JP2003285537A - インクジェット記録材料 - Google Patents

インクジェット記録材料

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JP2003285537A
JP2003285537A JP2002090623A JP2002090623A JP2003285537A JP 2003285537 A JP2003285537 A JP 2003285537A JP 2002090623 A JP2002090623 A JP 2002090623A JP 2002090623 A JP2002090623 A JP 2002090623A JP 2003285537 A JP2003285537 A JP 2003285537A
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Takeshi Nagashima
武 永島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インク吸収性が高く、プリンター搬送性、耐傷
性、裏写りの問題の無い、透明性の高いインクジェット
記録材料を提供する。 【解決手段】光透過性支持体の片面に無機微粒子と親水
性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容層
を設け、反対面に無機微粒子と親水性バインダーを含有
する裏塗り層を設けたインクジェット記録材料におい
て、裏塗り層が光透過性支持体に近い裏塗り層(A)と
最も離れた裏塗り層(B)の2層以上からなり、該裏塗
り層(B)に非球状コロイダルシリカを含有し、JIS
−K−7105に規定されるヘイズ値が25%以下であ
ることを特徴とするインクジェット記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光透過性支持体を
用いたインクジェット記録材料に関し、インク吸収性、
透明性、プリンター搬送性、耐傷性、及び裏写り防止性
に優れた、バックライト方式での可視性が良好なインク
ジェット記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】医療の分野でこれまで一般的に用いられ
ている銀塩写真感光材料は、高価な銀塩を用いるほか、
現像処理等の湿式処理が必要であり、それに付随して廃
液の問題があった。感熱転写方式では、インクのはがれ
の問題、昇華方式では印字濃度が低い問題があった。こ
れらに対してインクジェット記録材料は完全なドライ記
録方式であり、騒音が少なく、記録パターンの変更が容
易で、正確に迅速に画像が形成される等の利点が有り、
医療分野での適用が検討されている。
【0003】インクジェット記録材料としては、通常の
紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水
性ポリマーからなる膨潤性インク受容層や非晶質シリカ
等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質の空隙性イ
ンク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0004】例えば、特開昭56−080489号、同
59−174381号、同60−220750号、同6
1−32788号、同63−160875号、特開平3
−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニ
ルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記
録材料が提案されている。
【0005】例えば、特開昭55−51583号、同5
6−157号、同57−107879号、同57−10
7880号、同59−230787号、同62−160
277号、同62−184879号、同62−1833
82号、及び同64−11877号、特開平3−215
08、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリ
カ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共
に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されてい
る。
【0006】また、特公平3−56552号、特開平2
−188287号、同平8−132728号、同平10
−81064号、同平10−119423号、同平10
−175365号、同10−203006号、同10−
217601号、同平11−20300号、同平11−
20306号、同平11−34481号公報には、気相
法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称
す)を用いた記録材料が開示されている。
【0007】一般的な膨潤性インク受容層と空隙性イン
ク受容層とを比較すると、前者は光沢は高いが表面のギ
ラギラ感が出やすく、さらに、インク吸収性、特にイン
ク吸収速度に劣る特性を有している。特に医療用で使用
する場合にはインクジェット方式で印字された画像が実
物を十分に再現していなければならないのでインク吸収
性は重要な特性である。外部光の戻り光による表面のギ
ラギラ感の増大は、印字面と反対面から光を照射して印
字面から画像を観察するバックライト方式で使用する場
合には見づらくなるので好ましくない。以上より医療用
途等バックライト方式で使用する用途では空隙性インク
受容層のほうが好ましく、例えば、特開2000−31
8302公報には空隙性インク受容層を有する記録媒体
が記載されている。
【0008】インクジェット記録方式の普及にともな
い、前述の医療用のフィルムのほかにOHP用等の透明
記録シートをインクジェット記録方式で作製することも
検討されており、これらの記録シートはインク吸収性、
光透過性が重要であるが、特に連続で印字したり、積み
重ねて輸送したりする場合等にインク受容面と裏面とが
擦れあうことによってインク受容面もしくは裏面に傷が
発生して印字品位を低下させてしまうことがあった。透
明性支持体を用いた場合には裏面に発生した傷も記録面
側から視認されるため致命的な欠陥である。
【0009】また、OHP用途や医療用途のような一般
的にプラスチックフィルムを基材とするインクジェット
記録材料は、基材の帯電によりゴミが付着しやすかった
り、記録シートの重送といった搬送上のトラブルを引き
起こしやすいという問題があった。記録シートの重送と
いったトラブルを防ぐために記録材料の裏面に帯電防止
層を形成させることが知られているが、光透過性記録材
料の透明性の低下、塗布面のべとつき、及び帯電防止効
果の経時低下といった問題があった。また、裏面の塗布
層が吸湿しやすいものであると、印字物を積み重ねた場
合にブロッキングやインクの裏写りを悪化させてしまう
という問題もあった。また、特開2000−19062
0号公報には記録面とは反対側の面に脂肪族炭化水素系
または金属石鹸系の滑剤を添加して表面と裏面との静摩
擦係数を低減させる方法が記載されているが、これも裏
写りの抑制という点では十分な効果はない。特に透明性
支持体を用いた場合の裏写りの発生は、記録面側からも
視認されるため致命的な欠陥である。
【0010】ブロッキングに起因する自動給紙時の重送
を防止することを目的として、例えば特開平7−179
025号公報には記録面の裏側に設けた裏塗り層に、裏
塗り層の厚さよりも大きい平均粒径を有する球状微粒子
ポリマーを含有させて搬送性を向上させる方法が提案さ
れているが、その効果は十分ではなく、連続印字した場
合に記録面側と裏塗り面側が擦れあうことによって記録
面側に傷を発生してしまうことがあった。また、特開平
6−162587号、同7−25133号、同9−25
4524号公報にはインク受容層中に微粒子を含有させ
て搬送性を向上させる試みがなされているが、記録面側
へのマット剤の添加は記録画像に印字ヌケを発生させて
印字品位を低下させることがあるので好ましくない。
【0011】透明性支持体を用いた記録材料として、特
開平7−276789号公報には透明支持体に一次粒子
の平均粒径が10nm以下のシリカ微粒子と水溶性樹脂
の重量比が1.5:1〜10:1の色剤受容層を設けた
インク吸収性や透明性の高い記録材料が開示されてい
る。また、特開2000−238411には支持体上に
擬ベーマイト状アルミナ水和物を主成分とするインク吸
収層を設け、更にその上に非球状シリカ粒子及び平均粒
子径100nm以上の球状粒子からなる保護層を設けた
インクジェット記録材料が開示されているが、インク吸
収性、プリンター搬送性、耐傷性、裏写り防止性等の特
性を全て満足できるものではなかった。
【0012】裏写りについては特開平9−234944
号公報でインク受容層の反対面が水と高沸点のアルコー
ルに対する吸収性を特定以上にすることで裏写りを改良
する提案がなされているが改良効果は不充分であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光透
過性支持体を用いたインクジェット記録材料に関し、イ
ンク吸収性、透明性、プリンター搬送性、耐傷性、及び
裏写り防止性に優れた、バックライト方式での可視性が
良好なインクジェット記録材料を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、画像の裏写りが2種
類の異なった機構で発生していることを突き止めた。即
ち、印字された画像のインクが直接記録材料裏面に接触
して発生する機構(以後「インクの裏写り」という)
と、印字された画像のインクに含有されている水や有機
溶剤が揮発により裏面に吸着されて透明化や白濁化する
機構(以後「溶剤の裏写り」という)である。特に、バ
ックライト方式で画像を観察する光透過性記録材料にお
いてインクの裏写りや溶剤の裏写りの形跡は、非透明性
記録材料の場合とは異なり観察面側からも視認されてし
まうため重大欠陥である。また、透明性支持体を用いた
場合には記録面だけではなく裏面に発生した傷も記録面
側から視認されるため、記録材料両面の耐傷性が必要と
されるが、以下の手段により、インク吸収性、透明性、
プリンター搬送性、耐傷性、及び裏写り防止性に優れた
インクジェット記録材料を得ることができた。
【0015】(1)光透過性支持体の片面に無機微粒子
と親水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク
受容層を設け、反対面に無機微粒子と親水性バインダー
を含有する裏塗り層を設けたインクジェット記録材料に
おいて、該裏塗り層が光透過性支持体に近い裏塗り層
(A)と最も離れた裏塗り層(B)の2層以上からな
り、該裏塗り層(B)に非球状コロイダルシリカを含有
し、JIS−K−7105に規定されるヘイズ値が25
%以下であることを特徴とするインクジェット記録材
料。
【0016】(2)前記裏塗り層(B)の非球状コロイ
ダルシリカに対する親水性バインダーの固形分比率
(C)が1〜15質量%であり、前記裏塗り層(A)の
無機微粒子に対する親水性バインダーの固形分比率
(D)が10〜200質量%であり、CがDよりも小さ
いことを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット
記録材料。
【0017】(3)前記裏塗り層の親水性バインダー
が、ポリビニルアルコールあるいはその変性物であるこ
とを特徴とする前記(1)または(2)の何れかに記載
のインクジェット記録材料。
【0018】(4)前記裏塗り層の空隙率が、70容量
%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)の何
れか1つに記載のインクジェット記録材料。
【0019】(5)前記インク受容層の表面と、前記裏
塗り層の表面との間の静摩擦係数が0.6以下であるこ
とを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1つに記載
のインクジェット記録材料。
【0020】(6)前記裏塗り層の全固形分量が1〜1
2g/m2であることを特徴とする前記(1)〜(5)の
何れか1つに記載のインクジェット記録材料。
【0021】(7)前記インク受容層が、一次粒子の平
均粒径5〜30nmの気相法シリカを含有することを含
有していることを特徴とする前記(1)〜(6)の何れ
か1つに記載のインクジェット記録材料。
【0022】(8)前記インク受容層が光透過性支持体
に近いインク受容層(A)と最も離れたインク受容層
(B)の2層以上からなり、インク受容層(B)が一次
粒子の平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカを含
有していることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れ
か1つに記載のインクジェット記録材料。
【0023】(9)前記インク受容層(B)に含有され
るコロイダルシリカが非球状コロイダルシリカであるこ
とを特徴とする前記(8)に記載のインクジェット記録
材料。
【0024】(10)前記光透過性支持体がポリエステ
ルフィルムであることを特徴とする前記(1)〜(9)
の何れか1つに記載のインクジェット記録材料。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインク受容層や裏塗り層に用いられる無機微粒
子としては、特に限定されるものではないが、例えば合
成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物等が挙げられ
る。高い透明性を得られることから一次粒径または二次
以降の凝集粒子径が500nm以下のものを使用するこ
とが好適である。
【0026】本発明のインク受容層に含有される無機微
粒子としては、前記の合成シリカ、アルミナまたはアル
ミナ水和物等のなかでも高い吸収性を得られることから
一次粒子の平均粒径5〜30nmの気相法シリカが好適
であり、これらの無機微粒子は親水性バインダーと混合
して塗布液とした後に支持体上に数十〜数百μmの厚み
の塗布層が形成されるように塗布され、次いで乾燥され
る。製造方法の好ましい一例は、光透過性支持体に塗布
されたインク受容層は一旦20℃以下の雰囲気下で冷却
し、その後乾燥工程で乾燥される。前記方法で支持体上
に塗設された空隙性インク受容層によって優れたインク
吸収速度、高濃度を達成でき医療用途には好適である。
インク吸収性の向上によってインクの裏写りも改善でき
る。
【0027】合成シリカには、湿式法によるものと気相
法によるものがあり、通常シリカ微粒子といえば湿式法
シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、ケ
イ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂
層を通して得られるシリカゾル、またはこのシリカゾ
ルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、シリカ
ゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって
数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をし
た三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更にはシ
リカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等
を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体と
する合成ケイ酸化合物等がある。湿式法シリカは一般的
には表面のシラノール基は5個/nm2以上である。
【0028】気相法シリカは、湿式法に対して乾式法と
も呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られ
る。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼
して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素
の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン
等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状
態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエ
ロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQS
タイプとして市販されており入手することができる。気
相法シリカの表面のシラノール基は5個/nm2未満が
一般的である。
【0029】本発明の気相法シリカの一次粒子の平均粒
径は、一次粒子が判別できる程度まで分散された粒子の
電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の
粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径とし
て平均粒径を求めた。二次粒子も同様にして緩いせん断
力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めた。
【0030】本発明において、インク受容層の反対面に
塗設される裏塗り層は、光透過性支持体に近い裏塗り層
(A)と最も離れた裏塗り層(B)の2層以上からな
り、前記裏塗り層(B)に非球状コロイダルシリカを含
有し、JIS−K−7105に規定されるヘイズ値が2
5%以下であることを特徴とする。裏塗り層(A)によ
って支持体との強い接着強度を得ることができ、裏塗り
層(B)によって耐傷性、適度な滑り性といった特性を
得ることができる。
【0031】本発明のインクジェット記録材料は、JI
S−K−7105に規定されるヘイズ値が25%以下で
あるが、医療用のバックライト方式で用いる場合は、ヘ
イズ値の数値が高いと画像の鮮鋭性が低下し見間違えを
起こしやすくなることから、18%以下とするのが好ま
しい。また、OHPフィルムとして用いる場合は、ヘイ
ズ値の数値が高いとプロジェクタによる投影画像の明る
さが低下するので10%以下とするのが好ましい。
【0032】本発明の非球状コロイダルシリカは、一般
的なコロイダルシリカが球状または球状に近い粒子が連
結せずに独立して存在しているのに対して、小さいシリ
カ粒子が細長く連結した鎖状粒子、またそれらが三次元
網目構造を有しているもの、球状の一次粒子が複数個連
結し、真珠のネックレスに似た形状を示すパールネック
レス状の粒子等の形状で存在する。
【0033】細長い形状の鎖状粒子とは三次元方向には
伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長
い形状の鎖状粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲して
いるもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含ま
れる。これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、
これらの細長い形状の鎖状粒子が文字通り三次元的に絡
まった網目状構造を有するもの等である。
【0034】パールネックレス状粒子や鎖状粒子はいず
れもシリカの一次粒子が連結した、分岐を有する細長い
形状であるが、両者の違いは球状一次粒子の占める割合
にある。ここでパールネックレス状粒子とは電子顕微鏡
による二次元像において、球状一次粒子に起因する円状
図形が真円度70%以上を有し、かつ各円状図形の内接
円の合計面積がパールネックレス状粒子全投影面積の7
0%以上を占め、かつ各円状図形の内接円が互いに重な
らないもの等である。ここで真円度とは、対象とする図
形輪郭の外接円の半径に対する内接円の半径の比率で表
され、真円では100%となる。
【0035】本発明におけるこれら非球状のシリカ粒子
は公知の種々の方法によって得られ、本発明において
は、いかなる方法によって得られたものでも、シリカ粒
子が非球状を有していれば用いることができる。
【0036】本発明の裏塗り層には被膜の機械的強度を
得るために親水性バインダーが添加されるが、鎖状シリ
カ粒子やパールネックレス状シリカ粒子からなる被膜は
機械的強度にも優れており、優れた耐傷性を得るのに好
適である。また、適度なすべり性が得られるとともに、
透明性が求められる場合にはヘイズ(曇価)の悪化もな
く好適である。
【0037】本発明において好ましくは、前記裏塗り層
(B)の非球状コロイダルシリカに対する親水性バイン
ダーの固形分比率(C)が1〜15質量%であり、前記
裏塗り層(A)の無機微粒子に対する親水性バインダー
の固形分比率(D)が10〜200質量%であり、Cが
Dよりも小さいことを特徴とする。これにより、支持体
と裏塗り層の強い接着強度を得ることができるうえ、適
度なすべり性を容易に得ることが可能となる。
【0038】本発明の裏塗り層に使用する親水性バイン
ダーは、水溶性樹脂及び水分散性樹脂のいずれでも使用
可能であり、その種類は特に限定されないが、透明性、
裏写り性や層強度等を考慮して選択される。
【0039】本発明の裏塗り層に使用される親水性バイ
ンダーの具体例としては、澱粉、カルボキシ澱粉、カチ
オン澱粉、ジアルデヒド澱粉等の澱粉類、ヒドロキシエ
チルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイ
ン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジニウムハ
ライド、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリ
ル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩素化ポ
リエーテル、アリル樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、オ
キシベンゾイルポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、フェノ
ール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルマ
リン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ビスマレイミドトリ
アジン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン/ブタジエン共
重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アク
リル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビ
ニル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル
共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メ
タクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共
重合体やそれらの変性物、エチレン/無水マレイン酸共
重合体のアルカリ塩またはアンモニウム塩、その他各種
ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、これらは、単独
もしくは2種以上混合して用いることができる。また、
耐水性や層強度を向上させるなどの目的で樹脂を硬化す
るための架橋剤を使用することもできる。
【0040】なかでも優れた溶剤の裏写り防止効果が得
られるため、ポリビニルアルコールまたはその変性物が
好適である。
【0041】ポリビニルアルコールの中でも特に好まし
いのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化
したものである。平均重合度1000〜5000のポリ
ビニルアルコールが好ましい。
【0042】本発明の裏塗り層には必要に応じて、透明
性、裏写り防止性、耐傷性等を損なわない範囲で、硬膜
剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料等が添加されるが、
塗層形成後の空隙率を低くすると溶剤の裏写り性が防止
されるので好ましく、具体的には70容量%以下であれ
ば好ましい。裏塗り層の空隙率とは、裏塗り層の乾燥膜
厚から出した容量から層中の無機微粒子やバインダー等
の固形分総容量を差し引いた値である空隙容量の固形分
総容量に対する割合をいう。本発明ではインクや溶剤の
裏写りを防止する効果が高いため、70容量%以下であ
ることが好ましい。
【0043】本発明において好ましくは、インク受容層
の表面と、裏塗り層を設けた表面との間の静摩擦係数が
0.6以下であることが好ましい。これにより、自動給
紙時の重送といったトラブルの発生を防止する効果が大
きくなり、良好なプリンター搬送性を得ることが可能で
ある。本発明の裏塗り層(B)の非球状コロイダルシリ
カに対する親水性バインダーの固形分比率(C)が低い
ほど静摩擦係数を低下させる効果を得られやすい傾向に
ある。
【0044】本発明において、裏塗り層の塗布量は得ら
れる記録材料のカール性を主に考慮して決定されるが、
一般には固形分で0.5〜12g/m2であり、好ましく
は1〜10g/m2である。裏塗り層(A)と裏塗り層
(B)の塗布量の比は限定されないが、1:1〜15:
1の範囲で調整されるのが好ましい。
【0045】本発明のインク受容層に使用される親水性
バインダーとしては、透明性が高くインクの高い浸透性
が得られることが求められる。親水性バインダーの使用
に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透
時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であ
り、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性
ポリマーが好適である。例えばポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチ
レンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイ
ン等やこれらの変性物であり、中でも完全または部分ケ
ン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビ
ニルアルコールが好ましい。
【0046】ポリビニルアルコールの中でも特に好まし
いのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化
したものである。平均重合度1000〜5000のポリ
ビニルアルコールが好ましい。
【0047】また、カチオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば特開昭61−10483号に記載され
ているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウ
ム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有
するポリビニルアルコールである。
【0048】本発明において、空隙性インク受容層の無
機微粒子に対するバインダーの固形分比率は、主として
インク受容層の透明性、インク吸収性や層強度により決
定されるが、一般的には5〜35質量%であり、好まし
くは5〜30質量%の範囲である。無機微粒子に対する
バインダーの比率を低くするとインク吸収性は向上する
が、透明性の低下、乾燥時のひび割れが発生しやすく、
層強度が低下し、粉落ちが出やすい。逆に比率を高くす
ると透明性、層強度は向上するがインク吸収性が低下す
る。
【0049】本発明において、インク受容層の塗布量は
固形分で10g/m2以上であり、13〜35g/m2の範
囲が好ましい。
【0050】インク受容層にはカチオン性化合物を含有
するのが好ましく、カチオン性化合物としては、記録画
像の耐水性改良の目的で用いられるカチオン性ポリマ
ー、水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマ
ーは、気相法シリカと組み合わせて用いた場合、透明性
を低下させる傾向にあるが、水溶性金属化合物は微細な
亀裂の発生を押さえ、逆に透明性を向上させる。従っ
て、インク吸収性が良好で耐水性があり、透明性が高く
なる利点がある。
【0051】上記のカチオン性ポリマーとしては、ポリ
エチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミ
ン、特開昭59−20696号、同59−33176
号、同59−33177号、同59−155088号、
同60−11389号、同60−49990号、同60
−83882号、同60−109894号、同62−1
98493号、同63−49478号、同63−115
780号、同63−280681号、特開平1−403
71号、同6−234268号、同7−125411
号、同10−193776号公報等に記載された1〜3
級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが
好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子
量は、5,000以上、更に5,000〜10万程度が
好ましい。
【0052】上記の水溶性金属化合物としては、例えば
水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウ
ム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウ
ム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、
タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩
が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩
化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸
バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガ
ン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガ
ンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウ
ム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシア
ン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、
塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニ
ッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水
和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫
酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニ
ウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一
鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二
鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、
硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化
ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロ
キシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸
マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マ
グネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、
クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸
n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデ
ン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。特性上
好ましくはジルコニウム系化合物である。また、カチオ
ン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポ
リマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙
げられる。
【0053】塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物と
は、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例え
ば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+
[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等
のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含ん
でいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0054】 [Al2(OH)nCl6-nm ・・式1 [Al(OH)3nAlCl3 ・・式2 Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
【0055】これらのものは多木化学(株)よりポリ塩
化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田
化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の
名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの
名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市
されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本
発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、
pHが不適当に低いものもあり、その場合は適宜pHを
調節して用いることも可能である。
【0056】上記したカチオン性化合物は2種以上を併
用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水
溶性金属化合物を併用してもよい。
【0057】本発明のインク受容層は、耐水性、ドット
再現性を向上させる目的で適当な硬膜剤で硬膜すること
ができる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデ
ヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、
ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合
物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−
4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第
3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有
する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,63
5,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合
物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メ
チロール化合物、米国特許第3,103,437号記載
の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,28
0号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化
合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカ
ルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,53
7号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハ
ロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサ
ンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコ
ニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があ
り、これらを1種または2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する
親水性バインダー100gに対して0.01〜40gが
好ましく、より好ましくは0.1〜30gである。
【0058】本発明のインク受容層には、更に必要に応
じて、無機顔料または有機顔料、着色染料、着色顔料、
インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料
の分散剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、
蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種
添加剤を添加することもできる。
【0059】上記の無機顔料及び有機顔料として、例え
ば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸
化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリ
カ、アルミナ、アルミナ水和水物、酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム等の無機顔料やポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸
エステル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂等の有機顔料が挙
げられる。インク吸収性を改善したり、表面のギラギラ
感を低下させる効果を得る場合には合成シリカ、特に湿
式法シリカが選択される。なお、比較的大きな粒径を有
する顔料の添加は記録画像に印字ヌケを発生させやすく
なるので医療用途での使用に際しては注意を要する。
【0060】上記の界面活性剤は塗布適性、表面性向上
等の目的で使用され、カチオン性界面活性剤としては、
脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザル
コニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イ
ミダゾリニウム塩等、両性界面活性剤としては、カルボ
キシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウ
ムベタイン、レシチン等、非イオン界面活性剤として
は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール
脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカ
ノールアミド等から適時1種類以上が選択される。カル
ボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤も使
用出来るが、インク受容層組成物との凝集性から量は制
限される。
【0061】本発明において、インク受容層が光透過性
支持体に近いインク受容層(A)と最も離れたインク受
容層(B)の2層以上からなり、インク受容層(B)が
一次粒子の平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカ
を含有することで、記録面の耐傷性を改善することがで
きる。
【0062】また、前記インク受容層(B)に含有され
るコロイダルシリカは非球状コロイダルシリカであるこ
とが好ましい。裏塗り層に用いられるものと同様のもの
を使用することができ、球状の粒子を使用した場合と比
較して、小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い構造
または三次元網目構造を有するため、粒子の充填が粗と
なりやすく、インクの浸透を阻害しにくい塗布層を得ら
れやすい。
【0063】本発明では、インク吸収性、透明性を大き
く低下させない範囲でインク受容層上に保護層を設けて
も良く、一般的な保護層の厚さは1〜5μmの範囲であ
る。保護層の組成については、特に制限されない。
【0064】本発明に用いられる光透過性支持体として
は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポ
リエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジ
アセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロー
ス、セルロースアセテートのようなセルロースエステル
樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリス
ルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロ
イド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特に
ポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で
好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚
みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm
程度のものが好ましい。
【0065】光透過性支持体の透明性、色調を調整する
場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合し
て作製するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二
酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の
着色顔料等が利用出来る。本発明は透明性の高いインク
ジェット記録材料に関するものであるが、透光性はイン
ク受容層や裏塗り層の組成だけでなく、支持体の特性も
重要である。例えばOHPフィルムとして使用する際の
光透過性は、全光線透過率よりもヘイズ(曇価)の方が
人の感覚に近く、JIS−K−7105によるヘイズ値
が3以下の透明支持体であることが得に好ましい。ま
た、医療用フィルムの支持体としては、ヘイズ値が10
以下の青色に着色されたブルーPETフィルムが好まし
く使用される。
【0066】本発明でプラスチック樹脂フィルム支持体
にインク受容層及び裏塗り層の塗布液を塗布する場合、
塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照
射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
【0067】本発明は、プラスチック樹脂フィルム等の
光透過性支持体上に天然樹脂や合成樹脂を主体とするプ
ライマー層を設けるのが支持体との接着性を向上できる
ので好ましい。該プライマー層の上に、インク受容層の
塗液を塗布した後、冷却し、比較的低温で乾燥すること
によって、更に透明性が向上する。
【0068】上記プライマー層は、支持体上に0.01
〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは
0.05〜5μmの範囲である。
【0069】本発明において、塗布方法は特に限定され
ず公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スラ
イドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方
式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッド
バーコーティング方式等がある。
【0070】インクジェット記録に使用されるインク
は、溶剤系インクと水性インクが有るが、溶剤系インク
は、アルコール類、ケトン類、エーテル類等の溶剤に着
色剤が配合されており、水性インクは、水とメタノー
ル、エタノール、ブタノール、エチレングリコール等の
水溶性有機溶剤中にアニオン系着色剤等が配合されてい
る。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0072】実施例1 下記に示す光透過性支持体を用意した。 <支持体A>厚み175μmで青色着色したポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(不透明度15%)の両面に
下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになる
ように設け、支持体Aを得た。
【0073】<プライマー層> 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(9
0:9:1、重量%)のラテックス(平均分子量420
00)。
【0074】下記組成の裏塗り層塗布組成物Aを10質
量%、裏塗り層塗布組成物Bを8質量%の固形分濃度の
水分散液となるように調製した。裏塗り層塗布組成物A
を支持体に近い下層として固形分塗布量が6g/m2、裏
塗り層塗布液Bを上層として固形分塗布量が2g/m2
なるように上記支持体Aの片面に塗布した。続いて下記
組成のインク受容層塗布組成物を10質量%の固形分濃
度の水分散液になるように調製し、裏塗り層の反対面に
固形分塗布量が22g/m2になるように塗布、乾燥し、
インクジェット記録材料を得た。なお、下記塗布液の組
成は固形部での組成を示している。
【0075】 <裏塗り層塗布組成物A> 球状コロイダルシリカ 100部 (日産化学製、スノーテックス20、一次粒子の平均粒径10〜20nm) スチレン/ブタジエン共重合樹脂 60部 (三井化学製、ポリラック755)
【0076】 <裏塗り層塗布組成物B> 鎖状コロイダルシリカ 100部 (日産化学製、スノーテックスUP) スチレン/ブタジエン共重合樹脂 20部 (三井化学製、ポリラック755)
【0077】 <インク受容層塗布組成物> 気相法シリカ 98部 (平均一次粒径12nm) ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 3部 ほう酸 4部 ポリビニルアルコール 20部 (ケン化度88%、平均重合度3500) 界面活性剤 1部 酢酸ジルコニウム 2部
【0078】塗布後の乾燥条件を下記に示す。5℃で3
0秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃
10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥し
た。
【0079】実施例2 実施例1の裏塗り層塗布組成物Bのスチレン/ブタジエ
ン共重合樹脂の固形部数を20部から8部へと変更した
以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット
記録材料を得た。
【0080】実施例3 実施例2の裏塗り層塗布組成物Bのスチレン/ブタジエ
ン共重合樹脂を、ポリビニルアルコール(ケン化度88
%、平均重合度3500)に変更した以外は実施例2と
同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た。
【0081】実施例4 実施例3の裏塗り層塗布組成物Aのスチレン/ブタジエ
ン共重合樹脂を、ポリビニルアルコール(ケン化度88
%、平均重合度3500)に変更した以外は実施例3と
同様にして実施例4のインクジェット記録材料を得た。
【0082】実施例5 実施例1の裏塗り層塗布組成物Bの鎖状コロイダルシリ
カの代わりに、パールネックレス状コロイダルシリカ
(日産化学製、スノーテックスPS−M)を用いた以外
は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録
材料を得た。
【0083】実施例6 実施例1で、インク受容層を2層とし、下記の組成のイ
ンク受容層塗布組成物Aを支持体に近い下層として固形
分塗布量が22g/m2に、インク受容層塗布組成物Bを
上層として固形分塗布量が1g/m2になるように塗布し
た以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェッ
ト記録材料を得た。
【0084】 <インク受容層塗布組成物A> 気相法シリカ 98部 (平均一次粒径12nm) ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 3部 ほう酸 4部 ポリビニルアルコール 20部 (ケン化度88%、平均重合度3500) 界面活性剤 1部 酢酸ジルコニウム 2部
【0085】 <インク受容層塗布組成物B> パールネックレス状コロイダルシリカ 100部 (日産化学製、スノーテックスPS−M) ポリビニルアルコール 4部 (ケン化度88%、平均重合度3500) 界面活性剤 1部
【0086】比較例1 実施例1で、裏塗り層塗布組成物Bに用いた鎖状コロイ
ダルシリカの代わりに球状コロイダルシリカ(日産化学
製、スノーテックス20)を用いた以外は実施例1と同
様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
【0087】比較例2 実施例1で、裏塗り層塗布組成物Aに用いたコロイダル
シリカの代わりに、湿式法シリカ(日本シリカ工業製、
ニップシールE−220A、平均粒径2μm)を用いた
以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット
記録材料を得た。
【0088】比較例3 実施例1で、裏塗り層塗布組成物Bの鎖状コロイダルシ
リカの代わりに平均粒径12μmのポリスチレン粒子5
部を添加した以外は実施例1と同様にして比較例3のイ
ンクジェット記録材料を得た。
【0089】比較例4 実施例1で、裏塗り層塗布組成物Bの鎖状コロイダルシ
リカの代わりに滑剤であるステアリン酸亜鉛分散物(中
京油脂製、ハイドリンZ−7−30)5部を添加した以
外は実施例1と同様にして比較例4のインクジェット記
録材料を得た。
【0090】比較例5 実施例1で、裏塗り層塗布組成物Bを塗布せずに、裏塗
り層塗布組成物Aのみを固形分塗布量が8g/m2になる
ように塗布した以外は実施例1と同様にして比較例5の
インクジェット記録材料を得た。
【0091】実施例1〜6、及び比較例1〜5で得たイ
ンクジェット記録材料について下記の試験を行った。
【0092】<インク吸収性>インクジェットプリンタ
ー(キヤノン社製BJF850)を用いて、シアン、マ
ゼンタ、イエロー単色100%と、3重色300%をベ
タ印字した。印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽
く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視
で観察し、下記の基準で評価した。 ○:全く転写しない。 △:転写は有るが実用可。 ×:転写が大きく実使用不可。
【0093】<ヘイズ値>透明性を評価するために、日
本電色工業製NDH−300A(JIS−K−7105
準拠)を用いてヘイズ値を測定した。ヘイズ値が25%
より大きいと実使用不可と判定した。
【0094】<静摩擦係数>摩擦係数試験機(テスター
産業株式会社製)を用いて、インク受容層の表面と裏塗
り層を設けた表面との間の静摩擦係数を測定した。静摩
擦係数は0.6以下であることが好ましい。
【0095】<プリンター搬送性>23℃、20%RH
の低湿度雰囲気下の条件で前記キヤノン社製プリンター
で50枚連続で自動給紙による印字を行ってプリンター
搬送性を評価した。 ○:重送が全く発生しなかった。 △:重送が1〜2回発生した。 ×:重送が3回以上発生した。
【0096】<耐傷性>前記<プリンター搬送性>で印
字したインクジェット記録材料のインク受容層の表面と
裏塗り層を設けた表面を観察し、自動給紙される際に両
面が擦れあうことに起因する傷の発生状況を目視で観察
して耐傷性を評価した。 ◎:傷が全く発生しなかった。 ○:傷の発生程度が軽微であったり、頻度が低いことか
ら実使用可。 △:傷の発生はあるが、実使用レベル下限。 ×:傷の発生頻度が高い、または程度が大きいため実使
用不可。
【0097】<インクの裏写り>前記キヤノン社製プリ
ンターで印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重
ね、更に20枚重ねた後、40℃で2時間放置後のイン
クの裏写りを評価した。 ○:全くインクの裏写り無し。 △:ややインクの裏写り有るが実用下限。 ×:インクの裏写り有り、実使用不可。
【0098】<溶剤の裏写り>前記キヤノン社製プリン
ターで印字しインクが全て吸収された後、印字面を同じ
材料の裏面と重ね、更に1枚重ねた後、40℃で2時間
放置後の溶剤の裏写りを評価した。 ◎:全く溶剤の裏写り無し。 ○:やや溶剤の裏写りが有る。 △:溶剤の裏写り有るが実用下限。 ×:溶剤の裏写り有り、実使用不可。
【0099】
【表1】 ──────────────────────────────────── インク ヘイズ 静摩擦 プリン 耐傷性 裏写り 吸収性 係数 ター インク 溶剤 搬送性 ──────────────────────────────────── 実施例1 ○ 7.8 0.68 △ ○ ○ ○ 実施例2 ○ 8.3 0.48 ○ ○ ○ ○ 実施例3 ○ 6.9 0.63 △ ○ ○ ○ 実施例4 ○ 6.1 0.64 △ ○ ○ ◎ 実施例5 ○ 8.1 0.53 ○ ○ ○ ○ 実施例6 ○ 8.2 0.45 ○ ◎ ○ ○ ──────────────────────────────────── 比較例1 ○ 7.3 0.86 × △ ○ ○ 比較例2 ○ 26.0 0.66 △ ○ ○ × 比較例3 ○ 19.6 0.54 ○ × ○ △ 比較例4 ○ 15.1 0.56 ○ × △ × 比較例5 ○ 7.0 0.89 × ○ ○ ○ ────────────────────────────────────
【0100】表1から明らかなように、本発明の実施例
1〜6のインクジェット記録材料は、インク吸収性、透
明性、プリンター搬送性、耐傷性、及び裏写り防止性が
良好な特性を示している。特に、裏塗り層(A)及び裏
塗り層(B)の親水性バインダーとしてポリビニルアル
コールを含有する実施例4では記録面に残留した溶剤の
裏写りを防止する効果の高いことがわかる。また、イン
ク受容層が2層からなり、上層にコロイダルシリカを含
有している実施例6は裏塗り層の表面だけではなく、イ
ンク受容層の表面の耐傷性も高く両面とも全く傷が発生
しなかった。なお、実施例1〜6の裏塗り層の空隙率は
いずれも70容量%以下であった。これに対し、比較例
1、5はインク受容層の表面と裏塗り層の表面との間の
静摩擦係数が高く、プリンター搬送性において重送が頻
繁に発生したために実使用不可である。比較例2はヘイ
ズ値が高く透明性記録材料として不適であることに加
え、溶剤の裏写り跡が明瞭であり好ましくない。比較例
3は裏塗り層に比較的大きな粒径を有する顔料が添加さ
れており、静摩擦係数が低くプリンター搬送性も良好で
あるが、自動給紙時にインク受容層面の表面と裏塗り層
の表面とが擦れあうことによって多大な傷が発生してお
り実使用には耐えられない。比較例4もプリンター搬送
性は優れているが、耐傷性、裏写り防止性が悪く実使用
不可である。
【0101】
【発明の効果】上記結果から明らかなように、本発明に
より、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料
に関し、インク吸収性、透明性、プリンター搬送性、耐
傷性、及び裏写り防止性に優れた、バックライト方式で
の可視性が良好なインクジェット記録材料が得られる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性支持体の片面に無機微粒子と親
    水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容
    層を設け、反対面に無機微粒子と親水性バインダーを含
    有する裏塗り層を設けたインクジェット記録材料におい
    て、該裏塗り層が該光透過性支持体に近い裏塗り層
    (A)と最も離れた裏塗り層(B)の2層以上からな
    り、該裏塗り層(B)に非球状コロイダルシリカを含有
    し、JIS−K−7105に規定されるヘイズ値が25
    %以下であることを特徴とするインクジェット記録材
    料。
  2. 【請求項2】 前記裏塗り層(B)の非球状コロイダル
    シリカに対する親水性バインダーの固形分比率(C)が
    1〜15質量%であり、前記裏塗り層(A)の無機微粒
    子に対する親水性バインダーの固形分比率(D)が10
    〜200質量%であり、CがDよりも小さいことを特徴
    とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  3. 【請求項3】 前記裏塗り層の親水性バインダーが、ポ
    リビニルアルコールあるいはその変性物であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録
    材料。
  4. 【請求項4】 前記裏塗り層の空隙率が、70容量%以
    下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に
    記載のインクジェット記録材料。
  5. 【請求項5】 前記インク受容層の表面と、前記裏塗り
    層の表面との間の静摩擦係数が0.6以下であることを
    特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジ
    ェット記録材料。
  6. 【請求項6】 前記裏塗り層の全固形分量が1〜12g
    /m2であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項
    に記載のインクジェット記録材料。
  7. 【請求項7】 前記インク受容層が、一次粒子の平均粒
    径5〜30nmの気相法シリカを含有していることを特
    徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のインクジェ
    ット記録材料。
  8. 【請求項8】 前記インク受容層が前記光透過性支持体
    に近いインク受容層(A)と最も離れたインク受容層
    (B)の2層以上からなり、インク受容層(B)が一次
    粒子の平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカを含
    有していることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項
    に記載のインクジェット記録材料。
  9. 【請求項9】 前記インク受容層(B)に含有されるコ
    ロイダルシリカが、非球状コロイダルシリカであること
    を特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録材
    料。
  10. 【請求項10】 前記光透過性支持体がポリエステルフ
    ィルムであることを特徴とする請求項1〜9の何れか1
    項に記載のインクジェット記録材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011235535A (ja) * 2010-05-11 2011-11-24 Photo Craft Co Ltd 両面印刷用シート
JP2012148417A (ja) * 2011-01-17 2012-08-09 Seiko Epson Corp インクジェット記録媒体

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