JP2010208307A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性に優れたインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】透明支持体の片面に、少なくとも1層からなるインク受容層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受容層が少なくとも平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコール、及び光重合開始剤を含有し、且つ該インク受容層が電離放射線照射によって硬化されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関し、詳しくは透明性、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性に優れたインクジェット記録材料に関する。
インクジェット記録方式に使用される記録材料としては、通常の紙やフィルムからなる支持体上に、親水性ポリマーを主体とする膨潤性のインク受容層や、非晶質シリカ等の顔料を主体とする多孔質性のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
多孔質性のインク受容層を設ける場合には、近年、顔料として極微細な無機粒子、例えば、粉砕あるいは分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号公報、特開平10−119423号公報、特開2000−211235号公報、特開2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号公報、特開平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号公報、特開平2−276670号公報、特開平5−32037号公報、特開平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
インクジェット記録材料の用途が拡大する中で、インクジェット記録材料を印刷版版下フィルム用、オーバーヘッドプロジェクタ用や、胸部X線及び超音波診断などの医療画像出力用等の用途に使用することが提案されており、これらのインクジェット記録材料では支持体として透明性のプラスチックフィルムが用いられることが多い。このような透明性支持体は、支持体自身がインク吸収性を有しないため、その上に設けられるインク受容層としてはインク吸収性に優れる多孔質性のインク受容層が好適である。このようなインクジェット記録材料としては、例えば、特開平7−276789号公報、特開平8−72392号公報、特開2001−113817号公報、特開2002−240417号公報、特開2003−276313号公報等に記載されているインクジェット記録材料が知られている。しかしながら、透明性支持体上に多孔質性のインク受容層を有する記録材料は、シート状やロール状にインクジェット記録材料を仕上げるときや、取り扱い時に塗布層が支持体から剥離してしまうことがあった。特に印刷版版下フィルム用のように大判の記録材料を扱う場合には、取り扱い時に記録材料が折れたり曲がったりすることでこのような問題が発生することが多く、記録画像に対して大きく悪影響を及ぼし版下フィルムとしての使用に耐えられなくなることがあった。ポリマーを主体とする膨潤性のインク受容層を設けた場合にはこのような問題は発生しにくいが、顔料を主体とする多孔質性のインク受容層を設けた場合には発生しやすく、実用上大きな問題である。
透明支持体とインク受容層との接着強度を改善するために、支持体上に天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けることが行われている。接着強度を改善するために、特開2004−25836号公報(特許文献1)には、支持体とインク受容層との間に結合剤とカチオン的に改質されたシリカを含んでなる追加の付着促進層を設けることが提案されている。また、特開平9−202039号公報(特許文献2)には、水溶性ポリマーを主成分とするインク定着層と支持体との間にアルミナゾルを主成分とするプライマー処理層を設けることが提案されている。また、特開平9−188065号公報には、透光性基材上に酸化チタン及び/または酸化亜鉛の微粒子を含有する下引層を設けることによってぬれ性を改善し、更に上層に形成されるインク受容層との密着性が高めることが提案されている。しかしながら、透明性記録材料として重要な特性である透明性や、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性を全て満足することはできなかった。
特開2004−234764号公報、特開2004−30716号公報、特開2004−30769号公報、特開2004−503610号公報、特開2001−6225号公報、特開平8−279179号公報、特開平9−245380号公報等の様に主成分として光硬化型樹脂や、光硬化型樹脂とインク膨潤性樹脂を併用した混合処方を使用した例が記載されている。しかしながら、これらのインク受容層は、主にインク膨潤性樹脂の膨潤を利用してインク吸収させているため、インク吸収性が不十分であった。
特開2005−153386号公報(特許文献3)には、支持体上から最も離れたインク吸収層に無機顔料微粒子と、電離放射線照射によって架橋結合する性質を有する親水性高分子化合物とを含有する例が記載されているが、インク受容層の接着強度や耐水性に満足できるものではなかった。
特開2004−25836号公報 特開平9−202039号公報 特開2005−153386号公報
本発明の課題は、インクジェット記録材料において、透明性、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性の全てに優れたインクジェット記録材料を提供することにある。
本願の上記課題は以下の手段で解決された。
1.透明性支持体の片面に、少なくとも1層からなるインク受容層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受容層が少なくとも平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコール、及び光重合開始剤を含有し、且つ該インク受容層が電離放射線照射によって硬化されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
Figure 2010208307
(式中Rは水素原子またはメチル基を表す。l、m、及びnは各々の共重合成分のモル比を表し、lは60〜99、nは1〜10であり、(l+m+n)は100である。)
2.前記無機微粒子と前記(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比が、75:25〜65:35である上記1に記載のインクジェット記録材料。
3.前記インク受容層の乾燥塗布量が、20〜32g/mである上記1または2に記載のインクジェット記録材料。
4.前記無機微粒子が、気相法シリカである上記1〜3の何れかに記載のインクジェット記録材料。
本発明によって、透明性、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性の全てに優れたインクジェット記録材料を提供することができる。
本発明のインクジェット記録材料が有するインク受容層は少なくとも平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子、一般式(1)で示される(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコール、及び光重合開始剤を含有し、且つ電離放射線照射によって硬化されたものである。これにより、透明性、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性に優れた記録材料を得ることができる。
本発明のインク受容層に含有される、平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物等が挙げられる。これらの中でも、高いインク吸収性が得られることから非晶質合成シリカが、更に非晶質合成シリカの中でも高い透明性とインク吸収性が得られることから、特に気相法シリカが好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカに大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明において、インク受容層に含有させる無機微粒子として湿式法シリカを用いる場合、平均一次粒子径は50nm以下、好ましくは3〜40nmの湿式法シリカが好ましく、更に湿式法シリカが沈降法シリカであることが特に好ましい。本発明における湿式法シリカの吸油量は、120〜210ml/100gの範囲が好ましく、更に160〜210ml/100gの範囲が特に好ましい。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
また、本発明において、湿式法シリカを用いる場合、平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは200nm以下の湿式法シリカがインク受容層に含有される。通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均二次粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルの使用が好ましい。
本発明において、湿式法シリカの粉砕は、カチオン性化合物の存在下で行うことが好ましい。水中に分散されたシリカにカチオン性化合物を添加すると凝集物が発生することが多いが、これを粉砕処理することによって、水のみに分散するよりも高濃度分散が可能となり、その結果分散効率が上昇し、より微粒子に粉砕することができる。更に、高濃度分散液を使用することによって、塗布液調製時に塗布液の高濃度化が可能になり、生産効率が向上する等の利点がある。特にこの際に平均二次粒子径が5μm以上の湿式法シリカを使用すると、初期の凝集物発生による粘度上昇が抑制され、より高濃度での分散が可能となるため、更に有利である。
以下に平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る方法の例を挙げる。まず水中にシリカと、カチオン性ポリマー及び/または水溶性金属化合物の少なくとも1種を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得ることが好ましい。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。カチオン性ポリマー及び/または水溶性金属化合物の量は、シリカに対して好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは2〜10質量%である。この範囲にすることによって、シリカ予備分散液の粘度が高くなりすぎず、固形分濃度を高くすることができる。本発明のシリカ予備分散物の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
上記の方法で得られたシリカ予備分散物をビーズミルで粉砕処理する。ビーズミルとは、内部に撹拌装置を有する容器中にビーズを内填し、容器中に液状物を入れて撹拌装置を回転させてビーズ同士を衝突させることで液状物にせん断力を与えて処理する装置である。ビーズの粒径は0.1〜10mmが一般的であるが、好ましくは0.2〜1mm、より好ましくは0.3〜0.6mmである。ビーズにはガラスビーズ、セラミックスビーズ、金属ビーズ等があるが、耐摩耗性及び分散効率からはジルコニアビーズが好ましい。また、容器中のビーズの添加充填率は一般的には40〜80容量%であり、好ましくは55〜80容量%である。上記分散条件によって、シリカ分散物を効率良く、粗粒残存や凝集物発生もなく、平均二次粒子径を500nm以下に粉砕することが可能である。予備分散物を連続で処理する場合、通し回数が1回で粗粒が残りやすい場合には、2回以上処理する方が好ましい。粗粒ができない範囲で濃度が高い方が、塗布液の高濃度化が可能になり好ましい。シリカ分散物の固形分濃度の好ましい範囲としては20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。市販のビーズミルとしては浅田鉄工(株)製のナノミル、アイメックス(株)製のウルトラビスコミル、及び(株)マツボー製のアミュラー型OBミル、(株)シンマルエンタープライゼス製のダイノミル等が挙げられる。
本発明において、インク受容層に含有させる無機微粒子として気相法シリカを使用すると、高い透明性と優れたインク吸収性を得ることができることから好ましい。気相法シリカを用いる場合、その平均一次粒子径は5〜50nm、好ましくは5〜20nmであり、且つ高いインク吸収性を得るためにBET法による比表面積が90〜400m/gのものを用いるのが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の1つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在して適度な空隙を形成することにあり、透明性とインク吸収性を両立するために、その平均二次粒子径は本発明では500nm以下、好ましくは200nm以下である。平均二次粒子径が500nm以下の気相法シリカは、例えば、超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕、分散させることにより得ることができる。
本発明において、気相法シリカはカチオン化した状態で用いられるのが好ましい。カチオン化された気相法シリカは、カチオン性ポリマーもしくは水溶性金属化合物の存在下で水を主体とする分散媒中で気相法シリカを分散して得られる。このとき、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。
カチオン化された気相法シリカとしては、特開平11−321079号公報、特開2000−239536号公報、特開2001−19421号公報、特開2001−80204号公報、特開2001−207078号公報等にカチオン性ポリマーの存在下で気相法シリカを分散する方法が記載されており、何れも本発明に採用することができる。
なお、本発明でいう平均一次及び二次粒子径は電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察する公知の方法に基づくものである。一次粒子の平均粒子径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。また、二次粒子の平均粒子径は緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めることができる。
湿式法及び気相法シリカの粉砕または分散に用いられるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。分子量が10万よりも大きくなると、分散液が高粘度となりすぎるため好ましくない。
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2、または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n 一般式1
[Al(OH)AlCl 一般式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n 一般式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性金属化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性金属化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性金属化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性金属化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
本発明において、インク受容層に含有させる無機微粒子としてアルミナを用いる場合、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶とγグループ結晶が好ましい。特に気相法により製造される気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナは日本アエロジル(株)よりAEROXIDEタイプとして入手することができる。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、本発明では、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは200nm以下にまで粉砕したものが使用される。
本発明で用いられるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表され、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは200nm以下である。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明において、インク受容層に含有される平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子は各々単独で用いてもよいが、任意の比率で混合して使用することもできる。
本発明において、インク受容層のバインダーとして、前記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールが使用され、紫外線や電子線等の電離放射線を照射することによって硬化される。これによって、透明性が高く、接着強度、及び耐水性に優れたインク受容層を得ることができる。
本発明の(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールは、例えば、米国特許5373034号明細書、独国公開特許3322993号明細書、特開2007−63383号公報に記載されている方法で得ることができる。特に前記特開2007−63383号公報に記載されている製造方法によって、効率良く不純物の少ない(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールを得ることができるので好ましい。なお、本発明で記載している(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールとは、アクリレート変性ポリビニルアルコールとメタアクリレート変性ポリビニルアルコールを総括して示したものである。
本発明において、インク受容層の硬化は、光重合開始剤をインク受容層に含有させた上で電離放射線を照射させて行う。光重合開始剤としてはジ及びトリクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、アゾ化合物、各種銀塩等があり、光重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールに対して、固形分で好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。また、光重合開始剤にハイドロキノンのような貯蔵安定剤が使用できる場合もある。
本発明において、インク受容層に含有される平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子と、(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比は好ましくは85:15〜55:45であり、より好ましくは75:25〜65:35である。無機微粒子の含有比率が高いと接着強度と耐水性が悪化する場合があり、逆に(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールの含有比率が高いとインク吸収性が低下する場合がある。
本発明のインク受容層には、本発明の効果を阻害しない範囲で他のバインダー成分を含有してもよい。例えば、ポリマーラテックスとして、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステル系ラテックス、ポリメタクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス等が挙げられる。また、水溶性樹脂として、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、澱粉類、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体等を使用することができる。これらの他のバインダー成分の含有量は、本発明の(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールに対して固形分で20質量%以下とすることが好ましい。
本発明のインク受容層には、インクジェット記録によって形成された記録画像の定着性、滲み耐性を更に向上させるために、カチオン性定着剤を含有させることができる。本発明におけるカチオン定着剤としては、非晶質合成シリカの分散・粉砕に使用するカチオン性化合物として前述した各種カチオン性ポリマーや、水溶性金属化合物が使用できるが、中でも水溶性アルミニウム化合物や水溶性ジルコニウム化合物に代表される水溶性多価金属を用いることが好ましい。これらの化合物は、無機塩や有機酸の単塩及び複塩、金属錯体などの何れであってもよい。
水溶性アルミニウム化合物は、前述の湿式法シリカや気相法シリカの粉砕または分散に用いられる水溶性アルミニウム化合物と同義である。
また、水溶性ジルコニウム化合物に関しても、前述の湿式法シリカや気相法シリカの粉砕または分散に用いられる水溶性ジルコニウム化合物と同義である。
水溶性ジルコニウム化合物の中でもインク受容層を形成する塗布液に安定に添加でき、優れた滲み耐性を示す酢酸ジルコニウム(ジルコニル)化合物は特に好ましい。これらのものは、第一稀元素化学工業(株)からジルコゾールZA−20、ZA−30として、また日本軽金属(株)からも同様のものが市販されている。
上記水溶性アルミニウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物の合計の添加量は、平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子に対して固形分で10質量%以下が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。
また、本発明のインク受容層には、炭素数3〜5のアルカンジオールの1種以上を含有してもよい。炭素数3〜5のアルカンジオールは常温では液体であり、吸湿性が高く、揮発性が低く、水溶性である。該化合物は、発色性の低下やひび割れを起こさずに、温度・湿度変動による塗層の収縮変動を抑えることで耐カール性を改善することができる。
炭素数3〜5のアルカンジオールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールがあり、それらの異性体は何れも含まれる。また、3−メチル−1,3−ブタンジオール等のような分岐のブタンジオールも含まれる。これらの中でも、炭素数が3〜4のプロパンジオールやブタンジオールが好ましく、特にプロパンジオールが好ましい。プロパンジオールとしてはプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)とトリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)があり、特にプロピレングリコールが好ましい。該化合物の添加量は、インク受容層の全固形分に対して固形分で0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。上記範囲であることによって、塗層の収縮変動を抑える効果と、インク吸収性、塗層の耐水性を得ることができる。
本発明のインク受容層は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じ、公知の各種無機顔料や、有機顔料、分散剤、画像保存剤、消泡剤、可塑剤、架橋剤、着色剤、その他の添加剤を含有していてもよい。
本発明のインク受容層の塗設方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビードコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ブレードコーター等の塗布装置を適宜組み合わせて使用することができる。なお、塗布層の平滑性を高めるため、塗布後湿潤状態にある塗布層をレベリングさせる時間が適宜必要である。
本発明におけるインク受容層の乾燥塗布量は好ましくは12〜40g/mであり、より好ましくは20〜32g/mである。乾燥塗布量が少ないとインク吸収性が低下する場合があり、逆に多いと透明性が低下する場合がある。
本発明におけるインク受容層塗設時の乾燥水分量は250g/m以下であることが好ましく、200g/m以下であることが更に好ましい。なお、本発明における乾燥水分量とは、塗布し乾燥するインク受容層中の単位面積当たりの水分量のことである。
本発明のインク受容層を紫外線照射により硬化させる場合、該インク受容層を塗設した後に、該インク受容層上から紫外線照射ランプにより紫外線を照射する。
紫外線照射装置としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。一般に出力30W/cm以上のランプを複数本平行して使用する。
本発明において、インク受容層を紫外線硬化後、残留した水や溶剤等の溶媒を自然乾燥、温風乾燥、赤外・遠赤外乾燥、高周波乾燥、オーブン乾燥等の手段によって蒸発させることが好ましい。その際の乾燥温度は、好ましくは60℃以下であり、更に好ましくは50℃以下である。60℃を超えるとインク受容層にひび割れを発生させるおそれがあり好ましくない。
また、電子線の照射によってもインク受容層を硬化することもできる。その場合、電子線照射は、透過力、硬化力の面から加速電圧が100〜1000kVであり、より好ましくは100〜300kVの電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量が0.5〜20Mradになるようにすることが好ましい。加速電圧、あるいは電子線照射量がこの範囲より低いと、電子線の透過力が低すぎて十分な硬化が行われず、またこの範囲より大きいと、エネルギー効率が悪化するばかりでなく、樹脂、添加剤の分解、記録材料の強度低下など品質上好ましくない影響が現れることがある。電子線加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプ等の何れでもよい。なお、電子線照射に際しては、酸素濃度が高いと電子線硬化樹脂の硬化が妨げられるため、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で照射することが好ましい。
本発明のインクジェット記録材料は、インク受容層の上にオーバーコート層があってもよい。オーバーコート層を設けることにより、表面強度や画像の保存性を更に向上させることができる。オーバーコート層は、インクを受容するか、あるいは速やかに透過させる性質を有する必要があり、空隙タイプの塗層が好適である。オーバーコート層の層厚としては、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmが更に好ましい。
本発明のインクジェット記録材料の耐カール性を更に改善するために必要に応じて、インク受容層を設けた面とは反対側の面に裏塗り層を設けてもよい。裏塗り層に含有される物質は限定されないが、例えば、顔料、バインダーの他、帯電防止剤、硬膜剤、界面活性剤等を含有させてもよい。
裏塗り層には、インクジェット記録材料の透明性を損なわないことが求められる。顔料を含有させる場合には、例えば、平均一次粒子径が5〜50nmのコロイダルシリカが好ましい。使用できるコロイダルシリカとして、例えば、日産化学工業(株)からスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、ST−AK、ST−AKL、ST−AKYL等が市販されている他、旭電化工業(株)からアデライトとして市販されているものがある。
裏塗り層で使用されるバインダーは特に限定されないが、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等の重合体またはこれらの誘導体や、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、澱粉類、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体等が使用できる。好ましくはポリビニルアルコールを使用することによって、インクジェット記録後の記録材料を重ね合わせた際に、記録部から蒸散する溶剤の裏写りを効果的に防止することができる。
裏塗り層における顔料とバインダーとの質量比は、好ましくは90:10〜30:70であり、より好ましくは80:20〜40:60である。
裏塗り層の乾燥塗布量は、固形分で好ましくは1〜18g/mであり、より好ましくは3〜15g/mである。乾燥塗布量が少ないとインク受容面側へのカールを防止する効果が小さく、逆に多いと裏塗り面側へのカールが大きくなりすぎて取り扱いにくくなり、また、ブロッキングを発生させる場合がある。
本発明に用いられる透明性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度のものが好ましい。
本発明に使用される透明性支持体のヘイズ値は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、更に好ましくは2%以下である。ヘイズ値とは、透明性支持体に可視光を照射したときの全透過光に対する拡散透過光の割合を百分率で表したものであり、ヘイズ値が小さいほど透明性支持体の透明性に優れていることを示し、本発明では上記範囲にすることによって高い透明性を得ることができる。ヘイズ値は、スガ試験機(株)製ヘイズコンピューターHZ−2等の市販のヘイズメーターを用いて測定することができる。
透明性支持体の透明性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作製するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用できる。例えば、医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが好ましく使用される。
プラスチック樹脂フィルム等の透明性支持体にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。また、支持体上に天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けることが好ましく、プライマー層の膜厚(乾燥膜厚)は好ましくは0.01〜5μmであり、より好ましくは0.05〜5μmである。
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲において各種の応用ができるものである。なお、表記中で「部」及び「%」とは特に断らない限り固形分質量基準である。
(実施例1)
下記に示す透明性支持体を用意した。
<透明性支持体>
厚み100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘイズ値1%)の片面に下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設け、高周波コロナ放電処理を施した。
<プライマー層の組成>
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、質量%)の共重合ラテックス(重量平均分子量42000)。
<インク受容層の塗設>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000)4部と気相法シリカ(日本アエロジル(株)製A200、平均一次粒子径12nm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を調製した。次に得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%の気相法シリカ分散液を作製した。気相法シリカの平均二次粒子径は電子顕微鏡観察により求めたところ130nmであった。
この分散液に含有される気相法シリカ70部に対し、アクリレート変性ポリビニルアルコール30部、酢酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−20)2部、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)0.5部を順次添加し、最後に16質量%の濃度になるように水を加え、インク受容層塗布液とした。気相法シリカとアクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比は70:30である。なお、アクリレート変性ポリビニルアルコールは、前記特開2007−63383号公報の実施例2に記載されている方法により、ポリビニルアルコール(重合度500、ケン化度98.5モル%)とアクリル酸メチルを反応させることによって得られたアクリロイル基への変性率(一般式(1)中のn値)が4.6モル%のものを作製して使用した。また、一般式(1)中のl値は93.9モル%、m値は1.5モル%であった。
前記インク受容層塗布液を乾燥塗布量が26g/mになるように、上記透明性支持体のプライマー層上にエクストルージョンコーターを使用して塗布し、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させた後、50℃の空気を吹き付けて乾燥して、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例2)
実施例1のインク受容層配合の気相法シリカとアクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比を80:20に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例3)
実施例1のインク受容層配合の気相法シリカとアクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比を60:40に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例4)
実施例1のインク受容層の乾燥塗布量を14g/mにした以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例5)
実施例1のインク受容層の乾燥塗布量を38g/mにした以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例6)
実施例1のインク受容層のアクリレート変性ポリビニルアルコールを、メタアクリレート変性ポリビニルアルコールに変更した以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録材料を得た。メタアクリレート変性ポリビニルアルコールは、前記特開2007−63383号公報に記載されている方法に準拠して、ポリビニルアルコール(重合度500、ケン化度98.5モル%)とメタクリル酸メチルを反応させることによって得られたメタクリロイル基への変性率(一般式(1)中のn値)が4.0モル%のものを作製して使用した。また、一般式(1)中のl値は94.5モル%、m値は1.5モル%であった。
(実施例7)
実施例1の高圧ホモジナイザーの処理条件を変更し、平均二次粒子径が400nmの気相法シリカ分散液を作製した。この気相法シリカ分散液を使用した以外は実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録材料を得た。
(実施例8)
水に硝酸(2部)と、無機微粒子として超微粒子アルミナ(サソールジャパン(株)製HP14、平均一次粒子径14nm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して、固形分濃度30%のアルミナ水和物分散液を調製した。アルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。
この分散液に含有される超微粒子アルミナ70部に対し、実施例1で用いたアクリレート変性ポリビニルアルコール30部、酢酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−20)2部、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)1部を順次添加し、最後に20質量%の濃度になるように水を加え、インク受容層塗布液とした。超微粒子アルミナとアクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比は70:30である。このインク受容層塗布液を乾燥塗布量が26g/mになるように、実施例1と同様にして塗布、紫外線硬化、乾燥して、実施例8のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例1)
実施例1で用いた気相法シリカ分散液に、気相法シリカ75部に対し、ホウ酸4部、ポリビニルアルコール(ケン化度88モル%、平均重合度3500)25部、酢酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−20)2部を順次添加し、最後に15質量%の濃度になるように水を加え、インク受容層塗布液とした。このインク受容層塗布液を乾燥塗布量が26g/mになるように、塗布し、50℃の空気を吹き付けて乾燥して、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例1で用いた気相法シリカ分散液に、気相法シリカ70部に対し、紫外線硬化樹脂であるウレタンアクリレート系樹脂(新中村工業(株)製NKオリゴUA−7100)30部、酢酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−20)1.5部、光重合開始剤0.7部を順次添加し、最後に40質量%の濃度になるように水を加え、インク受容層塗布液とした。このインク受容層塗布液を乾燥塗布量が26g/mになるように、塗布し、紫外線硬化、乾燥して、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例3)
実施例1の高圧ホモジナイザーの処理条件を変更し、平均二次粒子径が600nmの気相法シリカ分散液を作製した。この気相法シリカ分散液を使用した以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。
(比較例4)
特開2005−153386号公報の実施例に記載されている方法を参考にして、ポリビニルアルコール(重合度500、ケン化度88モル%)とp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドとを反応させ、光架橋基の変性率が1モル%である紫外線硬化型ポリビニルアルコール誘導体を得た。実施例1で用いた気相法シリカ分散液に、気相法シリカ70部に対し、前記紫外線硬化型ポリビニルアルコール誘導体30部、光重合開始剤0.7部を順次添加し、最後に10質量%の濃度になるように水を加え、最表層塗布液とした。この最表層塗布液を、比較例1のインクジェット記録材料のインク受容層上に乾燥塗布量が3g/mになるように塗布し、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を15m/分の搬送速度で通して硬化させた後、50℃の空気を吹き付けて乾燥して、比較例4のインクジェット記録材料を作製した。
得られた各々のインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<透明性>
透明性は作製したインクジェット記録材料のヘイズ値を測定して評価した。ヘイズ値の測定は、スガ試験機(株)製ヘイズコンピューターHZ−2を用いて行った。
○:ヘイズ値が10%以下であり、高い透明性が得られている。
△:ヘイズ値が10〜20%の範囲であり、やや透明性が低いが実用上問題なし。
×:ヘイズ値が20%を超え、透明性が低く実使用不可。
<インク吸収性>
市販のインクジェットプリンター(キヤノン(株)製、PIXUS iP4300)にて、インク受容層面にレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:僅かに転写が見られるが実用上問題なし。
×:大部分が転写し実使用不可。
<接着強度>
13℃、20%RHの条件でインク受容層面を外にしてインクジェット記録材料を折り曲げ、その部分のインク受容層の剥離の程度を観察した。また、裁断によるエッジからの粉落ちの観察、粘着テープによる剥離試験を行い、総合的にインク受容層の接着強度を評価した。
○:インク受容層の剥離及びエッジからの粉落ちが発生せず接着強度に優れている。
△:大きく折り曲げたときにインク受容層が若干剥離したり、裁断時にエッジが若干 剥離したりするが、実用上問題なし。
×:容易にインク受容層が剥離し、実使用不可。
<耐水性>
市販のインクジェットプリンター(キヤノン(株)製、PIXUS iP4300)にて、インク受容層面にレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、23℃、50%RHの環境下で24時間放置後に水に3時間浸漬した。自然乾燥させた後にインク受容と画像の状態を観察し、下記の基準で目視評価した。
○:耐水性に優れ、インク受容層と画像にほとんど変化がない。
△:僅かにインク受容層の溶出や、画像の褪色や滲みが発生するが実使用可。
×:著しくインク受容層が溶出したり、画像の褪色や滲みが発生して実使用不可。
Figure 2010208307
表1の結果より、本発明のインクジェット記録材料が、透明性、インク吸収性、インク受容層の接着強度、及び耐水性の全てに優れた記録材料であることが判る。

Claims (4)

  1. 透明性支持体の片面に、少なくとも1層からなるインク受容層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受容層が少なくとも平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコール、及び光重合開始剤を含有し、且つ該インク受容層が電離放射線照射によって硬化されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
    Figure 2010208307
    (式中Rは水素原子またはメチル基を表す。l、m、及びnは各々の共重合成分のモル比を表し、lは60〜99、nは1〜10であり、(l+m+n)は100である。)
  2. 前記無機微粒子と前記(メタ)アクリレート変性ポリビニルアルコールとの質量比が、75:25〜65:35である請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  3. 前記インク受容層の乾燥塗布量が、20〜32g/mである請求項1または2に記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記無機微粒子が、気相法シリカである請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録材料。
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