JPWO2007007751A1 - 表面処理シリカゾル、その製造方法及びインクジェット記録媒体 - Google Patents

表面処理シリカゾル、その製造方法及びインクジェット記録媒体 Download PDF

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雅紀 大岩本
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Abstract

【課題】乾燥物の造膜性、多孔性を改良した表面処理シリカゾル、該表面処理シリカゾルを効率よく製造する方法、及びインクジェット方式の印字において、高いインク吸収性を有し、高品位の画像形成を可能にするインクジェット記録媒体を提供すること。【解決手段】前記表面処理シリカゾルは、水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面に2価金属イオンを結合させた表面処理を施し改質することにより得られる。また、前記インクジェット記録媒体すなわちインクジェット記録用紙及びシートは、本発明の表面処理シリカゾルを用いることにより得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、コロイダルシリカ粒子の表面に2価金属イオンを結合させた表面処理シリカゾル及びその製造方法に関する。更には、上記の表面処理シリカゾルを用いて製造されたインクジェット記録媒体に関する。
なお、この表面処理シリカゾルは、固体表面上で乾燥されると優れた造膜性と多孔性を示し、各種コーティング剤のマイクロフィラーや改質剤、結合剤、防蝕剤、触媒担体、難燃剤等、種々の分野に利用される。
シリカゾルは多くの用途に使用されている。大部分の用途において、球状又は球状に近いコロイダルシリカ粒子が、液中で単分散に近い状態で存在し、液中での凝集粒子径(2次粒子径)が小さい状態で存在するシリカゾルが使用されている。従来の水性シリカゾルは、コロイダルシリカ粒子同士の結合力が強く、それ自身で結合剤としての性能を有する反面、シリカゾルを使用したコート膜を乾燥する際にコロイダルシリカ粒子同士の結合力のために膜が収縮しやすくなり、造膜性が劣る場合がある。しかしながら、用途によってはシリカゾルを使用したコート膜は高い造膜性と多孔性が求められるため、コロイダルシリカ粒子の形状制御や表面改質に関して種々の提案がなされている。
10ないし80nmの窒素吸着法粒子径(D2nm)を有する球状コロイダルシリカ粒子とこの球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカとからなる、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなる、シリカ濃度5ないし40質量%の安定なシリカゾル及びその製造方法が開示されている。なお、その数珠状コロイダルシリカ粒子は、その動的光散乱法粒子径(D1nm)と球状コロイダルシリカ粒子の窒素吸着法粒子径(D2nm)の比D1/D2が3以上あって、このD1は50ないし500nmであることに特徴があり、球状コロイダルシリカよりも造膜性、多孔性は改良されているが、コロイダルシリカ粒子の表面は改質されておらず、場合によっては造膜性、多孔性は十分でない場合がある(特許文献1参照)。
負の電荷を有する無機酸化物コロイド粒子に抗菌性金属成分を付着せしめた抗菌性無機酸化物コロイド溶液からなる抗菌剤が開示されている(特許文献2参照)。
また、無機酸化物コロイド粒子を分散質とする水性ゾルに、金属塩又はその水溶液及び陰イオン交換体を混合して、前記金属塩を構成する金属成分を前記無機酸化物コロイド粒子に担持させることを特徴とする水性ゾルの製造方法が開示されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの抗菌剤及び水性ゾルでは得られる造膜性や多孔性についての開示はされておらず、目的の性能が得られない、又は製造方法が煩雑であるなど、実用上満足のいくものではなかった。
支持体上に、合成無定形シリカ及び水性接着剤からなるインク受理層を設けてなるインクジェット記録用紙に於いて、該合成無定形シリカがシランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とするインクジェット記録媒体が開示されている(特許文献4参照)。
また、水溶性染料を含有する記録液を用いて、画像を形成するための被記録材において、該被記録材がNa、K、Ca、Mg、Al、Zn、Ba、Sr及びSnからなる群から選択される金属の金属石鹸、水酸化物、塩又は酸化物の1種又は2種以上の混合物により表面処理されたシリカを含有することを特徴とする被記録材が開示されている。この表面処理されたシリカを含有する被記録材では、シリカに対して金属塩類の添加量が大きいことが特徴である(特許文献5参照)。
国際公開第00/15552号パンフレット(特許請求の範囲) 特開平6−80527号公報(特許請求の範囲) 特開平9−38483号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−224580号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−166586号公報(特許請求の範囲)
本発明は、水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子を表面処理して改質することにより、造膜性、乾燥物の多孔性を改良した表面処理シリカゾルを提供しようとするものであり、次にこの表面処理シリカゾルを効率よく製造する方法を提供しようとするものである。
更には本発明の目的は、斯かる表面処理シリカゾルを用いることにより、インクジェット方式の印字において、高いインク吸収性を有し、高品位の画像形成を可能にするインクジェット記録媒体すなわちインクジェット記録用紙及びシートを提供することにある。
本発明の第1実施態様は、コロイダルシリカ粒子の表面に2価金属イオンを結合させた表面処理シリカゾルである。
以下に、好ましい態様を示す。
結合させた2価金属イオンの量が、コロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り0.001ないし0.4個、より好ましくは0.005ないし0.2個であること。
2価金属イオンがカルシウムイオンであること。
本発明の第2実施態様は、pH1ないし5を有する酸性水性シリカゾルに2価金属の水酸化物を添加して、加熱熟成することを含む表面処理シリカゾルの製造方法である。
以下に、好ましい態様を示す。
2価金属の水酸化物の添加量は、酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り2価金属イオンが0.001ないし0.4個、より好ましくは0.005ないし0.2個となる量とすること。
2価金属の水酸化物が水酸化カルシウムであること。
本発明の第3実施態様は、コロイダルシリカ粒子の表面に2価金属イオンを結合させた表面処理シリカゾルと、水性樹脂とを含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体である。
以下に、好ましい態様を示す。
結合させた2価金属イオンの量が、コロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り0.001ないし0.4個、より好ましくは0.005ないし0.2個であること。
2価金属イオンがカルシウムイオンであること。
本発明の表面処理シリカゾルは、種々の用途において改良をもたらす。
本発明のシリカゾルと共に、従来から用いられている種々の塗料成分を配合することにより、有機系塗料、無機系塗料、無機−有機複合塗料、耐熱塗料、防食塗料等を調整することが出来る。本発明のシリカゾルから形成された乾燥塗膜にはピンホールが少なく、クラックはほとんど見られない。また、この塗膜は平滑性を有し、衝撃力を吸収しやすい柔らかさがあり、基材との密着性、保水性、帯電防止性のいずれも良好である。従って、本発明のシリカゾルを含有するコーティング剤は各種フィルム、印画紙やインクジェット紙等に使われるレジンコーテッドペーパー、合成紙等にバックコートすることにより帯電防止用コーティング剤として使用することが出来る。
本発明のシリカゾルを含有する無機塗料から形成された焼成塗膜は、良好な耐熱性を示す。この本発明のシリカゾルを含有するこれらの塗料は、種々の基材、例えばガラス、セラミックス、金属、プラスチック、木材、紙等の表面に適用することができる。
本発明のシリカゾルは、リン酸塩等との併用により防蝕剤として使用できる。また、アクリル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系等の樹脂エマルジョンとの併用により亜鉛メッキ鋼板用の防蝕コーティング剤に使用すると防蝕性を高めることができ、ノンクロメートタイプの防蝕コーティング剤として使用することができる。
特に、本発明のシリカゾルは造膜性がよく、その乾燥物は多孔性を有していることからインクジェットのような印刷用記録紙や記録シートのインク受容層に適している。この用途においては、シリカゾルはポリビニルアルコールや樹脂エマルジョン等の水性樹脂に添加され、このシリカゾルのコロイダルシリカ粒子はマイクロフィラーとして作用する。樹脂エマルジョンとしてはアクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、アミド系ポリマー及びこれらの変性物、共重合体のエマルジョンを用いることができる。
本発明のシリカゾルは結合性があり、更にその乾燥物は多孔性を有していることから、触媒担体、触媒用バインダーとして優れており、特に流動層触媒担体、自動車用触媒バインダーとして適している。
本発明のシリカゾルは、粘度増加剤、ゲル化剤としても用いられる。
本発明のシリカゾルは、付着性、結合性も大きいのでダンボール紙やフィルムのスリップ防止剤としても有効である。
本発明のシリカゾルは、通常のガラス繊維、セラミック繊維又はその他の無機繊維等のフェルト状物に含浸させることができる。そしてこのシリカゾルが含浸されたフェルト状物を乾燥すると、強度の高いフェルト状物が得られる。また、これら無機繊維の短繊維とこのシリカゾルとを混合することもできる。そして上記短繊維とこのシリカゾルの混合物をシート状、マット状、その他の形状に成形した後乾燥すると、やはり強度の高いシート、マット、成型品等が得られる。これら得られたフェルト状物、シート、マット、成型品等の表面には、従来のシリカゾルを同様に用いたときに見られる粉立ちが現出しない。従って、これら無機繊維等に結合剤として用いたシリカゾルのコロイダルシリカ粒子は、乾燥の際に内部からこれら無機繊維成形体の表面への移行がほとんど起こらないことを示している。これら乾燥された成型品は、改良品として耐熱性断熱材、その他の用途に提供される。
本発明のシリカゾルは、多孔質組織を有する基材の表面処理剤として用いることもできる。例えば、コンクリート、モルタル、セメント、石膏、粘土等の硬化物表面に適用すると、このシリカゾルはその表面から内部へ含浸し、乾燥の後には改良された表面層が得られる。天然及び合成の繊維、それらの繊維製品、紙、木材等へも表面処理剤として用いることができる。その他、鋳物の封孔処理剤としても用いられる。
本発明のシリカゾルは、樹脂やゴムの中での分散性に優れており、水性ゲル、有機溶媒ゲル又はこれらを乾燥した粉体として各種樹脂やゴムに加えることにより、補強剤等して用いることができる。特に自動車用タイヤに使用されているSBRの補強剤には有効である。
これら各種用途のうち特にインクジェット記録媒体の用途においては、本発明のシリカゾルと水性樹脂とを含有するインク受容層用コーティング組成物を用いて、紙又はプラスチックフィルムもしくはシート上にインク受容層を形成させることにより、インクの吸収性、インク吸収速度が大きく、印刷の鮮明性、色彩がよく、また光沢がよいインクジェット記録媒体を提供することができる。
本発明のシリカゾルは、酸や塩基を加えることにより容易にpHをコントロールすることができ、カチオン性の水性樹脂を除いた各種水性樹脂と任意に混合使用することができる。また、他のシリカゾルとも任意に混合使用することができる。
本発明のシリカゾルは、全pH範囲で負に帯電しておりそのままではカチオン性の水性樹脂とは混合使用できないが、このシリカゾルはカチオン性ポリマーを添加することにより容易にカチオン化シリカゾルにすることができる。そのカチオン化シリカゾルはカチオン性の水性樹脂と混合使用することができる。また、水性樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合には、シリカゾルにポリビニルアルコールを混合した後、カチオン性ポリマーを混合することにより、更に容易に本発明のシリカゾルをカチオン化することができる。これにより得られた混合液は、アンモニア等の塩基を加えることにより容易にアルカリ性に調整することができる。
本発明のシリカゾルは、造膜性、その乾燥物の多孔性に優れるため、他のシリカゾルと比較して水性樹脂の使用量を減少しても良好な被膜を得ることができる。特に、一次粒子径の大きいシリカゾルは、水性樹脂の使用量をより減少させることができ、更にインクの吸収性を高めることができる。
本発明のシリカゾルは、粒子の表面に2価金属イオンを結合させたコロイダルシリカ粒子を含有する表面処理シリカゾルである。
本発明における2価金属イオンの例としては、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオン等が挙げられる。より具体的には、例えばカルシウム(Ca)イオン、マグネシウム(Mg)イオン、ベリリウム(Be)イオン、カドミウム(Cd)イオン、銅(Cu)イオン、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、亜鉛(Zn)イオン等が挙げられる。そして、それらの硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩酸塩、炭酸塩等の無機酸塩、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、酸化物が挙げられる。これらが、コロイダルシリカ粒子の表面処理に使用することができるが、特に、Caイオンの水酸化物である水酸化カルシウムをコロイダルシリカの表面処理に使用するのが好ましい。また、上記の2価金属イオンは、固体のまま或いは水溶液として用いることができる。
本発明の2価金属イオンの量は、コロイダルシリカ粒子表面1nm2当り0.001ないし0.4個であることが望ましく、0.005ないし0.2個であることが更に望ましい。少ない2価金属イオンの量で表面処理効果が得られるのである。コロイダルシリカ粒子表面1nm2当りの2価金属イオンの量が0.001個よりも少ない場合は、表面処理の効果が小さすぎて、本発明のシリカゾルを乾燥させた際に目的とする造膜性、多孔性が得られない。また、コロイダルシリカ粒子表面1nm2当りの2価金属イオンの量を0.4個より多くしても、その造膜性や多孔性の更なる向上は見られず、場合によってはシリカゾル中に粗大な凝集粒子が発生し、実用上好ましくない。そして、インクジェット記録媒体のインク受容層の造膜性に関しては、コロイダルシリカ粒子の分散性が良い方が好ましい。そのため2価金属イオンの添加量は少ない方がよく、コロイダルシリカ粒子表面1nm2当り0.005ないし0.2個であることがより望ましい。
本発明の原料となるpH1ないし5を有する酸性水性シリカゾルは、従来から知られている任意の方法により製造されたpH1ないし11を有する水性シリカゾルを原料としてよい。前記酸性水性シリカゾルの原料となるシリカゾルは、工業材料として市販されているものを使用することができる。水性シリカゾルがアルカリ性の場合には、陽イオン交換処理することにより容易にpH1ないし5を有する酸性水性シリカゾルを得ることができる。また、アルカリ性水性シリカゾルに無機酸、有機酸等の酸を加えてpHを低下させることもできる。一方、酸性水性シリカゾルの場合には、アルカリ性物質を加えてpHを上昇させることもできる。より好ましい水性シリカゾルとしては、pH2ないし4を有する酸性水性シリカゾルが挙げられる。
本発明の原料となる酸性水性シリカゾルは、3ないし100nmの比表面積径を有するものを使用することができ、コロイダルシリカ粒子の形状は球状でも非球状でもよい。また、本発明の原料となる酸性水性シリカゾルは、シリカ濃度として0.5ないし60質量%のものを使用することができる。ここで、コロイダルシリカ粒子の比表面積径D(nm)(窒素吸着法粒子径)は、通常窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積S(m2/g)から、D(nm)=2720/Sの式によって与えられる。
次に本発明の表面処理シリカゾルの製造方法について説明する。本発明の表面処理シリカゾルは、原料となる酸性水性シリカゾルに常温あるいは加熱下に2価金属イオンを添加して撹拌混合した後、加熱熟成する方法にて製造される。
2価金属の水酸化物の添加量は、酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り2価金属イオンが0.001ないし0.4個となる量とする。
原料となる酸性水性シリカゾルへの2価金属イオンの添加は、撹拌下に行うのが好ましい。また、この添加の温度及び時間には特に制限はなく、15℃ないし95℃の温度で1分ないし1時間程度でよい。2価金属イオン添加後の撹拌混合の温度及び時間についても特に制限はなく、15℃ないし95℃の温度で2分ないし5時間でよい。これらの撹拌には、一般的に知られているパドル型、アンカー型、ファウドラー型、ディスパー型等の撹拌機やホモジナイザー等を用いることができる。
本発明の表面処理シリカゾルを製造する際に行う加熱熟成工程は、好ましくは50℃ないし150℃の温度で30分ないし12時間行うのが良い。50℃よりも低い温度で熟成を行うと、2価金属イオンとコロイダルシリカ粒子同士の結合が十分に進まず、2価金属イオンを添加した効果が見られないだけでなく、長期保存後に2価金属イオンに起因する結晶や沈降物等を生じ、問題となることがある。また、150℃よりも高い温度で熟成を行うと、コロイダルシリカ粒子の凝集等を生じ、やはり問題となることがある。熟成時間に関しては、30分より短いと2価金属イオンとコロイダルシリカ粒子との結合が十分に進まず、12時間より長くしても得られる表面処理シリカゾルの品質には全く影響せず、実用上好ましくない。
上記の方法で製造した表面処理シリカゾルは、広いpH領域で安定であり、任意のpHに調整することができる。このpH調整には、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸等の酸やアルカリ金属水酸化物、アンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン等のアルカリ性物質の水溶液を用いることができる。
表面処理シリカゾルの分散媒中での粒子径(二次粒子径)は、動的光散乱法により測定できる。例えばサブミクロン粒子アナライザー model N4(商品名:ベックマン・コールター社製)により容易に動的光散乱法粒子径が測定できる。
本発明の表面処理シリカゾルは、シリカ濃度が0.5ないし60質量%であり、この範囲内で必要に応じて濃縮を行うことができる。濃縮には、蒸発法や濾過膜法等を用いることができる。また該ゾル中に、ゾルの安定性の妨げとなる量の陽イオンや陰イオンが存在する場合には、限外濾過膜や逆浸透膜のような微細多孔性膜を用いる方法やイオン交換樹脂を用いる方法で除去することができる。
本発明の表面処理シリカゾルは、場合によってはごく僅かに沈降物を生じることがあるが、静置や濾過により容易に除去することができる。またこの沈降物はホモミキサー、高速回転式ホモジナイザー、高圧法ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ビーズミル等の分散装置によって所望の大きさに分散し除去することもできる。
本発明の表面処理シリカゾルは、各種組成物を作る目的で添加される成分を、従来のシリカゾルと同様に混合使用することができる。本発明の表面処理シリカゾルは、2価金属イオンによる表面処理によりコロイダルシリカ粒子表面に存在するSi−OH基(シラノール基)が封鎖され、その反応性が低く抑えられているため、従来のシリカゾルでは混合安定性が不十分であった成分についても、より安定に混合使用することができる。混合使用される成分としては、各種シリカゾル、アルカリ金属珪酸塩水溶液、アルキルシリケートの部分加水分解液、アルミナゾル、その他の金属酸化物ゾルやポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子、メラミン樹脂、尿素樹脂等の水溶性樹脂、アクリル系等の樹脂エマルジョン、ベントナイトやアルギン酸ソーダ等の粘度増加剤、アクリル樹脂等の有機溶媒溶解樹脂液、更にエチレングリコール、メチルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒、シランカップリング剤の部分加水分解液、界面活性剤、各種酸、各種アルカリ、耐火物粉末、金属粉末、顔料、塗料等が挙げられる。
本発明の表面処理シリカゾルは、一般的に従来のシリカゾルが用いられるすべての用途に使用することができるが、特に乾燥した際の造膜性、多孔性に優れているため、各種のコーティング材料への使用に適している。中でも、インクジェット記録媒体の用途において、本発明のシリカゾルと水性樹脂とを含有するインク受容層用コーティング組成物を用いて、紙又はプラスチックフィルムもしくはシート上にインク受容層を形成させることにより、インクの吸収性、インク吸収速度が大きく、印刷の鮮明性、色彩がよく、また光沢がよいインクジェット記録媒体を提供することができる。
本発明に使用する水性樹脂としては天然高分子、水溶性樹脂及び樹脂エマルジョン等がある。天然高分子としてはカゼイン、大豆蛋白、澱粉、ゼラチン等があり、水溶性樹脂の例としては、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂(メチルセルロース(MC)、エチルセルロール(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等やキチン類を、エーテル結合を有する樹脂として、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE)を、そしてアミド基又はアミド結合を有する樹脂として、ポリアクリルアミド(PAAM)及びポリビニルピロリドン(PVP)を挙げることができる。樹脂エマルジョンとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体エマルジョン、アクリル系重合体エマルジョン、スチレン−アクリル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体エマルジョン、エステル系重合体エマルジョン、ウレタン系重合体エマルジョン、アクリルシリコーン系重合体エマルジョン、アクリルウレタン系重合体エマルジョン、アクリルエポキシ系重合体エマルジョン、シリコーン系重合体エマルジョン、オレフィン系重合体エマルジョン、エポキシ系重合体エマルジョン、塩化ビニリデン系重合体エマルジョン等が挙げられる。紙又はフィルムのコーティング用として、これら水性樹脂からなる群から選ばれた一種又は二種以上を併用することができる。
本発明のシリカゾルは、塩基性アルミニウム塩、塩基性ジルコニウム塩、カチオン系界面活性剤、カチオン性ポリマー等の表面処理剤で処理することによりカチオン化させて使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミンの塩酸塩、酢酸塩等のアミン塩型化合物、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩型化合物、アルキルイミダゾリン第4級塩又はアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、等を用いることができる。またカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン又はその塩類、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリビニルアミン等のポリアミン及びその塩類、ポリアミンスルホン酸塩、ポリアミンエピクロルヒドリン縮合体、ポリアミドエピクロルヒドリン縮合体、ポリジアリルジメチル第4級アンモニウム塩等のジアリルジアルキルアンモニウム塩類、ジアリルアミンアクリルアミド共重合体塩、ポリスチレン第4級アンモニウム塩、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂等を挙げることができる。こうして、カチオン化したシリカゾルを用いる場合には、必要に応じてカチオン変性の水溶性樹脂又はカチオン性樹脂エマルジョンを使用することができる。また、無定形又はベーマイト構造のアルミナゾルを併用することもできる。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物は、基本的にはシリカゾルと水性樹脂溶液を混合する方法により得ることができるが、樹脂エマルジョンの場合には、樹脂エマルジョン製造時にモノマー中にシリカゾルを添加して重合させる方法を採ることもできる。
本発明のコロイダルシリカ粒子と水性樹脂の混合比はコロイダルシリカ粒子の質量100に対して水性樹脂の質量が、2ないし100、特に5ないし50であることが好ましい。コロイダルシリカ粒子の質量100に対して水性樹脂の質量が2未満の場合は得られる受容層に著しいクラックが発生することもあり、インクのしみ込みムラができるため好ましくない。一方、コロイダルシリカ粒子の質量100に対して水性樹脂の質量が100を超える場合には樹脂が多くなるため、インクの吸収量、吸収速度が小さくなり好ましくない。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物中のコロイダルシリカ粒子と水性樹脂との固形分の合計量は5ないし50質量%であることが好ましく、10ないし40質量%が特に好ましい。5質量%未満では充分な膜厚の受容層が得られない。一方、50質量%を超えるとコーティング組成物の粘度が高くなりすぎることや、乾燥が速くなりすぎるため好ましくない。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物には、該シリカゾルに含まれるコロイダルシリカ粒子以外に、例えばカオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、コロイダルシリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、天然スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料を併用でき、これら顔料からなる群から選ばれた一種又は二種以上を併用することができる。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物に用いられる溶媒は、一般に水であるが、必要に応じて少量のアルコール類やグリコール類等の水溶性有機溶媒を用いることができる。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物は、主として本発明のコロイダルシリカ粒子と水性樹脂からなるが、粒子の分散性を高めるために、各種無機塩類やpH調整剤として酸やアルカリを含んでいてもよい。また、塗布適性や表面品質を高める目的で各種の界面活性剤を使用してもよい。表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制するため、あるいは電子写真法において表面電気抵抗を調整するためにイオン導電性をもつ界面活性剤や電子導電性をもつ金属酸化物微粒子を含んでいてもよい。また、インク記録において色素を固定し耐水性を高める目的で媒染剤を使用してもよい。また表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。また、色材の劣化を抑制する目的で各種の酸化防止剤、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物を塗布する紙基材としては特に制限されるものではなく、一般の塗工紙に使用される酸性紙、あるいは中性紙等が好ましく使用される。また多孔性、透気性を有するシート類も紙基材とみなすことができる。
また、本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物を塗布するプラスチックフィルム・シートとしては、例えばセロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET等)等の透明性の非常に高いプラスチックフィルム・シートやホワイトペット、合成紙等の透明性の低いフィルム・シートが挙げられる。上記基材として、紙とプラスチックフィルム・シートとの積層体を用いることもできる。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物は、上記紙基材やプラスチックフィルム・シートにブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の各種公知のコーターにより塗布することができ、塗布後、熱風乾燥機等により60ないし180℃で乾燥することによりインク受容層を形成することができる。また、塗布、乾燥後、例えば、スプレーカレンダー、グロスカレンダー等で加熱、加圧下にロールニップ間を通すことにより、表面平滑性、透明性及び塗膜強度を向上させることができる。
本発明のシリカゾルを使用したインク受容層用コーティング組成物を紙又はフィルムもしくはシートに塗布、乾燥して得られるインク受容層の膜厚は5ないし50μmの範囲であることが好ましい。インク受容層の膜厚が5μm未満の時はインクの吸収性、吸収速度が低下するため好ましくなく、50μmを超えると使用するインク受容層用コーティング組成物の使用量が多くなりすぎて塗工が困難であったり、インク受容層にクラックが発生しやすくなるため好ましくない。
以下に本発明の実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO(商品名):日産化学工業(株)製、比重1.129、粘度2.2mPa・s、pH2.5、電導度439μS/cm、シリカ(SiO2)濃度20.5質量%、窒素吸着法粒子径11.0nm、動的光散乱法粒子径20nm}1500g(SiO2含量307.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.244g(CaO含量0.185g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.026個である。)を添加して2時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.129、粘度2.9mPa・s、pH5.9、電導度319μS/cm、SiO2濃度20.5質量%、窒素吸着法粒子径11.0nm、動的光散乱法粒子径20nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物はほとんど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例2
実施例1で得た表面処理水性シリカゾル500gを1Lガラスビーカーに取り、ディスパー型撹拌機にて1200rpmにて撹拌している中に、10%水酸化ナトリウム水溶液10.0gを添加し、1時間撹拌混合した。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.129、粘度3.7mPa・s、pH9.6、電導度1451μS/cm、SiO2濃度20.1質量%、動的光散乱法粒子径21nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物はほとんど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例3
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO(商品名)}1500g(SiO2含量307.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.731g(CaO含量0.554g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.078個である。)を添加して2時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.127、粘度3.2mPa・s、pH7.5、電導度432μS/cm、SiO2濃度20.5質量%、窒素吸着法粒子径11.0nm、動的光散乱法粒子径24nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、ごく少量の沈降物は認められたものの、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例4
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO−40(商品名):日産化学工業(株)製、比重1.290、粘度4.1mPa・s、pH2.7、電導度950μS/cm、SiO2濃度40.5質量%、窒素吸着法粒子径21.5nm、動的光散乱法粒子径36.5nm}1500g(SiO2含量607.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.241g(CaO含量0.182g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.025個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.292、粘度6.7mPa・s、pH5.4、電導度757μS/cm、SiO2濃度40.5質量%、窒素吸着法粒子径21.5nm、動的光散乱法粒子径39.3nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、ごく少量の沈降物は認められたものの、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例5
実施例4で得た表面処理シリカゾル500gを1Lガラスビーカーに取り、ディスパー型撹拌機にて1200rpmにて撹拌している中に、10%水酸化ナトリウム水溶液7.5gを添加し、1時間撹拌混合した。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.290、粘度94.6mPa・s、pH9.1、電導度1757μS/cm、SiO2濃度39.9質量%、動的光散乱法粒子径38.9nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物はほとんど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例6
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO−40(商品名)}1500g(SiO2含量607.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.241g(CaO含量0.182g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.025個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いてこの混合液をステンレス製のオートクレーブに仕込み、120℃で撹拌下4時間加熱した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.292、粘度10.0mPa・s、pH6.9、電導度895μS/cm、SiO2濃度40.5質量%、窒素吸着法粒子径21.5nm、動的光散乱法粒子径38.0nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物はほとんど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例7
実施例6で得た表面処理シリカゾル500gを1Lガラスビーカーに取り、ディスパー型撹拌機にて1200rpmにて撹拌している中に、10%水酸化ナトリウム水溶液5.0gを添加し、1時間撹拌混合した。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.290、粘度98.0mPa・s、pH9.0、電導度1629μS/cm、SiO2濃度40.1質量%、動的光散乱法粒子径36.7nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物はほとんど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例8
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO−40(商品名)}1500g(SiO2含量607.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化バリウム8水和物粉末0.375g(BaO含量0.182g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りBaイオンが0.009個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.295、粘度15.9mPa・s、pH3.9、電導度630μS/cm、SiO2濃度40.5質量%、窒素吸着法粒子径21.5nm、動的光散乱法粒子径38.0nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、ごく少量の沈降物は認められたものの、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例9
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスOUP(商品名):日産化学工業(株)製、比重1.094、粘度3.6mPa・s、pH2.9、電導度340μS/cm、SiO2濃度15.5質量%、窒素吸着法粒子径12.0nm、動的光散乱法粒子径49.7nm}1500g(SiO2含量232.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.184g(CaO含量0.139g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.028個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.094、粘度3.5mPa・s、pH6.7、電導度214μS/cm、SiO2濃度15.5質量%、窒素吸着法粒子径12.0nm、動的光散乱法粒子径49.8nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物はほとんど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例10
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO(商品名)}1500g(SiO2含量307.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末1.462g(CaO含量1.108g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.156個である。)を添加して2時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、少量の凝集粒子を含有していたが、目開き約30μmのナイロン製メッシュでろ過して除去することができ、実用上問題のない表面処理シリカゾルを得ることが出来た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.127、粘度3.3mPa・s、pH8.1、電導度567μS/cm、SiO2濃度20.5質量%、窒素吸着法粒子径11.0nm、動的光散乱法粒子径25nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、ごく少量の沈降物は認められたものの、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
実施例11
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO−40(商品名)}1500g(SiO2含量607.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.121g(CaO含量0.091g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.013個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.296、粘度6.5mPa・s、pH4.0、電導度776μS/cm、SiO2濃度40.5質量%、窒素吸着法粒子径21.5nm、動的光散乱法粒子径35.6nmであった。このゾルは、20℃で3ヶ月以上放置しても、沈降物は殆ど見られず、粘度増加、ゲル化もなく安定であった。
比較例1
市販の酸性水性シリカゾル{スノーテックスO−40(商品名)}1500g(SiO2含量607.5g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末9.62g(CaO含量7.30g:酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが1.02個である。)を添加して5時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、水酸化カルシウム粉末の未溶解物やコロイダルシリカ粒子の粗大凝集粒子と思われるゲルを多く含有しており、実用に堪えうるものではなかった。
比較例2
市販のアルカリ性水性シリカゾル{スノーテックス30(商品名):日産化学工業(株)製、比重1.210、粘度4.0mPa・s、pH9.9、電導度3790μS/cm、SiO2濃度30.4質量%、窒素吸着法粒子径12.7nm、動的光散乱法粒子径20.1nm}1500.0g(SiO2含量456.0g)を2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.356g(CaO含量0.270g:アルカリ性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.030個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いて蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、比重1.215、粘度3.9mPa・s、pH10.1、電導度3730μS/cm、SiO2濃度30.4質量%、窒素吸着法粒子径12.7nm、動的光散乱法粒子径21.4nmであった。このゾルは、水酸化カルシウム粉末の未溶解物やコロイダルシリカ粒子の粗大凝集粒子と思われるゲルを少量含有しており、20℃で1週間放置すると次第にゲルの含有量が増加し、安定性が不十分であった。
比較例3
市販のアルカリ性水性シリカゾル{スノーテックス50(商品名):日産化学工業(株)製、比重1.380、粘度24.7mPa・s、pH9.2、電導度4830μS/cm、SiO2濃度48.5質量%、窒素吸着法粒子径21.3nm、動的光散乱法粒子径35.5nm}1252.6g(SiO2含量607.5g)、及び純水247.4gを2Lのガラス容器に投入し、ディスパー型撹拌機にて1500rpmにて撹拌している中に、水酸化カルシウム粉末0.242g(CaO含量0.182g:アルカリ性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当りCaイオンが0.042個である。)を添加して3時間撹拌を継続し、続いて水が蒸発しないように90℃に加熱して4時間熟成した後、冷却して1500gのシリカゾルを得た。得られた表面処理シリカゾルは、水酸化カルシウム粉末の未溶解物やコロイダルシリカ粒子の粗大凝集粒子と思われるゲルを多く含有しており、実用に堪えうるものではなかった。
次に、本発明の表面処理シリカゾルを使用して製造したインクジェット記録媒体に関する試験例を以下に示す。
試験例1
実施例1ないし8及び10、11に記載の表面処理シリカゾルに、ポリビニルアルコール{JM−26(商品名):日本酢ビポバール(株)製}を10質量%に溶解した水溶液を該表面処理シリカゾルに含まれるコロイダルシリカ粒子とポリビニルアルコールとの質量比を8.0:1.0になるように混合してコーティング液を作製し、市販のインクジェット用マット紙(A4サイズ)の裏面にバーコーターを使用して液膜厚137μmで塗布した後、直ちに熱風乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、インクジェット記録紙を作成した。また、実施例9に記載の表面処理シリカゾルについては、コロイダルシリカとポリビニルアルコールとの質量比を6.0:1.0として、上記と同様にインクジェット記録紙を作成した。比較例1ないし3に記載の表面処理シリカゾルについても、実施例1の場合と同様にしてインクジェット記録紙の作成を試みた。更に、比較例として各実施例、比較例の原料に使用した従来のシリカゾルであるスノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスOUP、スノーテックス30、スノーテックス50(いずれも商品名)についても、上記と同様にインクジェット記録紙を作成した。しかし、これらの比較例のうち比較例1及び3に記載の市販のアルカリ性シリカゾルであるスノーテックス50を用いた場合、ポリビニルアルコールと混合した際にコロイダルシリカ粒子が激しく凝集しインクジェット記録紙を作成できず、評価できなかった。
作成したインクジェット記録紙に、インクジェットプリンタ{セイコーエプソン(株)製PM−G820}で標準カラー画像を印刷し、インク吸収性及びクラックの発生状態を観察し、インクジェット記録特性を判定した。その結果を表1に示す。本発明の表面処理シリカゾルは、従来のシリカゾルと比較して、インクジェット記録特性に優れることが確認された。
Figure 2007007751
本発明は、水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子を表面処理して改質することにより、造膜性、多孔性を改良した表面処理シリカゾルを提供し、更にこの表面処理シリカゾルを効率よく製造する方法を提供する。本発明の表面処理シリカゾルを用いることにより、インクジェット方式の印字において、高いインク吸収性を有し、高品位の画像形成を可能にするインクジェット記録媒体を提供することができる。

Claims (12)

  1. コロイダルシリカ粒子の表面に2価金属イオンを結合させた表面処理シリカゾル。
  2. 結合させた2価金属イオンの量が、コロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り0.001ないし0.4個である請求項1に記載の表面処理シリカゾル。
  3. 結合させた2価金属イオンの量が、コロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り0.005ないし0.2個である請求項1に記載の表面処理シリカゾル。
  4. 2価金属イオンがカルシウムイオンである請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の表面処理シリカゾル。
  5. pH1ないし5を有する酸性水性シリカゾルに2価金属の水酸化物を添加して、加熱熟成することを含む表面処理シリカゾルの製造方法。
  6. 2価金属の水酸化物の添加量は、酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り2価金属イオンが0.001ないし0.4個となる量とする請求項5に記載の表面処理シリカゾルの製造方法。
  7. 2価金属の水酸化物の添加量は、酸性水性シリカゾル中のコロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り2価金属イオンが0.005ないし0.2個となる量とする請求項5に記載の表面処理シリカゾルの製造方法。
  8. 2価金属の水酸化物が水酸化カルシウムである請求項5ないし請求項7のうちいずれか一項に記載の表面処理シリカゾルの製造方法。
  9. コロイダルシリカ粒子の表面に2価金属イオンを結合させた表面処理シリカゾルと、水性樹脂とを含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体。
  10. 結合させた2価金属イオンの量が、コロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り0.001ないし0.4個である請求項9に記載のインクジェット記録媒体。
  11. 結合させた2価金属イオンの量が、コロイダルシリカ粒子の表面1nm2当り0.005ないし0.2個である請求項9に記載のインクジェット記録媒体。
  12. 2価金属イオンがカルシウムイオンである請求項9ないし請求項11のうちいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
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