JP3857422B2 - 記録用シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色材を用いて記録する記録用シートの製造方法に関するものである。特に、インクジェット記録、熱転写記録及び電子写真記録等の記録材として適する記録適性に優れた記録用シートを安定に製造することができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、また、それぞれの情報システムに適した記録方法及び装置も開発され、採用されている。このような記録方法の中で、インクジェットあるいはプロッタを用いたインク記録、および溶融型色材あるいは昇華型色材を用いた感熱転写記録においては、使用する装置が軽量化とコンパクト化され、騒音もなく、操作性、保守性にも優れたものとなっている。さらに、このような記録方法で使用される装置はカラー化も容易であることから、最近広く使用されている。また、従来の電子写真方式においてもカラー化が進み、高解像度でフルカラーのプリンタや複写機が開発され、商品化されてきている。
【0003】
インクジェット方式はインク記録用シートの表面に液状の微粒滴を吐出させて画像を形成する方法である。
【0004】
また、感熱転写方式には、熱溶融性のインクを支持体側からの熱印加により、熱印加したパターン状に溶融させることによって、記録用シートに転写させて画像を得る溶融熱転写方法や、高軟化点の樹脂と昇華性染料とからなる記録層を有する感熱記録材料に、支持体側からの熱印加を行ない、熱印加したパターン状に昇華染料を昇華させ、転写させて画像をえる昇華熱転写方法がある。電子写真方式は、帯電した光導電層に光画像パターンを与えて静電潜像を形成し、次いでトナー現像後に記録用シートに転写し、熱でトナーを溶融定着する方法が主流である。
【0005】
これらの記録に用いられる記録用シートとしては透明シートが所望されており、多くは表面に色材受容(吸収)層を設けた透明フイルムが用いられている。具体的な用途としては、OHPフイルム、バックライトディスプレイ用フイルム、及び第二原図用フイルム等を挙げることができる。
【0006】
上記の記録方式により画像を記録、形成する透明な記録用シートは、高い透明性(光透過性)に加えて、得られる画像の色相、彩度、明度に加えて、色材が記録用シートの表面に強固に接着していることが必要であり、さらにインクジェット記録の場合では、精細な画像を得る上で、液状インクを早く吸収し、インク滲みやインク溜まりの無いこと等が要求される。
【0007】
透明で且つインク等の記録材料の受容性が良好な記録用シートについては種々の検討がなされており、例えば、特開平2−276670号公報および特開昭3−281383号公報には、擬ベーマイト微粒子から形成された細孔を有する色材受容層を具備した記録用シートが開示されている。また、特開平61−53598号公報には、支持体と、その上に設けられた合成シリカ、屈折率1.44〜1.55の微粒子及び水溶性樹脂からなる透明層を有する記録用シートが開示されている。
【0008】
これらの記録用シートはインキ吸収性は向上するものの、前者は、屈折率が1.65と高いため、充分に高い透明度が得られず、後者は、合成シリカが数100nmの粒径の二次粒子を形成しやすく、該二次粒子が光を散乱し光透過急いて低下するという問題があった。
【0009】
支持体として高光沢の不透明支持体を用いた場合には、印画画像を印画側から観察できる所謂反射型の記録シートを形成することができる。
【0010】
上記記録方式により画像を記録、形成する不透明支持体を用いた記録シートは、光沢、得られる画像の色相、彩度、明度に加えて、色材が記録用シートの表面に強固に接着していることが必要であり、さらに、インクジェット記録により画像を形成する場合には、精細な画像を得る上で、液状インクを素早く吸収し、インクにじみやインク溜まりのないことが要求される。即ち、このような反射型記録用シートの場合にも、色材受容層の透明性は重要であり、透明性が低いと印画画像の鮮やかさが低下し、くすみをもった画像しか得られないという問題が生じる。
【0011】
さらに、特開平7−276789号公報には、無機微粒子と水溶性樹脂とから形成された高い空隙率の三次元構造を有する色材受容層が透明支持体上に設けられた記録用シートが提案されている。この構成によれば、上記インク吸収性と混色滲みの抑制が充分で、解像度が高い画像を得ることができるとされている。
【0012】
無機微粒子及び水溶性樹脂から形成された高い空隙率の色材受容層は、一般に粒子径の小さい粒子を多量に含有させ形成することができるが、層形成のバインダー量を空隙が形成できるように少なくする必要があるため、塗布層を急激に乾燥させるとヒビ割れが発生し、インク受容層の透明性及び外観が損なわれる問題があった。
【0013】
インク受容層のヒビ割れを防止する方法として、特開平9−109545号公報に、塗布液のバインダーの粘度を比較的高くする方法が提案されているが、この方法では、作業性の低下や塗布ムラの発生等の虞が生じ、実用上有効であるレベルには至っていない。
【0014】
特開平7−76161号公報、同10−119423号公報には、無機粒子、PVAとホウ酸或いはホウ酸塩からなる塗布液を用いたヒビ割れ防止方法が開示されているが、これらの方法の場合、塗布液の粘度が上昇し、作業性の低下が大きく、さらに、液の経時安定性にも問題があり、実用上有効であるレベルには至っていない。
【0015】
上記色材受容層のヒビ割れを防止するため、本発明者らは検討を重ね、塗布層のヒビ割れは、支持体上に色材受容層形成用塗布液を塗布した後、その乾燥途中、即ち恒率乾燥から減率乾燥へ移行する時期に発生することを見いだし、この知見を基に、恒率乾燥の状態において、塗布層の膜強度を高めてヒビ割れを防止した記録用シートについて出願した(特願平9−296285号)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の出願にさらに改良を加え、透明な色材受容層を有する優れた記録特性を有する記録用シートを効率的で、且つ、安定的に提供する製造方法についてさらに検討を重ねた。
【0017】
従って、本発明の目的は、インクジェット記録、熱転写記録又は電子写真記録の記録特性に優れ、外観、透明性が良好な色材受容層を有する記録用シートを効率的、且つ、安定的に製造しうる記録用シートの製造方法を提供することにある。
【0018】
即ち、本発明は、液状インクを迅速に吸収してインクの吸収ムラがなく、インク滲みやインク溜まりの無い精細な画像を得ることができ、そして、色材受容層の塗布、乾燥工程に起因するヒビ割れやユズ肌等の外観上の劣化を発生がない、インクジェット記録に適した記録用シートの簡易な製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録用シートの製造方法は、支持体上に色材受容層が設けられてなる記録用シートの製造方法であって、無機微粒子及び水溶性樹脂を含む色材受容層塗布液を白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体、白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられたポリエステルフィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルム及び白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムからなる群より選択された支持体上に塗布する工程と、該色材受容層塗布液を塗布した層が減率乾燥速度を示すようになる前に、層中の固形分濃度が15〜40重量%の範囲となるように温風にて乾燥させる第1の乾燥工程と、該色材受容層塗布液を塗布した層に水溶性樹脂を架橋させることができる架橋剤を含む溶液を付与する工程と、該架橋剤を含む溶液を付与した層を温風機にて乾燥、硬化させ、色材受容層を形成する第2の乾燥工程と、を含むことを特徴とする。ここで形成される色材受容層は、好ましくは40〜80%の空隙率を有する。
【0020】
ここで、無機微粒子は、平均1次粒子径が20nm以下のシリカ微粒子或いはアルミナ水和物微粒子であることが好ましい。
【0021】
また、前記架橋剤を含む溶液が、架橋剤とカチオン性物質とを含有すること及び、このカチオン性物質は、水溶性カチオンポリマー、カチオン性無機粒子、カチオン性エマルジョン、カチオン性シランカップリング剤から選択される1種以上であることが好ましい態様である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の記録用シートの主要な構成及びその製造方法について、以下に詳細に説明する。
【0023】
本発明の製造方法により得られる記録用シートは、支持体上に色材受容層が設けらてなるものである。
【0024】
ここで、支持体として使用できる材料としては、特に制限はなく、プラスチック等の透明材料や、紙等の不透明材料等、公知のものを目的に応じて選択できるが、色材受容層の透明性を生かす観点からは、支持体は透明支持体または高光沢の不透明支持体であることが好ましい。透明支持体の材料としては、光透過性が高く、OHPあるいはバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐える性質を有する材料が好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、そしてポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。これらの中で入手のし易さ及びコストの観点から、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンフタレートが好ましい。
【0025】
透明支持体の厚さは、特に制限はないが、50〜200μmのものが取り扱い易く好ましい。
【0026】
高光沢の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って測定することにより求められる値である。高光沢の不透明支持体の例としては、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢の紙;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース、セルロースアセテート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、あるいはポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルム類等に白色顔料等を含有させて不透明にした高光沢の(表面カレンダー処理等を行なった)フィルム、あるいは上記各種紙、上記透明プラスチックフィルムまたは白色顔料等含有プラスチックの表面に、白色顔料を含有するか、あるいは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられたフィルム等を挙げることができる。さらに、白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成したカルシウム含有発泡PET)も挙げることができる。また銀塩写真用支持体として一般的に使用されているポリオレフィンコート紙(表面に白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体等のポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体の一種)、あるいは金属蒸着層等が設けられた特種紙等も、好適に使用することができる。特に白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体、白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられたポリエステル(好ましくはPET)フィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルムあるいは白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムが好ましい。
【0027】
不透明支持体の厚さは、特に制限はないが、50〜200μmのものが取り扱い易く好ましい。
【0028】
また支持体はコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理を施したものを使用してもよい。
【0029】
色材受容層は、無機微粒子と水溶性樹脂とを含む色材受容層塗布液を支持体上に塗布する際、該塗布した層が減率乾燥速度を示すようになる前に水分量を所定の範囲に調整した塗布層上に、架橋剤の溶液を付与し、硬化させることにより得られる層である。
【0030】
水溶性樹脂の例としては、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕;キチン類、及びデンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE);そしてアミド基またはアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)およびポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン基を有するポリスチレンスルホン酸塩、アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPAm)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができる。
【0031】
無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、また、ベーマイト、擬ベーマイト、ジブサイト、バイヤライト、ダイアスポア等を含むアルミナ水和物微粒子も好ましく挙げることができる。透明性を低下させない点から、屈折率が1.40〜1.60の範囲にあるものが好ましい。これらの中で屈折率及び多孔質層を形成しやすいという観点からシリカ微粒子等が、多孔質層を形成しやすいという観点からアルミナ水和物微粒子等が好ましいものとして挙げられる。また無機微粒子の平均一次粒子径は一般的には、20nm以下が好ましく、さらに、10nm以下、特に3〜10nmが好ましい。粒子径が20nmを超えると色材受容層の透明性が低下するため好ましくない。また、屈折率は1.45付近であることが好ましい。無機微粒子として好ましいシリカ微粒子を用いた場合について説明する。シリカ微粒子は、表面のシラノール基による水素結合により粒子同士が付着やすい為、特に、平均一次粒子径が10nm以下のものを用いた場合に、空隙率の大さい構造を形成することができ、インク吸収特性、透明性が向上する。
【0032】
シリカ微粒子は製造法(湿式法と乾式法)により異なる特性のものが得られる。湿式法は、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させる方法であり、含水シリカが得られる。一方の乾式法によれば、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスを電気炉中でアークにより加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)により、無水シリカが得られる。
【0033】
含水シリカ及び無水シリカは、表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、それぞれ異なった性質を示すが、無水珪酸(無水シリカ)の場合に特に空隙率が高い三次元構造を形成し易く好ましい。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には表面のシラノール基の密度が5〜8個/nm2 と多く粒子が密に凝集し易く、一方の無水シリカの場合は2〜3個/nm2 と少ない為、粗な軟凝集が形成され、空隙率が高い構造になるためであると推定される。
【0034】
色材受容層の透明性の観点から、無機微粒子に組み合わせる樹脂の種類が重要であり、例えば、無機微粒子として無水シリカを用いる場合は、ポリビニルアルコール(PVA)、特に低鹸化度(好ましくは鹸化度70〜90%)のPVAが光透過性の点で好適である。PVAは、構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ粒子表面のシラノール基が水素結合を形成して、シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くし、これにより、空隙率の高い構造の色材受容層が得られると考えられる。
【0035】
この多孔質構造の色材受容層はインクジェット記録において、毛細管現象によって急速にインクを吸収し且つインクにじみやインク溜まりの無い精細な記録が可能であるばかりでなく、感熱記録における色材、そして電子写真記録におけるトナーを強固に接着できる。この理由は、色材やトナーが多孔質層の細孔内に浸入し、三次元網目構造に起因する形状的なアンカー効果により、色材等を強固に固定するためと考えられる、また、このような多孔質構造の色材受容層は無機微粒子の含有率が高いので、耐熱性が高く電子写真記録に於ける耐エンボス性も高いという利点を有する。
【0036】
無機微粒子(好ましくはシリカ微粒子)と水溶性樹脂の比率(PB比:水溶性樹脂の重量1に対する無機微粒子の重量)は、膜構造にも大きな影響を与えるが、1.5:1〜10:1の範囲が好適である。PB比が大きくなると空隙率、細孔容積、表面積(単位重量当たり)が大きくなる。無機微粒子の含有比率が10:1を超えた場合には、膜強度が低下し、乾燥時のヒビ割れが発生しやすくなり、1.5:1未満では空隙率が減少してインク吸収性能が低下する。
【0037】
特にOHPフイルムのように、記録用シートの画像に手で直接触る可能性がある場合は充分な膜強度を得る必要があり、PB比は5:1以下が特に好ましく、またインクジェットプリンタ用記録用シートとして、高速インク吸収性を得るにはPB比は2以上が特に好ましい。
【0038】
例えば、平均一次粒子径が10nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂をPB比が2〜5で水溶液中に完全に分散し塗布乾燥した場合、シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔が30nm以下、空隙率が50%以上、細孔比容積0.5m1/g以上、そして比表面積が100m2 /g以上の透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0039】
本発明においては、色材受容層は、上記無機微粒子及び水溶性樹脂を主成分とする層(多孔質層)に架橋剤を付与して、水溶性樹脂を硬化して形成される。
【0040】
本発明の製造方法においては、この架橋剤を付与するタイミングが非常に重要であり、以下、本発明の記録用シートの製造方法の詳細について同時に説明する。本発明の製造方法においては、まず、無機微粒子及び水溶性樹脂を含む色材受容層塗布液を支持体上に塗布する工程を有する。ここでは、前述の好ましいPB比にて調整された色材受容層塗布液が支持体上に、公知の方法により塗布される。
【0041】
まず、無機微粒子と水溶性樹脂とを主成分とする色材受容層塗布液の調整方法について、好ましい無機微粒子であるシリカ微粒子を例に挙げて説明する。ここに記載の濃度は一般的なものであり、用いる微粒子や必要な色材受容層の厚み等により適宜変更しうる値である。平均一次粒子径10nm以下のシリカ微粒子を10〜15重量%水中に添加して、例えば、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)等の高速回転湿式コロイドミルを用いて、好ましくは5000〜20000rpm程度の高速回転の条件で10〜30分間、均一分散が完了するまで分散させた後、シリカ微粒子に対し、所定のPB比となるような量のポリビニルアルコール有効量を含有する水溶液を加え、更に同様の条件で分散を行なうことにより色材受容層塗布液を調整することができる。このようにして得られた塗布液は、均一ゾルであり、これを下記の塗布方法により、支持体上に形成することにより、三次元網目構造を有する透明の色材受容層を得ることができる。上記色材受容層を主として構成する無機微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材でも良いし複数の素材の混合系でもよい。さらに、上記色材受容層は2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの色材受容層の構成は前述した範囲であれば互いに異なる構成を有したもの同士の組み合わせであってもよい。
【0042】
この色材受容層塗布液には、無機微粒子、水溶性樹脂及び溶媒の他、所望により公知の添加剤、即ち、帯電防止剤、媒染剤等を本発明の効果を損なわない限りにおいて加えることができる。添加剤としては、例えば、粒子の分散性を高める為の各種の無機塩類、PH調整剤としての酸、アルカリ類、塗布適性や表面品質を高めるための各種の界面活性剤、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する、あるいは電子写真法に於いて表面電気抵抗を調整する為にイオン導電性を持つ界面活性剤や電子導電性を持つ金属酸化物微粒子等、表面の摩擦特性を低減するための各種のマット剤、色材の劣化を抑制する各種の酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0043】
添加剤等を所望により配合された上記色材受容層塗布液は、支持体(フィルム)上に、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロツドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の方法で塗布される。
【0044】
次に、色材受容層塗布液を塗布した層(以下、適宜、色材受容液塗布層或いは単に塗布層と称する)が減率乾燥速度を示すようになる前に、塗布層中の固形分濃度が15〜40重量%の範囲となるように乾燥させて水分量を調整する第1の乾燥工程を実施する。
【0045】
本発明において、塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前とは、通常、塗布直後から数分の間であり、この間においては塗布層中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象である恒率乾燥速度を示す。このような恒率乾燥速度を示す期間については、化学工学便覧(707〜712頁、丸善株式会社発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0046】
透明多孔質層塗布液の塗布後、その塗布層の固形分濃度が15〜40重量%の範囲となるまで、好ましくは20〜35重量%になるまで乾燥を行う。固形分濃度が15重量%未満である程水分量が多い場合には、最終的に得られた色材受容層表面がユズ肌状態となり、外観が損なわれ、透明性も低下する。一方、固形分濃度が40重量%を超えるまで乾燥させると、色材受容層表面に外観上好ましくない大きなひび割れが生じる虞があり、いずれも好ましくない。
【0047】
この第1の乾燥工程における乾燥は、公知の方法で行うことができ、水分量を接触型、或いは非接触型の水分計等で測定しながら乾燥を行ってもよく、また、予め、乾燥ゾーン内の温度、温風の条件と、乾燥ゾーン内における滞留時間(シートの搬送条件)を定めて連続的に同じ条件で乾燥処理を行ってもよい。乾燥条件は、塗布液の塗布量により異なるが、通常は40〜150℃の温風を乾燥ゾーン内で吹きつけて行い、0.5〜5分間程度行われる。
【0048】
前記第1の乾燥工程を経て該塗布層の水分量が所定の量となった後、前記塗布層中に含有される水溶性樹脂を架橋させることができる架橋剤を含む溶液(以下、適宜、架橋剤含有溶液と称する)を付与する。
【0049】
ここで付与された架橋剤含有溶液は塗布層内に浸透し、塗布層内の水溶性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂を高分子化(硬化)させることにより、塗布層の膜強度を即時に大幅に向上させる。その結果、色材受容層塗布液の乾燥時に発生するユズ肌現象やヒビ割れを防止することができる。
【0050】
用いる架橋剤は、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関連において好適なもの選択すればよいが、具体的には、例えば、硼酸、硼酸塩(例、オルト硼酸塩、InBO3 、ScBO3 、YBO3 、LaBO3 、Mg3 (BO3 )2 、Co3 (BO3 )、二硼酸塩(例、Mg2 B2 O5 、Co2 B2 O5 )、メタ硼酸塩(例、LiBO2 、Ca(BO2 )2 、NaBO2 、KBO2 )、四硼酸塩(例、Na2 B4 O7 、10H2 O)、五硼酸塩(例、KB5 O8 ・4H2 O、Ca2 B6 O11、7H2 O、CsB5 O5 )、グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド(例、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート等を挙げることができる。これらの中で、硼酸、硼酸塩は、ポリビニルアルコールと組み合わせて使用することにより速やかに架橋反応を起こすため、好適な水溶性樹脂であるPVAとの関連で、硼酸あるいは硼酸塩が好ましい。
【0051】
水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている下記の化合物を架橋剤として用いることができる。ホルムアルデヒド、クリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載されたアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載されるカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等。これらは二種以上組み合わせて用いることもできる。
前記架橋剤含有溶液は、架橋剤を水及び/又は有機溶剤に溶解することにより調製される。架橋剤含有溶液の架橋剤濃度は、0.05〜10重量%が好ましく、特に0.1〜7重量%が好ましい。0.05重量%未満であると架橋反応が不十分であり、膜の強度向上効果が不十分となり、濃度が10重量%を超えると、塗布面の外観が悪化し、いずれも好ましくない。
【0052】
架橋剤含有溶液の溶媒としては、一般に水が使用される。有機溶剤としては、各材料が溶解するものを使用すれば良く、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル及びジクロロメタン等のハロゲン化溶剤等を挙げることができる。
【0053】
硼素化合物を架橋剤として用いた場合、さらに架橋剤液中に、カチオン性ポリマー、カチオン性エマルジョン、カチオン性無機粒子、カチオン性シランカップリング剤等のカチオン性物質等を添加することが画像の耐水性、鮮やかさ向上の観点から好ましい。ここでカチオン性物質としては、分子内にアミド基、イミド基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、1級アンモニウム塩基、2級アンモニウム塩基、3級アンモニウム塩基、4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン性基を有する化合物を指す。
【0054】
カチオン性物質の例としては、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化澱粉、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物等を挙げることができる。これらの化合物は分子量が1000〜20000程度のものが好ましく、分子量が1000未満では耐水性の向上効果が不十分であり、20000を超えると粘度が高く、ハンドリング性が悪化するため、いずれも好ましくない。
【0055】
これらのカチオン性物質の添加量としては、1m2 当たり、0.1g〜0.3g程度であることが好ましい。カチオン性物質の添加は、架橋剤含有溶液の配合時に行うことができる。
【0056】
色材受容層塗布液の塗布後、その塗布層の固形分重量を所定の範囲となるように第1の乾燥工程において水分を調整された塗布層上に、この架橋剤含有溶液を、公知の方法で付与し、その後、第2の乾燥工程において、さらに塗布層を乾燥し、硬化して支持体上に色材受容層を形成するものであるが、上記架橋剤含有溶液の付与は、塗布またはスプレー等の公知の方法で行えばよい。
【0057】
付与方法の具体例としては、架橋剤含有溶液に該塗布層を塗布した支持体を浸漬する方法、あるいは塗布層に、架橋剤含有溶液をスプレー塗布する方法等が挙げられ、その他にも、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができるが、エクストリュージョンダイーコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等を用いて塗布層にコーターが直接接触しない方法が塗布面の外観の観点から好ましい。
【0058】
架橋剤含有液の色材受容層上の塗布量は、架橋剤換算で0.01〜10g/m2 の範囲が一般的であり、0.05〜5g/m2 の範囲が好ましい。
【0059】
架橋剤含有塗布液の塗布後、塗布層を形成した支持体は第2の乾燥工程に付され、ここで、塗布層の乾燥及び硬化が行われ、色材受容層が形成されて記録用シートが完成する。
【0060】
第2の乾燥工程の乾燥条件は、形成される色材受容層の膜厚、用いられる水溶性樹脂の種類、架橋剤の種類及び添加量などにより変化するが、40〜180℃で0.5〜30分間加熱されるのが一般的であり、40〜150℃で1〜20分間で加熱、乾燥することが好ましい。例えば、架橋剤として硼砂を使用する場合は、60〜100℃で5〜20分間加熱することが好ましい。
【0061】
また、塗布、乾燥後、得られた色材受容層は、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダなどを用い、加熱、加圧下にロールニップ間を通すことにより、表面平滑性、透明性及び塗膜強度を向上させる加工を行うことが可能である。しかしながら、このような処理は色材受容層の空隙率を低下させ、インク吸収性を低下させる虞もあるため、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
【0062】
得られた色材受容層は三次元網目構造を有するような、高い空隙率を有するものであることが色材受容性の観点から好ましく、40〜80%の空隙率、特に50〜80%の空隙率を有することが好ましい。また、色材受容層の細孔径はメジアン径で0.005〜0.030μm、さらに0.01〜0.025μmであることが好ましい。
【0063】
ここで、空隙率と細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0064】
また、色材受容層は透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が30%以下であり、ヘイズ値が20%以下であるものが好ましい。ヘイズ値はヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0065】
得られた色材受容層の層厚は、記録用シートの用途や所望の記録特性によって異なり、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があり、これは塗膜の空隙率との関連で決定する必要がある。例えばインク量が8nL/mm2 で、空隙率が60%の場合であれば膜厚が約15μm以上の膜が必要となる。インクジェット記録の場合は、10〜50μmの範囲の膜厚が好ましい。感熱転写や電子写真方式の場合は、色材あるいはトナーを表面に吸着することから薄膜で十分であり、0.1〜10μmの膜厚が好ましい。
【0066】
本発明の製造方法に係る記録用シートにおいては、色材受容層と支持体の間に、接着性向上や、電気抵抗を調整する等の目的で下塗層を設けてもよい。また、OHP用の記録用シートの場合、色材受容層の反対面あるいは両面に光透過性を高めるための反射防止膜を設けても良い。
【0067】
本発明においては、色材受容層を支持体の片面のみに設ける方法のみを説明したが、記録用シートのカールを抑制する為に、色材受容層を両面に設けることもでき、その場合のプロセスにも本発明の方法を適用することができる。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0069】
(実施例1)
[色材受容層塗布液の組成]
(1)無水シリカ微粒子(平均1次粒子径:7nm) 9.9重量部
(アエロジル300、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 72.6重量部
(3)1Nアンモニア水 5.3重量部
(4)ポリビニールアルコール9%溶液 31.4重量部
(PVA420、クラレ(株)製
ケン化度81.8%、重合度2000)
(1)(2)を混合し、高速回転湿式コロイドミル(クレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、10000rpmの条件で20分間分散させた後、(3)のアンモニア水、(4)のポリビニールアルコール水溶液を加え、更に上記と同じ条件で分散を行い、色材受容層塗布液を得た。無機微粒子と水溶性樹脂の重量比は3.5:1であった。
[塗布、乾燥]
上記の塗布液を200μmの厚みの写真印画紙用ラミネート紙の表面にエクストルージョンダイコーターを用いて200cc/m2 の塗布量で塗布し熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた(第1の乾燥工程)。その後、直ちに下記組成のほう砂含有溶液に30秒浸漬させ、80℃で10分間乾燥させた(第2の乾燥工程)。これにより乾燥膜厚が32μmの色材受容層を支持体上に形成し、記録用シートを製造した。
[ほう砂含有溶液(架橋剤含有液)]
(1)ほう砂6% 22.5重量部
(2)界面活性剤10%水溶液 1.8重量部
(F−144D 大日本インキ化学工業(株))
(3)イオン交換水 65.7重量部
(実施例2)
実施例1において、上記色材受容層の塗布後、第1の乾燥工程の条件を調整し、固形分35%になるまで乾燥させた。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0070】
(実施例3)
実施例1で第1の乾燥工程の後に塗布した架橋剤含有液をカチオン性ポリマーを含有する下記組成の架橋剤含有液2に代えた。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
[架橋剤含有液2]
(1)ほう砂6% 22.5重量部
(2)界面活性剤10%水溶液 1.8重量部
(F−144D 大日本インキ化学工業(株))
(3)イオン交換水 55.5重量部
(4)ポリアリルアミン10%水溶液 7.2重量部
(4級アンモニウム塩ポリマー:PAA−10C、
日東紡績(株)製)
(5)4級アンモニウム塩ポリマー60%水溶液 3.0重量部
(ポリフィックス700昭和高分子(株))
(実施例4)
実施例3の架橋剤含有液2組成中の(4)、(5)の水溶性カチオンポリマーの代りにカチオン性無機粒子(スノーテックスAK:日産化学(株))10%液を25.2重量部にした。それ以外は実施例3と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0071】
(実施例5)
実施例3の架橋剤含有液2組成中の(4)、(5)の水溶性カチオンポリマーの代りにカチオン性エマルジョン(ミストパールC−100:荒川化学工業(株))10%液を25.2重量部にした。それ以外は実施例3と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0072】
(実施例6)
実施例1の色材受容層の無機微粒子として、平均1次粒子径30nmのシリカ微粒子を使用した。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0073】
(実施例7)
実施例1において、色材受容層塗布液を下記色材受容層塗布液2に代え、第1の乾燥工程の後に塗布した架橋剤含有液をカチオン性ポリマーを含有する下記組成の架橋剤含有液2に代えた。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
[色材受容層塗布液2の組成]
(1)無水シリカ微粒子(平均1次粒子径:7nm) 9.9重量部
(アエロジル300、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 72.6重量部
(3)1Nアンモニア水 5.3重量部
(4)ポリビニールアルコール9%溶液 31.4重量部
(PVA420、クラレ(株)製
ケン化度81.8%、重合度2000)
(5)界面活性剤10%水溶液 5.96重量部
(ノニポール85、三洋化成工業(株))
【0074】
(実施例8)
実施例7において、色材受容層塗布液2に用いた界面活性剤を、ノニポール200(三洋化成工業(株))に代えた。それ以外は実施例7と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0075】
(実施例9)
実施例7において、色材受容層塗布液2に用いた界面活性剤を、F−144D(大日本インキ化学工業(株))に代えた。それ以外は実施例7と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、上記色材受容層の塗布後、第1の乾燥工程の条件を調整し、固形分10%になるまで乾燥させた。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0077】
(比較例2)
実施例1において、上記色材受容層の塗布後、第1の乾燥工程の条件を調整し、固形分45%になるまで乾燥させた。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0078】
(比較例3)
実施例1で第1の乾燥工程の後に架橋剤含有液を塗布しなかった。それ以外は実施例1と同じ処理を行い、記録用シートを製造した。
【0079】
[記録用シートの評価]
前記実施例1〜5、比較例1〜5の方法により得られた記録用シートを下記の基準にしたがって評価した。
【0080】
(a)色材受容層の面状
色材受容層の面状(外観)を目視で観察し、下記の基準にしたがって判定した。
○:実用上問題ないレベル。
△:面状故障若干見られる。
×:実用適性なし。
【0081】
(b)ヘイズ(透明性)
色材受容層の透明性を、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株)製)を用いて平行光線透過率を測定することにより、評価した。なお、ヘイズは支持体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを用い、そこに色材受容層を形成して測定した。
【0082】
(c)空隙率
色材受容層の空隙率を、水銀ポロシメーター(ポアサイザー9320−PC2:島津製作所(株)製)にて測定した値である。なお、空隙率測定においてもヘイズ測定同様の透明支持体であるポリエチレンテレフタレートを用いて測定した。
【0083】
(d)インク吸収速度
インクジェットプリンタ(商品名:PM−700C、セイコーエプソン(株)製)により、記録用シートへ、Y(黄)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のインクによりベタ印字し、その直後(約10秒後)印画部に紙を接触押圧し、インクの紙への転写の有無を下記の基準により判定した。
○:紙にインキがまったく転写されなかった。
△:紙にインキの一部が転写されたが、実用上問題ないレベル。
×:紙に多くのインキが転写された。
【0084】
(e)耐水性
インク吸収速度の測定と同じプリンタを用いて記録用シート上に同じ印画パターンを形成させ、3時間放置後、水中に一分間浸し、インクの流れ具合を目視で観察し、下記の基準により判定した。
○:染料が全く流れなかった。
△:全体的に染料が流れ色濃度が薄くなっている。
×:染料がほぼ完全に流れている。
【0085】
前記各項目の評価結果を下記表1に示す。
【0086】
【表1】
表1の結果より明らかなように、本発明の製造方法によれば、インクジェット記録等に適する優れた記録特性を有し、外観も良好な記録用シートを得ることができた。また、実施例1、2と6の対比により、無水シリカ微粒子に平均1次粒子径が小さいものを用いた方が透明性、インク吸収性に優れていることがわかった。
【0087】
実施例3〜5、7〜9の評価結果より、カチオン性物質を添加した架橋剤含有溶液を付与する製造方法により得られた記録用シートは、外観、透明性、色材受容性に加えて、さらに画像の耐水性も良好であることがわかった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の記録用シートの製造方法は、インクジェット記録、熱転写記録又は電子写真記録の記録特性に優れ、外観、透明性が良好な色材受容層を有する記録用シートを効率的、且つ、安定的に製造しうるという効果を奏する。
Claims (5)
- 支持体上に色材受容層が設けられてなる記録用シートの製造方法であって、
無機微粒子及び水溶性樹脂を含む色材受容層塗布液を、白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体、白色顔料含有ポリオレフィン層が設けられたポリエステルフィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルム及び白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムからなる群より選択された支持体上に塗布する工程と、
該色材受容層塗布液を塗布した層が減率乾燥速度を示すようになる前に、層中の固形分濃度が15〜40重量%の範囲となるように温風にて乾燥させる第1の乾燥工程と、
該色材受容層塗布液を塗布した層に水溶性樹脂を架橋させることができる架橋剤を含む溶液を付与する工程と、
該架橋剤を含む溶液を付与した層を温風にて乾燥、硬化させ、色材受容層を形成する第2の乾燥工程と、
を含むことを特徴とする記録用シートの製造方法。 - 前記色材受容層の空隙率が40〜80%である請求項1に記載の記録用シートの製造方法。
- 前記無機微粒子が、平均1次粒子径が20nm以下のシリカ微粒子或いはアルミナ水和物微粒子である請求項1又は請求項2に記載の記録用シートの製造方法。
- 前記架橋剤を含む溶液が、架橋剤とカチオン性物質とを含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の記録用シートの製造方法。
- 該カチオン性物質が、水溶性カチオンポリマー、カチオン性無機粒子、カチオン性エマルジョン、カチオン性シランカップリング剤から選択される1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の記録用シートの製造方法。
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