JP2004223876A - インクジェット記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過性、インク吸収性、印字濃度、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好なインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし。
【解決手段】光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料に関し、光透過性、インク吸収性、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好な、特に医療用やOHP用に適したインクジェット記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野でこれまで一般的に用いられている銀塩写真感光材料は、高価な銀塩を用いるほか、現像処理等の湿式処理が必要であり、それに付随して廃液の問題があった。感熱転写方式では、インクのはがれの問題、昇華方式では印字濃度が低い問題があった。これらに対してインクジェット記録材料は完全なドライ記録方式であり、騒音が少なく、記録パターンの変更が容易で、正確に迅速に画像が形成される等の利点がある。
【0003】
インクジェット記録材料としては、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水性ポリマーからなるインク受容層や非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0004】
例えば、特開昭56−080489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記録材料が提案されている。
【0005】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号、特開平3−21508、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0006】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平8−132728号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。
【0007】
一方、OHP用等の透明記録シートや医療用のフィルムをインクジェット記録方式で作製することも検討されている。これらの記録シートは光透過性、インク吸収性が重要であるが、特に連続で印刷したり、積み重ねて輸送したりする場合等にインク受容面と裏面とが擦れあうことによってインク受容面もしくは裏面に傷が発生して印刷品位を低下させてしまうことがあった。
【0008】
また、OHP用途や医療用途のような一般的にプラスチックフィルムを基材とするインクジェット記録材料は、基材の帯電によりゴミが付着しやすかったり、記録シートの重送といった搬送上のトラブルを引き起こしやすいという問題があった。記録シートの重送といったトラブルを防ぐために記録材料の裏面に帯電防止層を形成させることが知られているが、光透過性の低下、塗布面のべとつき、及び帯電防止効果の経時低下といった問題があった。また、裏面の塗布層が吸湿しやすいものであると、印字物を積み重ねた場合にブロッキングやインクの裏写りを悪化させてしまうという問題もあった。
【0009】
特開2000−190620号公報には、記録面とは反対側の面に脂肪族炭化水素系または金属石鹸系の滑剤を添加して表面と裏面との静摩擦係数を低減させて搬送性の向上を図る方法が記載されているが、これも裏写りの抑制という点では十分な効果を得られない。特に光透過性支持体を用いた場合には、前記のように裏面に発生した傷や裏写り痕は記録面側からも視認されるため致命的な欠陥である。その他、特開平7−179025号公報には、ブロッキングに起因する自動給紙時の重送を防止することを目的として、記録面の裏側に設けた裏塗り層に裏塗り層の厚さよりも大きい平均粒径を有する球状微粒子ポリマーを含有させて搬送性を向上させる方法が提案されているが、その効果は十分ではなく、連続印字した場合に記録面と裏塗り面とが擦れあうことによって記録面側に傷を発生してしまうことがあった。また、特開平9−234944号公報には、インク受容層の反対面が水と高沸点のアルコールに対する吸収性を特定以上にすることでブロッキングや裏写りを改良する提案がなされているが、改良効果は不十分であった。
【0010】
光透過性支持体を用いた記録材料としては、特開平7−276789号公報に記載されている一次粒子の平均粒子径が10nm以下のシリカ微粒子と水溶性樹脂の重量比が1.5:1〜10:1の色剤受容層を設けたインク吸収性や透明性の高い記録材料や、特開2000−238411号公報に記載されている支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物を主成分とするインク吸収層を設け、更にその上に非球状シリカ粒子及び平均粒子径100nm以上の球状粒子からなる保護層を設けたインクジェット記録材料が提案されている。
【0011】
その他、静電気の発生を防止するために、画像記録面とは反対側の面にカチオン性ポリマーとマット剤を含有するバッキング層を有する記録材料(例えば、特許文献1参照)や、光透過性支持体の片面に形成された記録画像を反対面から観察する用途の医用ドライフィルムにおいて、観察面側に反射防止膜を設けることによって画像の観察を容易で正確にする方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これらの従来技術を用いても光透過性、インク吸収性、耐傷性、耐ブロッキング性、裏写り防止性を全て満足できるインクジェット記録材料を得ることはできなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−219868号公報(第3−6頁)
【特許文献2】
特開2000−81699号公報(第4−5頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光透過性、インク吸収性、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好な、特に医療用途やOHP用途に適したインクジェット記録材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、画像の裏写りが2種類の異なった機構で発生していることを突き止めた。即ち、印字された画像のインクが直接記録材料裏面に接触して発生する機構(以後「インクの裏写り」という)と、印字された画像のインクに含有されている水や有機溶剤が揮発により裏面に吸着されて透明化や白濁化する機構(以後「溶剤の裏写り」という)である。特に光透過性記録材料の場合には後者による透明化や白濁等の発生が重大欠陥となる。裏写り防止と記録材料を連続印刷する際の重送防止のための改良を鋭意検討した結果、以下の手段により、光透過性、インク吸収性、印字濃度、及び連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好となる本発明のインクジェット記録材料を完成させた。
【0015】
(1)光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするインクジェット記録材料。
【0016】
(2)前記インク受容層を設けた面と該裏塗り層を設けた面との間の静摩擦係数が0.6以下であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録材料。
【0017】
(3)前記インク受容層が、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子からなる空隙性のインク受容層であることを特徴とする前記(1)〜(2)の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
【0018】
(4)前記光透過性支持体の厚さが50〜250μmである前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
【0019】
(5)前記光透過性支持体がポリエステルフィルムである前記(1)〜(4)の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における裏塗り層は、電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするが、これにより高平滑性、易滑性、耐水性、耐溶剤性のほか、高い機械的強度を有する塗布層を得ることができる。耐水性、耐溶剤性を改善することにより、印字後の記録シートを重ねた場合でも画像の裏写りやブロッキングを防止することができるようになった。
【0021】
本発明で用いられる電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂としてエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられるが、より具体的には以下の化合物が挙げられる。
【0022】
(1)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコール及びポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート
(2)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させた多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート
(3)ポリエステルポリ(メタ)アクリレート
(4)ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート
(5)エポキシポリ(メタ)アクリレート
(6)ポリアミドポリ(メタ)アクリレート
(7)ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル
(8)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、または末端に有するビニル系またはジエン系化合物
(9)単官能(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイル化合物
(10)エチレン性不飽和結合を有するシアノ化合物
(11)エチレン性不飽和結合を有するモノあるいはポリカルボン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など
(12)エチレン性不飽和(メタ)アクリルアミドまたはアルキル置換(メタ)アクリルアミドおよびその多量体
(13)ビニルラクタムおよびポリビニルラクタム化合物
(14)エチレン性不飽和結合を有するポリエーテルおよびそのエステル
(15)エチレン性不飽和結合を有するアルコールのエステル
(16)エチレン性不飽和結合を有するポリアルコールおよびそのエステル
(17)スチレン、ジビニルベンゼンなど1個以上のエチレン性不飽和結合を有する芳香族化合物
(18)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、または末端に有するポリオルガノシロキサン系化合物
(19)エチレン性不飽和結合を有するシリコーン化合物
(20)上記(1)〜(19)記載の化合物の多量体あるいはオリゴエステル(メタ)アクリレート変性物
【0023】
これらの樹脂は、単独で使用できるし、他の樹脂と混合して使うことができる。また、無溶剤で塗布することもできるし、溶剤で希釈して塗布することもできるし、エマルジョン状態で塗布、乾燥、硬化して用いることもできる。
【0024】
本発明の裏塗り層は電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなるが、ここでいう主成分とは、裏塗り層の全固形分中の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を含有することをいう。摩擦係数、裏写り防止性や塗層強度等に問題の発生しない範囲で含有量は調整される。
【0025】
本発明の裏塗り層は上記の如く電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分とすることで裏写り防止性が得られるが、好ましくはインク受容層を設けた面と裏塗り層を設けた面との間の静摩擦係数が0.6以下であることで重送などのプリンター搬送上のトラブルを改善することができる。
【0026】
摩擦係数は、裏塗り層を設けた面を粗面化したり、あるいは有機または無機顔料を添加して調整することができる。有機または無機顔料の具体例として、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、澱粉粒、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種以上併用できる。
【0027】
また、摩擦係数を調整するために滑剤を使用することもできる。滑剤としては例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を挙げることができる。また、帯電防止剤、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料などを含有させることもできる。
【0028】
本発明の裏塗り層の単位面積当たりの固形分量は一般には0.5〜15g/m2であり、好ましくは1〜10g/m2であるが、得られる記録材料のカール性により決定される。塗布量が多いと折り割れが発生しやすく、発生すると目立ちやすくなる。
【0029】
本発明の電子線硬化性樹脂層または紫外線硬化性樹脂層を形成する樹脂を塗布する方法としては、グラビアロールおよびトランスファロールコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ブレードコーター、ディップコーター、バーコーター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコーター、スクイズコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーターなど、如何なるコーターを用いてもよい。
【0030】
本発明で紫外線硬化法により樹脂の硬化を行う場合には、光反応開始剤を混合して用いる。光反応開始剤としてはジおよびトリクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、アゾ化合物、各種銀塩等があり、光反応開始剤の使用量は、紫外線硬化性樹脂に対して、通常0.1〜10%の範囲である。また、光開始剤にハイドロキノンのような貯蔵安定剤が使用される場合もある。紫外線照射装置としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。一般に出力30w/cm以上のランプを複数本平行して使用する。
【0031】
また電子線硬化法を用いる場合、電子線照射は、透過力、硬化力の面から加速電圧が100〜1000kVであり、より好ましくは100〜300kVの電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量が0.5〜20Mradになるようにすることが好ましい。加速電圧、あるいは電子線照射量がこの範囲より低いと、電子線の透過力が低すぎて十分な硬化が行なわれず、またこの範囲より大きすぎると、エネルギー効率が悪化するばかりでなく、樹脂、添加剤の分解、記録材料の強度低下など品質上好ましくない影響が現われる。
【0032】
電子線加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプ等の何れでも良い。なお、電子線照射に際しては、酸素濃度が高いと電子線硬化樹脂の硬化が妨げられるため、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で照射することが好ましい。
【0033】
本発明において、光透過性支持体に塗設された少なくとも1層のインク受容層は、親水性バインダー、および適時無機顔料、カチオン性ポリマー、架橋剤、界面活性剤等を含有する場合(以下「膨潤性インク受容層」と記す)と、親水性ポリマー、無機微粒子、及び適時架橋剤、カチオン性ポリマー、界面活性剤等を含有する場合(以下「空隙性インク受容層」と称す)が有る。インク受容層の塗布液は、支持体上に数十〜数百μmの厚みの塗布層が形成されるように塗布され、次いで乾燥される。製造方法の好ましい一例は、光透過性支持体に塗布されたインク受容層は一旦20℃以下の雰囲気下で冷却し、その後乾燥工程で乾燥される。
【0034】
一般的な膨潤性インク受容層と空隙性インク受容層との比較では、前者は光沢は高いが表面のギラギラ感が出やすく、インク吸収性に劣る特性を有している。外部光の戻り光による表面のギラギラ感の増大は、印字面と反対面から光を照射して印字面から画像を観察するバックライト方式で使用する場合には見づらくなるので好ましくない。以上よりバックライト方式で使用する医療用等に関しては空隙性インク受容層のほうが好ましい。
【0035】
また、特に医療用で使用する場合にはインクジェットで印字された画像が実物を十分に再現していなければならないので、インク受容層はインク吸収性に優れる空隙型が好ましい。インク吸収性に優れるインク受容層を設けた場合には、インク中に含有されていた溶剤がインク受容層中に拡散するので画像部分表面への直接の揮発が少なくなり、裏写り防止性が向上する。
【0036】
本発明において、膨潤性インク受容層の場合に使用する親水性ポリマーは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、澱粉、カルボキシ澱粉、カチオン澱粉、ジアルデヒド澱粉、カゼイン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体やそれらの変性物等が挙げられる。
【0037】
本発明において、空隙性インク受容層を形成する場合には、インク受容層の全固形分に対して、無機微粒子を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上含有させる。ここで用いられる無機微粒子としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。なかでも高い光透過性、吸収速度、鮮明な画像が得られる点から、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに好ましくはこれらの無機微粒子が、50〜500nmの平均粒子径を有する凝集粒子の態様でインク受容層に含有されていることにより、高い光透過性を得ることができる。特に医療用に用いる場合には、光透過性とともに高濃度で印字画像の再現性が要求されるので使用する凝集粒子の平均粒子径は小さい方が好ましいが、インク吸収性との関係で決定される。
【0038】
ここで合成シリカについて説明する。合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがあり、通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。湿式法シリカは一般的には表面のシラノール基は5個/nm2以上である。
【0039】
これに対し、本発明で好ましく用いられる気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。気相法シリカの表面のシラノール基は5個/nm2未満が一般的である。
【0040】
気相法シリカの平均一次粒子径は、高い光沢を得るために5〜50nm、好ましくは5〜20nmであることが好ましく、かつ高い吸収性を得るためにBET法による比表面積が90〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0041】
気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態(本発明でいう「凝集粒子」を指す)で存在することであり、これによって、高いインク吸収性が得られる。気相法シリカの平均一次粒子径は5〜20nmであることが好ましく、これによって、光沢を低下させずに高いインク吸収性を得ることができる。
【0042】
以降、気相法シリカを用いた場合の実施態様について説明する。インクジェット記録材料に用いる場合、気相法シリカはカチオン化した状態で用いられるのが一般的であり、カチオン化された気相法シリカは、カチオン性ポリマーもしくは多価金属の存在下で水を主体とする分散媒中で気相法シリカを分散して得られる。このとき、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。
【0043】
上記分散時の気相法シリカの濃度は、10〜40質量%程度が適当であり、好ましくは15〜30質量%の範囲である。気相法シリカの分散に用いられる分散媒は、水を主体とするものであるが、少量の有機溶剤(低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0044】
本発明の気相法シリカ分散液の製造方法の一実施態様を説明する。水を主体とする分散媒に気相法シリカを添加し混合(予備混合)してシリカスラリーを作製し、このシリカスラリーを分散機、例えば超音波分散機、ボールミル、高圧分散機(例えば高圧ホモジナイザー)で分散する。分散機としては高圧ホモジナイザー等の高圧分散機が好ましく、例えば特開平10−310416号、特開2000−239536号、特開2001−207078号公報に記載の方法を用いることができる。
【0045】
カチオン性ポリマーもしくは多価金属は、上記した気相法シリカの分散時に存在させる。カチオン性ポリマーもしくは多価金属は、気相法シリカを添加する前の分散媒中に添加してもよいし、予備混合中、分散開始時あるいは分散中に添加してもよい。好ましくは、カチオン性ポリマーもしくは多価金属は、気相法シリカを添加する前の分散媒中に添加するのがよい。
【0046】
また、カチオン化された気相法シリカとしては、特開平11−321079号、特開2000−239536号、特開2001−19421号、特開2001−80204号、特開2001−207078号公報等にカチオン性ポリマーの存在下で気相法シリカを分散する方法が記載されており、いずれも本発明に採用することができる。
【0047】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、下限は2千程度である。
【0048】
これらのカチオン性ポリマーの使用量は気相法シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
【0049】
本発明の分散に用いられる多価金属としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0050】
上記した水溶性の多価金属塩の添加量は、気相法シリカに対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0051】
本発明で、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径は、一次粒子が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた。また、凝集粒子の平均粒子径は緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めた。
【0052】
本発明において、空隙性インク受容層を設ける場合には、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有する。このバインダーとしては、透明性が高くインクの高い浸透性が得られる親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用にあたっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から膨潤性インク受容層で使用する親水性ポリマーとして例示した種類等の中から比較的室温付近で膨潤性の低いものがバインダーとして好ましく用いられる。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン等やこれらの変性物であり、中でも完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0053】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度1000〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0054】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0055】
また、他の親水性ポリマーやラテックスも併用することができるが、ポリビニルアルコールに対して20質量%程度以下であることが好ましい。
【0056】
空隙性インク受容層の無機微粒子に対する親水性ポリマーの質量比は、主としてインク受容層の透明性、インク吸収性や表面強度により決定されるが、一般的には5〜35質量%であり、好ましくは8〜30質量%の範囲である。親水性ポリマーに対して無機微粒子の比率を高くするとインク吸収性は向上するが、光透過性の低下、乾燥時のひび割れが発生しやすく、表面強度が低下し、粉落ちが出やすい。逆に比率を低くすると光透過性、表面強度は向上するがインク吸収性が低下する。
【0057】
本発明において、インク受容層の単位面積当たりの固形分は一般的には10g/m2以上であり、13〜35g/m2の範囲が好ましい。
【0058】
本発明では、インクの裏写りの改良や外部光が記録シート表面から反射する面のギラギラ感を低下させ、さらには記録シートを積層した場合の耐ブロッキング性やプリンター搬送性を改良するために、光透過性や吸収性を大きく低下させない範囲で無機顔料および有機顔料の少なくとも1種をインク受容層に使用してもよい。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和水物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料やポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂等の有機顔料が挙げられる。インク吸収性や表面のギラギラ感を低下する効果からは好ましくは合成シリカ、特に湿式法シリカが選択される。平均粒径が小さいと光反射による戻り光を減らす効果が少なく、また、平均粒径が大きいと手触りによるザラツキ感が出たり画像鮮明性低下が発生するため、平均粒径は20μm以下のものを用いるのが適しており、好ましくは1〜10μmのものを用いるのが良い。インク受容層を2層以上とした場合には、最上層にこれらの無機顔料や有機顔料を含有させたほうがギラギラ感等の改良効果は大きい。
【0059】
本発明では、インク受容層の塗布適性、表面性向上等の目的で界面活性剤が使用できる。カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン、レシチン等、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等から適時1種類以上が選択される。カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤も使用出来るが、インク受容層組成物との凝集性から量は制限される。
【0060】
本発明では、光沢性や耐傷性向上のために、インク吸収性や光透過性を大きく低下させない範囲でインク受容層上に保護層を設けても良く、一般的な保護層の厚さは5μm以下である。
【0061】
また、本発明のインク受容層は、カチオン性化合物を含有するのが好ましい。本発明に用いられるカチオン性化合物としては、耐水性改良の目的で用いられるカチオン性ポリマー、水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーは、気相法シリカと組み合わせて用いた場合、透明性を低下させる傾向にあるが、水溶性金属化合物は微細な亀裂の発生を押さえ、逆に透明性を向上させる。
【0062】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0063】
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。特性上好ましくはジルコニウム系化合物である。
【0064】
また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0065】
[Al2(OH)nCl6−n]m ・・式1
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
【0066】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0067】
本発明において、前記カチオン性化合物のインク受容層全固形分中の含有量は、0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
【0068】
また、前記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用してもよい。
【0069】
また、インク受容層には架橋剤を添加することもでき、その添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して固形分で0.01〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量%である。
【0070】
その他、インク受容層には、更に、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0071】
インク受容層の塗布方法は特に限定されず公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等がある。
【0072】
本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度、耐折り割れ性からは80〜250μmのものが好ましい。
【0073】
光透過性支持体の光透過性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作成するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用出来る。本発明では好ましくは支持体の不透明度は60%以下のものが使用される。60%より大きいと光透過性に劣り不鮮明な暗い画像になる。5%より低いと透過光が強くなり光源の照明によっては画像が見にくくなる。特に医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが好ましく使用される。
【0074】
プラスチック樹脂フィルム支持体に塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
【0075】
プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上に天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。
【0076】
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【0077】
本発明のインクジェット記録材料は、JIS−K−7105に規定されるヘーズ値が25%以下が好ましく、より好ましくは18%以下である。数値が高いと特に医療用のバックライト方式で用いる場合は画像の鮮鋭性が低下し、見間違いを犯しやすくなる。
【0078】
インクジェット記録に使用されるインクは、溶剤系インクと水性インクが有るが、溶剤系インクは、アルコール類、ケトン類、エーテル類等の溶剤に着色剤を配合されており、水性インクは、水とメタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶剤中にアニオン系着色剤等が配合されている。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。以下に記した部数は固形部数を示している。
【0080】
実施例1
下記に示す光透過性支持体を用意した。
(A)支持体
厚み175μmで青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(不透明度15%)の両面上にコロナ放電処理後、下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設けた。
プライマー層:塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、質量%)のラテックス(質量平均分子量42000)。
【0081】
(B)裏塗り層の塗工
前記支持体の片面に、紫外線硬化性樹脂としてアロニックスM8030(東亜合成化学工業製)90部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、光反応開始剤としてイルガキュア500(日本チバガイギー製)5部を加え十分攪拌した塗布組成物を4g/m2の固形分量となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行い、裏塗り層を設けた。
【0082】
(C)インク受容層の塗工
(B)で裏塗り層を設けた他方の面に、12質量%の固形分濃度の水分散液となるように調製した下記組成のインク受容層塗布組成物1を、固形分塗布量が20g/m2となるようにスライドビード塗布装置で塗布し、乾燥して実施例1のインクジェット記録材料を得た。インク受容層の乾燥は、5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで行い、次いで35℃10%RHで行った。
【0083】
<インク受容層塗布組成物1>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径12nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 3部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 2部
(理研グリーン社製;ピュラケムWT)
界面活性剤 1部
【0084】
実施例2
実施例1のインク受容層を変更し、12質量%の固形分濃度の水分散液となるように調製した下記組成のインク受容層塗布組成物2を固形分塗布量が25g/m2となるように塗布した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。なお、実施例1及び2で使用した気相法シリカの凝集粒子の平均粒子径は150nmであった。
【0085】
<インク受容層塗布組成物2>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径12nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 3部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 2部
(理研グリーン社製;ピュラケムWT)
ポリスチレン粒子 3部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
界面活性剤 1部
【0086】
比較例1
実施例1の裏塗り層を変更し、下記の組成の裏塗り層塗布組成物1を使用して固形分塗布量が8g/m2となるように塗布した以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
【0087】
<裏塗り層塗布組成物1>
不活性ゼラチン(分子量200,000〜300,000) 100部
ホルマリン 0.1部
ポリスチレン粒子 2部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
【0088】
比較例2
実施例1の裏塗り層を変更し、下記の組成の裏塗り層塗布組成物2を使用して固形分塗布量が8g/m2となるように塗布した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
【0089】
<裏塗り層塗布組成物2>
湿式法シリカ 100部
(日本シリカ社製;ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ポリビニルアルコール 30部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ステアリン酸亜鉛 5部
(中京油脂社製;ハイドリンE−366)
界面活性剤 1部
【0090】
上記の実施例及び比較例で作成したインクジェット記録材料について23℃、50%RHの環境で一昼夜静置後、下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0091】
<ヘイズ値>
透明性を評価するために、日本電色工業製NDH−300A(JIS−K−7105準拠)を用いてヘイズ値を測定した。ヘイズ値が25%より大きいと実使用不可と判定した。
【0092】
<インク吸収性>
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録材料にインクジェットプリンター(キヤノン社製BJF870)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー単色100%と、3重色300%を印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:転写は有るが実使用可。
×:転写が大きく実使用不可。
【0093】
<インクの裏写り>
実施例及び比較例で得られた記録材料に前記キヤノン社製プリンターで3重色を印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重ね、更に20枚重ねた後、40℃で2時間放置後のインクの裏写りを評価した。
○:全くインクの裏写りが全く無いか、やや有る。
△:インクの裏写り有るが実用下限。
×:インクの裏写り有り、実使用不可。
【0094】
<溶剤の裏写り>
実施例及び比較例で得られた記録材料に前記キヤノン社製プリンターで3重色を印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重ね、更に1枚重ねた後、40℃で2時間放置後の溶剤の裏写りを評価した。
○:溶剤の裏写りが全く無いか、やや有る。
△:溶剤の裏写り有るが実用下限。
×:溶剤の裏写り有り、実使用不可。
【0095】
<静摩擦係数>
実施例及び比較例で得られた記録材料のインク受容層を設けた面と裏塗り層を設けた面との静摩擦係数をスレッド式スリップテスターを用いてASTM−D1894−63に準拠した方法で測定した。
【0096】
<プリンター搬送性>
実施例及び比較例で得られた記録材料を23℃、50%RHの条件で前記キヤノン社製プリンターで50枚連続印字を行って搬送性を評価した。
○;重送や紙詰まりが全く発生しなかった。
△;重送または紙詰まりが1〜2回発生した。
×;重送または紙詰まりが3回以上発生した。
【0097】
<可視性>
実施例及び比較例で得られた記録材料に前記プリンターにより光学濃度が1.5〜2.5の黒画像を印字し、10000ルクスの光源によるシャウカステン(診断用投光装置)により目視での見やすさをギラギラ感も含めて評価した。
○:良好。
△:やや見にくいが実用可。
×:見にくい。
【0098】
【表1】
【0099】
実施例1〜2のインクジェット記録材料は、光透過性、インク吸収性、裏写り防止性、プリンターで印字する場合の連続給紙性、カール値が、良好な結果を示しており、医療用途でバックライト方式で使用した場合でも可視性に優れたインクジェット記録材料である。裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることで、裏写り防止性とプリンター搬送性が改善されていることがわかる。特に、実施例2はインク受容層に有機粒子を添加することで搬送性の改善が図られている。
【0100】
比較例1は裏写り防止性と連続給紙性が、比較例2は連続給紙性に優れるものの光透過性と裏写り防止性が劣っており実使用不可のインクジェット記録材料である。
【0101】
【発明の効果】
上記結果から明らかなように、本発明により、光透過性、インク吸収性、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好なインクジェット記録材料であり、医療用やOHP用に適した、特に医療用途でバックライト方式で使用しても可視性に優れたインクジェット記録材料が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料に関し、光透過性、インク吸収性、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好な、特に医療用やOHP用に適したインクジェット記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野でこれまで一般的に用いられている銀塩写真感光材料は、高価な銀塩を用いるほか、現像処理等の湿式処理が必要であり、それに付随して廃液の問題があった。感熱転写方式では、インクのはがれの問題、昇華方式では印字濃度が低い問題があった。これらに対してインクジェット記録材料は完全なドライ記録方式であり、騒音が少なく、記録パターンの変更が容易で、正確に迅速に画像が形成される等の利点がある。
【0003】
インクジェット記録材料としては、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水性ポリマーからなるインク受容層や非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0004】
例えば、特開昭56−080489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記録材料が提案されている。
【0005】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号、特開平3−21508、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0006】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平8−132728号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。
【0007】
一方、OHP用等の透明記録シートや医療用のフィルムをインクジェット記録方式で作製することも検討されている。これらの記録シートは光透過性、インク吸収性が重要であるが、特に連続で印刷したり、積み重ねて輸送したりする場合等にインク受容面と裏面とが擦れあうことによってインク受容面もしくは裏面に傷が発生して印刷品位を低下させてしまうことがあった。
【0008】
また、OHP用途や医療用途のような一般的にプラスチックフィルムを基材とするインクジェット記録材料は、基材の帯電によりゴミが付着しやすかったり、記録シートの重送といった搬送上のトラブルを引き起こしやすいという問題があった。記録シートの重送といったトラブルを防ぐために記録材料の裏面に帯電防止層を形成させることが知られているが、光透過性の低下、塗布面のべとつき、及び帯電防止効果の経時低下といった問題があった。また、裏面の塗布層が吸湿しやすいものであると、印字物を積み重ねた場合にブロッキングやインクの裏写りを悪化させてしまうという問題もあった。
【0009】
特開2000−190620号公報には、記録面とは反対側の面に脂肪族炭化水素系または金属石鹸系の滑剤を添加して表面と裏面との静摩擦係数を低減させて搬送性の向上を図る方法が記載されているが、これも裏写りの抑制という点では十分な効果を得られない。特に光透過性支持体を用いた場合には、前記のように裏面に発生した傷や裏写り痕は記録面側からも視認されるため致命的な欠陥である。その他、特開平7−179025号公報には、ブロッキングに起因する自動給紙時の重送を防止することを目的として、記録面の裏側に設けた裏塗り層に裏塗り層の厚さよりも大きい平均粒径を有する球状微粒子ポリマーを含有させて搬送性を向上させる方法が提案されているが、その効果は十分ではなく、連続印字した場合に記録面と裏塗り面とが擦れあうことによって記録面側に傷を発生してしまうことがあった。また、特開平9−234944号公報には、インク受容層の反対面が水と高沸点のアルコールに対する吸収性を特定以上にすることでブロッキングや裏写りを改良する提案がなされているが、改良効果は不十分であった。
【0010】
光透過性支持体を用いた記録材料としては、特開平7−276789号公報に記載されている一次粒子の平均粒子径が10nm以下のシリカ微粒子と水溶性樹脂の重量比が1.5:1〜10:1の色剤受容層を設けたインク吸収性や透明性の高い記録材料や、特開2000−238411号公報に記載されている支持体上に擬ベーマイト状アルミナ水和物を主成分とするインク吸収層を設け、更にその上に非球状シリカ粒子及び平均粒子径100nm以上の球状粒子からなる保護層を設けたインクジェット記録材料が提案されている。
【0011】
その他、静電気の発生を防止するために、画像記録面とは反対側の面にカチオン性ポリマーとマット剤を含有するバッキング層を有する記録材料(例えば、特許文献1参照)や、光透過性支持体の片面に形成された記録画像を反対面から観察する用途の医用ドライフィルムにおいて、観察面側に反射防止膜を設けることによって画像の観察を容易で正確にする方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これらの従来技術を用いても光透過性、インク吸収性、耐傷性、耐ブロッキング性、裏写り防止性を全て満足できるインクジェット記録材料を得ることはできなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−219868号公報(第3−6頁)
【特許文献2】
特開2000−81699号公報(第4−5頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光透過性、インク吸収性、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好な、特に医療用途やOHP用途に適したインクジェット記録材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、画像の裏写りが2種類の異なった機構で発生していることを突き止めた。即ち、印字された画像のインクが直接記録材料裏面に接触して発生する機構(以後「インクの裏写り」という)と、印字された画像のインクに含有されている水や有機溶剤が揮発により裏面に吸着されて透明化や白濁化する機構(以後「溶剤の裏写り」という)である。特に光透過性記録材料の場合には後者による透明化や白濁等の発生が重大欠陥となる。裏写り防止と記録材料を連続印刷する際の重送防止のための改良を鋭意検討した結果、以下の手段により、光透過性、インク吸収性、印字濃度、及び連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好となる本発明のインクジェット記録材料を完成させた。
【0015】
(1)光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするインクジェット記録材料。
【0016】
(2)前記インク受容層を設けた面と該裏塗り層を設けた面との間の静摩擦係数が0.6以下であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録材料。
【0017】
(3)前記インク受容層が、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子からなる空隙性のインク受容層であることを特徴とする前記(1)〜(2)の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
【0018】
(4)前記光透過性支持体の厚さが50〜250μmである前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
【0019】
(5)前記光透過性支持体がポリエステルフィルムである前記(1)〜(4)の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における裏塗り層は、電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするが、これにより高平滑性、易滑性、耐水性、耐溶剤性のほか、高い機械的強度を有する塗布層を得ることができる。耐水性、耐溶剤性を改善することにより、印字後の記録シートを重ねた場合でも画像の裏写りやブロッキングを防止することができるようになった。
【0021】
本発明で用いられる電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂としてエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられるが、より具体的には以下の化合物が挙げられる。
【0022】
(1)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコール及びポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート
(2)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させた多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート
(3)ポリエステルポリ(メタ)アクリレート
(4)ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート
(5)エポキシポリ(メタ)アクリレート
(6)ポリアミドポリ(メタ)アクリレート
(7)ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル
(8)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、または末端に有するビニル系またはジエン系化合物
(9)単官能(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイル化合物
(10)エチレン性不飽和結合を有するシアノ化合物
(11)エチレン性不飽和結合を有するモノあるいはポリカルボン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など
(12)エチレン性不飽和(メタ)アクリルアミドまたはアルキル置換(メタ)アクリルアミドおよびその多量体
(13)ビニルラクタムおよびポリビニルラクタム化合物
(14)エチレン性不飽和結合を有するポリエーテルおよびそのエステル
(15)エチレン性不飽和結合を有するアルコールのエステル
(16)エチレン性不飽和結合を有するポリアルコールおよびそのエステル
(17)スチレン、ジビニルベンゼンなど1個以上のエチレン性不飽和結合を有する芳香族化合物
(18)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、または末端に有するポリオルガノシロキサン系化合物
(19)エチレン性不飽和結合を有するシリコーン化合物
(20)上記(1)〜(19)記載の化合物の多量体あるいはオリゴエステル(メタ)アクリレート変性物
【0023】
これらの樹脂は、単独で使用できるし、他の樹脂と混合して使うことができる。また、無溶剤で塗布することもできるし、溶剤で希釈して塗布することもできるし、エマルジョン状態で塗布、乾燥、硬化して用いることもできる。
【0024】
本発明の裏塗り層は電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなるが、ここでいう主成分とは、裏塗り層の全固形分中の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を含有することをいう。摩擦係数、裏写り防止性や塗層強度等に問題の発生しない範囲で含有量は調整される。
【0025】
本発明の裏塗り層は上記の如く電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分とすることで裏写り防止性が得られるが、好ましくはインク受容層を設けた面と裏塗り層を設けた面との間の静摩擦係数が0.6以下であることで重送などのプリンター搬送上のトラブルを改善することができる。
【0026】
摩擦係数は、裏塗り層を設けた面を粗面化したり、あるいは有機または無機顔料を添加して調整することができる。有機または無機顔料の具体例として、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、澱粉粒、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種以上併用できる。
【0027】
また、摩擦係数を調整するために滑剤を使用することもできる。滑剤としては例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を挙げることができる。また、帯電防止剤、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料などを含有させることもできる。
【0028】
本発明の裏塗り層の単位面積当たりの固形分量は一般には0.5〜15g/m2であり、好ましくは1〜10g/m2であるが、得られる記録材料のカール性により決定される。塗布量が多いと折り割れが発生しやすく、発生すると目立ちやすくなる。
【0029】
本発明の電子線硬化性樹脂層または紫外線硬化性樹脂層を形成する樹脂を塗布する方法としては、グラビアロールおよびトランスファロールコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ブレードコーター、ディップコーター、バーコーター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコーター、スクイズコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーターなど、如何なるコーターを用いてもよい。
【0030】
本発明で紫外線硬化法により樹脂の硬化を行う場合には、光反応開始剤を混合して用いる。光反応開始剤としてはジおよびトリクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、アゾ化合物、各種銀塩等があり、光反応開始剤の使用量は、紫外線硬化性樹脂に対して、通常0.1〜10%の範囲である。また、光開始剤にハイドロキノンのような貯蔵安定剤が使用される場合もある。紫外線照射装置としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。一般に出力30w/cm以上のランプを複数本平行して使用する。
【0031】
また電子線硬化法を用いる場合、電子線照射は、透過力、硬化力の面から加速電圧が100〜1000kVであり、より好ましくは100〜300kVの電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量が0.5〜20Mradになるようにすることが好ましい。加速電圧、あるいは電子線照射量がこの範囲より低いと、電子線の透過力が低すぎて十分な硬化が行なわれず、またこの範囲より大きすぎると、エネルギー効率が悪化するばかりでなく、樹脂、添加剤の分解、記録材料の強度低下など品質上好ましくない影響が現われる。
【0032】
電子線加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプ等の何れでも良い。なお、電子線照射に際しては、酸素濃度が高いと電子線硬化樹脂の硬化が妨げられるため、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で照射することが好ましい。
【0033】
本発明において、光透過性支持体に塗設された少なくとも1層のインク受容層は、親水性バインダー、および適時無機顔料、カチオン性ポリマー、架橋剤、界面活性剤等を含有する場合(以下「膨潤性インク受容層」と記す)と、親水性ポリマー、無機微粒子、及び適時架橋剤、カチオン性ポリマー、界面活性剤等を含有する場合(以下「空隙性インク受容層」と称す)が有る。インク受容層の塗布液は、支持体上に数十〜数百μmの厚みの塗布層が形成されるように塗布され、次いで乾燥される。製造方法の好ましい一例は、光透過性支持体に塗布されたインク受容層は一旦20℃以下の雰囲気下で冷却し、その後乾燥工程で乾燥される。
【0034】
一般的な膨潤性インク受容層と空隙性インク受容層との比較では、前者は光沢は高いが表面のギラギラ感が出やすく、インク吸収性に劣る特性を有している。外部光の戻り光による表面のギラギラ感の増大は、印字面と反対面から光を照射して印字面から画像を観察するバックライト方式で使用する場合には見づらくなるので好ましくない。以上よりバックライト方式で使用する医療用等に関しては空隙性インク受容層のほうが好ましい。
【0035】
また、特に医療用で使用する場合にはインクジェットで印字された画像が実物を十分に再現していなければならないので、インク受容層はインク吸収性に優れる空隙型が好ましい。インク吸収性に優れるインク受容層を設けた場合には、インク中に含有されていた溶剤がインク受容層中に拡散するので画像部分表面への直接の揮発が少なくなり、裏写り防止性が向上する。
【0036】
本発明において、膨潤性インク受容層の場合に使用する親水性ポリマーは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、澱粉、カルボキシ澱粉、カチオン澱粉、ジアルデヒド澱粉、カゼイン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体やそれらの変性物等が挙げられる。
【0037】
本発明において、空隙性インク受容層を形成する場合には、インク受容層の全固形分に対して、無機微粒子を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上含有させる。ここで用いられる無機微粒子としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。なかでも高い光透過性、吸収速度、鮮明な画像が得られる点から、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに好ましくはこれらの無機微粒子が、50〜500nmの平均粒子径を有する凝集粒子の態様でインク受容層に含有されていることにより、高い光透過性を得ることができる。特に医療用に用いる場合には、光透過性とともに高濃度で印字画像の再現性が要求されるので使用する凝集粒子の平均粒子径は小さい方が好ましいが、インク吸収性との関係で決定される。
【0038】
ここで合成シリカについて説明する。合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがあり、通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。湿式法シリカは一般的には表面のシラノール基は5個/nm2以上である。
【0039】
これに対し、本発明で好ましく用いられる気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。気相法シリカの表面のシラノール基は5個/nm2未満が一般的である。
【0040】
気相法シリカの平均一次粒子径は、高い光沢を得るために5〜50nm、好ましくは5〜20nmであることが好ましく、かつ高い吸収性を得るためにBET法による比表面積が90〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0041】
気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態(本発明でいう「凝集粒子」を指す)で存在することであり、これによって、高いインク吸収性が得られる。気相法シリカの平均一次粒子径は5〜20nmであることが好ましく、これによって、光沢を低下させずに高いインク吸収性を得ることができる。
【0042】
以降、気相法シリカを用いた場合の実施態様について説明する。インクジェット記録材料に用いる場合、気相法シリカはカチオン化した状態で用いられるのが一般的であり、カチオン化された気相法シリカは、カチオン性ポリマーもしくは多価金属の存在下で水を主体とする分散媒中で気相法シリカを分散して得られる。このとき、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。
【0043】
上記分散時の気相法シリカの濃度は、10〜40質量%程度が適当であり、好ましくは15〜30質量%の範囲である。気相法シリカの分散に用いられる分散媒は、水を主体とするものであるが、少量の有機溶剤(低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0044】
本発明の気相法シリカ分散液の製造方法の一実施態様を説明する。水を主体とする分散媒に気相法シリカを添加し混合(予備混合)してシリカスラリーを作製し、このシリカスラリーを分散機、例えば超音波分散機、ボールミル、高圧分散機(例えば高圧ホモジナイザー)で分散する。分散機としては高圧ホモジナイザー等の高圧分散機が好ましく、例えば特開平10−310416号、特開2000−239536号、特開2001−207078号公報に記載の方法を用いることができる。
【0045】
カチオン性ポリマーもしくは多価金属は、上記した気相法シリカの分散時に存在させる。カチオン性ポリマーもしくは多価金属は、気相法シリカを添加する前の分散媒中に添加してもよいし、予備混合中、分散開始時あるいは分散中に添加してもよい。好ましくは、カチオン性ポリマーもしくは多価金属は、気相法シリカを添加する前の分散媒中に添加するのがよい。
【0046】
また、カチオン化された気相法シリカとしては、特開平11−321079号、特開2000−239536号、特開2001−19421号、特開2001−80204号、特開2001−207078号公報等にカチオン性ポリマーの存在下で気相法シリカを分散する方法が記載されており、いずれも本発明に採用することができる。
【0047】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、下限は2千程度である。
【0048】
これらのカチオン性ポリマーの使用量は気相法シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
【0049】
本発明の分散に用いられる多価金属としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0050】
上記した水溶性の多価金属塩の添加量は、気相法シリカに対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0051】
本発明で、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径は、一次粒子が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた。また、凝集粒子の平均粒子径は緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めた。
【0052】
本発明において、空隙性インク受容層を設ける場合には、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有する。このバインダーとしては、透明性が高くインクの高い浸透性が得られる親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用にあたっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から膨潤性インク受容層で使用する親水性ポリマーとして例示した種類等の中から比較的室温付近で膨潤性の低いものがバインダーとして好ましく用いられる。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン等やこれらの変性物であり、中でも完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0053】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度1000〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0054】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0055】
また、他の親水性ポリマーやラテックスも併用することができるが、ポリビニルアルコールに対して20質量%程度以下であることが好ましい。
【0056】
空隙性インク受容層の無機微粒子に対する親水性ポリマーの質量比は、主としてインク受容層の透明性、インク吸収性や表面強度により決定されるが、一般的には5〜35質量%であり、好ましくは8〜30質量%の範囲である。親水性ポリマーに対して無機微粒子の比率を高くするとインク吸収性は向上するが、光透過性の低下、乾燥時のひび割れが発生しやすく、表面強度が低下し、粉落ちが出やすい。逆に比率を低くすると光透過性、表面強度は向上するがインク吸収性が低下する。
【0057】
本発明において、インク受容層の単位面積当たりの固形分は一般的には10g/m2以上であり、13〜35g/m2の範囲が好ましい。
【0058】
本発明では、インクの裏写りの改良や外部光が記録シート表面から反射する面のギラギラ感を低下させ、さらには記録シートを積層した場合の耐ブロッキング性やプリンター搬送性を改良するために、光透過性や吸収性を大きく低下させない範囲で無機顔料および有機顔料の少なくとも1種をインク受容層に使用してもよい。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和水物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料やポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂等の有機顔料が挙げられる。インク吸収性や表面のギラギラ感を低下する効果からは好ましくは合成シリカ、特に湿式法シリカが選択される。平均粒径が小さいと光反射による戻り光を減らす効果が少なく、また、平均粒径が大きいと手触りによるザラツキ感が出たり画像鮮明性低下が発生するため、平均粒径は20μm以下のものを用いるのが適しており、好ましくは1〜10μmのものを用いるのが良い。インク受容層を2層以上とした場合には、最上層にこれらの無機顔料や有機顔料を含有させたほうがギラギラ感等の改良効果は大きい。
【0059】
本発明では、インク受容層の塗布適性、表面性向上等の目的で界面活性剤が使用できる。カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン、レシチン等、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等から適時1種類以上が選択される。カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤も使用出来るが、インク受容層組成物との凝集性から量は制限される。
【0060】
本発明では、光沢性や耐傷性向上のために、インク吸収性や光透過性を大きく低下させない範囲でインク受容層上に保護層を設けても良く、一般的な保護層の厚さは5μm以下である。
【0061】
また、本発明のインク受容層は、カチオン性化合物を含有するのが好ましい。本発明に用いられるカチオン性化合物としては、耐水性改良の目的で用いられるカチオン性ポリマー、水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーは、気相法シリカと組み合わせて用いた場合、透明性を低下させる傾向にあるが、水溶性金属化合物は微細な亀裂の発生を押さえ、逆に透明性を向上させる。
【0062】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0063】
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。特性上好ましくはジルコニウム系化合物である。
【0064】
また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0065】
[Al2(OH)nCl6−n]m ・・式1
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
【0066】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0067】
本発明において、前記カチオン性化合物のインク受容層全固形分中の含有量は、0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
【0068】
また、前記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用してもよい。
【0069】
また、インク受容層には架橋剤を添加することもでき、その添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して固形分で0.01〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量%である。
【0070】
その他、インク受容層には、更に、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0071】
インク受容層の塗布方法は特に限定されず公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等がある。
【0072】
本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度、耐折り割れ性からは80〜250μmのものが好ましい。
【0073】
光透過性支持体の光透過性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作成するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用出来る。本発明では好ましくは支持体の不透明度は60%以下のものが使用される。60%より大きいと光透過性に劣り不鮮明な暗い画像になる。5%より低いと透過光が強くなり光源の照明によっては画像が見にくくなる。特に医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが好ましく使用される。
【0074】
プラスチック樹脂フィルム支持体に塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
【0075】
プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上に天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。
【0076】
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【0077】
本発明のインクジェット記録材料は、JIS−K−7105に規定されるヘーズ値が25%以下が好ましく、より好ましくは18%以下である。数値が高いと特に医療用のバックライト方式で用いる場合は画像の鮮鋭性が低下し、見間違いを犯しやすくなる。
【0078】
インクジェット記録に使用されるインクは、溶剤系インクと水性インクが有るが、溶剤系インクは、アルコール類、ケトン類、エーテル類等の溶剤に着色剤を配合されており、水性インクは、水とメタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶剤中にアニオン系着色剤等が配合されている。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。以下に記した部数は固形部数を示している。
【0080】
実施例1
下記に示す光透過性支持体を用意した。
(A)支持体
厚み175μmで青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(不透明度15%)の両面上にコロナ放電処理後、下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設けた。
プライマー層:塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、質量%)のラテックス(質量平均分子量42000)。
【0081】
(B)裏塗り層の塗工
前記支持体の片面に、紫外線硬化性樹脂としてアロニックスM8030(東亜合成化学工業製)90部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、光反応開始剤としてイルガキュア500(日本チバガイギー製)5部を加え十分攪拌した塗布組成物を4g/m2の固形分量となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行い、裏塗り層を設けた。
【0082】
(C)インク受容層の塗工
(B)で裏塗り層を設けた他方の面に、12質量%の固形分濃度の水分散液となるように調製した下記組成のインク受容層塗布組成物1を、固形分塗布量が20g/m2となるようにスライドビード塗布装置で塗布し、乾燥して実施例1のインクジェット記録材料を得た。インク受容層の乾燥は、5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで行い、次いで35℃10%RHで行った。
【0083】
<インク受容層塗布組成物1>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径12nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 3部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 2部
(理研グリーン社製;ピュラケムWT)
界面活性剤 1部
【0084】
実施例2
実施例1のインク受容層を変更し、12質量%の固形分濃度の水分散液となるように調製した下記組成のインク受容層塗布組成物2を固形分塗布量が25g/m2となるように塗布した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。なお、実施例1及び2で使用した気相法シリカの凝集粒子の平均粒子径は150nmであった。
【0085】
<インク受容層塗布組成物2>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径12nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 3部
ホウ酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 2部
(理研グリーン社製;ピュラケムWT)
ポリスチレン粒子 3部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
界面活性剤 1部
【0086】
比較例1
実施例1の裏塗り層を変更し、下記の組成の裏塗り層塗布組成物1を使用して固形分塗布量が8g/m2となるように塗布した以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
【0087】
<裏塗り層塗布組成物1>
不活性ゼラチン(分子量200,000〜300,000) 100部
ホルマリン 0.1部
ポリスチレン粒子 2部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
【0088】
比較例2
実施例1の裏塗り層を変更し、下記の組成の裏塗り層塗布組成物2を使用して固形分塗布量が8g/m2となるように塗布した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
【0089】
<裏塗り層塗布組成物2>
湿式法シリカ 100部
(日本シリカ社製;ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ポリビニルアルコール 30部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ステアリン酸亜鉛 5部
(中京油脂社製;ハイドリンE−366)
界面活性剤 1部
【0090】
上記の実施例及び比較例で作成したインクジェット記録材料について23℃、50%RHの環境で一昼夜静置後、下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0091】
<ヘイズ値>
透明性を評価するために、日本電色工業製NDH−300A(JIS−K−7105準拠)を用いてヘイズ値を測定した。ヘイズ値が25%より大きいと実使用不可と判定した。
【0092】
<インク吸収性>
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録材料にインクジェットプリンター(キヤノン社製BJF870)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー単色100%と、3重色300%を印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:転写は有るが実使用可。
×:転写が大きく実使用不可。
【0093】
<インクの裏写り>
実施例及び比較例で得られた記録材料に前記キヤノン社製プリンターで3重色を印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重ね、更に20枚重ねた後、40℃で2時間放置後のインクの裏写りを評価した。
○:全くインクの裏写りが全く無いか、やや有る。
△:インクの裏写り有るが実用下限。
×:インクの裏写り有り、実使用不可。
【0094】
<溶剤の裏写り>
実施例及び比較例で得られた記録材料に前記キヤノン社製プリンターで3重色を印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重ね、更に1枚重ねた後、40℃で2時間放置後の溶剤の裏写りを評価した。
○:溶剤の裏写りが全く無いか、やや有る。
△:溶剤の裏写り有るが実用下限。
×:溶剤の裏写り有り、実使用不可。
【0095】
<静摩擦係数>
実施例及び比較例で得られた記録材料のインク受容層を設けた面と裏塗り層を設けた面との静摩擦係数をスレッド式スリップテスターを用いてASTM−D1894−63に準拠した方法で測定した。
【0096】
<プリンター搬送性>
実施例及び比較例で得られた記録材料を23℃、50%RHの条件で前記キヤノン社製プリンターで50枚連続印字を行って搬送性を評価した。
○;重送や紙詰まりが全く発生しなかった。
△;重送または紙詰まりが1〜2回発生した。
×;重送または紙詰まりが3回以上発生した。
【0097】
<可視性>
実施例及び比較例で得られた記録材料に前記プリンターにより光学濃度が1.5〜2.5の黒画像を印字し、10000ルクスの光源によるシャウカステン(診断用投光装置)により目視での見やすさをギラギラ感も含めて評価した。
○:良好。
△:やや見にくいが実用可。
×:見にくい。
【0098】
【表1】
【0099】
実施例1〜2のインクジェット記録材料は、光透過性、インク吸収性、裏写り防止性、プリンターで印字する場合の連続給紙性、カール値が、良好な結果を示しており、医療用途でバックライト方式で使用した場合でも可視性に優れたインクジェット記録材料である。裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることで、裏写り防止性とプリンター搬送性が改善されていることがわかる。特に、実施例2はインク受容層に有機粒子を添加することで搬送性の改善が図られている。
【0100】
比較例1は裏写り防止性と連続給紙性が、比較例2は連続給紙性に優れるものの光透過性と裏写り防止性が劣っており実使用不可のインクジェット記録材料である。
【0101】
【発明の効果】
上記結果から明らかなように、本発明により、光透過性、インク吸収性、連続給紙性に優れ、印字画像の裏写り防止性が良好なインクジェット記録材料であり、医療用やOHP用に適した、特に医療用途でバックライト方式で使用しても可視性に優れたインクジェット記録材料が得られる。
Claims (5)
- 光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を主成分としてなることを特徴とするインクジェット記録材料。
- 前記インク受容層を設けた面と該裏塗り層を設けた面との間の静摩擦係数が0.6以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 前記インク受容層が、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子からなる空隙性のインク受容層であることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
- 前記光透過性支持体の厚さが50〜250μmである請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
- 前記光透過性支持体がポリエステルフィルムである請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
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