、シラノール変成ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変成ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カラギーナン、アラビアガム等の多糖類等を広く用いる事が出来る。使用する水溶性樹脂は1種類であっても良いし、2種以上混合して用いても良い。水溶性樹脂の分子量は10,000以上である事が好ましく、より好ましくは50,000以上である。水溶性樹脂を用いる場合には、後述する金属超微粒子含有組成物に水が含まれている事が好ましい。
樹脂層が含有する有機微粒子としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元樹脂、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ビニルピリジン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、エポキシ樹脂等、従来公知のものから広く選ぶ事が出来、これらは主に水からなる分散媒中にポリマー微粒子が分散されている各種エマルションを利用する事で、樹脂層に含有させる事が出来る。
使用する有機微粒子は1種類であっても良いし、2種以上混合して用いても良い。また、水溶性樹脂と有機微粒子を併用する事も出来る。
樹脂層に用いる有機溶剤可溶性樹脂としては、前述したエマルションに使用される樹脂として例示した樹脂を広く用いる事が出来る。また、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ナイロン樹脂等を用いる事も出来る。有機溶剤としては、エタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等、使用する樹脂を溶解可能な溶剤を広く用いる事が出来る。使用する有機溶剤可溶性樹脂は1種類であっても良いし、2種以上混合して用いても良い。有機溶剤可溶性樹脂の分子量は10,000以上である事が好ましい。金属超微粒子を含むインクあるいはペーストには、有機溶剤可溶性樹脂を溶解あるいは膨潤する事が可能な溶媒を含む事が好ましい。
このように樹脂層には様々な種類の樹脂を使用する事が出来るが、水溶性樹脂あるいは有機微粒子が使用の簡便さから好ましく、密着性の観点から水溶性樹脂としてはポリビニルアルコール類、ゼラチン類、多糖類がより好ましく、有機微粒子としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂のようにモノマー単位としてアクリル基やビニル基を有する樹脂、およびウレタン結合を有するウレタン樹脂がより好ましい。
これら水溶性樹脂、有機微粒子、有機溶剤可溶性樹脂は、水、有機溶剤、必要に応じレベリング剤、界面活性剤等を添加し、樹脂層の形成用塗液として調整される。
樹脂層の固形分塗布量は、後述するように樹脂層の表面に存在する亀裂幅に影響する。多孔質層に存在する亀裂幅に応じ樹脂層の固形分塗布量を変化させる事で、樹脂層の表面に存在する亀裂幅を制御する事が可能である。樹脂層の固形分塗布量が過剰な場合、樹脂が多孔質層に存在する亀裂を完全に塞いでしまい、樹脂層の表面に亀裂が現れず、得られる導電性パターンの導電性が低下する場合がある。
樹脂層の形成用塗液は、スライドカーテン方式、スライドビード方式、スロットダイ方式、ダイレクトグラビアロール方式、リバースグラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ワイヤーバーコーティング方式、スピンコート方式、インクジェット方式等による塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等によるパターンの形成等、公知の各種塗布あるいは印刷方法を利用して、あらかじめ支持体上に作製された多孔質層表面の全面、あるいは必要とされる部位への選択的な塗布を行い、樹脂層を形成する事が出来る。また、多孔質層が形成された支持体が立体である場合には、多孔質層の形成と同様の方式を用いる事により樹脂層を形成する事が出来る。
支持体が搬送されるライン上に複数の塗布装置が設置されるタンデム型の多層塗布装置を用いる事で、支持体上への多孔質層形成と、樹脂層形成を連続的に行う事も好ましい態様の1つである。
本発明に用いる導電性パターン形成用基材が有する亀裂について説明する。本発明において樹脂層に亀裂を設ける方法としては、多孔質層にあらかじめ亀裂を設けておき、その後樹脂層を多孔質層上に設ける方法と、多孔質層上に樹脂層を設けた後に亀裂を設ける方法の何れであっても良い。
多孔質層に亀裂を設ける方法として、支持体が紙等の通気性支持体である場合、湿潤状態にある多孔質層に加熱された平面体を圧着させ、通気性支持体に蒸気を逃がしつつ急激に乾燥させる事で亀裂を生じさせる方法が例示出来る。湿潤状態にある多孔質層とは、多孔質層形成工程での未乾燥状態にある多孔質層や、一旦乾燥させた多孔質層に対し再度水や溶剤を付与した多孔質層を指す。平面体の温度は80℃以上である事が好ましいが、120℃を超えると多孔質層の亀裂幅が過大になり、後述する樹脂層表面の亀裂幅を本発明の範囲に制御する事が困難になる場合がある。平面体の素材は特に限定されないが、平滑性や熱伝導率の観点から金属を用いる事が好ましい。平面体の構造は特に限定されないが、シリンダー状の物体を使用する事で、湿潤状態にある多孔質層を連続的に処理出来るため、生産性の観点から好ましい。
多孔質層に亀裂を設ける方法として、支持体がポリエチレンテレフタレート等の非通気性支持体の場合、多孔質層形成塗液を塗布後、恒率乾燥域では70〜100℃の環境下で乾燥させる方法が例示出来る。ここで恒率乾燥域とは、多孔質層塗布後、乾燥時間に比例して水や溶剤が皮膜より失われていく段階を指す。恒率乾燥域の確認方法としては、例えば、乾燥域の各領域に含水量計、例えば、赤外線を用いて分光的に水分を検出する測定機器を設置し、多孔質層の皮膜の含水量を皮膜表面側からモニターする事により得られる。また、含水量の減衰曲線からも規定する事が出来る。目的の大きさの亀裂を得る事が容易であるという理由により、多孔質層形成塗液の液温は35〜45℃が好ましく、多孔質層形成塗液を塗布後、恒温乾燥域では70〜100℃の環境下で乾燥させ、その際の恒率乾燥域終了時の皮膜温度は40〜70℃である事が好ましい。恒率乾燥域終了後は、効率が良い乾燥環境を適宜設定すれば良い。
多孔質層上に樹脂層を設けた後に亀裂を設ける方法としては、支持体として紙等の通気性支持体を用い、湿潤状態にある多孔質層および樹脂層に対し同様に加熱された平面体を圧着させ、急激に乾燥させる事で亀裂を生じさせる方法が例示出来る。多孔質層形成塗液と樹脂層形成塗液は同時に塗布しても、多孔質層形成塗液を塗布・乾燥後、あらためて樹脂層形成塗液を塗布しても構わない。後者の場合、樹脂層形成塗液を塗布する事で多孔質層に再度水や溶剤が付与されるため、別途水や溶剤を付与する必要はない。
樹脂層の表面に存在する亀裂幅は、その平均値が0.10〜2.5μmの範囲内である必要がある。この範囲外の場合、得られる導電性パターンの導電性が低下する。亀裂幅の平均値は、導電性パターン形成用基材の任意の部位200μm×200μmの領域を観察し、領域内に存在する亀裂幅を測定・合計し、亀裂の個数で除すれば良い。観察には光学型顕微鏡、走査型電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡等の公知の方法を用いる事が出来る。また測定結果に対しコンピューターにより画像処理を施し、亀裂観察を容易化する事も好ましい態様として挙げられる。具体的には例えば共焦点レーザー顕微鏡により導電性パターン形成用基材の表面を観察し、測定結果に対し2値化処理(亀裂を黒、亀裂以外を白、等)を行い亀裂幅を計測する方法が挙げられる。本発明に用いる導電性パターン形成用基材において、亀裂は基材表面に対し鋭く生じており、2値化処理は比較的容易である。
本発明に用いる導電性パターン形成用基材において亀裂の形状は一般的に不定形であり、単純な線だけで構成されるもの以外に、複数の分岐や交叉を有するものが存在する場合がある。単純な線だけで構成される亀裂において亀裂幅とは、両末端から亀裂全長の25%をそれぞれ除いた残りの部分において測定した幅を指す。分岐や交叉を有する亀裂において、亀裂幅とは末端、分岐点、交叉点から選ばれる隣接する2点間の線状部分のうち、2点から線状部分全長の25%をそれぞれ除いた残りの部分において測定した幅を指す。
本発明に用いる金属超微粒子含有組成物について説明する。金属超微粒子含有組成物とは、水および/または有機溶媒を分散媒とし、金属超微粒子を分散させたインクまたはペーストを指す。水に添加可能な有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の水性低沸点溶媒や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル等の水性高沸点有機溶媒を例示出来る。有機溶媒のみの構成としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系高沸点有機溶媒、ジアセトンアルコール、イソホロン、γ−ブチルラクトン等のケトン系高沸点有機溶媒、2−フェノキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系高沸点有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート等のエステル系高沸点有機溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系高沸点有機溶媒、テレピン油、α−テルピネオール、ミネラルスピリット等を例示出来る。
金属超微粒子含有組成物の金属超微粒子濃度は特に限定されないが、比較的低い金属超微粒子濃度の金属超微粒子含有組成物を用いて導電性パターンを形成する場合に本発明の効果が顕著になる。具体的には金属超微粒子濃度が12質量%以下、更には8質量%以下の時にとりわけ顕著な効果が得られる。
本発明に用いる導電性パターン形成用基材への金属超微粒子含有組成物の付与量は特に限定されないが、得られる導電性の観点から20〜30mL/mが好ましい。30mL/mを超えると、付与した金属超微粒子総量に見合った導電性が得られない場合がある。金属超微粒子含有組成物の金属超微粒子濃度が8質量%以下の場合には、25〜30mL/mが特に好ましい。
金属超微粒子の平均粒子径は、金属超微粒子の分散安定性の観点から、また得られる導電性の観点から1〜100nmである事が必要であり、好ましくは2〜50nmである。なお、金属超微粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡下での観察により求める事が出来る。詳細にはポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、金属超微粒子分散液を塗布、乾燥させ、走査型電子顕微鏡にて観察し、一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として求め、更にこれを平均し求める。
金属超微粒子は、高い導電性、価格、生産性、扱いやすさ等の点から、銀を主成分とする事が好ましい。銀を主成分とするとは、金属超微粒子中において、銀の占める割合が少なくとも50質量%以上である事を意味し、より好ましくは銀の占める割合が70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。銀以外に含まれる金属としては、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、ニッケル、ビスマスを挙げる事が出来る。銀以外の金属は銀を主成分とする金属超微粒子中に含まれていても良く、銀を主成分とする金属超微粒子と銀以外の金属の超微粒子が混合されていても良い。
金属超微粒子としては、不活性ガス中で金属を蒸発させガスとの衝突により冷却・凝縮し回収するガス中蒸発法、レーザー照射のエネルギーにより液中で蒸発・凝縮し回収するレーザーアブレーション法、水溶液中で溶液中金属イオンを還元し生成・回収する化学的還元法、有機金属化合物の熱分解による方法、金属塩化物の気相中での還元による方法、酸化物の水素中還元法等、公知の種々の方法により製造されたものを好ましく用いる事が出来る。
化学還元法にて用いる還元剤としては特に限定されず、金属イオンを還元する事が出来る公知の還元剤を選択すれば良い。ハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルフォネートカリウム塩、アスコルビン酸またはその塩、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン化合物、ホルマリン、ホスフィン酸またはその塩、酒石酸またはその塩、他にデキストリン、マルトース、グルコースなどの多糖類や二糖類、単糖類を例示する事が出来る。
金属超微粒子は分散安定性の観点から分散剤で被覆されている事が好ましい。例えば、American Journal of Science,Vol.37,P476−491,1889,M Carey Lea.に記載される方法においてはクエン酸が分散剤となっており、Experiments in Colloid Chemistry,1940,p.19,Hauser,E.A.and lynn,J.E.に記載される方法においてはデキストリンが分散剤となっている。他に、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等の各種イオン性化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等の各種界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カラギーナン、アラビアゴム、アルブミン、ポリエチレンイミン、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース類等の水溶性高分子類、脂肪酸やアミン等を持つ各種有機金属化合物類等を用いる事が出来る。
特に、デキストリン等の多糖類を還元剤および分散剤として兼用する事は、金属超微粒子製造時の原料品種の削減につながるため、生産性の観点から好ましい。多糖類を還元剤および分散剤として兼用する場合、その添加量は、金属イオン1モルに対して、10〜200gが好ましく、より好ましくは30〜110gである。
多糖類を用いる場合、還元反応が終了した段階で1,4−α−結合を不規則に切断するα−アミラーゼを作用させ、還元反応が終了した段階において残留している多糖類を低分子化する事は、金属超微粒子含有組成物をインクジェットヘッドより吐出する際のノズルの目詰まりを抑制出来る点で好ましい。α−アミラーゼは、例えば天野エンザイム(株)よりビオザイムF10SD、ビオザイムAとして市販されているα−アミラーゼを用いる事が出来る。α−アミラーゼ添加前の金属超微粒子分散液は、α−アミラーゼに適したpH4〜10、20〜50℃に調整される事が好ましい。pHの調整には、酢酸等のカルボン酸類や硝酸を用いる事が好ましい。α−アミラーゼの添加量は、用いるデキストリン等の多糖類の質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。
本発明に用いる金属超微粒子含有組成物には上記以外の含有物と併用して、公知の各種界面活性剤(例えばアルキル硫酸ナトリウム類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム類、フッ素系界面活性剤等)を添加して表面張力を調整する事が出来る。また金属超微粒子含有組成物の意図しない乾燥を抑制するために高沸点溶媒(例えばエチレングリコールやプロピレングリコール等)を添加する事も好ましい。また、導電性パターン形成方法によって、ポリアクリル酸等の増粘剤を用いて金属超微粒子含有組成物の粘度を調整する事も好ましい。例えば、グラビア印刷、インクジェット印刷を用いる場合には、粘度を1〜100mPa・sの範囲に調整する事が好ましい。
金属超微粒子含有組成物を導電性パターン形成用基材の表面に付与する方法としては、特に限定されず、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、スプレー方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ワイヤーバーコーティング方式、スピンコート方式、ディップ方式等による塗布、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等による印刷等、公知の方法を用いる事が出来る。パターン形成が容易であるという観点から、グラビア印刷、インクジェット印刷が好ましく、金属超微粒子含有組成物付与量の調節が容易であるという観点から特にインクジェット印刷が好ましい。
これらの方法により付与された金属超微粒子含有組成物は、含まれている分散媒を揮散させた後、加熱により焼成し導電性パターンとしても良いが、金属超微粒子が主に銀からなる場合、特開2008−4375号公報、特開2008−235224号公報、特願2007−184064号公報に記載される主に銀からなる金属超微粒子に作用し導電性を発現させる事が可能な物質(以下、導電性発現剤とする)を支持体、多孔質層、樹脂層、下塗層の何れか、あるいは複数層にわたり含有させ、化学的な作用により金属超微粒子同士を結合し導電性パターンとする事がより好ましい。含有させる層として、多孔質層あるいは樹脂層が特に好ましい。導電性発現剤として特に好ましいのは、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物、チオ硫酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩である。また、これらの物質を複数種類併用する事も好ましい態様の一つである。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部は質量部を示す。
《実施例1》
<銀超微粒子分散液1の作製>
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化学(株)製、デキストリンNo.3)653gと純水5772gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀1582gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム730gを純水1007gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で撹拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整後、恒温水槽を用いて45℃に昇温し、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を3.0g添加し1時間撹拌した。得られた液を遠心分離法により精製した後、銀の固形分濃度が45質量%になるように純水を加え再分散し、銀超微粒子分散液1を得た。含まれる銀超微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡下での観察により求めたところ22nmであり、収率は91%であった。
<銀超微粒子含有組成物1の作製>
銀超微粒子分散液1を50g取り、純水、高沸点溶媒としてエチレングリコールを113g、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BT−9)を1.0g加え、銀の固形分濃度が6.0質量%の金属超微粒子含有組成物1を作製した。JIS−B 7525に基づく標準比重計により測定した比重は1.11であった。
<導電性パターン形成用基材1の作製>
支持体として紙(三菱製紙(株)製三菱ダイヤフォームN、坪量157g/m)を用い、下記組成の多孔質層形成塗液1をエアナイフコーターにより、固形分で0.1g/m塗布し乾燥させた。続いて下記組成の多孔質層形成塗液2をスライドカーテンコーターにより、固形分で20g/m塗布し乾燥させた。得られた多孔質層に水を5秒間接触させて湿潤状態にした後、表面温度95℃の金属製ロールに圧着・乾燥させた。210mm×297mmのシート状に加工後、下記組成の導電性発現剤塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.20g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材1を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、亀裂幅は平均で6.3μmであった。
<多孔質層形成塗液1>
ホウ酸 40部
ホウ砂 40部
水 420部
<多孔質層形成塗液2>
下記アルミナ水和物分散液1 100部
ポリビニルアルコール 2.0部
((株)クラレ製PVA235、けん化度88%、平均重合度3500)
水 18部
<アルミナ水和物分散液1>
アルミナ水和物(サソール(株)製Disperal HP14) 100部
酢酸 1.0部
水 299部
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定によるアルミナ水和物の平均二次粒子径は170nmであった。
<導電性発現剤塗液1>
塩化ナトリウム 1.0部
水 99部
<導電性パターン形成用基材2の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、下記組成の樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.25g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材2を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で4.9μmであった。
<樹脂層形成塗液1>
ウレタン樹脂微粒子水分散体 20部
(第一工業製薬(株)製スーパーフレックス820、固形分濃度30質量%)
水 80部
<導電性パターン形成用基材3の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.50g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材3を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で3.2μmであった。
<導電性パターン形成用基材4の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.80g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材4を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で1.8μmであった。
<導電性パターン形成用基材5の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で1.2g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材5を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で0.90μmであった。
<導電性パターン形成用基材6の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で1.6g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材6を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で0.20μmであった。
<導電性パターン形成用基材7の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で2.0g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材7を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、基材表面は樹脂で一様に埋没し、樹脂層に亀裂は存在しない事を確認した。
<導電性パターン形成用基材8の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、下記組成の樹脂層形成塗液2をワイヤーバーにより、固形分で1.2g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材8を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で1.0μmであった。
<樹脂層形成塗液2>
ゼラチン 10部
((株)ニッピ製IK3000、分子量約120,000)
水 90部
<導電性パターン形成用基材9の作製>
導電性パターン形成用基材1に対し、下記組成の樹脂層形成塗液3をワイヤーバーにより、固形分で1.2g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材9を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で0.90μmであった。
<樹脂層形成塗液3>
エチレン塩化ビニル樹脂微粒子水分散体 10部
(住友化学(株)製スミエリート1010、固形分濃度50質量%)
水 90部
<導電性パターン形成用基材10の作製>
支持体として易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)を用い、下記組成の多孔質層形成塗液3(塗液温度40℃)をスライドビードコーターにより固形分で25g/m塗布し、恒率乾燥域では85℃の環境下で乾燥し(恒率乾燥域終了時における皮膜温度は55℃)、恒率乾燥域終了後は55℃の環境下で乾燥させた。210mm×297mmのシート状に加工後、導電性発現剤塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.20g/m塗布し自然乾燥させた。その後、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.10g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材10を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層の亀裂幅は平均で0.25μmであった。
<多孔質層形成塗液3>
下記気相法シリカ分散液 525部
ホウ酸 5.0部
ポリビニルアルコール 25部
((株)クラレ製PVA235、けん化度88%、平均重合度3500)
固形分濃度が11質量%になるように水で調整した。
<気相法シリカ分散液>
ジアリルアミン誘導体カチオン性ポリマー水溶液 5.8部
(第一工業製薬(株)製シャロールDC902P、平均分子量9000、固形分濃度52質量%)
気相法シリカ 100部
(日本アエロジル(株)製アエロジル380、比表面積300m/g)
気相法シリカが20質量%になるように水で調整した。なお、分散時は高圧ホモジナイザー処理を実施した。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定による気相法シリカの平均二次粒子径は100nmであった。
<導電性パターン形成用基材11の作製>
支持体として易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)を用い、下記組成の多孔質層形成塗液4をスライドビードコーターにより固形分で30g/m塗布し、乾燥機により乾燥させた。210mm×297mmのシート状に加工後、導電性発現剤塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.20g/m塗布し自然乾燥させた。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、多孔質層に亀裂は存在しなかった。その後、樹脂層形成塗液1をワイヤーバーにより、固形分で0.10g/m塗布し自然乾燥させ、導電性パターン形成用基材11を得た。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察の結果、樹脂層に亀裂は存在しなかった。
<多孔質層形成塗液4>
下記アルミナ水和物分散液2 333部
ポリビニルアルコール 12部
((株)クラレ製PVA235、けん化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 0.50部
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.30部
(日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BT−9)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
<アルミナ水和物分散液2>
アルミナ水和物(サソール(株)製Disperal HP14) 100部
硝酸 2.5部
固形分濃度が30質量%になるように水で調整した。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置での測定によるアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。
<導電性パターン1〜11の形成>
ピエゾ方式のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに銀超微粒子含有組成物1を充填し、導電性パターン形成用基材1〜11に対し幅50mm、長さ50mmのベタパターンを印刷し、導電性パターン1〜11を得た。液滴体積および解像度から算出した導電性パターン形成用基材表面に対する銀超微粒子含有組成物1の付与量は約28mLであった。
<導電性評価>
(株)三菱化学アナリテック製ロレスターGPを用いて導電性パターン1〜11のシート抵抗値(単位:Ω/□)を測定した。
導電性パターン1〜11について、樹脂層の亀裂幅の平均値、シート抵抗値をまとめて表1に記す。
表1の結果から明らかなように、本発明により金属超微粒子濃度が低い金属超微粒子含有組成物を使用した際にも、高い導電性を有する導電性パターンが形成可能である事が判る。
本発明によって得られる導電性部材の応用としては、非接触ICカードやHF帯、UHF帯等の各種電波帯域を用いるRFIDインレイ、RFIDタグ、RFIDラベル等、コネクタや端子等の物理的な電気的接点を用いず、電波等の電磁波を用い情報の授受を行う非接触型メディアや、電磁波シールド等を例示出来る。

Claims (2)

  1. 支持体上に無機微粒子を主成分とする多孔質層と、該多孔質層の上に樹脂層を有し、該樹脂層の表面に存在する亀裂幅の平均値が0.10〜2.5μmである導電性パターン形成用基材の表面に、平均粒子径が1〜100nmの金属超微粒子を含有する金属超微粒子含有組成物を付与する導電性パターン形成方法。
  2. 基材上に、前記請求項1記載の導電性パターン形成方法を用いて得られた導電性パターンを有する導電性部材。
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